JP3249595B2 - ビニルアルコール系樹脂成形物 - Google Patents

ビニルアルコール系樹脂成形物

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JP3249595B2 JP26548192A JP26548192A JP3249595B2 JP 3249595 B2 JP3249595 B2 JP 3249595B2 JP 26548192 A JP26548192 A JP 26548192A JP 26548192 A JP26548192 A JP 26548192A JP 3249595 B2 JP3249595 B2 JP 3249595B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定のオキシアルキレ
ン基含有ビニルアルコール系ポリマーと特定のポリビニ
ルアルコールオリゴマーとの組成物から得られる成形
物、殊に、成形加工性が良好で、かつ低温脆化防止性、
柔軟性、衝撃強度等の性質およびそれらの性質の経時安
定性がすぐれたビニルアルコール系樹脂成形物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】〈ポリビニルアルコール〉 ポリビニルアルコールの成形物、たとえばフィルムは、
保香性、透明性、耐油性、帯電防止性、酸素遮断性、保
温性などの性質がすぐれており、また親水性、水溶解性
ないしは水分散性を有するので、通常の疎水性重合体の
フィルムには適さない用途にも用いることができる。
【0003】ポリビニルアルコールからフィルムを得る
方法としては、通常、該重合体を水に溶解して流延する
方法が採用される。この場合、得られたフィルムは高湿
条件下では柔軟であるが、低湿条件下では柔軟性が損な
われるという性質を有するので、低湿条件下でも柔軟性
を保つために流延成形時にグリセリン等の可塑剤を配合
することが行われる。
【0004】ポリビニルアルコールからフィルムやその
他の成形物を得る方法として、該重合体を含水状態で溶
融押出しする方法も知られている。この場合も、得られ
る成形物の柔軟性を保つために可塑剤を併用することが
多い。
【0005】ポリビニルアルコールを実質的に無水の条
件下で溶融押出しすることも試みられてはいるが、ポリ
ビニルアルコールは軟化点が高い上、その軟化点が熱分
解温度に近いため、ポリビニルアルコール単独での溶融
押出しは困難である。そこで、ポリビニルアルコールを
溶融成形する際には、グリセリン等の可塑剤を多量に配
合して押出成形に供することが行われる。
【0006】なお、ポリビニルアルコールの射出成形は
一般的には行われていない。
【0007】〈オキシアルキレン基含有ポリビニルアル
コール〉 ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルを重合した後、ケ
ン化することにより製造されるが、重合に際しコモノマ
ーを併用することによって「共重合変性」ポリビニルア
ルコールを得ることができる。また、ポリビニルアルコ
ールのOH基に他の化合物を反応させることにより、ポ
リビニルアルコールを「後変性」することもできる。こ
れらの変性ポリビニルアルコールは、上述の如きポリビ
ニルアルコールの性質を本質的には有しながらも、導入
した変性基に基く性質が付加される。
【0008】このような変性ポリビニルアルコールの一
つとして、オキシアルキレン単位を導入したビニルアル
コール系重合体が知られており、たとえば次のような種
々の内外国出願がなされている。
【0009】たとえば、米国特許第1971662号明
細書、同2844570号明細書、同2990398号
明細書には、ポリビニルアルコールにエチレンオキサイ
ドを付加反応させたオキシエチレン基含有ポリビニルア
ルコールが示されている。
【0010】米国特許第3033841号明細書、同4
369281号明細書には、ポリアルキレングリコール
共存下に酢酸ビニルをグラフト重合させた重合物をケン
化したオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコールが
示されている。
【0011】米国特許第4618648号明細書、同第
4675360号明細書には、ビニルアルコールとポリ
(アルキレンオキシ)アクリレートとの共重合体が示さ
れており、この共重合体は射出成形、押出成形が可能
で、得られた成形物は水溶性と柔軟性を有することも示
されている。
【0012】特開昭59−1655408号公報には、
オキシアルキレン基を含有する不飽和単量体と酢酸ビニ
ルとの共重合体をケン化した変性ポリビニルアルコール
が示されている。該公報には用途として多種のものが列
挙されており、用途の一例として成形物もあげられてい
るが、その成形方法については開示がない。
【0013】特開平1−158016号公報には、オキ
シアルキレン基含有ビニルアルコール系重合体フィルム
からなる耐水性柔軟フィルムが示されている。該公報に
は、「製膜は、該重合体の水溶液を流延する方法、含水
条件下に加熱押出する方法、溶融押出する方法などが採
用される。」としてあるが、実施例は全て流延法にかか
るものであり、溶融押出する方法については(含水条件
下に加熱押出する方法についても)、この一言の記載が
あるのみである。
【0014】本出願人の出願にかかる特開平3−203
932号公報には、オキシアルキレン基含有ビニルアル
コール共重合体を実質的に無水の条件下で溶融成形する
方法が示されている。該公報には、実質的に可塑剤を用
いないで成形すること、成形方法としては押出成形法や
射出成形法が採用できることが記載されている。
【0015】〈超低重合度ポリビニルアルコール〉 ポリビニルアルコールを極端に低重合度化することも知
られている。たとえば特開昭63−278911号公報
には、特定の連鎖移動定数を持つ溶媒中で酢酸ビニルモ
ノマーを逐次仕込みしながら重合した後、ケン化するこ
とにより、超低分子量ポリビニルアルコールを製造する
方法が示されている。得られるポリビニルアルコールの
数平均重合度は300以下、好ましくは100以下、殊
に70以下である。同公報には、この超低分子量ポリビ
ニルアルコールの用途の一つとして熱可塑性樹脂の改質
剤があげられているが(4頁左上欄5〜10行)、それ
以上の説明は見当らない。
【0016】特開昭57−28121号公報には、酢酸
ビニルをメタノール中で回分式溶液重合法により重合さ
せるに際し、連鎖移動剤としてのメルカプタンを重合開
始前に特定量重合系に加え、重合開始後はメルカプタン
を連続的に重合系に供給しながら酢酸ビニルを重合させ
ることにより低重合度ポリ酢酸ビニルを製造する方法、
さらにはこれを常法によりケン化することにより低重合
度ポリビニルアルコールを製造する方法が示されてい
る。生成物の重合度は、実施例によればポリ酢酸ビニル
の段階で20〜600弱である。同公報には、この方法
で得られる低重合度ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルア
ルコールは、塗料、繊維加工、乳化重合、紙加工、その
他に有用であるとしている。
【0017】特公昭52−17874号公報(特開昭5
1−87594号公報)には、特定の連鎖移動定数をも
つアルコール中で酢酸ビニルを重合して得られる平均重
合度200以下のポリ酢酸ビニルの重合液から溶剤を追
い出し、溶融状態のポリ酢酸ビニルを無水エタノールと
混合溶解させ、このメタノール溶液にアルカリを加えて
脱酢酸化を行う超低重合度ポリビニルアルコールの製造
方法が示されている。同公報には、この超低重合度ポリ
ビニルアルコールは、特殊な接着剤、糊剤、熱可塑性ポ
リマーのブレンド剤、乳化分散剤、フィルム、可塑剤な
どの用途が考えられるとの記載もある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ビニルアルコール系重
合体の成形にあたり多量の水を使用する流延法は、製膜
速度が遅いこと、乾燥工程および乾燥装置を要するこ
と、成形物の形状がフィルムに限られることなどの点で
工業的には不利である。含水状態で溶融押出する方法
も、成形後の乾燥に長時間を要するという不利がある。
そこで、実質的に水を用いることなく押出成形や射出成
形により成形する方法が望まれる。
【0019】ビニルアルコール系重合体に多量の可塑剤
を配合して溶融押出しする方法は、成形時に発煙を生ず
ること、配合した可塑剤が経時的に成形物表面にブリー
ドアウトしてべたつきを生じたり、柔軟性が変化したり
すること、他の基材とラミネートするときに接着不良の
原因となることなどの問題点がある。
【0020】この点、オキシアルキレン単位を導入した
ビニルアルコール系重合体は、特開平3−203932
号公報に示したように特定の組成のものを選択使用すれ
ば、それ自体が柔軟性を有するので、可塑剤の配合を省
略することができるという利点があるが、溶融成形性を
さらに改善することが望まれること、寒冷地における使
用では柔軟性や低温脆化防止性が不足することがあるこ
となどの解決課題を有している。
【0021】本発明は、このような背景下において、水
や多価アルコール等の通常の可塑剤を用いなくても円滑
な成形加工が可能で、しかも低温脆化防止性、柔軟性、
衝撃強度等の性質およびそれらの性質の経時安定性がす
ぐれたビニルアルコール系樹脂成形物を提供することを
目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明のビニルアルコー
ル系樹脂成形物は、酢酸ビニルとポリオキシアルキレン
基含有モノマーとの共重合体のケン化物である重量平均
重合度300〜2000のオキシアルキレン基含有ビニ
ルアルコール系ポリマー(A) と、重量平均重合度30〜
200でかつケン化度60モル%以上のポリビニルアル
コールオリゴマー(B) との組成物からなり、かつオキシ
アルキレン基含有ビニルアルコール系ポリマー(A) と
リビニルアルコールオリゴマー(B) との配合割合が重量
比で99:1〜20:80であることを特徴とするもの
である。
【0023】以下本発明を詳細に説明する。
【0024】〈オキシアルキレン基含有ビニルアルコー
ル系ポリマー(A) 〉オキシアルキレン基含有 ビニルアルコール系ポリマー
(A) としては、酢酸ビニルとポリオキシアルキレン基含
有モノマーとの共重合体のケン化物のうち、重量平均重
合度が300〜2000のものが用いられる。酢酸ビニ
ル単位のケン化度は50モル%以上、殊に75モル%以
上であることが望ましい。
【0025】このようなオキシアルキレン基含有ビニル
アルコール系ポリマー(A) は、典型的には、酢酸ビニル
と、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリ
オキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオ
キシアルキレン(メタ)アリルエーテルとを共重合し、
ついでケン化することにより得られる。
【0026】この場合、ポリオキシアルキレン(メタ)
アリルエーテルの共重合割合は 0.1〜20モル%(殊に
0.1〜5モル%)、ポリオキシアルキレン(メタ)アリ
ルエーテルにおけるポリオキシアルキレンの付加モル数
は1〜300(殊に3〜50)、オキシアルキレン基含
有ビニルアルコール系ポリマー全体に占めるオキシアル
キレン単位の割合が3〜40重量%であることが好まし
い。このことは、共重合体におけるオキシアルキレン単
位の局在−非局在の程度およびオキシアルキレン単位の
長さに最適範囲があることを示している。
【0027】このオキシアルキレン基含有ビニルアルコ
ール系ポリマーにおける酢酸ビニル単位のケン化度は、
50モル%以上、殊に80モル%以上であることが好ま
しい。
【0028】なお、共重合成分としてポリオキシアル
キレン(メタ)アリルエーテル以外の成分を名目量程度
あれば含有していてもよい。
【0029】このような共重合組成において、オキシア
ルキレン基含有ビニルアルコール系ポリマーにあって
は、ビニルアルコール系ポリマーの本来有する親水性、
保香性、耐油性、帯電防止性、酸素遮断性、保温性等の
性質が保たれ、かつ溶融成形性、機械的性質が保たれ
る。
【0030】上記のオキシアルキレン基含有ビニルアル
コール系ポリマーを得るときの重合方法としては通常溶
液重合法が採用され、場合により懸濁重合法、エマルジ
ョン重合法などを採用することもできる。ケン化反応と
しては、アルカリケン化法、酸ケン化法などが採用され
る。
【0031】オキシアルキレン基含有ビニルアルコール
系ポリマー(A) は、上記のほか、酢酸ビニルと、ポリオ
キシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピ
レン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メ
タ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)ア
クリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アク
リルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポ
リオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレ
ンビニルエーテルなどとを共重合し、ついでケン化する
ことによっても得ることができる。
【0032】〈ポリビニルアルコールオリゴマー(B) 〉ポリビニルアルコール オリゴマー(B) としては、重量平
均重合度30〜200(好ましくは40〜150)で、
かつケン化度60モル%以上(好ましくは80モル%以
上)のものが用いられる。
【0033】このようなポリビニルアルコールオリゴマ
ー(B) は、「従来の技術」の項で述べたような種々の方
法、すなわち、溶媒や連鎖移動剤の選択、溶媒・連鎖移
動剤・モノマーの仕込み方法などを工夫して重合を行
い、ついで重合物を常法によりケン化することにより得
られる。
【0034】ポリビニルアルコールオリゴマー(B) の重
量平均重合度が30未満のものは製造が容易ではない
上、成形物の強度、耐溶剤性などの物性を下げることと
なり、重量平均重合度が200を越えるものは、低温脆
化防止性、柔軟性などの改良効果が不足する。
【0035】〈配合割合〉 上記のオキシアルキレン基含有ビニルアルコール系ポリ
マー(A) とポリビニルアルコールオリゴマー(B) とは、
前者の重量平均重合度が後者のそれよりも2倍以上大き
いものを選択することが望ましい。
【0036】上記のオキシアルキレン基含有ビニルアル
コール系ポリマー(A) とポリビニルアルコールオリゴマ
ー(B) との配合割合は、重量比で99:1〜20:8
0、好ましくは95:5〜50:50の範囲から選択さ
れる。ポリビニルアルコールオリゴマー(B) の過少は低
温脆化防止性、柔軟性などの改良効果を欠き、ポリビニ
ルアルコールポリマー(A) の過少は成形物の機械的特性
を損なう。
【0037】〈成形方法〉 上記のビニルアルコール系樹脂組成物は、水や多価アル
コール等の可塑剤を用いなくても円滑に溶融成形するこ
とができる。溶融成形に際しては、充填剤、着色剤、安
定剤をはじめ、種々の添加剤を配合することができる。
また本発明の趣旨を損なわない範囲で他のポリマーを配
合することもでき、あるいは逆に他のポリマーに上記の
ビニルアルコール系樹脂組成物を配合することもでき
る。
【0038】溶融成形法としては、射出成形法、押出成
形法、トランスファー成形法などがあげられる。なお押
出成形には、ブロー成形、インフレーション成形、共押
出成形、エクストルージョンコーティングなども含まれ
る。
【0039】射出条件としては、たとえば、シリンダー
温度150〜250℃程度、金型温度30〜100℃程
度、射出圧力500〜2000kg/cm2程度の条件が採用
される。押出成形条件としては、たとえば、ダイ温度を
150〜250℃程度に設定し、スクリュー圧縮部温度
を吐出部温度より5〜30℃高い温度に設定して行うこ
とが望ましい。
【0040】
【作用】上記樹脂組成物を用いれば、水や多価アルコー
ル等の通常の可塑剤を用いなくても円滑な成形加工が可
能となり、しかも低温脆化防止性、柔軟性、衝撃強度等
の性質およびそれらの性質の経時安定性がすぐれたビニ
ルアルコール系樹脂成形物を得ることができる。得られ
た成形物は、水溶性を有する上、ビニルアルコール単位
に基く保香性、耐油性、帯電防止性、酸素遮断性、保温
性などの性質も保有している。なお、成形時に架橋剤を
配合したり、得られた成形物を熱処理や架橋剤処理に供
すれば、成形物を耐水化することもできる。
【0041】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。
【0042】〈成形物の製造〉 実施例1 オキシエチレンの付加モル数が平均8のポリオキシエチ
レンモノアリルエーテルと酢酸ビニルとをメタノール中
でアゾビスイソブチロニトリルの存在下に共重合し、つ
いで残存モノマーを追い出した後、水酸化ナトリウムの
メタノール溶液を加えてケン化した。ケン化反応により
生じたスラリーから共重合体をろ別し、洗浄、乾燥し
て、オキシアルキレン基含有ビニルアルコール系ポリマ
ー(A) の一例としての酢酸ビニル−ポリオキシエチレン
モノアリルエーテル共重合体ケン化物を得た。
【0043】このポリマーの重量平均重合度は780、
ポリオキシエチレンモノアリルエーテル単位の共重合割
合は 1.5モル%、ポリマー全体に占めるオキシアルキレ
ン単位の割合は12重量%、酢酸ビニル成分のケン化度
は95モル%であった。またこのポリマーの4重量%濃
度の水溶液の粘度は 7.0cps/20℃であった。
【0044】これとは別に、80℃における連鎖移動定
数が30×10-4のイソプロパノール1070g、酢酸
ビニルモノマー1000gおよびアゾビスイソブチロニ
トリル5gを反応容器に仕込み、温度80℃にて重合反
応を開始した。3分経過後から300g/hrの割合で 9.5
時間酢酸ビニルを滴下仕込みしながら重合を行った。系
の溶媒/モノマー比は全重合期間を通じてほぼ1.07の一
定値に保たれた。最終重合率は78%、ポリ酢酸ビニル
の収率(全仕込みモノマー成分に対する生成ポリマーの
割合)は61%であった。重合反応物からイソプロパノ
ールを除去した後、メタノール溶液となし、ついで常法
によりアルカリケン化した。
【0045】これにより、ポリビニルアルコールオリゴ
マー(B) を得た。このオリゴマーの重量平均重合度は6
0、酢酸ビニル単位のケン化度は98モル%であった。
【0046】上記で得たオキシアルキレン基含有ビニル
アルコール系ポリマー(A) 90重量部とポリビニルアル
コールオリゴマー(B) 10重量部とをヘンシェルミキサ
ーで予備混合した後、一旦押出機に供給して温度210
℃で押し出すと共にペレット化した。ついでこのペレッ
トを40mm径のブロー成形機に供給して下記の条件でブ
ロー成形し、内容量2リットルの丸型ボトルを得た。な
おボトルキャップについては別途射出成形機により成形
した。
【0047】ブロー成形条件 ・成形機 株式会社タハラ製のブロー成形機TPF−403 スクリュー径:40mm、L/D=24 ・シリンダーおよびダイ(ヘッド)の温度条件 C1 180℃、C2 190℃、C3 210℃、C4 210℃、D
(H) 200℃ ・スクリュー回転数 30 rpm ・モーター負荷 20アンペア ・押出量 9.1 kg/hr ・パリソン下降時間 20秒 ・成形品の重量と肉厚 重量:110g、肉厚:約 0.7mm ・成形サイクル 型締め 約12秒 エアブロー 約15秒 トータル 約50秒
【0048】実施例1における配合組成をまとめると次
のようになる。 ポリマー(A) 重量平均重合度:780 ポリオキシエチレンモノアリルエーテル単位の共重合割
合: 1.5モル% ポリマー全体に占めるオキシアルキレン単位の割合:1
2重量% 酢酸ビニル成分のケン化度:95モル% 4重量%濃度の水溶液の粘度: 7.0cps/20℃ オリゴマー(B) 重量平均重合度:60 酢酸ビニル成分のケン化度:98モル% ポリマー(A) /オリゴマー(B) の配合割合:重量比で9
0/10
【0049】実施例2〜 オキシアルキレン基含有 ビニルアルコール系ポリマー
(A) およびポリビニルアルコールオリゴマー(B) 、さら
にはその配合割合を下記のように設定したほかは実施例
1を繰り返した。
【0050】(実施例2) ポリマー(A) 実施例1と同じ オリゴマー(B) 実施例1と同じ ポリマー(A) /オリゴマー(B) の配合割合:重量比で7
5/25
【0051】(実施例3) ポリマー(A) 重量平均重合度:820 ポリオキシエチレンモノアリルエーテル単位の共重合割
合: 1.7モル% ポリマー全体に占めるオキシアルキレン単位の割合:1
3.6重量% 酢酸ビニル成分のケン化度:96モル% 4重量%濃度の水溶液の粘度: 7.4cps/20℃ オリゴマー(B) 重量平均重合度:80 酢酸ビニル成分のケン化度:99モル% ポリマー(A) /オリゴマー(B) の配合割合:重量比で8
0/20
【0052】(実施例4) ポリマー(A) 実施例3と同じ オリゴマー(B) 実施例3と同じ ポリマー(A) /オリゴマー(B) の配合割合:重量比で6
5/35
【0053】(実施例5) ポリマー(A) 重量平均重合度:750 ポリオキシエチレンモノアリルエーテル単位の共重合割
合: 1.2モル% ポリマー全体に占めるオキシアルキレン単位の割合:
9.6重量% 酢酸ビニル成分のケン化度:92モル% 4重量%濃度の水溶液の粘度: 6.8cps/20℃ オリゴマー(B) 重量平均重合度:120 酢酸ビニル成分のケン化度:88モル% ポリマー(A) /オリゴマー(B) の配合割合:重量比で8
0/20
【0054】比較例1〜3 オキシアルキレン基含有 ビニルアルコール系ポリマー
(A) のみを用い、必要に応じて可塑剤を配合したほかは
実施例1を繰り返した。
【0055】(比較例1) ポリマー(A) 重量平均重合度:790 ポリオキシエチレンモノアリルエーテル単位の共重合割
合: 1.5モル% ポリマー全体に占めるオキシアルキレン単位の割合:1
2重量% 酢酸ビニル成分のケン化度:95モル% 4重量%濃度の水溶液の粘度: 7.1cps/20℃ 可塑剤 グリセリンを使用 ポリマー(A) /可塑剤の配合割合:重量比で90/10
【0056】(比較例2) ポリマー(A) 比較例1と同じ 可塑剤 分子量2000のポリエチレングリコールを使用 ポリマー(A) /可塑剤の配合割合:重量比で80/20
【0057】(比較例3) ポリマー(A) 重量平均重合度:700 ポリオキシエチレンモノアリルエーテル単位の共重合割
合: 1.5モル% ポリマー全体に占めるオキシアルキレン単位の割合:1
2重量% 酢酸ビニル成分のケン化度:95モル% 4重量%濃度の水溶液の粘度: 6.3cps/20℃ 可塑剤 使用せず
【0058】〈試験方法および評価結果〉 上記で得たブロー成形ボトルにつき、下記のようにして
成形性および物性を評価した。結果を後述の表1に示
す。
【0059】(耐衝撃性) ボトル中に不凍性の機械用潤滑オイル(凝固点:約−2
0℃)を100%満たし、閉栓後、次の条件下で1週間
放置した。 (1) 20℃、50%RH(環境試験室中に放置) (2) −10℃(冷凍庫中に放置)
【0060】これらのオイル入りのボトル(サンプル数
は各10個)を2メートルの高さから木製の床に落下さ
せ、亀裂の有無を判定した。判定基準は次の通りであ
る。 ◎:亀裂の入ったボトル数 2個以下 ○:亀裂の入ったボトル数 3〜5個 ×:亀裂の入ったボトル数 6〜9個 XX:亀裂の入ったボトル数 10個
【0061】また−10℃に1ケ月放置後のボトルにつ
き、落下テストを同条件下で行い、前記(1) でのテスト
の場合よりも、亀裂の入ったボトルの数がどの程度増加
するかを求めた。判定基準は次の通りである。 ◎:亀裂の入ったボトルの増加数 0〜1個 ○:亀裂の入ったボトルの増加数 2〜3個 ×:亀裂の入ったボトルの増加数 4個以上
【0062】(衝撃強度低下率) ブロー成形に供する前のペレットを射出成形機に供給
し、 溶融温度:200〜230℃ 射出圧力:1次 1000kg/cm2 2次 800kg/cm2 1サイクル:28秒 の条件で衝撃強度測定用のテストピースを成形し、各物
性を測定した。測定条件および低下率の算式は次の通り
である。
【0063】測定条件 JIS K 7110(アイゾット衝撃試験方法) 20℃、65%RH ハンマーの持ち上げ角:150゜ 衝撃速度: 3.5m/sec 試験片:2号テストピース(四角柱状) 低下率の算式 低下率(%)=(もとの衝撃強度−1ケ月後の衝撃強度)/もとの衝撃強度
【0064】(発煙の有無) 原料ペレット作製時にダイスからの発煙の有無を目視に
より観察した。
【0065】(ブリードアウト) ボトルを20℃、50%RHの条件下で1週間放置し、
表面の状態を目視により観察した。
【0066】
【表1】 耐 衝 撃 性 1ケ月後の衝 成形性 ブリード 20℃ -10℃ -10℃/1ケ月後 撃強度低下率 発 煙 アウト 実施例1 ◎ ○ ○ 7 % 無 無 実施例2 ◎ ◎ ◎ 3 % 無 無 実施例3 ◎ ○ ○ 4 % 無 無 実施例4 ◎ ◎ ◎ 5 % 無 無実施例5 ◎ ○ ○ 6 % 無 無 比較例1 ○ × × 40 % 有 有 比較例2 ◎ × × 37 % 有 有比較例3 ◎ XX × 78 % 無 無
【0067】実施例6〜8 ビニルアルコール系ポリマー(A) およびビニルアルコー
ル系オリゴマー(B) 、さらにはその配合割合を下記のよ
うに設定したほかは実施例1を繰り返した。
【0068】(実施例6) ポリマー(A) 重量平均重合度:350 ポリオキシエチレンアクリルアミド単位の共重合割合:
1.3モル% 酢酸ビニル成分のケン化度:94モル% 4重量%濃度の水溶液の粘度: 3.2cps/20℃ オリゴマー(B) 重量平均重合度:110 酢酸ビニル成分のケン化度:97モル% ポリマー(A) /オリゴマー(B) の配合割合:重量比で9
7/3
【0069】(実施例7) ポリマー(A) 重量平均重合度:520 ポリオキシプロピレンメタクリルアミド単位の共重合割
合: 1.3モル% 酢酸ビニル成分のケン化度:90モル% 4重量%濃度の水溶液の粘度: 4.7cps/20℃ オリゴマー(B) 実施例6と同じ ポリマー(A) /オリゴマー(B) の配合割合:重量比で9
5/5
【0070】(実施例8) ポリマー(A) 重量平均重合度:1100 ポリオキシエチレンビニルエーテル単位の共重合割合:
1.0モル% 酢酸ビニル成分のケン化度:87モル% 4重量%濃度の水溶液の粘度: 9.8cps/20℃ オリゴマー(B) 重量平均重合度:120 酢酸ビニル成分のケン化度:83モル% ポリマー(A) /オリゴマー(B) の配合割合:重量比で6
5/35
【0071】得られたブロー成形ボトルにつき、実施例
1の場合と同様にして成形性および物性を評価した。結
果を表2に示す。
【0072】
【表2】 耐 衝 撃 性 1ケ月後の衝 成形性 ブリード 20℃ -10℃ -10℃/1ケ月後 撃強度低下率 発 煙 アウト 実施例6 ○ ○ ○ 9 % 無 無 実施例7 ◎ ○ ○ 8 % 無 無実施例8 ◎ ○ ◎ 6 % 無 無
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、水や多価アルコール等
の通常の可塑剤を用いなくても円滑な成形加工が可能で
ある。そして得られたビニルアルコール系樹脂成形物
は、低温脆化防止性、柔軟性、衝撃強度がすぐれてお
り、しかもこれらの性質の経時安定性もすぐれている。
【0074】またこの成形物は、親水性を有する上、ビ
ニルアルコール単位に基く保香性、耐油性、帯電防止
性、酸素遮断性、保温性などの性質も保有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/00 C08L 29/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酢酸ビニルとポリオキシアルキレン基含有
    モノマーとの共重合体のケン化物である重量平均重合度
    300〜2000のオキシアルキレン基含有ビニルアル
    コール系ポリマー(A) と、重量平均重合度30〜200
    でかつケン化度60モル%以上のポリビニルアルコール
    オリゴマー(B) との組成物からなり、かつオキシアルキ
    レン基含有ビニルアルコール系ポリマー(A) とポリビニ
    ルアルコールオリゴマー(B) との配合割合が重量比で9
    9:1〜20:80であるビニルアルコール系樹脂成形
    物。
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