JP2010091606A - Ipsモード液晶表示装置用の複合偏光板およびipsモード液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】視野角が広いIPSモード液晶表示装置の特性を損なわずにカラーシフトを抑制でき、かつ、偏光フィルムと前記位相差フィルムが一体化され耐久性に優れた複合偏光板の提供。
【解決手段】偏光フィルム、透明保護フィルムおよび位相差フィルムが積層された複合偏光板であって、位相差フィルム側に配置される透明保護フィルムの波長590nmにおける面内レターデーションが10nm以下、厚み方向のレターデーションの絶対値が10nm以下であり、波長480〜750nmにおける厚み方向のレターデーションの絶対値が15nm以下であり、その外側に配置される位相差フィルムの波長590nmにおける面内レターデーションが100〜300nmであり、面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとするとき、波長590nmの光に対して式(1):0.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.7 を満たす。
【選択図】なし
【解決手段】偏光フィルム、透明保護フィルムおよび位相差フィルムが積層された複合偏光板であって、位相差フィルム側に配置される透明保護フィルムの波長590nmにおける面内レターデーションが10nm以下、厚み方向のレターデーションの絶対値が10nm以下であり、波長480〜750nmにおける厚み方向のレターデーションの絶対値が15nm以下であり、その外側に配置される位相差フィルムの波長590nmにおける面内レターデーションが100〜300nmであり、面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとするとき、波長590nmの光に対して式(1):0.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.7 を満たす。
【選択図】なし
Description
本発明は、IPSモード液晶セルに貼合して用いられる複合偏光板、およびそれを用いたIPSモード液晶表示装置に関するものである。
液晶表示装置は、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量で薄型である等の特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。この液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、および光反射シート等、多くの光学部材から構成されている。そこで、これらの光学部材を構成するフィルムまたはシートの枚数削減や膜厚の低減等の改良により、液晶表示装置の生産効率や明度の向上および軽量・薄型化等を図ることが可能であり、このような研究が盛んに行われている。
このような液晶表示装置の一つとして、インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置がある。この駆動モードは、電界が存在しない状態でホモジニアス配向させたネマチック液晶を、横電界によって駆動させて、画像表示を行うものである。このIPSモード液晶表示装置は、他の駆動モードの液晶表示装置に比べ視野角が広いという特徴を有する。しかし、画面を見る角度による画像の色目変化(斜め方向のカラーシフトともいう)が大きいという問題がある。
そこで、この問題を解決するために、偏光板の保護フィルムに特定のレターデーションを有する位相差フィルムを用いたIPSモード液晶表示装置が開示されている(特許文献1)。さらに、光学異方性がほとんどなくレターデーションの小さい透明フィルムをIPSモード液晶表示装置に用いることも開示されている(特許文献2)。
一方、このIPSモード液晶表示装置に用いられる位相差フィルムに求められる機能の一つは、液晶セルの複屈折による位相差を正面方向および斜め方向において等しく光学補償することである。したがって、位相差値の角度依存性は非常に重要な光学特性である。
そこで、角度によらず位相差値がほぼ一定である位相差フィルムが種々提案されており、例えば、特許文献3には、固有複屈折が正であって、分子がフィルム面の法線方向に配向してなるフィルムを延伸することにより、垂直入射における位相差と法線から40°傾いた方向からの入射における位相差がほぼ同じになる位相差フィルムとすることが開示されている。この位相差フィルムは、面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとしたとき、nx>nz>nyの関係を満たす。
前記nx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムの製造方法として、特許文献4には、樹脂フィルムの片面または両面に収縮性フィルムを接着して積層体を形成し、その積層体を加熱延伸処理する方法が開示されている。この方法は、樹脂フィルムを、延伸と同時にその延伸軸と直交する方向に収縮させ、厚み方向(Z方向)への配向を起こさせるものであり、樹脂フィルムの屈折率分布を延伸前後で大きく変化させている。このため、この製造方法に用いられる樹脂フィルムは、低い延伸倍率で位相差を生じやすいものが好ましく、従来、例えば、ポリカーボネート系樹脂フィルムや、ポリアリレート系樹脂フィルム、およびポリサルフォン系樹脂フィルムのような芳香族系樹脂フィルムが用いられてきた。
また、特許文献5には、一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、熱収縮性を有するフィルムを、その熱収縮軸方向が前記一軸熱可塑性樹脂フィルムの延伸軸方向と直交するように貼合して熱収縮させることにより、位相差フィルムを製造することが開示されている。こうして得られる位相差フィルムは、その厚み方向にも分子が配向している。この方法も、熱収縮性フィルムの熱収縮に伴う一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの収縮を利用して厚み方向に配向させるものであるため、やはり位相差の発現しやすい芳香族系樹脂フィルムを中心に適用されている。
ところが、前記芳香族系樹脂フィルムは光弾性係数の絶対値が大きいために、応力に対して位相差が変化しやすい。そのため、液晶セルと偏光フィルムとの間に貼合配置された状態で高温に曝されたときに、偏光フィルムの収縮応力によって位相差値が設計値からずれたり、液晶表示装置におけるバックライトの熱によって発生する応力のムラによって位相差値のムラが発生したりすることがあり、表示特性を悪化させる場合があった。
一方、環状オレフィン系樹脂フィルム等の脂肪族系樹脂フィルムは、光弾性係数の絶対値が小さいため、近年、位相差フィルムに適用する動きが高まっている。しかし、脂肪族系樹脂フィルムは、一般に位相差を発現しにくいため、芳香族系樹脂フィルムのような低い延伸倍率ではもちろんのこと、延伸倍率を高くしても、所望の位相差値を得ることが難しかった。特に、延伸軸方向とともに厚み方向にも所定の位相差値が得られるように配向させることは難しく、前記特許文献4や特許文献5に記載の方法によって、脂肪族系樹脂フィルムを適用することには限界があった。
そこで、特許文献6には、環状オレフィン系樹脂フィルムの片面または両面に、幅方向の収縮率が大きい収縮性フィルムを貼り合わせて、面内位相差値が100〜350nm、かつ(nx−nz)/(nx−ny)で表される係数(Nz係数)が0.1〜0.9となるように加熱延伸する方法が開示されている。この方法によれば、位相差の発現しにくい環状オレフィン系樹脂フィルムについて、延伸軸方向とともに厚み方向にも配向させ、nx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムを製造することができる。
しかし、前記環状オレフィン系樹脂フィルムを含むオレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムを偏光フィルムの片面に接着するとき、従来のポリビニルアルコール系偏光フィルムとセルロースアセテート系保護フィルムとの接着に使用されているポリビニルアルコール系接着剤では接着力が十分でなく、耐久性に劣る場合があった。
特開平10−307291号公報
特開2006−18245号公報
特開平2−160204号公報
特開平5−157911号公報
特開平7−230007号公報
特開2006−72309号公報
本発明の目的は、視野角が広いIPSモード液晶表示装置の特性を損なわずにカラーシフトを抑制でき、かつ、偏光フィルムと前記位相差フィルムが一体化され耐久性に優れた複合偏光板を提供することにある。本発明のもう一つの目的は、この複合偏光板を用いたIPSモード液晶表示装置を提供することにある。
本発明によれば、偏光フィルムの両面に透明保護フィルムが配置され、その片面の外側に、さらに位相差フィルムが配置されてなるIPSモード液晶表示装置用の複合偏光板であって、
位相差フィルム側に配置される透明保護フィルムの
波長590nmにおける面内レターデーションRe(590)が10nm以下であり、
波長590nmにおける厚み方向のレターデーションRth(590)の絶対値が10nm以下であり、
波長480〜750nmにおける厚み方向のレターデーションRth(480-750)の絶対値が15nm以下であり、
その外側に配置される位相差フィルムの
波長590nmにおける面内レターデーションRe(590)が100〜300nmであり、
面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとするとき、波長590nmの光に対して式(1):
0.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.7 (1)
を満たすことを特徴とする複合偏光板が提供される。
位相差フィルム側に配置される透明保護フィルムの
波長590nmにおける面内レターデーションRe(590)が10nm以下であり、
波長590nmにおける厚み方向のレターデーションRth(590)の絶対値が10nm以下であり、
波長480〜750nmにおける厚み方向のレターデーションRth(480-750)の絶対値が15nm以下であり、
その外側に配置される位相差フィルムの
波長590nmにおける面内レターデーションRe(590)が100〜300nmであり、
面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとするとき、波長590nmの光に対して式(1):
0.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.7 (1)
を満たすことを特徴とする複合偏光板が提供される。
前記位相差フィルム側に配置される透明保護フィルムは、オレフィン系樹脂であることが好ましい。また、位相差フィルム側の反対側に配置される透明保護フィルムは、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、およびセルロース系樹脂から選択されるいずれか一つからなることが好ましい。また、位相差フィルムは、オレフィン系樹脂からなることが好ましい。
前記透明保護フィルム(両面の透明保護フィルム)と偏光フィルムは、水溶性のポリビニルアルコール系樹脂を含む水溶性接着剤、もしくは、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物からなる接着剤で接着されていることが好ましい。前記エポキシ樹脂は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物を含有するものが好ましい。
さらに、本発明によれば、IPSモード液晶セルの少なくとも一方の面に、前記複合偏光板が配置されてなるIPSモード液晶表示装置が提供される。
本発明は、偏光フィルムの両面に透明保護フィルムが配置され、その片面の外側に、さらに位相差フィルムが配置されてなるIPSモード液晶表示装置用の複合偏光板において、位相差フィルム側に配置される透明保護フィルムとして用いられるオレフィン系樹脂フィルムのレターデーションを特定の値に定めたことにより、偏光フィルムとの接着力を飛躍的に高めることができる。
また、本発明の複合偏光板は、偏光板の片面にnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムが貼合されているため、液晶表示装置に配置した際に、視野角に依存する光もれが抑えられ、コントラスト視野角などの光学特性に優れた液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。
(偏光フィルム)
本発明に用いられる偏光フィルムは、通常、公知の方法によってポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造されるものである。
(偏光フィルム)
本発明に用いられる偏光フィルムは、通常、公知の方法によってポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造されるものである。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他に、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、およびアンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常、85〜100mol%程度であり、98mol%以上が好ましい。このポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、およびポリビニルブチラール等も用いることができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1,000〜10,000程度であり、1,500〜5,000程度が好ましい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法が採用される。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、特に制限されるものではないが、例えば、10μm〜150μm程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、または染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前またはホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常、3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素が含有された水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部程度である。また、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常、20〜40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10-4〜10重量部程度であり、1×10-3〜1重量部程度が好ましい。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常、20〜80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。
ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、通常、水100重量部あたり、2〜15重量部程度であり、5〜12重量部が好ましい。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、通常、水100重量部あたり、0.1〜15重量部程度であり、5〜12重量部程度が好ましい。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60〜1,200秒程度であり、150〜600秒程度が好ましく、200〜400秒程度がより好ましい。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常、50℃以上であり、50〜85℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常、5〜40℃程度である。また、浸漬時間は、通常、1〜120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常、30〜100℃程度であり、50〜80℃が好ましい。乾燥処理の時間は、通常、60〜600秒程度であり、120〜600秒が好ましい。
乾燥処理によって、偏光フィルムの水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常、5〜20重量%であり、8〜15重量%が好ましい。水分率が5重量%を下回ると、偏光フィルムの可撓性が失われ、偏光フィルムがその乾燥後に損傷したり、破断したりする場合がある。また、水分率が20重量%を上回ると、偏光フィルムの熱安定性に劣る場合がある。
こうして得られる偏光フィルムの厚みは、通常、5〜40μm程度とすることができる。
(透明保護フィルム)
偏光フィルムの両面に積層される透明保護フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、および位相差値の安定性等に優れる材料からなることが好ましい。
偏光フィルムの両面に積層される透明保護フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、および位相差値の安定性等に優れる材料からなることが好ましい。
このような透明保護フィルム用材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸メチル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリエチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、およびポリイミド系樹脂等からなるフィルムが挙げられる。
これらの樹脂は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもでき、このポリマー変性としては、例えば、共重合、架橋、分子末端、立体規則性制御、および異種ポリマー同士の反応を伴う場合を含む混合等の変性が挙げられる。
これらの中でも、前記透明保護フィルムの材料としては、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、およびセルロース系樹脂を用いることが好ましい。
メタクリル酸メチル系樹脂とは、メタクリル酸メチル単位を50重量%以上含む重合体である。メタクリル酸メチル単位の含有量は、好ましくは70重量%以上であり、100重量%であってもよい。メタクリル酸メチル単位が100重量%の重合体は、メタクリル酸メチルを単独で重合させて得られるメタクリル酸メチル単独重合体である。
このメタクリル酸メチル系樹脂は、通常、メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体、多官能単量体、ラジカル重合開始剤、および連鎖移動剤の共存下に重合して得ることができる。
メタクリル酸メチルと共重合し得る単官能単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、およびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類; アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類; 2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、3−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、および2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ブチル等のヒドロキシアクリル酸エステル類; メタクリル酸およびアクリル酸等の不飽和酸類; クロロスチレンおよびブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類; ビニルトルエンおよびα−メチルスチレン等の置換スチレン類; アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類; 無水マレイン酸および無水シトラコン酸等の不飽和酸無水物類; ならびにフェニルマレイミドおよびシクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類等を挙げることができる。このような単量体は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
メタクリル酸メチルと共重合し得る多官能単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびテトラデカエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエチレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; プロピレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールの水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、またはこれらのハロゲン置換体の両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの; トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトール等の多価アルコールをアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの、ならびにこれら末端水酸基にグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの; コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、フタル酸、これらのハロゲン置換体等の二塩基酸、およびこれらのアルキレンオキサイド付加物等にグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの; アリール(メタ)アクリレート; およびジビニルベンゼン等のジアリール化合物等が挙げられる。中でも、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、およびネオペンチルグリコールジメタクリレートが好ましく用いられる。
このような組成からなるメタクリル酸メチル系樹脂は、さらに、樹脂に共重合させた官能基間の反応を行い変成されたものも用いられる。その反応としては、例えば、アクリル酸メチルのメチルエステル基と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基の高分子鎖内脱メタノール縮合反応、またはアクリル酸のカルボキシル基と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基の高分子鎖内脱水縮合反応等が挙げられる。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂とは、繰り返し単位の80mol%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味し、他のジカルボン酸成分とジオール成分を含んでいても良い。他のジカルボン酸成分としては、特に限定されるものでないが、例えば、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、および1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等が挙げられる。
他のジオール成分としては、特に限定されるものではないが、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸を併用することもできる。また、他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、およびカーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分、またはジオール成分が用いられてもよい。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の製造方法としては、テレフタル酸およびエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸または他のジオール)を直接重縮合させる方法、テレフタル酸のジアルキルエステルおよびエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸のジアルキルエステルまたは他のジオール)とをエステル交換反応させた後重縮合させる方法、およびテレフタル酸(および必要に応じて他のジカルボン酸)のエチレングリコールエステル(および必要に応じて他のジオールエステル)を触媒の存在下で重縮合させる方法等が採用される。さらに、必要に応じて固相重合を行い、分子量を向上させたり、低分子量成分を低減させたりすることもできる。
オレフィン系樹脂とは、エチレンおよびプロピレン等の鎖状脂肪族オレフィン、またはノルボルネンやその置換体(以下、これらを総称してノルボルネン系モノマーとも称する。)等の脂環式オレフィンから誘導される構成単位からなる樹脂である。オレフィン系樹脂は、2種以上のモノマーを用いた共重合体であってもよい。
前記の中でも、オレフィン系樹脂は、主に脂環式オレフィンから誘導される構成単位からなる樹脂であることが好ましく、とりわけ、重合後も脂環式オレフィン由来の環状構造が主鎖中に残っている環状オレフィン系樹脂が好ましく用いられる。環状オレフィン系樹脂を構成する脂環式オレフィンの典型的な例としては、ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。ノルボルネンとは、ノルボルナンの1つの炭素−炭素結合が二重結合となった化合物であって、IUPAC命名法によれば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エンと命名されるものである。ノルボルネンの置換体の例としては、ノルボルネンの二重結合位置を1,2−位として、3−置換体、4−置換体、および4,5−ジ置換体等を挙げることができ、さらにはジシクロペンタジエンやジメタノオクタヒドロナフタレン等も挙げることができる。このようなノルボルネン系モノマーから誘導される構成単位からなる樹脂は、一般に環状オレフィン系樹脂と呼ばれる。
ノルボルネン系モノマーから誘導される構成単位を含む環状オレフィン系樹脂は、その構成単位にノルボルナン環を有していてもよいし、有していなくてもよい。構成単位にノルボルナン環を有さないノルボルネン系樹脂を形成するノルボルネン系モノマーとしては、例えば、開環により5員環となるもの、代表的には、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1−または4−メチルノルボルネン、および4−フェニルノルボルネン等が挙げられる。ノルボルネン系樹脂が共重合体である場合、その分子の配列状態は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
環状オレフィン系樹脂のより具体的な例を挙げれば、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの開環共重合体、それらにマレイン酸付加やシクロペンタジエン付加等がなされたポリマー変性物、さらにはこれらを水素添加した重合体または共重合体; ノルボルネン系モノマーの付加重合体、およびノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの付加共重合体等が挙げられる。共重合体とする場合における他のモノマーとしては、α−オレフィン類、シクロアルケン類、非共役ジエン類等が挙げられる。また、ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーおよび他の脂環式オレフィンの1種または2種以上を用いた共重合体であってもよい。
ポリプロピレン系樹脂とは、前記鎖状オレフィン系樹脂の中でも、繰り返し単位の80%以上がプロピレンモノマーである鎖状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合されたものをいう。中でも、プロピレンの単独重合体であるものが好ましい。また、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを、1〜20重量%の割合で、好ましくは3〜10重量%の割合で共重合させた共重合体も好ましい。
プロピレン共重合体を用いる場合、プロピレンと共重合可能なコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン、および1−ヘキセンが好ましい。中でも、透明性に比較的優れることから、エチレンを3〜10重量%の割合で共重合させたものが好ましい。エチレンの共重合割合を1重量%以上とすることで、透明性を上げる効果が現れる。一方、その割合が20重量%を超えると、樹脂の融点が下がり保護フィルムに要求される耐熱性が損なわれる場合がある。中でも、20℃のキシレンに可溶な成分(CXS成分)が1重量%以下であるプロピレンホモポリマーがより好ましく、CXS成分が0.5%以下のものがさらに好ましい。
セルロース系樹脂とは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等の原料セルロースから得られるセルロースの水酸基における水素原子の一部または全部がアセチル基、プロピオニル基および/またはブチリル基で置換された、セルロース有機酸エステルまたはセルロース混合有機酸エステルをいう。例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、およびそれらの混合エステル等からなるものが挙げられる。中でも、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、およびセルロースアセテートブチレートフィルム等が好ましい。
メタクリル酸メチル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、セルロース系樹脂等を、偏光フィルムに接着される透明保護フィルムに加工する方法としては、その樹脂に応じた方法を適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。例えば、溶媒に溶解させた樹脂を金属性バンド、またはドラムへ流延し、溶媒を乾燥除去してフィルムを得る溶媒キャスト法、および、樹脂をその溶融温度以上に加熱・混練してダイより押し出し、冷却することによりフィルムを得る溶融押出法が採用される。この溶融押出法では、単層フィルムの押しだしであってもよく、また多層フィルムの同時押し出しであってもよい。
このような透明保護フィルムの材料として用いられる各種樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、メタクリル酸メチル系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、スミペックス(住友化学株式会社製)、アクリライト、アクリプレン(以上、三菱レイヨン株式会社製)、デラグラス(旭化成株式会社製)、パラグラス、コモグラス(以上、株式会社クラレ製)、およびアクリビュア(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。
また、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、ノバクリアー(三菱化学株式会社製)および帝人A−PETシート(帝人化成株式会社製)等が挙げられる。
また、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、Topas(Topas Advanced Polymers GmbH製)、アートン(JSR株式会社製)、ゼオノア、ゼオネックス(以上、日本ゼオン株式会社製)、およびアペル(三井化学株式会社製)等が挙げられる。
また、例えば、ポリプロピレン系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、FILMAX CPPフィルム(FILMAX社製)、サントックス(サン・トックス株式会社製)、トーセロ(東セロ株式会社製)、東洋紡パイレンフィルム(東洋紡績株式会社製)、トレファン(東レフィルム加工株式会社製)、ニホンポリエース(日本ポリエース株式会社製)、および太閤FC(フタムラ化学株式会社製)等が挙げられる。
また、例えば、セルロース系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、フジタックTD(富士フィルム株式会社製)、およびコニカミノルタTACフィルムKC(コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
本発明に用いられる透明保護フィルムには、防眩性(ヘイズ)が付与されることが出来る。防眩性を付与する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、前記の原料樹脂中に無機微粒子もしくは有機微粒子を混合してフィルム化する方法、前記の多層押し出しを用いて、一方に微粒子が混合された樹脂ともう一方に微粒子が混合されていない樹脂とから二層フィルム化する方法、または粒子が混合された樹脂を外側にして三層フィルム化する方法、およびフィルムの片側に無機微粒子もしくは有機微粒子を硬化性バインダー樹脂に混合してなる塗布液をコートし、バインダー樹脂を硬化して防眩層を設ける方法等が採用される。
防眩性を付与するための無機微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ−シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、およびリン酸カルシウム等が挙げられる。また、有機微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、架橋ポリアクリル酸粒子、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子、およびポリイミド粒子等が挙げられる。
こうして得られる防眩性を付与された透明保護フィルムのヘイズ値は、6〜45%の範囲内であることが好ましい。防眩性保護フィルムのヘイズ値が6%を下回ると、十分な防眩効果が現れない場合がある。また、45%を越えると、このフィルムを用いてなる液晶表示装置の画面が白茶け、画質の低下をまねく場合がある。
なお、このヘイズ値は、JIS K 7136に準拠し、例えば、ヘイズ・透過率計HM−150(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて測定することができる。ヘイズ値の測定に際しては、フィルムの反りを防止するために、例えば、光学的に透明な粘着剤を用いて防眩性付与面が表面となるようにフィルム面をガラス基板に貼合した測定サンプルを用いることが好ましい。
前記の透明保護フィルム上には、さらに、導電層、ハードコート層、および低反射層等の機能層を積層することができる。また、前記保護フィルムを構成するバインダー樹脂には、これらの機能を有する樹脂組成物を選択することもできる。
また、透明保護フィルムは、偏光フィルムとの貼合に先立って、ケン化処理、コロナ処理、およびプラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
透明保護フィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、通常、強度や取り扱い性等の観点から1〜500μm程度であり、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。この範囲内の厚みであれば、偏光フィルムを機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光フィルムが収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
本発明の偏光板において、位相差フィルム側に配置される透明保護フィルムは、波長590nmにおける面内レターデーションRe(590)が10nm以下であり、
波長590nmにおける厚み方向のレターデーションRth(590)の絶対値が10nm以下であり、
波長480〜750nmにおける厚み方向のレターデーションRth(480-750)の絶対値が15nm以下である。
波長590nmにおける厚み方向のレターデーションRth(590)の絶対値が10nm以下であり、
波長480〜750nmにおける厚み方向のレターデーションRth(480-750)の絶対値が15nm以下である。
位相差フィルム側に配置される透明保護フィルム用材料としては、特に限定されるものではなく、前記した透明保護フィルム用材料に挙げたものを用いることができるが、そのレターデーションが上記条件を満たすためのレターデーション制御の自由度および安定性の観点から、上述のセルロース系樹脂またはオレフィン系樹脂が好ましい。中でも、オレフィン系樹脂がより好ましく、その中でも環状オレフィン系樹脂が更に好ましい。
透明保護フイルムの厚み方向のレターデーションRthは、厚み方向の複屈折率にフイルムの厚みを乗じた値であり、下記式(A)で表される。また、面内レターデーションReは下記式(B)で表される値である。RthおよびReは、市販の各種位相差計を用いた測定により求めることができる。
厚み方向のレターデーション値(Rth)={(nx+ny)/2−nz}×d (A)
面内レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d (B)
(式中、nxはフイルム平面内のx方向(面内遅相軸方向)の屈折率であり、nyはフイルム平面内のy方向(面内進相軸方向)の屈折率であり、nzはフイルム面に垂直な方向(厚み方向)の屈折率であり、そしてdはフイルムの厚みである)。
厚み方向のレターデーション値(Rth)={(nx+ny)/2−nz}×d (A)
面内レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d (B)
(式中、nxはフイルム平面内のx方向(面内遅相軸方向)の屈折率であり、nyはフイルム平面内のy方向(面内進相軸方向)の屈折率であり、nzはフイルム面に垂直な方向(厚み方向)の屈折率であり、そしてdはフイルムの厚みである)。
次に、オレフィン系樹脂フィルムのレターデーション(Re(590)、Rth(590)、Rth(480-750))が上記条件を満たすように制御する方法を説明する。Re(590)を10nm以下にするためには、面内方向に残留する延伸時のゆがみを極力小さくする必要があり、かつ、Rth(590)およびRth(480-750)を本発明所定の値以下とするためには、厚み方向に残留するゆがみを極力小さくする必要がある。
例えば、前記溶媒キャスト法においては、その樹脂溶液中にレターデーションを低下させる機能を有する化合物等を配合する方法、およびその流延樹脂溶液を乾燥した際に生じる面内方向の残留延伸歪みおよび厚み方向の残留収縮歪みを、熱処理によって緩和させる方法等が採用される。この方法は、セルロース系樹脂をフィルム化するにあたり好ましく採用される。
また、前記溶融押出法においては、樹脂フィルムをダイから押し出し、冷却するまでの間に延伸されることを防ぐため、ダイから冷却ドラムまでの距離を極力縮めるとともに、押し出し量と冷却ドラムの回転速度をフィルムが延伸されないよう制御する方法等が採用される。また、前記溶融押出法と同様に得られたフィルムに残留する歪みを熱処理によって緩和させる方法も採用される。この方法は、オレフィン系樹脂をフィルム化するにあたり好ましく採用される。
(透明保護フィルムと偏光フィルムの積層方法)
こうして得られる透明保護フィルム(位相差フィルム側およびその反対側に配置される透明保護フィルム)と偏光フィルムの積層方法としては、特に限定されるものではなく、任意の適切な方法が採用される。
こうして得られる透明保護フィルム(位相差フィルム側およびその反対側に配置される透明保護フィルム)と偏光フィルムの積層方法としては、特に限定されるものではなく、任意の適切な方法が採用される。
積層方法は、例えば、接着層を設けて一体化させるものが好ましい。この際、接着層の厚みは0.1〜35μmが好ましく、さらに好ましくは0.5〜15μmである。この範囲であれば、積層される透明保護フィルムと偏光フィルムとの間に浮きや剥がれが生じず、実用上問題のない接着力が得られる。
接着層の形成は、被着体の種類や目的に応じて、適宜、適切な接着剤およびアンカーコート剤を用いることができる。例えば、溶剤型接着剤、エマルジョン型接着剤、感圧性接着剤、再湿性接着剤、重縮合型接着剤、無溶剤型接着剤、フィルム状接着剤、およびホットメルト型接着剤等がある。
前記接着層を形成する接着剤としては水溶性接着剤が好ましい。この水溶性接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とするものがある。水溶性接着剤は市販のものを用いてもよいし、市販の接着剤に溶剤や添加剤を混合したものを用いてもよい。水溶性接着剤となりうる市販のポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、(株)クラレ製のKL−318等がある。
また、この水溶性接着剤は架橋剤を含有することができる。架橋剤の種類としては、アミン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、および多価金属塩等が好ましく、特にエポキシ化合物が好ましい。架橋剤の市販品としては、例えば、グリオキザールや、住化ケムテックス(株)製のスミレーズレジン650(30)等がある。
また、もう1つの好ましい接着剤としては、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物からなる接着剤が挙げられる。偏光フィルムと透明保護フィルムとの接着は、これらフィルム間に介在する接着剤の塗布層に対して、活性エネルギー線を照射するか、または加熱し、接着剤に含有される硬化性のエポキシ樹脂を硬化させることにより行うことができる。本発明において活性エネルギー線の照射または熱によるエポキシ樹脂の硬化は、好ましくは、エポキシ樹脂のカチオン重合によるものである。なお、本発明においてエポキシ樹脂とは、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。
本発明においては、耐候性、屈折率、およびカチオン重合性等の観点から、接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂は、分子内に芳香環を含まないエポキシ樹脂であることが好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
水素化エポキシ樹脂は、芳香族エポキシ樹脂を触媒の存在下、加圧下で選択的に核水素化反応を行うことにより得ることができる。芳香族エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、およびビスフェノールSのジグリシジルエーテル等のビスフェノール型エポキシ樹脂; フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、およびヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂; テトラヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、およびエポキシ化ポリビニルフェノール等の多官能型のエポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、水素化したビスフェノールAのグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
脂環式エポキシ樹脂とは、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有するエポキシ樹脂を意味する。「脂環式環に結合したエポキシ基」とは、次式に示される構造における(CH2)mから1個または複数個の水素原子を取り除いた形の基である。次式中、mは2〜5の整数である。
したがって、前記式における(CH2)m中の1個または複数個の水素原子を取り除いた形の基が他の化学構造に結合している化合物が脂環式エポキシ樹脂となり得る。(CH2)m中の1個または複数個の水素原子は、メチル基やエチル基等の直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。脂環式エポキシ樹脂の中でも、オキサビシクロヘキサン環(前記式においてm=3のもの)や、オキサビシクロヘプタン環(前記式においてm=4のもの)を有するエポキシ樹脂は、優れた接着性を有することから好ましく用いられる。以下に、本発明において好ましく用いられる脂環式エポキシ樹脂を具体的に例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
(a)次式(I)で示されるエポキシシクロヘキシルメチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート類:
(式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
(b)次式(II)で示されるアルカンジオールのエポキシシクロヘキサンカルボキシレート類:
(式中、R3およびR4は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、nは2〜20の整数を表す)。
(c)次式(III)で示されるジカルボン酸のエポキシシクロヘキシルメチルエステル類:
(式中、R5およびR6は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、pは2〜20の整数を表す)。
(d)次式(IV)で示されるポリエチレングリコールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル類:
(式中、R7およびR8は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、qは2〜10の整数を表す)。
(e)次式(V)で示されるアルカンジオールのエポキシシクロヘキシルメチルエーテル類:
(式中、R9およびR10は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表し、rは2〜20の整数を表す)。
(f)次式(VI)で示されるジエポキシトリスピロ化合物:
(式中、R11およびR12は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
(g)次式(VII)で示されるジエポキシモノスピロ化合物:
(式中、R13およびR14は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
(h)次式(VIII)で示されるビニルシクロヘキセンジエポキシド類:
(式中、R15は、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
(i)次式(IX)で示されるエポキシシクロペンチルエーテル類:
(i)次式(IX)で示されるエポキシシクロペンチルエーテル類:
(式中、R16およびR17は、互いに独立して、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
(j)次式(X)で示されるジエポキシトリシクロデカン類:
(式中、R18は、水素原子または炭素数1〜5の直鎖状アルキル基を表す)。
前記例示した脂環式エポキシ樹脂の中でも、次の脂環式エポキシ樹脂は、市販されているか、またはその類似物であって、入手が比較的容易である等の理由から、より好ましく用いられる。
前記例示した脂環式エポキシ樹脂の中でも、次の脂環式エポキシ樹脂は、市販されているか、またはその類似物であって、入手が比較的容易である等の理由から、より好ましく用いられる。
(A)7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と(7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとのエステル化物〔式(I)において、R1=R2=Hの化合物〕、
(B)4−メチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と(4−メチル−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとのエステル化物〔式(I)において、R1=4−CH3、R2=4−CH3の化合物〕、
(C)7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と1,2−エタンジオールとのエステル化物〔式(II)において、R3=R4=H、n=2の化合物〕、
(D)(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物〔式(III)において、R5=R6=H、p=4の化合物〕、
(E)(4−メチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物〔式(III)において、R5=4−CH3、R6=4−CH3、p=4の化合物〕、
(F)(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールと1,2−エタンジオールとのエーテル化物〔式(V)において、R9=R10=H、r=2の化合物〕。
(B)4−メチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と(4−メチル−7−オキサ−ビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとのエステル化物〔式(I)において、R1=4−CH3、R2=4−CH3の化合物〕、
(C)7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸と1,2−エタンジオールとのエステル化物〔式(II)において、R3=R4=H、n=2の化合物〕、
(D)(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物〔式(III)において、R5=R6=H、p=4の化合物〕、
(E)(4−メチル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールとアジピン酸とのエステル化物〔式(III)において、R5=4−CH3、R6=4−CH3、p=4の化合物〕、
(F)(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)メタノールと1,2−エタンジオールとのエーテル化物〔式(V)において、R9=R10=H、r=2の化合物〕。
また、脂肪族エポキシ樹脂としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルを挙げることができる。具体的には、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル; 1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル; グリセリンのトリグリシジルエーテル; トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル; ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル; プロピレングリコールのジグリシジルエーテル; エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明において、エポキシ樹脂は、1種のみを単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。本発明で用いられるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、通常、30〜3,000g/eqであり、50〜1,500g/eqが好ましい。エポキシ当量が30g/eqを下回ると、硬化後の複合偏光板の可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする場合がある。一方、3,000g/eqを超えると、接着剤に含有される他の成分との相溶性が低下する場合がある。
本発明においては、反応性の観点から、エポキシ樹脂の硬化反応としてカチオン重合が好ましく用いられる。そのためには、接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物は、カチオン重合開始剤を配合するのが好ましい。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射または加熱によって、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させる。いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが、作業性の観点から好ましい。以下、活性エネルギー線の照射によりカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を「光カチオン重合開始剤」といい、熱によりカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させるカチオン重合開始剤を「熱カチオン重合開始剤」という。
光カチオン重合開始剤を用い、活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化を行う方法は、常温での硬化が可能となり、偏光フィルムの耐熱性または膨張による歪を考慮する必要が減少し、透明保護フィルムと偏光フィルムとを良好に接着できる点において有利である。また、光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、エポキシ樹脂に混合しても保存安定性や作業性に優れる。
光カチオン重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩、および鉄−アレン錯体等が挙げられる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、およびベンゼンジアゾニウム およびヘキサフルオロボレート等が挙げられる。また、芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、およびジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4,4’−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロアンチモネート)、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、および4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
また、鉄−アレン錯体としては、例えば、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、クメン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、およびキシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)−トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイド等が挙げられる。
これらの光カチオン重合開始剤の市販品は、容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、「カヤラッド PCI−220」、「カヤラッド PCI−620」(以上、日本化薬(株)製)、「UVI−6990」(ユニオンカーバイド社製)、「アデカオプトマー SP−150」、「アデカオプトマー SP−170」(以上、(株)ADEKA製)、「CI−5102」、「CIT−1370」、「CIT−1682」、「CIP−1866S」、「CIP−2048S」、「CIP−2064S」(以上、日本曹達(株)製)、「DPI−101」、「DPI−102」、「DPI−103」、「DPI−105」、「MPI−103」、「MPI−105」、「BBI−101」、「BBI−102」、「BBI−103」、「BBI−105」、「TPS−101」、「TPS−102」、「TPS−103」、「TPS−105」、「MDS−103」、「MDS−105」、「DTS−102」、「DTS−103」(以上、みどり化学(株)製)、「PI−2074」(ローディア社製)等を挙げることができる。
これらの光カチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械的強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部であり、1〜15重量部がより好ましい。光カチオン重合開始剤の配合量が、エポキシ樹脂100重量部に対して0.5重量部を下回ると、硬化が不十分になり、機械的強度や接着強度が低下する場合がある。また、光カチオン重合開始剤の配合量が、エポキシ樹脂100重量部に対して、20重量部を越えると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、耐久性能が低下する場合がある。
光カチオン重合開始剤を用いる場合、接着剤である硬化性エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、さらに光増感剤を含有することができる。光増感剤を用いることで、カチオン重合の反応性が向上し、硬化物の機械的強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、および光還元性色素等が挙げられる。
光増感剤のより具体的な例を挙げれば、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン等のベンゾイン誘導体; ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、および4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体; 2−クロロチオキサントンおよび2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体; 2−クロロアントラキノンおよび2−メチルアントラキノン等のアントラキノン誘導体; N−メチルアクリドンおよびN−ブチルアクリドン等のアクリドン誘導体; その他、α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、およびハロゲン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの光光増感剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。光増感剤は、硬化性エポキシ樹脂組成物100重量部中、0.1〜20重量部の範囲内で含有されることが好ましい。
一方、熱カチオン重合開始剤としては、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、およびアミンイミド等を挙げることができる。これらの熱カチオン重合開始剤は、市販品として容易に入手することが可能であり、例えば、いずれも商品名で、「アデカオプトンCP77」、「アデカオプトンCP66」(以上、株式会社ADEKA製)、「CI−2639」、「CI−2624」(以上、日本曹達株式会社製)、「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」(以上、三新化学工業株式会社製)等が挙げられる。
接着剤に含有されるエポキシ樹脂は、光カチオン重合または熱カチオン重合のいずれかにより硬化してもよいし、光カチオン重合および熱カチオン重合の双方により硬化してもよい。後者の場合、光カチオン重合開始剤と熱カチオン重合開始剤とを併用することが好ましい。
また、硬化性エポキシ樹脂組成物は、オキセタン類やポリオール類等のカチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
オキセタン類は、分子内に4員環エーテルを有する化合物であり、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ〔(3−エチル−3−オキセタニル)メチル〕エーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、およびフェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。これらのオキセタン類は、市販品として容易に入手することが可能であり、例えば、いずれも商品名で、「アロンオキセタン OXT−101」、「アロンオキセタン OXT−121」、「アロンオキセタン OXT−211」、「アロンオキセタン OXT−221」、「アロンオキセタン OXT−212」(以上、東亞合成(株)製)等を挙げることができる。これらのオキセタン類は、硬化性エポキシ樹脂組成物中、通常、5〜95重量%、好ましくは30〜70重量%の割合で含有される。
ポリオール類としては、フェノール性水酸基以外の酸性基が存在しないものが好ましく、例えば、水酸基以外の官能基を有しないポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物、ポリカプロラクトンポリオール化合物、フェノール性水酸基を有するポリオール化合物、およびポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。これらのポリオール類の分子量は、通常、48以上、好ましくは62以上、さらに好ましくは100以上、また好ましくは1,000以下である。これらポリオール類は、硬化性エポキシ樹脂組成物中、通常、50重量%以下、好ましくは30重量%以下の割合で含有される。
さらに、硬化性エポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の添加剤、例えば、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、増感剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、および消泡剤等を配合することができる。イオントラップ剤としては、例えば、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、カルシウム系、チタン系およびこれらの混合系等の無機化合物が挙げられ、酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
以上のようなエポキシ樹脂を含有する硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤を、偏光フィルムまたは透明保護フィルムの接着面、もしくはこれら双方の接着面に塗工した後、接着剤の塗工された面で貼合し、活性エネルギー線を照射するかまたは加熱することにより、この未硬化の接着剤層に硬化させて、偏光フィルムと透明保護フィルムとを硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物層からなる接着剤層を介して貼合することができる。接着剤の塗工方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、およびグラビアコーター等、種々の塗工方式が採用される。
ここで、偏光フィルムと透明フィルムとの接着に用いられるこのエポキシ樹脂を含有する接着剤は、基本的には、溶剤成分を実質的に含まない無溶剤型接着剤として用いることができるが、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、粘度調整のために溶剤を含有させてもよい。溶剤としては、偏光フィルムの光学性能を低下させることなく、エポキシ樹脂組成物を良好に溶解するものを用いることが好ましく、特に限定されるものではないが、例えば、トルエンに代表される炭化水素類、および酢酸エチルに代表されるエステル類等の有機溶剤を挙げることができる。
活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化を行う場合、用いられる光源は、特に限定されるものではないが、例えば、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、およびメタルハライドランプ等を用いることができる。硬化性エポキシ樹脂組成物への光照射強度は、その組成物ごとに異なり得るが、光カチオン重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。硬化性エポキシ樹脂組成物への光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、100mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱および硬化性エポキシ樹脂組成物の重合時の発熱により、硬化性エポキシ樹脂組成物の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる場合がある。硬化性エポキシ樹脂組成物への光照射時間は、その組成物ごとに制御されるものであって、やはり特に制限されるものではないが、照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。硬化性エポキシ樹脂組成物への積算光量が10mJ/cm2未満であると、光カチオン重合開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、接着剤の硬化が不十分となる可能性がある。また、積算光量が5,000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利なものとなる。
熱により接着剤の硬化を行う場合、一般的に知られた方法で加熱することができ、その条件等も特に制限されるものではないが、通常、硬化性エポキシ樹脂組成物に配合された熱カチオン重合開始剤がカチオン種やルイス酸を発生する温度以上で加熱が行われ、具体的には、加熱温度は、例えば、50〜200℃程度である。
活性エネルギー線の照射または加熱のいずれの条件で硬化させる場合でも、偏光フィルムの偏光度、透過率および色相、透明保護フィルムの透明性、ならびに透明保護フィルムの位相差特性等、偏光板の諸機能が低下しない範囲で硬化させることが好ましい。
(位相差フィルム)
本発明に用いられる位相差フィルムは、波長590nmにおける面内レターデーションRe(590)が100〜300nmであり、
面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとするとき、波長590nmの光に対して式(1):
0.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.7 (1)
を満たすものである。以下、(nx−nz)/(nx−ny)をNz係数と称する。
本発明に用いられる位相差フィルムは、波長590nmにおける面内レターデーションRe(590)が100〜300nmであり、
面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとするとき、波長590nmの光に対して式(1):
0.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.7 (1)
を満たすものである。以下、(nx−nz)/(nx−ny)をNz係数と称する。
この位相差フィルムの材料は、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、および位相差値の安定性等に優れる材料からなることが好ましい。このような位相差フィルム用材料としては、例えば、前記透明保護フィルムの材料として挙げたものを用いることができる。これらの中でも、前記屈折率特性を得るためには、オレフィン系樹脂が好ましく、中でも環状オレフィン系樹脂がより好ましい。
前記具体例の中でも、環状オレフィン系樹脂としては、ノルボルネン系モノマーを用いた開環重合体または開環共重合体に水素添加した樹脂が好ましく用いられる。このようなノルボルネン系モノマーを用いた開環重合体または開環共重合体の水素添加物の市販品としては、それぞれ商品名で、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン株式会社製)、アートン(JSR株式会社製)等がある。これらのノルボルネン系樹脂のフィルムやその延伸フィルムも、それぞれ商品名で、ゼオノアフィルム(株式会社オプテス製)、アートンフィルム(JSR株式会社製)、エスシーナ(積水化学工業株式会社製)などが販売されている。
また、本発明で用いられる位相差フィルムには、オレフィン系樹脂を2種類以上含む混合樹脂からなるフィルムや、オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂からなるフィルムを用いることもできる。例えば、オレフィン系樹脂を2種類以上含む混合樹脂の例としては、前記したような環状オレフィン系樹脂と非環状脂肪族オレフィン系樹脂との混合物を挙げることができる。オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂は、目的に応じて、適宜、適切なものが選択される。具体例としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、液晶性樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびポリテトラフルオロエチレン系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。また、前記熱可塑性樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもできる。ポリマー変性の例としては、共重合、架橋、分子末端変性、および立体規則性付与等が挙げられる。
オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂全体に対して、50重量%程度以下とすることができ、好ましくは40重量%程度以下である。他の熱可塑性樹脂の含有量をこの範囲内とすることによって、光弾性係数の絶対値が小さく、良好な波長分散特性を示し、かつ、耐久性や機械的強度、透明性に優れる位相差フィルムを得ることができる。
このようなオレフィン系樹脂は、一般に用いられる溶液からのキャスティング法や溶融押出法等により、フィルムに製膜することができる。2種以上の混合樹脂からフィルムを製膜する場合、その製膜方法については特に限定されず、例えば、樹脂成分を所定の割合で溶媒とともに撹拌混合して得られる均一溶液を用いて、キャスティング法によりフィルムを作製する方法、および、樹脂成分を所定の割合で溶融混合し、溶融押出法によりフィルムを作製する方法等を挙げることができる。得られる位相差フィルムの平滑性を高め、良好な光学均一性を得るために、溶液からのキャスティング法が好ましく用いられる。
前記オレフィン系樹脂からなるフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、残存溶媒、安定剤、可塑剤、老化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等、その他の成分を必要に応じて含有していてもよい。また、表面粗さを小さくするため、レベリング剤を含有することもできる。
前記オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムの厚みは、20〜500μm程度の範囲内とすることができ、好ましくは20〜300μmである。厚みがこの範囲内であれば、フィルムの十分な自己支持性が得られ、広範囲の位相差を得ることができる。
位相差フィルムをλ/2板として用いる場合、波長590nmの光に対する面内位相差値は200〜300nm程度の範囲内であることが好ましく、240〜300nmの範囲内であることがより好ましい。この波長590nmの光に対する面内位相差値を、測定波長の約1/2とすることによって、液晶表示装置の表示特性をより一層改善することができる。位相差フィルムをλ/2板として用いる場合、厚み方向への配向を十分に行うために、その厚みは80〜160μmの範囲内にあることが好ましい。より好ましくは85〜145μmの範囲内である。なお、この位相差フィルムは、λ/4板として用いられてもよい。
位相差フィルムのNz係数は、0.1〜0.7の範囲内であり、好ましくは、0.3〜0.6の範囲内である。位相差フィルムのNz係数を0.5付近であると、角度によらず位相差値がほぼ一定の特性を達成することができ、液晶表示装置の表示特性をより一層改善することができる。
前記レターデーションおよび屈折率特性を有するように樹脂フィルムを加工する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、その樹脂フィルムを延伸処理し、それに所定の収縮率を有する収縮性フィルムを貼り合わせて加熱収縮させる方法、前記収縮フィルムを貼り合わせた延伸フィルムを更なる延伸処理と同時に加熱収縮させる方法、および所定の収縮率を有する収縮性フィルムを未延伸フィルムに貼り合わせて、延伸処理と同時に加熱収縮させる方法等が採用される。
(位相差フィルムの積層方法)
本発明の複合偏光板は、前記のようにして両面に透明保護フィルムが接着された偏光板の液晶セル側に、前記位相差フィルムが、接着剤層を介して積層されてなるものである。
本発明の複合偏光板は、前記のようにして両面に透明保護フィルムが接着された偏光板の液晶セル側に、前記位相差フィルムが、接着剤層を介して積層されてなるものである。
接着剤層を形成する接着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、反応型アクリル樹脂系接着剤、反応型ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、およびシアノアクリレート系接着剤等の反応型接着剤; スチレン/ブタジエン等の感圧ゴム系接着剤および感圧アクリル樹脂系接着剤等の感圧接着剤が挙げられる。
中でも、偏光板と位相差フィルムの積層に適した濡れ性、凝集性、および接着性等の粘着特性を示し、光学透明性に優れ、さらに作業性、廉価および汎用性に優れる等の観点から感圧アクリル樹脂系接着剤(アクリル系粘着剤)が好ましい。
アクリル系粘着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、および(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等を重合してなる(メタ)アクリル酸エステル系樹脂や、これらの(メタ)アクリル酸エステルモノマーを2種類以上共重合してなる樹脂が好ましく用いられる。
また、これらの(メタ)アクリル酸エステル系樹脂には、さらに極性モノマーが共重合される。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびグリシジル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基,およびエポキシ基等の極性官能基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、これらの(メタ)アクリル酸エステル系樹脂には、通常、架橋剤が配合されて粘着剤組成物とされる。
この粘着剤を用いた粘着剤層の厚みは、通常、5〜50μmの範囲である。
偏光板または位相差フィルムに粘着剤層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、適宜適切な方法が採用される。通常、偏光板または位相差フィルムに粘着剤溶液を塗布し乾燥する方法が採用される。また、離型処理が施された支持フィルム(セパレータ)の離型処理面に粘着剤層が形成されたもの(セパレータ付き粘着剤)を用意し、それを粘着剤層側で偏光板または位相差フィルムの表面に貼り合わせる方法も採用される。具体的には、例えば、トルエンや酢酸エチル等の有機溶媒に粘着剤を溶解または分散させて10〜40重量%の溶液を調製し、これを偏光フィルムまたは位相差フィルムの表面に直接塗布して乾燥させて粘着剤層を形成する方法、および先に前記セパレータ上に粘着剤層を形成しておいた後、偏光フィルムまたは位相差フィルムに転写する方法等が採用される。こうして形成された粘着剤層には、シリコーン系等の離型剤による処理が施された樹脂フィルムからなるセパレータを積層してもよい。
偏光板または位相差フィルムに粘着剤層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、適宜適切な方法が採用される。通常、偏光板または位相差フィルムに粘着剤溶液を塗布し乾燥する方法が採用される。また、離型処理が施された支持フィルム(セパレータ)の離型処理面に粘着剤層が形成されたもの(セパレータ付き粘着剤)を用意し、それを粘着剤層側で偏光板または位相差フィルムの表面に貼り合わせる方法も採用される。具体的には、例えば、トルエンや酢酸エチル等の有機溶媒に粘着剤を溶解または分散させて10〜40重量%の溶液を調製し、これを偏光フィルムまたは位相差フィルムの表面に直接塗布して乾燥させて粘着剤層を形成する方法、および先に前記セパレータ上に粘着剤層を形成しておいた後、偏光フィルムまたは位相差フィルムに転写する方法等が採用される。こうして形成された粘着剤層には、シリコーン系等の離型剤による処理が施された樹脂フィルムからなるセパレータを積層してもよい。
粘着剤層を偏光板または位相差フィルムの表面に形成する際に、必要に応じて、偏光板または位相差フィルムの粘着剤層形成面に密着性を向上させるための処理、例えば、コロナ処理等を施してもよく、同様の処理を偏光板または位相差フィルムに貼り合わされる粘着剤層の表面に施してもよい。
偏光板と位相差フィルムとの貼合方法は、特に限定されるものではなく、適宜適切な方法が採用される。例えば、貼合ロール等を用いて偏光フィルムの偏光透過軸に対して位相差フィルムの遅相軸が直交または平行となるように積層する方法や、偏光フィルムの偏光透過軸に対して位相差フィルムの遅相軸が所定の角度となるように貼合する方法により行われる。
(粘着剤層)
こうして得られる本発明の複合偏光板には、その積層された位相差フィルムの外側に、さらに粘着剤層を積層することができる。
こうして得られる本発明の複合偏光板には、その積層された位相差フィルムの外側に、さらに粘着剤層を積層することができる。
この粘着剤層は、前記した感圧接着剤であることができるが、中でも、23℃で測定された貯蔵弾性率が0.15〜10MPaであるものが好ましく、また対ガラス粘着力が1〜30N/25mmであるものが好ましい。
ここで、貯蔵弾性率(動的弾性率)とは、一般的に用いられる粘弾性測定の用語を意味するものであるが、試料に時間によって変化(振動)する歪または応力を与えて、それによって発生する応力または歪を測定することにより、試料の力学的な性質を測定する方法(動的粘弾性測定)によって求められる値であり、歪を応力と同位相の成分と90度ずれた位相の成分の波に分けたとき、応力と同位相の歪から算出される弾性率である。
貯蔵弾性率が前記の範囲にある粘着剤を用いることにより、高温環境と低温環境が繰り返される耐久性試験(耐ヒートショック性試験)において、そのときに発生する偏光フィルムの収縮に伴う寸法変化を小さくすることができる。貯蔵弾性率は一般に、温度上昇に伴って斬減するが、例えば、80℃程度の高い温度においても0.15MPa以上の貯蔵弾性率を有することが、より好ましい。
また、対ガラス粘着力は、その粘着剤層が設けられた偏光板を粘着剤層側でガラスに貼り合わせ、室温(約23℃)で24時間置いた後に測定される値である。対ガラス粘着力が前記の範囲であれば、液晶セルに偏光板を貼り直す作業が必要となったとき、容易に偏光板を剥離することができる。このような液晶セルからの剥離性(リワーク性ともいう)も考慮すれば、粘着剤層の対ガラス粘着力は1〜10N/25mmの範囲にあることがより好ましい。このような粘着剤層を用いることにより、液晶セルと偏光板(液晶側透明保護フィルム)の間に浮きやはがれ、気泡等が発生する現象を抑制することができる。
この粘着剤層には、さらに各種の添加剤が配合されていてもよい。好適な添加剤として、シランカップリング剤や帯電防止剤がある。シランカップリング剤は、ガラスとの接着力を高めるうえで有効である。帯電防止剤は、静電気の発生を低減または防止するうえで有効である。すなわち、粘着剤層を介して偏光板を液晶セルに貼る際、それまで粘着剤層を覆っていた表面保護フィルム(セパレータ)を剥がしてから液晶セルに貼り合わされるが、その表面保護フィルムを剥がすときに発生する静電気によって、セル内の液晶に配向不良を生じ、これがIPSモード液晶表示装置の表示不良をもたらす場合がある。
こうしてなる複合偏光板は、前記粘着剤層を介してIPSモード液晶セルに貼合されIPSモード液晶パネルを構成し、液晶表示装置に用いられる。この複合偏光板を貼合した液晶パネルの裏面側には、同種の複合偏光板または公知の偏光板を貼合することができる。特に、前記防眩層を付与した保護フィルムを設けた複合偏光板は、液晶パネルの視認側に貼合することが好ましい。
本発明の偏光板が適用されたIPSモード液晶表示装置の用途は、特に限定されるものではないが、例えば、パーソナルコンピュータのモニターやテレビ等の液晶表示装置を備えた電気機器に用いることができる。好ましくは、対角の長さが660mm(26インチ)以上の大型液晶テレビに用いられる。本発明の偏光板が用いられる液晶テレビの画面サイズとしては、ワイド26型(566mm×339mm)以上が好ましく、さらに好ましくはワイド32型(687mm×412mm、対角の長さが801mm)以上である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって規定されるものではない。例中、含有量および使用量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。なお、実施例で用いた評価方法は、以下のとおりである。
(1) 厚みの測定方法:
(株)ニコン製のデジタルマイクロメーターMH−15Mを用いて測定した。
(株)ニコン製のデジタルマイクロメーターMH−15Mを用いて測定した。
(2) 面内レターデーションReおよび厚み方向レターデーションRthの測定方法: 平行ニコル回転法を原理とする位相差計、王子計測機器(株)製のKOBRA−21ADHを用いて、23℃における波長590nm、483nmまたは755nmの光で測定した。
(3) 貯蔵弾性率の測定方法:
粘着剤層の貯蔵弾性率(G′)は、以下の(I)〜(III)に従って測定した。
(I) 粘着剤層から試料を25±1mgずつ2つ取り出し、それぞれ略玉状に成形する。
(II) 前記(I)で得られた試料をI型冶具の上下面に貼り付け、上下面ともL型冶具で挟み込む。測定試料の構成は、L型治具/粘着剤/I型治具/粘着剤/L型冶具となる。
(III) こうして作製された試料の貯蔵弾性率(G′)を、動的粘弾性測定装置〔DVA−220、アイティー計測制御(株)製〕を用いて、温度23℃、周波数1Hz、初期歪み1Nの条件下で測定した。
粘着剤層の貯蔵弾性率(G′)は、以下の(I)〜(III)に従って測定した。
(I) 粘着剤層から試料を25±1mgずつ2つ取り出し、それぞれ略玉状に成形する。
(II) 前記(I)で得られた試料をI型冶具の上下面に貼り付け、上下面ともL型冶具で挟み込む。測定試料の構成は、L型治具/粘着剤/I型治具/粘着剤/L型冶具となる。
(III) こうして作製された試料の貯蔵弾性率(G′)を、動的粘弾性測定装置〔DVA−220、アイティー計測制御(株)製〕を用いて、温度23℃、周波数1Hz、初期歪み1Nの条件下で測定した。
(4) 対ガラス粘着力の測定方法:
粘着剤層が設けられた偏光板を25mm幅に裁断し、その粘着剤層側でガラス板に貼り合わせ、温度50℃、圧力5気圧の条件の下、20分間の加圧処理を施し、次に23℃で1日静置した後、(株)島津製作所製のAZ1を用いて、JIS Z 0237に準拠し、180°方向に引き剥がすときの応力を測定した。
粘着剤層が設けられた偏光板を25mm幅に裁断し、その粘着剤層側でガラス板に貼り合わせ、温度50℃、圧力5気圧の条件の下、20分間の加圧処理を施し、次に23℃で1日静置した後、(株)島津製作所製のAZ1を用いて、JIS Z 0237に準拠し、180°方向に引き剥がすときの応力を測定した。
(5) 偏光フィルムと透明保護フィルムとの接着力測定方法:
複合偏光板から幅25mm×長さ120mmに切り出した試験片をシート状粘着剤〔リンテック(株)製の「P−3132」(商品名)〕を用いてソーダガラスに固定し、(株)島津製作所製のオートグラフ「AG−1」へ位相差フィルムと偏光フィルムとの間で剥がれるように装着した。測定は、JIS K 6854−1:1999に準拠し、剥離角90度、剥離速度200mm/分で行った。
複合偏光板から幅25mm×長さ120mmに切り出した試験片をシート状粘着剤〔リンテック(株)製の「P−3132」(商品名)〕を用いてソーダガラスに固定し、(株)島津製作所製のオートグラフ「AG−1」へ位相差フィルムと偏光フィルムとの間で剥がれるように装着した。測定は、JIS K 6854−1:1999に準拠し、剥離角90度、剥離速度200mm/分で行った。
[実施例1]
(水溶性接着剤の調製)
水100部に対して、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール〔(株)クラレ製のKL−318〕を3部溶解し、その水溶液に、水溶性エポキシ化合物であるポリアミドエポキシ系添加剤〔住化ケムテックス(株)製のスミレーズレジン650(30)、固形分濃度30%の水溶液〕を1.5部添加して、水溶性接着剤とした。
(水溶性接着剤の調製)
水100部に対して、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール〔(株)クラレ製のKL−318〕を3部溶解し、その水溶液に、水溶性エポキシ化合物であるポリアミドエポキシ系添加剤〔住化ケムテックス(株)製のスミレーズレジン650(30)、固形分濃度30%の水溶液〕を1.5部添加して、水溶性接着剤とした。
(粘着剤層の調製)
アクリル酸ブチルとアクリル酸の共重合体にウレタンアクリレートオリゴマーおよびイソシアネート系架橋剤が配合された有機溶剤溶液を、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の離型処理面に、ダイコーターにて乾燥後の厚みが25μmとなるように塗工し、乾燥させ、アクリル系粘着剤層とした。このアクリル系粘着剤の貯蔵弾性率は、23℃において1.4MPaであった。また、このアクリル系粘着剤を後記する偏光板に貼り合わせ、ガラスに貼合したときの対ガラス粘着力は5N/25mmであった。
アクリル酸ブチルとアクリル酸の共重合体にウレタンアクリレートオリゴマーおよびイソシアネート系架橋剤が配合された有機溶剤溶液を、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の離型処理面に、ダイコーターにて乾燥後の厚みが25μmとなるように塗工し、乾燥させ、アクリル系粘着剤層とした。このアクリル系粘着剤の貯蔵弾性率は、23℃において1.4MPaであった。また、このアクリル系粘着剤を後記する偏光板に貼り合わせ、ガラスに貼合したときの対ガラス粘着力は5N/25mmであった。
(透明保護フィルムの積層)
ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの一方の面に、トリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム〔コニカミノルタオプト(株)製のKC4UX2、厚さ40μm〕を貼合し、もう一方の面(液晶セル側、すなわち、位相差フィルム側)には、環状オレフィン系樹脂(シクロオレフィンポリマー)からなる透明保護フィルム〔オプテス(株)から入手、厚さ40μm、波長590nmでのRe(Re(590))=2.1nm、波長590nmでのRth(Rth(590))=2.8nm、波長483nmでのRth(Rth(483))=2.5nm、波長755nmでのRth(Rth(755))=−4.2nm〕を貼合して偏光板を作製した。貼合には、それぞれ前記で調製した水溶性接着剤を用い、貼合後80℃で5分間乾燥することにより、偏光フィルムと透明保護フィルムを接着させた。得られた偏光板は、その後、40℃で168時間養生した。
ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの一方の面に、トリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム〔コニカミノルタオプト(株)製のKC4UX2、厚さ40μm〕を貼合し、もう一方の面(液晶セル側、すなわち、位相差フィルム側)には、環状オレフィン系樹脂(シクロオレフィンポリマー)からなる透明保護フィルム〔オプテス(株)から入手、厚さ40μm、波長590nmでのRe(Re(590))=2.1nm、波長590nmでのRth(Rth(590))=2.8nm、波長483nmでのRth(Rth(483))=2.5nm、波長755nmでのRth(Rth(755))=−4.2nm〕を貼合して偏光板を作製した。貼合には、それぞれ前記で調製した水溶性接着剤を用い、貼合後80℃で5分間乾燥することにより、偏光フィルムと透明保護フィルムを接着させた。得られた偏光板は、その後、40℃で168時間養生した。
こうして得られた偏光板における偏光フィルムと環状オレフィン系樹脂からなる透明保護フィルム(位相差フィルム側の透明保護フィルム)との間の接着力を前記の方法で評価した結果、偏光フィルム側が破壊されるほど接着力の強いものであった。
(位相差フィルムの積層)
ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物からなる環状オレフィン系樹脂フィルム〔(株)オプテス製の「ゼオノアフィルム」〕を縦一軸延伸した厚み80μmのフィルムを位相差フィルム前駆体とした。このフィルムのガラス転移温度は136℃であり、光弾性係数は3.1×10-12m2/N、波長590nmの光に対する面内位相差値は300nm、厚み方向の位相差値は145nmであった。この一軸延伸フィルムの両面に、それぞれ厚み25μmのアクリル系粘着剤層を介して収縮フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる、横延伸倍率が縦延伸倍率より大きい二軸延伸フィルム(厚み60μm))を貼り合わせた。その後、ピンテンターでフィルムの幅方向を保持しながら、175℃±1℃の空気循環式恒温オーブンおよび160℃±1℃の空気循環式恒温オーブンを順次通過させ、幅方向で0.70倍に収縮させた。このときの長手方向の収縮倍率は0.92倍であった。その後、両面に貼った収縮性フィルムを粘着剤層ごと剥がして、ノルボルネン系樹脂からなる位相差フィルムを得た。こうして得られた位相差フィルムは、厚み107μm、波長590nmの光に対する面内レターデーションRe(590)は241.9nm、Nz係数は0.49であった。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物からなる環状オレフィン系樹脂フィルム〔(株)オプテス製の「ゼオノアフィルム」〕を縦一軸延伸した厚み80μmのフィルムを位相差フィルム前駆体とした。このフィルムのガラス転移温度は136℃であり、光弾性係数は3.1×10-12m2/N、波長590nmの光に対する面内位相差値は300nm、厚み方向の位相差値は145nmであった。この一軸延伸フィルムの両面に、それぞれ厚み25μmのアクリル系粘着剤層を介して収縮フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる、横延伸倍率が縦延伸倍率より大きい二軸延伸フィルム(厚み60μm))を貼り合わせた。その後、ピンテンターでフィルムの幅方向を保持しながら、175℃±1℃の空気循環式恒温オーブンおよび160℃±1℃の空気循環式恒温オーブンを順次通過させ、幅方向で0.70倍に収縮させた。このときの長手方向の収縮倍率は0.92倍であった。その後、両面に貼った収縮性フィルムを粘着剤層ごと剥がして、ノルボルネン系樹脂からなる位相差フィルムを得た。こうして得られた位相差フィルムは、厚み107μm、波長590nmの光に対する面内レターデーションRe(590)は241.9nm、Nz係数は0.49であった。
こうして得られた位相差フィルムに、照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、前記偏光板の液晶セル側透明保護フィルム上に、シート状粘着剤〔リンテック(株)製の「P−3132」(商品名)〕を用いて貼合し、本発明の複合偏光板を得た。こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮きやはがれ、気泡等はなく良好なものであった。
さらに、本発明の複合偏光板の位相差フィルム側に、照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、コロナ処理を施した面に上述のようにして得たシート状の粘着剤層を貼合し粘着剤層付き複合偏光板を作製した。
(IPSモード液晶表示装置の製造)
IPSモードのワイド32型液晶表示装置〔(株)日立製作所製のWooo(型番:W32L−H9000)〕を分解して液晶パネルを取り外し、その表裏の偏光板を剥がし、代わりに前記のようにして製造した粘着剤層付き複合偏光板2枚を液晶セルの前面側(視認側)と背面側(光入射側)にクロスニコル状態となるようにそれぞれの粘着剤層側で貼合した。このとき、前面側(視認側)の偏光板の吸収軸が、液晶セル内液晶分子の電圧無印加(黒表示)時の配向方向と平行になるように配置した。このIPSモード液晶表示装置を再び組み立てて点灯し、30分後に、方位角45°、極角60°のコントラスト比を測定した。その結果、286のコントラスト比を示した。
IPSモードのワイド32型液晶表示装置〔(株)日立製作所製のWooo(型番:W32L−H9000)〕を分解して液晶パネルを取り外し、その表裏の偏光板を剥がし、代わりに前記のようにして製造した粘着剤層付き複合偏光板2枚を液晶セルの前面側(視認側)と背面側(光入射側)にクロスニコル状態となるようにそれぞれの粘着剤層側で貼合した。このとき、前面側(視認側)の偏光板の吸収軸が、液晶セル内液晶分子の電圧無印加(黒表示)時の配向方向と平行になるように配置した。このIPSモード液晶表示装置を再び組み立てて点灯し、30分後に、方位角45°、極角60°のコントラスト比を測定した。その結果、286のコントラスト比を示した。
[実施例2]
(無溶剤型接着剤の調製)
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート100部、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル25部、および光カチオン重合開始剤として4,4'−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)2.2部を混合した後、脱泡して、硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤を得た。なお、光カチオン重合開始剤は、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、無溶剤型接着剤とした。
(無溶剤型接着剤の調製)
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート100部、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル25部、および光カチオン重合開始剤として4,4'−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)2.2部を混合した後、脱泡して、硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤を得た。なお、光カチオン重合開始剤は、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、無溶剤型接着剤とした。
(透明保護フィルムの積層)
ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの一方の面に、トリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム〔コニカミノルタオプト(株)製のKC4UX2、厚さ40μm〕を貼合し、もう一方の面(液晶セル側、すなわち、位相差フィルム側)には、シクロオレフィンポリマーからなる透明保護フィルム〔オプテス(株)から入手、厚さ40μm、Re(590)=2.1nm、Rth(590)=2.8nm、Rth(483)=2.5nm、Rth(755)=−4.2nm〕を貼合して本発明の偏光板を作製した。貼合には、それぞれ前記で調製した無溶剤型接着剤を用い、貼合後、ベルトコンベア付き紫外線照射装置(ランプ:Fusion Dランプ、積算光量1000mJ/cm2)にて紫外線の照射を行い、偏光フィルムと透明保護フィルムを接着させた。その後、室温で1時間放置した。
ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの一方の面に、トリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム〔コニカミノルタオプト(株)製のKC4UX2、厚さ40μm〕を貼合し、もう一方の面(液晶セル側、すなわち、位相差フィルム側)には、シクロオレフィンポリマーからなる透明保護フィルム〔オプテス(株)から入手、厚さ40μm、Re(590)=2.1nm、Rth(590)=2.8nm、Rth(483)=2.5nm、Rth(755)=−4.2nm〕を貼合して本発明の偏光板を作製した。貼合には、それぞれ前記で調製した無溶剤型接着剤を用い、貼合後、ベルトコンベア付き紫外線照射装置(ランプ:Fusion Dランプ、積算光量1000mJ/cm2)にて紫外線の照射を行い、偏光フィルムと透明保護フィルムを接着させた。その後、室温で1時間放置した。
得られた偏光板の偏光フィルムとシクロオレフィンポリマーからなる透明保護フィルム(位相差フィルム側の透明保護フィルム)との間の接着力を前記の方法で評価した結果、偏光フィルム側が破壊されるほど接着力の強いものであった。
(位相差フィルムの積層)
実施例1と同様にして得た位相差フィルムの表面に、照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、前記偏光板のシクロオレフィンポリマーからなる透明保護フィルム面上に、シート状粘着剤〔リンテック(株)製の「P−3132」(商品名)〕を用いて貼合し、本発明の複合偏光板を得た。こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮きやはがれ、気泡等はなく良好なものであった。
実施例1と同様にして得た位相差フィルムの表面に、照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、前記偏光板のシクロオレフィンポリマーからなる透明保護フィルム面上に、シート状粘着剤〔リンテック(株)製の「P−3132」(商品名)〕を用いて貼合し、本発明の複合偏光板を得た。こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮きやはがれ、気泡等はなく良好なものであった。
さらに、本発明の複合偏光板の位相差フィルム側の表面に、照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、コロナ処理を施した面に実施例1と同様にして得たシート状の粘着剤層を貼合し粘着剤層付き複合偏光板を作製した。
この粘着剤層付き偏光板を実施例1と同様にIPSモード液晶表示装置の液晶セルに貼合し、カラーシフトを測定したところ、方位角45°、極角60°のコントラスト比を測定した。その結果、286のコントラスト比を示した。
[比較例1]
ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの一方の面に、透明保護フィルムとして、トリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム〔コニカミノルタオプト(株)製のKC4UX2、厚さ40μm〕を実施例1と同様の水溶性接着剤で貼合し、もう一方の面(液晶セル側)には、実施例1で得られた位相差フィルムを実施例1と同様の水溶性接着剤で貼合して、複合偏光板を作製した。得られた複合偏光板は、その作製直後に位相差フィルムと偏光フィルムとの間に剥離が生じ、試験片が得られず測定不能であった。
ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している偏光フィルムの一方の面に、透明保護フィルムとして、トリアセチルセルロースからなる透明保護フィルム〔コニカミノルタオプト(株)製のKC4UX2、厚さ40μm〕を実施例1と同様の水溶性接着剤で貼合し、もう一方の面(液晶セル側)には、実施例1で得られた位相差フィルムを実施例1と同様の水溶性接着剤で貼合して、複合偏光板を作製した。得られた複合偏光板は、その作製直後に位相差フィルムと偏光フィルムとの間に剥離が生じ、試験片が得られず測定不能であった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
Claims (8)
- 偏光フィルムの両面に透明保護フィルムが配置され、その片面の外側に、さらに位相差フィルムが配置されてなるIPSモード液晶表示装置用の複合偏光板であって、
位相差フィルム側に配置される透明保護フィルムは
波長590nmにおける面内レターデーションRe(590)が10nm以下であり、
波長590nmにおける厚み方向のレターデーションRth(590)の絶対値が10nm以下であり、
波長480〜750nmにおける厚み方向のレターデーションRth(480-750)の絶対値が15nm以下であり、
その外側に配置される位相差フィルムは
波長590nmにおける面内レターデーションRe(590)が100〜300nmであり、
面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとするとき、波長590nmの光に対して式(1):
0.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.7 (1)
を満たすことを特徴とする複合偏光板。 - 位相差フィルム側に配置される透明保護フィルムが、オレフィン系樹脂からなる請求項1に記載の複合偏光板。
- 位相差フィルム側の反対側に配置される透明保護フィルムが、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、およびセルロース系樹脂から選択されるいずれか一つからなる請求項1または2に記載の複合偏光板。
- 前記位相差フィルムが、オレフィン系樹脂からなる請求項1〜3のいずれかに記載の複合偏光板。
- 前記透明保護フィルムと偏光フィルムが、ポリビニルアルコール系樹脂およびエポキシ化合物を含有する水溶性接着剤によって接着されている請求項1〜4のいずれかに記載の複合偏光板。
- 前記透明保護フィルムと偏光フィルムが、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物からなる接着剤によって接着されている請求項1〜4のいずれかに記載の複合偏光板。
- 前記エポキシ樹脂が、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物を含有する請求項6に記載の複合偏光板。
- IPSモード液晶セルの少なくとも一方の面に、請求項1〜7のいずれかに記載の複合偏光板が配置されてなるIPSモード液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008258486A JP2010091606A (ja) | 2008-10-03 | 2008-10-03 | Ipsモード液晶表示装置用の複合偏光板およびipsモード液晶表示装置 |
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Family
ID=42254416
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JP2008258486A Withdrawn JP2010091606A (ja) | 2008-10-03 | 2008-10-03 | Ipsモード液晶表示装置用の複合偏光板およびipsモード液晶表示装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012133301A (ja) * | 2010-08-11 | 2012-07-12 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 液晶表示装置 |
WO2014115883A1 (ja) * | 2013-01-28 | 2014-07-31 | 株式会社クラレ | 光学フィルム |
JP2016026321A (ja) * | 2010-09-30 | 2016-02-12 | 住友化学株式会社 | 液晶表示装置 |
JP2018205713A (ja) * | 2017-05-31 | 2018-12-27 | 住友化学株式会社 | 粘着剤層付偏光板 |
-
2008
- 2008-10-03 JP JP2008258486A patent/JP2010091606A/ja not_active Withdrawn
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JPWO2014115883A1 (ja) * | 2013-01-28 | 2017-01-26 | 株式会社クラレ | 光学フィルム |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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