JP2016183240A - 樹脂組成物及びその樹脂組成物から形成されるフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリアミドブロックとポリエーテルブロックを含有する熱可塑性エラストマー(A)と、側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有してなる樹脂組成物であって、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂(B)中、側鎖に一級水酸基を有する構造単位の含有量は0.1〜20モル%であり、ケン化度が70〜100モル%であり、熱可塑性エラストマー(A)の融点は、100〜250℃であり、熱可塑性エラストマー(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)との含有割合(A/B)が、重量比で98/2〜50/50である、樹脂組成物。フィルムとしての水蒸気透過率が80〜150kg/m2・24hr・30μmである樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
しかしながら、柔軟性の点では十分ではないため、柔軟性や成形性の改善を目的に、ポリエーテルなどのソフトセグメントを共重合させた、ポリエーテルブロックアミド共重合体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、食品包装用フィルムに用いる場合には、水分を含有する食品を包装し、加熱乾燥して食品中の水分を低減・除去するために、透湿性を付与することが必要となる場合があり、かかる目的を達成するため、ポリアミド系樹脂に1,2ジオール結合を有する構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂(以下、ポリビニルアルコールをPVAという。)を含有させることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
なお、PVAとして、未変性のPVAを用いることも考えられるが、PVA自体は溶融成形が困難な樹脂であるため、当業者おいては通常用いないものである。
また、特許文献2に開示のフィルムでは、ある程度の透湿性は有するものの、例えば、衣類等に用いた場合には更なる透湿性が要求されており、更なる改良が望まれるものである。
さらに本発明は、かかる樹脂組成物から形成されるフィルムをも提供するものである。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックを含有する熱可塑性エラストマー(A)と側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂(B)を含有してなるものである。
まず、本発明で用いるポリアミドブロックとポリエーテルブロックを含有する熱可塑性エラストマー(A)について説明する。
まずは、ポリアミドブロックについて説明する。ポリアミドブロックは、ポリアミド単位からなり、かかるポリアミド単位としては、例えば、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘプトラクタム(ナイロン7)、ポリカプリルラクタム(ナイロン8)、ポリノナノラクタム(ナイロン9)、ポリウンデカノラクタム(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)などのラクタム類の開環重合体;カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ノナノラクタム共重合体(ナイロン6/9)などのラクタム類の開環共重合体;ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン106)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン108)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン26/66)などのジアミンとジカルボン酸の重縮合物;カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン12/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンアジバミド/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)などのラクタム類/ジアミン/ジカルボン酸の共重合体が例示される。
中でも、ラクタム類の開環重合体及び共重合体が好ましく、特にポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミド共重合体(ナイロン6/66)が好ましい。
(1)ジアミン末端を有するポリアミド単位と、ジカルボキシル末端を有するポリオキシアルキレン単位
(2)ジカルボキシル末端を有するポリアミド単位と、ポリエーテルジオールとよばれる脂肪族ジヒドロキシα,ω−ポリオキシアルキレン単位のシアノエチル化および水素化によって得られるジアミン末端を有するポリオキシアルキレン単位
(3)ジカルボキシル末端を有するポリアミド単位と、ポリエーテルジオール(この場合の生成物がポリエーテルエステルアミドという。)
また、ポリエーテルジアミン、ポリアミドブロック先駆体および連鎖制限剤のジカルボン酸を反応させることもできる。この場合、基本的に種々の長さのポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有するポリマーが得られ、さらに各成分がランダムに反応してポリマー鎖中に分散した成分を含むこともある。
本発明で用いるPVA系樹脂(B)は、側鎖に一級水酸基を有するものであればよく、一級水酸基の数は、通常1〜5個であり、好ましくは1〜2個であり、特に好ましくは1個である。また、一級水酸基以外にも2級水酸基を有することも好ましい。
例えば、側鎖に1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂、側鎖にヒドロキシアルキル基を有するPVA系樹脂などが挙げられる。中でも本発明の効果が得られやすい点で、側鎖1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂が好ましい。
本発明のPVA系樹脂(B)は、側鎖に1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂(B1)(以下、側鎖1,2ジオールPVA系樹脂ということがある)を用いることが特に好ましい。
以下、かかる側鎖1,2ジオールPVA系樹脂について詳細に説明する。
側鎖1,2ジオールPVA系樹脂は、下記一般式(1)で示される構造単位を有するもので、一般式(1)におけるR1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。
R10及びR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。
なかでも、共重合反応性及び工業的な取り扱い性に優れるという点から、(i)の方法において、一般式(4)で表わされる化合物として3,4−ジアシロキシ−1−ブテンを用いることが好ましく、特に3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。
なお、ビニルエステル系モノマーとして酢酸ビニルを用い、これと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合させた際の各モノマーの反応性比(r)は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4−ジアセトキシ−1−ブテン)=0.701、であり、これは(ii)の方法で用いられる一般式(5)で表される化合物の一例であるビニルエチレンカーボネートの場合の、r(酢酸ビニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4、と比較して、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが酢酸ビニルとの共重合反応性に優れることを示すものである。
また、試薬レベルではアクロス社の製品を市場から入手することができる。
よって、かかる点からも、(i)の方法によって得られたPVA系樹脂が本発明においては好適に用いられる。
また、上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー、一般式(3)、(4)、(5)で示される化合物)の他に、樹脂物性に大幅な影響を及ぼさない範囲であれば、共重合成分として、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類及びそのアシル化物などの誘導体;1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート類;イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノまたはジアルキルエステル;アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、AMPS等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物、などが共重合されていてもよい。
本発明の樹脂組成物における熱可塑性エラストマー(A)とPVA系樹脂(B)との含有割合(A/B)は、重量比で、好ましくは98/2〜50/50であり、特に95/5〜55/45、殊に90/10〜60/40、さらには90/10〜70/30が好ましい。熱可塑性エラストマー(A)の含有割合が高すぎると、水蒸気透過率(WVTR)が低下する傾向がある。反対に、熱可塑性エラストマー(A)の含有割合が低すぎると、インフレーション成形時のバブル形成の際に安定したバブルが得られない傾向がある。
製膜法としては、例えば、Tダイキャスト法、インフレーション法等が挙げられ、生産性が高い点からインフレーション法が好ましい。延伸製膜に際しては、例えば、テンター法、シングルバブルインフレーション法、ダブルバブルインフレーション法、トリプルバブルインフレーション法などを採用することができる。
<熱可塑性エラストマー(A)>
熱可塑性エラストマー(A)として、アルケマ社製の「PEBAX MV1074SA01」(融点: 158〜172℃)(A1)を用いた。
還流冷却器、撹拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル76.6部(初期仕込み率40%)、メタノール14.2部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン9.2部(初期仕込み率40%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを対仕込み酢酸ビニル0.068モル%投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、酢酸ビニル及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの残量を13.5時間等速滴下しながら重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が91%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
ついで、上記メタノール溶液を更にメタノールで希釈し、濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、共重合体中の酢酸ビニル構造単位及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して4.5ミリモルとなる割合で水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とする側鎖に1、2ジオール構造を有するPVA系樹脂(B1)を得た。
上記熱可塑性エラストマー(A1)と上記で得られたPVA系樹脂(B1)のペレットを配合比(A1/B1)が80/20(重量比)となるように混合し、下記の条件でペレットを作製した。
温度パターン:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D=95/185/190/190/190/185/180/180/180(℃)
スクリーンメッシュ:90/90メッシュ
スクリューパターン:3箇所ニーディング
(製膜化条件)
温度パターン:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D=95/185/190/190/190/185/180/180/180(℃)
スクリーンメッシュ:90/90メッシュ
スクリューパターン:フルフライト
製膜ダイ:ハンガーコートダイ(幅30cm)
得られたフィルムについて、下記の通り評価を行った。
JIS L 1099 B-1法(酢酸カリウム法)により、水蒸気透過度を測定した。
測定した値を下記の基準で透湿性を行った。結果を表1に示す。
○・・95kg/m2・day以上
△・・70〜95kg/m2・day未満
×・・70kg/m2・day未満
上記のフィルムを、23℃×50%RHの雰囲気で4日間調湿し、オートグラフを用いて、下記の条件にてピーク試験力及び平均試験力を測定した。(測定機器:島津製作所社製、Autograph Ag-IS)
[測定条件]
引張速度:150mm/min
ロードセル:50N
測定モード:ピール
静止摩擦係数=ピーク試験力/重錘
動摩擦係数=平均試験力/重錘
結果を表1に示す。
実施例1において、PVA系樹脂(B1)を配合しなかった以外は同様にして、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、熱可塑性エラストマー(A1)をナイロン6/66(DSMジャパン社製、N-X138)に代えた以外は同様にして、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Claims (8)
- ポリアミドブロックとポリエーテルブロックを含有する熱可塑性エラストマー(A)と、側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有してなることを特徴とする樹脂組成物。
- ポリビニルアルコール系樹脂(B)中、側鎖に一級水酸基を有する構造単位の含有量が0.1〜20モル%であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
- ポリビニルアルコール系樹脂(B)のケン化度が70〜100モル%であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 熱可塑性エラストマー(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)との含有割合(A/B)が、重量比で98/2〜50/50であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の樹脂組成物。
- 熱可塑性エラストマー(A)の融点が、100〜250℃であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物。
- フィルムとした際の水蒸気透過率が、80〜150kg/m2・24hr・30μmであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜7いずれか記載の樹脂組成物から形成されることを特徴とするフィルム。
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