JPH0948824A - 熱溶融成形用樹脂 - Google Patents

熱溶融成形用樹脂

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JPH0948824A
JPH0948824A JP19830895A JP19830895A JPH0948824A JP H0948824 A JPH0948824 A JP H0948824A JP 19830895 A JP19830895 A JP 19830895A JP 19830895 A JP19830895 A JP 19830895A JP H0948824 A JPH0948824 A JP H0948824A
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JP
Japan
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vinyl
polymer
resin
vinyl alcohol
hydroxyalkyl group
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JP19830895A
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Takeshi Kusufuji
健 楠藤
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
Yoshimi Umemura
芳海 梅村
Toshiaki Sato
寿昭 佐藤
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基
を側鎖に有するビニルアルコール系重合体からなる熱溶
融成形用樹脂。 【効果】 本発明の熱溶融成形用樹脂は、熱安定性に優
れており、特に200℃を超える温度での溶融成形性が
顕著に優れている。本発明の熱溶融成形用樹脂を用いて
熱溶融成形して得られた成形物は、熱安定性、ブロッキ
ング性および耐衝撃性などに優れており、これらの性能
の経時的安定性にも優れている。また本発明の熱溶融成
形用樹脂を用いて得られた成形物は、水可溶性あるいは
親水性を有するほか、保香性、耐油性、耐溶剤性、帯電
防止性、酸素遮断性などの従来のビニルアルコール系重
合体からなる成形物の性質をも有している。さらに、本
発明の熱溶融成形用樹脂は、各種フィルム、ボトル、繊
維などの成形原料として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱溶融成形用樹脂に
関する。さらに詳しくは、熱安定性に優れ、しかも耐ブ
ロッキング性および耐衝撃性等に優れた成形物を得るこ
とが可能な熱溶融成形用樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアルコール(以下「PVA」
と略記する)は、造膜性、透明性および強度に優れてい
ることから、フィルムおよびシート等に幅広く使用され
ている。従来のフィルムおよびシートに用いられるPV
Aとしては、けん化度が98モル%程度の「完全けん化
PVA」とけん化度が95モル%程度以下の「部分けん
化PVA」が知られている。
【0003】従来のPVAの成形物は、高湿条件下では
柔軟であるが、低湿条件下では柔軟性が損なわれること
等の問題があった。
【0004】また、従来の「部分けん化PVA」の成形
物の場合には、成形物から酢酸が遊離するという問題が
あった。
【0005】PVAの成形物の柔軟性を改善するため
に、可塑剤や他の重合体をPVAにブレンドする方法が
提案されている。しかしながら、可塑剤を添加する方法
は、成形物を長期間に渡って使用すると、成形物中の可
塑剤含量が経時的に減少し、冬場のような低温低湿下で
は、成形物の柔軟性が不足して、成形物に割れやひびが
発生するという問題があった。さらに、フィルムの場合
には、成形物のブロッキングという問題があった。一
方、PVAに他の重合体をブレンドする方法は、両者の
相溶性が不良のために、成形物の機械的特性が著しく低
下したり、透明性が大きく低下するという問題があっ
た。
【0006】また、変性したPVAの成形物が提案され
ている。しかしながら、アリルアルコール単位を有する
PVAの成形物(特開昭62−229135号)は、熱
安定性は幾分向上しているが、実用的には依然として不
十分であり、かつ成形物中に残存するアリルアルコール
の安全性に問題があった。また、α−オレフィン単位を
有するPVAの成形物(特開昭63−289581号)
は、疎水基の会合により溶融粘度が著しく上昇したり、
成形物が水に不溶性であるという問題を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱安
定性に優れ、しかも耐ブロッキング性および耐衝撃性等
に優れた成形物を得ることが可能なビニルアルコール系
重合体からなる熱溶融成形用樹脂を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、炭素数2〜20の
ヒドロキシアルキル基を側鎖に有するビニルアルコール
系重合体からなる熱溶融成形用樹脂;ならびに該熱溶融
成形用樹脂を熱溶融成形することを特徴とする成形物
(フィルム、ボトルなどの成形物)の製造方法を見出
し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるビニルアルコ
ール系重合体は分子内にビニルアルコール単位を有して
いることが必要である。本発明に用いるビニルアルコー
ル系重合体の側鎖は炭素数2〜20のヒドロキシアルキ
ル基であり、該側鎖はビニルアルコール系重合体の主鎖
に直接結合していることが必要である。本発明に使用さ
れるビニルアルコール系重合体のヒドロキシアルキル基
の炭素数は、2〜20であり、2〜15が好ましく、3
〜10がより好ましい。ヒドロキシアルキル基は、少な
くとも1個のヒドロキシル基(水酸基)を有するアルキ
ル基であり、熱安定性や水溶性の点で、ω−ヒドロキシ
アルキル基が好ましい。ヒドロキシアルキル基のアルキ
ル基としては、その水素原子が炭素数1〜9の直鎖状ま
たは分岐状のアルキル基で置換されていてもよい。側鎖
に炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基を有する単量
体単位としては、ヒドロキシル基含有オレフィン単位が
挙げられる。ヒドロキシル基含有オレフィンの中でもビ
ニルアルコール系重合体の重合度の制御の容易性などの
点から、3-ブテン-1- オール、4-ペンテン-1- オール、
5-ヘキセン-1- オール、7-オクテン-1- オール、11- ド
デセン-1- オール、3-メチル-3- ブテン-1- オールなど
に由来する単量体単位が好ましい。これらの単量体単位
のほかに、ビニルアルコール系重合体の原料であるビニ
ルエステル系重合体のけん化反応時に、ヒドロキシル基
の生成が可能なエステル基を含有する単量体であっても
よい。
【0010】本発明に使用されるビニルアルコール系重
合体における炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基の
含有量については特に制限はないが、その好適な含有量
は、0.01〜50モル%が好ましく、0.1〜30モ
ル%がより好ましい。ヒドロキシアルキル基の含有量が
0.01モル%未満の場合には、熱安定性および熱溶融
成形性が低下し、30モル%より大きい場合には、成形
物の水溶性が低下し、50モル%より大きい場合には、
ビニルアルコール系重合体からなる成形物としての本来
の特徴が低下する。本発明において使用されるビニルア
ルコール系重合体のけん化度については特に制限はな
く、完全けん化物でも部分けん化物でもよいが、熱安定
性および熱溶融成形性の点から、50モル%以上が好ま
しく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上
が特に好ましい。本発明に使用されるビニルアルコール
系重合体の粘度平均重合度(以下「重合度」と略記す
る)は、100〜40000が好ましく、200〜80
00がより好ましく、溶融粘度の点から300〜500
0が特に好ましい。重合度が100未満の場合には、ビ
ニルアルコール系重合体からなる成形物の本来の特徴が
低下し、重合度40000より大きい場合には、ビニル
アルコール系重合体の工業的な製造が難しい。
【0011】本発明に用いるビニルアルコール系重合体
の製法としては、ビニルエステルとヒドロキシアルキル
基含有オレフィンとを共重合して得られたビニルエステ
ル系重合体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシ
ド溶液中でけん化する方法などの公知の方法が挙げられ
る。ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げ
られるが、その中でも酢酸ビニルが好ましい。
【0012】本発明に用いるビニルアルコール系重合体
は、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能なエ
チレン性不飽和単量体を共重合したものでもよい。エチ
レン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、
1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、
(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和
酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまた
はジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜
18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチル
アクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン
酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルア
ミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのアクリ
ルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−
アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリ
ルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あ
るいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミ
ンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのメタクリ
ルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルム
アミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミ
ド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシ
アン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエー
テル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシ
アルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化
ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリ
デン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメト
キシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、
塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコ
ール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチ
ルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。ま
た、本発明に用いるビニルアルコール系重合体は、チオ
ール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合
物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量
体を、ヒドロキシアルキル基含有オレフィンと共重合
し、それをけん化することによって得られる末端変生物
でもよい。
【0013】ビニルエステルとヒドロキシアルキル基含
有オレフィンとの共重合の方法としては、塊状重合法、
溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法
が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコール
などの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常
採用され、高重合度のものを得る場合には、乳化重合法
が採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアル
コールとしては、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げら
れる。共重合に使用される開始剤としては、例えば、
α,α' −アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、2,
2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオ
キシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系
開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度につ
いては特に制限はないが、−30〜150℃の範囲が適
当である。
【0014】ビニルエステルとヒドロキシアルキル基含
有オレフィンとの共重合体は公知の方法によってけん化
される。例えば、アルコール、場合によっては含水アル
コールに溶解した状態でけん化される。けん化反応に使
用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチ
ルアルコールなどの低級アルコールが挙げられ、メチル
アルコールが特に好適に使用される。けん化反応に使用
されるアルコールには、40重量%以下であれば、アセト
ン、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、ベンゼ
ン等の溶剤を含有していてもよい。けん化反応に用いら
れる触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム
などのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラート
などのアルカリ触媒、あるいは鉱酸などの酸触媒が用い
られる。けん化反応の温度については特に制限はない
が、20〜60℃の範囲が適当である。けん化反応の進
行に伴って、ゲル状生成物が析出してくる場合には、そ
の時点で生成物を粉砕し、洗浄後、乾燥することによ
り、本発明の成形物に用いるビニルアルコール系重合体
が得られる。
【0015】本発明に用いるビニルアルコール系重合体
は、従来のPVAに比較して、熱安定性が顕著に優れて
いる。すなわち、本発明に用いるビニルアルコール系重
合体は、熱安定性の指標である重合体の重量が5%減少
する温度(以下「5%重量減少温度」と略記する;実施
例の欄参照)が300℃よりも高い。ビニルアルコール
系重合体の工業的な熱溶融成形は、250℃以下の温度
で行われることが多いが、長期運転性(ロングラン性)
を考慮すると、実際の熱溶融成形温度は、5%重量減少
温度よりも50℃以上低く設定する必要がある。したが
って、5%重量減少温度が300℃よりも高い重合体
は、工業的な熱溶融成形性が顕著に優れ、かかる重合体
からなる成形物も熱安定性が顕著に優れている。さら
に、本発明に用いるビニルアルコール系重合体は、けん
化度が低い場合にも熱安定性が良好であり、かかる重合
体からなる成形物も同様に熱安定性に優れている。
【0016】本発明に用いるビニルアルコール系重合体
の熱溶融成形性をさらに向上させるために、本発明の成
形物に用いるビニルアルコール系重合体に、可塑剤を添
加することもできる。可塑剤としては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール、分子量600以下のポ
リエチレングリコール、トリメチレングリコール、テト
ラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘ
キサメチレングリコール、プロピレングリコールなどの
グリコール類;グリセリン、1,3−ブタンジオール、
2,3−ブタンジオールなどのジオール類;トリメチロ
ールプロパン、ジグリセリン、3−メチル−1,3,5
−ペンタトリオール、少量(20%以下)の水などの公
知のものを使用することができるが、これらに限定され
ない。可塑剤の添加量としては、ビニルアルコール系重
合体100重量部に対して30重量部以下が好ましく、
20重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさら
に好ましい。さらに、本発明の目的を損なわない範囲
で、他の重合体を配合することもできる。
【0017】本発明の熱溶融成形用樹脂には、粘土鉱
物、無機塩、ガラスなどビニルアルコール系重合体との
反応性が低い無機材料を混合して使用することもでき
る。無機材料としては、カリオン、クレー、タルク、酸
性白土、シリカ、アルミナ、珪草土、ベントナイト、モ
ンモリナイト、木節粘土、硅目粘土、ロウ石、ミョウバ
ン石、陶土、長石、石綿、パーライト、炭酸カルシウ
ム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、酸化チタ
ン、マイカ、シラス、ガラス、ガラス繊維など公知の充
填剤が使用できる。本発明で使用できる無機材料の平均
粒子径としては特に制限はないが、0.1〜100μm
が好ましい。無機材料の添加量としては、ビニルアルコ
ール系重合体100重量部に対して2000重量部以下
が好ましく、1000重量部以下がより好ましい。さら
に、着色剤や酸化防止剤等の安定剤などの各種添加剤を
配合できる。
【0018】本発明のビニルアルコール系重合体からな
る熱溶融成形用樹脂の成形方法としては特に制限はない
が、例えば、フィルムを得る場合には、押出成形、イン
フレーション成形などが挙げられ、ボトルを得る場合に
は、ブロー成形などが挙げられる。また、繊維を得る場
合には、溶融紡糸などが挙げられる。本発明の熱溶融成
形用樹脂からなる成形物は、上記の成形方法によりフィ
ルム、ボトル、繊維などの任意の形状がとれる。
【0019】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
詳細に説明する。以下の実施例および比較例において
「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準を意
味する。
【0020】ビニルアルコール系重合体中の側鎖のヒド
ロキシアルキル基、ビニルエステル単位、ビニルアルコ
ール単位および他のコモノマー単位の含量は、270M
Hz1 H−NMRにより定量した。1 H−NMR測定時
のビニルアルコール系重合体の溶媒は重水素化DMSO
を用いた。
【0021】ビニルアルコール系重合体の重合度(粘度
平均重合度)は、けん化度が99.5モル%未満の場合
には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化し
たPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度
[η](g/dl)から次式により求めた粘度平均重合
度(P)で表す。 P=([η]×103 / 8.29)(1/0.62)
【0022】ビニルアルコール系重合体の5%重量減少
温度は、ビニルアルコール系重合体を精製した後に、1
05℃で5時間以上減圧乾燥したものについて、窒素雰
囲気下で、10℃/分の昇温速度で、700℃まで昇温
する条件で、TG−DTA(示差熱分析)によって求め
た。
【0023】合成例1 還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管および後添加
液用の仕込み口とポンプを備えた重合槽に酢酸ビニルを
1680部、7-オクテン-1- オールを350 部、メタノールを
420 部仕込んだ。重合液を撹拌しながら、系内を窒素置
換して加熱し、60℃の恒温になった時点で、2,2'- アゾ
ビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」と略記す
る)を26部添加して重合を開始した。重合開始時点より
系内の固形分濃度を分析しつつ重合を行い、4時間後に
重合槽を冷却することにより重合を停止した。重合停止
前の重合率は59%であった。得られた重合ペーストをn-
ヘキサン中で析出させる再沈−精製操作を3回実施した
後、再度アセトンに溶解し、蒸留水に滴下させ、煮沸精
製した後、60℃で乾燥して精製ポリ酢酸ビニル(以下
「PVAc」と略記する)を得た。次に、精製PVAc
の濃度30%のメタノール溶液を調整し、40℃で撹拌し
ながら、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液
(PVAcに対してモル比0.10)を添加し、60分間の
けん化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕後、メタ
ノールに浸漬し、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノ
ール溶液(PVAcに対してモル比0.02)を添加し、さ
らに5時間の再けん化を行った。得られたPVAをメタ
ノールで洗浄し、50℃で18時間乾燥して白色粉末の
PVAを得た。得られたPVA中の7-オクテン-1- オー
ル単位の含量は4.5 モル%であった。PVAの基本構造
および5%重量減少温度を表1に示す。
【0024】合成例2 合成例1で得られた7-オクテン-1- オールを4.5 モル%
含有するPVAcを、水酸化ナトリウムの濃度10%のメ
タノール溶液(PVAcに対するモル比0.009)を添加
してけん化した。得られたゲル状物を粉砕後、メタノー
ルで洗浄し、50℃で18時間乾燥して、白色粉末のPV
Aを得た。PVAの基本構造および5%重量減少温度を
表1に示す。
【0025】合成例3〜6 合成例1と同様にして重合、けん化、および精製を行
い、精製PVAを得た。PVAの基本構造および5%重
量減少温度を表1に示す。
【0026】合成例7 合成例2と同様にして重合、けん化、および精製を行
い、精製PVAを得た。PVAの基本構造および5%重
量減少温度を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】比較合成例1〜6 公知の方法により、表2に示すPVAを合成した。PV
Aの基本構造および5%重量減少温度を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】実施例1〜7および比較例1〜6 合成例1〜7および比較合成例1〜6により得られたP
VAを押出機に供給し、230℃で押出してペレット化
した。ペレットの成形性を下記の方法により評価した。
その結果を表3に示す。 (成形性)ペレット作成時にダイから発生する発煙の有
無および発煙の臭気を観察して判定した。 ◎:成形時に全く発煙を生じず、分解臭なし。 ○:成形にさしつかえない程度の発煙を生じるが、殆ど
分解臭がしない。 △:成形時にかなり発煙を生じ、分解臭が発生する。 ×:成型時に激しく発煙を生じ、分解臭が激しい。
【0031】上記の方法により得られたペレットを原料
に用いて、溶融押出成形によりフィルムを成形した。成
形条件を以下に示す。 (1)成形機 東洋精機製ラボプラストミル (2)温度条件(シリンダー温度およびダイ温度) シリンダー1 170℃ シリンダー2 200℃ シリンダー3 230℃ シリンダー4 230℃ シリンダー5 230℃ ダイ温度 220℃ (3)スクリュー型 フルフライトスクリュー (4)スクリュー回転数 200rpm (5)モーター負荷電流 3.3アンペア (6)吐出量 2.1kg/hr (7)フィルム厚 40μm 上記の溶融押出成形により得られたフィルムの物性を以
下の方法により評価した。その結果を表3に示す。
【0032】(フィッシュアイ)得られたフィルムから
幅100mm、長さ100mmの大きさに20枚切り取
り、PVAのゲル化に由来するフィッシュアイのフィル
ム1枚当たりの平均個数測定した。その結果を下記の記
号で示す。 ◎:フィッシュアイ数 0.1個未満 ○:フィッシュアイ数 0.1個以上〜0.3個未満 △:フィッシュアイ数 0.3個以上〜1個未満 ×:フィッシュアイ数 1個以上
【0033】(ブロッキング性)得られたフィルムを6
5%RH、20℃で、1週間調湿した後、幅120m
m、長さ25mmの大きさに2枚切り取り、2枚のフィ
ルムを重ねてさらにガラス板で挟み込み、50g/cm
2 の圧力を24時間加えた。その後、2枚のフィルムの
剥離強度をオートグラフを用いて引張速度が50mm/
minの条件で測定した。その結果を下記の記号で示
す。 ◎:0.1(g/25mm)未満 ○:0.1(g/25mm)以上〜1.0(g/25m
m)未満 △:1.0(g/25mm)以上〜50(g/25m
m)未満 ×:50(g/25mm)以上
【0034】(成形物の5%重量減少温度)得られたフ
ィルムの一部を切り取り、ビニルアルコール系重合体の
場合の5%重量減少温度と同様にしてTG−DTAによ
り求めた。
【0035】
【表3】
【0036】実施例8〜14および比較例7〜12 フィルムの成形に使用したのと同じペレットを用いて、
ブロー成形によりボトルを成形した。成形条件を以下に
示す。 (1)成形機 鈴木鉄工所製中空成型機 (2)温度条件(シリンダー温度およびダイ温度) シリンダー1 200℃ シリンダー2 220℃ シリンダー3 230℃ シリンダー4 230℃ シリンダー5 230℃ ダイ温度 220℃ (3)スクリュウ型 40φ、L/D=19 (4)スクリュウ回転数 500rpm (5)金型ノズル径 13φ/16φ (6)ボトルの容量 50ml(肉厚0.85mm)
【0037】上記のブロー成形で得られたボトル物性を
以下の方法により評価した。その結果を表4に示す。
【0038】(耐衝撃性)得られたボトル中に不凍性の
機械用潤滑オイル(凝固点:−20℃)を完全に満た
し、密閉した後、1週間(20℃,65%RHまたは−
10℃)もしくは1ヶ月間(−10℃)放置した後、オ
イルを満たした状態で、ボトル(各サンプル10個)を
2メートルの高さから木製の床に落下させて、生じた亀
裂の個数により評価した。その結果を下記の記号で示
す。 ◎:亀裂の個数 1個以下 ○:亀裂の個数 2〜4個 △:亀裂の個数 5〜7個 ×:亀裂の個数 8個以上
【0039】(成形物の5%重量減少温度)得られたボ
トルの一部を切り取り、ビニルアルコール系重合体の場
合の5%重量減少温度と同様にしてTG−DTAにより
求めた。
【0040】
【表4】
【0041】
【発明の効果】本発明の熱溶融成形用樹脂は、熱安定性
に優れており、特に200℃を超える温度での溶融成形
性が顕著に優れている。本発明の熱溶融成形用樹脂を用
いて得られた成形物は、熱安定性、ブロッキング性およ
び耐衝撃性などに優れており、しかもこれらの性能の経
時的安定性にも優れている。また本発明の熱溶融成形用
樹脂を用いて熱溶融成形して得られた成形物は、水可溶
性あるいは親水性を有するほか、保香性、耐油性、耐溶
剤性、帯電防止性、酸素遮断性などの従来のビニルアル
コール系重合体からなる成形物の性質をも有している。
さらに、本発明の熱溶融成形用樹脂は、各種フィルム、
ボトル、繊維などの成形原料として好適であることか
ら、工業的有用性が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 寿昭 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基
    を側鎖に有するビニルアルコール系重合体からなる熱溶
    融成形用樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱溶融成形用樹脂を熱溶
    融成形することを特徴とする成形物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の熱溶融成形用樹脂を熱溶
    融成形することを特徴とするフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の熱溶融成形用樹脂を熱溶
    融成形することを特徴とするボトルの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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