JP2010102282A - 複合偏光板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光板と、偏光板より幅が小さい位相差フィルムとを積層してなる、偏光フィルムと位相差フィルムの密着力に優れた複合偏光板を生産性良く製造する方法を提供する。
【解決手段】(A)偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを貼合し、反対側の面に粘着性を有する剥離性フィルムを貼合し、片面透明保護フィルム付き偏光板を作製する工程と、(B)前記片面透明保護フィルム付き偏光板を、位相差フィルムの幅に合わせて長尺方向に沿って裁断する工程と、(C)前記剥離性フィルムを偏光フィルム面から除去する工程と、(D)前記位相差フィルムの片面、または、前記工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面に、80℃において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す粘着剤層を積層する工程と、(E)前記剥離性フィルムが除去された偏光フィルム面に、前記粘着剤層を介して前記位相差フィルムを貼合する工程とを含む、複合偏光板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合偏光板の製造方法に関するものである。
液晶表示装置は、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量で薄型である等の特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。この液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、および光反射シート等、多くの光学部材から構成されている。そこで、これらの光学部材を構成するフィルムまたはシートの枚数削減や膜厚の低減等の改良により、液晶表示装置の生産効率や明度の向上および軽量・薄型化等を図ることが可能であり、このような研究が盛んに行われている。
構成フィルムやシートの枚数を減らし、液晶表示装置の薄型化を図るための手段として、偏光板の片側の保護フィルムを位相差フィルムで兼ねる手法が知られている。例えば、特開平8−43812号公報(特許文献1)には、偏光フィルムの両面に保護フィルムを積層した偏光板において、その保護フィルムの少なくとも一方を、位相差フィルムの機能を有する環状オレフィン系樹脂で構成することが開示されている。また、特開平9−325216号公報(特許文献2)には、偏光フィルムの透明保護層のうち少なくとも片側の透明保護層を複屈折性のフィルム(位相差フィルム)で構成することが開示されている。
一方、位相差フィルムに求められる機能の一つは、液晶セルの複屈折による位相差を正面方向および斜め方向において等しく光学補償することである。したがって、位相差値の角度依存性は非常に重要な光学特性である。
そこで、角度によらず位相差値がほぼ一定である位相差フィルムが種々提案されており、例えば、特開平2−160204号公報(特許文献3)には、固有複屈折が正であって、分子がフィルム面の法線方向に配向してなるフィルムを延伸することにより、垂直入射における位相差と法線から40°傾いた方向からの入射における位相差がほぼ同じになる位相差フィルムとすることが開示されている。この位相差フィルムは、面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとしたとき、nx>nz>nyの関係を示す。
前記nx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムの製造方法として、特開平5−157911号公報(特許文献4)には、樹脂フィルムの片面または両面に収縮性フィルムを接着して積層体を形成し、その積層体を加熱延伸処理する方法が開示されている。この方法は、樹脂フィルムをその延伸と同時にその延伸軸と直交する方向に収縮させ、厚み方向(Z方向)への配向を起こさせるものであり、樹脂フィルムの屈折率分布を延伸前後で大きく変化させている。このため、この製造方法に用いる樹脂フィルムは、低い延伸倍率で位相差を生じやすいものが好ましく、従来、例えば、ポリカーボネート系樹脂フィルムや、ポリアリレート系樹脂フィルム、およびポリサルフォン系樹脂フィルムのような、芳香族系樹脂フィルムが用いられてきた。
また、特開平7−230007号公報(特許文献5)には、一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、熱収縮性を有するフィルムを、その熱収縮軸方向が前記熱可塑性樹脂フィルムの延伸軸方向と直交するように貼合して熱収縮させることにより、位相差フィルムを製造することが開示されている。こうして得られる位相差フィルムは、その厚み方向にも分子が配向される。この方法も、熱収縮性フィルムの熱収縮に伴う一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの収縮を利用して厚み方向に配向させるものであるため、やはり位相差の発現しやすい芳香族系樹脂フィルムを中心に適用されている。
ところが、前記芳香族系樹脂フィルムは光弾性係数の絶対値が大きいために、応力に対して位相差が変化しやすい。そのため、液晶セルと偏光フィルムとの間に貼合配置された状態で高温に曝された場合に、偏光フィルムの収縮応力によって位相差値が設計値からずれたり、液晶表示装置におけるバックライトの熱によって発生する応力のムラによって位相差値のムラが発生したりする場合があり、表示特性を悪化させることが問題となっていた。
一方、環状オレフィン系樹脂フィルム等の脂肪族系樹脂フィルムは、光弾性係数の絶対値が小さいため、近年、位相差フィルムに適用する動きが高まっている。しかし、脂肪族系樹脂フィルムは、一般に位相差を発現しにくいため、芳香族系樹脂フィルムのような低い延伸倍率ではもちろんのこと、延伸倍率を高くしても所望の位相差値を得ることが難しかった。特に、延伸軸方向とともに厚み方向にも所定の位相差値が得られるように配向させることは難しく、前記特許文献4や特許文献5に記載の方法に、脂肪族系樹脂フィルムを適用することには限界があった。
そこで、特開2006−72309号公報(特許文献6)には、環状オレフィン系樹脂フィルムの片面または両面に、幅方向の収縮率が大きい収縮性フィルムを貼り合わせて、面内位相差値が100〜350nm、かつ(nx−nz)/(nx−ny)で表される係数(Nz係数)が0.1〜0.9となるように加熱延伸する方法が開示されている。ここで、nx、nyおよびnzは、先に定義したとおりの意味を有する。この方法によれば、位相差の発現しにくい環状オレフィン系樹脂フィルムについて、延伸軸方向とともに厚み方向にも配向させ、nx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムを製造することができる。
しかし、前記環状オレフィン系樹脂フィルムを含むオレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムは、その製造過程において収縮工程を経るため、作製できるフィルムの幅が偏光フィルムの幅より小さい場合があり、従来の偏光板の製造方法ではその生産性が著しく低下するという問題があった。すなわち、この場合、偏光板と、偏光板より幅が小さい位相差フィルムとを貼合すると、位相差フィルムが貼合されていない偏光板部分が生じる。一方、偏光板を液晶セルへ貼合する所定の形状に切り出すには、通常、長尺方向に対して直角または斜角に裁断し、その所定の形状へ再度裁断するが、この裁断によって位相差フィルムの貼合されていない偏光板部分は廃棄される。
さらに、この位相差フィルムが貼合されていない偏光板部分も裁断長さに加わることにより、生産性は著しく低下する。
またさらに、環状オレフィン系フィルムからなる位相差フィルムは、偏光フィルムの保護フィルムを兼ねるように使用する場合、偏光フィルムとの接着性に劣る場合があった。
特開平8−43812号公報 特開平9−325216号公報 特開平2−160204号公報 特開平5−157911号公報 特開平7−230007号公報 特開2006−72309号公報
本発明の目的は、偏光板と、偏光板より幅が小さい位相差フィルムとを積層してなる、偏光フィルムと位相差フィルムの密着力に優れた複合偏光板を生産性良く製造する方法を提供することにある。
本発明の複合偏光板の製造方法は、(A)偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを貼合し、反対側の面に粘着性を有する剥離性フィルムを貼合し、片面透明保護フィルム付き偏光板を作製する工程と、(B)前記片面透明保護フィルム付き偏光板を、位相差フィルムの幅に合わせて長尺方向に沿って裁断する工程と、(C)前記剥離性フィルムを偏光フィルム面から除去する工程と、(D)前記位相差フィルムの片面、または、前記工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面に、80℃において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す粘着剤層を積層する工程と、(E)前記剥離性フィルムが除去された偏光フィルム面に、前記粘着剤層を介して前記位相差フィルムを貼合する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の複合偏光板の製造方法において、工程(A)、工程(B)、工程(C)、工程(D)および工程(E)をこの順で含み、工程(D)において、粘着剤層が、工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面に積層される場合が、好ましい態様の1つとして挙げられる(以下、当該態様を「第一の態様」と呼称する。)。
本発明の複合偏光板の製造方法において、工程(A)、工程(C)、工程(D)、工程(B)および工程(E)をこの順で含み、工程(D)において、粘着剤層が、工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面に積層される場合も、好ましい態様の1つとして挙げられる(以下、「第二の態様」と呼称する。)。
また本発明の複合偏光板の製造方法において、工程(A)、工程(B)、工程(C)および工程(E)をこの順で含み、工程(D)において、粘着剤層は、位相差フィルムの片面に積層される態様も、好ましい態様の1つとして挙げられる(以下、「第三の態様」と呼称する。)。
本発明の複合偏光板の製造方法において、位相差フィルムは、その面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとし、厚みをdとするとき、波長590nmの光に対して式(1)および(2)を満たす、オレフィン系樹脂フィルムであることが好ましい。
100nm≦(nx−ny)×d≦300nm (1)
0.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.7 (2)
本発明の複合偏光板の製造方法において、前記オレフィン系樹脂フィルムは、脂環式オレフィンから誘導される構成単位を主に含む樹脂からなるものであることが好ましい。
また本発明の複合偏光板の製造方法において、位相差フィルムは、その幅が、前記片面透明保護フィルム付き偏光板の幅より10%以上小さいものであることが、好ましい。
本発明の複合偏光板の製造方法においては、前記偏光フィルムと、透明保護フィルムとを、ポリビニルアルコール系樹脂およびエポキシ樹脂を含有する水溶性接着剤によって接着することが好ましい。
さらに本発明の複合偏光板の製造方法において、前記偏光フィルムと、透明保護フィルムとを、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有する無溶剤の樹脂組成物からなる接着剤によって接着することが好ましい。この場合、前記エポキシ樹脂が、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物を含有することが、好ましい。
本発明の複合偏光板の製造方法において、透明保護フィルムの厚みは20〜300μmであることが、好ましい。
また本発明の複合偏光板の製造方法において、粘着剤層の厚みは1〜40μmであることが、好ましい。
本発明の複合偏光板の製造方法によれば、位相差フィルムとの貼合前に片面透明保護フィルム付き偏光板を位相差フィルムの大きさに合わせて長尺方向に沿って裁断し、位相差フィルムと貼合する片面透明保護フィルム付き偏光板と位相差フィルムと貼合しない片面透明保護フィルム付き偏光板とに分けることにより、生産性低下を招くことがなくなる。
さらに、片面透明保護フィルム付き偏光板の位相差フィルムと貼合しない部分は他製品に用いることができるため、全体の生産性は著しく向上する。
また、裁断される片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム側に、粘着性を有する剥離性フィルムを貼合しておくことにより、透明保護フィルムと偏光フィルムの貼合や、裁断における偏光フィルムの損傷を防止することができる。
本発明の複合偏光板の製造方法は、以下の工程(A)、工程(B)、工程(C)、工程(D)および工程(E)を含む。
・工程(A)
偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを貼合し、反対側の面に粘着性を有する剥離性フィルムを貼合し、片面透明保護フィルム付き偏光板を作製する工程
・工程(B)
前記片面透明保護フィルム付き偏光板を、位相差フィルムの幅に合わせて長尺方向に沿って裁断する工程
・工程(C)
剥離性フィルムを偏光フィルム面から除去する工程
・工程(D)
前記位相差フィルムの片面、または、前記工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面に、80℃において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す粘着剤層を積層する工程
・工程(E)
前記剥離性フィルムが除去された偏光フィルム面に、前記粘着剤層を介して前記位相差フィルムを貼合する工程。
このような本発明の複合偏光板の製造方法は、大きく3つの実施態様(第一の態様、第二の態様および第三の態様)を包含する。まずは、本発明に包含される各実施態様について説明する。
<第一の態様>
本発明における第一の態様は、上述した工程(A)、工程(B)、工程(C)、工程(D)および工程(E)をこの順で含み、工程(D)において、粘着剤層が、工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面に積層される。
本発明における第一の態様では、まず、偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを貼合し、反対側の面に粘着性を有する剥離性フィルムを貼合し、片面透明保護フィルム付き偏光板を作製する(工程(A))。
(偏光フィルム)
本発明の複合偏光板の製造方法で用いられる偏光フィルムとは、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものである。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着・配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性の染料を吸着・配向させた染料系偏光フィルム、およびリオトロピック液晶状態の二色性染料をコーティングし、配向・固定化した塗布型偏光フィルム等が挙げられる。これらのヨウ素系偏光フィルム、染料系偏光フィルム、および塗布型偏光フィルムは、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を吸収する機能を有するもので、吸収型偏光フィルムと呼ばれている。
本発明の製造方法で用いられる偏光フィルムは、上述した吸収型偏光フィルムだけでなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を反射または散乱する機能を有する反射型偏光フィルムまたは散乱型偏光フィルムと呼ばれているものでもよい。また、ここで具体的に挙げた偏光フィルムは、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものであればよい。これらの偏光フィルムの中でも、視認性に優れている吸収型偏光フィルムを用いるのが好ましく、中でも、偏光度および透過率に優れるヨウ素系偏光フィルムを偏光フィルムとして用いるのがより好ましい。
前記ポリビニルアルコール系フィルムに用いられるポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他に、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類およびビニルエーテル類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100mol%であり、98〜100mol%がより好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、およびポリビニルブチラール等も用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1000〜10000程度であり、1500〜10000程度が好ましい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に限定されるものではないが、例えば、2〜150μm程度である。
偏光フィルムは、通常、上述したようなポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの水分を調整する調湿工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、染色と同時に行ってもよいし、染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う等の乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常、4〜8倍である。水洗後、乾燥して得られる偏光フィルムの厚みは、例えば、1〜50μmとすることができる。
(透明保護フィルム)
本発明の製造方法で用いられる透明保護フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、および位相差値の安定性等に優れる材料からなることが好ましい。このような透明保護フィルム用材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸メチル系樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレタレート系樹脂、ポリエチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂およびポリイミド系樹脂等などが挙げられる。
これらの樹脂は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもでき、このポリマー変性としては、例えば、共重合、架橋、分子末端、立体規則性制御、および異種ポリマー同士の反応を伴う場合を含む混合等の変性が挙げられる。
これらの中でも、透明保護フィルムの材料としては、メタクリル酸メチル系樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などの鎖状ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂を用いることが好ましい。
メタクリル酸メチル系樹脂とは、メタクリル酸メチル単位を50重量%以上含む重合体である。メタクリル酸メチル単位の含有量は、好ましくは70重量%以上であり、100重量%であってもよい。メタクリル酸メチル単位が100重量%の重合体は、メタクリル酸メチルを単独で重合させて得られるメタクリル酸メチル単独重合体である。
このメタクリル酸メチル系樹脂は、通常、メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体、多官能単量体、ラジカル重合開始剤および連鎖移動剤の共存下に重合して得ることができる。
メタクリル酸メチルと共重合し得る単官能単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシルおよびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類;2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、3−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルおよび2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ブチル等のヒドロキシアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびアクリル酸等の不飽和酸類;クロロスチレンおよびブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類;ビニルトルエンおよびα−メチルスチレン等の置換スチレン類;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;無水マレイン酸および無水シトラコン酸等の不飽和酸無水物類;ならびにフェニルマレイミドおよびシクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類等を挙げることができる。このような単量体は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
メタクリル酸メチルと共重合し得る多官能単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびテトラデカエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエチレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;プロピレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートおよびブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールの水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、またはこれらのハロゲン置換体の両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトール等の多価アルコールをアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの、ならびにこれら末端水酸基にグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの;コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、フタル酸、これらのハロゲン置換体等の二塩基酸およびこれらのアルキレンオキサイド付加物等にグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの;アリール(メタ)アクリレート;およびジビニルベンゼン等のジアリール化合物等が挙げられる。中でも、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートおよびネオペンチルグリコールジメタクリレートが好ましく用いられる。
このような組成からなるメタクリル酸メチル系樹脂は、さらに、樹脂に共重合させた官能基間の反応を行い変性されたものも用いられる。その反応としては、例えば、アクリル酸メチルのメチルエステル基と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基の高分子鎖内脱メタノール縮合反応、またはアクリル酸のカルボキシル基と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基の高分子鎖内脱水縮合反応等が挙げられる。
このようなメタクリル酸メチル系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、各々商品名で、スミペックス(住友化学(株)製)、アクリペット(三菱レイヨン(株)製)、デルペット(旭化成(株)製)、パラペット((株)クラレ製)およびアクリビュア((株)日本触媒製)等が挙げられる。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂とは、繰り返し単位の80mol%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味し、他のジカルボン酸成分とジオール成分を含んでいてもよい。他のジカルボン酸成分としては、特に限定されるものでないが、例えば、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸および1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等が挙げられる。
他のジオール成分としては、特に限定されるものではないが、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸を併用することもできる。また、他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、およびカーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分またはジオール成分が用いられてもよい。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の製造方法としては、テレフタル酸およびエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸または他のジオール)を直接重縮合させる方法、テレフタル酸のジアルキルエステルおよびエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸のジアルキルエステルまたは他のジオール)とをエステル交換反応させた後重縮合させる方法、およびテレフタル酸(および必要に応じて他のジカルボン酸)のエチレングリコールエステル(および必要に応じて他のジオールエステル)を触媒の存在下で重縮合させる方法等が採用される。さらに、必要に応じて固相重合を行い、分子量を向上させたり、低分子量成分を低減させたりすることもできる。
またポリプロピレン系樹脂とは、前記鎖状オレフィン系樹脂の中でも、繰り返し単位の80重量%以上がプロピレンモノマーである鎖状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合されたものをいう。中でも、プロピレンの単独重合体であるものが好ましい。また、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを、1〜20重量%の割合で、好ましくは3〜10重量%の割合で共重合させた共重合体も好ましい。
プロピレン共重合体を用いる場合、プロピレンと共重合可能なコモノマーとしては、エチレン、1−ブテンおよび1−ヘキセンが好ましい。中でも、透明性に比較的優れることから、エチレンを3〜10重量%の割合で共重合させたものが好ましい。エチレンの共重合割合を1重量%以上とすることで、透明性を上げる効果が現れる。一方、その割合が20重量%を超えると、樹脂の融点が下がり保護フィルムに要求される耐熱性が損なわれる場合がある。
中でも、20℃のキシレンに可溶な成分(CXS成分)が1重量%以下であるプロピレンホモポリマーがより好ましく、CXS成分が0.5重量%以下のプロピレンホモポリマーがさらに好ましい。
また、セルロース系樹脂とは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等の原料セルロースから得られるセルロースの水酸基における水素原子の一部または全部がアセチル基、プロピオニル基および/またはブチリル基で置換された、セルロース有機酸エステルまたはセルロース混合有機酸エステルをいう。例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、およびそれらの混合エステル等からなるものが挙げられる。中でも、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルムおよびセルロースアセテートブチレートフィルム等が好ましい。
このようなメタクリル酸メチル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂およびセルロース系樹脂等を、偏光フィルムに接着する透明保護フィルムとする方法としては、その樹脂に応じた方法を適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。例えば、溶媒に溶解させた樹脂を金属製バンド、またはドラムへ流延し、溶媒を乾燥除去してフィルムを得る溶媒キャスト法、および樹脂をその溶融温度以上に加熱・混練してダイより押し出し、冷却することによりフィルムを得る溶融押出法が採用される。
この溶融押出法では、単層フィルムの押し出しであってもよく、また多層フィルムの同時押し出しであってもよい。
こうして得られる透明保護フィルムとして用いられるフィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、メタクリル酸メチル系樹脂フィルムとしては、それぞれ商品名で、スミペックス(住友化学(株)製)、アクリライト(三菱レイヨン(株)製)、アクリプレン(三菱レイヨン(株)製)、デラグラス(旭化成(株)製)、パラグラス((株)クラレ製)、コモグラス((株)クラレ製)およびアクリビュア((株)日本触媒製)等が挙げられる。
また、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムとしては、それぞれ商品名で、ノバクリアー(三菱化学(株)製)および帝人A−PETシート(帝人化成(株)製)等が挙げられる。
また、例えば、ポリプロピレン系樹脂フィルムとしては、それぞれ商品名で、FILMAX CPPフィルム(FILMAX社製)、サントックス(サン・トックス(株)製)、トーセロ(東セロ(株)製)、東洋紡パイレンフィルム(東洋紡績(株)製)、トレファン(東レフィルム加工(株)製)、ニホンポリエース(日本ポリエース(株)製)および太閤FC(フタムラ化学(株)製)等が挙げられる。
さらに、例えば、セルロース系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、フジタックTD(富士フィルム(株)製)およびコニカミノルタTACフィルムKC(コニカミノルタオプト(株)製)等が挙げられる。
本発明に用いられる透明保護フィルムには、防眩性(ヘイズ)を付与することができる。防眩性を付与する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、前記の原料樹脂中に無機微粒子もしくは有機微粒子を混合してフィルム化する方法、前記の多層押し出しを用いて、一方に微粒子が混合された樹脂ともう一方に微粒子が混合されていない樹脂とから二層フィルム化する方法、または粒子が混合された樹脂を外側にして三層フィルム化する方法、およびフィルムの片側に無機微粒子もしくは有機微粒子を硬化性バインダー樹脂に混合してなる塗布液をコートし、バインダー樹脂を硬化して防眩層を設ける方法等が採用される。
防眩性を付与するための無機微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ−シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウム等が挙げられる。また、有機微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、架橋ポリアクリル酸粒子、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子およびポリイミド粒子等が挙げられる。
こうして得られる防眩性を付与された透明保護フィルムのヘイズ値は、6〜45%の範囲内であることが好ましい。透明保護フィルムのヘイズ値が6%を下回ると、十分な防眩効果が現れない場合がある。また、透明保護フィルムのヘイズ値が45%を超えると、このフィルムを用いてなる液晶表示装置の画面が白茶け、画質の低下をまねく場合がある。
なお、このヘイズ値は、JIS K 7136に準拠し、例えば、ヘイズ・透過率計HM−150((株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定することができる。ヘイズ値の測定に際しては、フィルムの反りを防止するために、例えば、光学的に透明な粘着剤を用いて防眩性付与面が表面となるようにフィルム面をガラス基板に貼合した測定サンプルを用いることが好ましい。
透明保護フィルム上には、さらに、導電層、ハードコート層および低反射層等の機能層を積層することができる。また、透明保護フィルムを構成するバインダー樹脂には、これらの機能を有する樹脂組成物を選択することもできる。
また、透明保護フィルムは、偏光フィルムとの貼合に先立って、ケン化処理、コロナ処理、およびプラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
透明保護フィルムの厚みは、得に制限されるものではないが、通常、強度や取り扱い性等の観点から1〜500μm程度であり、20〜300μmが好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。この範囲内の厚みであれば、偏光フィルムを機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光フィルムが収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
(透明保護フィルム貼合用接着剤)
偏光フィルムと透明保護フィルムの接着に用いる接着剤は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂およびアクリルアミド系樹脂等を接着剤成分とする接着剤が挙げられる。中でも、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたはこれを水に分散させたものは、接着剤層の厚みをより低減することができるため好ましく用いられる。水系の接着剤としては、接着剤成分として、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、水溶性の架橋性エポキシ樹脂またはウレタン系樹脂等を含有するものが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、水系接着剤として用いられる種々公知の樹脂を用いることができる。また、別の好ましい接着剤としては、加熱や活性エネルギー線の照射によりモノマーまたはオリゴマーを反応硬化させて接着剤層を形成する無溶剤の樹脂組成物からなるものが挙げられる。
まず、水系の接着剤について説明する。水溶性の架橋性エポキシ樹脂としては、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンとアジピン酸等のジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンにエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂を挙げることができる。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、スミレーズレジン 650(住化ケムテックス(株)製)、スミレーズレジン 675(住化ケムテックス(株)製)等が挙げられる。
接着剤には、塗工性と接着性を向上させるために、さらにポリビニルアルコール系樹脂等の他の水溶性樹脂を混合することが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂としては、部分ケン化ポリビニルアルコールおよび完全ケン化ポリビニルアルコールの他に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコールおよびアミノ基変性ポリビニルアルコール等の変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。中でも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸またはその塩との共重合体のケン化物、すなわち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。なお、ここでいう「カルボキシル基」とは、−COOHおよびその塩を含む概念である。
市販されている好適なカルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、それぞれクラレポバール KL−506((株)クラレ製)、クラレポバール KL−318((株)クラレ製)、クラレポバール KL−118((株)クラレ製)、ゴーセナール T−330(日本合成化学工業(株)製)、ゴーセナール T−350(日本合成化学工業(株)製)、DR−0415(電気化学工業(株)製)、AF−17(日本酢ビ・ポバール(株)製)、AT−17(日本酢ビ・ポバール(株)製)、AP−17(日本酢ビ・ポバール(株)製)などが挙げられる。
接着剤は、エポキシ樹脂および必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂等の他の水溶性樹脂を水に溶解し、接着剤溶液として調製することができる。この場合、水溶性の架橋性エポキシ樹脂の含有量は、水100重量部に対して、0.2〜2重量部程度とすることが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その配合量は、水100重量部に対して、1〜10重量部程度とすることが好ましく、1〜5重量部程度とすることがより好ましい。
一方、水系の接着剤に好適に用いることができるウレタン系樹脂としては、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を挙げることができる。ここで、アイオノマー型とは、ウレタン樹脂を構成する骨格内に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その骨格内に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。このようなアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品としては、例えば、ハイドラン AP−20(大日本インキ化学工業(株)製)、ハイドラン APX−101H(大日本インキ化学工業(株)製)等があり、いずれもエマルジョンの形で入手できる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、さらにイソシアネート系架橋剤を配合することが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネート単量体の他に、それらの複数分子がトリメチロールプロパン等の多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体およびジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体等のポリイソシアネート変性体等が挙げられる。好適に使用し得る市販のイソシアネート系架橋剤としては、例えば、ハイドランアシスター C−1(大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤においては、粘度と接着性の観点から、そのウレタン樹脂の濃度は、10〜70重量%程度となるように水中に溶解または分散されることが好ましく、20〜50重量%以下がより好ましい。また、イソシアネート系架橋剤を配合する場合、その配合量は、ウレタン系樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100重量部程度となるように適宜選択される。
こうしてなる水系接着剤を用いる場合、その接着剤を、透明保護フィルム、または偏光フィルムの接着面に塗布し、両者を貼り合わせて乾燥することにより、偏光フィルムと透明保護フィルムとの積層体を得ることができる。
次に、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有する無溶剤の樹脂組成物からなる接着剤について説明する。
本発明の製造方法に用いられる前記接着剤とは、加熱や活性エネルギー線の照射により重合する硬化性の化合物と重合開始剤とを含有し有意量の溶剤を含まない硬化性組成物である。この硬化性の化合物は、反応性の観点からカチオン重合で硬化するものが好ましく、特にエポキシ化合物(エポキシ樹脂)を含有することが好ましい。
このエポキシ化合物は、耐候性や屈折率等の観点から、分子内に芳香環を含まないものが好適に用いられる。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いた接着剤は、例えば、特開2004−245925号公報に記載されている。このような芳香環を含まないエポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、および脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。
芳香族エポキシ化合物の水素化物とは、芳香族エポキシ化合物を触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行うことにより得られるものである。芳香族エポキシ化合物しては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、およびビスフェノールSのジグリシジルエーテルのようなビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、およびヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、およびエポキシ化ポリビニルフェノールのような多官能型のエポキシ化合物等が挙げられる。中でも、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが好ましい。
脂環式エポキシ化合物とは、次式に示すような、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物である。
Figure 2010102282
(式中、mは2〜5の整数を表す。)
この式における(CH2m中の水素原子を1個または複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、脂環式エポキシ化合物となりうる。また、脂環式環を形成する水素がメチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。中でも、エポキシシクロペンタン環(上式においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上式においてm=4のもの)を有する化合物を用いることが好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例として、次のものを挙げることができる。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(また、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2’,6’−ジオキサンスピロ−3’’,5’’−ジオキサンスピロ−3’’’,4’’’−エポキシシクロヘキサンとも命名できる化合物)、
4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−エポキシスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、およびジシクロペンタジエンジオキサイド等。
脂肪族エポキシ化合物とは、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルである。例えば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやポリプロピレングリコール、およびグリセリンのような脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
ここに例示したエポキシ化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、また複数のエポキシ化合物を混合して使用してもよい。
このようなエポキシ化合物のエポキシ当量は、通常、30〜3000g/eqであり、50〜1500g/eqが好ましい。エポキシ当量が30g/eqを下回ると、硬化後の保護フィルムの可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする場合がある。一方、3000g/eqを超えると、他の成分との相溶性が低下する場合がある。
前記硬化性組成物には、エポキシ化合物をカチオン重合で硬化させるためにカチオン重合開始剤が配合される。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、および電子線等の活性エネルギー線の照射、または加熱により、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始する。いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが作業性の観点から好ましい。
以下、活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる光カチオン重合開始剤について説明する。光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での硬化が可能となり、偏光フィルムの耐熱性または熱膨張による内部応力を考慮する必要が減少し、透明保護フィルムと偏光フィルムとを良好に接着することができる。また、光カチオン重合開始剤は光で触媒的に作用するため、エポキシ化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩および芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、ならびに鉄−アレン錯体等を挙げられる。中でも、特に芳香族スルホニウム塩は300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
このような光カチオン重合開始剤は市販品として容易に入手でき、例えば、それぞれ商品名で、カヤラッド PCI−220(日本化薬(株)製)、カヤラッド PCI−620(日本化薬(株)製)、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマー SP−150((株)ADEKA製)、アデカオプトマー SP−170((株)ADEKA製)、CI−5102(日本曹達(株)製)、CIT−1370(日本曹達(株)製)、CIT−1682(日本曹達(株)製)、CIP−1866S(日本曹達(株)製)、CIP−2048S(日本曹達(株)製)、CIP−2064S(日本曹達(株)製)、DPI−101(みどり化学(株)製)、DPI−102(みどり化学(株)製)、DPI−103(みどり化学(株)製)、DPI−105(みどり化学(株)製)、MPI−103(みどり化学(株)製)、MPI−105(みどり化学(株)製)、BBI−101(みどり化学(株)製)、BBI−102(みどり化学(株)製)、BBI−103(みどり化学(株)製)、BBI−105(みどり化学(株)製)、TPS−101(みどり化学(株)製)、TPS−102(みどり化学(株)製)、TPS−103(みどり化学(株)製)、TPS−105(みどり化学(株)製)、MDS−103(みどり化学(株)製)、MDS−105(みどり化学(株)製)、DTS−102(みどり化学(株)製)、DTS−103(みどり化学(株)製)、PI−2074(ローディア社製)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部であり、1重量部〜15重量部が好ましい。
硬化性組成物には、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、ならびに光還元性色素等が挙げられる。光増感剤を配合する場合、その配合量は、光カチオン重合性エポキシ樹脂組成物を100重量部として、通常、0.1〜20重量部程度である。
次に、熱カチオン重合開始剤について説明する。加熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する化合物としては、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、およびアミンイミド等を挙げられる。これらの熱カチオン重合開始剤も、市販品を容易に入手することができ、例えば、いずれも商品名で、アデカオプトン CP77((株)ADEKA製)、アデカオプトン CP66((株)ADEKA製)、CI−2639(日本曹達(株)製)、CI−2624(日本曹達(株)製)、サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製)、サンエイド SI−80L(三新化学工業(株)製)、サンエイド SI−100L(三新化学工業(株)製)等が挙げられる。
前記の光カチオン重合と熱カチオン重合を併用することも、有用な技術である。
エポキシ系接着剤は、さらにオキセタン類やポリオール類等のカチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
こうして得られる硬化性組成物からなる接着剤を、透明保護フィルムまたは偏光フィルムの接着面に塗布し、両者を貼り合わせた後、接着剤を硬化させることにより、偏光フィルムと透明保護フィルムとの積層体を得ることができる。この接着剤を透明保護フィルムまたは偏光フィルムに塗工する方法に特別な限定はなく、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、およびグラビアコーター等、種々の塗工方式が採用される。接着剤層の厚さは、通常、1μm以上、50μm以下であり、20μm以下が好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化を行う場合、用いられる光源としては、特に限定されるものではないが、波長400nm以下に発光分布を有する、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯およびメタルハライドランプ等が挙げられる。接着剤組成物への光照射強度は、その組成物の硬化性によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、光カチオン重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。接着剤組成物への光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、100mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱および硬化性エポキシ樹脂組成物の重合時の発熱により、硬化性エポキシ樹脂組成物の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる場合がある。同様に、接着剤組成物への光照射時間は、その組成物の硬化性によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜5000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。硬化性エポキシ樹脂組成物への積算光量が10mJ/cm2未満であると、光カチオン重合開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、接着剤の硬化が不十分となる場合がある。また、積算光量が5000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利なものとなる。
熱により接着剤の硬化を行なう場合、一般的に知られた方法で加熱することができ、その条件等も特に限定されるものではないが、通常、硬化性エポキシ樹脂組成物に配合された熱カチオン重合開始剤がカチオン種やルイス酸を発生する温度以上で加熱が行なわれ、たとえば、50〜200℃程度である。
活性エネルギー線の照射または加熱のいずれの条件で硬化させる場合でも、片面保護フィルム付き偏光板の偏光度、透過率、色相、透明保護フィルムの透明性等の諸機能が低下しない範囲で硬化させることが好ましい。接着剤組成物を硬化してなる硬化層の厚さは、通常、50μm以下であり、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
(剥離性フィルム)
本発明の製造方法で用いられる粘着性を有する剥離性フィルムとしては、剥離が容易になるよう低分子量の粘着剤処理がなされたフィルムが使用でき、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;環状オレフィン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンおよびプロピレン/エチレン共重合体等の鎖状オレフィン系樹脂等を使用できる。中でも、粘着性を適宜調節することができ、市販品の入手が容易であるという点から、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、またはポリエチレンフィルムが好ましく用いられる。
剥離性フィルムは自己粘着性を有しており、偏光フィルムにおける透明保護フィルムが貼合される面とは反対側の面に、直接貼合することができる。
こうして、接着剤により偏光フィルムの片面に透明保護フィルムが貼合され、反対側の面には粘着性を有する剥離性フィルムが貼合された片面透明保護フィルム付き偏光板は、一旦、巻き取り装置によって塩化ビニル管等のコアに巻き取られる。なお、偏光フィルムに透明保護フィルムを貼合する工程と、偏光フィルムに剥離性フィルムを貼合する工程とは、いずれを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。
本発明における第一の態様では、次に、上述したようにして作製した片面透明保護フィルム付き偏光板を、位相差フィルムの幅に合わせて長尺方向に沿って裁断(スリット)する(工程(B))。透明保護フィルム付き偏光板の裁断後の幅は、後述する位相差フィルムの幅に応じて適宜設定されるが、たとえば、裁断後の片面透明保護フィルム付き偏光板の少なくとも一断片は、後述する位相差フィルムの幅と同じ幅とされることが好ましい。
片面透明保護フィルム付き偏光板を裁断する方法は、特に限定されるものではないが、通常、巻き取られた片面透明保護フィルム付き偏光板をスリッター(長尺方向の裁断機)へ繰り出すと同時に裁断し、次いで裁断された複数の断片を再び巻き取る方法が採用される。また、位相差フィルムの幅に合わせて裁断された偏光板を、その場で粘着剤を介して位相差フィルムと貼合する方法も採用される。
本発明における第一の態様では、次に、剥離性フィルムを偏光フィルム面から除去する(工程(C))。さらに、本発明における第一の態様では、当該工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面(剥離性フィルムが貼合されていた面)に、80℃において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す粘着剤層を積層する(工程(D))。
(粘着剤)
粘着剤層の形成に用いられる粘着剤は、80℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、好ましくは0.15〜10MPaである。80℃での貯蔵弾性率が0.1MPa未満である場合には、高温環境と低温環境が繰り返されたとき発生する偏光フィルムの寸法変化に追随できないため気泡、はがれが発生するなどの不具合があるためである。また、この粘着剤の23℃の温度における貯蔵弾性率は0.1MPa以上が好ましく、0.2〜10MPaがより好ましい。なお、貯蔵弾性率は一般的に温度が高い条件ほど低くなる傾向があるため、80℃で測定した材料の貯蔵弾性率が0.1MPa以上であれば、通常、23℃で測定した同じ材料の貯蔵弾性率はそれ以上の値を示す。
ここで、貯蔵弾性率(動的弾性率)とは、一般的に用いられる粘弾性測定の用語を意味するものであるが、試料に時間によって変化(振動)する歪または応力を与えて、それによって発生する応力または歪を測定することにより、試料の力学的な性質を測定する方法(動的粘弾性測定)によって求められる値である。具体的には、試料に加える正弦波形の歪(応力)によって発生する応力(歪)を、歪(応力)と同位相の成分と90度ずれた位相の成分の波に分けたとき、歪(応力)と同位相の応力(歪)成分から算出される弾性率をいう。貯蔵弾性率は、市販の粘弾性測定装置、例えば、後述する実施例に示すような動的粘弾性測定装置(Dynamic Analyzer RDA II:REOMETRIC社製)を用いて測定することができる。粘弾性測定装置の温度制御には、循環恒温槽、電気ヒーター、ペルチェ素子等の種々公知の温度制御デバイスが用いられており、これによって測定時の温度を設定することができる。
通常の画像表示装置またはそれに適用される光学フィルムに用いられている粘着剤は、その貯蔵弾性率が高々0.1MPa程度であるが、本発明の製造方法に用いる粘着剤は、上述したようにその貯蔵弾性率が高いものである。このような高い貯蔵弾性率を有する、すなわち硬い粘着剤を用いることにより、高温環境下に置かれたときや、高温環境と低温環境が繰り返されたときの凝集力不足を補うことができ、そのときに発生する偏光フィルムの収縮に伴う寸法変化を抑制できる。この作用により、本発明の複合偏光板は良好な耐久性を有する。
本発明の製造方法に用いられる具体的な高弾性粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、およびポリエーテル等を主に含有する組成物で構成することができる。中でも、アクリル系ポリマーのように、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらに耐候性や耐熱性等を有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等の剥離問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。アクリル系ポリマーにおいては、メチル基、エチル基およびブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等からなる官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体が有用である。
アクリル系ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、および(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルを2種類以上用いた共重合系ポリマーが好適に用いられる。また、これらのアクリル系ポリマーには、極性モノマーが共重合されていてもよい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびグリシジル(メタ)アクリレート等の、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、およびエポキシ基等の極性官能基を有するモノマーを挙げることができる。
これらのアクリル系ポリマーは、単独でも粘着剤として使用可能であるが、通常、架橋剤が配合された粘着剤組成物とされる。架橋剤としては、2価または多価金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの、ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの、ポリエポキシ化合物やポリオール化合物であって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの、およびポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの等が例示される。中でもポリイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
粘着剤の貯蔵弾性率を高い値にするための手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、上述した粘着剤組成物に、オリゴマー、具体的にはウレタンアクリレート系のオリゴマーを配合する方法が好ましく採用される。さらに、このようなウレタンアクリレート系オリゴマーを配合した粘着剤組成物にエネルギー線を照射して硬化させる方法が、より高い貯蔵弾性率を有するようになるためより好ましく採用される。ウレタンアクリレート系オリゴマーが配合された粘着剤、またはそれを支持フィルム(セパレータ)上に塗工し紫外線硬化させたセパレータ付き粘着剤は公知であり、粘着剤メーカーから入手できる。
粘着剤組成物には、上述したポリマー、架橋剤およびオリゴマーの他に、必要に応じて、粘着剤の粘着力、凝集力、粘性、弾性率およびガラス転移温度等を調整するために、例えば、天然物や合成物である樹脂類、粘着性付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、消泡剤、腐食抑制剤および光重合開始剤等の適宜な添加剤を配合することもできる。紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、およびニッケル錯塩系化合物等が挙げられる。
また、本発明の製造方法で用いられる粘着剤は、光拡散剤を配合して光拡散性粘着剤とすることができる。ここで用いる光拡散剤は、粘着剤層を構成するポリマーとは屈折率が異なる微粒子であればよく、無機化合物からなる微粒子や有機化合物(ポリマー)からなる微粒子を用いることができる。
無機化合物からなる微粒子としては、例えば、酸化アルミニウム(屈折率:1.76)および酸化ケイ素(屈折率:1.45)等が挙げられる。また、有機化合物(ポリマー)からなる微粒子としては、例えば、メラミンビーズ(屈折率:1.57)、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率:1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率:1.50〜1.59)、ポリカーボネートビーズ(屈折率:1.55)、ポリエチレンビーズ(屈折率:1.53)、ポリスチレンビーズ(屈折率:1.6)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率:1.46)、およびシリコーン樹脂ビーズ(屈折率:1.46)等が挙げられる。
前記アクリル系ポリマーを含めて、粘着剤層を構成する樹脂組成物は、通常、1.4前後の屈折率を有するので、配合する光拡散剤はその屈折率が1〜2程度のものから適宜選択すればよい。粘着剤層を構成する組成物中のポリマーと光拡散剤との屈折率差は、通常、0.01以上であり、また画像表示装置の明るさと視認性の観点から、0.01〜0.5が好ましい。光拡散剤として用いる微粒子は、球形のもの、それも単分散に近いものが好ましく、例えば、平均粒径が2〜6μm程度の範囲にある微粒子が好適に用いられる。
光拡散剤の配合量は、それが配合された光拡散性粘着剤層に必要とされるヘイズ値や、それが適用される画像表示装置の明るさ等を考慮して適宜決められるが、通常、粘着剤層を構成するベースポリマー100重量部に対して3〜30重量部程度である。
また、光拡散性粘着剤層に必要とされるヘイズ値は、それを用いて得られる複合偏光板が適用された画像表示装置の明るさを確保するとともに、表示像のにじみやボケを生じにくくする観点から、20〜80%の範囲が好ましい。ヘイズは、JIS K 7105に規定され、(拡散透過率/全光線透過率)×100(%)で表される値である。
さらに、粘着剤層の厚みおよび光拡散性粘着剤層の厚みは、その接着力等に応じて決定されるが、通常、1〜40μmの範囲である。さらに、この厚みはそれを用いて製造される複合偏光板が良好な加工性を保ち、高い耐久性を示し、またその複合偏光板を用いた画像表示装置が正面から見た場合や斜めから見た場合の明るさを保ち、表示像のにじみやボケが生じにくくする観点から、3〜25μmがより好ましい。
本発明の製造方法では、裁断された片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルムの表面(第一の態様、ならびに、後述する第二の態様)もしくは位相差フィルムの表面(後述する第三の態様)に粘着剤層が形成される。偏光フィルムに貼合されている粘着性を有する剥離性フィルムは、粘着剤層の形成の前に剥離除去される。
粘着剤層の形成には、裁断された片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルムの表面(第一の態様、第二の態様)もしくは位相差フィルムの表面(第三の態様)に粘着剤溶液を塗布し乾燥する方法が好ましく採用される。また、離型処理が施された支持フィルム(セパレータ)の離型処理面に粘着剤層が形成されたもの(セパレータ付き粘着剤)を用意し、それを前記偏光フィルムの表面もしくは位相差フィルムの表面に貼り合わせる方法も好ましく採用される。
粘着剤溶液には、例えば、トルエンや酢酸エチル等の有機溶媒に前記粘着剤組成物を構成する原料を溶解または分散させて、たとえば10〜40重量%溶液としたものが用いられる。こうして形成された粘着剤層には、シリコーン系等の離型剤による処理が施された樹脂フィルムからなるセパレータを積層してあってもよい。
さらに、裁断された片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面もしくは位相差フィルムの表面に粘着剤層を形成する際に、必要に応じて、前記偏光フィルム面もしくは位相差フィルムの表面に密着性を向上させるための処理、例えば、コロナ処理等を施してもよく、同様の処理を前記偏光フィルム面に貼り合わされる粘着剤層の表面に施してもよい。
本発明の複合偏光板の製造方法における第一の態様では、次に、前記剥離性フィルムが除去された偏光フィルム面に、前記粘着剤層を介して前記位相差フィルムを貼合する(工程(E))。
(位相差フィルム)
本発明の製造方法に用いられる位相差フィルムは、オレフィン系樹脂からなり、nx>nz>nyの関係を満たす、いわゆる二軸性の位相差フィルムであることが好ましい。オレフィン系樹脂とは、主に、エチレン、プロピレン等の鎖状脂肪族オレフィン、または、ノルボルネンやその置換体(以下、これらを総称してノルボルネン系モノマーとも称する。)等の脂環式オレフィンから誘導される構成単位からなる樹脂である。オレフィン系樹脂は、2種以上のモノマーを用いた共重合体であってもよい。
中でも、主に脂環式オレフィンから誘導される構成単位を主に含む樹脂であることが好ましく、重合後も脂環式オレフィン由来の環状構造が主鎖中に残っている環状オレフィン系樹脂がより好ましく用いられる。環状オレフィン系樹脂を構成する脂環式オレフィンの典型的な例としては、ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。ノルボルネンとは、ノルボルナンの1つの炭素−炭素結合が二重結合となった化合物であって、IUPAC命名法によれば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エンと命名されるものである。ノルボルネンの置換体の例としては、ノルボルネンの二重結合位置を1,2−位として、3−置換体、4−置換体、4,5−ジ置換体等を挙げることができ、さらにはジシクロペンタジエンやジメタノオクタヒドロナフタレン等も挙げることができる。このような主にノルボルネン系モノマーから誘導される構成単位からなる樹脂は、一般にノルボルネン系樹脂と呼ばれている。
ノルボルネン系モノマーから誘導される構成単位を含むノルボルネン系樹脂は、その構成単位にノルボルナン環を有していてもよいし、有していなくてもよい。構成単位にノルボルナン環を有さないノルボルネン系樹脂を形成するノルボルネン系モノマーとしては、例えば、開環により5員環となるもの、代表的には、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1−または4−メチルノルボルネンならびに4−フェニルノルボルネン等が挙げられる。ノルボルネン系樹脂が共重合体である場合、その分子の配列状態は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
環状オレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの開環共重合体、それらにマレイン酸付加やシクロペンタジエン付加等がなされたポリマー変性物、さらにはこれらを水素添加した重合体または共重合体;ノルボルネン系モノマーの付加重合体、およびノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの付加共重合体等が挙げられる。共重合体における他のモノマーとしては、α−オレフィン類、シクロアルケン類、および非共役ジエン類等が挙げられる。また、環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーおよび他の脂環式オレフィンの1種または2種以上を用いた共重合体であってもよい。
中でも、環状オレフィン系樹脂としては、ノルボルネン系モノマーを用いた開環重合体または開環共重合体に水素添加した樹脂が好ましく用いられる。このようなノルボルネン系樹脂へ延伸処理を施したフィルム状物とし、これに所定の収縮率を有する収縮性フィルムを貼り合わせて加熱収縮させることにより、均一性が高く、大きな位相差値を有する位相差フィルムを得ることができる。このようなノルボルネン系モノマーを用いた開環重合体または開環共重合体の水素添加物の市販品としては、いずれも商品名で、ゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ゼオノア(日本ゼオン(株)製)、アートン(JSR(株)製)等がある。これらのノルボルネン系樹脂のフィルムやその延伸フィルムも、例えば、ゼオノアフィルム((株)オプテス製)、アートンフィルム(JSR(株)製)、エスシーナ(積水化学工業(株)製)等がそれぞれ販売されている。
また、本発明の製造方法に用いられる位相差フィルムには、オレフィン系樹脂を2種類以上含む混合樹脂からなるフィルムや、オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂からなるフィルムを用いることもできる。例えば、オレフィン系樹脂を2種類以上含む混合樹脂の例としては、前記したような環状オレフィン系樹脂と非環状脂肪族オレフィン系樹脂との混合物を挙げることができる。オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂は、目的に応じて適宜適切なものが選択される。例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、液晶性樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、およびポリテトラフルオロエチレン系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。また、前記熱可塑性樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもできる。ポリマー変性の例としては、共重合、架橋、分子末端変性、および立体規則性付与等が挙げられる。
オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂全体に対して、通常、50重量%以下であり、40重量%以下が好ましい。他の熱可塑性樹脂の含有量をこの範囲内とすることによって、光弾性係数の絶対値が小さく、良好な波長分散特性を示し、かつ、耐久性や機械的強度、透明性に優れる位相差フィルムを得ることができる。
このようなオレフィン系樹脂は、一般に用いられる溶液からのキャスティング法や溶融押出法等により、フィルムに製膜することができる。2種以上の混合樹脂からフィルムを製膜する場合、その製膜方法については特に限定されず、例えば、樹脂成分を所定の割合で溶媒とともに撹拌混合して得られる均一溶液を用いてキャスティング法によりフィルムを作製する方法、および樹脂成分を所定の割合で溶融混合し、溶融押出法によりフィルムを作製する方法等が採用される。
前記オレフィン系樹脂からなるフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、残存溶媒、安定剤、可塑剤、老化防止剤、帯電防止剤、および紫外線吸収剤等、その他の成分を必要に応じて含有していてもよい。また、表面粗さを小さくするため、レベリング剤を含有することもできる。
本発明の製造方法に用いられる位相差フィルムは、その面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとし、厚みをdとするとき、波長590nmの光に対して式(1)および(2)を満たすものが好ましい。
100nm≦(nx−ny)×d≦300nm (1)
0.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.7 (2)
このような特定の屈折率異方性を有する位相差フィルムを用いることにより、複合偏光板を液晶表示装置に適用した際に、液晶セルの表示特性を広い角度にわたって好適に補償することができる。
位相差フィルムの厚みは、20〜500μm程度の範囲内とすることができ、好ましくは20〜300μmである。厚みがこの範囲内であれば、フィルムの十分な自己支持性が得られ、広範囲の位相差を得ることができる。
この位相差フィルムをλ/2板として用いる場合、前記波長590nmの光に対する面内位相差値は200〜300nm程度の範囲内であることが好ましく、240〜300nmの範囲内であることがより好ましい。この波長590nmの光に対する面内位相差値を、測定波長の約1/2とすることによって、液晶表示装置の表示特性をより一層改善することができる。位相差フィルムをλ/2板として用いる場合、厚み方向への配向を十分に行うために、その厚みは80〜160μmの範囲内にあることが好ましい。より好ましくは85〜145μmの範囲内である。なお、この位相差フィルムは、λ/4板として用いられてもよい。
この位相差フィルムのNZ係数(前記式(2)における(nx−nz)/(nx−ny))は、0.1〜0.7が好ましく、0.3〜0.6がより好ましい。位相差フィルムのNZ係数を0.5付近とすると、角度によらず位相差値がほぼ一定の特性を達成することができ、液晶表示装置の表示特性をより一層改善することができる。
この位相差フィルムの幅は、上述した工程(A)にて作製される片面透明保護フィルム付き偏光板より10%以上小さいことが、生産性向上の効果が際立つために好ましい。さらに、その幅が前記偏光板の40〜50%の範囲であれば、片面透明保護フィルム付き偏光板をその半分の幅へスリットすることにより、その双方ともに位相差フィルムとの貼合に用いることができるためより好ましい。
裁断後、粘着剤層が積層された片面透明保護フィルム付き偏光板と位相差フィルムとの貼合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、貼合ロール等を用いて、片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光透過軸に対して位相差フィルムの遅相軸が直交または平行となるように積層する方法や、偏光フィルムの偏光透過軸に対して位相差フィルムの遅相軸が所定の角度となるように貼合する方法が採用される。特に、片面透明保護フィルム付き偏光板と位相差フィルムとを各々の長尺ロールから繰り出し長辺方向を合わせて連続的に貼合する方法は、生産性よく複合偏光板を製造することができるため好ましく採用される。
<第二の態様>
本発明における第二の態様は、上述した工程(A)、工程(C)、工程(D)、工程(B)および工程(E)をこの順で含み、前記工程(D)において、前記粘着剤層は、前記工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面に積層される。
本発明における第二の態様では、まず、上述した第一の態様と同様に、偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを貼合し、反対側の面に粘着性を有する剥離性フィルムを貼合し、片面透明保護フィルム付き偏光板を作製する(工程(A))。透明保護フィルムおよび偏光フィルムの作製、ならびにそれらの接着としては、上述した第一の態様における工程(A)と同様になされる。
本発明における第二の態様では、次に、剥離性フィルムを偏光フィルム面から除去する(工程(C))。そして、当該工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面に、80℃において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す粘着剤層を積層する(工程(D))。この剥離性フィルムの除去および粘着剤層の形成は、上述した第一の態様における工程(C)、工程(D)と同様になされる。
本発明における第二の態様では、次に、片面透明保護フィルム付き偏光板を、位相差フィルムの幅に合わせて長尺方向に沿って裁断する(工程(B))。この片面透明保護フィルム付き偏光板の裁断は、上述した第一の態様における工程(B)と同様になされる。この第二の態様においては、片面透明保護フィルム付き偏光板の裁断は、粘着剤層が積層されたまま行われる。
本発明における第二の態様では、最後に、前記剥離性フィルムが除去された偏光フィルム面に、前記粘着剤層を介して前記位相差フィルムを貼合する(工程(E))。位相差フィルムの作製、ならびにその貼合は、上述した第一の態様における工程(E)と同様になされる。こうして第二の態様により得られる複合偏光板は、上述した第一の態様により得られる複合偏光板と同様の構成となる。
<第三の態様>
本発明における第三の態様は、上述した工程(A)、工程(B)、工程(C)および工程(E)をこの順で含み、前記工程(D)において、粘着剤層は、位相差フィルムの片面に積層される。
本発明における第三の態様では、まず、上述した第一の態様と同様に、偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを貼合し、反対側の面に粘着性を有する剥離性フィルムを貼合し、片面透明保護フィルム付き偏光板を作製する(工程(A))。透明保護フィルムおよび偏光フィルムの作製、ならびにそれらの接着としては、上述した第一の態様における工程(A)と同様になされる。
本発明における第三の態様では、次に、片面透明保護フィルム付き偏光板を、前記位相差フィルムの幅に合わせて長尺方向に沿って裁断する(工程(B))。次に、剥離性フィルムを偏光フィルム面から除去する(工程(C))。この片面透明保護フィルム付き偏光板の裁断および剥離性フィルムの除去は、上述した第一の態様における工程(B)、工程(C)と同様になされる。
一方、本発明における第三の態様では、位相差フィルム面上に、80℃において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す粘着剤層を積層する(工程(D))。位相差フィルムの構成およびその作製方法は、第一の態様で説明したものと同様である。また、位相差フィルムへの粘着剤層の積層は、第一の態様の工程(D)と同様にして行うことができる。第三の態様において、工程(D)が実施されるタイミングは、特に限定されるものではなく、後述の工程(E)がなされるまでに実施されればよい。すなわち、工程(D)は、工程(A)の前に行ってもよいし、工程(A)、工程(B)および工程(C)のいずかと並列して、あるいはそれらのいずれかの後に行ってもよい。要は、工程(C)で剥離性フィルムが除去された偏光フィルム面に、粘着剤層付き位相差フィルムが供給されるようにすればよい。
本発明における第三の態様でも、最後に、前記剥離性フィルムが除去された偏光フィルム面に、前記粘着剤層を介して前記位相差フィルムを貼合する(工程(E))。位相差フィルムの作製、ならびにその貼合は、上述と同様になされる。こうして第三の態様により得られる複合偏光板は、上述した第一の態様により得られる複合偏光板と同様の構成となる。
本発明の複合偏光板の製造方法においては、複合偏光板に貼合された位相差フィルムの外側に、さらに粘着剤層が設けられてもよい。その粘着剤層は、液晶セル等の他の部材との貼合に好適に用いることができる。この粘着剤層は、複合偏光板を作製した後に形成しても、片面透明保護フィルム付き偏光板と位相差フィルムとを貼合する前に、位相差フィルムに予め形成しておいてもよい。こうしてなる複合偏光板は、通常、液晶セルへの貼合にあたりその位相差フィルム側が液晶セルに向き合うように配置される。
本発明の製造方法により製造された複合偏光板は、その位相差フィルム側と液晶セルを粘着剤層を介して貼合することで、液晶表示装置とすることができる。この複合偏光板を貼合した液晶表示装置の裏面側には、同種の偏光板、または公知の偏光板を貼合することができる。また、貼合される液晶パネルの動作モードは、本発明の複合偏光板の屈折率特性により良好に光学補償されるIPSモードが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量または含有量を表す「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。なお、以下の例において、貯蔵弾性率は次の方法によって測定した。
[貯蔵弾性率の測定方法]
粘着剤の貯蔵弾性率(G’)は、測定対象の粘着剤からなる直径8mm×厚み1mmの円盤状の試験片を作製し、動的粘弾性測定装置(Dynamic Analyzer RDA II:REOMETRIC社製)を用いて、周波数1Hzの捻りせん断法で初期歪1Nとし、23℃および80℃の条件で測定を行った。
また、実施例および比較例においては、粘着剤、接着剤、偏光フィルムおよび位相差フィルムとして、次のものを用いた。
(粘着剤シートA)
粘着剤シートAを構成する粘着剤組成物は、アクリル酸ブチルとアクリル酸の共重合体にウレタンアクリレートオリゴマーが配合され、さらにイソシアネート系架橋剤が添加されたものである。この粘着剤の貯蔵弾性率を前記の方法で測定したところ、23℃において0.40MPa、80℃において0.18MPaであった。以下の実施例において、粘着剤は、前記組成の有機溶剤溶液を、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の離型処理面に塗工し、乾燥することにより、そのセパレータの表面に厚さ15μmの粘着剤Aの層が形成されたセパレータ付きシート状粘着剤(粘着剤シートA)として用いた。
(粘着剤シートB)
粘着剤シートBは、市販のシート状粘着剤であり、ウレタンアクリレートオリゴマーは配合されていない。粘着剤シートBの貯蔵弾性率を上記の方法で測定したところ、23℃において0.05MPa、80℃において0.04MPaであった。以下の実施例および比較例においては、粘着剤シートBとして、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の離型処理面に厚さ15μmの粘着剤シートBの層が設けられている市販のセパレータ付き粘着剤を使用した。
(接着剤A)
水100部に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(クラレポバール KL318、(株)クラレ製)3部と水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン 650、住化ケムテックス(株)製)(固形分濃度30%の水溶液)1.5部を添加し、溶解させて接着剤Aを調製した。
(接着剤B)
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート100部、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル25部、および光カチオン重合開始剤として4,4'−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)(50%プロピレンカーボネート溶液)2.2部(有効成分量)を混合した後、脱泡して、硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤Bを調製した。
(偏光フィルム)
平均重合度が約2400であり、ケン化度が99.9モル%以上であるポリビニルアルコールからなる厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
(位相差フィルム)
ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物からなるノルボルネン系樹脂フィルム(ゼオノアフィルム、(株)オプテス製)を縦一軸延伸した厚み80μmのフィルムを位相差フィルム前駆体とした。このフィルムのガラス転移温度は136℃であり、光弾性係数は3.1×10-122/N、波長590nmの光に対する面内位相差値は300nm、厚み方向の位相差値は145nmであった。この一軸延伸フィルムの両面に、それぞれ厚み25μmのアクリル系粘着剤層を介して収縮フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる、横延伸倍率が縦延伸倍率より大きい二軸延伸フィルム(厚み60μm))を貼り合わせた。その後、ピンテンターでフィルムの幅方向を保持しながら、175℃±1℃の空気循環式恒温オーブンおよび160℃±1℃の空気循環式恒温オーブンを順次通過させ、幅方向で0.70倍に収縮させた。このときの長手方向の収縮倍率は0.92倍であった。
その後、両面に貼った収縮性フィルムを粘着剤層ごと剥がして、ノルボルネン系樹脂からなる位相差フィルムを得た。こうして得られた位相差フィルムは、厚み107μm、波長590nmの光に対する面内位相差値241.9nmであり、Nz係数は0.49であった。また、得られた位相差フィルムの幅は、720mmであった。
<実施例1>
(工程(A))
偏光フィルムの片面に、表面にケン化処理を施した厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明保護フィルム)を、接着剤Aを介して貼合し、その反対側の面には、粘着性を有する剥離性フィルムとして、表面(偏光フィルムとの接着面)が自己粘着性を有するポリエチレンフィルムを貼合し、その積層体を60℃で乾燥させ、片面に透明保護フィルムが貼合された偏光板を得た。得られた片面透明保護フィルム付き偏光板の幅は、1490mmであった。また、この偏光板の外観は、乾燥の熱や搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
(工程(B))
次いで、この片面透明保護フィルム付き偏光板を、スリッター(Model FN25、(株)西村製作所製)を用いて、位相差フィルムの大きさに合わせて長尺方向に沿って裁断(スリット)し、720mm幅の片面透明保護フィルム付き偏光板を得た。この偏光板の外観は、スリット時の剪断や搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
(工程(C)、工程(D))
前記工程(B)で裁断された偏光板からポリエチレンフィルムを剥離除去し、ただちにその偏光フィルム面上に、粘着剤シートAを貼合して粘着剤層を積層させた。
(工程(E))
位相差フィルムに照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面と、前記工程(B)でスリットされた偏光板とを、前記工程(D)で設けた粘着剤層を介して貼合し、複合偏光板を得た。
こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮き、はがれ、および気泡等のない良好なものであった。また、この複合偏光板から液晶セル貼合用のシートを裁断によって得るにあたり、複合偏光板の全面積中96.6%を使用できた。
得られた複合偏光板の位相差フィルム面を粘着剤シートBでソーダガラス(液晶セルの代わりとして使用)に固定し、50℃で20分間のオートクレーブ処理を施して複合偏光板をガラス板に密着させた。この状態で、−35℃の雰囲気に30分置き、次に+85℃の雰囲気に移して30分置くことを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返すヒートショック試験を行った。実施例1の複合偏光板は、試験後にも欠陥は観察されず、良好な状態を維持した。
<実施例2>
(液晶表示装置の作製と評価)
IPSモードの液晶セルを含む液晶表示装置(W32L−H9000、(株)日立製作所製)からバックライトを取り外し、さらに液晶セルのバックライト側に配置されていた偏光板を取り外して、そのガラス面を洗浄した。次に、この液晶セルのバックライト側に、実施例1で得られた複合偏光板を、その吸収軸がオリジナルの偏光板の吸収軸と同じになるように、かつ位相差フィルムが液晶セル側となるように、アクリル系粘着剤を介して接着し、液晶パネルを作製した。最後に、一旦取り外しておいたバックライトを再び組み込んで、液晶表示装置を作製した。
この液晶表示装置について、バックライトを点灯させて30分後に、方位角45°、極角60°のコントラスト比を測定した。その結果、282のコントラスト比を示した。
<比較例1>
片面透明保護フィルム付き偏光板を裁断しなかったこと以外は実施例1と同様にして、複合偏光板を作製した。こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮き、はがれ、および気泡等のない良好なものであった。しかし、実施例1と同様にシートを得るにあたっては、複合偏光板の全面積中48.3%しか使用できなかった。
<比較例2>
片面透明保護フィルム付き偏光板の作製時に、表面(偏光フィルムとの接着面)が自己粘着性を有するポリエチレンフィルムを使用しなかった以外は、実施例1と同様に複合偏光板を作製した。作製した複合偏光板の外観は、片面透明保護フィルム付き偏光板の作製時および片面透明保護フィルム付き偏光板の裁断時に偏光フィルムが損傷を受けており、実用に供せられるものではなかった。
<実施例3>
(工程(A))
偏光フィルムの片面に、表面にケン化処理を施した厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明保護フィルム)を、接着剤Bを介して貼合し、その反対側の面には、粘着性を有する剥離性フィルムとして、表面(偏光フィルムとの接着面)が自己粘着性を有するポリエチレンフィルムを貼合し、紫外線照射装置(ランプ:Fusion Dランプ、積算光量:1000mJ/cm2)にて紫外線の照射を行い、室温で1時間放置して、片面に透明保護フィルムが貼合された偏光板を得た。得られた片面透明保護フィルム付き偏光板の幅は、1490mmであった。また、この偏光板の外観は、搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
(工程(B))
次いで、この片面透明保護フィルム付き偏光板を実施例1と同様にして裁断し、720mm幅の片面透明保護フィルム付き偏光板を得た。この裁断後の片面透明保護フィルム付き偏光板の外観は、スリット時のせん断や搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
(工程(C)、工程(D))
前記工程(B)でスリットされた偏光板からポリエチレンフィルムを剥離除去し、ただちにその偏光フィルム面上に、粘着剤シートAを貼合して粘着剤層を積層させた。
(工程(E))
位相差フィルムに照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面と、前記工程(B)でスリットされた偏光板とを、前記工程(D)で設けた粘着剤層を介して貼合し、複合偏光板を得た。
こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮き、はがれ、および気泡等のない良好なものであった。また、この複合偏光板から液晶セル貼合用のシートを裁断によって得るにあたり、片面保護フィルム付き偏光板の全面積中96.6%を使用できた。
得られた複合偏光板の位相差フィルム面を粘着剤シートBでソーダガラス(液晶セルの代わりとして使用)に固定し、50℃で20分間のオートクレーブ処理を施して複合偏光板をガラス板に密着させた。この状態で、−35℃の雰囲気に30分置き、次に+85℃の雰囲気に移して30分置くことを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返すヒートショック試験を行った。実施例3の複合偏光板は、試験後にも欠陥は観察されず、良好な状態を維持していた。
<実施例4>
実施例1で得られた複合偏光板の代わりに、実施例3で得られた複合偏光板を用いたこと以外は、実施例2と同様にして液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置について、バックライトを点灯させて30分後に、方位角45°、極角60°のコントラスト比を測定した。その結果、282のコントラスト比を示した。
<比較例3>
実施例1において、工程(D)で用いる粘着剤シートAを粘着剤シートBに変更した以外は、同様に複合偏光板を作製した。こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮き、はがれ、および気泡等のない良好なものであった。また、この複合偏光板から液晶セル貼合用のシートを裁断によって得るにあたり、複合偏光板の全面積中96.6%を使用できた。
得られた複合偏光板の位相差フィルム面を粘着剤シートBでソーダガラス(液晶セルの代わりとして使用)に固定し、50℃で20分間のオートクレーブ処理を施して複合偏光板をガラス板に密着させた。この状態で、−35℃の雰囲気に30分置き、次に+85℃の雰囲気に移して30分置くことを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返すヒートショック試験を行った。比較例3の偏光板は、試験後に位相差フィルムとガラスの間の粘着剤層に気泡が発生し、実用に足るものではなかった。
<比較例4>
実施例3において、工程(D)で用いる粘着剤シートAを粘着剤シートBに変更した以外は、同様に複合偏光板を作製した。こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮き、はがれ、および気泡等のない良好なものであった。また、この複合偏光板から液晶セル貼合用のシートを裁断によって得るにあたり、複合偏光板の全面積中96.6%を使用できた。
得られた複合偏光板の位相差フィルム面を粘着剤シートBでソーダガラス(液晶セルの代わりとして使用)に固定し、50℃で20分間のオートクレーブ処理を施して複合偏光板をガラス板に密着させた。この状態で、−35℃の雰囲気に30分置き、次に+85℃の雰囲気に移して30分置くことを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返すヒートショック試験を行った。比較例3の偏光板は、試験後に位相差フィルムとガラスの間の粘着剤層に気泡が発生し、実用に足るものではなかった。
<実施例5>
(工程(A))
偏光フィルムの片面に、表面にケン化処理を施した厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明保護フィルム)を、接着剤Aを介して貼合し、その反対側の面には、粘着性を有する剥離性フィルムとして、表面(偏光フィルムとの接着面)が自己粘着性を有するポリエチレンフィルムを貼合し、その積層体を60℃で乾燥させ、片面に透明保護フィルムが貼合された偏光板を得た。得られた片面透明保護フィルム付き偏光板の幅は、1490mmであった。また、この偏光板の外観は、乾燥の熱や搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
(工程(C)、工程(D))
次いで、この片面透明保護フィルム付き偏光板からポリエチレンフィルムを剥離除去し、ただちにその偏光フィルム面上に、粘着剤シートAを貼合して粘着剤層を積層させた。
(工程(B))
この片面透明保護フィルム付き偏光板を、スリッター(Model FN25、(株)西村製作所製)を用いて、位相差フィルムの大きさに合わせて長尺方向に沿って裁断(スリット)し、720mm幅の片面透明保護フィルム付き偏光板を得た。この偏光板の外観は、スリット時の剪断や搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
(工程(E))
位相差フィルムに照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面と、前記工程(B)でスリットされた偏光板とを、前記工程(D)で設けた粘着剤層を介して貼合し、複合偏光板を得た。
こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮き、はがれ、および気泡等のない良好なものであった。また、この複合偏光板から液晶セル貼合用のシートを裁断によって得るにあたり、複合偏光板の全面積中96.6%を使用できた。
<実施例6>
(工程(A))
偏光フィルムの片面に、表面にケン化処理を施した厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明保護フィルム)を、接着剤Aを介して貼合し、その反対側の面には、粘着性を有する剥離性フィルムとして、表面(偏光フィルムとの接着面)が自己粘着性を有するポリエチレンフィルムを貼合し、その積層体を60℃で乾燥させ、片面に透明保護フィルムが貼合された偏光板を得た。得られた片面透明保護フィルム付き偏光板の幅は、1490mmであった。また、この偏光板の外観は、乾燥の熱や搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
(工程(B))
次いで、この片面透明保護フィルム付き偏光板を、スリッター(Model FN25、(株)西村製作所製)を用いて、位相差フィルムの大きさに合わせて長尺方向に沿って裁断(スリット)し、720mm幅の片面透明保護フィルム付き偏光板を得た。この偏光板の外観は、スリット時の剪断や搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
(工程(D))
位相差フィルムに照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面上に、粘着剤シートAを貼合して粘着剤層を積層させた。
(工程(C)、工程(E))
前記工程(B)でスリットされた偏光板からポリエチレンフィルムを剥離除去した。そして、ポリエチレンフィルム剥離後の偏光フィルム面および前記工程(D)で位相差フィルムに設けた粘着剤層側に、照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、偏光板と位相差フィルムとを、位相差フィルム上の粘着剤層を介して貼合し、複合偏光板を得た。
こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮き、はがれ、および気泡等のない良好なものであった。また、この複合偏光板から液晶セル貼合用のシートを裁断によって得るにあたり、複合偏光板の全面積中96.6%を使用できた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の複合偏光板は、種々の液晶表示装置における光学部材として広く利用され得るものであり、例えば、テレビ等の大型液晶表示装置や、コンピュータ用ディスプレイ、カーナビ、携帯電話、携帯端末機器等に用いられる中小型液晶表示装置における光学部材として利用され得るものである。

Claims (12)

  1. (A)偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを貼合し、反対側の面に粘着性を有する剥離性フィルムを貼合し、片面透明保護フィルム付き偏光板を作製する工程と、
    (B)前記片面透明保護フィルム付き偏光板を、位相差フィルムの幅に合わせて長尺方向に沿って裁断する工程と、
    (C)前記剥離性フィルムを偏光フィルム面から除去する工程と、
    (D)前記位相差フィルムの片面、または、前記工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面に、80℃において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す粘着剤層を積層する工程と、
    (E)前記剥離性フィルムが除去された偏光フィルム面に、前記粘着剤層を介して前記位相差フィルムを貼合する工程とを含む、複合偏光板の製造方法。
  2. 前記工程(A)、工程(B)、工程(C)、工程(D)および工程(E)をこの順で含み、前記工程(D)において、前記粘着剤層は、前記工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面に積層される、請求項1に記載の複合偏光板の製造方法。
  3. 前記工程(A)、工程(C)、工程(D)、工程(B)および工程(E)をこの順で含み、前記工程(D)において、前記粘着剤層は、前記工程(C)を経た前記片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面に積層される、請求項1に記載の複合偏光板の製造方法。
  4. 前記工程(A)、工程(B)、工程(C)および工程(E)をこの順で含み、前記工程(D)において、前記粘着剤層は、前記位相差フィルムの片面に積層される、請求項1に記載の複合偏光板の製造方法。
  5. 前記位相差フィルムが、その面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとし、厚みをdとするとき、波長590nmの光に対して式(1)および(2)を満たす、オレフィン系樹脂フィルムである請求項1〜4のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
    100nm≦(nx−ny)×d≦300nm (1)
    0.1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.7 (2)
  6. 前記オレフィン系樹脂フィルムは、脂環式オレフィンから誘導される構成単位を主に含む樹脂からなる請求項5に記載の複合偏光板の製造方法。
  7. 前記位相差フィルムは、その幅が、前記片面透明保護フィルム付き偏光板の幅より10%以上小さいものである、請求項1〜6のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
  8. 前記偏光フィルムと、透明保護フィルムとを、ポリビニルアルコール系樹脂およびエポキシ樹脂を含有する水溶性接着剤によって接着する、請求項1〜7のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
  9. 前記偏光フィルムと、透明保護フィルムとを、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有する無溶剤の樹脂組成物からなる接着剤によって接着する、請求項1〜8のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
  10. 前記エポキシ樹脂が、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物を含有する請求項9に記載の複合偏光板の製造方法。
  11. 前記透明保護フィルムの厚みが20〜300μmである請求項1〜10のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
  12. 前記粘着剤層の厚みが1〜40μmである請求項1〜11のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
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