JP2009294502A - 複合偏光板およびそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】偏光フィルムの一方の面に透明保護フィルムが積層され、他方の面には、スチレン系樹脂からなるコア層の両面にゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層を有する3層構造の位相差フィルムが積層された構造であって、偏光フィルムと位相差フィルムとの間の接着力が高められた複合偏光板を提供する。
【解決手段】本発明の複合偏光板は、偏光フィルムの一方の面に第1の接着剤層を介して透明保護フィルムが積層され、偏光フィルムの他方の面に第2の接着剤層を介して位相差フィルムが積層されてなり、該位相差フィルムは、スチレン系樹脂からなるコア層の両面に、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層が形成された3層構造であり、前記第2の接着剤層が2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤からなることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の複合偏光板は、偏光フィルムの一方の面に第1の接着剤層を介して透明保護フィルムが積層され、偏光フィルムの他方の面に第2の接着剤層を介して位相差フィルムが積層されてなり、該位相差フィルムは、スチレン系樹脂からなるコア層の両面に、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層が形成された3層構造であり、前記第2の接着剤層が2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤からなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、偏光フィルムの片面に透明保護フィルムが、他面には位相差フィルムがそれぞれ貼合された複合偏光板に関する。より詳しくは、コア層を(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層で挟んだ3層構造を有する位相差フィルムのスキン層と偏光フィルムとの接着性に優れた複合偏光板およびそれを用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量で薄型であるなどの特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。液晶表示装置は、液晶セル、偏光フィルム、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、光反射シートなど、多くの材料から構成されている。そのため、構成フィルムの枚数を減らしたり、フィルムまたはシートの厚さを薄くしたりすることで、生産性や軽量化、明度の向上などを目指した改良が盛んに行われている。
さらに、液晶表示装置は厳しい耐久条件にも耐えうる製品が必要とされている。例えば、カーナビゲーションシステム用の液晶表示装置は、それが置かれる車内の温度や湿度が非常に高くなることがあり、また、携帯電話、携帯端末機器等のディスプレイやテレビ、コンピュータ用のディスプレイ等においても、それらの使用環境や設置場所によっては、温度および湿度の変化が激しい条件に曝される場合があるため、そのような厳しい条件の使用にも耐え得る製品性能が求められる。
偏光板は通常、偏光フィルムの両面または片面に透明な保護フィルムが積層された構造になっている。例えば、偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに一軸延伸と二色性色素による染色を行った後、ホウ酸処理して架橋反応を起こさせ、次いで水洗、乾燥する方法により製造されている。二色性色素としては、ヨウ素または二色性有機染料が用いられる。このようにして得られる偏光フィルムの両面または片面に保護フィルムを積層して偏光板とされ、液晶表示装置に組み込まれて使用される。保護フィルムには、トリアセチルロースに代表されるセルロースアセテート系樹脂フィルムが多く使用されており、その厚みは通例30〜120μm程度である。また、保護フィルムの積層には、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を用いることが多い。
二色性色素が吸着配向している偏光フィルムの両面または片面に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介してトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを積層した偏光板は、湿熱条件下で長時間使用した場合に、偏光性能が低下したり、保護フィルムと偏光フィルムが剥離しやすかったりする問題がある。
そこで、少なくとも一方の保護フィルムを、セルロースアセテート系以外の樹脂で構成する試みがある。例えば、特開平8−43812号公報(特許文献1)には、偏光フィルムの両面に保護フィルムを積層した偏光板において、その保護フィルムの少なくとも一方を、位相差フィルムの機能を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂で構成することが記載されている。また、特開平9−325216号公報(特許文献2)には、偏光板の保護層のうち少なくとも一方を複屈折性のフィルムで構成することが記載されている。
一方、スチレン系樹脂フィルムは、スチレン系樹脂の主鎖の分極率よりも側鎖の分極率が大きい(負に分極するということがある)ため、厚さ方向の屈折率が大きい負の位相差フィルムとして検討されている。しかし、スチレン系樹脂フィルムには、耐熱性、機械強度および耐薬品性に課題があり、実用化には至っていない。また、偏光フィルムの保護フィルムとして用いるには、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介して偏光フィルムと接着する限り、熱可塑性ノルボルネン系樹脂であっても、スチレン系樹脂であっても、前記の問題が生じる懸念がある。
ここで、厚さ方向の屈折率が大きい負の位相差フィルムとは、面内の最大屈折率方向(遅相軸方向)の屈折率をnx、面内でそれと直交する方向(進相軸方向)の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnzとしたとき、nz≒nx>nyの関係を有し、(nx−nz)/(nx−ny)で定義されるNz係数が概ね0(ゼロ)のフィルムである。
スチレン系樹脂の耐熱性については、ガラス転位温度(以下、Tgと略すことがある)の高い樹脂を形成するモノマー、例えば、ノルボルネンや無水マレイン酸を共重合させることで、改善されることが知られているが、機械強度や耐薬品性は十分でない。
スチレンに他のモノマーを共重合させたり、あるいはスチレン系フィルムに他の樹脂層を積層したりする技術も多数提案されている。例えば、特表2002−517583号公報(特許文献3)には、スチレンを代表例とする芳香族ビニルモノマーとα−オレフィンとの本質的にランダムな共重合体をフィルムにすることが記載されており、そのフィルムと他のポリマー層との多層構造にすることも示唆されている。また、特開2003−50316号公報(特許文献4)や特開2003−207640号公報(特許文献5)には、スチレンを代表例とする芳香族ビニルモノマーに非環状オレフィンモノマーおよび環状オレフィンモノマーを共重合させた三元共重合体を位相差フィルムにすることが記載されている。さらに、特開2003−90912号公報(特許文献6)には、ノルボルネン系樹脂からなる配向フィルムとスチレン−無水マレイン酸共重合樹脂からなる配向フィルムとを、接着層を介して積層し、位相差フィルムにすることが記載されており、特開2004−167823号公報(特許文献7)には、ポリオレフィン系の多層フィルムにポリスチレン系のシートを積層することが記載されている。さらにまた、特開2006−192637号公報(特許文献8)には、スチレン系樹脂フィルムからなる第1層と、ゴム粒子が配合されたアクリル系樹脂組成物からなる第2層とを、接着剤層を介さずに積層して位相差フィルムとすることが記載されている。
特開平8−43812号公報
特開平9−325216号公報
特表2002−517583号公報
特開2003−50316号公報
特開2003−207640号公報
特開2003−90912号公報
特開2004−167823号公報
特開2006−192637号公報
本発明者らは、前記特許文献8に開示されるような多層構造の位相差フィルム、特に、スチレン系樹脂からなるコア層の両面をアクリル系樹脂組成物からなるスキン層で挟んだ構造の位相差フィルムを、偏光フィルムの片面に保護フィルムとしての機能を兼ねる層として配置した複合偏光板を開発すべく鋭意検討を行ってきた。その中で、従来の偏光フィルムにおいてポリビニルアルコール系偏光フィルムとセルロースアセテート系保護フィルムとの接着に用いられている接着剤では、偏光フィルムと前記のようなスキン層を有する位相差フィルムとが、十分な強度で接着しないことが明らかになってきた。
したがって、本発明の目的は、偏光フィルムの一方の面に透明保護フィルムが積層され、他方の面には、スチレン系樹脂からなるコア層の両面にゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層を有する3層構造の位相差フィルムが積層された構造であって、偏光フィルムと位相差フィルムとの間の接着力が高められた複合偏光板を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤を用いることで、位相差フィルムと偏光フィルムとを一体化できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の複合偏光板は、偏光フィルムの一方の面に第1の接着剤層を介して透明保護フィルムが積層され、偏光フィルムの他方の面に第2の接着剤層を介して位相差フィルムが積層されてなり、該位相差フィルムは、スチレン系樹脂からなるコア層の両面に、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層が形成された3層構造であり、前記第2の接着剤層が2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤組成物の硬化物層から形成されていることを特徴とする。この特定の接着剤を偏光フィルムと位相差フィルム間の接着に用いることにより、その密着力が極めて良好に向上し、耐候性に優れる複合偏光板となる。
本発明において、上記2−シアノアクリル酸エステルモノマーは、下記一般式(I)で示される化合物であることが好ましい。
CH2=C(CN)−COO−R (I)
(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す)。
(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す)。
また、上記一般式(1)において、Rは、置換もしくは非置換のアルキル基であることが好ましく、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基である。
また、本発明に用いる接着剤組成物は、溶剤成分を実質的に含まない無溶剤型の組成物からなることが好ましい。
また、本発明に用いる位相差フィルムのコア層の膜厚は10〜100μmであるのが好ましく、スキン層の膜厚は10〜100μmであることが好ましい。
また、位相差フィルムのコア層はガラス転位温度が120℃以上であるスチレン系樹脂から構成されることが好ましく、スキン層はガラス転位温度が120℃以下である(メタ)アクリル系樹脂から構成されることが好ましい。
さらに、本発明によれば、液晶セルの少なくとも一方の面に、前記したいずれかの複合偏光板が配置された液晶表示装置も提供される。ここで複合偏光板は、その位相差フィルム側が液晶セルに面するように配置される。
また、本発明の光学補償機能を有する複合偏光板は、前記液晶セルがIPSセルであるIPS(In−Plane−Switching)モードの液晶表示装置に特に有利に用いることができる。
本発明の複合偏光板は、スチレン系樹脂からなるコア層の両面にゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層が形成された3層構造の位相差フィルムが、偏光フィルムの片面に積層されており、かつ偏光フィルムと前記位相差フィルムのスキン層とが十分な接着強度で接合したものとなる。また、外観不良などの問題を起こすこともない。この複合偏光板を用いた液晶表示装置も、偏光フィルムと位相差フィルムが十分な強度で接着しているので、耐久性に優れたものとなる。
また、本発明における2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤として、溶剤成分を実質的に含まない無溶剤型の組成物を用いた場合には、無溶剤型であることにより乾燥・養生の工程が短縮できるため、製造工程が短縮され複合偏光板の生産性を向上させることができる。
以下、適宜添付の図面も参照しながら、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明による複合偏光板の層構成の例を示す断面模式図である。本発明の複合偏光板は、図1に示すように、偏光フィルム10の一方の面に、第1の接着剤層41を介して透明保護フィルム20が積層され、偏光フィルム10の他方の面には、2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする第2の接着剤層42を介して位相差フィルム30が積層されたものである。位相差フィルム30は、スチレン系樹脂からなるコア層31の両面に、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層32,32が形成された3層構造を有する。位相差フィルム30の偏光フィルム10に貼り合わされた面と反対側の面には、液晶セルなどの他部材に貼り合わせるための粘着剤層50が設けられることが多く、その場合は他部材への貼合まで粘着剤層50の表面を仮着保護するセパレーター55を設けるのが通例である。なお図1では、わかりやすくするために一部の層を離間して示しているが、実際には隣り合う各層が密着貼合されていることになる。
[偏光フィルム]
偏光フィルム10は、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものである。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着・配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性の染料を吸着・配向させた染料系偏光フィルム、リオトロピック液晶状態の二色性染料をコーティングし、配向・固定化した塗布型偏光フィルムなどが挙げられる。これら、ヨウ素系偏光フィルム、染料系偏光フィルム及び塗布型偏光フィルムは、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を吸収する機能を有するもので、吸収型偏光フィルムと呼ばれている。本発明に用いる偏光フィルムは、前述した吸収型偏光フィルムだけでなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を反射又は散乱する機能を有する反射型偏光フィルムとか散乱型偏光フィルムと呼ばれているものでも構わない。また、ここで具体的に挙げた偏光フィルムは、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものであればよい。これらの偏光フィルムの中でも、視認性に優れている吸収型偏光フィルムを用いるのが好ましく、その中でも、偏光度及び透過率に優れるヨウ素系偏光フィルムを偏光フィルムとして用いるのが、最も好ましい。
偏光フィルム10は、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものである。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着・配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性の染料を吸着・配向させた染料系偏光フィルム、リオトロピック液晶状態の二色性染料をコーティングし、配向・固定化した塗布型偏光フィルムなどが挙げられる。これら、ヨウ素系偏光フィルム、染料系偏光フィルム及び塗布型偏光フィルムは、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を吸収する機能を有するもので、吸収型偏光フィルムと呼ばれている。本発明に用いる偏光フィルムは、前述した吸収型偏光フィルムだけでなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を反射又は散乱する機能を有する反射型偏光フィルムとか散乱型偏光フィルムと呼ばれているものでも構わない。また、ここで具体的に挙げた偏光フィルムは、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものであればよい。これらの偏光フィルムの中でも、視認性に優れている吸収型偏光フィルムを用いるのが好ましく、その中でも、偏光度及び透過率に優れるヨウ素系偏光フィルムを偏光フィルムとして用いるのが、最も好ましい。
上記偏光フィルムに用いるポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと、これと共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98〜100モル%である。ポリビニルアルコール系樹脂はさらに変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜10,000程度である。
前記のポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に限定されないが、たとえば、2μm〜150μm程度である。
前記の偏光フィルムは、通常、前記したようなポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの水分を調整する調湿工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、および、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行なってもよいし、該染色と同時に行なってもよいし、該染色の後に行なってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行なってもよいし、ホウ酸処理中に行なってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行なうなどの乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。上記水洗後、乾燥して得られる偏光フィルムの厚みは、たとえば、1〜50μm程度とすることができる。
[透明保護フィルム]
偏光フィルム10の一方の面に積層される透明保護フィルム20は、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れるものが好ましい。透明保護フィルム20を形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、アクリロニトリル/エチレン/スチレン共重合体、スチレン/マレイミド共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などのスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。また、ノルボルネン系樹脂をはじめとする環状オレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体などの非環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂、芳香族ポリイミドやポリイミドアミドなどのイミド系樹脂、スルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはこれらの樹脂のブレンド物からなる高分子フィルムなども、透明保護フィルム20として用いることができる。これらの中でも、偏光フィルムとの接着の容易さなどを考慮すると、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、またはオレフィン系樹脂であることが好ましい。透明保護フィルム20は、偏光フィルム10との貼合に先立って、ケン化処理、コロナ処理、プラズマ処理などを施しておくことが望ましい。
偏光フィルム10の一方の面に積層される透明保護フィルム20は、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れるものが好ましい。透明保護フィルム20を形成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、アクリロニトリル/エチレン/スチレン共重合体、スチレン/マレイミド共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体などのスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられる。また、ノルボルネン系樹脂をはじめとする環状オレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体などの非環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂、芳香族ポリイミドやポリイミドアミドなどのイミド系樹脂、スルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ビニルブチラール系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはこれらの樹脂のブレンド物からなる高分子フィルムなども、透明保護フィルム20として用いることができる。これらの中でも、偏光フィルムとの接着の容易さなどを考慮すると、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、またはオレフィン系樹脂であることが好ましい。透明保護フィルム20は、偏光フィルム10との貼合に先立って、ケン化処理、コロナ処理、プラズマ処理などを施しておくことが望ましい。
透明保護フィルム20の膜厚は、適宜に決定しうるが、一般には強度や、取り扱い性を含む作業性などの点より、1〜500μm程度である。より好ましくは、10〜200μm、さらに好ましくは20〜100μmである。前記の範囲であれば、偏光フィルム10を機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光フィルム10が収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
[位相差フィルム]
偏光フィルム10のもう一方の面に積層される位相差フィルム30は、そのコア層31がスチレン系樹脂からなり、その両面に、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層32が形成されたものである。
偏光フィルム10のもう一方の面に積層される位相差フィルム30は、そのコア層31がスチレン系樹脂からなり、その両面に、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層32が形成されたものである。
コア層31を構成するスチレン系樹脂は、スチレンまたはその誘導体の単独重合体であることができるほか、スチレンもしくはその誘導体と他の共重合性モノマーとの、二元またはそれ以上の共重合体であることもできる。ここで、スチレン誘導体とは、スチレンに他の基が結合した化合物であって、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンのようなアルキルスチレンや、ヒドロキシスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニル安息香酸、o−クロロスチレン、p−クロロスチレンのような、スチレンのベンゼン核に水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲンなどが導入された置換スチレンなどが挙げられる。前記特許文献4や特許文献5に開示されるような三元共重合体も、用いることができる。スチレン系樹脂は、スチレンまたはスチレン誘導体と、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレートおよびブタジエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体であることが好ましい。コア層のスチレン系樹脂は、耐熱性のもので構成するのが好ましく、一般にそのTgは100℃以上である。スチレン系樹脂のより好ましいTgは、120℃以上である。
スチレン系樹脂からなるコア層31は、その厚みが10〜100μmとなるように設定することが望ましい。その厚みが10μm未満では、延伸によって十分なレターデーション値が発現しにくいことがある。一方、その厚みが100μmを越えると、フィルムの衝撃強度が弱くなりやすいとともに、外部応力によるレターデーション変化が大きくなる傾向にあり、液晶表示装置に適用したときに白抜けなどが発生しやすくなり、表示性能が低下しやすい。
スチレン系樹脂からなるコア層31は、その厚みが10〜100μmとなるように設定することが望ましい。その厚みが10μm未満では、延伸によって十分なレターデーション値が発現しにくいことがある。一方、その厚みが100μmを越えると、フィルムの衝撃強度が弱くなりやすいとともに、外部応力によるレターデーション変化が大きくなる傾向にあり、液晶表示装置に適用したときに白抜けなどが発生しやすくなり、表示性能が低下しやすい。
前記のスチレン系樹脂からなるコア層31の両面に配置されるスキン層32は、(メタ)アクリル系樹脂にゴム粒子が配合されている(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる。ここで、(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルキルエステルの単独重合体や、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体などが挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルとして具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルなどが、またアクリル酸アルキルエステルとして具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピルなどが挙げられる。このような(メタ)アクリル系樹脂には、汎用の(メタ)アクリル系樹脂として市販されているものが使用できる。なお、(メタ)アクリル系樹脂の中には、耐衝撃(メタ)アクリル系樹脂と呼ばれるもの、また、主鎖中にグルタル酸無水物構造やラクトン環構造を有する高耐熱(メタ)アクリル系樹脂と呼ばれるものも含まれる。
(メタ)アクリル系樹脂に配合されるゴム粒子は、アクリル系のものが好ましい。アクリル系ゴム粒子とは、アクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシルのようなアクリル酸アルキルエステルを主成分とし、多官能モノマーの存在下に重合させて得られるゴム弾性を有する粒子である。このようなゴム弾性を有する粒子が単層で形成されたものでもよいし、ゴム弾性層を少なくとも1層有する多層構造体であってもよい。多層構造のアクリル系ゴム粒子としては、前記のようなゴム弾性を有する粒子を核とし、その周りを硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体で覆ったもの、硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体を核とし、その周りを前記のようなゴム弾性を有するアクリル系重合体で覆ったもの、また硬質の核の周りを、ゴム弾性を有するアクリル系重合体で覆い、さらにその周りを硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体で覆ったものなどが挙げられる。これらのゴム粒子は、弾性層で形成される粒子の平均直径が通常50〜400nm程度の範囲にある。
スキン層32を構成する(メタ)アクリル系樹脂組成物における前記ゴム粒子の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部あたり、通常5〜50重量部程度である。(メタ)アクリル系樹脂およびアクリル系ゴム粒子は、それらを混合した状態で市販されているので、その市販品を用いることができる。アクリル系ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂の市販品の例として、住友化学(株)から販売されている「HT55X」や「テクノロイ S001」などが挙げられる。このような(メタ)アクリル系樹脂組成物は、一般に160℃以下のTgを有するが、その好ましいTgは120℃以下、さらには110℃以下である。
ゴム粒子、好ましくはアクリル系ゴム粒子、が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層32は、その厚みが10〜100μmとなるようにすることが望ましい。その厚みを10μm未満にしようとすると、製膜が難しくなる傾向にある。一方、厚みが100μmを越えると、この(メタ)アクリル系樹脂層のレターデーションが無視できなくなる傾向にある。
前記のとおり、本発明で使用する位相差フィルム30において、スチレン系樹脂からなるコア層31は、そのTgが120℃以上であるのが好ましく、一方、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層32は、そのTgが120℃以下、さらには110℃以下であるのが好ましい。両者のTgが重ならず、コア層31のほうが、スキン層32よりも高いTgを有するようにするのが好ましい。
本発明に使用される位相差フィルム30を製造するには、例えば、スチレン系樹脂と、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂とを共押出し、その後延伸すればよい。その他、それぞれ単層のフィルムを作製した後で、ヒートラミネーションにより熱融着させ、それを延伸する方法も可能である。
この位相差フィルム30においては、スチレン系樹脂からなるコア層31の両面に、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層32,32が形成された3層構造とされる。この3層構造において、両面に配置されるスキン層32,32は通常、ほぼ同じ厚みとされる。このように3層構造とすることにより、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層32,32が保護層として働き、機械強度や耐薬品性に優れたものとなる。
以上のように構成される位相差フィルム30は、延伸により面内レターデーションが付与される。延伸は、公知の縦一軸延伸やテンター横一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸などで行うことができ、所望とするレターデーション値が得られるように延伸すればよい。
なお、本発明においては、樹脂多層フィルムを構成する第1層および第2層の厚みを規定しているが、これは延伸前の値であって、延伸後の位相差フィルムにおいては、各層の厚みの下限が前記した値をやや下回ってもよい。ただ、延伸後も前記範囲の厚みを有するようにするのが一層好ましい。
[偏光フィルムと位相差フィルムの接着を担う第2の接着剤層]
本発明において、第2の接着剤層とは、上記偏光フィルムと上記位相差フィルムとの接着を担う層であり、本発明においては、これらのフィルムの接着に、2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤組成物を用いる。ここで、主成分とするとは、接着剤組成物中の2−シアノアクリル酸エステルモノマーの含有量が50重量%以上であることを意味する。
本発明において、第2の接着剤層とは、上記偏光フィルムと上記位相差フィルムとの接着を担う層であり、本発明においては、これらのフィルムの接着に、2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤組成物を用いる。ここで、主成分とするとは、接着剤組成物中の2−シアノアクリル酸エステルモノマーの含有量が50重量%以上であることを意味する。
本発明で用いる2−シアノアクリル酸エステルモノマーは、下記一般式(I)で示される化合物であることが好ましく、式中、Rは置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニルまたはアリール基を表す。
CH2=C(CN)−COO−R (I)
2−シアノアクリル酸エステルモノマーは、瞬間接着剤の主成分として広く用いられており、被着体の表面にある微量の水分により急速にアニオン重合し、極めて強度の高い接着力で、被着体を接着することができる。
2−シアノアクリル酸エステルモノマーは、瞬間接着剤の主成分として広く用いられており、被着体の表面にある微量の水分により急速にアニオン重合し、極めて強度の高い接着力で、被着体を接着することができる。
式(I)において、Rは、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基またはアリール基(芳香族基)を表し、それぞれ置換基を有していてもよい。Rで示されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ノニル、デシルなどの直鎖アルキル;イソプロピル、イソブチル、イソアミル、2−エチルヘキシル、1−ヘプチルデシル、1−ヘキシルノニルなどの分枝アルキルが挙げられる。アルケニル基としては、アリルのほか、1−エチルアリル、1−ブチルアリルなどのアリル誘導基が挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。またアリール基としては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。
従来知られている2−シアノアクリル酸エステルとしては、メチル 2−シアノアクリレート、エチル 2−シアノアクリレート、プロピル 2−シアノアクリレート、イソプロピル 2−シアノアクリレート、イソブチル 2−シアノアクリレート等のアルキル基を有する2−シアノアクリレート、シクロペンチル 2−シアノアクリレート、シクロヘキシル 2−シアノアクリレート、シクロヘプチル 2−シアノアクリレート等のシクロアルキル基を有する2−シアノアクリレート、アリル 2−シアノアクリレート、プロパルギル 2−シアノアクリレート、ベンジル 2−シアノアクリレート等の不飽和基あるいは芳香族基を有する2−シアノアクリレート、2−クロロエチル 2−シアノアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル 2−シアノアクリレート、2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エチル 2−シアノアクリレート等のハロゲンを有する2−シアノアクリレート、2−メトキシエチル 2−シアノアクリレート、2−エトキシエチル 2−シアノアクリレート等のアルコキシアルキル基を有する2−シアノアクリレートなどが挙げられ、これらの2−シアノアクリル酸エステルは1種類にとどまらず2種以上を混合使用することもできる。
これらの中では、アルキル基を有する2−シアノアクリレートが瞬間接着性、保存安定性及び接着耐熱性の観点から好ましく、さらに好ましくはメチル 2−シアノアクリレート、エチル 2−シアノアクリレート、プロピル 2−シアノアクリレート、イソプロピル 2−シアノアクリレートである。
前記の2−シアノアクリレートは空気中または物質の表面に存在する水分により重合しやすい不安定な化合物であるが、硬化促進剤、アニオン重合防止剤、ラジカル重合防止剤、増粘剤、密着性向上剤、揺変剤、着色剤、熱安定剤、軟化剤、充填剤、香料、染料、顔料または溶剤等の各種添加剤を加えることでより安定に使用することができる。
硬化促進剤としては、ポリエチレングリコールもしくはその誘導体、クラウンエーテルもしくはその誘導体、カリックスアレーンもしくはその誘導体またはシクロデキストリンもしくはその誘導体等の、2−シアノアクリレートに安定に配合できかつアニオン重合を促進する添加剤が挙げられる。
アニオン重合防止剤は、保存容器中の水分等によるアニオン重合を防止する目的で添加され、具体的には二酸化硫黄、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸、サルトン酸、三フッ化ホウ素錯体、フッ化ホウ素酸またはトリアルキルボレート等が挙げられる。
ラジカル重合防止剤は、貯蔵中の光等によるラジカル重合を防止する目的で添加され、具体的にはハイドロキノンまたはハイドロキノンモノメチルエーテル等が挙げられる。
この様な重合防止剤の適当な添加量は、各重合防止剤の種類により多少異なるが、一般的にはそれぞれ1〜10000ppmの範囲が好ましい。
増粘剤としては、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステルの単独重合もしくは共重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、セルロースエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体またはポリ(2−シアノアクリレート)等が挙げられる。
また、耐熱性や耐久性をより向上させるために、アルキレングリコール類の両末端を2−シアノアクリル酸や2−シアノ−2,4−ペンタジエン酸のエステルとした架橋剤を添加することもできる。
さらに、前記の2−シアノアクリル酸エステルは、それ自身単独で、または他のビニルモノマーとの混合物のラジカル重合あるいはアニオン重合により、単独重合体または共重合体とし、溶剤に溶解して接着剤として使用することも可能である。
偏光フィルムと位相差フィルムの積層は、例えば、被着物である偏光フィルム又は位相差フィルムの表面に上記の接着剤を均一に塗布し、その塗布面にもう一方の被着物である位相差フィルム又は偏光フィルムを重ねてロールなどにより貼合する方法により行うことができる。位相差フィルムの貼合面には乾式表面改質処理、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理を施すことができる。
さらに、偏光フィルムに、プライマー処理、コロナ処理などの易接着処理を行ってもよい。プライマーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、変性オレフィン系樹脂等が挙げられる。
[偏光フィルムと透明保護フィルムの接着を担う第1の接着剤層]
偏光フィルムと透明保護フィルムの接着を担う第1の接着剤層は、前記したような偏光フィルムと位相差フィルムの間の接着剤(第2の接着剤層)と同種の接着剤を用いても、以下に述べるような異種の接着剤を用いてもかまわない。透明保護フィルムと偏光フィルムとの接着には、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを成分とする接着剤を用いることができる。接着剤層を薄くする観点から好ましい接着剤として、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたは水に分散させたものを挙げることができる。また、別の好ましい接着剤として、無溶剤型の接着剤、具体的には、加熱や活性エネルギー線の照射によりモノマー又はオリゴマーを反応硬化させて接着剤層を形成するものを挙げることができる。
偏光フィルムと透明保護フィルムの接着を担う第1の接着剤層は、前記したような偏光フィルムと位相差フィルムの間の接着剤(第2の接着剤層)と同種の接着剤を用いても、以下に述べるような異種の接着剤を用いてもかまわない。透明保護フィルムと偏光フィルムとの接着には、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂などを成分とする接着剤を用いることができる。接着剤層を薄くする観点から好ましい接着剤として、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたは水に分散させたものを挙げることができる。また、別の好ましい接着剤として、無溶剤型の接着剤、具体的には、加熱や活性エネルギー線の照射によりモノマー又はオリゴマーを反応硬化させて接着剤層を形成するものを挙げることができる。
まず、水系の接着剤について説明する。水系の接着剤となりうる接着剤成分としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、水溶性の架橋性エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂などを挙げることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、水系接着剤として用いられる種々公知の樹脂を用いることができる。
水溶性の架橋性エポキシ系樹脂としては、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ系樹脂を挙げることができる。このようなポリアミドエポキシ系樹脂の市販品としては、住化ケムテックス(株)から販売されている「スミレーズレジン 650」や「スミレーズレジン 675」などがある。
接着剤成分として水溶性の架橋性エポキシ系樹脂を用いる場合は、さらに塗工性と接着性を向上させるために、ポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を混合するのが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。中でも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸またはその塩との共重合体のケン化物、すなわち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。なお、ここでいう「カルボキシル基」とは、−COOHおよびその塩を含む概念である。
市販されている好適なカルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、それぞれ(株)クラレから販売されている「クラレポバール KL-506」、「クラレポバール KL-318」および「クラレポバール KL-118」、それぞれ日本合成化学工業(株)から販売されている「ゴーセナール(登録商標) T-330」および「ゴーセナール(登録商標) T-350」、電気化学工業(株)から販売されている「DR-0415」、それぞれ日本酢ビ・ポバール(株)から販売されている「AF-17」、「AT-17」および「AP-17」などが挙げられるが、ここで具体的に挙げたカルボキシル基変性ポリビニルアルコールは、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、同様の性能を有するカルボキシル基変性ポリビニルアルコールであればよい。
水溶性の架橋性エポキシ系樹脂を含む接着剤とする場合、その架橋性エポキシ系樹脂および必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂などの他の水溶性樹脂を水に溶解して、接着剤溶液を構成する。この場合、水溶性の架橋性エポキシ系樹脂は、水100重量部あたり0.2〜2重量部程度の範囲の濃度とするのが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その量は、水100重量部あたり1〜10重量部程度、さらには1〜5重量部程度とするのが好ましい。
一方、ウレタン系樹脂を含む水系の接着剤を用いる場合、適当なウレタン樹脂の例として、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を挙げることができる。ここで、アイオノマー型とは、骨格を構成するウレタン樹脂中に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。このようなアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品として、例えば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドラン(登録商標) AP-20」、「ハイドラン(登録商標) APX-101H」などがあり、いずれもエマルジョンの形で入手できる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、通常はさらにイソシアネート系などの架橋剤を配合するのが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、その例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのようなポリイソシアネート単量体のほか、それらの複数分子がトリメチロールプロパンのような多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体のようなポリイソシアネート変性体などがある。好適に使用しうる市販のイソシアネート系架橋剤として、例えば、大日本インキ化学工業(株)から販売されている「ハイドラン(登録商標)アシスター C-1」などが挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤を用いる場合は、粘度と接着性の観点から、そのウレタン樹脂の濃度が10〜70重量%程度、さらには20重量%以上、また50重量%以下となるように、水中に分散させたものが好ましい。イソシアネート系架橋剤を配合する場合は、ウレタン樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100重量部程度となるように、その配合量を適宜選択すればよい。
以上のような水系の接着剤を、透明保護フィルムおよび/または偏光フィルム、の接着面に塗布し、両者を貼り合わせて、偏光フィルムとすることができる。偏光フィルムと透明保護フィルムを貼合する方法は特に限定されるものではなく、例えば、ポリビニルアルコール系偏光フィルムまたは透明保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。乾燥は、例えば、60〜100℃程度の温度で行われる。乾燥後は、室温よりやや高い温度、例えば30〜50℃程度の温度で1〜10日間程度養生することが、接着力を一層高めるうえで好ましい。
次に、無溶剤型の接着剤について説明する。無溶剤型の接着剤とは、有意量の溶剤を含まず、一般には、加熱や活性エネルギー線の照射により重合する硬化性の化合物と、重合開始剤とを含んで構成される。反応性の観点からは、カチオン重合で硬化するものが好ましく、特にエポキシ系の接着剤が好ましく用いられる。
この接着剤は、加熱又は活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化するものであることがより好ましい。特に、耐候性や屈折率などの観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物が、硬化性化合物として好適に用いられる。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いた接着剤は、例えば、特開 2004-245925号公報に記載されている。このような芳香環を含まないエポキシ化合物として、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが例示できる。接着剤に用いる硬化性のエポキシ化合物は、通常、分子中にエポキシ基を2個以上有している。
芳香族エポキシ化合物の水素化物について説明すると、これは、芳香族エポキシ化合物を触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行なうことにより得られる。芳香族エポキシ化合物しては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテルのようなビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、エポキシ化ポリビニルフェノールのような多官能型のエポキシ化合物などが挙げられる。これら芳香族エポキシ化合物の水素化物の中でも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
次に脂環式エポキシ化合物について説明すると、これは、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物である。エポキシ基を分子内に1つ有する脂環式エポキシ化合物は、次式で示され、式中mは整数であり、2〜5であることが好ましい。
この式における(CH2)m中の水素原子を1個又は複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物も、脂環式エポキシ化合物となりうる。また、脂環式環を形成する水素がメチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。中でも、エポキシシクロペンタン環(上式においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上式においてm=4のもの)を有する化合物を用いることが好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例として、次のようなものを挙げることができる。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(また、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2',6'−ジオキサンスピロ−3'',5''−ジオキサンスピロ−3''',4'''−エポキシシクロヘキサンとも命名できる化合物)、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−エポキシスピロ[5.5]ウンデカン、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ジシクロペンタジエンジオキサイドなどが挙げられる。
次に脂肪族エポキシ化合物について説明すると、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルが、これに該当する。その例としては、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやポリプロピレングリコール、グリセリンのような脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
ここに例示したエポキシ化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、また複数のエポキシ化合物を混合して使用してもよい。
無溶剤型の接着剤に使用するエポキシ化合物のエポキシ当量は、通常 30〜3,000g/当量、好ましくは 50〜1,500g/当量の範囲である。エポキシ当量が30g/当量を下回ると、硬化後の保護フィルムの可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする可能性がある。一方、 3,000g/当量を超えると、他の成分との相溶性が低下する可能性がある。
エポキシ化合物をカチオン重合で硬化させるためには、カチオン重合開始剤が配合される。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線の照射、又は加熱により、カチオン種又はルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始する。いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが、作業性の観点から好ましい。
以下、光カチオン重合開始剤について説明する。光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での硬化が可能となり、偏光フィルムの耐熱性あるいは膨張による歪を考慮する必要が減少し、透明保護フィルムと偏光フィルムとを良好に接着することができる。また、光カチオン重合開始剤は光で触媒的に作用するため、エポキシ化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物として、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、鉄−アレン錯体などを挙げることができる。これらの中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
これらの光カチオン重合開始剤は市販品として容易に入手でき、例えば、それぞれ商品名で、“カヤラッド PCI-220”、“カヤラッド PCI-620”(以上、日本化薬(株)製)、“UVI-6990”(ユニオンカーバイド社製)、“アデカオプトマー SP-150”、“アデカオプトマー SP-170”(以上、(株)ADEKA製)、“CI-5102”、“CIT-1370”、
“CIT-1682”、“CIP-1866S”、“CIP-2048S”、“CIP-2064S”(以上、日本曹達(株)製)、“DPI-101”、“DPI-102”、“DPI-103”、“DPI-105”、“MPI-103”、
“MPI-105”、“BBI-101”、“BBI-102”、“BBI-103”、“BBI-105”、“TPS-101”、
“TPS-102”、“TPS-103”、“TPS-105”、“MDS-103”、“MDS-105”、“DTS-102”、
“DTS-103”(以上、みどり化学(株)製)、“PI-2074”(ローディア社製)などが挙げられる。特に、日本曹達(株)製の“CI-5102 ”は、好ましい開始剤の一つである。
“CIT-1682”、“CIP-1866S”、“CIP-2048S”、“CIP-2064S”(以上、日本曹達(株)製)、“DPI-101”、“DPI-102”、“DPI-103”、“DPI-105”、“MPI-103”、
“MPI-105”、“BBI-101”、“BBI-102”、“BBI-103”、“BBI-105”、“TPS-101”、
“TPS-102”、“TPS-103”、“TPS-105”、“MDS-103”、“MDS-105”、“DTS-102”、
“DTS-103”(以上、みどり化学(株)製)、“PI-2074”(ローディア社製)などが挙げられる。特に、日本曹達(株)製の“CI-5102 ”は、好ましい開始剤の一つである。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、通常 0.5〜20重量部であり、好ましくは1重量部以上、また好ましくは15重量部以下である。
さらに、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで、反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ及びジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。光増感剤を配合する場合、その量は、光カチオン重合性エポキシ樹脂組成物を100重量部として、 0.1〜20重量部程度である。
次に、熱カチオン重合開始剤について説明する。加熱によりカチオン種又はルイス酸を発生する化合物として、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミドなどを挙げることができる。これらの熱カチオン重合開始剤も、市販品として容易に入手することができ、例えば、いずれも商品名で、“アデカオプトン CP77 ”及び“アデカオプトン CP66 ”(以上、(株)ADEKA製)、
“CI-2639”及び“CI-2624”(以上、日本曹達(株)製)、“サンエイド SI-60L”、
“サンエイド SI-80L”及び“サンエイド SI-100L”(以上、三新化学工業(株)製)などが挙げられる。
“CI-2639”及び“CI-2624”(以上、日本曹達(株)製)、“サンエイド SI-60L”、
“サンエイド SI-80L”及び“サンエイド SI-100L”(以上、三新化学工業(株)製)などが挙げられる。
以上説明した光カチオン重合と熱カチオン重合を併用することも、有用な技術である。
エポキシ系接着剤は、さらにオキセタン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
エポキシ系接着剤は、さらにオキセタン類やポリオール類など、カチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
無溶剤型の接着剤を用いる場合も、その接着剤を、透明保護フィルム及び/又は偏光フィルムの接着面に塗布し、両者を貼り合わせて、複合偏光板とすることができる。透明保護フィルム又は偏光フィルムに無溶剤型接着剤を塗工する方法に特別な限定はなく、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。また、各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、少量の溶剤を用いて粘度調整を行ってもよい。このために用いる溶剤は、偏光フィルムの光学性能を低下させずに、エポキシ系接着剤を良好に溶解するものであればよく、例えば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類などの有機溶剤が使用できる。無溶剤型のエポキシ系接着剤を用いる場合、接着剤層の厚さは通常50μm 以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下であり、また通常は1μm 以上である。
以上のような、無溶剤の接着剤は、偏光フィルム10と透明保護フィルム20との間に塗布されて接着剤層41とされ、両者が貼り合わされる。偏光フィルムに透明保護フィルムを貼合した後は、活性エネルギー線を照射するか、又は加熱することにより、エポキシ系接着剤層を硬化させ、透明保護フィルムを偏光フィルム上に固着させる。活性エネルギー線の照射により硬化させる場合、好ましくは紫外線が用いられる。具体的な紫外線光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどを挙げることができる。活性エネルギー線ないし紫外線の照射強度や照射量は、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、透明保護フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。また加熱により硬化させる場合は、一般的に知られた方法で加熱することができ、そのときの温度や時間も、重合開始剤を十分に活性化させ、かつ硬化後の接着剤層や偏光フィルム、透明保護フィルムに悪影響を与えないように、適宜選択すればよい。
以上のように構成される複合偏光板は、その位相差フィルムの外側に、感圧式接着剤(粘着剤)を配置して、液晶セルへの貼り合わせが可能となるようにすることができる。この複合偏光板を、液晶セルの少なくとも一方の側に積層して、液晶表示装置が構成される。液晶セルの両面にこの複合偏光板を配置することもできるし、液晶セルの片面にこの複合偏光板を配置し、他面には別の偏光板を配置することもできる。液晶セルへの貼合にあたっては、位相差フィルム側が液晶セルに向き合うように配置される。
[液晶表示装置]
図2(A)には、液晶セルの両面に本発明の複合偏光板を配置した例を断面模式図で示した。図2(B)は、(A)に示した例における各層の軸角度の関係を説明するための斜視図である。図2に示す例でも、各層を離間した状態で示しているが、実際には隣り合う各層が密着していることになる。図2に示す例では、液晶セル60の下側に、位相差フィルム30/偏光フィルム10/透明保護フィルム20からなる複合偏光板を、その位相差フィルム30側が液晶セル60に向き合うように積層し、液晶セル60の上側にも、位相差フィルム30/偏光フィルム10/透明保護フィルム20からなる複合偏光板を、その位相差フィルム30側が液晶セル60に向き合うように積層している。それぞれの複合偏光板において、位相差フィルム30の遅相軸35と偏光フィルム10の吸収軸15が平行関係になっており、下側の偏光フィルム10は、その吸収軸15が液晶セル60の長辺方向65に直交し、上側の偏光フィルム10は、その吸収軸15が液晶セル60の長辺方向65に平行になっている。いずれかの透明保護フィルム20の外側にバックライトが配置され、液晶表示装置となる。液晶セルが横電界(IPS)モードである場合に、この構成は特に有効である。
図2(A)には、液晶セルの両面に本発明の複合偏光板を配置した例を断面模式図で示した。図2(B)は、(A)に示した例における各層の軸角度の関係を説明するための斜視図である。図2に示す例でも、各層を離間した状態で示しているが、実際には隣り合う各層が密着していることになる。図2に示す例では、液晶セル60の下側に、位相差フィルム30/偏光フィルム10/透明保護フィルム20からなる複合偏光板を、その位相差フィルム30側が液晶セル60に向き合うように積層し、液晶セル60の上側にも、位相差フィルム30/偏光フィルム10/透明保護フィルム20からなる複合偏光板を、その位相差フィルム30側が液晶セル60に向き合うように積層している。それぞれの複合偏光板において、位相差フィルム30の遅相軸35と偏光フィルム10の吸収軸15が平行関係になっており、下側の偏光フィルム10は、その吸収軸15が液晶セル60の長辺方向65に直交し、上側の偏光フィルム10は、その吸収軸15が液晶セル60の長辺方向65に平行になっている。いずれかの透明保護フィルム20の外側にバックライトが配置され、液晶表示装置となる。液晶セルが横電界(IPS)モードである場合に、この構成は特に有効である。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量ないし含有量を表す部および%は、特記ないかぎり重量基準である。
[実施例1]
(a)2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤Aの調製
エチル 2−シアノアクリレートに対して、二酸化イオウを40ppmおよびハイドロキノンを200ppm添加混合して接着剤を調製した。これを接着剤Aとする。
(a)2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤Aの調製
エチル 2−シアノアクリレートに対して、二酸化イオウを40ppmおよびハイドロキノンを200ppm添加混合して接着剤を調製した。これを接着剤Aとする。
(b)片面透明保護フィルム付き偏光板の作製
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上であるポリビニルアルコールからなる厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き、26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上であるポリビニルアルコールからなる厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き、26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
この偏光フィルムの片面に、表面にケン化処理を施した厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルムを、5%ポリビニルアルコール水溶液を接着剤として貼合し、乾燥させて溶媒を除去し、片面保護フィルム付き偏光板とした。
(c)位相差フィルムの貼合
スチレン−無水マレイン酸系共重合樹脂(ノヴァケミカル社製の「ダイラーク(登録商標) D332」(Tg=131℃))をコア層とし、平均粒径200μmのアクリル系ゴム粒子が約20%配合されているメタクリル系樹脂(住友化学(株)製の「テクノロイ(登録商標) S001」に使用されている樹脂(Tg=105℃))をスキン層として、3層共押出を行い、コア層の厚みが60μmで、その両面に各々厚みが72μmのスキン層が形成された樹脂3層フィルムを得た。この樹脂3層フィルムを142℃で2倍に延伸して、総厚みが104μm、面内レターデーションが140nm、Nz係数が0.0である負の位相差フィルムを得た。この位相差フィルムにおける各層の膜厚は、コア層が約30μm、各々のスキン層が約37μmであった。
スチレン−無水マレイン酸系共重合樹脂(ノヴァケミカル社製の「ダイラーク(登録商標) D332」(Tg=131℃))をコア層とし、平均粒径200μmのアクリル系ゴム粒子が約20%配合されているメタクリル系樹脂(住友化学(株)製の「テクノロイ(登録商標) S001」に使用されている樹脂(Tg=105℃))をスキン層として、3層共押出を行い、コア層の厚みが60μmで、その両面に各々厚みが72μmのスキン層が形成された樹脂3層フィルムを得た。この樹脂3層フィルムを142℃で2倍に延伸して、総厚みが104μm、面内レターデーションが140nm、Nz係数が0.0である負の位相差フィルムを得た。この位相差フィルムにおける各層の膜厚は、コア層が約30μm、各々のスキン層が約37μmであった。
こうして得られた位相差フィルムに、照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施した後、上記(b)で得た片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム面上に、上記接着剤Aを用いて貼合し、複合偏光板を得た。こうして得られた複合偏光板のフィルムに浮きやはがれ、気泡などはなく外観は良好なものであった。
得られた複合偏光板の偏光フィルムと位相差フィルムとの間の接着力を、JIS K 6854−1:1999に規定される90度剥離試験により評価した。90度剥離試験において、剥離速度は200mm/分とし、試験片として、複合偏光板を幅25mm×長さ120mmの大きさに切り出したものを用いた。この試験片をシート状粘着剤(リンテック(株)製の「P−3132」(商品名))を用いてソーダガラスに固定し、(株)島津製作所製のオートグラフ「AG−1」を用いて、位相差フィルムと偏光フィルムとの間で剥がすようにして試験を行なった。その結果、材料破壊するほどの非常に高い90度剥離強度が得られた。
[実施例2]
(a)2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤Bの調製
エチル 2−シアノアクリレートおよびメチル 2−シアノアクリレートを7:3の重量比率で配合し、その総量に対して、二酸化イオウ40ppmおよびハイドロキノン200ppmを添加混合して接着剤を調製した。これを接着剤Bとする。
(a)2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤Bの調製
エチル 2−シアノアクリレートおよびメチル 2−シアノアクリレートを7:3の重量比率で配合し、その総量に対して、二酸化イオウ40ppmおよびハイドロキノン200ppmを添加混合して接着剤を調製した。これを接着剤Bとする。
(b)複合偏光板の作製
接着剤Aの代わりに、上記接着剤Bを用いたこと以外は、実施例1の(c)と同様の方法で、片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム上に位相差フィルムを接着し、複合偏光板を作製した。こうして得られた複合偏光板のフィルムに浮きやはがれ、気泡などはなく外観は良好なものであった。
接着剤Aの代わりに、上記接着剤Bを用いたこと以外は、実施例1の(c)と同様の方法で、片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム上に位相差フィルムを接着し、複合偏光板を作製した。こうして得られた複合偏光板のフィルムに浮きやはがれ、気泡などはなく外観は良好なものであった。
得られた複合偏光板の偏光フィルムと位相差フィルムとの間の接着力を、実施例1と同様の方法で評価した。その結果、材料破壊するほどの非常に高い90度剥離強度が得られた。
[比較例1]
上記接着剤Aの代わりに、水100部に対してカルボキシ基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製「クラレポバール KL318」)3部および水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(住化ケムテック株式会社製「スミレーズ(登録商標)レジン 650」)1.5部を含む水溶液からなる水系接着剤を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、偏光フィルム上に位相差フィルムを接着し、複合偏光板を作製した。得られた複合偏光板は、作製直後ですら位相差フィルムと偏光フィルムとの間に剥離が生じており、90度剥離試験用のサンプルを作製することができないほど、接着力が弱かった。
上記接着剤Aの代わりに、水100部に対してカルボキシ基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製「クラレポバール KL318」)3部および水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(住化ケムテック株式会社製「スミレーズ(登録商標)レジン 650」)1.5部を含む水溶液からなる水系接着剤を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、偏光フィルム上に位相差フィルムを接着し、複合偏光板を作製した。得られた複合偏光板は、作製直後ですら位相差フィルムと偏光フィルムとの間に剥離が生じており、90度剥離試験用のサンプルを作製することができないほど、接着力が弱かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 偏光フィルム、15 偏光フィルムの吸収軸、20 透明保護フィルム、30 位相差フィルム、31 コア層、32 スキン層、35 位相差フィルムの遅相軸、41 第1の接着剤層、42 第2の接着剤層、50 粘着剤層、55 セパレーター、60 液晶セル、65 液晶セルの長辺方向。
Claims (9)
- 偏光フィルムの一方の面に第1の接着剤層を介して透明保護フィルムが積層され、偏光フィルムの他方の面に第2の接着剤層を介して位相差フィルムが積層されてなり、
前記位相差フィルムは、スチレン系樹脂からなるコア層の両面に、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層が形成された3層構造であり、
前記第2の接着剤層は、2−シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤組成物の硬化物層から形成されていることを特徴とする複合偏光板。 - 前記2−シアノアクリル酸エステルモノマーが下記一般式(I)で示される化合物である、請求項1記載の複合偏光板。
CH2=C(CN)−COO−R (I)
(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。) - 前記Rが置換もしくは非置換のアルキル基である、請求項2に記載の複合偏光板。
- 前記Rがメチル基、エチル基、プロピル基またはイソプロピル基である、請求項2または3に記載の複合偏光板。
- 前記接着剤組成物が溶剤成分を実質的に含まない無溶剤型の組成物からなる、請求項1〜4のいずれかに記載の複合偏光板。
- 前記位相差フィルムは、そのコア層の膜厚が10〜100μmであり、スキン層の膜厚がそれぞれ10〜100μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の複合偏光板。
- 前記位相差フィルムは、そのコア層のガラス転位温度が120℃以上であり、スキン層のガラス転位温度が120℃以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の複合偏光板。
- 液晶セルの少なくとも一方の面に、請求項1〜7のいずれかに記載の複合偏光板が配置されている液晶表示装置。
- 前記液晶セルがIPSセルである、請求項8に記載の液晶表示装置。
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WO2010067896A1 (ja) * | 2008-12-11 | 2010-06-17 | 住友化学株式会社 | 複合偏光板の製造方法 |
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-
2008
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