JP6686486B2 - 成形物、フィルム及び成形物の製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2に開示の樹脂組成物から形成されるフィルムでは、収縮率が大きすぎて、シュリンクフィルムに用いる際に、内容物が変形してしまうなどの問題が発生するおそれがある。
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルムとして際に収縮率が小さく、かつインフレーション成形安定性に優れる成形物を提供することであり、更にはその成形物から溶融成形されてなるフィルムを提供することにある。
本発明の成形物は、ポリアミド系樹脂(A)と、側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂(B)とを含有するものである。まず、本発明で用いるポリアミド系樹脂(A)について説明する。
本発明で用いるポリアミド系樹脂(A)は、成形物中において海成分であり、用いられるポリアミド系樹脂(A)としては、例えば、
ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘプトラクタム(ナイロン7)、ポリカプリルラクタム(ナイロン8)、ポリノナノラクタム(ナイロン9)、ポリウンデカノラクタム(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)などのラクタム類の開環重合体;
カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ノナノラクタム共重合体(ナイロン6/9)などのラクタム類の開環共重合体;
ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン106)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン108)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン26/66)などのジアミンとジカルボン酸の重縮合物;
カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン12/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンアジバミド/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)などのラクタム類/ジアミン/ジカルボン酸の共重合体が例示される。
特に、本発明で用いられるPVA系樹脂(B)との相溶性に優れる点、低融点である点で、ラクタム類/ジアミン/ジカルボン酸の共重合体、とりわけ、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン6/66)が好ましく用いられる。
本発明で用いるPVA系樹脂(B)は、側鎖に一級水酸基を有するものであればよく、一級水酸基の数は、通常1〜5個であり、好ましくは1〜2個であり、特に好ましくは1個である。また、一級水酸基以外にも2級水酸基を有することも好ましい。
例えば、側鎖に1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂、側鎖にヒドロキシアルキル基を有するPVA系樹脂などが挙げられる。中でも本発明の効果が得られやすい点で、側鎖1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂が好ましい。
本発明のPVA系樹脂(B)は、インフレーション製膜性や水溶解性の点で、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂(B1)(以下、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂ということがある。)を用いることが特に好ましい。中でも特に、本発明で用いる側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(B1)は、下記一般式(1)で示される構造単位を有するものであることが好ましい。
一般式(1)におけるR1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。
なかでも、共重合反応性及び工業的な取り扱い性に優れるという点から、(i)の方法において、一般式(2)で表わされる化合物として3,4−ジアシロキシ−1−ブテンを用いることが好ましく、特に3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。
なお、ビニルエステル系モノマーとして酢酸ビニルを用い、これと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合させた際の各モノマーの反応性比(r)は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.701、であり、これは(ii)の方法で用いられる一般式(3)で表される化合物の一例であるビニルエチレンカーボネートの場合の、r(酢酸ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4、と比較して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが酢酸ビニルとの共重合反応性に優れることを示すものである。
また、試薬レベルではアクロス社の製品を市場から入手することができる。
よって、かかる点からも、(i)の方法によって得られたPVA系樹脂が本発明においては好適に用いられる。
本発明の成形物は、ポリアミド系樹脂(A)とPVA系樹脂(B)を含有する樹脂組成物[I]から形成され、海成分をポリアミド系樹脂(A)、島成分をPVA系樹脂(B)とする海島構造を有する成形物である。
また、平均粒子径は、成形物断面に於けるPVA系樹脂の分散粒子径を水溶解エッチングした後、電子顕微鏡観察により計測することにより求められる。
また揮発成分としては、製造工程で残留した有機溶剤や水分が挙げられ、例えば、有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトンなどが挙げられる。
中でも、混練性に優れる二軸押出機が好ましく用いられる。
ペレットのサイズは、通常、直径0.5〜10mm、好ましくは1〜5mmである。長さは通常、1〜20mm、好ましくは2〜10mmである。かかるサイズが大きすぎても小さすぎても、溶融成形安定性が低下する傾向がある。
本発明においては、二軸押出機によりストランドを形成し、ペレタイザーによりストランドを切断して、ペレットを得る方法が特に好ましい。
かかる冷却温度は、空冷の場合は、その冷風温度は、通常2〜40℃、好ましくは5〜20℃、特に好ましくは5〜10℃である。
かかる温度が高すぎるとストランドのカッティングができなくなる傾向があり、低すぎるとストランドが割れる傾向がある。
水冷の場合は、冷却後に真空乾燥および除湿乾燥することが好ましく、かかる乾燥温度は60〜105℃、好ましくは70〜90℃、特に好ましくは75〜85℃である。乾燥温度が低すぎると乾燥に時間がかかり不効率になる傾向があり、高すぎると成形物が熱劣化する傾向がある。
また、乾燥時間は、乾燥量によって変化するため、一概には言えないが、ペレット500kgの乾燥の場合には通常、2〜10時間、好ましくは3〜8時間、特に好ましくは、3〜5時間である。かかる乾燥時間が短すぎると乾燥が不十分となる傾向があり、長すぎると成形物が熱劣化および架橋する傾向がある。
これにより得られる成形物としては、例えば、フィルム、シート、ボトル、パイプ、チューブ、射出成形物、異型断面押出物等や溶融紡糸法による繊維及び不織布が例示される。かかる成形物を得るための溶融成形方法としては、圧縮成型法、トランスファー成形法、押出し成型法、射出成形法、Tダイキャスト法、インフレーション成形法、中空成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、発泡成形法、真空成形法等が主として採用される。
製膜法としては、Tダイキャスト法、インフレーション法等が挙げられ、生産性が高い点からインフレーション法が好ましい。延伸製膜に際しては、テンター法、シングルバブルインフレーション法、ダブルバブルインフレーション法、トリプルバブルインフレーション法などを採用することができ、シュリンク包装目的の点からダブルバブルインフレーション法が好ましい。
[側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(B1)の作製]
還流冷却器、撹拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル76.6部(初期仕込み率40%)、メタノール14.2部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン9.2部(初期仕込み率40%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを対仕込み酢酸ビニル0.068モル%投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、酢酸ビニル及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの残量を13.5時間等速滴下しながら重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が91%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
ついで、上記メタノール溶液を更にメタノールで希釈し、濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して4.5ミリモルとなる割合で水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とする側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(B1)を調製した。
ポリアミド系樹脂(A)としてナイロン6/66(DSMジャパン社製『NOVAMID 2030FC』、融点215℃、粘度2300Pa・s(せん断速度120sec-1、230℃))100部と、上記で得られた側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(B1)43部とをドライブレンドし、滑剤としてステアリン酸マグネシウム(勝田化工(株)製、『EM−101B』)とエチレンビスステアリン酸アマイド(日油(株)製アールフローH50F−P)をPVA系樹脂(B1)に対して0.05%ずつ添加し、二軸押出機にて設定温度220℃で溶融混練した後、ストランド状に押出し、出てきたストランドを27.5℃の水で水冷し、かかるストランドを切断してペレットを得た。さらに、ペレットの揮発分を除湿乾燥機(タナカ社製TMY−200型)で、温度80℃・露点−30℃で5時間乾燥し、目標の揮発分に調整した。
上記の切断前のストランドの断面を60℃の水で溶解し、乾燥した後、断面をSEM観察し、側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂(B1)の平均粒子径(ドメイン粒子径)を測定し、下記の基準で評価した。
(評価基準)
A:0.1〜0.3μm未満
B:0.3〜0.5μm未満
C:0.5μm以上
上記で得られたペレットをオーブンで120℃、3時間乾燥し、重量減量率を測定し、乾燥前のペレットに含まれていた揮発分(%)を算出した。
前記のペレットを原料としてインフレーション製膜機(プラコー社製)を用い、下記条件で製膜を行い、下記の基準でインフレーション成形安定性を評価した。
(成形条件)
・冷 却: 水冷
・L/D: 24.1
・スクリュー: フルフライト
・圧縮比:3.6
・メッシュ: 60/100/60
・ダイ口径: 80mmφ
・ギャップ: 1mm
・ブロー比: 1.2
・フィルム折幅: 150mm
・温度設定: シリンダー;220℃、ダイ;235℃
A:安定した製膜可能
B:製膜可能
C:膜厚変動有り
D:バブルが安定せず、製膜不可能
上記で得られたペレットを単軸製膜機にて、下記の条件で厚さ20μmと100μmのフィルムを得た。
製膜条件
・押出機条件:L/D=28
・径=40mmφ
・フルフライト=CR2.5,
・Mesh=100/100
・温度パターン:C1/C2/C3/C4/h/AD/D1/D2/D3
=180/220/230/235/235/235/210/210/210℃
・スクリューパターン:フルフライト
・製膜ダイ:ハンガーコートダイ(幅40cm)
・フィルム厚:20μm、100μm
・層構成:単層
上記のフィルム作製で得られた厚さ100μmフィルムを9.2cm×9.2cmの大きさにカットして、下記の条件で延伸した。
(延伸条件)
・延伸装置:Bruckner社 KARO IV
・予熱 :80℃、20s
・延伸倍率 MD:1.5倍 TD:3.0倍
・延伸速度:30m2/min
・チャック圧:2MPa(チャックカバー着用)
・熱固定無し
(評価基準)
延伸したフィルムを90℃の水に3秒間浸漬し、フィルム寸法を測定し、収縮率(% )を算出した。
実施例1において、ストランドの冷却を7.5℃の空気で冷却し、後乾燥の除湿乾燥 工程を除いたこと以外は、実施例1と同様に行い、同様に評価した。結果を表1に示 す。
実施例1において、後乾燥工程を除いた以外は、実施例1と同様に行い、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、ストランドの冷却を30℃の空気で冷却し、後乾燥の除湿乾燥工程を除いたこと以外は、実施例1と同様に行い、同様に評価した。結果を表1に示す。
Claims (9)
- ポリアミド系樹脂(A)と、側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有する樹脂組成物[I]から形成される成形物であって、かつポリアミド系樹脂(A)が海成分、ポリビニルアルコール系樹脂(B)が島成分の海島構造であり、揮発成分が0.2重量%以下、島成分の平均粒子径が0.5μm以下であることを特徴とする成形物。
- 側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂(B)が、側鎖1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂(B1)であることを特徴とする請求項1記載の成形物。
- 側鎖に一級水酸基を有する構造単位の含有量が0.1〜20モル%であることを特徴とする請求項2記載の成形物。
- ポリアミド系樹脂(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)との含有割合(A/B)が、重量比で90/10〜51/49であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の成形物。
- ポリアミド系樹脂(A)の融点が、150〜250℃であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の成形物。
- フィルムとした際の水蒸気透過率が500〜2000g・20μm/m2・24hrであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の成形物。
- 請求項1〜請求項6のいずれか記載の成形物を溶融形成してなることを特徴とするフィルム。
- ポリアミド系樹脂(A)と、側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有する樹脂組成物[I]を溶融押出した後、5〜95℃の水により冷却し、乾燥することを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の成形物の製造方法。
- ポリアミド系樹脂(A)と、側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有する樹脂組成物[I]を溶融押出した後、2〜40℃の雰囲気下により冷却することを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の成形物の製造方法。
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