JP5979996B2 - 多層延伸フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする中間層の両側に熱可塑性樹脂層が積層された多層フィルムを延伸してなる多層延伸フィルムの製造法に関し、さらに詳しくは、ガスバリア性に優れた多層延伸フィルムが得られる製造方法に関する。
ポリビニルアルコール系樹脂は、強度、透明性、ガスバリア性等に優れていることから、フィルム状に成形して、各種包装材料、特に酸素による劣化の抑制が必要な食品、薬品類等の包装材料として広く用いられている。
しかしながら、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と略記する。)は、その特性が湿度による影響を大きく受け、例えば高湿度環境下では強度やガスバリア性が著しく低下することから、通常は、透湿性が低い熱可塑性樹脂からなる層がPVA系樹脂層の両側に積層された多層構造体として使用されている。
また、PVA系樹脂は、融点と分解点が近接しているため、溶融成形が実質的に困難であり、通常は、水溶液からの流延法によってフィルム状とし、各種包装材料として用いられていた。
PVA系樹脂においては、かかる成形法上の制約が用途拡大の障壁となっていたが、近年、未変性のPVAよりも融点が低いため熱溶融成形が可能であり、しかも、同等レベルのガスバリア性が得られるPVA系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂が提案され、かかるPVA系樹脂と他の熱可塑性樹脂の共押出成形等による多層構造体についても検討されている。(例えば、特許文献1参照。)
特開2006−312313号公報
プラスチック材料の成形品においては、延伸することで分子鎖が高度に配向し、各種特性が向上することが知られている。PVA系樹脂においても、延伸によって強度やガスバリア性の向上が期待できる。
かかる延伸は、通常、成形品を加熱した状態で行われ、その温度としては、分子鎖を動かし、配列させる必要性から、ゴム領域、すなわちガラス転移点(以下、Tgと略記する。)以上、融点未満で行われるのが技術常識である。
しかしながら、特許文献1などによって得られた、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂による層を含む多層構造体の場合、かかるPVA系樹脂のTgより高い温度で延伸したとしても、ガスバリア性向上の効果が十分に得られないことが判明した。
すなわち本発明は、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂による層を含む多層構造体において、高度なガスバリア性が得られる延伸方法の開発を目的としてなされたものであり、ガスバリア性に優れた多層延伸フィルムの製造方法の提供を課題とするものである。
本発明は、上記事情に鑑み、鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表される構造単位を含有するPVA系樹脂(A)を主成分とする中間層の両側に熱可塑性樹脂層が積層された多層フィルムを、該PVA系樹脂(A)のTgよりも低温で延伸する多層延伸フィルムの製造方法によって本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
Figure 0005979996
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。]
上述したとおり、一般的に高分子の延伸は、ゴム領域、すなわちTgよりも高温で行われるものであり、Tgより低温で延伸すると破断する可能性が高いことから、通常は行われない。
本発明は、特定のPVA系樹脂を用い、これを主成分とする中間層の両側に熱可塑性樹脂層が積層されたした多層フィルムの場合、かかるPVA系樹脂のTgよりも低温で延伸しても破断することなく、しかもガスバリア性に優れた多層延伸フィルムが得られることを見出し、本発明を完成したものである。
本発明の製造方法によって得られる多層延伸フィルムは、ガスバリア性に優れるため、酸素によって特性が低下、あるいは劣化しうる物品、例えば食品や薬品、金属部品などの包装材料として有用である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の多層延伸フィルムの製造方法は、側鎖に1,2−ジオール構造を有する特定のPVA系樹脂(A)を主成分とする中間層の両側に熱可塑性樹脂層が積層された多層フィルムを、該PVA系樹脂(A)のTgよりも低温で延伸することを特徴とするものである。
以下、多層延伸フィルムの各層の構成、および製造方法について詳細に説明する。
〔PVA系樹脂(A)〕
まず、本発明の多層延伸フィルムにおいて、中間層の主成分としてで用いられるPVA系樹脂(A)について説明する。
かかるPVA系樹脂(A)は、下記一般式(1)で示される1,2−ジオール構造単位を有するもので、一般式(1)におけるR、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキルを示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示すものである。
Figure 0005979996
特に、一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位中のR〜R、及びR〜Rがすべて水素原子であり、Xが単結合であるものが最も好ましく、下記一般式(1’)で表わされる構造単位を有するPVA系樹脂が好適に用いられる。
Figure 0005979996
一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位中のXは熱安定性の点や高温下や酸性条件下での安定性の点で単結合であるものが最も好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよく、かかる結合鎖としては、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CHO)−、−(OCH−、−(CHO)CH−、−CO−、−COCO−、−CO(CHCO−、−CO(C)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO−、−Si(OR)−、−OSi(OR)−、−OSi(OR)O−、−Ti(OR)−、−OTi(OR)−、−OTi(OR)O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−、等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、またはアルキル基が好ましく、またmは自然数である)を挙げることができる。
中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で炭素数6以下のアルキレン基、特にメチレン基、あるいは−CHOCH−が好ましい。
本発明で用いられるPVA系樹脂(A)の製造法としては、特に限定されないが、(i)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(2)で示される化合物との共重合体をケン化する方法や、(ii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(3)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱炭酸する方法や、(iii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(4)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法が好ましく用いられる。
Figure 0005979996
Figure 0005979996
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上記一般式(2)、(3)、(4)中のR、R、R、X、R、R、Rは、いずれも一般式(1)の場合と同様である。また、R及びRはそれぞれ独立して水素原子またはR−CO−(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基である)である。R10及びR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。
(i)、(ii)、及び(iii)の方法については、例えば、特開2006−95825に説明されている方法を用いることができる。
なかでも、共重合反応性および工業的な取り扱い性に優れるという点から、(i)の方法において、一般式(2)で表わされる化合物として3,4−ジアシロキシ−1−ブテンを用いることが好ましく、特に3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的に酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー、一般式(2)、(3)、(4)で示される化合物)の他に、樹脂物性に大幅な影響を及ぼさない範囲、具体的には10モル%以内であれば、共重合成分として、エチレンやプロピレン等のαーオレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類、およびそのアシル化物などの誘導体;イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル;アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、AMPS等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物、などが共重合されていてもよい。
本発明で用いられるPVA系樹脂(A)のケン化度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常90〜100モル%であり、特に95〜99.99モル%、殊に98〜99.9モル%のものが好ましく用いられる。かかるケン化度が低すぎると、得られた多層延伸フィルムのガスバリア性が不足する傾向がある。
また、PVA系樹脂(A)の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常、200〜1800であり、特に300〜1500、さらに300〜1000のものが好ましく用いられる。
かかる平均重合度が小さすぎると得られた成形物の機械的強度が不足する場合があり、逆に平均重合度が大きすぎると、熱溶融成形時の流動性が不足して成形性が低下したり、成形時せん断発熱が異常発生して樹脂が熱分解しやすくなる傾向がある。
PVA系樹脂(A)に含まれる1,2−ジオール構造単位の含有量は、通常、1〜15モル%であり、特に2〜10モル%、さらに3〜9モル%のものが好ましく用いられる。かかる含有量が低すぎると、融点が高くなり、熱分解温度に近くなるため、溶融成形時の熱分解による焦げやゲル、フィッシュアイができやすくなり、逆に高すぎると、金属密着性が向上し、溶融成形時、流れ性が悪くなり、滞留等による熱劣化が生じやすくなる。
なお、PVA系樹脂(A)中の一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位の含有率は、PVA系樹脂を完全にケン化したもののH−NMRスペクトル(溶媒:DMSO−d6、内部標準:テトラメチルシラン)から求めることができ、具体的には1,2−ジオール単位中の水酸基プロトン、メチンプロトン、およびメチレンプロトン、主鎖のメチレンプロトン、主鎖に連結する水酸基のプロトンなどに由来するピーク面積から算出すればよい。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)のTgは、通常、60〜90℃であり、特に65〜90℃、殊に70〜85℃のものが好ましく用いられる。かかるTgが高すぎると、延伸時に破断しやすくなる傾向があり、逆に低すぎると、バリア性能が低くなる傾向がある。
また、PVA系樹脂(A)の融点は、通常170〜230℃であり、特に175〜210℃、殊に180〜200℃のものが好ましく用いられる。かかる融点が高すぎると、溶融成形時に熱劣化を起こす可能性があり、逆に低すぎると、バリア性能が低くなる傾向がある。
かかるTg、および融点は、パーキンエルマー社製「DSC7」を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定したものである。
なお、かかるPVA系樹脂(A)のTg、および融点は、上述のケン化度、および式(1)で表される構造単位の含有量などによって制御することができる。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)は、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよいが、混合物を用いる場合には、重合度、ケン化度、1,2−ジオール構造単位の含有量の平均値、および混合物のTg、および融点が上述の範囲内であることが好ましい。
また、PVA系樹脂として側鎖に1,2−ジオール成分を含有しないPVA系樹脂、例えば、未変性のPVAを併用することも可能であるが、その場合には、側鎖に1,2−ジオール成分を有するPVA系樹脂(A)が主体、具体的にはPVA系樹脂の総量の50重量%以上、特に80重量%以上であることが好ましい。
本発明のPVA系樹脂(A)は一般的な未変性PVAと異なり、可塑剤を配合しなくても良好な熱溶融成を有するを特徴とするものであるが、必要に応じて可塑剤を配合することも可能で、かかる可塑剤としては脂肪族多価アルコール(例えば、エチレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン等)、グリセリン等の多価アルコールへエチレンオキサイドを付加した化合物、各種アルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの混合付加体等)、糖類(例えば、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール、キシロール、アラビノース、リブロース等)、ビスフェノールAやビスフェノールS等のフェノール誘導体、N−メチルピロリドン等のアミド化合物、α−メチル−D−グルコシド等のグルコシド類、水等が挙げられる。なお、その配合量としては、PVA系樹脂(A)100重量部に対して、100重量部以下、さらには20重量部以下、特には10重量部以下とすることが好ましい。
上記の如く得られた側鎖に1,2−グリコール成分を含有するPVA系樹脂(A)あるいはその組成物は、そのまま熱溶融成形等に供することも可能であるが、成形時の作業性などを考慮すれば、一度溶融状態で混練後冷却固化させてペレット状等にしたものを用いることが好ましい。
本発明の多層延伸フィルムにおける中間層は、上述のPVA系樹脂(A)を主成分とするもので、通常、PVA系樹脂(A)を80重量%以上、特に90重量%以上を含有するものである。
また、かかる中間層には必要に応じて各種添加剤を配合することが可能であり、具体的には、熱可塑性樹脂(例えば、相溶化剤存在下でポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル)、充填剤(タルク、クレー、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラス繊維、シリカ、マイカ、アルミナ、ハイドロタルサイト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化硼素、窒化アルミニウム等の無機充填剤、メラミンーホルマリン系樹脂等の有機充填材)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、加工安定剤、等を挙げることができる。
〔熱可塑性樹脂層〕
次に、本発明の多層延伸フィルムにおいて、中間層の両側に積層された熱可塑性樹脂層について説明する。
かかる熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂としては、公知のものを用いることができ、具体的にはポリオレフィン系樹脂、芳香族および脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、芳香族および脂肪族ポリケトン、脂肪族ポリアルコール等が挙げられ、好適にはポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などを挙げることができる。
本発明の多層延伸フィルムにおける熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂としては、Tg、および融点が特定範囲内であるものを用いることが好ましい。
例えば、熱可塑性樹脂のTgは、通常、60℃以下のものが好ましく用いられる。熱可塑性樹脂のTgが高すぎると、延伸温度が高くなる傾向があり好ましくない。
また、融点は、通常80〜300℃であり、特に90〜280℃、殊に100〜270℃のものが好ましく用いられる。かかる融点が高すぎると、加工温度が高くなりすぎる傾向があり、逆に低すぎると、延伸時に破断しやすくなる傾向がある。
なお、近年の環境保護の要求から、プラスチック材料への生分解性樹脂の適用が加速しており、多層フィルムにおいても、これを構成する全ての層が生分解性であるものが強く求められている。
本発明の多層延伸フィルムにおいて、中間層に用いられるPVA系樹脂(A)は一般的な未変性PVA系樹脂と同様、生分解性であり、その両側に配置される熱可塑性樹脂層も、生分解性であることが望ましい。
かかる生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル系樹脂が一般的であり、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などの炭素数が2〜6の二塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの炭素数2〜6のジオール類の縮重合物、あるいは炭素数がグリコール酸、乳酸、4−ヒドロキシ酪酸などの2〜6のヒドロキシカルボン酸の縮重合物が、生分解性と各種特性のバランスの点から好ましく用いられる。
中でも、包装材料の素材としては、耐熱性と強度、透明性に優れることから、ポリ乳酸が好適である。
以下、本発明の多層延伸フィルムにおいて、熱可塑性樹脂層としてポリ乳酸を用いる場合について詳細に説明する。
ポリ乳酸は、乳酸構造単位を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であり、L−乳酸、D−乳酸、またはその環状2量体であるL−ラクタイド、D−ラクタイド、DL−ラクタイドを原料とする重合体である。
本発明で用いられるポリ乳酸は、これら乳酸類の単独重合体であることが好ましいが、特性を阻害しない程度の量、例えば10モル%以下であれば、乳酸類以外の共重合成分を含有するものであってもよい。
かかる共重合成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸;カプロラクトンなどのラクトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類;コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸などの脂肪族二塩基酸を挙げることができる。
また、ポリ乳酸中のL−乳酸成分とD−乳酸成分の含有比率(L/D)は、通常95/5以上であり、特に99/1以上、殊に99.8/0.2のものが好ましく用いられる。かかる値が大きいものほど融点が高くなって、耐熱性が向上し、逆に小さいものほど融点が低くなり、耐熱性が不足する傾向がある。具体的には、ポリ乳酸の単独重合体の場合、L/Dが95/5であるものの融点は152℃であり、99/1であるものの融点は171℃、99.8/0.2であるものは175℃以上である。
また、本発明で用いられるポリ乳酸の重量平均分子量は、通常20000〜1000000であり、特に30000〜300000、殊に40000〜200000のものである。かかる重量平均分子量が大きすぎると熱溶融成形時の溶融粘度が高すぎ、良好な製膜が困難になる傾向があり、逆に小さすぎると、得られた積層体の機械的強度が不充分となる傾向がある。
かかるポリ乳酸系樹脂の市販品としては、例えば、NatureWorks社製「Ingeo」、三井化学社製「Lacea」、浙江海正生物材料股▲ふん▼有限公司製「REVODE」、及び東洋紡績社製「バイロエコール」などを挙げることができる。
本発明の熱可塑性樹脂層にポリ乳酸を用いる場合、本発明の効果を著しく損なわない限り、例えば20重量%以下、特に10重量%以下の範囲でポリ乳酸以外の生分解性樹脂を配合することが可能である。かかる生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル系樹脂、変性でんぷん系樹脂などを挙げることができ、中でも上述の脂肪族ヒドロキシカルボン酸の重合体、ラクトン類の開環重合体、脂肪族ジオールと脂肪族二塩基酸の重合体、あるいはこれらの共重合体が好ましく用いられる。
また、本発明の熱可塑性樹脂層には、必要に応じて各種添加剤を配合することが可能であり、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、充填剤、滑剤、結晶核剤、可塑剤などが配合されていてもよい。
〔接着剤層〕
本発明の多層延伸フィルムにおいて、中間層と熱可塑性樹脂層、およびその他の層は直接積層されていてもいいが、層間接着性を高めるために接着剤層を介在させることも好ましい実施態様である。
かかる接着剤層に用いられる接着剤としては、被着体によって適宜好ましいものを選定すればよいが、PVA系樹脂を含有する層に対する接着性の点で、カルボキシル基を有する樹脂が好ましく、例えば、カルボキシル基を側鎖、あるいは末端に有するポリオレフィン系樹脂や脂肪族ポリエステル系樹脂が好適に用いられる。
また、上述した通り、多層延伸フィルムに用いられる接着剤層も生分解性であるものが好ましく、その要求を満たす接着性樹脂として、側鎖にカルボキシル基が導入された脂肪族ポリエステル系樹脂を挙げることができる。
かかる側鎖にカルボキシル基を有する脂肪族ポリエステル系樹脂は、公知のものを用いることができるが、好ましい例として、α、β−不飽和カルボン酸またはその無水物を脂肪族ポリエステル系樹脂にグラフト重合させたものを挙げることができる。
かかるグラフト重合において用いられる脂肪族ポリエステル系樹脂は、α、β−不飽和カルボン酸またはその無水物とグラフト重合するため、特定鎖長のアルキレン鎖を有するものである必要があり、かかるアルキレン鎖の炭素数は、通常2〜6、特に2〜4であるものが好ましく用いられる。
なお、かかる脂肪族ポリエステル系樹脂は、その構成単位が全て上記の条件を満たすものであることが望ましいが、樹脂特性を阻害しない範囲、例えば20モル%未満で他の構成単位を含むものでもよい。
かかる脂肪族ポリエステル系樹脂の重量平均分子量は、通常5000〜50000であり、好ましくは5500〜40000、特に好ましくは6000〜30000である。かかる重量平均分子量が大きすぎると、熱溶融成形の場合には溶融粘度が高くなり溶融成形しにくくなる傾向があり、逆に小さすぎると十分な接着強度が得られなくなる傾向がある。
かかる脂肪族ポリエステル系樹脂の市販品としては、例えば、アジピン酸/テレフタル酸と1,4−ブタンジオールの縮重合物を主成分とするBASF社製「エコフレックス」、コハク酸/1,4−ブタンジオール/乳酸の縮重合物を主成分とする三菱化学社製「GS−PLA」、などを挙げることができる。
次に、上記脂肪族ポリエステル系樹脂にグラフト重合して、カルボキシル基の導入に用いられるα、β−不飽和カルボン酸またはその無水物としては、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸などのα、β−不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラス酸、テトラヒドロフタル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のα,β−や不飽和ジカルボン酸などが挙げられ、好ましくはα、β−不飽和ジカルボン酸が用いられる。
なお、これらのα、β−不飽和カルボン酸化合物は、1種を単独で用いる場合に限らず、2種以上を併用してもよい。
脂肪族ポリエステル系樹脂にα、β−不飽和カルボン酸類をグラフト重合させる方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができ、熱反応のみでも可能であるが、反応性を高めるためには、ラジカル開始剤を用いることが好ましい。また、反応させる手法としては、溶液反応、懸濁液としての反応、溶媒等を使用しない溶融状態での反応などを挙げることができるが、中でも溶融状態で行うことが好ましい。
溶融法としては、脂肪族ポリエステル系樹脂とα、β−不飽和カルボン酸化合物、およびラジカル開始剤を予め混合した後、混練機中で溶融混練して反応させる方法や、混練機中で溶融状態にある生分解性ポリエステル系樹脂に、α、β−不飽和カルボン酸化合物、およびラジカル開始剤を配合する方法等を用いることができる。
原料を予め混合する際に用いられる混合機としては、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、等が用いられ、溶融混練に用いられる混練機としては、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等を使用することができる。
溶融混練時の温度設定は、脂肪族ポリエステル系樹脂の融点以上であって、かつ、熱劣化しない温度範囲で適宜設定すればよい。好ましくは100〜250℃、より好ましくは160〜220℃で溶融混合される。
α、β−不飽和カルボン酸類の使用量は、脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対して、通常0.0001〜5重量部であり、特に0.001〜1重量部、殊に0.02〜0.5重量部の範囲が好ましく用いられる。かかる配合量が少なすぎると脂肪族ポリエステル系樹脂に十分な量のカルボキシル基が導入されず、層間接着性、特にPVA系樹脂を含む中間層との接着力が不充分になる傾向がある。また、配合量が多すぎると、グラフト重合しなかったα、β−不飽和カルボン酸類が樹脂中に残存する場合があり、それに起因する外観不良などが生じる傾向がある。
ラジカル開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルへキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルオキシ)ヘキサン、3,5,5−トリメチルへキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化カリウム、過酸化水素などの有機及び無機の過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)ジハライド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、アゾジ−t−ブタン等のアゾ化合物;ジクミル等の炭素ラジカル発生剤などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを併用することも可能である。
ラジカル開始剤の配合量は、通常、脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対して0.00001〜0.5重量部であり、特に0.0001〜0.1重量部、殊に0.002〜0.05重量部の範囲が好ましく用いられる。
かかるラジカル開始剤の配合量が少な過ぎると、グラフト重合が十分に起こらず、本発明の効果が得られない場合があり、多すぎる場合には、脂肪族ポリエステル系樹脂の分解による低分子量化がおこり、凝集力不足による接着力強度不足となる傾向がある。
脂肪族ポリエステル系樹脂に対する、上記α、β−不飽和カルボン酸類によるカルボキシル基の導入量は、通常0.0001〜6モル%であり、特に0.001〜1モル%、殊に0.025〜0.6モル%の範囲が好ましく選択される。
かかる導入量が少なすぎると、層間接着性、特にPVA系樹脂層との接着力が不充分になる傾向がある。また、導入量が多すぎると、熱溶融成形時の安定性が低下する傾向がある。
〔多層フィルム〕
本発明の多層延伸フィルムの製造に用いられる多層フィルムは、一般式(1)で表される構造単位を有するPVA系樹脂(A)を主成分とする中間層の両側に熱可塑性樹脂層が積層されたものであり、その他の層も含め、通常3〜15層、好ましくは3〜7層、特に好ましくは5〜7層から構成される。
その構成は特に限定されないが、中間層をa、熱可塑性樹脂層をb、接着剤層をcとするとき、b/a/b、b/c/a/c/b、b/c/b/c/a/c/b/c/b、b/c/a/a/c/bなど、中間層aの両側に熱可塑性樹脂層bが配置されていれば、任意の組み合わせが可能である。なお、かかる各々の層は、同一のものでもよく、異なったものであってもよい。
かかる多層フィルムは、従来公知の成形方法によって製造することができ、具体的にはドライラミネートや、溶融成形法、溶液状態からの成形法を用いることができる。
例えば、ドライラミネート法としては、PVA系樹脂(A)を含有するフィルム、および熱可塑性樹脂フィルムを予め熱溶融押出成形法などによって製造しておき、これらを直接、あるいは各フィルム間に接着剤を介在させて積層し、必要に応じて加熱・圧着する方法などが用いられる。
また、溶融成形法としては、熱可塑性樹脂のフィルム、あるいはシートを基材とし、これに他の層を形成する樹脂を順次、あるいは同時に溶融押出ラミネートする方法、あるいは各層を同時に溶融押出ラミネートする方法などが用いられる。
また、溶液状態からの成形法としては、熱可塑性樹脂のフィルムに、他の層を形成する樹脂をその良溶媒に溶解した溶液を順次溶液コートし、乾燥する方法が挙げられる。
中でも、一工程で製造でき、層間接着性が優れた積層体が得られる点で溶融成形法が好ましく、特に共押出法が好ましく用いられる。
上記共押出法においては、例えば具体的にはインフレーション法、Tダイ法マルチマニ
ーホールドダイ法、フィードブロック法、マルチスロットダイ法が挙げられる。ダイ外接
着法等のダイスの形状としてはTダイス、丸ダイス等を使用することができる。
溶融押出時の溶融成形温度は、通常190〜250℃であり、好ましくは200〜230℃の範囲が用いられる。
〔延伸〕
かくして得られた多層フィルムは、延伸処理することによって多層延伸フィルムとされる。
かかる延伸は、一軸方向、より好ましくは二軸方向に延伸するもので、延伸倍率は面積倍率で、通常2〜100倍であり、特に4〜50倍、殊に6〜20倍の範囲が好適に用いられる。かかる延伸倍率が小さすぎると、十分なガスバリア性が得られなくなる傾向があり、逆に大きすぎると、延伸時に破断する場合がある。
本発明においては、かかる延伸を、多層フィルムの中間層に用いられているPVA系樹脂(A)のTgよりも低温で行うことを特徴とするものであり、特にPVA系樹脂(A)のTgより1〜30℃低い温度、殊に5〜20℃低い温度で行うことが好ましい。
かかる延伸時の温度が低すぎると、破断しやすくなる傾向がある。
なお、二軸延伸の場合、上記多層フィルムをまず縦方向に延伸し、次いで横方向に延伸する逐次延伸法、縦方向と横方向を同時に延伸する同時延伸法などが用いられる。
また、実質的に延伸される方法として、多層フィルムを金型を用いて延伸加工する深絞成形法、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法等の金型を用いた成形法を用いることもできる。
〔多層延伸フィルム〕
本発明の方法によって得られた多層延伸フィルムを構成する各層の厚さとしては、所望の特性に応じて適宜選定すればいいが、例えば、PVA系樹脂(A)を含有する中間層の厚さは、通常0.1〜1000μmであり、好ましくは0.3〜500μm、特に好ましくは1〜100μmである。かかる中間層が厚すぎると、硬く脆くなる傾向があり、逆に薄すぎると、ガスバリア性が低くなる傾向があり好ましくない。
また、熱可塑性樹脂層は、通常0.4〜14000μm、好ましくは1〜6000μm、特に好ましくは4〜1400μmであり、接着剤層は、通常0.1〜500μm、好ましくは0.15〜250μm、特に好ましくは0.5〜50μmである。
これらの厚さは、いずれも単層での値である。
また、多層延伸フィルムの全体の厚さは、通常1〜30000μmであり、特に3〜13000μm、殊に10〜3000μmの範囲が好ましく用いられる。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
実施例1
〔PVA系樹脂(A)の作製〕
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル68.0部、メタノール23.8部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン8.2部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.3モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
ついで、上記メタノール溶液をさらにメタノールで希釈し、濃度45%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して10.5ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とする側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(A)(一般式(1)において、R、R、R、R、R、Rは水素原子、Xは単結合)を作製した。
得られたPVA系樹脂(A)のケン化度は、残存酢酸ビニルおよび3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、99.2モル%であった。また、平均重合度は、JIS K 6726に準じて分析を行ったところ、450であった。また、一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位の含有量は、H−NMR(300MHzプロトンNMR、d6−DMSO溶液、内部標準物質;テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、6モル%であった。
また、PVA系樹脂(A)のTgは82℃であり、融点は190℃であった。
〔接着性樹脂の作製〕
アジピン酸/1,4−ブタンジオール縮重合物(BASF社製「エコフレックスC1200」)100部、無水マレイン酸0.1部、ラジカル開始剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルオキシ)ヘキサン(日本油脂社製「パーヘキサ25B」)0.01部をドライブレンドした後、これを二軸押出機にて下記条件で溶融混練し、ストランド状に押出し、水冷後、ペレタイザーでカットし、無水マレイン酸がグラフト重合されたアジピン酸/1,4−ブタンジオール縮重合物からなる円柱形ペレットの接着剤樹脂を得た。
二軸押出機
直径(D):15mm、
L/D:60
スクリュ回転数:200rpm
メッシュ:90/90mesh
加工温度:210℃
〔多層フィルムの作製〕
ポリ乳酸(ネイチャーワークス社製「Ingeo4032D」、Tg65℃、融点160℃)、PVA系樹脂(A)、接着剤を用い、押出機を3台備えた3種5層多層性膜装置にて、ポリ乳酸層/接着剤層/PVA系樹脂層/接着剤層/ポリ乳酸層の3種5層構造の多層フィルム体を製造した。得られた積層体の厚さは200μmであり、各層の厚さは、60μm/20μm/40μm/20μm/60μmであった。
なお、各押出機、およびロールの設定温度は下記の通りである。
設定温度
ポリ乳酸:C1/C2/C3/C4/H/J=180/190/200/200/200/200℃
PVA系樹脂:C1/C2/C3/C4/H/J=180/200/210/210/210/210℃
接着樹脂:C1/C2/H/J=180/200/210/210℃
ダイス:FD1/FD2/D1/D2・D3=200/200/200/200/200℃
ロール:60℃
[多層延伸フィルムの作製]
得られた多層フィルムを90mm×90mmに裁断し、延伸装置(Bruckner社製「Laboratory Strecher KARO4」)を用い、延伸温度70℃、余熱時間40秒、延伸速度100mm/秒で、縦方向に2.5倍延伸し、次いで横方向に2.5倍延伸したところ、良好に延伸され、多層延伸フィルムが得られた。
<ガスバリア性評価>
得られた多層延伸フィルムの酸素透過度を、MOCON社製『OXTRAN2/20』を用い、23℃、80%RHの条件下で測定した。結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、延伸温度を80℃とした以外は実施例1と同様に行い、良好に延伸され、多層延伸フィルムが得られた。これを実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、延伸温度を90℃とした以外は実施例1と同様に行い、良好に延伸され、多層延伸フィルムが得られた。これを実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1における延伸前の多層フィルムについて、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
参考例1
実施例1において、多層フィルム作製時に、PVA系樹脂(A)以外の材料を用いず、PVA系樹脂(A)の単層フィルムを作製し、実施例1と同様に延伸したところ、延伸中にフィルムが破断した。
〔表1〕
Figure 0005979996
※他の例と厚さを揃えるため、実測値を6.25倍(2.5倍×2.5倍)したもの。
実施例1、および2の結果から明らかなように、中間層に一般式(1)で示される構造単位を有するPVA系樹脂(A)を用い、その両側に熱可塑性樹脂としてポリ乳酸を配置した多層フィルムは、PVA系樹脂のTg(82℃)よりも低温で延伸することが可能であり、得られた多層延伸フィルムは酸素ガスバリア性に優れたものであった。
一方、PVA系樹脂のTgよりも高温で延伸した比較例1の多層延伸フィルムは充分な酸素ガスバリア性が得られなかった。
また、PVA系樹脂(A)の単層フィルムの場合、そのTgよりも低温では延伸できなかった。
本発明の方法によって得られた多層延伸フィルムは、ガスバリア性に優れることから、酸素との接触を避けたい物品の包装材料として有用である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)を主成分とする中間層の両側に熱可塑性樹脂層が積層された多層フィルムを、該ポリビニルアルコール系樹脂(A)のガラス転移点よりも低温で延伸する多層延伸フィルムの製造方法。
    Figure 0005979996
    [式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。]
  2. 熱可塑性樹脂層が、ポリ乳酸を主成分とする層である請求項1記載の多層延伸フィルムの製造方法。
  3. 中間層と熱可塑性樹脂層が接着剤層を介して積層されている請求項1または2記載の多層延伸フィルムの製造方法。
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