JP2009271490A - 複合偏光板およびこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】偏光フィルムの片面にオレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムが貼合された複合偏光板において、該偏光フィルムと該位相差フィルムとの密着強度に優れ、優れた耐久性を有する複合偏光板、およびこれを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】偏光フィルム101とこの一方の面に接着剤層104を介して積層された透明保護フィルム102と、他方の面に粘着剤層105を介して積層された、面内位相差値が150〜300nm、Nz係数が0.2〜0.6のオレフィン系樹脂からなる位相差フィルム103とを備え、粘着剤層105は、80℃の温度において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す高弾性粘着剤からなる複合偏光板、およびこれを用いた液晶表示装置である。
【選択図】図1
【解決手段】偏光フィルム101とこの一方の面に接着剤層104を介して積層された透明保護フィルム102と、他方の面に粘着剤層105を介して積層された、面内位相差値が150〜300nm、Nz係数が0.2〜0.6のオレフィン系樹脂からなる位相差フィルム103とを備え、粘着剤層105は、80℃の温度において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す高弾性粘着剤からなる複合偏光板、およびこれを用いた液晶表示装置である。
【選択図】図1
Description
本発明は、位相差フィルムが積層された複合偏光板に関し、より詳しくは、偏光フィルムの一方の面に透明保護フィルムが積層され、他方の面に位相差フィルムが積層された複合偏光板に関する。また、本発明は、当該複合偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量で薄型であるなどの特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シートなど、多くの光学部材から構成されている。そのため、そのような光学部材を構成するフィルムまたはシートの枚数削減や膜厚の低減等の改良により、液晶表示装置の生産効率や明度の向上および軽量・薄型化などを図ることが可能であり、このような研究が盛んに行なわれている。
構成フィルムやシートの枚数を減らし、液晶表示装置の薄型化を図るための手段として、偏光板の片側の保護フィルムを位相差フィルムで兼ねる手法が知られている。たとえば、特許文献1には、偏光膜の両面に保護フィルムを積層した偏光板において、その保護フィルムの少なくとも一方を、位相差フィルムの機能を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂で構成することが記載されている。また、特許文献2には、偏光フィルムの透明保護層のうち少なくとも片側の透明保護層を複屈折性のフィルムで構成することが記載されている。
位相差フィルムに求められる機能の一つは、液晶セルの複屈折による位相差を正面方向および斜め方向において光学補償することである。そこで、位相差フィルムの斜め方向の位相差値が角度によってどのように変化するかは非常に重要な事項である。
角度によらず位相差値がほぼ一定である位相差フィルムが種々提案されており、たとえば、特許文献3には、固有複屈折が正であって、分子がフィルム面の法線方向に配向してなるフィルムを延伸することにより、垂直入射における位相差と法線から40°傾いた方向からの入射における位相差がほぼ同じになる位相差フィルムとすることが開示されている。この位相差フィルムは、面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとしたとき、nx>nz>nyの関係を示す。
上記nx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムの製造方法として、特許文献4には、樹脂フィルムの片面又は両面に収縮性フィルムを接着して積層体を形成し、その積層体を加熱延伸処理する方法が開示されている。この方法は、樹脂フィルムを、延伸と同時にその延伸軸と直交する方向に収縮させ、厚み方向(Z方向)への配向を起こさせるものであり、樹脂フィルムの屈折率分布を延伸前後で大きく変化させている。このため、この製造方法に用いる樹脂フィルムは、低い延伸倍率で位相差を生じやすいものが好ましく、従来、たとえばポリカーボネート系樹脂フィルムや、ポリアリレート系樹脂フィルム、ポリサルフォン系樹脂フィルムのような、芳香族系樹脂フィルムが用いられてきた。
また、特許文献5には、一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、熱収縮性を有するフィルムを、その熱収縮軸方向が一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムの延伸軸方向と直交するように貼合して、熱収縮させることにより、位相差フィルムを製造することが開示されている。このようにして得られた一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムからなる位相差フィルムは、その厚み方向にも配向されている。この方法も、熱収縮性フィルムの熱収縮に伴う一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの収縮を利用して厚み方向に配向させるものであるため、やはり位相差の発現しやすい芳香族系樹脂フィルムを中心に適用されている。
ここで、上記芳香族系樹脂フィルムは、光弾性係数の絶対値が大きいために、応力に対して位相差が変化しやすい。そのため、液晶セルと偏光フィルムとの間に貼合配置された状態で高温に曝された場合に、偏光フィルムの収縮応力によって位相差値が設計値からずれたり、液晶表示装置におけるバックライトの熱によって発生する応力のムラによって、位相差値のムラが発生したりして、表示特性を悪化させることが問題となっていた。
一方、ノルボルネン系樹脂フィルムなどの脂肪族系樹脂フィルムは、光弾性係数の絶対値が小さいため、近年、位相差フィルムに適用する動きが高まっている。しかし、脂肪族系樹脂フィルムは、一般に位相差を発現しにくいため、芳香族系樹脂フィルムのような低い延伸倍率ではもちろんのこと、延伸倍率を高くしても、所望の位相差値を得ることが難しかった。特に、延伸軸方向とともに厚み方向にも所定の位相差値が得られるように配向させることは難しく、上記特許文献4や特許文献5に記載の方法に、脂肪族系樹脂フィルムを適用することには限界があった。
そこで、特許文献6には、ノルボルネン系樹脂フィルムの片面又は両面に、幅方向の収縮率が大きい収縮性フィルムを貼り合わせて、面内位相差値が100〜350nm、かつ(nx−nz)/(nx−ny)で表される係数(Nz係数)が0.1〜0.9となるように加熱延伸する方法が提案されている。ここで、nx、nyおよびnzは、先に定義したとおりの意味を有する。この方法によれば、位相差の発現しにくいノルボルネン系樹脂フィルムについて、延伸軸方向とともに厚み方向にも配向させ、nx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムを製造することができる。
特開平8−43812号公報
特開平9−325216号公報
特開平2−160204号公報
特開平5−157911号公報
特開平7−230007号公報
特開2006−72309号公報
しかし、上記ノルボルネン系樹脂フィルムを含むオレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムを偏光フィルムの片面に接着する場合、従来のポリビニルアルコール系偏光フィルムとセルロースアセテート系保護フィルムとの接着に従来使用されているポリビニルアルコール系接着剤では接着力が十分でなく、耐久性にも問題があることが明らかになってきた。
そこで、本発明の目的は、偏光フィルムの片面にオレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムが貼合された複合偏光板において、偏光フィルムと位相差フィルムとの密着強度に優れ、優れた耐久性を有する複合偏光板を提供することである。また、本発明の他の目的は、この複合偏光板を用いた、温度湿度の変動に対する耐久性および信頼性に優れる液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは、オレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムを、偏光フィルムの片面に保護フィルムとしての機能を兼ねる層として積層させた複合偏光板を開発すべく鋭意研究を行なってきた。その中で、従来の偏光板におけるポリビニルアルコール系偏光フィルムとセルロースアセテート系保護フィルムとの接着に用いられている接着剤では、偏光フィルムと上記のような位相差フィルムとが、十分な強度で接着しないことが明らかになってきた。そこでさらに研究を重ねた結果、80℃の温度において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す高弾性粘着剤を用いることで、偏光フィルムと位相差フィルムとの密着強度に優れ、温度湿度の変動に対する耐久性に優れた複合偏光板が作製できることを見出し、本発明に至った。
本発明は、偏光フィルムと偏光フィルムの一方の面に接着剤層を介して積層された透明保護フィルムと、偏光フィルムの他方の面に、粘着剤層を介して積層された位相差フィルムとを備える複合偏光板に関する。ここで、本発明の複合偏光板において、位相差フィルムは、オレフィン系樹脂からなるフィルムであり、その面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとし、厚みをd(nm)とするとき、波長590nmの光に対して下記式(1)を満たし、かつ、下記式(2)を満たす。本発明の複合偏光板において、上記粘着剤層は、80℃の温度において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す高弾性粘着剤からなる。
150nm≦(nx−ny)×d≦300nm (1)
0.2≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.6 (2)
150nm≦(nx−ny)×d≦300nm (1)
0.2≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.6 (2)
本発明において、偏光フィルムと位相差フィルムとの貼合に用いる粘着剤は、80℃の温度における貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、好ましくは0.15MPa〜10MPaである。このように高い温度でも一定以上の貯蔵弾性率を示す高弾性粘着剤を用いることにより、偏光フィルムと、オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムとの密着が極めて良好に向上し、温度湿度の変動に対する耐久性に優れた複合偏光板が得られる。また、この高弾性粘着剤の23℃の温度における貯蔵弾性率は0.1MPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜10MPaである。
上記オレフィン系樹脂は、脂環式オレフィンから誘導される構成単位を主に含む樹脂であることが好ましい。上記位相差フィルムの厚みは、好ましくは20〜300μmである。上記粘着剤層の厚みは、好ましくは1〜40μmである。
また、本発明は、上記複合偏光板が液晶セルの片面または両面に配置されてなる液晶表示装置を提供する。ここで複合偏光板は、その位相差フィルム側が液晶セルに面するように配置される。
本発明によれば、偏光フィルムの片面にオレフィン系樹脂フィルムからなるnx>nz>nyの関係を満たす位相差フィルムが貼合された複合偏光板であって、偏光フィルムと位相差フィルムとが十分に高い接着強度で貼合された、優れた耐久性を有する複合偏光板を提供することができる。このような耐久性に優れた本発明の複合偏光板は、温度や湿度の変化が大きい環境下などの過酷な環境下に曝された場合であっても、外観不良や光学特性の劣化が生じにくい。また、この複合偏光板を用いた液晶表示装置は、耐久性および信頼性に優れる。
<複合偏光板>
図1は、本発明に係る複合偏光板の層構成の例を示す断面模式図である。図1に示される複合偏光板100は、偏光フィルム101の一方の面に、接着剤層104を介して透明保護フィルム102が積層され、偏光フィルム101の他方の面には、粘着剤層105を介して位相差フィルム103が積層されたものである。以下、複合偏光板を構成する各部材について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る複合偏光板の層構成の例を示す断面模式図である。図1に示される複合偏光板100は、偏光フィルム101の一方の面に、接着剤層104を介して透明保護フィルム102が積層され、偏光フィルム101の他方の面には、粘着剤層105を介して位相差フィルム103が積層されたものである。以下、複合偏光板を構成する各部材について詳細に説明する。
(偏光フィルム)
本発明において、偏光フィルムとは、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものである。たとえば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着・配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性の染料を吸着・配向させた染料系偏光フィルム、およびリオトロピック液晶状態の二色性染料をコーティングし、配向・固定化した塗布型偏光フィルムなどが挙げられる。これらのヨウ素系偏光フィルム、染料系偏光フィルム、および塗布型偏光フィルムは、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を吸収する機能を有するもので、吸収型偏光フィルムと呼ばれている。本発明に用いる偏光フィルムは、前述した吸収型偏光フィルムだけでなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を反射または散乱する機能を有する反射型偏光フィルム、または散乱型偏光フィルムと呼ばれているものでも構わない。また、ここで具体的に挙げた偏光フィルムは、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものであればよい。これらの偏光フィルムの中でも、視認性に優れている吸収型偏光フィルムを用いるのが好ましく、その中でも、偏光度および透過率に優れるヨウ素系偏光フィルムを偏光フィルムとして用いるのが、最も好ましい。
本発明において、偏光フィルムとは、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものである。たとえば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着・配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性の染料を吸着・配向させた染料系偏光フィルム、およびリオトロピック液晶状態の二色性染料をコーティングし、配向・固定化した塗布型偏光フィルムなどが挙げられる。これらのヨウ素系偏光フィルム、染料系偏光フィルム、および塗布型偏光フィルムは、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を吸収する機能を有するもので、吸収型偏光フィルムと呼ばれている。本発明に用いる偏光フィルムは、前述した吸収型偏光フィルムだけでなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を反射または散乱する機能を有する反射型偏光フィルム、または散乱型偏光フィルムと呼ばれているものでも構わない。また、ここで具体的に挙げた偏光フィルムは、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものであればよい。これらの偏光フィルムの中でも、視認性に優れている吸収型偏光フィルムを用いるのが好ましく、その中でも、偏光度および透過率に優れるヨウ素系偏光フィルムを偏光フィルムとして用いるのが、最も好ましい。
たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂を用いた偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させて、所定の偏光特性が得られるようにしたものである。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。そこで偏光フィルムとして具体的には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向しているヨウ素系偏光フィルムや、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性有機染料が吸着配向している染料系偏光フィルムを挙げることができる。
前記のポリビニルアルコール系樹脂を用いた偏光フィルムに用いるポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと、これと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98〜100モル%である。ポリビニルアルコール系樹脂はさらに変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜10,000程度である。
前記のポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に限定されないが、たとえば、2μm〜150μm程度である。
前記の偏光フィルムは、通常、上記したようなポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの水分を調整する調湿工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、および、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行なってもよいし、染色と同時に行なってもよいし、染色の後に行なってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行なってもよいし、ホウ酸処理中に行なってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行なうなどの乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。上記水洗後、乾燥して得られる偏光フィルムの厚みは、たとえば、1〜50μm程度とすることができる。
(透明保護フィルム)
偏光フィルムの一方の面に積層される透明保護フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れる材料からなることが好ましい。このような透明保護フィルム用材料としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、アクリロニトリル/エチレン/スチレン共重合体、スチレン/マレイミド共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。また、ノルボルネン系樹脂をはじめとする環状オレフィン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体などの非環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;芳香族ポリイミド、ポリイミドアミドなどのイミド系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラール系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂;および、これらの樹脂のブレンド物なども、透明保護フィルム用材料として用いることができる。これらの中でも、偏光フィルムとの接着の容易さなどを考慮すると、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、および環状または非環状オレフィン系樹脂であることが好ましい。透明保護フィルムは、偏光フィルムとの貼合に先立って、ケン化処理、コロナ処理、プラズマ処理などを施しておくことが望ましい。
偏光フィルムの一方の面に積層される透明保護フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れる材料からなることが好ましい。このような透明保護フィルム用材料としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、アクリロニトリル/エチレン/スチレン共重合体、スチレン/マレイミド共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などのスチレン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。また、ノルボルネン系樹脂をはじめとする環状オレフィン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体などの非環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;芳香族ポリイミド、ポリイミドアミドなどのイミド系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラール系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂;および、これらの樹脂のブレンド物なども、透明保護フィルム用材料として用いることができる。これらの中でも、偏光フィルムとの接着の容易さなどを考慮すると、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、および環状または非環状オレフィン系樹脂であることが好ましい。透明保護フィルムは、偏光フィルムとの貼合に先立って、ケン化処理、コロナ処理、プラズマ処理などを施しておくことが望ましい。
透明保護フィルムの厚みは、適宜に決定し得るが、一般的には、強度や取り扱い性等の作業性などの点から、1〜500μm程度とされる。より好ましくは、10〜200μm、さらに好ましくは20〜100μmである。この範囲内の厚みであれば、偏光フィルムを機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光フィルムが収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
(位相差フィルム)
偏光フィルムの他方の面に積層される位相差フィルムは、オレフィン系樹脂からなり、nx>nz>nyの関係を満たす、いわゆる二軸性の位相差フィルムである。本発明において、オレフィン系樹脂とは、主に、エチレン、プロピレンなどの非環状脂肪族オレフィン、または、ノルボルネンやその置換体(以下、これらを総称してノルボルネン系モノマーとも称する。)などの脂環式オレフィンから誘導される構成単位からなる樹脂である。オレフィン系樹脂は、2種以上のモノマーを用いた共重合体であってもよい。
偏光フィルムの他方の面に積層される位相差フィルムは、オレフィン系樹脂からなり、nx>nz>nyの関係を満たす、いわゆる二軸性の位相差フィルムである。本発明において、オレフィン系樹脂とは、主に、エチレン、プロピレンなどの非環状脂肪族オレフィン、または、ノルボルネンやその置換体(以下、これらを総称してノルボルネン系モノマーとも称する。)などの脂環式オレフィンから誘導される構成単位からなる樹脂である。オレフィン系樹脂は、2種以上のモノマーを用いた共重合体であってもよい。
上記のなかでも、オレフィン系樹脂は、主に脂環式オレフィンから誘導される構成単位からなる樹脂であることが好ましく、とりわけ、重合後も脂環式オレフィン由来の環状構造が主鎖中に残っている環状オレフィン系樹脂が好ましく用いられる。環状オレフィン系樹脂を構成する脂環式オレフィンの典型的な例としては、ノルボルネン系モノマーなどを挙げることができる。ノルボルネンとは、ノルボルナンの1つの炭素−炭素結合が二重結合となった化合物であって、IUPAC命名法によれば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エンと命名されるものである。ノルボルネンの置換体の例としては、ノルボルネンの二重結合位置を1,2−位として、3−置換体、4−置換体、4,5−ジ置換体などを挙げることができ、さらにはジシクロペンタジエンやジメタノオクタヒドロナフタレンなども挙げることができる。このような主にノルボルネン系モノマーから誘導される構成単位からなる樹脂は、一般にノルボルネン系樹脂と呼ばれている。
ノルボルネン系モノマーから誘導される構成単位を含むノルボルネン系樹脂は、その構成単位にノルボルナン環を有していてもよいし、有していなくてもよい。構成単位にノルボルナン環を有さないノルボルネン系樹脂を形成するノルボルネン系モノマーとしては、たとえば、開環により5員環となるもの、代表的には、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1−または4−メチルノルボルネン、4−フェニルノルボルネンなどが挙げられる。ノルボルネン系樹脂が共重合体である場合、その分子の配列状態は特に制限されず、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
ノルボルネン系樹脂のより具体的な例を挙げれば、たとえば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの開環共重合体、それらにマレイン酸付加やシクロペンタジエン付加等がなされたポリマー変性物、さらにはこれらを水素添加した重合体または共重合体;ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。共重合体とする場合における他のモノマーとしては、α−オレフィン類、シクロアルケン類、非共役ジエン類などが挙げられる。また、ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーおよび他の脂環式オレフィンの1種または2種以上を用いた共重合体であってもよい。
上記具体例のなかでも、ノルボルネン系樹脂としては、ノルボルネン系モノマーを用いた開環重合体または開環共重合体に水素添加した樹脂が好ましく用いられる。このようなノルボルネン系樹脂は、成形加工性に優れており、予め延伸処理が施されたフィルム状物とし、これに所定の収縮率を有する収縮性フィルムを貼り合わせて加熱収縮させることにより、均一性が高く、大きな位相差値を有する位相差フィルムを与えることができる。このようなノルボルネン系モノマーを用いた開環重合体または開環共重合体の水素添加物の市販品としては、いずれも商品名で、日本ゼオン(株)から販売されている「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR(株)から販売されている「アートン」などがある。これらのノルボルネン系樹脂のフィルムやその延伸フィルムも、たとえば、(株)オプテスから「ゼオノアフィルム」の商品名で、JSR(株)から「アートンフィルム」の商品名で、また積水化学工業(株)から「エスシーナ」の商品名で、それぞれ販売されている。
また、本発明で用いる位相差フィルムには、オレフィン系樹脂を2種類以上含む混合樹脂からなるフィルムや、オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂からなるフィルムを用いることもできる。たとえば、オレフィン系樹脂を2種類以上含む混合樹脂の例としては、上記したような環状オレフィン系樹脂と非環状脂肪族オレフィン系樹脂との混合物を挙げることができる。オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂は、目的に応じて、適宜、適切なものが選択される。具体例としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などの汎用プラスチック;ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂およびポリエチレンテレフタレート系樹脂などの汎用エンジニアリングプラスチック;ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、液晶性樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂およびポリテトラフルオロエチレン系樹脂などのスーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。また、上記熱可塑性樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行なってから用いることもできる。ポリマー変性の例としては、共重合、架橋、分子末端変性、立体規則性付与などが挙げられる。
オレフィン系樹脂と他の熱可塑性樹脂との混合樹脂を用いる場合、他の熱可塑性樹脂の含有量は、樹脂全体に対して、50重量%程度以下とすることができ、好ましくは40重量%程度以下である。他の熱可塑性樹脂の含有量をこの範囲内とすることによって、光弾性係数の絶対値が小さく、良好な波長分散特性を示し、かつ、耐久性や機械的強度、透明性に優れる位相差フィルムを得ることができる。
以上説明したようなオレフィン系樹脂は、一般に用いられる溶液からのキャスティング法や溶融押出法などにより、フィルムに製膜することができる。2種以上の混合樹脂からフィルムを製膜する場合、その製膜方法については特に限定されず、たとえば、樹脂成分を所定の割合で溶媒とともに撹拌混合して得られる均一溶液を用いて、キャスティング法によりフィルムを作製する方法、および、樹脂成分を所定の割合で溶融混合し、溶融押出法によりフィルムを作製する方法などを挙げることができる。得られる位相差フィルムの平滑性を高め、良好な光学均一性を得るために、溶液からのキャスティング法が好ましく用いられる。
上記オレフィン系樹脂からなるフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、残存溶媒、安定剤、可塑剤、老化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤など、その他の成分を必要に応じて含有していてもよい。また、表面粗さを小さくするため、レベリング剤を含有することもできる。
本発明で用いられる位相差フィルムは、上記式(1)に示されるように、波長590nmの光に対する面内位相差値(nx−ny)×dが150〜300nmの範囲内であり、また、上記式(2)に示されるように、Nz係数と呼ばれる(nx−nz)/(nx−ny)が0.2〜0.6の範囲内である。ここで、nx、nyおよびnzは、それぞれ位相差フィルムの面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率であり、d(nm)は、位相差フィルムの厚みである。このような特定の屈折率異方性を有する位相差フィルムを用いることにより、複合偏光板を液晶表示装置に適用した際に、液晶セルの表示特性を広い角度にわたって好適に補償することができる。
位相差フィルムの厚みは、20〜500μm程度の範囲内とすることができ、好ましくは20〜300μmである。厚みがこの範囲内であれば、フィルムの十分な自己支持性が得られ、広範囲の位相差を得ることができる。
位相差フィルムをλ/2板として用いる場合、上記波長590nmの光に対する面内位相差値は200〜300nm程度の範囲内であることが好ましく、240〜300nmの範囲内であることがより好ましい。この波長590nmの光に対する面内位相差値を、測定波長の約1/2とすることによって、液晶表示装置の表示特性をより一層改善することができる。位相差フィルムをλ/2板として用いる場合、厚み方向への配向を十分に行なうために、その厚みは80〜160μmの範囲内にあることが好ましい。より好ましくは85〜145μmの範囲内である。なお、この位相差フィルムは、λ/4板として用いられてもよい。
位相差フィルムのNz係数は、0.2〜0.6の範囲内であり、好ましくは、0.3〜0.6の範囲内である。位相差フィルムのNz係数を0.5付近とすることにより、角度によらず位相差値がほぼ一定の特性を達成することができ、液晶表示装置の表示特性をより一層改善することができる。
(接着剤層)
接着剤層(図1における接着剤層104)は、偏光フィルムと透明保護フィルムとの接着を担う層である。これらのフィルムの接着に用いられる接着剤(接着剤層を形成する接着剤)としては、特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを接着剤成分とする接着剤を挙げることができる。なかでも、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したもの、またはこれを水に分散させたものは、接着剤層の厚みをより低減することができるため、好ましく用いられる。水系の接着剤としては、接着剤成分として、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、水溶性の架橋性エポキシ樹脂、あるいはウレタン系樹脂などを含有するものを挙げることができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、水系接着剤として用いられる種々公知の樹脂を用いることができる。また、別の好ましい接着剤として、無溶剤型の接着剤、具体的には、加熱や活性エネルギー線の照射によりモノマーまたはオリゴマーを反応硬化させて接着剤層を形成するものを挙げることができる。
接着剤層(図1における接着剤層104)は、偏光フィルムと透明保護フィルムとの接着を担う層である。これらのフィルムの接着に用いられる接着剤(接着剤層を形成する接着剤)としては、特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを接着剤成分とする接着剤を挙げることができる。なかでも、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したもの、またはこれを水に分散させたものは、接着剤層の厚みをより低減することができるため、好ましく用いられる。水系の接着剤としては、接着剤成分として、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、水溶性の架橋性エポキシ樹脂、あるいはウレタン系樹脂などを含有するものを挙げることができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、水系接着剤として用いられる種々公知の樹脂を用いることができる。また、別の好ましい接着剤として、無溶剤型の接着剤、具体的には、加熱や活性エネルギー線の照射によりモノマーまたはオリゴマーを反応硬化させて接着剤層を形成するものを挙げることができる。
まず、水系の接着剤について説明する。水溶性の架橋性エポキシ樹脂としては、たとえば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂を挙げることができる。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズレジン 650」、「スミレーズレジン 675」(いずれも商品名)などがある。
接着剤成分として水溶性の架橋性エポキシ樹脂を用いる場合は、塗工性と接着性を向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂をさらに混合することが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールなどの、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。なかでも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸またはその塩との共重合体のケン化物、すなわち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。なお、ここでいう「カルボキシル基」とは、−COOHおよびその塩を含む概念である。
市販されている好適なカルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、それぞれ(株)クラレから販売されている「クラレポバール KL−506」、「クラレポバール KL−318」、「クラレポバール KL−118」、それぞれ日本合成化学工業(株)から販売されている「ゴーセナール T−330」、「ゴーセナール T−350」、電気化学工業(株)から販売されている「DR−0415」、それぞれ日本酢ビ・ポバール(株)から販売されている「AF−17」、「AT−17」、「AP−17」などが挙げられるが、ここで具体的に挙げたカルボキシル基変性ポリビニルアルコールは、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、同様の性能を有するカルボキシル基変性ポリビニルアルコールであればよい。
水溶性の架橋性エポキシ樹脂を含む接着剤は、上記エポキシ樹脂および必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を水に溶解し、接着剤溶液として調製することができる。この場合、水溶性の架橋性エポキシ樹脂の含有量は、水100重量部に対して、0.2〜2重量部程度とすることが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その配合量は、水100重量部に対して、1〜10重量部程度とすることが好ましく、1〜5重量部程度とすることがより好ましい。
一方、水系の接着剤に好適に用いることができるウレタン系樹脂としては、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を挙げることができる。ここで、アイオノマー型とは、ウレタン樹脂を構成する骨格内に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その骨格内に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。このようなアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品として、たとえば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドラン AP−20」、「ハイドラン APX−101H」などがあり、いずれもエマルジョンの形で入手できる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、イソシアネート系などの架橋剤をさらに配合することが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、その例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート単量体のほか、それらの複数分子がトリメチロールプロパンなどの多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体などのポリイソシアネート変性体などがある。好適に使用し得る市販のイソシアネート系架橋剤として、たとえば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドランアシスター C−1」などが挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤においては、粘度と接着性の観点から、当該ウレタン樹脂は、その濃度が10〜70重量%程度となるように水中に溶解または分散されることが好ましい。アイオノマー型のウレタン樹脂の濃度は、より好ましくは20重量%以上であり、また、より好ましくは50重量%以下である。また、イソシアネート系架橋剤を配合する場合、その配合量は、ウレタン系樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100重量部程度となるように適宜選択される。
以上のような水系接着剤を用いる場合、その接着剤を、透明保護フィルム、または偏光フィルムの接着面に塗布し、両者を貼り合わせて、複合偏光板とすることができる。偏光フィルム上と透明保護フィルムの詳細な接着方法については、後で述べる。
次に、無溶剤型の接着剤について説明する。無溶剤型の接着剤とは、有意量の溶剤を含まず、一般には、加熱や活性エネルギー線の照射により重合する硬化性の化合物と、重合開始剤とを含んで構成される。反応性の観点からは、カチオン重合で硬化するものが好ましく、特にエポキシ系の接着剤が好ましく用いられる。
この接着剤は、加熱または活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化するものであることがより好ましい。特に、耐候性や屈折率などの観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物が、硬化性化合物として好適に用いられる。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いた接着剤は、たとえば、特開2004−245925号公報に記載されている。このような芳香環を含まないエポキシ化合物として、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。接着剤に用いる硬化性のエポキシ化合物は、通常、分子中にエポキシ基を2個以上有している。
芳香族エポキシ化合物の水素化物について説明すると、これは、芳香族エポキシ化合物を触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行なうことにより得られる。芳香族エポキシ化合物しては、たとえば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテルのようなビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノールのような多官能型のエポキシ化合物などが挙げられる。これら芳香族エポキシ化合物の水素化物の中でも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
次に脂環式エポキシ化合物について説明すると、これは、次式に示す如き、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物である。下記式中、mは2〜5の整数を表す。
この式における(CH2)m中の水素原子を1個または複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、脂環式エポキシ化合物となりうる。また、脂環式環を形成する水素原子がメチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。中でも、エポキシシクロペンタン環(上式においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上式においてm=4のもの)を有する化合物を用いることが好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例として、次のようなものを挙げることができる。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、
ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(また、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2',6'−ジオキサンスピロ−3'',5''−ジオキサンスピロ−3''',4'''−エポキシシクロヘキサンとも命名できる化合物)、
4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−エポキシスピロ[5.5]ウンデカン、
4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、
ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、
ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、
ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(また、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2',6'−ジオキサンスピロ−3'',5''−ジオキサンスピロ−3''',4'''−エポキシシクロヘキサンとも命名できる化合物)、
4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−エポキシスピロ[5.5]ウンデカン、
4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、
ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、
ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
次に脂肪族エポキシ化合物について説明すると、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルが、これに該当する。その例としては、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやポリプロピレングリコール、グリセリンのような脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
ここに例示したエポキシ化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、また複数のエポキシ化合物を混合して使用してもよい。
無溶剤型の接着剤に使用するエポキシ化合物のエポキシ当量は、通常30〜3,000g/当量、好ましくは50〜1,500g/当量の範囲である。エポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後の透明保護フィルムの可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする可能性がある。一方、3,000g/当量を超えると、他の成分との相溶性が低下する可能性がある。
エポキシ化合物をカチオン重合で硬化させるためには、カチオン重合開始剤が配合される。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射、または加熱により、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始する。いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが、作業性の観点から好ましい。
以下、光カチオン重合開始剤について説明する。光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での硬化が可能となり、偏光フィルムの耐熱性あるいは膨張による歪を考慮する必要が減少し、透明保護フィルムと偏光フィルムとを良好に接着することができる。また、光カチオン重合開始剤は光で触媒的に作用するため、エポキシ化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物として、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、鉄−アレン錯体などを挙げることができる。これらの中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
これらの光カチオン重合開始剤は市販品として容易に入手でき、たとえば、それぞれ商品名で、「カヤラッド PCI−220」、「カヤラッド PCI−620」(以上、日本化薬(株)製)、「UVI−6990」(ユニオンカーバイド社製)、「アデカオプトマー SP−150」、「アデカオプトマー SP−170」(以上、(株)ADEKA製)、「CI−5102」、「CIT−1370」、「CIT−1682」、「CIP−1866S」、「CIP−2048S」、「CIP−2064S」(以上、日本曹達(株)製)、「DPI−101」、「DPI−102」、「DPI−103」、「DPI−105」、「MPI−103」、「MPI−105」、「BBI−101」、「BBI−102」、「BBI−103」、「BBI−105」、「TPS−101」、「TPS−102」、「TPS−103」、「TPS−105」、「MDS−103」、「MDS−105」、「DTS−102」、「DTS−103」(以上、みどり化学(株)製)、「PI−2074」(ローディア社製)などが挙げられる。特に、日本曹達(株)製の「CI−5102」は、好ましい開始剤の一つである。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、通常0.5〜20重量部であり、好ましくは1重量部以上、また好ましくは15重量部以下である。
さらに、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで、反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、たとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。光増感剤を配合する場合、その量は、光カチオン重合性エポキシ樹脂組成物を100重量部として、0.1〜20重量部程度である。
次に、熱カチオン重合開始剤について説明する。加熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する化合物として、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどを挙げることができる。これらの熱カチオン重合開始剤も、市販品として容易に入手することができ、たとえば、いずれも商品名で、「アデカオプトン CP77」および「アデカオプトン CP66」(以上、(株)ADEKA製)、「CI−2639」および「CI−2624」(以上、日本曹達(株)製)、「サンエイド SI−60L」、「サンエイド SI−80L」および「サンエイド SI−100L」(以上、三新化学工業(株)製)などが挙げられる。
以上説明した光カチオン重合と熱カチオン重合を併用することも、有用な技術である。
エポキシ系接着剤は、さらにオキセタン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
以上のような無溶剤型の接着剤を用いる場合も、その接着剤を、透明保護フィルム、または偏光フィルムの接着面に塗布し、両者を貼り合わせて、複合偏光板とすることができる。無溶剤型接着剤を透明保護フィルム、または偏光フィルムに塗工する方法に特別な限定はなく、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。また、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、少量の溶剤を用いて粘度調整を行なってもよい。このために用いる溶剤は、偏光フィルムの光学性能を低下させずに、エポキシ系接着剤を良好に溶解するものであればよく、たとえば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類などの有機溶剤が使用できる。無溶剤型のエポキシ系接着剤を用いる場合、接着剤層の厚さは通常50μm以下、好ましくは20m以下、さらに好ましくは10μm以下であり、また通常は1μm以上である。偏光フィルムと透明保護フィルムとの詳細な接着方法については、後で述べる。
(粘着剤層)
接着剤層(図1における粘着剤層105)は、偏光フィルムと位相差フィルムとの接着を担う層である。本発明においては、当該粘着剤層を構成する粘着剤として、温度80℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、好ましくは0.15MPa〜10MPaである高弾性粘着剤が用いられる。当該高弾性粘着剤の23℃の温度における貯蔵弾性率は0.1MPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜10MPaである。なお、貯蔵弾性率は一般的に温度が高い条件ほど低くなる傾向があるため、80℃で測定した材料の貯蔵弾性率が0.1MPa以上であれば、通常は23℃で測定した同じ材料の貯蔵弾性率はそれ以上の値を示す。
接着剤層(図1における粘着剤層105)は、偏光フィルムと位相差フィルムとの接着を担う層である。本発明においては、当該粘着剤層を構成する粘着剤として、温度80℃での貯蔵弾性率が0.1MPa以上であり、好ましくは0.15MPa〜10MPaである高弾性粘着剤が用いられる。当該高弾性粘着剤の23℃の温度における貯蔵弾性率は0.1MPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜10MPaである。なお、貯蔵弾性率は一般的に温度が高い条件ほど低くなる傾向があるため、80℃で測定した材料の貯蔵弾性率が0.1MPa以上であれば、通常は23℃で測定した同じ材料の貯蔵弾性率はそれ以上の値を示す。
ここで、貯蔵弾性率(動的弾性率)とは、一般的に用いられる粘弾性測定の用語を意味するものであるが、試料に時間によって変化(振動)する歪みまたは応力を与えて、それによって発生する応力または歪みを測定することにより、試料の力学的な性質を測定する方法(動的粘弾性測定)によって求められる値であり、歪みを応力と同位相と位相が90度ずれた2成分の波に分けたとき、振動応力と同位相にある弾性率である。貯蔵弾性率は、市販の粘弾性測定装置、たとえば、後掲の実施例に示すような動的粘弾性測定装置(Dynamic Analyzer RDA II:REOMETRIC株式会社製)を用いて測定することができる。粘弾性測定装置の温度制御には、循環恒温槽、電気ヒーター、ペルチェ素子等の種々公知の温度制御デバイスが用いられており、これによって測定時の温度を設定することができる。
通常の画像表示装置またはそれに適用される光学フィルムに用いられている粘着剤は、その貯蔵弾性率が高々0.1MPa程度であり、それに比べ、本発明で用いる粘着剤の貯蔵弾性率は上述のような高い値となっている。このような高い貯蔵弾性率を示す、すなわち硬い粘着剤を用いることにより、高温環境下に置かれたときや、高温環境と低温環境が繰り返されたときの凝集力不足を補うことができ、そのときに発生する偏光フィルムの収縮に伴う寸法変化を小さく抑えることが可能となる。すなわち、本発明の複合偏光板は良好な耐久性を有し、特に偏光フィルムと位相差フィルムの剥離が抑えられる。
本発明の具体的な高弾性粘着剤としては、たとえば、アクリル系ポリマーや、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとするもので構成することができる。なかでも、アクリル系ポリマーのように、光学的な透明性に優れ、適度の濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらには耐候性や耐熱性などを有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等の剥離問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。アクリル系ポリマーにおいては、メチル基やエチル基、ブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどからなる官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体が、ベースポリマーとして有用である。
アクリル系ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系ベースポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルを2種類以上用いた共重合系ベースポリマーが好適に用いられる。また、これらのベースポリマーには、極性モノマーが共重合されていてもよい。極性モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基などの極性官能基を有するモノマーを挙げることができる。
これらのアクリル系ポリマーは、単独でも粘着剤として使用可能であるが、粘着剤には通常、架橋剤が配合される。架橋剤としては、2価または多価金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの、ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの、ポリエポキシ化合物やポリオール化合物であって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの、ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものなどが例示される。なかでもポリイソシアネート化合物が、有機系架橋剤として広く使用されている。
本発明において、粘着剤層を形成する高弾性粘着剤の貯蔵弾性率を高い値にするための手段としては、特に制限されないが、たとえば、上述の粘着剤成分に、オリゴマー、具体的にはウレタンアクリレート系のオリゴマーを配合する方法を好適なものとして挙げることができる。さらに、このようなウレタンアクリレート系オリゴマーを配合した粘着剤にエネルギー線を照射して硬化させたものを用いることが、高い貯蔵弾性率を示すようになる点でより好ましい。ウレタンアクリレート系オリゴマーが配合された粘着剤、あるいは、それを支持フィルム(セパレータ)上に塗工し紫外線硬化させたセパレータ付き粘着剤は、公知であり、粘着剤メーカーから入手できる。
高弾性粘着剤には、上記のベースポリマー、架橋剤およびオリゴマーのほか、必要に応じて、粘着剤の粘着力、凝集力、粘性、弾性率、ガラス転移温度などを調整するために、たとえば、天然物や合成物である樹脂類、粘着性付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、消泡剤、腐食抑制剤、光重合開始剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。紫外線吸収剤には、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがある。
また、本発明で用いる高弾性粘着剤としては、光拡散剤を配合した光拡散性粘着剤を使用することができる。ここで用いる光拡散剤は、粘着剤層を構成するベースポリマーとは屈折率が異なる微粒子であればよく、無機化合物からなる微粒子や有機化合物(ポリマー)からなる微粒子を用いることができる。
無機化合物からなる微粒子としては、たとえば、酸化アルミニウム(屈折率1.76)、酸化ケイ素(屈折率1.45)などを挙げることができる。また、有機化合物(ポリマー)からなる微粒子としては、たとえば、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率1.50〜1.59)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.55)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.53)、ポリスチレンビーズ(屈折率1.6)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.46)、シリコーン樹脂ビーズ(屈折率1.46)などを挙げることができる。
上記したようなアクリル系ベースポリマーを含めて、粘着剤層を構成するベースポリマーは、1.4前後の屈折率を示すことが多いので、そこに配合する光拡散剤は、その屈折率が1〜2程度のものから、適宜選択すればよい。粘着剤層を構成するベースポリマーと光拡散剤との屈折率差は、通常0.01以上であり、また画像表示装置の明るさと視認性の観点から、0.01以上0.5以下とするのが好適である。光拡散剤として用いる微粒子は、球形のもの、それも単分散に近いものが好ましく、たとえば、平均粒径が2〜6μm程度の範囲にある微粒子が好適に用いられる。
光拡散剤の配合量は、それが配合された光拡散性粘着剤層に必要とされるヘイズ値や、それが適用される画像表示装置の明るさなどを考慮して、適宜決められるが、一般には、粘着剤層を構成するベースポリマー100重量部に対して、3〜30重量部程度である。
また、光拡散剤が配合された光拡散性粘着剤層は、それを用いて得られる複合偏光板が適用された画像表示装置の明るさを確保するとともに、表示像のにじみやボケを生じにくくする観点から、そのヘイズが20〜80%の範囲となるようにするのが好ましい。ヘイズは、JIS K 7105に規定され、(拡散透過率/全光線透過率)×100(%)で表される値である。
さらに、光拡散剤が配合された光拡散性粘着剤層の厚みは、その接着力などに応じて決定されるが、通常は1〜40μmの範囲である。光拡散性粘着剤層の厚みは3〜25μmとするのが、良好な加工性を保ち、高い耐久性を示し、また画像表示装置を正面から見た場合や斜めから見た場合の明るさを保ち、表示像のにじみやボケが生じにくくする観点から、好適である。
<複合偏光板の製造方法>
本発明の複合偏光板の製造方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、まず、上記の接着剤を用いて透明保護フィルムと偏光フィルムとの貼合を行ない、その後、前記の粘着剤を用いて偏光フィルムの透明保護フィルム側とは反対側の面に位相差フィルムを貼合する方法が好ましく採用される。偏光フィルムと透明保護フィルムとを前記の水系接着剤を用いて貼合する方法は特に限定されるものではなく、たとえば、偏光フィルム、または透明保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、その塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。乾燥は、たとえば、60〜100℃程度の温度で行なうことができる。乾燥後は、室温よりやや高い温度、たとえば30〜50℃程度の温度で1〜10日間程度養生することが、接着力を一層高めるうえで好ましい。また、偏光フィルムと透明保護フィルムとを前記の無溶剤型接着剤を用いて貼合する方法も特に限定されるものではなく、たとえば、偏光フィルムまたは透明保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、その塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、活性エネルギー線を照射するか、または加熱する方法などが挙げられる。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどを挙げることができる。活性エネルギー線、たとえば紫外線の照射強度や照射量は、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、透明保護フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。また加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、透明保護フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。
本発明の複合偏光板の製造方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、まず、上記の接着剤を用いて透明保護フィルムと偏光フィルムとの貼合を行ない、その後、前記の粘着剤を用いて偏光フィルムの透明保護フィルム側とは反対側の面に位相差フィルムを貼合する方法が好ましく採用される。偏光フィルムと透明保護フィルムとを前記の水系接着剤を用いて貼合する方法は特に限定されるものではなく、たとえば、偏光フィルム、または透明保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、その塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。乾燥は、たとえば、60〜100℃程度の温度で行なうことができる。乾燥後は、室温よりやや高い温度、たとえば30〜50℃程度の温度で1〜10日間程度養生することが、接着力を一層高めるうえで好ましい。また、偏光フィルムと透明保護フィルムとを前記の無溶剤型接着剤を用いて貼合する方法も特に限定されるものではなく、たとえば、偏光フィルムまたは透明保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、その塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、活性エネルギー線を照射するか、または加熱する方法などが挙げられる。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどを挙げることができる。活性エネルギー線、たとえば紫外線の照射強度や照射量は、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、透明保護フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。また加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、透明保護フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。
この接着剤により片面に透明保護フィルムが貼合された偏光フィルムは、一旦、巻き取り装置によって塩化ビニル管などのコアに巻き取られる。片面に保護フィルムを貼合しておくことにより、フィルムを巻き取っても、偏光フィルムが裂けるなどの問題はなくなる。巻き取りに先立って、透明保護フィルムが貼合された偏光フィルムの片面または両面に、さらに再剥離可能なプロテクトフィルムを貼合してもよい。次に、コアに巻き取られ、片面に保護フィルムが貼合された偏光フィルムは、その透明保護フィルムの貼合されていない面に位相差フィルムが貼合される。この面に上記の再剥離可能なプロテクトフィルムを貼合している場合には、このプロテクトフィルムは、位相差フィルムの貼合前に剥離される。
偏光フィルムと位相差フィルムとを貼合する方法は特に限定されないが、通常は、まず偏光フィルムまたは位相差フィルムの表面に粘着剤層が形成される。このような粘着剤層は、偏光フィルムまたは位相差フィルムに前記のようなベースポリマーを主体とする粘着剤溶液を塗布し乾燥する方法によって形成できるほか、離型処理が施された支持フィルム(セパレータ)の離型処理面に粘着剤層が形成されたもの(セパレータ付き粘着剤)を用意し、それを粘着剤層側で偏光フィルムまたは位相差フィルムの表面に貼り合わせる方法によっても形成できる。具体的には、たとえば、トルエンや酢酸エチルなどの有機溶媒に粘着剤を溶解または分散させて10〜40重量%の溶液を調製し、これを偏光フィルムまたは位相差フィルムの表面に直接塗布して乾燥させて粘着剤層を形成する方法が挙げられる。また、別の方法としては、先に前記のセパレータ上に粘着剤層を形成しておいた後、偏光フィルムまたは位相差フィルムに転写する方法などを採用することができる。このようにして形成された粘着剤層には、シリコーン系等の離型剤による処理が施された樹脂フィルムからなるセパレータを積層してもよい。
さらに、粘着剤層を偏光フィルムまたは位相差フィルムの表面に形成する際に、必要に応じて、偏光フィルムまたは位相差フィルムの粘着剤層形成面に密着性を向上させるための処理、たとえばコロナ処理などを施してもよく、同様の処理を偏光フィルムまたは位相差フィルムに貼り合わされる粘着剤層の表面に施してもよい。
偏光フィルムと位相差フィルムとの貼合は、従来から知られている技術により行なわれ、たとえば、貼合ロール等を用いて偏光フィルムの偏光透過軸に対して位相差フィルムの遅相軸が直交または平行となるように積層する方法や、偏光フィルムの偏光透過軸に対して位相差フィルムの遅相軸が所定の角度となるように貼合する方法により行なわれる。
以上に示される本発明の複合偏光板においては、その位相差フィルムの偏光フィルム側とは反対側の面に粘着剤層が設けられてもよい。かかる粘着剤層は、液晶セルなどの他の部材との貼合に好適に用いることができる。複合偏光板は、液晶セルへの貼合にあたっては、通常、その位相差フィルム側が液晶セルに向き合うように配置される。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上記複合偏光板が液晶セルの片面または両面に配置されてなる。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す断面模式図であり、液晶セルの両面に本発明の複合偏光板を配置した例を示している。図2に示される液晶表示装置は、液晶セル201と、該液晶セル201の下側に配置された、粘着剤層202b/位相差フィルム103/偏光フィルム101/透明保護フィルム102を備える上記本発明の複合偏光板と、液晶セル201の上側に配置された、同様に、粘着剤層202a/位相差フィルム103/偏光フィルム101/透明保護フィルム102を備える上記本発明の複合偏光板とを有する。両複合偏光板は、それぞれ位相差フィルム103側に配置された粘着剤層202a、202bを用いて液晶セルに貼合されている。本発明の液晶表示装置は、いずれかの透明保護フィルム102の外側に、図示しないバックライトを備える。ここで、図3に示されるように、それぞれの複合偏光板において、位相差フィルム103の遅相軸302と偏光フィルム101の吸収軸303が平行関係になっている。また、下側の複合偏光板における偏光フィルム101は、その吸収軸303が液晶セル201の長辺方向301に直交し、上側の複合偏光板における偏光フィルム101は、その吸収軸303が液晶セル201の長辺方向301に平行になるように構成されている。図2に示される構成の液晶表示装置は、液晶セルが横電界モードである場合に特に有効である。
本発明の液晶表示装置は、上記複合偏光板が液晶セルの片面または両面に配置されてなる。図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す断面模式図であり、液晶セルの両面に本発明の複合偏光板を配置した例を示している。図2に示される液晶表示装置は、液晶セル201と、該液晶セル201の下側に配置された、粘着剤層202b/位相差フィルム103/偏光フィルム101/透明保護フィルム102を備える上記本発明の複合偏光板と、液晶セル201の上側に配置された、同様に、粘着剤層202a/位相差フィルム103/偏光フィルム101/透明保護フィルム102を備える上記本発明の複合偏光板とを有する。両複合偏光板は、それぞれ位相差フィルム103側に配置された粘着剤層202a、202bを用いて液晶セルに貼合されている。本発明の液晶表示装置は、いずれかの透明保護フィルム102の外側に、図示しないバックライトを備える。ここで、図3に示されるように、それぞれの複合偏光板において、位相差フィルム103の遅相軸302と偏光フィルム101の吸収軸303が平行関係になっている。また、下側の複合偏光板における偏光フィルム101は、その吸収軸303が液晶セル201の長辺方向301に直交し、上側の複合偏光板における偏光フィルム101は、その吸収軸303が液晶セル201の長辺方向301に平行になるように構成されている。図2に示される構成の液晶表示装置は、液晶セルが横電界モードである場合に特に有効である。
本発明の液晶表示装置は、図2に示されるように、液晶セルの両面に本発明の複合偏光板を配置する構成であってもよいし、液晶セルの片面に本発明の複合偏光板を配置する構成であってもよい。後者の場合、本発明の複合偏光板が配置されない側には、別の偏光板を配置してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量または含有量を表す「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。なお、以下の例において、貯蔵弾性率は次の方法によって測定した。
[貯蔵弾性率の測定方法]
粘着剤の貯蔵弾性率(G’)は、測定対象の粘着剤からなる直径8mm×厚み1mmの円柱状の試験片を作製し、動的粘弾性測定装置(Dynamic Analyzer RDA II:REOMETRIC株式会社製)を用いて、周波数1Hzの捻りせん断法で初期歪み1Nとし、温度23℃または80℃の条件で測定を行なった。
粘着剤の貯蔵弾性率(G’)は、測定対象の粘着剤からなる直径8mm×厚み1mmの円柱状の試験片を作製し、動的粘弾性測定装置(Dynamic Analyzer RDA II:REOMETRIC株式会社製)を用いて、周波数1Hzの捻りせん断法で初期歪み1Nとし、温度23℃または80℃の条件で測定を行なった。
また、以下の実施例および比較例においては、粘着剤として、次のものを用いた。
(粘着剤A:高弾性粘着剤)
粘着剤Aは、アクリル酸ブチルとアクリル酸の共重合体にウレタンアクリレートオリゴマーが配合され、さらにイソシアネート系架橋剤が添加された粘着剤である。粘着剤Aの貯蔵弾性率を上記の方法で測定したところ、23℃において0.40MPa、80℃において0.18MPaであった。以下の実施例において、粘着剤Aは、上記組成の有機溶剤溶液を、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の離型処理面に塗工し、乾燥することにより、そのセパレータの表面に厚さ15μmの粘着剤Aの層が形成されたセパレータ付きシート状粘着剤として調製した。
(粘着剤A:高弾性粘着剤)
粘着剤Aは、アクリル酸ブチルとアクリル酸の共重合体にウレタンアクリレートオリゴマーが配合され、さらにイソシアネート系架橋剤が添加された粘着剤である。粘着剤Aの貯蔵弾性率を上記の方法で測定したところ、23℃において0.40MPa、80℃において0.18MPaであった。以下の実施例において、粘着剤Aは、上記組成の有機溶剤溶液を、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の離型処理面に塗工し、乾燥することにより、そのセパレータの表面に厚さ15μmの粘着剤Aの層が形成されたセパレータ付きシート状粘着剤として調製した。
(粘着剤B:低弾性粘着剤)
粘着剤Bは、市販のシート状粘着剤であり、ウレタンアクリレートオリゴマーは配合されていない。粘着剤Bの貯蔵弾性率を上記の方法で測定したところ、23℃において0.05MPa、80℃において0.04MPaであった。以下の実施例および比較例においては、粘着剤Bとして、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の離型処理面に厚さ15μmの粘着剤Bの層が設けられている市販のセパレータ付き粘着剤を使用した。
粘着剤Bは、市販のシート状粘着剤であり、ウレタンアクリレートオリゴマーは配合されていない。粘着剤Bの貯蔵弾性率を上記の方法で測定したところ、23℃において0.05MPa、80℃において0.04MPaであった。以下の実施例および比較例においては、粘着剤Bとして、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の離型処理面に厚さ15μmの粘着剤Bの層が設けられている市販のセパレータ付き粘着剤を使用した。
(粘着剤C:低弾性粘着剤)
粘着剤Cは、市販のシート状粘着剤であり、ウレタンアクリレートオリゴマーは配合されていない。粘着剤Cの貯蔵弾性率を上記の方法で測定したところ、23℃において0.10MPa、80℃において0.04MPaであった。以下の実施例および比較例においては、粘着剤Cとして、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の離型処理面に厚さ15μmの粘着剤Cの層が設けられている市販のセパレータ付き粘着剤を使用した。
粘着剤Cは、市販のシート状粘着剤であり、ウレタンアクリレートオリゴマーは配合されていない。粘着剤Cの貯蔵弾性率を上記の方法で測定したところ、23℃において0.10MPa、80℃において0.04MPaであった。以下の実施例および比較例においては、粘着剤Cとして、離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)の離型処理面に厚さ15μmの粘着剤Cの層が設けられている市販のセパレータ付き粘着剤を使用した。
<実施例1>
(a)片面透明保護フィルム付き偏光フィルムの作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上であるポリビニルアルコールからなる厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
(a)片面透明保護フィルム付き偏光フィルムの作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上であるポリビニルアルコールからなる厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
この偏光フィルムの片面に、表面にケン化処理を施した厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明保護フィルム)を、5重量%ポリビニルアルコール水溶液を接着剤として用いて貼合し、乾燥させて溶媒を除去し、片面に透明保護フィルムが貼合された偏光フィルムを得た。
(b)位相差フィルムの貼合
ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物からなるノルボルネン系樹脂フィルム〔(株)オプテス製の「ゼオノアフィルム」〕を縦一軸延伸した厚み80μmのフィルムを位相差フィルム前駆体とした。このフィルムのガラス転移温度は136℃であり、光弾性係数は3.1×10-12m2/N、波長590nmの光に対する面内位相差値は300nm、厚み方向の位相差値は145nmであった。この一軸延伸フィルムの両面に、それぞれ厚み25μmのアクリル系粘着剤層を介して収縮フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる、横延伸倍率が縦延伸倍率より大きい二軸延伸フィルム(厚み60μm))を貼り合わせた。その後、ピンテンターでフィルムの幅方向を保持しながら、175℃±1℃の空気循環式恒温オーブンおよび160℃±1℃の空気循環式恒温オーブンを順次通過させ、幅方向で0.70倍に収縮させた。このときの長手方向の収縮倍率は0.92倍であった。その後、両面に貼った収縮性フィルムを粘着剤層ごと剥がして、ノルボルネン系樹脂からなる位相差フィルムを得た。こうして得られた位相差フィルムは、厚み107μm、波長590nmの光に対する面内位相差値241.9nm、Nz係数0.49であった。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物からなるノルボルネン系樹脂フィルム〔(株)オプテス製の「ゼオノアフィルム」〕を縦一軸延伸した厚み80μmのフィルムを位相差フィルム前駆体とした。このフィルムのガラス転移温度は136℃であり、光弾性係数は3.1×10-12m2/N、波長590nmの光に対する面内位相差値は300nm、厚み方向の位相差値は145nmであった。この一軸延伸フィルムの両面に、それぞれ厚み25μmのアクリル系粘着剤層を介して収縮フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる、横延伸倍率が縦延伸倍率より大きい二軸延伸フィルム(厚み60μm))を貼り合わせた。その後、ピンテンターでフィルムの幅方向を保持しながら、175℃±1℃の空気循環式恒温オーブンおよび160℃±1℃の空気循環式恒温オーブンを順次通過させ、幅方向で0.70倍に収縮させた。このときの長手方向の収縮倍率は0.92倍であった。その後、両面に貼った収縮性フィルムを粘着剤層ごと剥がして、ノルボルネン系樹脂からなる位相差フィルムを得た。こうして得られた位相差フィルムは、厚み107μm、波長590nmの光に対する面内位相差値241.9nm、Nz係数0.49であった。
こうして得られた位相差フィルムに、照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、上記透明保護フィルム付き偏光フィルムの偏光フィルム面上に、粘着剤Aからなるセパレータ付きシート状粘着剤を用いて貼合し、本発明の複合偏光板を得た。こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮きやはがれ、気泡などはなく良好なものであった。
得られた複合偏光板の位相差フィルム面を粘着剤Bでソーダガラス(液晶セルの代わりとして使用)に固定し、50℃で20分間のオートクレーブ処理を施して複合偏光板をガラス板に密着させた。この状態で、−35℃の雰囲気に30分置き、次に+85℃の雰囲気に移して30分置くことを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返すヒートショック試験を行なった。実施例1の複合偏光板は、試験後にも欠陥は観察されず、良好な状態を維持していた。
<実施例2>
(a)片面透明保護フィルム付き偏光フィルムの作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上であるポリビニルアルコールからなる厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
(a)片面透明保護フィルム付き偏光フィルムの作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上であるポリビニルアルコールからなる厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート100部、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル25部、および光カチオン重合開始剤として4,4'−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)2.2部を混合した後、脱泡して、硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤Aを得た。なお、光カチオン重合開始剤は、50%プロピレンカーボネート溶液として配合した。
この偏光フィルムの片面に、表面にケン化処理を施した厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明保護フィルム)を、接着剤Aを用いて貼合した後、ベルトコンベア付き紫外線照射装置(ランプ:Fusion Dランプ、積算光量1000mJ/cm2)にて紫外線の照射を行ない、室温で1時間放置して、片面に透明保護フィルムを有する偏光フィルムとした。
(b)位相差フィルムの貼合
ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物からなるノルボルネン系樹脂フィルム〔(株)オプテス製の「ゼオノアフィルム」〕を縦一軸延伸した厚み80μmのフィルムを位相差フィルム前駆体とした。このフィルムのガラス転移温度は136℃であり、光弾性係数は3.1×10-12m2/N、波長590nmの光に対する面内位相差値は300nm、厚み方向の位相差値は145nmであった。この一軸延伸フィルムの両面に、それぞれ厚み25μmのアクリル系粘着剤層を介して収縮フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる、横延伸倍率が縦延伸倍率より大きい二軸延伸フィルム(厚み60μm))を貼り合わせた。その後、ピンテンターでフィルムの幅方向を保持しながら、175℃±1℃の空気循環式恒温オーブンおよび160℃±1℃の空気循環式恒温オーブンを順次通過させ、幅方向で0.70倍に収縮させた。このときの長手方向の収縮倍率は0.92倍であった。その後、両面に貼った収縮性フィルムを粘着剤層ごと剥がして、ノルボルネン系樹脂からなる位相差フィルムを得た。こうして得られた位相差フィルムは、厚み107μm、波長590nmの光に対する面内位相差値241.9nm、Nz係数0.49であった。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素添加物からなるノルボルネン系樹脂フィルム〔(株)オプテス製の「ゼオノアフィルム」〕を縦一軸延伸した厚み80μmのフィルムを位相差フィルム前駆体とした。このフィルムのガラス転移温度は136℃であり、光弾性係数は3.1×10-12m2/N、波長590nmの光に対する面内位相差値は300nm、厚み方向の位相差値は145nmであった。この一軸延伸フィルムの両面に、それぞれ厚み25μmのアクリル系粘着剤層を介して収縮フィルム(ポリプロピレン系樹脂からなる、横延伸倍率が縦延伸倍率より大きい二軸延伸フィルム(厚み60μm))を貼り合わせた。その後、ピンテンターでフィルムの幅方向を保持しながら、175℃±1℃の空気循環式恒温オーブンおよび160℃±1℃の空気循環式恒温オーブンを順次通過させ、幅方向で0.70倍に収縮させた。このときの長手方向の収縮倍率は0.92倍であった。その後、両面に貼った収縮性フィルムを粘着剤層ごと剥がして、ノルボルネン系樹脂からなる位相差フィルムを得た。こうして得られた位相差フィルムは、厚み107μm、波長590nmの光に対する面内位相差値241.9nm、Nz係数0.49であった。
こうして得られた位相差フィルムに、照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、上記透明保護フィルム付き偏光フィルムの偏光フィルム面上に、粘着剤Aからなるセパレータ付きシート状粘着剤を用いて貼合し、本発明の複合偏光板を得た。こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮きやはがれ、気泡などはなく良好なものであった。
<比較例1>
偏光フィルムと位相差フィルムとを貼合する粘着剤を、粘着剤Bに変更し、その他は実施例1と同様にして複合偏光板を得た。こうして得られた偏光板の外観は、フィルムの浮きやはがれ、気泡などはなく良好なものであった。
偏光フィルムと位相差フィルムとを貼合する粘着剤を、粘着剤Bに変更し、その他は実施例1と同様にして複合偏光板を得た。こうして得られた偏光板の外観は、フィルムの浮きやはがれ、気泡などはなく良好なものであった。
得られた複合偏光板の位相差フィルム面を粘着剤Bでソーダガラス(液晶セルの代わりとして使用)に固定し、50℃で20分間のオートクレーブ処理を施して複合偏光板をガラス板に密着させた。この状態で、−35℃の雰囲気に30分置き、次に+85℃の雰囲気に移して30分置くことを1サイクルとし、これを50サイクル繰り返すヒートショック試験を行った。比較例1の複合偏光板は、試験後に位相差フィルムとガラスの間の粘着剤層に気泡が発生し、実用に足るものではなかった。
<比較例2>
偏光フィルムと位相差フィルムとを貼合する粘着剤を、粘着剤Cに変更し、その他は実施例1と同様にして複合偏光板を得た。こうして得られた偏光板の外観は良好なものであった。
偏光フィルムと位相差フィルムとを貼合する粘着剤を、粘着剤Cに変更し、その他は実施例1と同様にして複合偏光板を得た。こうして得られた偏光板の外観は良好なものであった。
得られた複合偏光板の位相差フィルム面を粘着剤Bでソーダガラス(液晶セルの代わりとして使用)に固定し、50℃で20分間のオートクレーブ処理を施して複合偏光板をガラス板に密着させた。この状態で、−35℃の雰囲気に30分置き、次に+85℃の雰囲気に移して30分置くことを1サイクルとし、これを50サイクル繰り返すヒートショック試験を行った。比較例2の複合偏光板は、試験後に位相差フィルムとガラスの間の粘着剤層に気泡が発生し、実用に足るものではなかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の複合偏光板は、種々の液晶表示装置における光学部材として広く利用され得るものであり、たとえば、テレビ等の大型液晶表示装置や、コンピュータ用ディスプレイ、カーナビ、携帯電話、携帯端末機器等に用いられる中小型液晶表示装置における光学部材として利用され得るものである。
100 複合偏光板、101 偏光フィルム、102 透明保護フィルム、103 位相差フィルム、104 接着剤層、105,202a,202b 粘着剤層、201 液晶セル、301 液晶セルの長辺方向、302 位相差フィルムの遅相軸、303 偏光フィルムの吸収軸。
Claims (5)
- 偏光フィルムと
前記偏光フィルムの一方の面に、接着剤層を介して積層された透明保護フィルムと、
前記偏光フィルムの他方の面に、粘着剤層を介して積層された位相差フィルムと、を備える複合偏光板であって、
前記位相差フィルムは、その面内遅相軸方向、面内進相軸方向および厚み方向の屈折率をそれぞれnx、nyおよびnzとし、厚みをd(nm)とするとき、波長590nmの光に対して下記式(1)を満たし、かつ、下記式(2)を満たす、オレフィン系樹脂からなるフィルムであり、
前記粘着剤層は、80℃の温度において0.1MPa以上の貯蔵弾性率を示す高弾性粘着剤からなる複合偏光板。
150nm≦(nx−ny)×d≦300nm (1)
0.2≦(nx−nz)/(nx−ny)≦0.6 (2) - 前記オレフィン系樹脂は、脂環式オレフィンから誘導される構成単位を主に含む樹脂である請求項1に記載の複合偏光板。
- 前記位相差フィルムの厚みは、20〜300μmである請求項1または2に記載の複合偏光板。
- 前記粘着剤層の厚みは、1〜40μmである請求項1〜3のいずれかに記載の複合偏光板。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の複合偏光板が、液晶セルの片面または両面に配置されてなる液晶表示装置。
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-
2008
- 2008-08-12 JP JP2008208083A patent/JP2009271490A/ja not_active Withdrawn
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