JP2001181405A - ビニルアルコール系重合体からなる溶融成形品 - Google Patents

ビニルアルコール系重合体からなる溶融成形品

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JP2001181405A JP36957599A JP36957599A JP2001181405A JP 2001181405 A JP2001181405 A JP 2001181405A JP 36957599 A JP36957599 A JP 36957599A JP 36957599 A JP36957599 A JP 36957599A JP 2001181405 A JP2001181405 A JP 2001181405A
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直樹 藤原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品外観、耐湿性、形態安定性、水溶性、
耐久性、強度に優れるビニルアルコール系重合体から溶
融成形品を提供すること。 【解決手段】 1,2−グリコール結合を1.8モル%
以上有するビニルアルコール系重合体からなる溶融成形
品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はビニルアルコール系
重合体からなる溶融成形品に関する。さらに詳しくは、
成形性品外観、耐湿性、形態安定性、水溶性、耐久性、
強度に優れた溶融成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアルコールからなる成形品
は、水溶性、力学物性、耐油性、生分解性等に優れてお
り、農業用、土木用、工業用、医療用、包装用、レジャ
ー用、玩具、雑貨、日用品、容器、部品等の幅広い分野
で使用されている。しかしながら、従来、ポリビニルア
ルコールは融点と分解温度が近いため、溶融成形にて成
形品を製造することが困難であった。ポリビニルアルコ
ールに溶融成形性を付与するため、これまで種々の検討
がなされてきた。例えば、けん化度を下げたり、他のコ
モノマーを共重合させたり、可塑剤を添加したりするこ
とで融点や溶融粘度を下げて溶融成形性を付与する方法
等が検討されてきた。
【0003】しかし、けん化度を下げると熱安定性が低
下するため、溶融成形時に酢酸臭や分解臭が発生した
り、溶融成形品にゲルやブツが発生して成形品の外観が
悪くなることがあるばかりか、得られた溶融成形品を高
湿度下に放置した際の強度や弾性率が大きく低下した
り、変形したりすることがある。またコモノマーを共重
合した場合も、得られた溶融成形品を高湿下で放置した
際の強度や弾性率が低下する。さらに可塑剤を添加して
融点や、溶融粘度を下げた場合も、得られた溶融成形品
を高湿下で放置した際の強度や弾性率が低下したり変形
したりすることがあるばかりか、可塑剤が成形品表面に
滲み出たりすることがあり、問題となることが多い。
【0004】さらに近年、ポリビニルアルコールの持つ
優れた水溶性を維持しながら、上記に示すような高湿度
下での物性や形態安定性を維持する、即ち耐湿性を上げ
ることが要求されている。一般的に、けん化度を上げる
などしてビニルアルコール系重合体の耐湿性を上げる
と、水溶性が低下してしまい、水溶性を維持しながら耐
湿性を付与することは困難であった。フィラーを添加し
たりすることによる検討もなされているが、耐水性、耐
湿性、形態安定性への効果は不十分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような背景下において、成形性品外観、耐湿性、形態安
定性、水溶性、耐久性、強度に優れた溶融成形品を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、1,2−グリコール結合を1.8モル%以上有
するビニルアルコール系重合体を使用することにより、
目的とする溶融成形品が得られることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、1,2−グリコール
結合を1.8モル%以上有するビニルアルコール系重合
体からなる溶融成形品に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるビニルアルコ
ール系重合体は、ビニルエステル重合体のけん化物また
はビニルエステルと共重合可能な他のビニルモノマーと
の共重合体のけん化物である。ここでビニルエステルと
しては酢酸ビニルが代表例として挙げられるが、その他
にプロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バレリン酸
ビニル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニル
エステルも挙げられる。これらのビニルエステルは一種
あるいは二種以上混合して使用してもよい。
【0009】ビニルエステルと共重合可能なビニルモノ
マーとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン系単
量体;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N
−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルア
ミド等のアクリルアミド系単量体;メタクリルアミド、
N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルア
ミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド等のメタクリ
ルアミド系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニ
ルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピ
ルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;ポリエ
チレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレ
ングリコールアリルエーテル、ポリプロピレングリコー
ルアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロ
ピレングリコールアリルエーテル、などのポリ(オキシ
アルキレン)基を有するアリルエーテル類;メチル−α
−(メトキシポリエチレンオキシ)メチルアクリレー
ト、メチル−α−(ヒドロキシポリプロピレンオキシ)
メチルアクリレートなどのα−メチル基上にポリオキシ
アルキレン基を有するメタクリレート類;アリルアルコ
ール;ビニルトリメトキシシラン;イソプロペニルアル
コール、7−オクテン−1−オール、アリルアセテー
ト、イソプロペニルアセテート、N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルホルムアルデヒド、N−ビニルアセトア
ミド等のN−ビニルアミド類等が挙げられる。これらの
中でもエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン
等の炭素数4以下のα−オレフィンが好ましく、耐湿
性、形態安定性の点でエチレンが特に好ましい。α−オ
レフィンを特定量共重合することで、ポリビニルアルコ
ール系重合体の溶融成形性を向上させることができる。
α−オレフィン単位の含有量は、1〜19モル%である
ことが好ましく、1.5〜15モル%であることがより
好ましく、2〜12モル%であることが特に好ましい。
α−オレフィンの含有量が1モル%未満では、共重合に
よる効果が顕著に現れない場合がある。一方、α−オレ
フィンの含有量が19モル%を超えると、得られる溶融
成形品の水溶性が低下する場合がある。
【0010】本発明に用いられるビニルアルコール系重
合体は、1,2−グリコール結合を1.8モル%以上有
していることが必要であり、1.8〜3.5モル%有し
ていることが好ましく、1.9〜3.2モル%有してい
ることがより好ましく、2.0〜3.0モル%有してい
ることが特に好ましい。特定量の1,2−グリコール結
合を有するビニルアルコール系重合体を用いて溶融成形
品を製造することにより、熱安定性、耐湿性、形態安定
性、水溶性のいずれにも優れた成形品が得られる。1,
2−グリコール結合量が1.8モル%より低いと、得ら
れる溶融成形品の水溶性が低下する。1,2−グリコー
ル結合を導入する方法は特に限定はなく、公知の方法が
使用可能である。一例として、ビニレンカーボネートを
上記の1,2−グリコール結合量になるよう共重合する
方法、重合温度を通常の条件より高い温度、例えば75
〜200℃で加圧下に重合する方法などが挙げられる。
後者の方法において、重合温度は90〜190℃である
ことが好ましく、100〜180℃であることが特に好
ましい。
【0011】ビニルアルコール系重合体の1,2−グリ
コール結合の含有量は、NMRスペクトルの解析から求
めることができる。すなわち、測定しようとするビニル
アルコール系重合体をまずけん化度99.9モル%以上
にけん化した後、十分にメタノール洗浄を行い、次いで
90℃で2日間減圧乾燥したのち、DMSO−d6に溶
解し、さらにトリフルオロ酢酸を数滴加えて調製したも
のを測定用試料とし、500MHzのプロトンNMRを
用いて80℃で測定する。ビニルアルコール単位のメチ
ン由来のピークは3.2〜4.0ppm(積分値A)、
1,2−グリコール結合の1つのメチン由来のピークは
3.25ppm(積分値B)に帰属され、次式から1,
2−グリコール結合の含有量を算出できる。
【0012】1,2−グリコール結合の含有量(モル
%)=(B/A)×100
【0013】本発明に用いられるビニルアルコール系重
合体の重合度には特に限定はなく、成形方法、使用目的
等により適宜選択できるが、200〜3000であるこ
とが好ましく、250〜2500であることがより好ま
しく、300〜2000であることが特に好ましい。重
合度が200より低いと、得られる溶融成形品の物性、
特に耐衝撃性や力学物性が低下することがある。一方、
重合度が3000より高いと溶融粘度が高くなり、溶融
成形性が低下することがある。
【0014】本発明に用いられるポリビニルアルコール
系重合体のけん化度は特に制限されず、成形方法、使用
目的、所望の水溶性、耐湿性、形態安定性に応じて適宜
選択されるが、80〜100モル%であることが好まし
く、90〜100モル%であることがより好ましく、9
5〜100モル%であることが特に好ましい。けん化度
が80モル%未満では、溶融成形品の耐湿性、形態安定
性が低下するばかりか、成形時の熱安定性が悪くなり、
酢酸臭を発生したり、成形品にブツやゲルを多量に生じ
ることがある。
【0015】本発明に用いられるビニルアルコール系重
合体の融点は、170〜232℃であることが好まし
く、180〜230℃であることがより好ましく、18
5〜225℃であることが特に好ましい。融点が170
℃未満の場合は、ビニルアルコール系重合体の熱安定性
や耐熱性、耐湿性、形態安定性が低下し、問題となるこ
とがある。一方、融点が232℃を超えると、ビニルア
ルコール系重合体の融点が熱分解温度と近くなるため、
溶融成形が困難となる場合がある。また、190〜23
0℃の範囲のいずれかの温度で、2160g荷重おける
メルトフローインデックスが0.1〜500g/10分
のものが一般的に用いられる。上記ビニルアルコール系
重合体の融点は、DSCを用いて窒素中、昇温速度10
℃/分で250℃まで昇温後、室温まで冷却し、再度昇
温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のビニル
アルコール系重合体の融点を示す吸熱ピークのピークト
ップの温度を意味する。
【0016】尚、本発明の溶融成形品には、グリセリ
ン、ジグリセリンやその誘導体、ポリエチレングリコー
ル、水等の可塑剤が添加されているものも包含される。
可塑剤の添加量はポリビニルアルコール系樹脂に対し、
0.001〜30重量部であることが好ましく、0.0
01〜25重量部であることがさらに好ましい。可塑剤
の添加量が30重量部を超えると、溶融成形品の耐湿性
や形態安定性が低下したり、可塑剤が表面ににじみ出た
りして問題になることがある。また、他の添加剤(熱安
定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、離型
剤、フィラー、界面活性剤など)や他の樹脂を、本発明
の目的が阻害されない範囲で添加することもできる。
【0017】本発明の溶融成形品は、通常一般に用いら
れる溶融成形法、すなわち樹脂を融点または軟化点以上
の温度に加熱し、成形品に賦形する方法により製造でき
る。溶融成形方法としては、例えば、射出成形、(Tダ
イ)押出成形、中空成形、熱成形、圧縮成形、インフレ
ーション成形、カレンダー成形などが挙げられる。ま
た、本発明の溶融成形品は、その形状や大きさにも特に
制限が無く、用途、目的により適宜選択でき、例えば、
塊状、板状、棒状、箱状、円柱状、円筒状などの成形
品、ボトル、カップなどの容器、フィルム、シート、キ
ャップ等に加工したものが挙げられる。フィルムの場合
には、通常1〜1000μmの厚さで使用される。
【0018】本発明の溶融成形品は、水溶性、耐湿性、
形態安定性、強度、耐久性に優れており、種々の形状に
加工され、農業用、土木用、工業用、医療用、包装用、
レジャー用、玩具用、雑貨用、日用品用、容器用などの
各種用途に使用される。
【0019】本発明の溶融成形品の用途としては、例え
ば、打ち上げ花火の台を挙げることができる。該打ち上
げ花火の台は、使用後、海や川あるいは土中の水により
溶解し、かつ生分解性を有しているので、環境保護の点
で優れている。またこの打ち上げ花火の台は、耐湿性、
形態安定性に優れているので、吸湿等により打ち上げ花
火の台が変形したり軟化して、性能や安全性が低下する
ことはない。打ち上げ花火の台を製造する方法として
は、溶融成形する方法であれば特に限定されないが、生
産性、寸法安定性等の点で、射出成形が好適である。
【0020】本発明の溶融成形品のその他の主な用途と
しては、例えば、包装用フィルムまたはシート、土木用
フィルムまたはシート、医療用フィルムまたはシート等
を挙げることができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例
において「部」および「%」は、特に断らない限り重量
基準を意味する。また、ビニルアルコール系重合体(以
下、「PVA」と称することがある)の分析方法は下記
の要領で測定した。
【0022】〔PVAの分析方法〕 (1)PVAの分析方法は特に記載のない限りはJIS
−K6726に従った。 (2)1,2−グリコール結合量:500MHz 1
−NMR(JEOL GX−500)装置による測定から
前述のとおり求めた。 (3)融点:DSC(セイコー電子工業(株)社製SS
C/5200H)を用いて、窒素中、昇温速度10℃/
分で250℃まで昇温後、室温まで冷却し、再度昇温速
度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融
点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を求めた。
【0023】実施例1 攪拌機、窒素導入口、開始剤導入口を備えた50リット
ル加圧反応槽に酢酸ビニル24.6kg、メタノール
5.4kgおよび酒石酸0.74gを仕込み、60℃に
昇温した後、30分間窒素バブリングにより系中を窒素
置換した。開始剤として2,2’−アゾビス(N−ブチ
ル−2−メチルプロピオンアミド) をメタノールに溶
解した濃度0.1g/ml溶液を調製し、窒素ガスによ
るバブリングを行って窒素置換した。次いで上記の重合
槽内温を150℃に昇温した後、上記の開始剤溶液19
0mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導
入して反応槽圧力を21.0kg/cm2に、重合温度
を150℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて800
ml/hrで2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メ
チルプロピオンアミド)を連続添加して重合を実施し
た。4時間後に重合率が50%となったところで冷却し
て重合を停止した。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモ
ノマーを除去し、エチレン変性されたポリ酢酸ビニルの
メタノール溶液とした。得られた該エチレン変性ポリ酢
酸ビニル溶液にメタノールを加えて、濃度が40%とな
るように調整したエチレン変性ポリ酢酸ビニルのメタノ
ール溶液250g(溶液中のエチレン変性ポリ酢酸ビニ
ル100g)に、40℃で11.6g(エチレン変性ポ
リ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比
(MR)0.08)のアルカリ溶液(NaOHの10%
メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ
添加後約4分でゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、4
0℃にて1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メ
チル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。
フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認
後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1
000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄
操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVA
を乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVAを得た。
得られたPVAのけん化度は98.5モル%であった。
【0024】また、重合後、未反応の酢酸ビニルモノマ
ーを除去して得られたエチレン変性ポリ酢酸ビニルのメ
タノール溶液をアルカリモル比0.5でけん化した後、
粉砕したものを60℃で5時間放置してけん化を進行さ
せた後、メタノールによるソックスレー洗浄を3日間実
施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製PV
Aを得た。該PVAの平均重合度を常法のJIS−K6
726に準じて測定したところ550であった。該精製
PVAの1,2−グリコール結合量を500MHzプロ
トンNMR(JEOL GX−500)装置による測定
から前述のとおり求めたところ、2.4モル%であっ
た。さらに該精製PVAの5%水溶液を調整し厚み10
ミクロンのキャスト製成形品を作成した。該成形品を8
0℃で1日減圧乾燥を行った後に、DSC(セイコー電
子工業(株)、SSC/5200H)を用いて、前述の
方法によりPVAの融点を測定したところ206℃であ
った。エチレンの含有量は、該PVAの前駆体であるエ
チレン含有ビニルエステル重合体のプロトンNMRから
求めた。すなわち、得られたポリビニルエステルをn−
ヘキサン/アセトンで再沈精製を3回以上十分に行った
後、80℃減圧乾燥を3日間して分析用のビニルエステ
ル重合体を作成した。該ポリマーをDMSO−D6に溶
解し、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX
−500)を用いて80℃で測定した。ビニルエステル
の主鎖メチンに由来するピーク(4.7〜5.2pp
m)とエチレン、ビニルエステルおよび第3成分の主鎖
メチレンに由来するピーク(0.8〜1.6ppm)を
用いてエチレンの含有量を算出したところ、4モル%で
あった。
【0025】上記PVAを2軸押出機(東洋精機、ラボ
プラストミル)を用い、シリンダー設定温度225℃で
溶融押出することによりペレットを作製した。得られた
ペレットから、シリンダー設定温度225℃、金型設定
温度40℃で射出成形することで、内寸8cm角、高さ
1cm、肉厚1mmの打ち上げ花火台形状の成形品を得
た。成形品の成形性、水溶性、形態安定性(耐湿性)を
以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0026】〔成形性〕ペレット化、射出成形時の成形
状況や成形品の外観を目視で評価した。評価は以下の基
準で行った。 ◎:成形品に着色やゲルがほとんど認められず、樹脂の
劣化による発煙や分解臭もない。 ○:成形品に着色またはゲルがわずかに認められるが、
樹脂の劣化による発煙や分解臭はほとんどない。 △:成形品にかなり着色やゲルが認められ、樹脂の劣化
による発煙や分解臭が認められる。 ×:樹脂の劣化が激しい、または樹脂の融点が高いため
溶融成形できない。
【0027】〔水溶性〕成形品を30℃の水に1ヶ月間
浸し、成形品の溶解の程度を目視で観察し、以下の基準
で評価した。 ○:大半が溶解している。 △:大半は溶解していないが、成形品がかなり膨潤して
おり、形態をとどめていない。 ×:ほとんど溶解しておらず、形態をとどめている。
【0028】〔形態安定性(耐湿性)〕成形品を40
℃、90%RHで1ヶ月放置後、変形の程度を目視で観
察し、以下の基準で評価した。 ○:ほとんど変形していない △:わずかに変形している ×:かなり変形している
【0029】実施例2〜8 用いるビニルアルコール系重合体の重合温度、重合度、
けん化度、変性度、1,2−グリコール結合量、融点が
異なること以外は、実施例1と同様にして成形品を作製
し、評価した。結果を表1に示す。
【0030】実施例9、10 用いるビニルアルコール系重合体の重合温度、重合度、
けん化度、変性度、1,2−グリコール結合量、融点が
異なり、さらにペレットを作製する際に、可塑剤(ジグ
リセリン)を所定量配合したこと以外は、実施例1と同
様にして成形品を作製し、評価した。結果を表1に示
す。
【0031】比較例1〜3 用いるビニルアルコール系重合体の重合温度、重合度、
けん化度、変性度、1,2−グリコール結合量、融点が
異なること以外は、実施例1と同様にして成形品を作製
し、評価した。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】実施例11 実施例1で得られたPVAを2軸押出機(東洋精機、ラ
ボプラストミル)を用い、シリンダー設定温度225℃
で溶融押出することによりペレットを作製した。得られ
たペレットを先端にTダイを有する単軸押出機(東洋精
機、ラボプラストミル)に供給し、シリンダー設定温度
225℃、ダイス温度230℃、冷却ロール設定温度5
0℃で成形することにより、厚さ40μm、幅25cm
のフィルムを得た。フィルムの成形性、水溶性、耐湿性
を以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0034】〔成形性〕成形状況やフィルムの外観を目
視で評価した。評価は以下の基準で行った。 ◎:フィルムに着色やゲルがほとんど認められず、樹脂
の劣化による発煙や分解臭もない。 ○:フィルムに着色またはゲルがわずかに認められる
が、樹脂の劣化による発煙や分解臭はほとんどない。 △:フィルムにかなり着色やゲルが認められ、樹脂の劣
化による発煙や分解臭が認められる。 ×:樹脂の劣化が激しい、または樹脂の融点が高いため
溶融成形できない。
【0035】〔水溶性〕フィルムを40mm×40mm
の正方形に切り、これをスライドマウントにはさんで固
定した。300mlビーカーに水250mlを入れ、水
温を30℃に保ちながら長さ5cmのマグネットスター
ラーチップを用いて280rpmで攪拌し、その中に、
スライドマウントで固定したフィルムを浸漬し、フィル
ムが完全に溶解するまでの時間(秒数)を測定し評価し
た。
【0036】〔耐湿性(引張強度、平衡含水率)〕フィ
ルムを20℃、80%RHで7日間調湿後、オートグラ
フにて引張強度を測定した。またその時のフィルムの含
水率(平衡含水率)を測定した。引張試験速度:500
mm/min。
【0037】実施例12〜18 用いるビニルアルコール系重合体の重合温度、重合度、
けん化度、変性度、1,2−グリコール結合量、融点が
異なること以外は、実施例11と同様にしてフィルムを
作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0038】実施例19、20 用いるビニルアルコール系重合体の重合温度、重合度、
けん化度、変性度、1,2−グリコール結合量、融点が
異なり、さらにペレットを作製する際に、可塑剤(ジグ
リセリン)を所定量配合したこと以外は、実施例11と
同様にしてフィルムを作製し、評価した。結果を表2に
示す。
【0039】比較例4〜6 用いるビニルアルコール系重合体の重合温度、重合度、
けん化度、変性度、1,2−グリコール結合量、融点が
異なること以外は、実施例11と同様にしてフィルムを
作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明の溶融成形品は、成形品外観、耐
湿性、形態安定性、水溶性、耐久性、強度に優れてい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 直樹 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 日笠 慎太郎 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4F071 AA29 AA81 AH19 BB03 BB04 BB05 BB06 BB09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,2−グリコール結合を1.8モル%
    以上有するビニルアルコール系重合体からなる溶融成形
    品。
  2. 【請求項2】 ビニルアルコール系重合体が重合度20
    0〜3000、けん化度80〜100モル%である請求
    項1記載の溶融成形品。
  3. 【請求項3】 ビニルアルコール系重合体がα−オレフ
    ィン単位を1〜19モル%含有している請求項1または
    2記載の溶融成形品。
  4. 【請求項4】 溶融成形品が打ち上げ花火の台である請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融成形品。
  5. 【請求項5】 溶融成形品がフィルムである請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の溶融成形品。
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