JP2024046111A - 酸変性ポリエステル系樹脂組成物及び積層体 - Google Patents

酸変性ポリエステル系樹脂組成物及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】PVA系樹脂層とポリ乳酸等の生分解性樹脂層との接着に好ましく用いられ、環境に悪影響を与えることなく、さらに加工性にも優れる樹脂組成物を提供すること。【解決手段】酸変性ポリエステル系樹脂を主成分として含み、且つ、融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を添加剤として含む酸変性ポリエステル系樹脂組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、酸変性ポリエステル系樹脂組成物に関し、更に詳しくは、ポリビニルアルコール系樹脂層(以下、ポリビニルアルコールを「PVA」という。)とポリ乳酸等の生分解性樹脂層との接着に好ましく用いられる酸変性ポリエステル系樹脂組成物及び該酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有する層を有する積層体に関する。
プラスチックは、成形性、強度、耐水性、透明性等に優れることから、包装材料として広く使用されている。かかる包装材料に用いられるプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂が挙げられる。しかしながら、これらのプラスチックは生分解性に乏しく、使用後に自然界に投棄されると、長期間残存して景観を損ねたり、環境破壊の原因となる場合がある。
これに対し、近年、土中や水中で生分解、あるいは加水分解され、環境汚染の防止に有用である生分解性樹脂が注目され、実用化が進められている。かかる生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル系樹脂、酢酸セルロース、変性でんぷん等が知られている。包装材料としては、透明性、耐熱性、強度に優れることから、ポリ乳酸、アジピン酸/テレフタル酸/1,4-ブタンジオールの縮重合物、コハク酸/1,4-ブタンジオール/乳酸の縮重合物等が用いられている。
しかしながら、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系樹脂は酸素ガスバリア性が不十分であるため、単独では、食品や薬品等の酸化劣化のおそれがある内容物の包装材料として用いることはできない。そこで、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系樹脂とPVA系樹脂とを積層して積層体とすることがなされている。
しかしながら、ポリ乳酸系樹脂層とPVA系樹脂層は表面特性が大きく異なることから、両層は接着性に乏しく、両層の直接積層によって実用的な層間接着強度を得ることは困難である。
そこで、これらの樹脂層を接着するために接着層を設けることがなされており、ポリ乳酸系樹脂とPVA系樹脂の生分解性を活かすには、接着層も生分解性であることが求められる。
生分解性を有する接着剤用樹脂として、例えば、特許文献1には、乳酸残基を55重量%以上含有し、L乳酸とD乳酸のモル比(L/D)が0.11~9、還元粘度が0.2~1.0dl/gの範囲にある脂肪族ポリエステル(A)と天然物系粘着付与樹脂(B)を必須の成分として含有する生分解性粘着剤が提案されている。また、特許文献2には、生分解性ポリエステル系樹脂にα、β-不飽和カルボン酸又はその無水物をグラフト重合して得られる、極性基を有するポリエステル系樹脂を接着層とすることが提案されている。
特開2004-231797号公報 特開2013-212682号公報
特許文献1記載の生分解性粘着剤は有機溶剤に溶解して用いられ、環境への配慮という点では不十分である。また、特許文献2に記載の生分解性ポリエステル系樹脂を得る際には、押出機内で粘度が上昇し、加工性が低下することがあった。
そこで、本発明は、PVA系樹脂層との接着に好ましく用いられ、環境に悪影響を与えることなく、さらに加工性にも優れる樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、酸変性されたポリエステル系樹脂を主成分として含み、添加剤として融解ピーク(ΔH)の大きさが10J/g以下の樹脂を含む樹脂組成物により上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記構成からなる。
<1>酸変性ポリエステル系樹脂を主成分として含み、且つ、融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を添加剤として含むことを特徴とする酸変性ポリエステル系樹脂組成物。
<2>前記<1>に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤。
<3>前記<1>に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有する層を少なくとも一層有することを特徴とする積層体。
<4>第1の層と第2の層との間に接着層を設けた積層体であって、前記第1の層と前記第2の層のうちの少なくとも1層がポリビニルアルコール系樹脂層であり、前記接着層が、前記<1>に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有することを特徴とする積層体。
本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物は、流動性が向上するためメルトフローレート(MFR)が改善され、よって加工性が向上するので取扱いしやすくなる。また、酸変性されているため、本発明の酸変性ポリエステル系樹脂を、例えば、PVA系樹脂層と生分解性樹脂層を含有する積層体において、両層の接着層として用いると、接着性に優れるとともに生分解性の積層体が得られる。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
本明細書において、「生分解性」とは、JIS K 6953-1:2011(ISO 14855-12005)で規定された条件を満たすことを意味する。
本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物は、酸変性ポリエステル系樹脂を樹脂層形成成分の主成分として含み、且つ、融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を添加剤として含む。酸変性ポリエステル系樹脂組成物中に融解ピーク(ΔH)の大きさが10J/g以下の樹脂(以下、「特定添加剤」ともいう。)を含むことで、酸変性ポリエステル系樹脂のグラフト重合反応に使用される余剰な活性ラジカルや酸が捕捉され、これにより酸変性ポリエステル系樹脂組成物における粘度上昇が抑制されると推測される。
なお、ここで、酸変性ポリエステル系樹脂組成物の主成分とは、組成物全体の50質量%以上を占める成分を言い、80質量%以上が好ましく、90質量%がより好ましい。
(酸変性ポリエステル系樹脂)
酸変性ポリエステル系樹脂は、各種ポリエステル系樹脂に対し、α,β-不飽和カルボン酸又はその無水物(以下、α,β-不飽和カルボン酸又はその無水物を「α,β-不飽和カルボン酸類」ということがある。)をグラフト重合したポリエステル系樹脂であり、本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物のベース樹脂となる。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
本発明で用いる脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂は、脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位、および芳香族ジカルボン酸単位を主構成単位として含む脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂である。具体的には、例えば、下記式(1)で表される脂肪族ジオール単位、下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、および下記式(3)で表される芳香族ジカルボン酸単位を主構成単位とし、また、生分解性を有するものが好ましい。
-O-R-O- ・・・(1)
式(1)中、Rは2価の脂肪族炭化水素基を表す。
-OC-R-CO- ・・・(2)
式(2)中、Rは2価の脂肪族炭化水素基を表す。
-OC-R-CO- ・・・(3)
式(3)中、Rは2価の芳香族炭化水素基を示す。
式(1)の脂肪族ジオール単位を与える脂肪族ジオールは、特に限定はされないが、コストと機械強度のバランスから炭素数が2以上10以下のものが好ましい。例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下の脂肪族ジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4-ブタンジオールがより好ましく、1,4-ブタンジオールが特に好ましい。尚、上記脂肪族ジオールは、2種類以上を用いることもできる。
式(2)の脂肪族ジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分は、特に限定はされないが、コストと生分解性とのバランスから炭素数2以上12以下のものが好ましい。例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸やそのアルキルエステル等の誘導体が挙げられる。中でも、セバシン酸又はアジピン酸、アゼライン酸やそのアルキルエステル等の誘導体が好ましい。尚、上記脂肪族ジカルボン酸成分は、2種類以上を用いることもできる。
式(3)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、フランジカルボン酸等やそのアルキルエステル等の誘導体が挙げられる。中でも、生分解性の観点からRはフェニレン基であることが好ましく、式(3)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸やそのアルキルエステル等の誘導体が好ましく、テレフタル酸やそのアルキルエステル等の誘導体が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換される芳香族ジカルボン酸であってもよい。尚、上記芳香族ジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂における芳香族ジカルボン酸単位の含有量は、全ジカルボン酸単位である脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位との合計100モル%に対して、融点と生分解性の観点から、5モル%以上95モル%以下であるのが好ましく、具体的に、好ましくは5モル%以上、より好ましくは35モル%以上、特に好ましくは40モル%以上であり、また、好ましくは95モル%以下、より好ましくは65モル%以下、特に好ましくは60モル%以下である。
また、芳香族ジカルボン酸を2種類以上用いる場合は、脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂は、全芳香族ジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位の割合が40モル%以上60モル%以下であることが好ましい。この割合が40モル%未満では耐熱性が足りず、60モル%を超えると生分解性が悪くなる傾向がある。この観点から、脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂における全芳香族ジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位の割合は42モル%以上58モル%以下がより好ましく、45モル%以上55モル%以下であることが更に好ましい。
脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂は、脂肪族オキシカルボン酸単位を有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、又はこれらの混合物等が挙げられる。さらに、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステル等の誘導体であってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体のいずれでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸又はグリコール酸或いはその誘導体である。これら脂肪族オキシカルボン酸成分は単独でも、2種類以上の混合物としても使用できる。
脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂がこれらの脂肪族オキシカルボン酸単位を含む場合、その含有量は、脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂を構成する全構成単位を100モル%として好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を主構成単位として含む脂肪族ポリエステル系樹脂である。なお、脂肪族ポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸単位を含まないことで、前述の脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂と区別される。
より具体的には、脂肪族ポリエステル系樹脂は、下記式(4)で表される脂肪族ジオール単位、および下記式(5)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を含むポリエステル系樹脂である。
-O-R-O- ・・・(4)
式(4)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表す。
-OC-R-CO- ・・・(5)
式(5)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表す。
上記式(4)、(5)で表される脂肪族ジオール単位、脂肪族ジカルボン酸単位は、石油から誘導された化合物由来であっても、植物原料から誘導された化合物由来であってもかまわないが、植物原料から誘導された化合物由来であることが望ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂が共重合体である場合には、脂肪族ポリエステル系樹脂中に2種以上の式(4)で表される脂肪族ジオール単位が含まれていてもよく、脂肪族ポリエステル系樹脂中に2種以上の式(5)で表される脂肪族ジカルボン酸単位が含まれていてもよい。
式(4)で表されるジオール単位を与える脂肪族ジオールとしては、特に限定されないが、成形性や機械強度の観点から、炭素数が2以上10以下の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数4以上6以下の脂肪族ジオールが特に好ましい。例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4-ブタンジオールが特に好ましい。尚、上記脂肪族ジオールは、2種類以上を用いることもできる。
式(5)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、炭素数が2以上40以下の脂肪族ジカルボン酸やそのアルキルエステル等の誘導体が好ましく、炭素数が4以上10以下の脂肪族ジカルボン酸やそのアルキルエステル等の誘導体が特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸やそのアルキルエステル等の誘導体としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等やそのアルキルエステル等の誘導体が挙げられ、中でもコハク酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましく、コハク酸、アジピン酸が特に好ましい。尚、上記脂肪族ジカルボン酸成分は、2種類以上を用いることもできる。
脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族オキシカルボン酸に由来する繰返し単位(脂肪族オキシカルボン酸単位)を有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸成分の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸等、又はこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステル等の誘導体が挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液のいずれであってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸又はグリコール酸或いはその誘導体である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
脂肪族ポリエステル系樹脂がこれらの脂肪族オキシカルボン酸単位を含む場合、その含量は、成形性の観点から、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する全構成単位を100モル%として20モル%以下であることが好ましく、より好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下であり、最も好ましくは3モル%以下である。
ポリエステル系樹脂は、合成により得てもよいし、市販のものを用いてもよい。合成する場合は、ポリエステルの製造に関する公知の方法が採用できる。また、ポリエステル系樹脂は1種に限らず、構成単位の種類や構成単位比、製造方法、物性等の異なる2種以上のポリエステル系樹脂をブレンドして用いることができる。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリブチレンアジペートテレフタレート(以下、「PBAT」と称する場合がある。)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(以下、「PBST」と称する場合がある。)、ポリブチレンサクシネートアジペート(以下、「PBSA」と称する場合がある。)、ポリブチレンサクシネート(以下、「PBS」と称する場合がある。)、ポリブチレンセバケートテレフタレート(以下、「PBSeT」と称する場合がある。)、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート(以下、「PBSAT」と称する場合がある。)、ポリカプロラクトン(以下、「PCL」と称する場合がある。)、ポリ乳酸(以下、「PLA」と称する場合がある。)等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂の市販品としては、例えば、ポリブチレンアジペートテレフタレートであるアジピン酸/テレフタル酸/1,4-ブタンジオールの縮重合物を主成分とするBASF社製「エコフレックス」、ポリブチレンサクシネートであるコハク酸/1,4-ブタンジオールの縮重合物を主成分とする三菱ケミカル社製「BioPBS」等を挙げることができる。
酸変性ポリエステル系樹脂は、上記したように、原料のポリエステル系樹脂に対し、α,β-不飽和カルボン酸類をグラフト重合させることで変性される。
α,β-不飽和カルボン酸類としては、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸等のα,β-不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラス酸、テトラヒドロフタル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のα,β-不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられ、好ましくはα,β-不飽和ジカルボン酸の無水物が用いられる。
なお、これらのα,β-不飽和カルボン酸類は、1種を単独で用いる場合に限らず、2種以上を併用してもよい。
原料のポリエステル系樹脂にα,β-不飽和カルボン酸類をグラフト重合させる方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができ、熱反応のみでも可能であるが、反応性を高めるためには、ラジカル開始剤を用いることが好ましい。また、反応させる手法としては、溶液反応、懸濁液としての反応、溶媒等を使用しない溶融状態での反応(溶融法)等を挙げることができるが、中でも溶融法で行うことが好ましい。
以下、溶融法を詳細に説明する。
溶融法として、原料のポリエステル系樹脂、α,β-不飽和カルボン酸類、およびラジカル開始剤を予め混合した後、混練機中で溶融混練して反応させる方法や、混練機中で溶融状態にあるポリエステル系樹脂に、α,β-不飽和カルボン酸類、およびラジカル開始剤を配合する方法等を用いることができる。
原料を予め混合する際に用いられる混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等を使用することができ、溶融混練に用いられる混練機としては、例えば、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等を使用することができる。
溶融混練時の温度設定は、原料のポリエステル系樹脂の融点以上であって、かつ、熱劣化しない温度範囲で適宜設定すればよい。好ましくは100~250℃、より好ましくは160~230℃で溶融混練される。
α,β-不飽和カルボン酸類の配合量は、原料のポリエステル系樹脂100質量部に対して、0.0001~5質量部であるのが好ましく、特に0.001~2質量部、殊に0.02~1質量部の範囲が好ましく用いられる。かかる配合量が少なすぎるとポリエステル系樹脂に十分な量の極性基が導入されず、層間接着性、特にPVA系樹脂層との接着力が不十分になる傾向がある。また、かかる配合量が多すぎると、グラフト重合しなかったα,β-不飽和カルボン酸類が樹脂中に残存する場合があり、それに起因する外観不良等が生じる傾向がある。
ラジカル開始剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルへキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルオキシ)ヘキサン、3,5,5-トリメチルへキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化カリウム、過酸化水素等の有機又は無機の過酸化物;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)ジハライド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、アゾジ-t-ブタン等のアゾ化合物;ジクミル等の炭素ラジカル発生剤等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを併用することも可能である。
ラジカル開始剤の配合量は、原料のポリエステル系樹脂100質量部に対して0.00001~5.0質量部であるのが好ましく、特に0.0001~1.0質量部、殊に0.002~0.5質量部の範囲が好ましく用いられる。
かかるラジカル開始剤の配合量が少な過ぎると、グラフト重合が十分に起こらず、本発明の効果が得られない場合があり、かかるラジカル開始剤の配合量が多過ぎると、酸変性ポリエステル系樹脂の分解による低分子量化が起こり、凝集力不足による接着力強度不足となる傾向がある。
本発明において、酸変性ポリエステル系樹脂は、酸変性脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂、酸変性脂肪族ポリエステル系樹脂であるのが好ましく、酸変性脂肪族-芳香族共重合ポリエステル系樹脂がより好ましい。
酸変性ポリエステル系樹脂の重量平均分子量は、50,000~400,000であるのが好ましく、より好ましくは100,000~200,000、特に好ましくは140,000~180,000である。かかる重量平均分子量が大きすぎると溶融粘度が高くなり溶融成形しにくくなる傾向があり、逆に小さすぎると成形物が脆くなる傾向がある。
酸変性ポリエステル系樹脂は、酸価が、1.0~6.5mg・KOH/gであるのが好ましく、より好ましくは、1.1~6.0mg・KOH/g、さらに好ましくは、1.2~5.0mg・KOH/gである。
かかる酸価が高すぎると、外観不良となり、低すぎると他の樹脂との接着性が低下する傾向があり、高すぎても低すぎても本発明の効果が得られない。
上記の酸価を測定する方法を以下に詳細に説明する。
まず、測定する酸変性ポリエステル系樹脂を溶剤でよく洗浄する。かかる洗浄は酸変性ポリエステル系樹脂の不純物、主に未反応のα,β-不飽和カルボン酸またはその無水物を洗い流すためである。かかる溶剤としては、酸変性ポリエステル系樹脂が溶解することがない溶剤を用いることが必要であり、例えば、水、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられる。
次に、洗浄した酸変性ポリエステルを乾燥したのち、試験瓶に、溶媒としてテトラヒドロフラン100mlをとり、ホットスターラー(設定温度75℃、スターラー回転数750rpm)で撹拌させながら酸変性ポリエステル系樹脂5gを投入する。酸変性ポリエステル系樹脂が溶解するまで、5~6時間撹拌する。溶解後、超純水4mlを添加して更に10分間撹拌を行い、試験液を作製する。かかる試験液を自動滴定装置により、水酸化カリウム水溶液(N/10)で滴定して、下記の式により酸価を求める。
(式)
酸価AV(mg・KOH/g)={(A-B)×f×5.61}/S
A=酸変性ポリエステル系樹脂に要した水酸化カリウム水溶液N/10の使用量(ml)
B=空試験に要した水酸化カリウム水溶液N/10の使用量(ml)
f=N/10水酸化カリウム水溶液の力価
S=酸変性脂肪族ポリエステル系樹脂(B)採取量(g)
滴定装置としては、例えば以下が使用できる。
滴定測定装置:京都電子工業株式会社製 電位差自動滴定装置AT-610
参照電極 :複合ガラス電極C-171
滴定液 :富士フィルム和光純薬株式会社 水酸化カリウム水溶液(N/10)
上記の酸価の制御には、例えば、以下の方法が挙げられる。
(i)酸変性ポリエステル系樹脂に、α,β-不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト重合する際のラジカル開始剤の量を調整する方法。
(ii)酸変性ポリエステル系樹脂を乾燥させ、吸水率を下げる方法。
中でも、(i)の方法が、酸価の制御のしやすさから好ましい。
酸変性ポリエステル系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、210℃、2.16kgで測定した場合、1.0~20.0g/10分であるのが好ましく、より好ましくは1.5~10.0g/10分であり、特に好ましくは2.0~8.0g/10分である。酸変性ポリエステル系樹脂のMFRは、分子量により調節することが可能である。
酸変性ポリエステル系樹脂の融点は65~260℃であるのが好ましく、より好ましくは70~200℃であり、さらに好ましくは75~140℃である。
本発明では、酸変性ポリエステル系樹脂は1種に限らず、構成単位の種類や構成単位比、製造方法、物性等の異なる2種以上の酸変性ポリエステル系樹脂をブレンドして用いることができる。
(融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂)
本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物には、特定添加剤として融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を含む。融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を含むことで、酸変性ポリエステル系樹脂のグラフト重合反応に使用される余剰な活性ラジカルや酸が捕捉され、これにより酸変性ポリエステル系樹脂組成物における粘度上昇が抑制されると推測される。
なお、特定添加剤の融解ピーク(ΔH)は、示差走査熱量計を用いて以下の1)~3)により測定する。
1)特定添加剤を昇温速度10℃/分で-60℃から220℃まで昇温後、1分間保持する。
2)冷却速度10℃/分で-60℃まで冷却する。
3)再び昇温速度10℃/分で-60℃から220℃まで昇温させたときの融解ピーク(ΔH)を示差走査熱量計により測定する。
融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂は、極性基を有することが好ましく、前記極性基としては、例えば、酸無水物基、カルボン酸基、水酸基、エステル基等が挙げられ、好ましい極性基も同様である。
また、融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂は、二重結合、芳香環及びヘテロ原子からなる群から選択される少なくとも1つを有しているのが好ましい。二重結合、芳香環及びヘテロ原子からなる群から選択される少なくとも1つを有することで余剰な活性ラジカルや酸が捕捉され、これにより酸変性ポリエステル系樹脂組成物における粘度上昇が抑制されると推測されるので、本発明の効果が得られやすい。ヘテロ原子としては、例えば、窒素(N)原子、酸素(O)原子、硫黄(S)原子等が挙げられ、中でもヘテロ原子として酸素(O)原子を有するのが好ましい。
融解ピーク(ΔH)は、酸変性ポリエステル系樹脂組成物の加工性改善の観点から、10J/g以下であり、5J/g以下であるのが好ましく、また下限は特に限定されないが、0J/g以上であるのが好ましく、0.1J/g以上がより好ましい。
融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂の具体例としては、水添石油樹脂、ロジンエステル、ロジンジオール、酸変性ロジン、テルペンフェノール等が挙げられる。
(酸変性ポリエステル系樹脂組成物)
本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物は、上記したように、ベース樹脂としての酸変性ポリエステル系樹脂と、添加剤としての融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂(特定添加剤)とを含有する。
酸変性ポリエステル系樹脂は、樹脂組成物中、50~99.99質量%であるのが好ましく、より好ましくは80~99.70質量%であり、さらに好ましくは90~99.50質量%である。酸変性ポリエステル系樹脂の含有量が50質量%以上であると、十分な接着力を発揮でき、99.99質量%以下であると加工性が改善される。
融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂(特定添加剤)は、樹脂組成物中に0.01~50質量%の範囲で含有するのが好ましい。この特定添加剤が酸変性ポリエステル系樹脂組成物中に0.01質量%以上含まれると本発明の所望の効果を得ることができる。また、特定添加剤の含有量が多くなり過ぎるとペレットのタック性が強くなり取り扱いが難しくなることがあるので、50質量%以下で含有するのが好ましい。特定添加剤の含有量は、酸変性ポリエステル系樹脂組成物中に0.30質量%以上であるのがより好ましく、0.50質量%以上がさらに好ましく、また20質量%以下であるのがより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
また、本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分を含むことができる。その他の成分としては、例えば、補強剤、充填剤、可塑剤、顔料、染料、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、帯電防止剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤等が挙げられる。
本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物は、成形材料として使用するために、通常はペレットや粉末などの成形品とされる。中でも成形機への投入時や運搬時の取扱い性に優れ、また微粉発生の問題が小さい点から、ペレット形状とすることが好ましい。
なお、かかるペレット形状への成形は公知の方法を用いることができるが、押出機からストランド状に押出し、冷却後所定の長さに切断し、円柱状のペレットとする方法が効率的である。
また、かかる円柱状のペレットの大きさとしては、通常、長さ1~4mm、好ましくは2~3mm、直径は通常、1~4mm、好ましくは2~3mmである。
本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物の製造方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができ、酸変性ポリエステル系樹脂を製造するときに特定添加剤を添加、混合する方法、また、酸変性ポリエステル系樹脂を製造後、特定添加剤を添加、混合する方法等が挙げられる。
例えば、以下の(i)~(ix)等が挙げられる。
(i)ポリエステル系樹脂にα,β-不飽和カルボン酸類、およびラジカル開始剤、融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を予め混合した後、混練機中で溶融混練して反応させる方法
(ii)混練機中で溶融状態にあるポリエステル系樹脂に、α,β-不飽和カルボン酸類、およびラジカル開始剤、融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を配合し溶融混練して反応させる方法
(iii)混練機中で溶融状態にあるポリエステル系樹脂および融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂の混合物に、α,β-不飽和カルボン酸類およびラジカル開始剤を配合し溶融混練して反応させる方法
(iv)混練機中で溶融状態にあるポリエステル系樹脂、α,β-不飽和カルボン酸類およびラジカル開始剤の混合物に、融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を配合し溶融混練して反応させる方法
(v)ポリエステル系樹脂、α,β-不飽和カルボン酸類、ラジカル開始剤および融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を全て溶媒に溶かし、溶液状で混合し反応させる方法
(vi)ポリエステル系樹脂、α,β-不飽和カルボン酸類、ラジカル開始剤および融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を全て溶媒に溶かし、懸濁状で混合し反応させる方法
(vii)酸変性ポリエステル系樹脂及び融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂をドライブレンドした後、溶融し、混練する方法
(viii)酸変性ポリエステル系樹脂及び融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を溶媒に溶かし、溶液状で混合する方法
(ix)酸変性ポリエステル系樹脂層及び融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂層を含有する積層体を粉砕し、溶融し、混練する方法
なお、(i)~(vi)の方法に関しては熱反応のみでも可能であるが、反応性を高めるためには、ラジカル開始剤を用いることが好ましい。また、反応させる手法としては、溶液反応、懸濁液としての反応、溶媒等を使用しない溶融状態での反応(溶融法)等を挙げることができるが、中でも溶融法で行うことが好ましい。
原料を予め混合する際に用いられる混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等を使用することができ、溶融混練に用いられる混練機としては、例えば、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等を使用することができる。
溶融混練する方法としては、各材料をヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等の混合機により、混合した後、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等の溶融混練機にて溶融し、混練する方法が挙げられる。
また、(ix)の方法は主に積層体の端部などをリサイクルする際に用いられる。
(ix)の製造方法については、例えば、酸変性ポリエステル系樹脂、融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を各々含む層を有する多層成膜の両端など不要部を粉砕し、必要により任意成分を加え、単軸又は二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーミキサー等の溶融混練機にて溶融し、混練する方法が挙げられる。
溶融混練時の温度は、酸変性ポリエステル系樹脂及び融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂の融点以上であって、かつ熱劣化しない温度範囲で適宜設定することができるが、好ましくは100~300℃であり、特に好ましくは140~250℃、更に好ましくは160~230℃である。
本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物は、流動性に優れ取り扱い安いため、成形材料として有用である。溶融成形方法としては、押出成形、インフレーション成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、圧縮成形、カレンダー成形、など公知の成形法を用いることができる。
また、本発明の成形品としては、フィルム、シート、パイプ、円板、リング、袋状物、ボトル状物、繊維状物など、多種多用の形状のものを挙げることができる。
本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物は接着剤の主成分として用いることができ、本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有する接着剤は、PVA系樹脂とポリ乳酸系樹脂のような表面特性の異なる2つの材料の接着性を向上できる。
本発明の接着剤に含まれる酸変性ポリエステル系樹脂組成物の含有量は、50質量%以上であるのが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、接着剤が酸変性ポリエステル系樹脂組成物からなるもの(酸変性ポリエステル系樹脂組成物100質量%)であってもよい。
接着剤には、本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物に任意の成分を含有していてもよく、例えば、補強剤、充填剤、可塑剤、顔料、染料、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、帯電防止剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤等が挙げられる。
〔積層体〕
本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物は、接着樹脂として2つの部材を接着するのに用いられる。
本発明の積層体は、本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有する層を少なくとも一層有する。
また、本発明の積層体は、第1の層と第2の層との間に接着層を設け、第1の層と第2の層のうちの少なくとも1層がPVA系樹脂層であり、前記接着層に本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含む。
中でも、本発明の積層体は、ガスバリア層にPVA系樹脂(B)層、外層に生分解性樹脂(C)層を用い、PVA系樹脂(B)層と生分解性樹脂(C)層の間に本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含む接着剤(A)層を有するものが好ましい。
(PVA系樹脂(B)層)
PVA系樹脂(B)層は、本発明の積層体のガスバリア性を担うことが好ましい。
PVA系樹脂(B)層は、後述する生分解性樹脂(C)層に対し、その少なくとも一方の面に本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有する接着剤(A)層を介して積層されることが好ましい。
本発明で用いられるPVA系樹脂(B)層は、PVA系樹脂(B)を主成分とする層であり、通常はPVA系樹脂(B)を70質量%以上含有し、好ましくは80質量%以上含有し、より好ましくは90質量%以上含有する。上限は100質量%である。かかる含有量が少なすぎると、ガスバリア性が不十分となる傾向がある。
本発明で用いられるPVA系樹脂(B)は、ビニルエステル系単量体を重合して得られるポリビニルエステル系樹脂をケン化して得られる、ビニルアルコール構造単位を主体とする樹脂であり、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位とビニルエステル構造単位から構成される。
上記ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的に酢酸ビニルが好ましく用いられる。
本発明で用いられるPVA系樹脂(B)の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は、200~1800であるのが好ましく、特に300~1500、殊に300~1000のものが好ましく用いられる。
かかる平均重合度が小さすぎると、PVA系樹脂(B)層の機械的強度が不十分となる傾向がある。逆にかかる平均重合度が大きすぎると、熱溶融成形によってPVA系樹脂(B)層を形成する場合に流動性が低下して成形性が低下する傾向があり、成形時せん断発熱が異常発生してPVA系樹脂(B)が熱分解しやすくなる場合がある。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂(B)のケン化度(JIS K6726に準拠して測定)は、80~100モル%であるのが好ましく、特に90~99.9モル%、殊に98~99.9モル%のものが好適に用いられる。
かかるケン化度が低すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。
また、本発明では、PVA系樹脂(B)として、ポリビニルエステル系樹脂の製造時に各種単量体を共重合させ、これをケン化して得られたものや、未変性PVAに後変性によって各種官能基を導入した各種変性PVA系樹脂を用いることができる。
ビニルエステル系単量体との共重合に用いられる単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレフィン類、3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール、3,4-ジヒドロキシ-1-ブテン等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類およびそのアシル化物等の誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、その塩、そのモノエステル、あるいはそのジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2-ジアルキル-4-ビニル-1,3-ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4-ジアセトキシ-1-ブテン等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1-メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
また、後変性によって官能基が導入された変性PVA系樹脂としては、ジケテンとの反応によるアセトアセチル基を有するもの、エチレンオキサイドとの反応によるポリアルキレンオキサイド基を有するもの、エポキシ化合物等との反応によるヒドロキシアルキル基を有するもの、あるいは各種官能基を有するアルデヒド化合物をPVAと反応させて得られたもの等を挙げることができる。
かかる変性PVA系樹脂中の変性種、すなわち共重合体中の各種単量体に由来する構成単位、あるいは後反応によって導入された官能基の含有量は、変性種によって特性が大きくことなるため一概には言えないが、1~20モル%であるのが好ましく、特に2~10モル%の範囲が好ましく用いられる。
これらの各種変性PVA系樹脂の中でも、本発明においては、下記一般式(6)で示される側鎖に1,2-ジオール構造を有する構造単位(以下、「1,2-ジオール構造単位」と称することがある。)を有するPVA系樹脂が、後述する本発明の積層体の製造法において、溶融成形が容易になる点で好ましく用いられる。
Figure 2024046111000001
なお、かかる一般式(6)で表わされる1,2-ジオール構造単位中のR11~R14は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。
該アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、該アルキル基は、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の官能基を有していてもよい。
また、一般式(6)で表わされる1,2-ジオール構造単位中のXは、単結合又は結合鎖を表す。
かかる結合鎖としては、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニレン基、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキニレン基、フェニレン基、ナフチレン基等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等で置換されていてもよい。)の他、-O-、-(CHO)-、-(OCH-、-(CHO)CH-、-CO-、-COCO-、-CO(CH2)CO-、-CO(C)CO-、-S-、-CS-、-SO-、-SO-、-NR-、-CONR-、-NRCO-、-CSNR-、-NRCS-、-NRNR-、-HPO-、-Si(OR)-、-OSi(OR)-、-OSi(OR)O-、-Ti(OR)-、-OTi(OR)-、-OTi(OR)O-、-Al(OR)-、-OAl(OR)-、-OAl(OR)O-等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、またtは1~5の整数を表す。)が挙げられる。
中でも結合鎖は、製造時あるいは使用時の安定性の点で、炭素数1~6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、特にメチレン基、あるいは-CHOCH-が好ましい。
Xは、熱安定性の点や高温下や酸性条件下での安定性の点で単結合が最も好ましい。
一般式(6)で表わされる1,2-ジオール構造単位の中でも、R11~R14がすべて水素原子であり、Xが単結合である、下記一般式(6’)で表わされる構造単位が最も好ましい。
Figure 2024046111000002
かかる側鎖に1,2-ジオール構造単位を有するPVA系樹脂の製造法としては、特開2015-143356号公報の段落〔0026〕~〔0034〕に記載の方法等が挙げられる。
かかる側鎖に1,2-ジオール構造単位を有するPVA系樹脂に含まれる1,2-ジオール構造単位の含有量は、1~20モル%であるのが好ましく、さらに2~10モル%、特に3~8モル%のものが好ましく用いられる。かかる含有量が低すぎると、側鎖1,2-ジオール構造の効果が得られにくく、逆にかかる含有量が高すぎると、高湿度でのガスバリア性の低下が著しくなる傾向がある。
なお、PVA系樹脂中の1,2-ジオール構造単位の含有率は、PVA系樹脂を完全にケン化したもののH-NMRスペクトル(溶媒:DMSO-d6、内部標準:テトラメチルシラン)から求めることができる。該含有率は、具体的には1,2-ジオール構造単位中の水酸基プロトン、メチンプロトン、およびメチレンプロトン、主鎖のメチレンプロトン、主鎖に連結する水酸基のプロトン等に由来するピーク面積から算出すればよい。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂(B)は、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよい。PVA系樹脂(B)が二種類以上の混合物である場合は、上述の未変性PVA同士、未変性PVAと一般式(1)で示される構造単位を有するPVA系樹脂、ケン化度、重合度、変性度等が異なる一般式(1)で示される構造単位を有するPVA系樹脂同士、未変性PVA、あるいは一般式(1)で示される構造単位を有するPVA系樹脂と他の変性PVA系樹脂等の組み合わせを用いることができる。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂(B)層には、PVA系樹脂(B)以外にも熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、充填剤、滑剤、結晶核剤が配合されていてもよい。
(生分解性樹脂(C)層)
次に本発明の積層体の外層に好ましく用いられる生分解性樹脂(C)層について説明する。かかる生分解性樹脂(C)層は、生分解性樹脂(C)を主成分とする層であり、生分解性樹脂(C)を70質量%以上含有するのが好ましく、より好ましくは80質量%以上含有し、より好ましくは90質量%以上含有する。上限は100質量%である。
生分解性樹脂(C)としては、例えば、ポリ乳酸(PLA)、アジピン酸/テレフタル酸/1,4-ブタンジオールの縮重合物(ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT))、コハク酸/1,4-ブタンジオール/乳酸の縮重合物、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンセバケートテレフタレート(PBSeT)、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート(PBSAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸等の脂肪族ポリエステル;変性でんぷん;カゼインプラスチック;セルロース等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して用いることもできる。
中でも、強度の点では、ポリ乳酸やポリブチレンアジペートテレフタレートが好ましい。更には接着性及び強度の点から、ポリ乳酸とポリブチレンアジペートテレフタレートとの混合物が好ましい。
ポリ乳酸は、乳酸構造単位を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であり、L-乳酸、D-乳酸、又はその環状2量体であるL-ラクタイド、D-ラクタイド、DL-ラクタイドを原料とする重合体である。
生分解性樹脂(C)層に用いられるポリ乳酸は、これら乳酸類の単独重合体であることが好ましいが、特性を阻害しない程度の量、例えば10モル%以下であれば、乳酸類以外の共重合成分を含有するものであってもよい。
かかる共重合成分としては、例えば、グリコール酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシ吉草酸、6-ヒドロキシカプロン酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸;カプロラクトン等のラクトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等の脂肪族ジオール類;コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族二塩基酸を挙げることができる。
また、ポリ乳酸中のL-乳酸成分とD-乳酸成分の含有比率(L-乳酸成分の質量/D-乳酸成分の質量)は、95/5以上であるのが好ましく、特に99/1以上、殊に99.8/0.2以上のものが好ましく用いられる。かかる値が大きいものほど融点が高くなって、耐熱性が向上し、逆にかかる値が小さいものほど融点が低くなり、耐熱性が不足する傾向がある。
具体的には、ポリ乳酸の単独重合体の場合、上記含有比率が95/5であるものの融点は約152℃であり、99/1であるものの融点は約171℃、99.8/0.2であるものの融点は175℃以上である。
また、ポリ乳酸の重量平均分子量は、20,000~1,000,000であるのが好ましく、特に30,000~300,000、殊に40,000~200,000が好ましい。かかる重量平均分子量が大きすぎると、熱溶融成形時の溶融粘度が高すぎ、良好な製膜が困難になる傾向があり、逆にかかる重量平均分子量が小さすぎると、得られた積層体の機械的強度が不十分となる傾向がある。
かかる重量平均分子量は、溶離液としてのテトラヒドロフランと、40℃に加熱したカラム(ポリスチレンゲル)を用いて、ISO 16014-1規格及びISO 16014-3規格に従い、ポリスチレン等価量としてサイズ排除クロマトグラフィー(GPC、ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定することができる。
かかるポリ乳酸の市販品としては、例えば、NatureWorks社製「Ingeo」、三井化学社製「Lacea」、浙江海正生物材料股ふん有限公司製「REVODE」、及び東洋紡績社製「バイロエコール」等を挙げることができる。
ポリブチレンアジペートテレフタレートは、アジピン酸とテレフタル酸と1,4-ブタンジオールを縮重合して得られる。
ポリブチレンアジペートテレフタレート中のアジピン酸の含有量は、10~50モル%であるのが好ましく、より好ましくは15~40モル%である。
ポリブチレンアジペートテレフタレート中のテレフタル酸の含有量は、5~45モル%であるのが好ましく、より好ましくは8~35モル%である。
また、ポリブチレンアジペートテレフタレート中の1,4-ブタンジオールの含有量は、5~45モル%であるのが好ましく、より好ましくは10~30モル%である。
各成分の含有量が多すぎても少なすぎても、加工性、耐腐食性が低下する傾向がある。
ポリブチレンアジペートテレフタレートの重量平均分子量は、3,000~1,000,000、好ましくは20,000~600,000、更に好ましくは50,000~400,000である。かかる重量平均分子量が小さすぎると製造が困難となり、かかる重量平均分子量が大きすぎると溶融粘度が高くなり成形性が低下する傾向がある。
かかる重量平均分子量は、上記した方法により測定できる。
ポリブチレンアジペートテレフタレートは、アジピン酸、テレフタル酸、1,4-ブタンジオール以外にも、その他の共重合成分を含有してもよい。
その他の共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラヒドロフラン(ポリ-THF)等のジヒドロキシ化合物;グリコール酸、D-乳酸、L-乳酸、D,L-乳酸、6-ヒドロキシヘキサン酸、その環式誘導体、例えばグリコリド(1,4-ジオキサン-2,5-ジオン)、D-ジラクチド、L-ジラクチド(3,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン);p-ヒドロキシ安息香酸ならびにp-ヒドロキシ安息香酸のオリゴマーおよびポリマー等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
かかるその他の共重合成分の含有量は、ポリブチレンアジペートテレフタレート全体の0.1~30モル%程度である。
また、ポリ乳酸とポリブチレンアジペートテレフタレートの混合物を用いる場合、混合の割合としては、ポリ乳酸/ポリブチレンアジペートテレフタレート(質量比)が、10/90~90/10であるのが好ましく、より好ましくは20/80~60/40である。
また、本発明で用いられる生分解性樹脂(C)層には、生分解性樹脂(C)以外にも熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、充填剤、滑剤、結晶核剤等が配合されていてもよい。
本発明の積層体は、3~15層の層構造を有するのが好ましく、層数は、より好ましくは3~7層、特に好ましくは5~7層である。
本発明の積層体の構成は特に限定されないが、本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含む接着剤(A)層をa、PVA系樹脂(B)層をb、生分解性樹脂(C)層をcとするとき、c/a/b、c/a/b/a/c、c/b/a/b/a/b/c等、任意の組み合わせが可能である。なお、積層体中に生分解性樹脂(C)層が複数存在する場合、複数の生分解性樹脂(C)層は、それぞれ、同一のものでもよく、異なったものでもよい。積層体中にPVA系樹脂(B)層が複数存在する場合及び接着剤(A)層が複数存在する場合においても同様である。
なお、通常は、PVA系樹脂(B)層の吸湿によるガスバリア性能の低下を防止するため、PVA系樹脂(B)層のうち、外気、あるいは水分を含有する内容物に接触する部分には生分解性樹脂(C)層を設ける層構成であることが好ましい。
本発明の積層体の厚さは、1~30,000μmであるのが好ましく、特に3~13,000μm、殊に10~3,000μmの範囲が好ましく用いられる。
さらに積層体を構成する各層の厚さとしては、生分解性樹脂(C)層の厚さは、0.4~14,000μmであるのが好ましく、より好ましくは1~6,000μm、特に好ましくは4~1,400μmである。かかる生分解性樹脂(C)層の厚さが厚すぎると、積層体が硬くなりすぎる傾向があり、逆にかかる生分解性樹脂(C)層の厚さが薄すぎると積層体が脆くなる傾向がある。
また、PVA系樹脂(B)層の厚さは、0.1~1,000μmであるのが好ましく、より好ましくは0.3~500μm、特に好ましくは1~100μmである。かかるPVA系樹脂(B)層の厚さが厚すぎると、積層体が硬く脆くなる傾向があり、逆にかかるPVA系樹脂(B)層の厚さが薄すぎると、ガスバリア性が低くなる傾向がある。
本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含む接着剤(A)層の厚さは、0.1~500μmであるのが好ましく、より好ましくは0.15~250μm、特に好ましくは0.5~50μmである。かかる接着剤(A)層の厚さが厚すぎると、外観が不良となる場合があり、逆にかかる接着剤(A)層の厚さが薄すぎると接着力が弱くなる傾向がある。
また、生分解性樹脂(C)層及びPVA系樹脂(B)層の厚さの比(生分解性樹脂(C)層の厚さ/PVA系樹脂(B)層の厚さ)は、各層が複数ある場合は、その厚さの合計値同士の比で、1~100であるのが好ましく、より好ましくは2.5~50である。かかる比が大きすぎると、バリア性が低くなる傾向があり、かかる比が小さすぎると積層体が硬く脆くなる傾向がある。
また、本発明の積層体及び接着剤(A)層(接着層)の厚さの比(接着剤(A)層の厚さ/本発明の積層体の厚さ)は、接着剤(A)層が複数ある場合は、その厚さの合計値の比で、0.005~0.5であるのが好ましく、より好ましくは0.01~0.3である。かかる比が大きすぎると、外観が悪くなる傾向があり、かかる比が小さすぎると接着力が弱くなる傾向がある。
本発明の積層体は、従来公知の成形方法によって製造することができ、具体的には溶融成形法や溶液状態からの成形法を用いることができる。
例えば、溶融成形法としては、生分解性樹脂(C)のフィルム、あるいはシートに、本発明の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含む接着剤(A)、PVA系樹脂(B)を順次、あるいは同時に溶融押出ラミネートする方法、逆にPVA系樹脂(B)のフィルム、あるいはシートに、接着剤(A)、生分解性樹脂(C)を順次、あるいは同時に溶融押出ラミネートする方法、又は、生分解性樹脂(C)、接着剤(A)、PVA系樹脂(B)を共押出する方法が挙げられる。
また、溶液状態からの成形法としては、生分解性樹脂(C)のフィルム、あるいはシート等に接着剤(A)を良溶媒に溶解した溶液を溶液コートし、乾燥後、PVA系樹脂(B)の水溶液を溶液コートする方法等を挙げることができる。
中でも、一工程で製造でき、層間接着性が優れた積層体が得られる点で溶融成形法が好ましく、特に共押出法が好ましく用いられる。そして、かかる溶融成形法を用いる場合には、PVA系樹脂(B)として側鎖に1,2-ジオール構造単位を有するPVA系樹脂を用いることが好ましい。
上記共押出法においては、例えば具体的にはインフレーション法、Tダイ法、マルチマニーホールドダイ法、フィードブロック法、マルチスロットダイ法が挙げられる。ダイスの形状としてはTダイス、丸ダイス等を使用することができる。
溶融押出時の溶融成形温度は、140~250℃であるのが好ましく、より好ましくは160~230℃の範囲が用いられる。
本発明の積層体は、さらに加熱延伸処理されたものであってもよく、かかる延伸処理により、強度の向上や、ガスバリア性の向上が期待できる。
なお、上記延伸処理等については、公知の延伸方法を採用することができる。
例えば具体的には、多層構造体シートの両耳を把んで拡幅する一軸延伸、二軸延伸;多層構造体シートを、金型を用いて延伸加工する深絞成形法、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法等の金型成形法;パリソン等の予備成形された多層構造体を、チューブラー延伸法、延伸ブロー法等で加工する方法が挙げられる。
かかる延伸法として、フィルムやシート状の成形物を目的とする場合、一軸延伸、二軸延伸法を採用することが好ましい。
また、深絞成形法、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法等の金型成形方法の場合は、積層体を、熱風オーブン、加熱ヒーター式オーブン又は両者の併用等により均一に加熱して、チャック、プラグ、真空力、圧空力等により延伸することが好ましい。
カップやトレイ等の、絞り比(成形品の深さ(mm)/成形品の最大直径(mm))が通常0.1~3である成形物を目的とする場合、深絞成形法、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法等の金型を用いて延伸加工する金型成形方法を採用することが好ましい。
かくして得られた本発明の積層体は、例えば、生分解性樹脂(C)層と接着剤(A)層、PVA系樹脂(B)層と接着剤(A)層のいずれの層間でも強い接着力を有する。
また、接着剤(A)、生分解性樹脂(C)、PVA系樹脂(B)はいずれも生分解性であり、本発明の積層体も生分解性に優れる。
本発明の積層体は、生分解するため、コンポストにそのまま捨てることが出来るもの、例えば、コーヒーカプセル(カプセル式コーヒーメーカー用のコーヒー豆容器)、シュリンク用フィルム、その他食料・飲料品の容器に好適に用いられる。
更に、本発明の積層体がPVA系樹脂(B)層を有する場合、PVA系樹脂(B)層を水に溶解させて除き、残った非水溶性樹脂のみをリサイクルすることもできる。
以上のとおり、本明細書には次の構成が開示されている。
〔1〕酸変性ポリエステル系樹脂を主成分として含み、且つ、融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を添加剤として含むことを特徴とする酸変性ポリエステル系樹脂組成物。
〔2〕前記融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂が極性基を有することを特徴とする、前記〔1〕に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物。
〔3〕前記融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂が二重結合、芳香環及びヘテロ原子からなる群から選択される少なくとも1つを有することを特徴とする、前記〔1〕に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物。
〔4〕前記融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂の含有量が、0.01~50質量%であることを特徴とする、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物。
〔5〕前記酸変性ポリエステル系樹脂が生分解性を有することを特徴とする、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物。
〔6〕前記〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤。
〔7〕前記〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有する層を少なくとも一層有することを特徴とする積層体。
〔8〕第1の層と第2の層との間に接着層を設けた積層体であって、
前記第1の層と前記第2の層のうちの少なくとも1層がポリビニルアルコール系樹脂層であり、
前記接着層が、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有することを特徴とする積層体。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」、「ppm」とあるのは、特に記載のない限り質量基準を意味する。
なお、各例で使用した原料樹脂と添加剤は以下のとおりである。
<原料樹脂>
(A)ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT):BASF社製「エコフレックスC1200」
(B)ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST):下記製造例1で製造したポリエステル共重合体
(C)ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA):三菱ケミカル株式会社製「BioPBS FD92PM」
(D)上記(A)のPBATと上記(C)のPBSAの混合物:PBAT/PBSA(質量比)=8/2
(E)上記(B)のPBSTと上記(C)のPBSAの混合物:PBST/PBSA(質量比)=8/2
(製造例1:ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)の製造)
[重縮合用触媒の調製]
撹拌装置付き反応器に酢酸マグネシウム・4水和物を343.5部入れ、更に1434部の無水エタノール(純度99%以上)を加えた。更にエチルアシッドホスフェート(モノエステル体とジエステル体の混合質量比は45:55)を218.3部加え、23℃で撹拌を行った。酢酸マグネシウムが完全に溶解したことを確認後、テトラ-n-ブチルチタネートを410.0部添加した。更に10分間撹拌を継続し、均一混合溶液を得た。この混合溶液を、60℃以下の温度でコントロールし減圧下で濃縮を行った。添加したエタノールに対し、およそ半分量のエタノールが留去され、半透明の粘稠な液体が残った。ここへ1,4-ブタンジオール1108部を添加し、温度80℃以下の温度でコントロールし減圧下でさらに濃縮を行い、チタン原子含有量3.5%の触媒溶液を得た。
[ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)の重合]
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸33.6部、テレフタル酸38.6部、1,4-ブタンジオール69.7部、トリメチロールプロパン0.138部(コハク酸とテレフタル酸の合計100モル%に対して0.200モル%)、ポリエチレンワックス(Honeywell社製「ACumistB6」、融点:124℃)0.10部、水酸化ナトリウム(NaOH)0.0017部を仕込み、さらにテトラ-n-ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂あたりチタン原子として30ppmとなるように添加した。容器内容物を攪拌下、容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。次に、系内を攪拌しながら160℃から230℃へ1時間かけて昇温し、この温度で3時間反応させた。得られたエステルオリゴマーの末端酸価を測定したところ90eq./tonであった。
このエステルオリゴマーに、前記の触媒溶液を、得られるポリエステルあたりチタン原子として70ppmとなる量を添加し、45分かけて250℃まで昇温すると同時に、1時間20分かけて0.07×10Pa以下になるように減圧し、加熱減圧状態を保持したまま重縮合を継続し、所定の粘度になったところで重合を終了し、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)を得た。
<添加剤>
(a)水添石油樹脂:荒川化学株式会社製「M-100」(溶融ピーク(ΔH)1.3J/g、構造中に二重結合と芳香環を有する。)
(b)ロジンエステル:クレイトンコーポレーション社製「RE100L」(溶融ピーク(ΔH)3.2J/g、構造中に二重結合とヘテロ原子(O)原子を有する。)
(c)ロジンエステル:荒川化学株式会社製「E90M」(溶融ピーク(ΔH)1.8J/g、構造中に二重結合とヘテロ原子(O)原子を有する。)
(d)ロジンジオール:荒川化学株式会社製「D90B」(溶融ピーク(ΔH)2.4J/g、構造中に二重結合とヘテロ原子(O)原子を有する。)
(e)酸変性ロジン:荒川化学株式会社製「R140B」(溶融ピーク(ΔH)0.9J/g、構造中に二重結合とヘテロ原子(O)原子を有する。)
(f)テルペンフェノール:クレイトンコーポレーション社製「TP2040」(溶融ピーク(ΔH)2.2J/g、構造中に二重結合、芳香環及びヘテロ原子(O)原子を有する。)
(g)テルペンフェノール:クレイトンコーポレーション社製「1115」(溶融ピーク(ΔH)2.0J/g、構造中に二重結合、芳香環及びヘテロ原子(O)原子を有する。)
なお、上記添加剤の溶融ピーク(ΔH)は、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製「DSC Q2000」)を用いて以下の1)~3)により測定した。
1)添加剤を昇温速度10℃/分で-60℃から220℃まで昇温後、1分間保持した。
2)冷却速度10℃/分で-60℃まで冷却した。
3)再び昇温速度10℃/分で-60℃から220℃まで昇温させたときの融解ピーク(ΔH)を示差走査熱量計により測定した。
<試験例1>
実施例1~23及び比較例1~5の酸変性ポリエステル系樹脂組成物について、加工性の評価を行った。
(実施例1)
〔酸変性ポリエステル系樹脂組成物の作製〕
原料のポリエステル系樹脂として(A)PBAT100部、無水マレイン酸0.20部、及びラジカル開始剤として2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルオキシ)ヘキサン(化薬ヌーリオン株式会社製「トリゴノックス 101-50D-PD」)0.30部をドライブレンドした。この混合物に添加剤として(a)水添石油樹脂を3%添加し、これを二軸押出機にて下記条件で溶融混練し、ストランド状に押出し、水冷後、ペレタイザーでカットし、円柱形ペレットの酸変性ポリエステル系樹脂組成物を得た。
二軸押出機
直径(D):15mm
L/D:60
スクリュー回転数:200rpm
メッシュ:60/90/60mesh
加工温度:160℃
(実施例2~5)
添加剤を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして酸変性ポリエステル系樹脂組成物を得た。
(比較例1)
添加剤を含有しなかった以外は、実施例1と同様にして酸変性ポリエステル系樹脂組成物を得た。
(実施例6~8、比較例2)
原料樹脂と添加剤を表2に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様にして酸変性ポリエステル系樹脂組成物を得た。
(実施例9~12、比較例3)
原料樹脂と添加剤を表3に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様にして酸変性ポリエステル系樹脂組成物を得た。
(実施例3~17、比較例4)
原料樹脂と添加剤を表4に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様にして酸変性ポリエステル系樹脂組成物を得た。
(実施例18~23、比較例5)
原料樹脂と添加剤を表5に記載のとおりとした以外は、実施例1と同様にして酸変性ポリエステル系樹脂組成物を得た。
実施例1~23、比較例1~5について、溶融混錬物の樹脂圧及びメルトフローレート(MFR)を測定し、加工性の評価を行った。
結果を表1~5に示す。
[樹脂圧の測定]
溶融混練が安定したところで、二軸押出機内にある樹脂圧計より樹脂圧を読み取った。
数値が低いほど樹脂が押出機内で増粘していないため良好である。
[MFRの測定]
JIS K 7210(1999)に従い、A法により溶融混錬物のメルトフローレート(MFR)を測定した。なお、測定温度は210℃(実施例1~5、9~17及び比較例1、3、4)又は190℃(実施例6~8、18~23及び比較例2、5)、荷重は2160gとした。
数値が高いほど溶融粘度が改善されており良好である。
[加工性の評価]
使用した原料樹脂毎に、添加剤を添加していない比較例を対象として、樹脂圧とMFR数値の改善度合いを総合判断し、以下の基準に基づき加工性を評価した。
実施例1~5は比較例1を、実施例4~6は比較例2を、実施例9~12は比較例3を、実施例13~17は比較例4を、実施例18~23は比較例5をそれぞれ基準として評価した。
<評価基準>
A(優):比較例に比べて樹脂圧が低く、MFRが特に高い
B(良):比較例に比べて樹脂圧が低く、MFRが高い
C(可):比較例に比べて樹脂圧が低く、MFRがやや高い
D(不可):比較例と同程度又は比較例よりも樹脂圧が高く、MFRが低い
Figure 2024046111000003
Figure 2024046111000004
Figure 2024046111000005
Figure 2024046111000006
Figure 2024046111000007
表1に記載の各例は原料樹脂としてPBATを用いたものであり、表2~5に記載の各例はそれぞれ、原料樹脂としてPBST、PBSA、PBATとPBSAの混合物、PBSTとPBSAの混合物を用いたものである。いずれの樹脂を用いた場合も、酸変性ポリエステル系樹脂と特定添加剤を含有することで、加工性が向上することがわかった。
<試験例2>
試験例1~23で作製した酸変性ポリエステル系樹脂組成物ペレットを用いて接着性の評価を行った。
〔PVAフィルムの作製〕
原料のPVA(三菱ケミカル株式会社製、「Nichigo G-Polymer BVE8049P」)を単軸押出機にて下記条件で溶融混錬し、Tダイスからフィルム状に押出し、ロールで引取冷却して30μm厚みのPVAフィルムを得た。
単軸押出機
直径(D):40mm
L/D:28
スクリュー回転数:20rpm
メッシュ:60/90/60mesh
加工温度:210℃
ロール
ロール温度:80℃
[接着性評価(熱プレス)]
酸変性ポリエステル系樹脂組成物のペレット0.01~0.03gを上記作製したPVAフィルムで挟み、これを、手動油圧真空加熱プレス(株式会社井元製作所製、型番:IMC-11FD-A)を用いて130℃で4分間加熱し、130℃で20kNの圧力で10秒間加圧し、積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムについて、以下の基準に基づき剥離性を評価した。
<評価基準>
A(良):力を入れても剥離しない
B(不可):力を入れると容易に剥離する
実施例1~23は全て、力を入れても剥離せず接着力が強く(A評価)、いずれも十分な接着性を有していた。

Claims (8)

  1. 酸変性ポリエステル系樹脂を主成分として含み、且つ、融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂を添加剤として含むことを特徴とする酸変性ポリエステル系樹脂組成物。
  2. 前記融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂が極性基を有することを特徴とする、請求項1に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物。
  3. 前記融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂が二重結合、芳香環及びヘテロ原子からなる群から選択される少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物。
  4. 前記融解ピーク(ΔH)が10J/g以下の樹脂の含有量が、0.01~50質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物。
  5. 前記酸変性ポリエステル系樹脂が生分解性を有することを特徴とする、請求項1に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有する層を少なくとも一層有することを特徴とする積層体。
  8. 第1の層と第2の層との間に接着層を設けた積層体であって、
    前記第1の層と前記第2の層のうちの少なくとも1層がポリビニルアルコール系樹脂層であり、
    前記接着層が、請求項1~5のいずれか1項に記載の酸変性ポリエステル系樹脂組成物を含有することを特徴とする積層体。
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