JP4476402B2 - ビニルアルコール系重合体組成物および成形品 - Google Patents

ビニルアルコール系重合体組成物および成形品 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニルアルコール系重合体(以下、PVA系重合体と略記する)および水酸基の少なくとも1個がエーテル化された糖類からなり、熱安定性、着色性に優れたPVA系重合体組成物、並びに該PVA系重合体組成物からなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
PVA系重合体は代表的な水溶性樹脂であり、けん化度によって溶解速度は異なるが、通常、水に溶解してその形状をなくす性質を有している。また、PVA系重合体は造膜性、透明性および機械的強度に優れ、他の樹脂と比較してもより優れた素材であることが知られており、紙用コーティング剤および紙用内添剤などの紙用改質剤;紙、木材および無機物等の接着剤;経糸糊剤、フィルムおよびシート等に幅広く使用されている。さらにPVA系重合体は生分解性を有する樹脂であり、水に溶解したPVA系重合体が環境を汚染するようなことはない。
【0003】
ところで、PVA系重合体を熱処理および熱成形する際には、熱安定性(着色、臭気、粘度等)が極めて重要となる。特に溶融成形に関しては、PVA系重合体は結晶融点と分解開始温度が近いため、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの樹脂に比べると劣化が激しく、熱安定性が極めて低い。従って、PVA系重合体を容易に溶融成形するためには、けん化度を下げる、コモノマーを共重合させる、あるいは可塑剤や水を添加する等の方法によって、融点を低くする工夫が必要である。しかし、それでも決して十分なレベルとはいえず、またそのような方法では、用いることができるPVA系重合体のけん化度、変性度等の適用範囲が狭くなる。また、溶融成形性を向上させるためにエチレンを25〜50モル%共重合したエチレン−ビニルアルコール共重合体は代表的なガスバリアー材として良く知られており、熱安定性の改良に関しては種々の工夫がなされているが、更なる改良が望まれている。
【0004】
PVA系重合体の熱安定性を左右する因子としては、重合度、けん化度、アルカリ金属塩の含有量等が考えられるが、実際には、どのような機構で熱劣化が進行しているのか明確にはなっていない。そのため、その改善策についても効果的な方法が見出されていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、PVA系重合体に特定の糖類を配合することによりPVA系重合体の熱劣化を抑制し、熱安定性および着色性に優れたPVA系重合体組成物、並びに該PVA系重合体組成物からなる成形品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水酸基の少なくとも1個がエーテル化された糖類をPVA系重合体に特定量配合することにより、熱安定性および着色性に優れたPVA系重合体組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるにいたった。
【0007】
すなわち本発明は、ビニルアルコール系重合体(A)および水酸基の少なくとも1個がエーテル化された糖類(B)からなり、成分(A)100重量部に対する成分(B)の配合量0.05〜25重量部であるPVA系重合体組成物、並びに該PVA系重合体組成物からなる成形品に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられるPVA系重合体(A)としては、熱溶融可能なPVA系重合体を用いることができ、例えば、ビニルエステルの重合体をけん化することにより得られたものを用いることができる。前記ビニルエステルとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、工業的には酢酸ビニルを用いるのが好ましい。
【0009】
ビニルエステル重合体の重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。重合に使用される開始剤としては、例えば、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、−30〜200℃の範囲が適当である。
【0010】
ビニルエステル重合体は公知の方法によってけん化される。例えば、アルコールに溶解した状態でけん化される。けん化反応に使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコールなどの低級アルコールが挙げられ、メチルアルコールが特に好適に使用される。けん化反応に使用されるアルコールには、40重量%以下であれば、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン等の溶剤を含有していてもよい。けん化反応に用いられる触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、あるいは鉱酸などの酸触媒が用いられる。けん化反応の温度については特に制限はないが、20〜60℃の範囲が適当である。けん化反応の進行に伴って、ゲル状生成物が析出してくる場合には、その時点で生成物を粉砕し、洗浄後、乾燥することにより、本発明に用いることができるPVA系重合体が得られる。
【0011】
PVA系重合体(A)はα−オレフィン単位を含有していてもよい。α−オレフィン単位としては、炭素数4以下のものが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等から誘導される単位が挙げられるが、耐水性、吸湿性を考慮すると、エチレン単位がより好ましい。α−オレフィン単位の含有量は、1〜60モル%が好ましく、含有量が60モル%を越える場合には、変性PVAとしての特徴が損なわれる傾向がある。
【0012】
また、PVA系重合体(A)はアルキルビニルエーテル単位またはヒドロキシアルキルビニルエーテル単位を含有していてもよい。これらの単位が有するアルキル基は炭素数が4以下のものが好ましく、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等から誘導される単位が挙げられる。これらビニルエーテル単位の含有量は0.1〜20モル%が好ましく、含有量が20モル%を越える場合には、PVA系重合体の重合度が低下して変性PVAとしての特徴が損なわれる傾向がある。
【0013】
その他、PVA系重合体(A)は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記した単位以外の単量体単位を含有していてもよい。このような単位としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類、あるいはその塩または炭素数1〜18のアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類;ポリオキシアルキレン基を含有するアリルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ふっ化ビニル、ふっ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類;ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)ビニルエーテルなどのオキシアルキレン基を有する単量体;酢酸イソプロペニル;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等に由来するスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロリド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロリド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロリド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等に由来するカチオン基を有する単量体等から誘導される単位が挙げられる。これらの単量体単位の中でも、入手のしやすさ、共重合性および溶融成形性の観点から、アリルアセテート、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類;ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)ビニルエーテルなどのオキシアルキレン基を有する単量体;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有のα−オレフィン類;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類から誘導される単位が好ましい。これらの単量体単位の含有量は通常20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
【0014】
PVA系重合体(A)の重合度およびけん化度は特に制限はないが、得られる成形物の機械的強度や形態安定性、さらには溶融成形時の粘度安定性等を考えると、重合度は100〜2500が好ましく、200〜2000がより好ましい。けん化度については、40モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上が特に好ましい。
【0015】
本発明で用いられる水酸基の少なくとも1個がエーテル化された糖類(B)とは、単糖類またはオリゴ糖類が有する水酸基の少なくとも1個がエーテル化されたものを意味する。これらの糖類には、糖アルコールも包含される。単糖類とは、糖類のうちで加水分解によってそれ以上簡単な化合物にならない基本構造単位であり、通常、一般式Cn2nnで表され、nが5以上のものが好ましい。具体的には、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、キシロースなどが挙げられ、その中でもグルコースが好ましい。オリゴ糖類とは、単糖が2個以上10個程度までグリコシド結合によって結ばれた構造を有すものであり、具体的には、ラクトース、トレハロース、スクロース、マルトースなどが挙げられる。これらの糖類としては、末端をアルコール化した糖アルコールも使用できる。これらの糖類の中でも、単糖類を用いるのが好ましく、その中でもグルコースを用いるのが特に好ましい。
【0016】
エーテル化される部位は糖類が持つ水酸基のうちどこでもよく、特に制限はないが、ヘミアセタール水酸基を他の化合物と反応させてエーテル化したものが好ましく、グルコシドがさらに好ましい。ここでグルコシドとは、糖以外の物質(非糖成分)とグルコースが含有する水酸基とが結合したグルコース配糖体を意味する。非糖成分としては一般式ROHで表されるアルコールが好ましく、Rは炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のヒドロキシアルキル基、炭素数4以下のカルボキシアルキル基もしくは下記の一般式(1)で示される基であることが水溶性の点から好ましい。
【0017】
X−(CH2CHR1O)n− (1)
【0018】
〔式中、Xは水素原子、炭素数4以下のアルキル基、CH2=CHCO−基またはCH3CH=CHCO−基;R1は水素原子またはメチル基;nは1〜20の整数を表す〕
【0019】
エーテル化された糖類としては、例えば、α−メチル−D−グルコシド、β−メチル−D−グルコシド、α−エチル−D−グルコシド、α−ヒドロキシエチル−D−グルコシド、α−メトキシエチル−D−グルコシド、α−カルボキシメチル−D−グルコシドなどのヘミアセタール水酸基がエーテル化されたグルコシド、3−O−メチルグルコースなどのエーテル化された単糖類;2,5−O−メチレン―D―マンニトール等のエーテル化された糖アルコール;アクリル酸グルコシルオキシエチル、メタクリル酸グルコシルオキシエチルなどの重合性基を有するエーテル化された単糖類;1(β)−メチル−1(β)−D−グルコシド<1,5>−6−D−グルコシド<1,5>などのエーテル化されたオリゴ糖類を挙げることができる。これらのなかでも、ヘミアセタール水酸基がエーテル化されたグルコシドが好ましい。
【0020】
本発明のPVA系重合体組成物は、PVA系重合体(A)および水酸基の少なくとも1個がエーテル化された糖類(B)からなり、その配合割合は、成分(A)100重量部に対して成分(B)が0.05〜25重量部である。成分(A)100重量部に対して成分(B)の配合量0.05重量部未満の場合には、得られるPVA系重合体組成物の熱安定性および着色性が十分に改善されず、また成分(B)の配合量25重量部を越える場合には、得られるPVA系重合体組成物の機械的強度が低下するなどPVA系重合体が有している独自の特徴が失われる。
【0021】
本発明のPVA系重合体組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、充填材、可塑剤、他の可塑性樹脂、さらには香料、着色剤、発泡剤、消臭剤、増量剤、滑剤、剥離剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、加工安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、難燃剤、離型剤、補強材、防かび剤、防腐剤などの通常用いられる添加剤を適宜配合することができる。
【0022】
所望により配合可能な前記充填材は、得られるPVA系重合体組成物の硬度や剛度を高め、重量感を与えるとともに、水崩壊性や生分解性の速度を調整したり、ブロッキング防止性を発現させたり、印刷性を具備させることを目的に使用することができる。この充填材としては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、マイカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの無機充填材;尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂等の有機充填材が挙げられる。充填材の配合量は特に制限はないが、PVA系重合体(A)100重量部に対して0.1〜300重量部が好ましく、0.5〜100重量部がさらに好ましい。
【0023】
また、所望により配合可能な前記可塑剤は、融点を低下させて、成形性を向上させるとともに、得られる成形物に柔軟性と靭性を付与することを目的に使用することができる。この可塑剤としては特に制限はなく、PVAの可塑剤として一般に用いられているものを使用することができる。例えば、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコールなどの多価アルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類;ソルビトールや、グリセリン等の多価アルコールへエチレンオキサイドを付加した化合物;糖類;ポリエーテル類;ビスフェノールA、ビスフェノールSなどのフェノール誘導体;その他N−メチルピロリドンなどのアミド化合物;3価以上の多価アルコール1モルに対し、アルキレンオキシド2〜4モル程度を付加した化合物;トリメチロールプロパン、さらには水などが挙げられる。可塑剤の配合量は、特に制限はないが、PVA系重合体(A)100重量部に対し、0.1〜100重量部が好ましく、1〜20重量部がより好ましい。
【0024】
さらに前記した他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリスチレンなどの汎用樹脂が挙げられる。
【0025】
本発明のPVA系重合体組成物の調製方法には特に制限はなく、PVA系重合体(A)に、水酸基の少なくとも1個がエーテル化された糖類(B)および必要に応じて充填材、可塑剤、添加剤等を配合し、混合するだけでもよく、さらにこの組成物を溶融混錬してペレット化してもよい。また溶融混錬機にPVA系重合体(A)と水酸基の少なくとも1個がエーテル化された糖類(B)および必要に応じて充填材、可塑剤、添加剤等を、別々に一定割合で仕込みながら溶融混錬してペレット化してもよい。
【0026】
本発明のPVA系重合体組成物は、例えば、圧縮成形法、トランスファー成形法、強化プラスチック成形法、射出成形法、押出成形法、Tダイからの押出製膜法、インフレーション製膜法、中空成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、発泡成形法、真空成形法、圧空成形法などの各種成形法により、フィルム、シート、その他各種形状の成形品を製造することができる。また、所望により、これらの成形品に他の熱可塑性樹脂を積層し、積層体を製造してもよい。この他の熱可塑性樹脂としては、本発明のPVA系重合体組成物の所望成分として、先に例示したものと同じものを挙げることができる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0028】
なお、PVA系重合体の重合度およびけん化度はJIS K6726により測定した。PVA系重合体中のコモノマー単位の含有量は、500MHz 1H−NMRにより定量した。1H−NMR測定時のPVA系重合体の溶媒は重水素化DMSOを用いた。
【0029】
PVA系重合体組成物(試料)の作成、並びに該試料の熱安定性および着色性の評価は以下の方法で行った。
【0030】
(1)試料の作成
精製PVA系重合体とエーテル化された糖類を所定量の割合で混合した後、105℃で5時間以上、減圧乾燥させた。該組成物を下記の条件で溶融押出することによりペレットを作成した。
(ペレット化条件)
押出機:東洋精機(株)製ラボプラストミル
スクリュー:2軸同方向、25mmφ、L/D=26
スクリュー回転数:60rpm
設定温度:220℃
吐出量:2.2kg/h
【0031】
(2)熱安定性の評価
作成したペレットについて、窒素雰囲気下で、10℃/分の昇温速度で、700℃まで昇温する条件で示差熱・熱重量測定装置(セイコー電子(株)製、TG/DTA220U)を用いて測定し、5%重量減少温度を求めた。
【0032】
(3)着色性の評価
作成したペレットから単軸押出機を用いて下記の条件下に、厚さ25μmのフィルムを作成した。該フィルムを200℃で熱風乾燥機内で10分間または60分間熱処理を施し、その時のフィルムの着色度合いを目視で観察し、下記の評価基準で判定した。
(フィルム化条件)
押出機:東洋精機(株)製ラボプラストミル
スクリュー:深溝タイプ、25mmφ、L/D=26
スクリュー回転数:40rpm
設定温度:220℃
ダイ温度:220℃
引き取り速度:3m/分
冷却ロール温度:40℃
(着色性の評価基準)
◎:無色透明
○:薄黄色で透明性有り
△:黄色で透明性有り
×:褐色から焦げ茶色で透明性なし
【0033】
以下の実施例および比較例で用いたPVA系重合体の重合度、けん化度、コモノマーの含有量を下記の表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004476402
【0035】
実施例1
重合度550、けん化度99.6モル%のPVA重合体粉末(PVA−1)100重量部を、メタノール1000重量部でソックスレー洗浄を3日間行った後に、60℃熱風乾燥機で1日間乾燥させた。該精製PVA重合体粉末100重量部に、α−メチル−D−グルコシド(和光純薬工業(株)製)を5重量部添加、混合し、105℃で12時間の減圧乾燥を行った。次いで前記の方法により試料を作成し、熱安定性および着色性を前記の方法により評価した。評価結果を下記の表3に示す。
【0036】
比較例1
α−メチル−D−グルコシドを使用しないこと以外は、実施例1と同様にして試料を作成し、熱安定性および着色性の評価を行った。評価結果を下記の表3に示す。
【0037】
α−メチル−D−グルコシドを添加したPVA重合体組成物は、無添加の単独PVA重合体と比較して、熱安定性を表す指標である5%重量減少温度が70℃高い。また溶融フィルムの熱処理後の着色性も良好であり、本発明のPVA重合体組成物は熱安定性に優れることがわかった。
【0038】
実施例2〜4および比較例2、3
α−メチル−D−グルコシドの添加量を表2に示す割合に変更したこと以外は、実施例1と同様にして試料を作成し、熱安定性および着色性の評価を行った。評価結果を下記の表3に示す。
【0039】
α−メチル−D−グルコシドの添加量が実施例2〜4のものは熱安定性および着色性に優れるが、比較例2に示す0.005重量部では本発明の効果が見られなかった。また60重量部のα−メチル−D−グルコシドを添加した比較例3は熱安定性を改善する効果は認められたが、溶融成形性が悪く、溶融フィルムが得られなかった。
【0040】
実施例5〜10
下記の表2に示すPVA重合体を用い、エーテル化された糖を下記の表2に示すものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試料を作成し、熱安定性および着色性の評価を行った。評価結果を下記の表3に示す。
【0041】
比較例4
α−メチル−D−グルコシドに代えてエーテル化されていないD−グルコースを用いた以外は、実施例1と全く同様にして試料を作成し、熱安定性および着色性の評価を行った。評価結果を下記の表3に示す。熱安定性はPVA重合体単独よりも向上したが、得られたフィルムおよび熱処理後のフィルムは褐色であり、着色性がPVA重合体単独のものより悪かった。
【0042】
実施例11〜15
下記の表2に示すPVA重合体に変更したこと以外は、実施例1と同様にして試料を作成し、熱安定性および着色性の評価を行った。評価結果を下記の表3に示す。
【0043】
比較例5〜10
下記の表2に示すPVA重合体を用いること以外は、比較例1と同様にして試料を作成し、熱安定性および着色性の評価を行った。評価結果を下記の表3に示す。
【0044】
PVA−2からPVA−9のいずれのPVA重合体も、エーテル化された糖類を添加することにより熱安定性および着色性が向上していることがわかる。
【0045】
【表2】
Figure 0004476402
【0046】
【表3】
Figure 0004476402
【0047】
【発明の効果】
本発明のPVA系重合体組成物は、熱安定性および着色性に優れており、熱処理や熱成形時のPVA系重合体の劣化が抑制されているため、該PVA系重合体組成物を用いることで、品質の良い成形品を安定に製造することができる。

Claims (4)

  1. ビニルアルコール系重合体(A)および水酸基の少なくとも1個がエーテル化された糖類(B)からなり、成分(A)100重量部に対する成分(B)の配合量0.05〜25重量部であるビニルアルコール系重合体組成物。
  2. 水酸基の少なくとも1個がエーテル化された糖類(B)が、ヘミアセタール水酸基がエーテル化された糖類である請求項1記載のビニルアルコール系重合体組成物。
  3. ビニルアルコール系重合体(A)が、α−オレフィン単位を1〜60モル%含有するビニルアルコール系重合体、アルキルビニルエーテル単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体またはヒドロキシアルキルビニルエーテル単位を0.1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体である請求項1または2記載のビニルアルコール系重合体組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項記載のビニルアルコール系重合体組成物からなる成形品。
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