JP2003105105A - 酸化物質包装用水溶性フィルム - Google Patents

酸化物質包装用水溶性フィルム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水溶性および生分解性が良好で、強度や腰な
どの実用物性に優れ、酸性物質を包装した際にも経時的
に諸物性が低下しないポリビニルアルコール系の水溶性
フィルムを提供すること。 【解決手段】 分子内にN−ビニルアミド系単量体単位
を1〜10モル%含有し、けん化度が82〜99.5モ
ル%である変性ポリビニルアルコールからなる1重量%
の水溶液または水分散液にしたときのpHが6以下の酸
性物質包装用水溶性フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸化物質包装用水溶
性フィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、N−
ビニルアミド系単量体単位、ならびにけん化度が特定さ
れた変性ポリビニルアルコール(以下、ポリビニルアル
コールを「PVA」と略称することがある)からなり、
冷水溶解性、生分解性、耐薬品性および強度や腰などの
実用物性が同時に優れた酸性物質包装用水溶性フィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、農薬、洗濯用洗剤、漂白剤、トイ
レタリー製品、工業用薬品をはじめとする各種薬品類の
使用方法として、それら薬品類を一定量ずつ水溶性フィ
ルムにより密封包装して(ユニット包装)、使用時にそ
の包装形態のまま水中に投入し、内容物を包装フィルム
ごと水に溶解または分散させて使用する方法が行われる
ようになってきている。このユニット包装の利点は、使
用時に危険な薬品に直接触れることなく使用できるこ
と、内容物の一定量が包装されているために、使用時に
計量する必要がないこと、薬剤を包装している容器の使
用後の処理が不要であることなどである。
【0003】従来より、このようなユニット包装用の水
溶性フィルムとして、PVA系フィルムがよく用いられ
ている。PVA系フィルムは一般に、皮膜が強靱で透明
性に優れ、印刷性がよいという特徴を有しているが、P
VAはけん化度が高くなるに従って結晶性が増し、冷水
に溶解しなくなる結晶部分の割合が増すため、ユニット
包装用などの冷水溶解性フィルム用途には、完全けん化
タイプと言われるけん化度の高いPVAではなく、無変
性の部分けん化PVAが用いられてきた。この無変性の
部分けん化PVAを用いた水溶性フィルムは、冷水や温
水に易溶であり、機械的強度が優れるなどの特徴を有し
ている。しかしながら、近年では、作業性、耐薬品性、
環境保護などの観点から、水への溶解速度がより速い、
衝撃による破袋が生じにくい、形態安定性が良い、保管
中に水溶性の経時変化が少ない、生分解性が良好である
などといった、多くの要求性能を同時に満たす水溶性フ
ィルムが必要とされている。従来の無変性の部分けん化
PVAフィルムは、フィルムを作製した当初は十分な冷
水溶解性を有しているが、酸性物質を包装して長期保存
した場合には、保存中に部分けん化PVAフィルム中に
残存する酢酸基のけん化が起こり、結晶化が進んでフィ
ルムが不溶化するため、必要とされる要求性能を満たし
ていない。
【0004】このような課題を解決するものとして、変
性PVAからなる水溶性フィルムが種々提案されてお
り、その変性PVAの例として、カルボキシル基変性P
VA(「水溶性高分子の応用と市場」、第266〜27
7頁、シーエムシー、1984年発行)、アリルエステ
ルとビニルエステルとの共重合体のけん化物(特開昭6
2−179550号公報)、オキシアルキレン基、スル
ホン酸基およびカチオン性基の少なくとも一種を含有す
るPVA(特開昭63−168437号公報)、2−ピ
ロリドン環含有PVA(特開平2−124945号公
報)、N−ビニルアセトアミド類とビニルエステルとの
共重合体のけん化物(特許第3066130号公報)、
ジアセトンアクリルアミドとビニルエステルとの共重合
体のけん化物(特許第3092076号公報)、オキシ
アルキレン基含有のビニルエーテルとビニルエステルと
の共重合体のけん化物(特開平11−236419号公
報)などが知られている。
【0005】しかしながら、カルボキシル基変性PVA
からなる水溶性フィルムは、酸性物質と接触すると冷水
溶解性が損なわれてしまうという欠点を有している。さ
らに、カルボキシル基変性PVAは熱によってゲル化す
る場合がある。また、カルボキシル基変性PVAは、カ
ルボキシル基の含有量(変性量)を増加させることによ
り冷水溶解性を高めることができるが、その一方で、変
性PVAの生分解性の低下を招き、このような生分解性
の低下したカルボキシル基変性PVAからなる水溶性フ
ィルムは、水に溶解した後、環境中に排出されることか
ら、その使用は好ましいことではない。
【0006】アリルエステルとビニルエステルとの共重
合体のけん化物、オキシアルキレン基含有アリルエーテ
ルとビニルエステルとの共重合体のけん化物、オキシア
ルキレン基含有ビニルエーテルとビニルエステルとの共
重合体のけん化物などからなるフィルムは、アリルエス
テル、オキシアルキレン基含有アリルエーテルおよびオ
キシアルキレン基含有ビニルエーテルとビニルエステル
との共重合性が低いため、PVAの変性量は低く留ま
り、水溶性が十分ではないという問題を有している。ま
た、共重合時にビニルエステルに対するアリルエステ
ル、オキシアルキレン基含有アリルエーテルおよびオキ
シアルキレン基含有ビニルエーテルの量を増加させるこ
とにより変性PVAの変性量を高めた場合、得られる変
性PVAから作製されるフィルムは生分解性が損なわれ
るのみならず、変性PVAの重合度が低下するため、該
変性PVAから作製されるフィルムは包装用途に用いる
には強度および耐衝撃性が十分とは言えず、使用中に破
袋することが多くなり、好ましくない。
【0007】スルホン酸基やカチオン性基などのイオン
性基を導入した変性PVAからなるフィルムおよびジア
セトンアクリルアミドとビニルエステルとの共重合体の
けん化物からなるフィルムは、変性量の増加に伴いフィ
ルムの生分解性が低下する傾向があり、水溶性、生分解
性および強度などの実用物性を同時に満足する水溶性フ
ィルムは得られていない。
【0008】2−ピロリドン環含有PVAからなるフィ
ルムおよびN−ビニルアセトアミド類とビニルエステル
との共重合体のけん化物からなるフィルムは、2−ピロ
リドン環含有単量体およびN−ビニルアセトアミド類が
ノニオン性単量体であるために、冷水溶解性が十分では
ないという問題を有している。この冷水溶解性の問題を
解決するために、変性量を増加させる、けん化度を低く
するなどの方法が試みられているが、そうした場合に
は、フィルムのヤング率が低下して形態安定性が低くな
るという問題を有しているため、包装用途に用いるフィ
ルムとして満足できるものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記の
欠点を解消し、冷水溶解性および生分解性が良好で、強
度や腰などの実用物性に優れ、酸性物質を包装した際に
も経時的に諸物性が低下することのないPVA系の水溶
性フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる現状に
鑑み鋭意検討した結果、N−ビニルアミド系単量体単
位、ならびにけん化度が特定された変性PVAが、目的
とする水溶性フィルムの製造原料として極めて有用であ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、分子内にN−ビニル
アミド系単量体単位を1〜10モル%含有し、けん化度
が82〜99.5モル%である変性ポリビニルアルコー
ルからなる1重量%の水溶液または水分散液にしたとき
のpHが6以下の酸性物質包装用水溶性フィルムであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明に用いられる変性PVAは、N−ビニルア
ミド系単量体単位を有していることが必須である。N−
ビニルアミド系単量体としては、例えば、下記式(I)
で示される単量体、N−ビニル−2−ピロリドン類およ
びN−ビニル―2―カプロタクタムなどが挙げられる。
【0013】
【化2】
【0014】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜
3のアルキル基を表し、R2は水素原子または炭素数1
〜5のアルキル基を表す)
【0015】上記式(I)において、R1で表される炭
素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基などを挙げることがで
き、また、R2で表される炭素数1〜5のアルキル基と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチ
ル基、イソペンチル基などを挙げることができる。
【0016】上記式(I)で示される単量体として、具
体的には、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−
ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メ
チル−N−ビニルアセトアミドなどを例示することがで
きる。
【0017】また、N−ビニル−2−ピロリドン類とし
て、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−プ
ロピル−2−ピロリドン、N−ビニル−5,5−ジメチ
ル−2−ピロリドン、N−ビニル―3,5−ジメチル−
2−ピロリドンなどを例示することができる。
【0018】N−ビニルアミド系単量体の中でも、耐酸
性の観点から、上記式(I)で示される単量体およびN
−ビニル−2−カプロラクタムが好ましく、入手のし易
さの点からさらに好ましいのは、N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニル
アセトアミドおよびN−ビニル−2−カプロラクタムで
あり、とりわけN−ビニル−2−カプロラクタムが形態
安定性の点から好ましい。
【0019】本発明の水溶性フィルムにおいて、変性P
VAに含まれるN−ビニルアミド系単量体単位の含有量
(変性量)は、1〜10モル%であることが必須であ
り、2〜8モル%であることが好ましい。N−ビニルア
ミド系単量体単位の含有量が1モル%未満の場合には、
得られるフィルムの冷水溶解性が十分なものとはいえな
くなる。一方、含有量が10モル%を超える場合には、
変性PVAの生分解性が低下するのみならず、吸湿性が
大きくなるために、得られるフィルムに腰が無くなり、
水溶性フィルムとしての実用物性に問題が生じることが
ある。なお、本発明において冷水とは0℃〜40℃の水
を意味する。
【0020】水溶性フィルムは厚みが10〜200μm
と薄くても高い強度と柔軟性が要求される場合があるた
め、フィルムの強度やタフネスの点から、本発明に用い
られる変性PVAの重合度(粘度平均重合度)は300
〜3000であることが好ましく、400〜2500で
あることがさらに好ましく、水溶性の点から500〜2
000であることが特に好ましい。変性PVAの粘度平
均重合度が300未満の場合には、フィルムの強度が弱
くなる傾向にあり、また、3000より大きい場合に
は、フィルムを製膜するときに使用する製膜原料の溶液
粘度または溶融粘度が高くなって作業性が低下したり、
得られたフィルムの溶解性が低下する場合がある。粘度
平均重合度はJIS記載の方法で測定される。
【0021】本発明において、変性PVAのけん化度
は、得られるフィルムの強度、腰、製袋性の点から82
〜99.5モル%であることが必須であり、耐薬品性の
点から86〜99.4モル%であることが好ましく、9
0〜99.2モル%であることがより好ましく、92〜
99.0モル%であることが特に好ましい。けん化度は
JIS記載の方法により測定される。変性PVAのけん
化度が82モル%より小さいと、フィルムが高湿下で吸
湿して腰がなくなり形態安定性が低下したり、フィルム
に酸性物質を包装して保管した場合に、フィルムの水溶
性が低下したりする場合がある。一方、けん化度が9
9.5モル%よりも大きい変性PVAは、工業的に安定
に製造することができず、このような変性PVAからは
製膜を安定に行うこともできない。
【0022】N−ビニルアミド系単量体単位を含有する
変性PVAの製法としては、ビニルエステル系単量体と
N−ビニルアミド系単量体を共重合して得られたビニル
エステル系重合体を、アルコールまたはジメチルスルホ
キシドなどの溶液中でけん化する方法などが挙げられ
る。
【0023】上記のビニルエステル系単量体としては、
ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリ
ン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ス
テアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル
およびバーサティック酸ビニルなどが挙げられ、これら
の中でも工業的に変性PVAを得る点からは酢酸ビニル
が好ましい。
【0024】本発明において、変性PVAは、本発明の
効果を損なわない範囲であれば、ビニルアルコール単
位、ビニルエステル系単量体単位ならびにN−ビニルア
ミド系単量体単位を有する単量体単位以外に他の単量体
単位を含有していてもよい。そのような単量体単位とし
ては、エチレン、プロピレン、1−ヘキセンなどのα−
オレフィン類;アクリルアミド、N−メチルアクリルア
ミドなどのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、
N−メチルメタクリルアミドなどのメタクリルアミド誘
導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、
n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエー
テル、n−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル
類;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロ
パンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオール
ビニルエーテルなどのヒドロキシ基を含有するビニルエ
ーテル類;アリルアセテート;プロピルアリルエーテル
などのアリルエーテル類;オキシアルキレン基を有する
単量体;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン
類;酢酸イソプロペニル;3−ブテン−1−オール、4
−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、
7−オクテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−
1−オールなどのヒドロキシ基を含有するα−オレフィ
ン類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタア
リルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸などに由来するスルホン酸基を有する単
量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメ
チルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメ
チルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルア
ミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムク
ロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミンなどに
由来するカチオン基を有する単量体などを共重合して得
られる単量体単位が挙げられる。これらの単量体単位の
含有量は、使用される目的や用途などによっても異なる
が通常5モル%以下であり、好ましくは2モル%以下で
ある。
【0025】前述のビニルエステル系単量体およびN−
ビニルアミド系単量体を有する単量体の共重合の方法と
しては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重
合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶
媒で重合する塊状重合法またはアルコールなどの溶媒中
で重合する溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に
溶媒として使用されるアルコールとしては、メタノー
ル、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールが
挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、2,
2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ
系開始剤、または過酸化ベンゾイル、n−プロピルパー
オキシカーボネートなどの過酸化物系開始剤などの公知
の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限は
ないが、0℃〜150℃の範囲が適当である。
【0026】本発明において変性PVAは、前述のビニ
ルエステル系単量体およびN−ビニルアミド系単量体を
共重合して得られたビニルエステル系重合体を、通常、
メタノールなどのアルコール類、酢酸メチルなどのエス
テル類、ジメチルスルホキシドなどから選ばれる1種ま
たは2種以上の溶媒中、好ましくはメタノールなどの低
級アルコール溶媒中で、水酸化カリウム、水酸化ナトリ
ウムなどのアルカリ触媒や硫酸、塩酸、p−トルエンス
ルホン酸などの酸触媒を用いてけん化することにより得
ることができる。けん化反応の条件は、ビニルエステル
系重合体の構造や目的とするビニルアルコール系重合体
のけん化度によって適宜調整されるが、通常、触媒/ビ
ニルエステル系単量体単位のモル比が0.001〜5.
0、反応温度が20〜180℃、反応時間が0.1〜2
0時間の範囲で実施される。けん化方法としてはバッチ
法や連続法などの公知の方法が適用可能である。
【0027】本発明の水溶性フィルムには、必要に応じ
て糖類を配合することができる。糖類としては、グルコ
ースなどの単糖類、オリゴ糖、多糖類およびマンニット
などの鎖状糖アルコールが挙げられる。多糖類として
は、澱粉、セルロース、キチン、キトサン、ヘミセルロ
ース、ペクチン、プルラン、寒天、アルギン酸、カラギ
ーナン、デキストリン、トレハロースなどが挙げられ、
これらのうち1種または2種以上を用いることができ
る。鎖状糖アルコールとしては、トレイット、エリトリ
ットなどの炭素数4のテトリット類、アラビット、キシ
リットなどの炭素数5のペンチット類、グリシット、マ
ンニット、ソルビットなどの炭素数6のヘキシット類が
挙げられる。糖類を添加することにより、フィルムの水
溶性、生分解性および形態安定性をさらに高めたりする
ことができる。糖類添加時のフィルムの冷水溶解性が良
好な点から、糖類のなかでも澱粉の配合が特に好まし
い。澱粉としては、例えば、トウモロコシ、馬鈴薯など
の生澱粉、これらに物理的または化学的処置を施した加
工澱粉(デキストリン、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カ
チオン化澱粉など)などを用いることができる。
【0028】糖類の配合量はフィルムの水溶性、生分解
性、形態安定性の点から、変性PVA100重量部に対
して1〜100重量部であることが好ましく、2〜90
重量部であることがさらに好ましく、3〜80重量部で
あることが特に好ましい。一般に、PVAと糖類とは相
溶性が悪いため、糖類を多量にPVAに配合した場合に
は配合フィルムの強度などの機械的物性は大幅に低下す
るが、本発明の水溶性フィルムに用いられる変性PVA
は糖類、特に澱粉との相溶性に優れるという特徴を有す
るので、本発明の水溶性フィルムには糖類を多量に配合
することができる。糖類の配合量が1重量部より小さい
とフィルムの水溶性向上および生分解性向上の効果が発
現しない場合がある。一方、糖類の配合量が100重量
部より多いと、フィルムの低温での耐衝撃性が低下し、
破袋しやすくなる。
【0029】一般に、水溶性フィルムには、高温多湿の
地域や寒冷地での使用にも耐え得るような強度やタフネ
スが要求され、特に低温での耐衝撃性が必要とされる。
本発明の水溶性フィルムには、低温での耐衝撃性向上を
目的として、フィルムのガラス転移点を下げるために種
々の可塑剤を本発明の水溶性フィルムに配合することが
できる。さらに本発明の水溶性フィルムには、上記の目
的に加えて、水に対する溶解性を向上させる目的で可塑
剤を配合することができる。
【0030】本発明の水溶性フィルムに配合される可塑
剤としては、PVAの可塑剤として一般に用いられてい
るものなら特に制限はなく、例えば、グリセリン、ジグ
リセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、
1,3−ブタンジオールなどの多価アルコール類;ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの
ポリエーテル類;ポリビニルピロリドンなどのポリビニ
ルアミド類;ビスフェノールA、ビスフェノールSなど
のフェノール誘導体;N−メチルピロリドン、ジメチル
アセトアミドなどのアミド化合物;グリセリン、ペンタ
エリスリトール、ソルビトールなどの多価アルコールに
エチレンオキサイドを付加した化合物や水などが挙げら
れ、これらは1種または2種以上を用いることができ
る。これらの可塑剤の中でも、水溶性を向上させる目的
には、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ポ
リエチレングリコール、ポリビニルピロリドンを用いる
のが好ましく、特に可塑剤のブリードアウトによるフィ
ルムの水溶性低下を抑制する効果の点から、グリセリ
ン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチ
レングリコール、ポリビニルピロリドンを用いるのが特
に好ましい。
【0031】可塑剤としてポリエチレングリコールを用
いる場合のポリエチレングリコールの分子量について特
に制限はないが、変性PVAとの相溶性およびブリード
アウトによる水溶性の低下を抑制する効果の点から数平
均分子量が100〜1000あることが好ましい。ポリ
ビニルピロリドンの分子量についても特に制限はない
が、PVAとの相溶性の点から重量平均分子量で100
0〜20000であることが好ましい。
【0032】可塑剤の配合量は、変性PVA100重量
部に対して1〜50重量部であるのが好ましい。可塑剤
の配合量が1重量部未満の場合には、可塑剤を配合する
ことによる効果が発現しない場合がある。一方、可塑剤
の配合量が50重量部を超える場合には、可塑剤のブリ
ードアウトが大きくなり、得られるフィルムの耐ブロッ
キング性が低下する場合がある。得られるフィルムの水
に対する溶解速度の点からは、変性PVA100重量部
に対して可塑剤を20重量部以上の割合で配合するのが
好ましい。一方、得られるフィルムの腰(製袋機などの
工程通過性)の点からは、変性PVA100重量部に対
して可塑剤を40重量部以下の割合で配合するのが好ま
しい。得られるフィルムの水溶性を向上させる点から
は、可塑剤の配合量は多いほど好ましく、さらに、可塑
剤の配合量が多いほどヒートシール温度が低下し、フィ
ルム製袋時の生産性が向上する傾向がある。特に、得ら
れるフィルムのヒートシール温度が170℃以下となる
ような割合で可塑剤を配合することが好ましく、160
℃以下となるような割合で可塑剤を配合することがさら
に好ましい。また、可塑剤の配合量は得られるフィルム
の強度やヤング率の大きさに影響を与えやすいが、得ら
れるフィルムの実用性の点からは、フィルムの強度は
1.0kg/cm2以上であることが好ましく、1.5
kg/cm2以上であるのがさらに好ましい。得られる
フィルムの形態安定性や製袋機などの工程通過性の点か
らは、フィルムのヤング率は1.5kg/mm2以上で
あるのが好ましく、2.0kg/mm2以上であるのが
さらに好ましく、このような範囲のヤング率を有するフ
ィルムが得られるように、可塑剤を配合することが好ま
しい。
【0033】本発明の水溶性フィルムには、さらに必要
に応じて、無機フィラーを配合することができる。本発
明の水溶性フィルムに用いられる無機フィラーとして
は、例えば、シリカ、重質、軽質または表面処理された
炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウ
ム、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、硫酸カルシウ
ム、ゼオライト、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、マイカ、炭
酸マグネシウム、カオリン、ハロサイト、パイロフェラ
イト、セリサイトなどのクレー、タルクなどを挙げるこ
とができ、これらのうち1種または2種以上を用いるこ
とができる。これらのなかでも、特に変性PVAへの分
散性の点から、シリカ、タルクを用いることが好まし
い。無機フィラーの平均粒子径は、フィルムのブロッキ
ング防止性の点から1μm以上が好ましく、一方で、変
性PVAへの分散性の点から10μm以下が好ましい。
無機フィラーを配合することにより発現するフィルムの
ブロッキング防止性と、変性PVAへの無機フィラーの
分散性の両方の要求性能を満足させるには、平均粒子径
が1〜7μm程度の大きさの無機フィラーを用いるのが
より好ましい。
【0034】無機フィラーの配合量は、フィルムのブロ
ッキング防止性および変性PVAへの無機フィラーの分
散性の点から、変性PVA100重量部に対して0.5
〜20重量部であることが好ましく、0.7〜15重量
部であることがより好ましく、1〜10重量部であるこ
とが特に好ましい。なお、無機フィラーを20重量部を
超えて配合すると、変性PVAへの分散性が低下して無
機フィラーが凝集してしまい、得られるフィルムの水溶
性が低下する傾向がある。
【0035】本発明の水溶性フィルムには、さらに必要
に応じて、着色剤、香料、増量剤、消泡剤、剥離剤、紫
外線吸収剤、界面活性剤などの添加剤を適宜配合しても
差し支えない。特に製膜装置のダイスやドラムなどの金
属表面と、製膜したフィルムやフィルム原液との剥離性
を向上させるために、変性PVA100重量部に対して
界面活性剤を0.01〜5重量部の割合で配合すること
が好ましい。また、本発明の水溶性フィルムには、必要
に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、本発明
に用いられる変性PVAとは異なる種類のPVA、カル
ボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリア
クリル酸またはその塩、メチルセルロース、ヒドロキシ
メチルセルロースなどの水溶性高分子を配合しても良
い。特にフィルムの水溶性を向上させる観点から、低粘
度タイプのカルボキシメチルセルロースを添加すること
が好ましい。
【0036】本発明の水溶性フィルムの製造するにあた
り、その製造原料は、前記の変性PVAに、必要に応じ
て、可塑剤、糖類、無機フィラーやその他の成分を配合
し、撹拌槽中にて溶媒に溶解または分散させる方法や押
出機中にて溶融混練する方法など、公知の方法で混合す
ることにより調製することができる。
【0037】本発明の水溶性フィルムは、一般にフィル
ムを製膜する際に用いられている製膜方法、例えば、流
延製膜法、湿式製膜法、乾式製膜法、押出製膜法、溶融
製膜法、コート法、インフレーション製膜法などの製膜
方法で製造することができる。例えば、本発明の水溶性
フィルムの製膜に必要な成分を、水、ジメチルスルホキ
シド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
メタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、フ
ェノールなどに例示される溶媒の1種または2種以上の
混合液に溶解し、均一な製膜原液を調製した後、流延製
膜法などの製膜方法で製造することができる。この製膜
原液の濃度は、粘度の点から50重量%以下(溶媒の含
有量が50重量%以上)であることが好ましく、製膜し
たフィルムの表面におけるマット状態の形成されやすさ
の点から30重量%以下(溶媒の含有量が70重量%以
上)であることがさらに好ましい。
【0038】本発明の水溶性フィルムの厚みは10〜2
00μmであるのが好ましく、フィルムの強度と水溶性
のバランスの点から20〜150μmであるのがより好
ましく、30〜120μmであるのが特に好ましい。
【0039】本発明の水溶性フィルムのブロッキング防
止性を向上させるために、必要に応じて、該水溶性フィ
ルム表面をロールマット化したり、シリカや澱粉などの
ブロッキング防止用の粉体を水溶性フィルムに塗布した
り、エンボス処理を行うことができる。フィルム表面の
ロールマット化は、製膜時に乾燥前のフィルムが接する
ロールに微細な凹凸を形成しておくことにより施すこと
ができる。エンボス処理は一般にフィルムが形成された
後で、熱や圧力を加えながらエンボスロールとゴムロー
ルでニップすることで行うことができる。粉体の塗布は
ブロッキング防止の効果が大きいが、用途によっては使
用できないことがあるため、ブロッキング防止のために
はロールマット化やエンボス処理を施すことでブロッキ
ング防止をはかるのが好ましく、ブロッキング防止効果
の大きさの点からロールマット化することが特に好まし
い。
【0040】本発明の水溶性フィルムは、冷水への溶解
速度が優れており、10℃水中での完全溶解時間(フィ
ルムの厚さ50μm)は好ましくは200秒以下であ
り、より好ましくは150秒以下であり、特に好ましく
は100秒以下である。本明細書でいう10℃水中での
完全溶解時間とは、厚さ50μmのフィルムを40×4
0mmの正方形に切り、これをスライドマウントにはさ
み、10℃の撹拌している水中に浸漬してフィルムが完
全に溶解するまでの時間を測定した値であり、フィルム
の厚さが50μmとは異なるものを使用する場合には、
下記の式(1)によりフィルムの厚さ50μmの場合に
換算した値である。 溶解時間(秒)=(50/フィルムの厚み(μm))2×溶解時間(秒)(1)
【0041】本発明の水溶性フィルムの生分解性は好ま
しくは60%以上であり、より好ましくは65%以上で
あり、さらに好ましくは70%以上であり、特に好まし
くは75%以上である。PVAの生分解性は、ISO1
4851に準じた方法に従って活性汚泥を用いて測定さ
れる。本発明の水溶性フィルムは、未変性の部分けん化
PVAやイオン変性PVAを用いた従来の水溶性フィル
ムと比較して生分解性に優れている。
【0042】本発明の水溶性フィルムは、冷水への溶解
性が優れているのみならず、生分解性、耐薬品性および
強度や腰などの実用物性にも優れているので、公知の農
薬や洗剤など水に溶解して使用される物質の包装材料と
して極めて有用である。本発明の水溶性フィルムから製
造された包装袋は、そのまま水中に投入するだけで速や
かに溶解し、その内容物は速やかに水中に放出される。
【0043】本発明の水溶性フィルムは、液体、固体、
粉体、顆粒状などの酸性物質の包装に用いることがで
き、包装される酸性物質の形態について特に制限はない
が、なかでも、従来水溶性フィルムによる包装が困難で
あった液体状の酸性物質の包装に特に好適に用いられ
る。酸性物質が液体状の場合には、フィルムで包装した
ときに高い形態安定性が必要であり、また、固体状の酸
性物質を包装した場合には酸性物質が接触するフィルム
表面の物性の低下が問題になるのみであるが、液体状の
場合にはフィルムの内部全体に酸性物質が浸透するた
め、物性の低下が著しいという問題があった。本発明の
水溶性フィルムは、優れた形態安定性、耐酸性を有する
ために、液体状の酸性物質でも包装することができる。
本発明の水溶性フィルムが適用される酸性物質として
は、1重量%の水溶液または水分散液にしたときのpH
が6以下であればよく、農薬、消臭剤、洗剤など種々の
ものが含まれる。
【0044】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳し
く説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるも
のではない。なお、実施例中「部」および「%」は、特
に断らない限り「重量部」および「重量%」をそれぞれ
意味する。なお実施例中、フィルムの各種特性の測定お
よび評価は以下の方法により行った。
【0045】[フィルムの水溶性の測定方法]10℃の
恒温バスにマグネティックスターラーを設置する。1リ
ットルの蒸留水を入れた1リットルのガラスビーカーを
上記の恒温バスに入れ、5cmの回転子を用いて250
rpmで撹拌を行う。ビーカー内の蒸留水が10℃にな
った後、水溶性の測定を開始する。フィルムを40×4
0mmの正方形に切り、これをスライドマウントにはさ
み、10℃の撹拌している水中に浸漬してフィルムの溶
解状態を観察し、フィルムが完全に溶解するまでの時間
(秒数)を測定した。なお、フィルムの厚さが50μm
とは異なるフィルムを用いる場合には、下記の式(1)
に従ってフィルムの厚さ50μmの値に換算する。
【0046】 溶解時間(秒)=(50/フィルムの厚み(μm))2×溶解時間(秒)(1)
【0047】[ヤング率、強度の測定方法]幅10mm
のフィルムを、20℃65%RHの雰囲気のもとで1週
間調湿した後、オートグラフで引張り試験を行った。チ
ャック間隔は50mm、引張り速度は500mm/mi
nであった。
【0048】[耐薬品性の評価方法]フィルムから10
cm×15cmの袋を作り、内部に薬品としてコハク酸
の微粉末(1重量%水溶液のpH2.4)35gを入
れ、熱シールして密封した。この包装袋をさらにアルミ
ニウムにポリエチレンをラミネートしたフィルムで包
み、熱シールすることにより2重に密封包装し、薬品を
密封した包装袋から水や可塑剤が飛散しないようにし
た。この袋を長期保存の促進試験として、40℃の恒温
器に入れて放置し、4週間後に取り出して、包装してい
たフィルムの水溶性を前述の測定方法にて測定し、薬品
包装前との経時変化を調べた。
【0049】合成例1(変性PVAの合成例) 撹拌機、還流冷却管、窒素導入管および温度計を取り付
けた5Lの反応器に、酢酸ビニル単量体2340g、メ
タノール569.4g、N−ビニル−2−カプロラクタ
ムの50%メタノール溶液181.1gを仕込み、窒素
ガスを30分バブリングして脱気した。反応器の昇温を
開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−ア
ゾビス(イソブチロニトリル)1.5gを添加し重合を
開始した。N−ビニル−2−カプロラクタムの50%メ
タノール溶液を酢酸ビニル単量体とのモル比率が一定に
なるように逐次添加しながら重合を行い、4時間後に冷
却して重合を停止した。このときの固形分濃度は39%
であった。次いで30℃減圧下でメタノールを時々添加
しながら未反応の酢酸ビニル単量体の除去を行い、ポリ
酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液(濃度33%)を
得た。次に、メタノールを加えて濃度を25%に調整し
たポリ酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液にアルカリ
モル比(NaOHのモル数/酢酸ビニル単量体単位のモ
ル数)0.03のNaOHメタノール溶液(10%濃
度)を添加してけん化した。得られた変性PVA(PV
A−1)のけん化度は98.4モル%であった。
【0050】得られた変性PVA1gにメタノール10
gを加え、60℃に加温して変性PVAを膨潤させた
後、NaOHのメタノール溶液(10%濃度)5gを加
えて60℃で3時間撹拌したものについて、メタノール
ソックスレー抽出を3日間実施し、次いで乾燥して変性
PVAの精製物を得た。該変性PVA精製物のプロトン
NMR測定から求めたN−ビニル−2−カプロラクタム
単量体単位の変性量は6.0モル%であった。また、該
PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じ
て測定したところ1500であった。
【0051】N−ビニルアミド単量体の種類と変性量、
重合度、けん化度が下記の表1になるように重合条件を
変更したこと以外はPVA−1と同様の方法で変性PV
A(PVA−2〜7およびPVA10、11)を合成し
た。合成した結果を下記の表1に示す。
【0052】合成例2(PVAの合成例) 攪拌機、還流冷却管、窒素導入管および温度計を取り付
けた5L反応器に酢酸ビニル単量体2100g、メタノ
ール900gを仕込み、窒素ガスを30分バブリングし
て脱気した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃とな
ったところで、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)0.4gを添加し重合を開始した。5時間後に冷却
して重合を停止した。このときの固形分濃度は27%で
あった。次いで、30℃減圧下にメタノールを時々添加
しながら未反応酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ
酢酸ビニルのメタノール溶液(濃度33%)を得た。次
に、メタノールを加えて濃度を25%に調整したポリ酢
酸ビニル共重合体のメタノール溶液にアルカリモル比
(NaOHのモル数/酢酸ビニル単量体単位のモル数)
0.025のNaOHメタノール溶液(10%濃度)を
添加してけん化した。得られた変性PVA(PVA−
8)のけん化度は98.5モル%であった。
【0053】得られた変性PVA1gにメタノール10
gを加え、60℃に加温して変性PVAを膨潤させた
後、NaOHのメタノール溶液(10%濃度)5gを加
えて60℃で3時間撹拌したものについて、メタノール
ソックスレー抽出を3日間実施し、次いで乾燥してPV
Aの精製物を得た。該PVAの平均重合度を常法のJI
S K6726に準じて測定したところ1500であっ
た。けん化度が下記の表1になるようにけん化条件を変
更したこと以外はPVA−8と同様の方法でPVA―9
を合成した。合成した結果を下記の表1に示す。
【0054】実施例1 表1に示される変性PVA(PVA−1)100重量部
に対し、可塑剤としてグリセリン15重量部、エーテル
化澱粉20重量部、タルク5重量部、および水を添加し
て均一な5%水溶液(含水率95%)を作成し、ポリエ
ステルフィルム上に流延して室温で乾燥した後、ポリエ
ステルフィルムから剥離することにより、厚さ50μm
のフィルムを得た。得られたフィルムに100℃で10
分間熱処理を行った。このフィルムの水溶性を測定した
ところ、10℃水中での完全溶解時間は67秒であっ
た。また、フィルムの腰に代表される工程通過性などの
取扱性の指標として、20℃、65%RHに調湿してヤ
ング率の測定を行ったところ2.9kg/mm2、強度
は2.4kg/cm2であった。また、ISO1485
1に準じた方法で生分解性を評価したところ、生分解率
は80%であった。続いて、耐薬品性を評価したとこ
ろ、薬品包装後のフィルムの10℃水中での完全時間は
69秒であり、水溶性の低下は見られなかった。
【0055】実施例2〜7 変性PVAの内容、ならびに可塑剤、糖類および無機フ
ィラーの種類と配合量を下記の表1および表2のように
変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを
作製し、各種評価を行った。評価結果を下記の表3に示
した。
【0056】実施例8 薬品としてグリセリンと乳酸の混合物(1重量%水溶液
のpH4)を用いて耐薬品性を評価したこと以外は、実
施例1と同様にしてフィルムを製造し、各種評価を行っ
た。評価結果を下記の表3に示した。
【0057】比較例1、3および4 PVAの内容を下記の表1のように変更したこと以外
は、実施例1と同様にしてフィルムを製造し、各種評価
を行った。評価結果を下記の表3に示した。けん化度が
98.5モル%の無変性PVAからなるフィルムは水溶
性が劣る(比較例1)。変性PVAのN−ビニルアミド
基の変性量が大きい場合には生分解性が劣る(比較例
3)。けん化度が80モル%と低い場合にはフィルムの
ヤング率が低いのみならず、薬品包装後の水溶性が低下
し、耐薬品性が劣る(比較例4)。
【0058】比較例2 PVAの内容を下記の表1のように変更し、薬品として
グリセリンと乳酸の混合物(1重量%水溶液のpH4)
を用いて耐薬品性を評価したこと以外は、実施例1と同
様にしてフィルムを製造し、各種評価を行った。評価結
果を下記の表3に示した。けん化度が88.0モル%の
無変性PVAからなるフィルムは薬品包装後の水溶性が
低下しており、耐薬品性が劣る(比較例2)。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】本発明の水溶性フィルムは、冷水に対す
る溶解性が優れているのみならず、酸性物質包装後にお
いても水に対する溶解性は低下せず、生分解性、および
強度や腰などの実用物性なども同時に優れており、特に
農薬や洗剤などの包装用途に好ましく用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 29/04 C08L 29/04 S //(C08F 216/06 C08F 216/06 226:00) 226:00 (C08L 29/04 C08L 1:00 1:00) Fターム(参考) 3E086 AA23 AD01 BA02 BA15 BB72 CA29 4F071 AA29X AA37X AA76 AF04 AF05 AH04 BB02 BC01 4J002 AB012 AB042 AB052 BE011 DE106 DE136 DE146 DE236 DE286 DG046 DG056 DJ016 DJ036 FD016 GG02 4J100 AD02P AG06Q AN04Q BA12 CA04 HA09 JA58

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内にN−ビニルアミド系単量体単位
    を1〜10モル%含有し、けん化度が82〜99.5モ
    ル%である変性ポリビニルアルコールからなる1重量%
    の水溶液または水分散液にしたときのpHが6以下の酸
    性物質包装用水溶性フィルム。
  2. 【請求項2】 N−ビニルアミド系単量体がN−ビニル
    ―2―カプロタクタムである請求項1記載の酸性物質包
    装用水溶性フィルム。
  3. 【請求項3】 N−ビニルアミド系単量体が下記式
    (I)で示される単量体である請求項1記載の酸性物質
    包装用水溶性フィルム。 【化1】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル
    基を表し、R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキ
    ル基を表す)
  4. 【請求項4】 変性ポリビニルアルコール100重量部
    に対して、さらに糖類を1〜100重量部配合してなる
    請求項1〜3のいずれか一項記載の酸性物質包装用水溶
    性フィルム。
  5. 【請求項5】 変性ポリビニルアルコール100重量部
    に対して、さらに無機フィラーを0.5〜20重量部配
    合してなる請求項1〜4のいずれか一項記載の酸性物質
    包装用水溶性フィルム。
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