JPH0977807A - ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤及び分散安定剤 - Google Patents
ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤及び分散安定剤Info
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Abstract
を側鎖に有し、けん化度が65モル%未満であるビニル
エステル系重合体(A)よりなるビニル系化合物の懸濁
重合用分散助剤;ならびに該ビニルエステル系重合体
(A)およびけん化度が60〜95モル%で重合度が4
00以上のポリビニルアルコール系重合体(B)を重量
比で(A)成分/(B)成分が1/9〜8/2の割合で
併用してなるビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤。 【効果】 本発明の分散助剤及び分散安定剤は、重合中
における発泡挙動が極めて小さいことから重合器内の有
効容積が増加して生産性が向上する。さらに、本発明の
懸濁重合用分散安定剤を用いた場合には、粒子径が大き
く、その分布がシャープで、取扱い時の飛散が少なく、
かつ成形機などへのくい込み性が良好であり、ビニル系
重合体粒子の多孔性が向上し、可塑剤吸収速度が大き
く、しかも充填比重の高いビニル系重合体粒子が得られ
る。
Description
濁重合用分散助剤及び分散安定剤に関する。さらに詳し
くは消泡効果に著しく優れた塩化ビニルなどのビニル系
化合物の懸濁重合用分散助剤及び分散安定剤に関する。
系重合体を製造する場合には、水性媒体中で分散安定剤
の存在下で塩化ビニルなどのビニル系化合物を分散さ
せ、油溶性触媒を用いて重合を行う懸濁重合が広く実施
されている。一般に、ビニル系重合体の品質を支配する
因子としては、重合率、水−モノマー比、重合温度、触
媒の種類および量、重合槽の型式、撹拌速度あるいは分
散安定剤の種類などが挙げられるが、なかでも分散安定
剤の種類による影響が非常に大きい。
要求される性能としては、(1) 得られるビニル系重合体
粒子の粒径分布をできるだけシャープにする働きのある
こと、(2) 可塑剤の吸収速度を大きくして加工性を容易
にし、重合体粒子中に残存する塩化ビニルなどのモノマ
ーの除去を容易にし、かつ成形品中のフィッシュアイな
どの生成を防止するために、各重合体粒子を多孔性にす
る働きがあること、(3) 充填比重の大きい重合体粒子を
形成する働きがあることなどが挙げられる。従来、ビニ
ル系化合物の懸濁重合用分散安定剤としては、メチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロー
ス誘導体あるいは部分けん化ポリビニルアルコール、低
けん化ポリビニルエステル系重合体などが単独または組
み合わせて使用されている。しかしながら、従来の分散
安定剤は上記(1) 〜(3) の要求性能を満たしていないと
いう問題があった。
合は、通常バッチ式で行われ、重合器中に水性媒体、分
散安定剤、重合開始剤およびビニル系化合物などを仕込
み、さらに必要とされる添加剤を加えた後、昇温して重
合反応を行わせるという方法が一般的である。最近で
は、生産性を向上させるために重合1バッチに要する時
間を短縮することが求められており、ビニル系化合物の
懸濁重合においてリフラックスコンデンサー等を設置し
て重合熱の除熱効率を高めたり、あらかじめ加熱した水
性媒体を仕込む方法(ホットチャージ法)により昇温時
間を短縮する方法が用いられている。しかしながら、従
来のビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤を用いた場
合には、重合中における発泡が激しいことから重合器内
の有効容積が減少して生産性が低下したり、リフラック
スコンデンサー付重合器を用いると温度コントロールが
できなくなったり、ホットチャージ法を用いるとビニル
系重合体粒子の多孔性が低下するという致命的欠点があ
った。一方、発泡を防止するために消泡剤等を添加する
と、生成するビニル系重合体粒子の熱安定性が低下する
という問題があった。
の一般的なビニル系化合物の懸濁重合方法である常温の
水性媒体を重合器内に仕込む方法(コールドチャージ
法)および重合器内のジャケットまたはコイルにより重
合温度のコントロールを行う方法はもとより、コンデン
サー付重合器を使用する方法、ホットチャージ法および
コンデンサー付重合器を用いたホットチャージ法におい
ても、重合器内の消泡効果が著しく優れており、かつ前
記(1) 〜(3) の要求特性を同時に満たす分散助剤及び分
散安定剤を提供することにある。
解決するために鋭意検討を重ねた結果、炭素数2〜20
のヒドロキシアルキル基を側鎖に有し、けん化度が65
モル%未満であるビニルエステル系重合体(A)よりな
るビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤(以下「第一発
明」と略記する);該ビニルエステル系重合体(A)お
よびけん化度が60〜95モル%で重合度が400以上
のポリビニルアルコール系重合体(B)を重量比で
(A)成分/(B)成分が1/9〜8/2の割合で併用
してなるビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤(以下
「第二発明」と略記する)を見いだし、本発明を完成さ
せるに到った。
る。本発明のビニルエステル系重合体は、分子内にビニ
ルエステル単位を有していることが必要である。本発明
のビニルエステル系重合体の側鎖は炭素数2〜20のヒ
ドロキシアルキル基であり、該側鎖はビニルエステル系
重合体の主鎖に直接結合していることが必要である。本
発明のビニルエステル系重合体のヒドロキシアルキル基
の炭素数は、2〜20であり、2〜15が好ましく、3
〜10がより好ましい。ヒドロキシアルキル基は、少な
くとも1個のヒドロキシル基(水酸基)を有するアルキ
ル基であり、水溶性の点で、ωーヒドロキシアルキル基
がより好ましい。ヒドロキシアルキル基のアルキル基と
しては、その水素原子が炭素数1〜9の直鎖状または分
岐状のアルキル基で置換されていてもよい。側鎖に炭素
数2〜20のヒドロキシアルキル基を有する単量体単位
としては、ヒドロキシル基含有オレフィン単位が挙げら
れる。ヒドロキシル基含有オレフィン単位のなかでも、
ビニルエステル系重合体の重合度の制御の容易性やヒド
ロキシアルキル基を有する単量体単位の含有量の制御の
容易性などの点から、3-ブテン-1- オール、4-ペンテン
-1- オール、5-ヘキセン-1- オール、7-オクテン-1-オ
ール、9-デセン-1- オール、11- ドデセン-1- オールな
どに由来する単量体単位が好ましい。これらの単量体単
位のほかに、ビニルエステル系重合体のけん化反応時
に、ヒドロキシル基の生成が可能なエステル基を含有す
る単量体単位であってもよい。
炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基の含有量につい
ては特に制限はないが、その好適な含有量は0.1〜5
0モル%が好ましく、1〜30モル%がより好ましい。
本発明のビニルエステル系重合体のけん化度は65モル
%未満であることが必要であり、55モル%以下が好ま
しく、45モル%以下がさらに好ましい。本発明のビニ
ルエステル系重合体の粘度平均重合度(以下「重合度」
と略記する)は、100〜2000が好ましく、200
〜700がより好ましく、250〜500が特に好まし
い。
しては、ビニルエステルとヒドロキシアルキル基含有オ
レフィンとを共重合して得られたビニルエステル系重合
体を、アルコールあるいはジメチルスルホキシド溶液中
でけん化する方法などの公知の方法が挙げられる。ビニ
ルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、
酢酸ビニルが好ましい。
明の効果を損なわない範囲で、共重合可能なエチレン性
不飽和単量体を共重合したものでもよい。エチレン性不
飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マ
レイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類あるい
はその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキ
ルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−
アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルア
ミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいは
その塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるい
はその酸塩あるいはその4級塩などのアクリルアミド
類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキル
メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミ
ド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいは
その塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンある
いはその酸塩あるいはその4級塩などのメタクリルアミ
ド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド
類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシア
ン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテ
ル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキクシ
アルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化
ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリ
デン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメト
キシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、
塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコ
ール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチ
ルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。ま
た、本発明のビニルエステル系重合体は、チオール酢
酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存
在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を、
ヒドロキシアルキル基含有オレフィンと共重合し、それ
をけん化することによって得られる末端変性物でもよ
い。
有オレフィンとの共重合の方法としては、塊状重合法、
溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法
が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコール
などの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常
採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコ
ールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、
プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられ
る。共重合に使用される開始剤としては、α, α'-アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4
−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n
ープロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤
または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられ
る。重合温度はについては特に制限はないが、室温〜1
50℃の範囲が適当である。
有オレフィンとの共重合体は、アルコール、場合によっ
ては含水アルコールに溶解した状態でけん化される。け
ん化反応に使用されるアルコールとしては、メチルアル
コール、エチルアルコールなどの低級アルコールが挙げ
られ、メチルアルコールが特に好適に使用される。けん
化反応に使用されるアルコールには、40重量%以下であ
れば、アセトン、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエス
テル、ベンゼン等の溶剤を含有していてもよい。けん化
反応に用いられる触媒としては、水酸化カリウム、水酸
化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウ
ムメチラートなどのアルカリ触媒、あるいは鉱酸などの
酸触媒が用いられる。けん化反応の温度については特に
制限はないが、20〜60℃の範囲が適当である。
第二発明において用いられるビニルエステル系重合体
(A)は、第一発明において用いられるビニルエステル
系重合体(A)と同一のものが用いられる。第二発明に
おけるポリビニルアルコール系重合体(B)のけん化度
は60〜95モル%であり、65〜88モル%が好まし
く、さらに68〜82モル%がより好ましい。成分
(A)と成分(B)の重量比(A)/(B)は1/9〜
8/2であり、2/8〜6/4がより好ましく、3/7
〜5/5がさらにより好ましい。本発明のポリビニルア
ルコール系重合体(B)の重合度は、400以上であ
り、650〜3500がより好ましく、680〜250
0がさらにより好ましい。本発明においては、第一発明
の分散助剤にポリビニルアルコール系重合体(B)が併
用された形態も、分散安定剤という。
(B)の製造方法には特に制限はなく、従来公知のもの
が好適に用いら、イオン、ノニオン、アルキル基を側鎖
に持つ変性ポリビニルアルコール系重合体、また末端イ
オン変性、末端チオール変性ポリビニルアルコール系重
合体であってもよい。
分散安定剤を用いたビニル系化合物の懸濁重合によるビ
ニル系重合体の製造方法について説明する。ビニル系重
合体の製造方法において用いる水性媒体の温度は特に制
限はなく、20℃程度の冷水はもとより、90℃以上の
温水も好適に用いられる。この加熱水性媒体を構成する
媒体は、純粋な水のほかに、各種の添加成分を含有する
水溶液あるいは他の有機溶剤を含む水性媒体が挙げるこ
とができる。また、加熱水性媒体を重合反応系に仕込む
際の供給量は、重合反応系を充分に加温できる量であれ
ばよい。また除熱効率を高めるためにリフラックスコン
デンサー付重合器も好適に用いられる。ビニル系重合体
の製造方法において、分散安定剤の使用量は特に制限は
ないが、通常ビニル系化合物100重量部に対して5重
量部以下であり、0.01〜1重量部が好ましく、0.
02〜0.2重量部がさらにより好ましい。本発明の分
散安定剤は単独で使用しても良いが、塩化ビニルなどの
ビニル系化合物を水性媒体中で懸濁重合する際に通常使
用されるメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテル、
ゼラチンなどの水溶性ポリマー、ソルビタンモノラウレ
ート、ソルビタントリオレート、グリセリントリステア
レート、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロック
コポリマーなどの油溶性乳化剤、ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリ
ンオレート、ラウリン酸ナトリウムなどの水溶性乳化剤
などを併用しても良い。その添加量については特に制限
はないが、塩化ビニルなどのビニル系化合物100重量
部当たり0.01〜1.0重量部が好ましい。
〜20のヒドロキシアルキル基を側鎖に有しない、いわ
ゆるポリビニルエステル系分散助剤を本発明の分散安定
剤100重量部に対し1〜100重量部添加することも
可能である。この際分散助剤は無変性のものでも、また
側鎖あるいは末端にカルボキシル基などのイオン基を1
0モル%以下有するものであっても良い。
とができる。各種添加剤としては、例えばアセトアルデ
ヒド、ブチルアルデヒド、トリクロロエチレン、パーク
ロロエチレンあるいはメルカプタン類などの重合度調節
剤、フェノール化合物、イオウ化合物、N−オキシド化
合物などの重合禁止剤などが挙げられる。また、pH調
整剤、スケール防止剤、架橋剤などを加えることも任意
であり、上記の添加剤を複数併用しても差し支えない。
一方、重合開始剤も、従来塩化ビニルなどのビニル系化
合物の重合に使用されているものでよく、これには例え
ばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−
エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシ
エチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネー
ト化合物、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−
クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキ
シネオデカネートなどのパーエステル化合物、アセチル
シクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−
トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテ
ートなどの過酸化物、2,2′−アゾビスイソブチロニ
トリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、
アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニト
リル)などのアゾ化合物などが挙げられ、さらにはこれ
らに過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素
などを組み合わせて使用することもできる。
ことのできるビニル系化合物としては、具体的には塩化
ビニル単独のほか、塩化ビニルを主体とする単量体混合
物(塩化ビニル50重量%以上)が包含され、この塩化
ビニルと共重合されるコモノマーとしては、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなど
の(メタ)アクリル酸エステル、エチレン、プロピレン
などのオレフィン、無水マレイン酸、アクリロニトリ
ル、イタコン酸、スチレン、塩化ビニリデン、ビニルエ
ーテル、その他塩化ビニルと共重合可能な単量体が例示
される。さらには、塩化ビニルを含まない上記ビニル系
化合物の単独重合や共重合に当たっても、本発明の分散
安定剤を用いることができる。本発明の分散安定剤を用
いて懸濁重合するに当たって、各成分の仕込み割合、重
合温度などは、従来塩化ビニルなどのビニル系化合物の
懸濁重合で採用されている条件に準じて定めればよい。
また、ビニル系化合物、重合開始剤、分散安定剤、加熱
水性媒体およびその他添加物の仕込み順序や比率につい
ては、なんら制限されない。また、温水を用いると同時
に、ビニル系化合物を重合器に仕込む前にビニル系化合
物を加熱しておく方法も好適に用いられる。
明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定
されるものではない。なお、以下の実施例において
「%」および「部」は特に断りのない限り、「重量%」
および「重量部」を意味する。
キシアルキル基、ビニルエステル単位、ビニルアルコー
ル単位および他のコモノマー単位の含有量は、270M
Hz1HーNMRにより定量した。1 HーNMR測定時
のビニルエステル系重合体の溶媒は重水素化DMSOあ
るいは重水素化クロロホルムを用いた。
方法で測定した。 粘度平均重合度: ビニルエステル系重合体を、けん化
度99. 5モル%以上になるまでけん化し、得られたP
VAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η]
(g/dl)から次式により求めた粘度平均重合度
(P)で表す。P=([η]×103 /8.29)
(1/0.62)
系重合体の製造)還流冷却器、撹拌機、温度計、窒素導
入管および後添加液用の仕込み口とポンプを備えた5リ
ットルの重合槽に酢酸ビニルを2800g、7-オクテン
-1- オールを58.9g、メタノールを700g 、3ー
メルカプトプロピオン酸0.521gを仕込んだ。重合
液を撹拌しながら、系内を窒素置換して加温し、60℃の
恒温になった時点で、2,2'- アゾビスイソブチロニトリ
ル(以下「AIBN」と略記する)を23g添加して重
合を開始した。重合開始時点より、3ーメルカプトプロ
ピオン酸をディレーし系内の固形分濃度を分析しつつ重
合を行い、4時間後に重合槽を冷却することにより重合
を停止した。重合停止時の重合率は65%、3ーメルカ
プトプロピオン酸の全仕込量は12.9gであった。得
られた重合ペーストをn-ヘキサン中に滴下して重合物を
析出させた。次に、重合物をアセトンに溶解し、n-ヘキ
サン中で析出させる再沈−精製操作を3回実施した後、
再度アセトンに溶解し、蒸留水に滴下させ、煮沸精製し
た後、60℃で乾燥して精製ポリビニル酢酸ビニル(以
下「PVAc」と略記する)を得た。次に、精製PVA
cの濃度30%のメタノール溶液を調製し、40℃で撹拌し
ながら、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノール溶液
(PVAcに対してモル比0.10)を添加し、60分間の
けん化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕後、メタ
ノールに浸漬し、水酸化ナトリウムの濃度10%のメタノ
ール溶液(PVAcに対するモル比0.02)を添加し、さ
らに5時間の再けん化を行った。その後メタノールで洗
浄し、50℃で18時間乾燥してけん化度98.1モル%、
重合度250のPVAを得た。得られたPVA中の7-オ
クテン-1- オール単位の含量は0.6モル%であった。
次に、精製PVAcの濃度30% のメタノール溶液を調製
し、40℃で撹拌しながら、水酸化ナトリウムの濃度10%
のメタノール溶液(PVAcに対してモル比0.005 )を
添加し、60分間のけん化反応を行った。その後50℃で
18時間乾燥してけん化度42.8モル%のPVAを得
た。
表1に示すヒドロキシアルキル基を用い、酢酸ビニルモ
ノマー、メタノール、3ーメルカプトプロピオン酸、開
始剤等の仕込量を適当に選択し、けん化の際の水酸化ナ
トリウムのモル比を種々変更したこと以外は、実施例1
と同様にして重合、けん化を行い、目的とするビニルエ
ステル系重合体を得た。結果を表1に示す。
ラスライニング製オートクレーブに、表(表1:実施例
1〜7、比較例1〜4)に示した分散安定剤を溶かした
脱イオン水1部およびジイソプロピルパーオキシジカー
ボネートの70%トルエン溶液0.04部を仕込み、オ
ートクレーブ内を50mmHgとなるまで脱気して酸素
を除いたのち、撹拌下で85℃の温水39部および塩化
ビニルモノマー30部を同時に仕込んだ。仕込みが終了
した時点での液面は重合器の底面から60%の高さであ
り、内温は57℃であった。その後内温を57℃保ち重
合を継続した。重合開始時、オートクレーブ内の圧力は
7.3kg/cm2 Gであったが、重合開始6時間後に
4.2kg/cm2 Gとなった時点で重合を停止し、未
反応の塩化ビニルモノマーをパージし、内容物を取り出
し脱水乾燥した。得られた塩化ビニル樹脂の性能を下記
の方法により評価し、その結果を表2に示す。塩化ビニ
ル重合体の重合収率は85%であり、平均重合度は10
50であった。
得られた塩化ビニル重合体粉末400gを入れ、60r
pmで撹拌しながら予熱(4分)して88℃としたの
ち、これにジオクチルフタレートを200g添加し、添
加時からトルクの下降した時点まで時間を可塑剤吸収性
(分)とした。 (2)CPA(Cold Plasticizer A
bsorption:冷可塑剤吸収量)ASTM−D3
367−75に記載された方法より、23℃におけるジ
オクチルフタレートの吸収量を測定した。 (3)発泡性評価 重合終了時に重合器内の発泡状態を目視により観察し、
以下の記号で示す。 ◎:発泡なし ○:重合器の底面から62〜65%の高さにまで泡が認
められた。 △:重合器の底面から66〜70%の高さにまで泡が認
められた。 ▲:重合器の底面から90〜100%の高さにまで泡が
認められた。 ×:重合器の底面から100%の高さにまで泡が認めら
れ、さらにリフラックスコンデンサーに泡が詰まってい
た。
来のものに比べて、重合中における発泡挙動が極めて小
さいことから重合器内の有効容積が増加して生産性が向
上し、リフラックスコンデンサー付重合器を用いた懸濁
重合、ホットチャージ法による懸濁重合、またはリフラ
ックスコンデンサー付重合器を用いたホットチャージ法
による懸濁重合において、重合器の温度コントロールが
容易となる。また本発明の懸濁重合用分散安定剤を用い
た場合には、得られたビニル系重合体粒子は、粒子径が
大きく、その分布がシャープで、取扱い時の飛散が少な
く、かつ成形機などへのくい込み性が良好であり、ビニ
ル系重合体粒子の多孔性が向上子、可塑剤吸収速度が大
きく、しかも充填比重の高いことから工業的な評価が極
めて高い。
Claims (3)
- 【請求項1】 炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基
を側鎖に有し、けん化度が65モル%未満であるビニル
エステル系重合体(A)よりなるビニル系化合物の懸濁
重合用分散助剤。 - 【請求項2】 ヒドロキシアルキル基がωーヒドロキシ
アルキル基である請求項1記載のビニル系化合物の懸濁
重合用分散助剤。 - 【請求項3】 請求項1または2記載のビニルエステル
系重合体(A)およびけん化度が60〜95モル%で重
合度が400以上のポリビニルアルコール系重合体
(B)を重量比で(A)成分/(B)成分が1/9〜8
/2の割合で併用してなるビニル系化合物の懸濁重合用
分散安定剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23118195A JP3441258B2 (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤及び分散安定剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23118195A JP3441258B2 (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤及び分散安定剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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