JP4705255B2 - シードテープ用ポリビニルアルコール系フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シードテープ用途に用いるポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)系フィルムに関し、さらに詳しくは、水溶性に優れ、特にその時の溶解挙動に優れ、さらに土中での溶解性にも優れ、耐ブロッキング性にも優れたシードテープ用PVA系フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、PVAは、その水溶性を生かして、農薬や洗剤等の薬剤の包装(ユニット包装)用途、(水圧)転写用フィルム、ナプキン・紙おむつ等の生理用品、オストミーバッグ等の汚物処理用品、吸血シート等の医療用品、育苗シート・シードテープ・刺繍用基布等の一時的基材、などに用いられている。
中でも、シードテープは、土中に埋設された後、土中の水分によりテープ基材が溶解するという特殊な使い方をされるものである。
【0003】
すなわち、かかるシードテープとは、種子を一定粒数ずつ、一定間隔に封入したテープで、かかるテープを畑等の土の表面に並べてその上から土を被せることにより、一定量の種子を一定間隔に土中に埋める(蒔く)ことができ、その後は、土中の水分や浸透してきた雨水等によりテープ基材が溶解して、封入された種子が露出して土中で成長(発芽)するというものである。
かかるシードテープ用途においては、土中での水分により溶解することが重要で、一般の水中に投入(或いは放置)した場合よりも、水分量は少ないことも考えられ、より良好な水溶性が望まれるところである。
【0004】
PVAフィルムの水溶性の改善については、PVAそのものを変性したり或いはPVAのケン化度を下げたり、また、特開昭57−125240号公報に見られるように他の水溶性高分子を配合したりすることが試みられているが、得られるPVAフィルムの機械的強度、耐ブロッキング性等を考慮すれば、2種のPVAをブレンドすることが有用で、かかる方法として、本出願人も、特公昭43−1487号公報で、ケン化度97モル%以上の高ケン化PVAとケン化度75〜92モル%の低ケン化PVAと澱粉からなるPVA系フィルムを提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のPVA系フィルムは、当時としては良好な水溶性であって一般的な水溶性の条件は満足するものであったが、上記のようなシードテープ用途においては、改善の余地があった。
また、シードテープ等の用途においては、かかるテープをロール状で保管することが多く、長期間保存してもテープ同士がブッロキングしない耐ブロッキング性も望まれるところである。
すなわち、本発明の目的とするところは、より速く水に溶解し、またその溶解挙動もじわじわと徐々に溶解するのではなく、フィルムを水に漬けると同時に瞬時にフィルム自体が分散するような溶解挙動を示し、さらには土中のような水分量の少ない状態でも溶解性に優れ、耐ブロッキング性にも優れたPVA系フィルムを得ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は上記の如き現況に鑑み、2種のPVAのブレンドについて鋭意研究した結果、ケン化度が65モル%以上で75モル%未満のPVA(A)およびケン化度が75モル%以上のPVA(B)を含有してなり、かつPVA(A)とPVA(B)のケン化度の差が3モル%以上であるシードテープ用PVA系フィルムが、上記のような溶解挙動を示し、また、土中等の水分の少ない状態でも溶解性に優れ、耐ブロッキング性にも優れることを見いだして本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明で用いるPVA(A)は、ケン化度が65モル%以上で75モル%未満のPVAで、かかるPVAは公知の方法で製造することができる。
すなわち、ビニルエステル系化合物を重合して得られたビニルエステル系重合体をケン化して得られるものである。
【0008】
かかるビニルエステル系化合物としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が単独又は併用で用いられるが、実用上は酢酸ビニルが好適である。
【0009】
また、本発明においては、本発明の目的を阻害しない範囲において、他の単量体を共重合させることも可能で、かかる単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等を挙げることができる。
【0010】
重合(又は共重合)を行うに当たっては、特に制限はなく公知の重合方法が任意に用いられるが、普通メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合が実施される。勿論、乳化重合、懸濁重合も可能である。
また、重合反応は、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒を用いて行われ、反応温度は35℃〜沸点(更には40〜80℃、特には50〜80℃)程度の範囲から選択される。
【0011】
得られたビニルエステル系重合体をケン化するに当たっては、該重合体をアルコールに溶解してアルカリ触媒の存在下に行なわれる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。アルコール中の共重合体の濃度は20〜50重量%の範囲から選ばれる。
ケン化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることができる。かかる触媒の使用量はビニルエステルに対して1〜100ミリモル当量にすればよい。なお、場合によっては、酸触媒によりケン化することも可能である。
【0012】
PVA(A)は、上記の如き方法で製造することができるのであるが、かかるPVA(A)のケン化度は、65モル%以上で75モル%未満とすることが必要である。該ケン化度が、65モル%未満では、得られるフィルムの保存安定性が低下し、逆に75モル%以上では、溶解挙動に劣って本発明の目的を達成できない。
【0013】
該PVA(A)の20℃における4重量%粘度については特に限定されないが、3〜70mPa・s(更には3〜60mPa・s、特には3〜45mPa・s)が好ましく、かかる粘度が3mPa・s未満ではフィルムの機械強度が不足し、特にシードテープ用途に供した時には、フィルムからテープへのスリット工程或いは種子を封入する際に、前者ではフィルムが伸び、後者では種子の間隔を一定に保てない等の不都合が生じる恐れがあり、逆に該粘度が70mPa・sを越えるとフィルム製膜時の水溶液粘度が高くなり、生産性が低下するなど実用上好ましくない。
【0014】
本発明で用いるPVA(B)も上記のPVA(A)と同様に製造することが可能であるが、ケン化度を75モル%以上とする必要がある。
かかるケン化度が、75モル%未満ではフィルムの機械的強度が極端に低下して本発明目的を達成することができない。
該PVA(B)の20℃における4重量%粘度についても特に限定されないが、上記のPVA(A)と同様の理由で10〜70mPa・s(更には15〜70mPa・s、特には20〜60mPa・s)のものを用いることが好ましく、さらには、PVA(A)よりも該粘度が大きいものを用いることが好ましい。
【0015】
本発明のPVA系フィルムは、上記の如きPVA(A)およびPVA(B)を含有してなるものであるが、含有されるPVA(A)とPVA(B)のケン化度の差を3モル%以上(更には3〜20モル%、特には5〜18モル%)にする必要があり、かかるケン化度の差が3モル%未満では、溶解挙動に劣って本発明目的を達成することができない。
【0016】
また、PVA(A)とPVA(B)の含有割合については、特に限定されないが、その含有割合(A/B)を20/80〜80/20(更には30/70〜70/30、特には40/60〜60/40)(重量比)とすることが好ましく、かかる含有割合が、20/80未満或いは80/20を越えると溶解挙動が低下する傾向にあり好ましくない。
【0017】
本発明のPVA系フィルムは、上記の如きPVA(A)およびPVA(B)以外に、他の第三成分を配合することも可能で、フィルム溶解挙動と機械的強度の両立を考慮すれば、平均粒子径が2〜90μmの充填材(C)を含有させることが好ましい。
かかる充填材(C)の平均粒子径が2μm未満では、溶解挙動の改善効果が発現しにくく、逆に90μmを越えると機械的強度が低下する傾向にあり好ましくない。
【0018】
かかる充填材(C)としては、かかる平均粒子径を満足するものであれば特に限定されないが、本発明の目的を考慮すれば、澱粉や無機粉末が好ましい。
【0019】
かかる澱粉としては、生澱粉(トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、キッサバ澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、モロコシ澱粉、コメ澱粉、マメ澱粉、クズ澱粉、ワラビ澱粉、ハス澱粉、ヒシ澱粉等);物理的変性澱粉(α−澱粉、分別アミロース、湿熱処理澱粉等);酵素変性澱粉(加水分解デキストリン、酵素分解デキストリン、アミロース等);化学分解変性澱粉(酸処理澱粉、次亜塩素酸酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉等);化学変性澱粉誘導体(エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、架橋澱粉等)などが用いられる。なお、化学変性澱粉誘導体のうちエステル化澱粉としては、酢酸エステル化澱粉、コハク酸エステル化澱粉、硝酸エステル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、キサントゲン酸エステル化澱粉、アセト酢酸エステル化澱粉など、エーテル化澱粉としては、アリルエーテル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、カルボキシメチルエーテル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、ヒドロキシプロピルエーテル化澱粉など、カチオン化澱粉としては、澱粉と2−ジエチルアミノエチルクロライドの反応物、澱粉と2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの反応物など、架橋澱粉としては、ホルムアルデヒド架橋澱粉、エピクロルヒドリン架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉などが挙げられ、中でも入手の容易さや経済性点から、生澱粉が好適に用いられる。
【0020】
また、無機粉体としては、例えばタルク、クレー、シリカ、ケイ藻土、カオリン、雲母、アスベスト、石膏、グラファイト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ウイスカー状炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドーソナイト、ドロマイト、チタン酸カリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、加工鉱物繊維、炭素繊維、炭素中空球、ベントナイト、モンモリロナイト、銅粉などが挙げられる。
【0021】
かかる充填材(C)の含有割合は、特に限定はされないが、PVA(A)とPVA(B)の合計量100重量部に対して10〜40重量部(更には10〜30重量部)であることが好ましく、かかる含有割合が10重量部未満では添加効果に乏しく、逆に40重量部を越えるとフィルム製膜工程での成形性が悪く、また得られるフィルムの機械的強度が低下して好ましくない。
【0022】
本発明のPVA系フィルムは、上記のPVA(A)及びPVA(B)、或いはPVA(A)とPVA(B)と充填材(C)を含有するもので、上記の如き(A)及び(B)、或いは(A)〜(C)のブレンド物を製膜(フィルム化)すればよく、かかる製膜に当たっては、特に限定されることなく公知の方法を採用することができる。
【0023】
例えば、流延法について、より具体的に説明すれば、該ブレンド物(粉末)に水を加えて固形分濃度が10〜50重量%(更には15〜35重量%)のブレンド物の水溶液を得て、必要に応じて、剥離剤(ソルビタンエステルエーテル等)、可塑剤(グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、ハジキ防止剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等)を、ブレンド物100重量部に対して、それぞれ0.1〜10重量部(更には0.3〜5重量部)、1〜40重量部(更には3〜35重量部)、0.1〜10重量部(更には0.3〜5重量部)配合した後、表面温度が90〜100℃程度の金属ロールや金属ドラムの表面に流延乾燥させて本発明のPVA系フィルムを得ることができる。
本発明においては、特に、低温でのフィルムの可とう性やフィルム製造時の作業性等を考慮すれば、可塑剤を配合することが好ましい。
ここで、流延法について説明したが、本発明ではこれに限定されるものではない。
【0024】
かくして本発明のPVA系フィルムが得られるのであるが、かかるフィルムの厚みは、5〜20μm(更には10〜20μm、特には12〜17μm)が好ましく、かかる厚みが5μm未満ではフィルムの機械的強度が低下し、逆に20μmを越えるとフィルムの溶解性が低下すると共に製膜時の効率が低下して好ましくない。
【0025】
また、該フィルムの表面はプレーンであってもよいが、該フィルムの片面或いは両面にエンボス模様や梨地模様等を施しておいても良い。
なお、本発明のPVA系フィルムには、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の水溶性高分子(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、防錆剤、着色剤などを含有させることも可能である。
【0026】
かくして得られたPVA系フィルムは、水溶性に優れ、その時の溶解挙動にも優れ、少量の水に対しても良好な水溶性を示し、保存安定性にも優れ、各種用途の水溶性フィルムとして有用であるが、本発明のPVA系フィルムは、特にシードテープ用途に有用で、かかる用途について説明する。
【0027】
本発明のPVA系フィルムをシードテープに用いる一例を挙げれば、該フィルムを一定幅(通常は1〜5cm程度)にスリットして、テープ状にした後、該テープを(長手方向に)半分の幅に折って、できた谷間部分に一定間隔に種子を置いていき、その後フィルム(テープ)の間に種子がテープに封入されるように半分に折ったテープを捩ってシードテープとするのである。
また、上記において、テープの強度向上や加工性の向上のために上記テープに生分解性の糸を絡ませることもある。
【0028】
かくして得られたシードテープは、土中に埋設され、土中の水分等により、テープ基材が溶解(崩壊)して、テープ中の封入(テープに挟持)されていた種子が土中に露出して成長(発芽)していくのである。
【0029】
本発明のPVA系フィルムは、上記のシードテープ用途に有用であるが、これ以外にも、農薬や洗剤等の薬剤の包装(ユニット包装)用途、(水圧)転写用フィルム、ナプキン・紙おむつ等の生理用品、オストミーバッグ等の汚物処理用品、吸血シート等の医療用品、育苗シート・刺繍用基布等の一時的基材、などの用途にも利用することができる。
【0030】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
尚、例中「%」、「部」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
【0031】
実施例1
ケン化度72モル%、4%粘度7mPa・s(20℃)のPVA(Α)60部とケン化度78モル%、4%粘度48mPa・s(20℃)のPVA(Β)40部、及びトウモロコシ澱粉(平均粒子径70μm)(C)25部に、可塑剤としてポリエチレングリコール5部、水740部を混合して固形分15%のPVA水溶液を得た。
【0032】
得られたPVA水溶液を、表面温度が約20℃の金属ロールの表面に流延させて、その後105℃で8分間乾燥させて、厚さ15μmのPVA系フィルムを得た。
得られたPVA系フィルムについて、以下の評価を行った。
【0033】
(溶解挙動)
得られたPVA系フィルム(幅1.5cm×長さ5cm)を、20℃の水に浮かべて、該フィルムの溶解挙動を目視観察して、以下のように評価した。
○・・・瞬時に弾けるように分散した
△・・・膨潤して10秒以内に分散した
×・・・膨潤するが10秒を経過しても分散しない
【0034】
(土中溶解性)
土中水分での溶解性を想定して、得られたPVA系フィルム(幅1.5cm×長さ5cm)の上下をろ紙(NO.2)で挟んで、ろ紙表面から霧吹きで、ろ紙の全重量に対して30%になるように水(20℃)を散布後、1時間放置して、表面のろ紙を取り除いてろ紙に挟まれていたPVA系フィルムの状態を目視観察して、以下のように評価した。
○・・・フィルムが完全に溶解していた
△・・・フィルムの一部が溶解せずに残っていた
×・・・フィルムが殆ど溶解せずに残っていた
【0035】
(保存安定性)
得られたPVA系フィルムを10枚重ね合わせて、ダンベル社製の打ち抜き機を用いて10cm×10cmのサイズにカットし、表面が平らなガラス板上に設置し、さらに、その重ねたフィルムの上にガラス板(約500g)を載せ、さらにそのガラス板上に2kgの重りを載せて、40℃×60%RH雰囲気下に72時間放置して促進養生を行ったのち、重ね合わせたフィルムを引き剥がして、その時の状況で以下のように評価した。
○・・・スムースに引き剥がすことができた
×・・・スムースに引き剥がすことができなかった
【0036】
実施例2
実施例1において、PVA(A)として、ケン化度73モル%、4%粘度6mPa・s(20℃)のPVAを用いた以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0037】
実施例3
実施例1において、PVA(B)として、ケン化度87モル%、4%粘度30mPa・s(20℃)のPVAを用いた以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0038】
実施例4
実施例1において、PVA(B)として、ケン化度88モル%、4%粘度43mPa・s(20℃)のPVAを用いた以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0039】
実施例5
実施例1において、PVA(A)およびPVA(B)の含有量をそれぞれ40部および60部とした以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0040】
実施例6
実施例1において、トウモロコシ澱粉(C)の含有量を30部とした以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0041】
実施例7
実施例1において、トウモロコシ澱粉(C)に変えて、馬鈴薯澱粉(平均粒子系70μm)(C)を用いた以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0042】
実施例8
実施例1において、トウモロコシ澱粉(C)に変えて、タルク(平均粒子系11μm)[林化成社製『タルカンパウダー PK−C』](C)を用いて、含有量を20部とした以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0043】
実施例9
実施例1において、トウモロコシ澱粉(C)に変えて、シリカ(平均粒子系9μm)[日本シリカ社製『ニップシール LP』](C)を用いて、含有量を15部とした以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0044】
実施例10
実施例1において、流延時の金属ロールの回転速度(流延速度)を調整して、厚さ10μmのPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0045】
実施例11
実施例1において、ポリエチレングリコールを配合しなかった以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0046】
比較例1
実施例1において、PVA(A)として、ケン化度73モル%、4%粘度6mPa・s(20℃)のPVA、PVA(B)として、ケン化度75モル%、4%粘度22mPa・s(20℃)のPVAを用いた以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0047】
比較例2
実施例1において、PVA(A)に変えて、ケン化度60モル%、4%粘度8mPa・s(20℃)のPVAを用いた以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
【0048】
比較例3
実施例1において、PVA(A)に変えて、ケン化度88モル%、4%粘度43mPa・s(20℃)のPVAを用いた以外は同様に行ってPVA系フィルムを得て、同様に評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0049】
【0050】
【発明の効果】
本発明のPVA系フィルムは、特定の2種のPVAをブレンドしているため、水溶性に優れ、特にその時に溶解挙動に優れ、また、土中での溶解性にも優れ、耐ブロッキング性にも優れるもので、シードテープ用途に有用である。
Claims (7)
- ケン化度が65モル%以上で75モル%未満のポリビニルアルコール(A)およびケン化度が75モル%以上のポリビニルアルコール(B)を含有してなり、かつポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)のケン化度の差が3モル%以上であることを特徴とするシードテープ用ポリビニルアルコール系フィルム。
- ポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)の含有割合(A/B)が20/80〜80/20(重量比)であることを特徴とする請求項1記載のシードテープ用ポリビニルアルコール系フィルム。
- さらに、平均粒子径が2〜90μmの充填材(C)を含有してなることを特徴とする請求項1または2記載のシードテープ用ポリビニルアルコール系フィルム。
- 平均粒子径が2〜90μmの充填材(C)が、澱粉及び/又は無機粉体であることを特徴とする請求項3記載のシードテープ用ポリビニルアルコール系フィルム。
- 平均粒子径が2〜90μmの充填材(C)の含有割合がポリビニルアルコール(A)とポリビニルアルコール(B)の合計量100重量部に対して10〜40重量部であることを特徴とする請求項3または4記載のシードテープ用ポリビニルアルコール系フィルム。
- さらに、可塑剤を含有してなることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のシードテープ用ポリビニルアルコール系フィルム。
- 膜厚が5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のシードテープ用ポリビニルアルコール系フィルム。
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JPH06145441A (ja) * | 1992-10-30 | 1994-05-24 | Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The | エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂組成物 |
JPH09324096A (ja) * | 1996-06-05 | 1997-12-16 | Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd | 水溶性フィルム |
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