JP6168808B2 - ポリビニルアルコール系樹脂組成物を用いたフィルム、およびその樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
特開2002−275339号公報には、ケン化度が65モル%以上75モル%未満のPVAと、ケン化度75モル%以上のPVAを含有してなり、両PVAのケン化度の差が3モル%以上であるPVA系フィルムが開示されている。また、この特許文献には、必要に応じて、可塑剤として多価アルコール化合物を組成物の溶液に配合して、流延法によりフィルムを製造しても良いことが記載されている(段落〔0023〕)。
しかしながら、この特許文献のフィルムは、PVA系樹脂および可塑剤を含有する水溶液から流延法によって製造されるので、可塑剤はフィルム全体に存在し、可塑剤が島成分にのみ存在する本発明と異なる。
しかしながら、この特許文献のフィルムは光学用フィルムであることから、二種のPVA系樹脂は相溶している必要があり、そのケン化度差が6モル%以下のものが好ましいとの記載もある(請求項7、段落〔0033〕)。したがって、この特許文献から海島構造は示唆されない。
本発明に用いられるPVA系樹脂(A)は、ケン化度が95モル%以上であり、好ましくは96〜99.9モル%、特に好ましくは98〜99.9モル%である。ケン化度が低すぎると、ガスバリア性が低下したり、成形中に酢酸臭が発生する傾向があり、高すぎると、生産性が低下する傾向がある。なお、ケン化度はJIS K 6726に準拠して測定することができる。
なかでも、共重合反応性および工業的な取り扱い性に優れるという点から、(i)の方法において、一般式(2)で表わされる化合物として3,4−ジアシロキシ−1−ブテンを用いることが好ましく、特に3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。
なお、ビニルエステル系モノマーとして酢酸ビニルを用い、これと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合させた際の各モノマーの反応性比は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.701、であり、これは(ii)の方法で用いられる一般式(3)で表される化合物の一例であるビニルエチレンカーボネートの場合の、r(酢酸ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4、と比較して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが酢酸ビニルとの共重合反応性に優れることを示すものである。
また、試薬レベルではアクロス社の製品を市場から入手することができる。
よって、かかる点からも、(i)の方法によって得られた変性PVA系樹脂が本発明においては好適に用いられる。
また上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー、一般式(2)、(3)、(4)で示される化合物)の他に、樹脂物性に大幅な影響を及ぼさない範囲、具体的には10モル%以内であれば、共重合成分として、エチレンやプロピレン等のαーオレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類、およびそのアシル化物などの誘導体;イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル;アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、AMPS等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物、などが共重合されていてもよい。
本発明に用いられるPVA系樹脂(B)は、ケン化度が70〜90モル%であり、好ましくは75〜88モル%、特に好ましくは77〜85モル%である。ケン化度が低すぎると、熱安定性が低下する傾向があり、高すぎると、柔軟性が低下する傾向がある。
本発明に用いられる多価アルコール化合物(C)は、好ましくは2〜10000、特に好ましくは2〜1000、殊に好ましくは2〜400の価数を有する化合物である。価数が多すぎると、分子量が大きくなって相溶性が低下する傾向があり、少なすぎると、可塑化効果が小さくなる傾向がある。
本発明のPVA系樹脂組成物は、PVA系樹脂(A)の海相中に、PVA系樹脂(B)と多価アルコール化合物(C)を含有する島相が形成された海島構造を有する。
なお、かかるペレット形状への成形は公知の方法を用いることができるが、上述の押出機からストランド状に押出し、冷却後所定の長さに切断し、円柱状のペレットとする方法が効率的である。
本発明のPVA系樹脂組成物は、例えば、PVA系樹脂(B)と多価アルコール化合物(C)を溶融混練して混合物を調製し、得られた混合物とPVA系樹脂(A)とを溶融混練することにより製造することができる。
本発明のPVA系樹脂組成物は、成形性、特に溶融成形性に優れていることから、成形材料として有用である。溶融成形方法としては、押出成形、インフレーション成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、圧縮成形、カレンダー成形、など公知の成形法を用いることができる。
また、本発明のPVA系樹脂組成物から得られる成形品としては、フィルム、シート、パイプ、円板、リング、袋状物、ボトル状物、繊維状物など、多種多用の形状のものを挙げることができる。
特に、本発明のPVA系樹脂組成物は、PVA系樹脂を主体とするものであり、低湿度条件下では優れたガスバリア性が得られるものの、吸湿によってその特性は大きく変化する場合があるため、水蒸気バリア性が高い素材を表面に配した積層構造体としての使用が望ましい。
また、各種電気部品、自動車部品、工業用部品、レジャー用品、スポーツ用品、日用品、玩具、医療器具などに用いることも可能である。
PVA系樹脂(B)(ケン化度80モル%、平均重合度1000)とPEG(C)(平均重合度300)との重量比70/30の混合物を二軸押出機にて樹脂温度200℃で溶融混練し、ストランド状に押出し、空冷の後、切断してペレット状の混合物を得た。
表1に示す配合条件にて、実施例1と同様にして、実施例2、3および比較例1〜3のPVA系樹脂組成物のペレットを得た。
実施例1〜3および比較例1〜3のPVA系樹脂組成物ペレットを用いて、海島構造の観察、フィルムの作製、酸素透過度の測定、および柔軟性の評価を行なった。その結果を表2にまとめた。
得られたペレットを液体窒素で凍結して破断し、断面を走査電子顕微鏡で10000倍に拡大して観察した。実施例1〜3および比較例3では、直径約0.5μmの島成分が海成分中に均一に分散した海島構造が観察された。
得られたペレットを二軸押出機にて樹脂温度200℃で溶融混練し、Tダイキャスト法で厚さ30μmの単層フィルムを作製した。
得られたフィルムの23℃、65%RH条件下の酸素透過度を、酸素透過度試験機(MOCON社製「Oxtran2/20」)を用いて測定した。
得られたフィルムの柔軟性を、YSS式フィルムインパクトテスター(安田精機製作所社製、型式181)を用い、23℃、50%RHの雰囲気中で測定した耐衝撃強度(kgf・cm)にて評価した。
なお、試験径は80mm、衝撃球は直径12.7mmの鉄球を用い、荷重15kgf・cm、振り子の持ち上げ角度90°とした。
一方、PVA系樹脂(A)のみの比較例1、PVA系樹脂(A)とPVA系樹脂(B)のみの比較例3は柔軟性に欠けていた。PVA系樹脂(A)にPEGを配合した比較例2は酸素透過度が大きいので、ガスバリア性に乏しいものであり、また柔軟性にも欠けていた。
Claims (6)
- ケン化度が95モル%以上のポリビニルアルコール系樹脂(A)の海相中に、ケン化度が70〜90モル%のポリビニルアルコール系樹脂(B)と多価アルコール化合物(C)を含有する島相が形成された海島構造を有するポリビニルアルコール系樹脂組成物を含有する層を少なくとも有するフィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂(B)の含有量と多価アルコール化合物(C)の含有量との含有割合(B/C)が重量比で99/1〜60/40である請求項1記載のフィルム。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)の含有量と、ポリビニルアルコール系樹脂(B)および多価アルコール化合物(C)の総含有量との含有割合{A/(B+C)}が重量比で95/5〜55/45である請求項1または2記載のフィルム。
- 前記島相の直径が0.1〜10μmである請求項1〜3いずれか記載のフィルム。
- ケン化度が95モル%以上のポリビニルアルコール系樹脂(A)の海相中に、ケン化度が70〜90モル%のポリビニルアルコール系樹脂(B)と多価アルコール化合物(C)を含有する島相が形成された海島構造を有するポリビニルアルコール系樹脂組成物を製造する方法であって、
ポリビニルアルコール系樹脂(B)と多価アルコール化合物(C)との混合物を調製した後、前記混合物とポリビニルアルコール系樹脂(A)とを溶融混練する、ポリビニルアルコール系樹脂組成物の製造方法。
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