JP2010139703A - 複合偏光板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光板と、スチレン系樹脂フィルムを適用した、偏光板より幅が小さい、位相差フィルムとを積層してなる、偏光フィルムと位相差フィルムの密着力に優れた複合偏光板を生産性良く製造する方法を提供する。
【解決手段】偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを貼合し、反対側の面に粘着性を有する剥離性フィルムを貼合し、片面透明保護フィルム付き偏光板を作製する工程と、片面透明保護フィルム付き偏光板を、位相差フィルムの幅に合わせて長尺方向に沿って裁断する工程と、裁断された片面透明保護フィルム付き偏光板の剥離性フィルムを除去し、偏光フィルム面と位相差フィルムとを硬化性エポキシ樹脂組成物を用いて貼合する工程とを含む複合偏光板の製造方法である。位相差フィルムは、スチレン系樹脂からなるコア層とコア層の両面に積層されるゴム粒子含有(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層との3層構造を有する延伸フィルムからなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合偏光板の製造方法に関するものである。
液晶表示装置は、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量で薄型である等の特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。この液晶表示装置は、液晶セル、偏光板、位相差フィルム、集光シート、拡散フィルム、導光板、および光反射シート等、多くの光学部材から構成されている。そこで、これらの光学部材を構成するフィルムまたはシートの枚数削減や膜厚の低減等の改良により、液晶表示装置の生産効率や明度の向上および軽量・薄型化等を図ることが可能であり、このような研究が盛んに行われている。
さらに、液晶表示装置には、厳しい耐久条件にも耐え得ることが要求されている。たとえば、カーナビゲーションシステム用の液晶表示装置においては、それが置かれる車内の温度や湿度が非常に高くなることがあり、また、携帯電話、携帯端末機器等のディスプレイやテレビ、コンピュータ用のディスプレイ等においても、それらの使用環境や設置場所によっては、温度および湿度の変化が激しい条件に曝される場合があるため、そのような厳しい条件の使用にも耐え得る製品性能が求められる。
液晶表示装置の部品である偏光板は通常、偏光フィルムの両面または片面に透明な保護フィルムが積層された構造になっている。たとえば、偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに一軸延伸と二色性色素による染色を行なった後、ホウ酸処理して架橋反応を起こさせ、次いで水洗、乾燥する方法により製造されている。二色性色素としては、ヨウ素または二色性有機染料が用いられる。このようにして得られる偏光フィルムの両面または片面に保護フィルムを積層して偏光板とされ、液晶表示装置に組み込まれて使用される。保護フィルムには、トリアセチルロースに代表されるセルロースアセテート系樹脂フィルムが多く使用されており、その厚みは通例30〜120μm程度である。また、保護フィルムの積層には、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を用いることが多い。
二色性色素が吸着配向している偏光フィルムの両面または片面に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を用いてトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを積層した偏光板は、湿熱条件下で長時間使用した場合に、偏光性能が低下したり、保護フィルムと偏光フィルムとが剥離しやすかったりする問題がある。
そこで、少なくとも一方の保護フィルムを、セルロースアセテート系以外の樹脂で構成する試みがある。たとえば、特開平8−43812号公報(特許文献1)には、偏光フィルムの両面に保護フィルムを積層した偏光板において、その保護フィルムの少なくとも一方を、位相差フィルムの機能を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂で構成することが記載されている。また、特開平9−325216号公報(特許文献2)には、偏光フィルムの保護層のうち少なくとも一方を複屈折性のフィルムで構成することが記載されている。
一方、スチレン系樹脂フィルムは、スチレン系樹脂の主鎖の分極率よりも側鎖の分極率が大きい(負に分極するということがある)ため、厚さ方向の屈折率が大きい負の位相差フィルムとして検討されている。ここで、厚さ方向の屈折率が大きい負の位相差フィルムとは、面内の最大屈折率方向(遅相軸方向)の屈折率をnx、面内でそれと直交する方向(進相軸方向)の屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnzとしたとき、nz≒nx>nyの関係を有し、(nx−nz)/(nx−ny)で定義されるNz係数が概ね0(ゼロ)のフィルムである。しかし、スチレン系樹脂フィルムには、耐熱性、機械強度および耐薬品性に課題があり、実用化には至っていない。
スチレン系樹脂の耐熱性については、ガラス転移温度(以下、Tgと略すことがある)の高い樹脂を形成するモノマー、たとえば、ノルボルネンや無水マレイン酸を共重合させることで、改善され得ることが知られているが、このような共重合によっても機械強度や耐薬品性を十分に改善することはできない。
スチレンに他のモノマーを共重合させたり、あるいはスチレン系フィルムに他の樹脂層を積層したりする技術も多数提案されている。たとえば、特表2002−517583号公報(特許文献3)には、スチレンを代表例とする芳香族ビニルモノマーとα−オレフィンとの本質的にランダムな共重合体をフィルムにすることが記載されており、そのフィルムと他のポリマー層との多層構造にすることも示唆されている。また、特開2003−50316号公報(特許文献4)や特開2003−207640号公報(特許文献5)には、スチレンを代表例とする芳香族ビニルモノマーに非環状オレフィンモノマーおよび環状オレフィンモノマーを共重合させた三元共重合体を位相差フィルムにすることが記載されている。さらに、特開2003−90912号公報(特許文献6)には、ノルボルネン系樹脂からなる配向フィルムとスチレン−無水マレイン酸共重合樹脂からなる配向フィルムとを、接着剤層を介して積層し、位相差フィルムにすることが記載されており、特開2004−167823号公報(特許文献7)には、ポリオレフィン系の多層フィルムにポリスチレン系のシートを積層することが記載されている。さらにまた、特開2006−192637号公報(特許文献8)には、スチレン系樹脂からなる第1層と、ゴム粒子が配合されたアクリル系樹脂組成物からなる第2層とを、接着剤層を介さずに積層して位相差フィルムとすることが記載されている。
しかし、スチレン系樹脂フィルムを位相差フィルムに適用する場合、所望の位相差特性および機械強度を達成するためには、スチレン系樹脂フィルムの幅を広くすることができず、これにより、作製できるフィルムの幅が偏光フィルムの幅より小さくなり、従来の位相差フィルム付き偏光板の製造方法ではその生産性が著しく低下するという問題があった。すなわち、この場合、偏光板と、偏光板より幅が小さい位相差フィルムとを貼合すると、位相差フィルムが貼合されていない偏光板部分が生じる。一方、偏光板を液晶セルへ貼合する所定の形状に切り出すには、通常、長尺方向に対して直角または斜角に裁断し、その所定の形状へ再度裁断するが、この裁断によって位相差フィルムの貼合されていない偏光板部分は廃棄される。さらに、この位相差フィルムが貼合されていない偏光板部分も裁断長さに加わることにより、生産性は著しく低下する。
またさらに、スチレン系樹脂フィルムを適用した位相差フィルムは、偏光フィルムの保護フィルムを兼ねるように使用する場合、偏光フィルムとの接着性に劣る場合があった。
特開平8−43812号公報 特開平9−325216号公報 特表2002−517583号公報 特開2003−50316号公報 特開2003−207640号公報 特開2003−90912号公報 特開2004−167823号公報 特開2006−192637号公報
本発明の目的は、偏光板と、スチレン系樹脂フィルムを適用した、偏光板より幅が小さい、位相差フィルムとを積層してなる、偏光フィルムと位相差フィルムの密着力に優れた複合偏光板を生産性良く製造する方法を提供することにある。
本発明は、スチレン系樹脂からなるコア層と、該コア層の両面に積層される、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層との3層構造を有する延伸フィルムからなる位相差フィルムと、該位相差フィルム上に積層される、偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを有する片面透明保護フィルム付き偏光板と、を備える複合偏光板を製造する方法に関する。本発明の複合偏光板の製造方法は、
(A)偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを貼合し、反対側の面に粘着性を有する剥離性フィルムを貼合し、片面透明保護フィルム付き偏光板を作製する工程と、
(B)該片面透明保護フィルム付き偏光板を、位相差フィルムの幅に合わせて長尺方向に沿って裁断する工程と、
(C)工程(B)で裁断された片面透明保護フィルム付き偏光板の剥離性フィルムを除去するとともに、その偏光フィルム面と位相差フィルムとを、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を用いて貼合する工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明において、位相差フィルムのコア層の膜厚は10〜100μmであることが好ましく、スキン層の膜厚は10〜100μmであることが好ましい。
また、位相差フィルムのコア層のガラス転移温度は120℃以上であることが好ましく、スキン層のガラス転移温度は120℃以下であることが好ましい。
位相差フィルムは、その幅が、上記工程(A)において作製される片面透明保護フィルム付き偏光板の幅より10%以上小さいものであることが好ましい。
エポキシ樹脂は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物を含有することが好ましい。また、透明保護フィルムの厚みは、20〜300μmであることが好ましい。
本発明の複合偏光板の製造方法によれば、位相差フィルムとの貼合前に片面透明保護フィルム付き偏光板を位相差フィルムの大きさに合わせて長尺方向に沿って裁断し、位相差フィルムと貼合する片面透明保護フィルム付き偏光板と位相差フィルムと貼合しない片面透明保護フィルム付き偏光板とに分けることにより、生産性低下を招くことがなくなる。さらに、片面透明保護フィルム付き偏光板の位相差フィルムと貼合しない部分は他製品に用いることができるため、全体の生産性は著しく向上する。
また、本発明により得られる複合偏光板は、位相差フィルムと偏光フィルムとの密着性にも優れており、高い耐久性能を有する。
さらに、裁断される片面透明保護フィルム付き偏光板の偏光フィルム側に、粘着性を有する剥離性フィルムを貼合しておくことにより、透明保護フィルムと偏光フィルムの貼合や、裁断における偏光フィルムの損傷を防止することができる。
本発明により得られる複合偏光板は、液晶表示装置、特には、横電界モードの液晶セル、すなわち、IPS(In−Plane−Switching)セルを備える液晶表示装置に好適に適用することができる。
<複合偏光板の製造方法>
〔1〕工程(A)
本発明の複合偏光板の製造方法においては、まず、偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを貼合し、反対側の面に粘着性を有する剥離性フィルムを貼合し、片面透明保護フィルム付き偏光板を作製する(工程(A))。
(偏光フィルム)
本発明の複合偏光板の製造方法で用いられる偏光フィルムとは、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものである。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着・配向させたヨウ素系偏光フィルム、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性の染料を吸着・配向させた染料系偏光フィルム、およびリオトロピック液晶状態の二色性染料をコーティングし、配向・固定化した塗布型偏光フィルム等が挙げられる。これらのヨウ素系偏光フィルム、染料系偏光フィルム、および塗布型偏光フィルムは、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を吸収する機能を有するもので、吸収型偏光フィルムと呼ばれている。
本発明の製造方法で用いられる偏光フィルムは、上述した吸収型偏光フィルムだけでなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を反射または散乱する機能を有する反射型偏光フィルムまたは散乱型偏光フィルムと呼ばれているものでもよい。また、ここで具体的に挙げた偏光フィルムは、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するものであればよい。これらの偏光フィルムの中でも、視認性に優れている吸収型偏光フィルムを用いるのが好ましく、中でも、偏光度および透過率に優れるヨウ素系偏光フィルムを偏光フィルムとして用いるのがより好ましい。
上記ポリビニルアルコール系フィルムに用いられるポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他に、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類およびビニルエーテル類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100mol%であり、98〜100mol%がより好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂は、変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、およびポリビニルブチラール等も用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1000〜10000程度であり、1500〜10000程度が好ましい。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの厚みは特に限定されるものではないが、たとえば、2〜150μm程度である。
偏光フィルムは、通常、上述したようなポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの水分を調整する調湿工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行なってもよいし、染色と同時に行なってもよいし、染色の後に行なってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色の後で行なう場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行なってもよいし、ホウ酸処理中に行なってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行なうことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行なう等の乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行なう湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常、4〜8倍である。水洗後、乾燥して得られる偏光フィルムの厚みは、たとえば、1〜50μmとすることができる。
(透明保護フィルム)
本発明の製造方法で用いられる透明保護フィルムは、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、および位相差値の安定性等に優れる材料からなることが好ましい。このような透明保護フィルム用材料としては、特に限定されるものではないが、たとえば、メタクリル酸メチル系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の鎖状オレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂およびポリイミド系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行なってから用いることもでき、このポリマー変性としては、たとえば、共重合、架橋、分子末端、立体規則性制御、および異種ポリマー同士の反応を伴う場合を含む混合等の変性が挙げられる。
これらの中でも、透明保護フィルムの材料としては、メタクリル酸メチル系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等の鎖状オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂を用いることが好ましい。
メタクリル酸メチル系樹脂とは、メタクリル酸メチル単位を50重量%以上含む重合体である。メタクリル酸メチル単位の含有量は、好ましくは70重量%以上であり、100重量%であってもよい。メタクリル酸メチル単位が100重量%の重合体は、メタクリル酸メチルを単独で重合させて得られるメタクリル酸メチル単独重合体である。
このメタクリル酸メチル系樹脂は、通常、メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体、多官能単量体、ラジカル重合開始剤および連鎖移動剤の共存下に重合して得ることができる。
メタクリル酸メチルと共重合し得る単官能単量体としては、特に限定されるものではないが、たとえば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシルおよびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類;2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、3−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルおよび2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ブチル等のヒドロキシアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびアクリル酸等の不飽和酸類;クロロスチレンおよびブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類;ビニルトルエンおよびα−メチルスチレン等の置換スチレン類;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;無水マレイン酸および無水シトラコン酸等の不飽和酸無水物類;ならびにフェニルマレイミドおよびシクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド類等を挙げることができる。このような単量体は、それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
メタクリル酸メチルと共重合し得る多官能単量体としては、特に限定されるものではないが、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびテトラデカエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエチレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;プロピレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートおよびブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールの水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、またはこれらのハロゲン置換体の両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトール等の多価アルコールをアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの、ならびにこれら末端水酸基にグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの;コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、フタル酸、これらのハロゲン置換体等の二塩基酸およびこれらのアルキレンオキサイド付加物等にグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのエポキシ基を開環付加させたもの;アリール(メタ)アクリレート;およびジビニルベンゼン等のジアリール化合物等が挙げられる。中でも、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートおよびネオペンチルグリコールジメタクリレートが好ましく用いられる。
このような組成からなるメタクリル酸メチル系樹脂は、さらに、樹脂に共重合させた官能基間の反応を行ない変性されたものも用いられる。その反応としては、たとえば、アクリル酸メチルのメチルエステル基と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基の高分子鎖内脱メタノール縮合反応、またはアクリル酸のカルボキシル基と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの水酸基の高分子鎖内脱水縮合反応等が挙げられる。
このようなメタクリル酸メチル系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、各々商品名で、スミペックス(住友化学(株)製)、アクリペット(三菱レイヨン(株)製)、デルペット(旭化成(株)製)、パラペット((株)クラレ製)およびアクリビュア((株)日本触媒製)等が挙げられる。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂とは、繰り返し単位の80mol%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味し、他のジカルボン酸成分とジオール成分を含んでいてもよい。他のジカルボン酸成分としては、特に限定されるものでないが、たとえば、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸および1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等が挙げられる。
他のジオール成分としては、特に限定されるものではないが、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸を併用することもできる。また、他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、およびカーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分またはジオール成分が用いられてもよい。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂の製造方法としては、テレフタル酸およびエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸または他のジオール)を直接重縮合させる方法、テレフタル酸のジアルキルエステルおよびエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸のジアルキルエステルまたは他のジオール)とをエステル交換反応させた後重縮合させる方法、およびテレフタル酸(および必要に応じて他のジカルボン酸)のエチレングリコールエステル(および必要に応じて他のジオールエステル)を触媒の存在下で重縮合させる方法等が採用される。さらに、必要に応じて固相重合を行ない、分子量を向上させたり、低分子量成分を低減させたりすることもできる。
また、ポリプロピレン系樹脂とは、上記鎖状オレフィン系樹脂の中でも、繰り返し単位の80重量%以上がプロピレンモノマーである鎖状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合されたものをいう。中でも、プロピレンの単独重合体であるものが好ましい。また、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを、1〜20重量%の割合で、好ましくは3〜10重量%の割合で共重合させた共重合体も好ましい。
プロピレン共重合体を用いる場合、プロピレンと共重合可能なコモノマーとしては、エチレン、1−ブテンおよび1−ヘキセンが好ましい。中でも、透明性に比較的優れることから、エチレンを3〜10重量%の割合で共重合させたものが好ましい。エチレンの共重合割合を1重量%以上とすることで、透明性を上げる効果が現れる。一方、その割合が20重量%を超えると、樹脂の融点が下がり、保護フィルムに要求される耐熱性が損なわれる場合がある。
中でも、20℃のキシレンに可溶な成分(CXS成分)が1重量%以下であるプロピレンホモポリマーがより好ましく、CXS成分が0.5重量%以下のプロピレンホモポリマーがさらに好ましい。
また、セルロース系樹脂とは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等の原料セルロースから得られるセルロースの水酸基における水素原子の一部または全部がアセチル基、プロピオニル基および/またはブチリル基で置換された、セルロース有機酸エステルまたはセルロース混合有機酸エステルをいう。たとえば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、およびそれらの混合エステル等からなるものが挙げられる。中でも、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルムおよびセルロースアセテートブチレートフィルム等が好ましい。
このようなメタクリル酸メチル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂およびセルロース系樹脂等を、偏光フィルムに接着する透明保護フィルムとする方法としては、その樹脂に応じた方法を適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。たとえば、溶媒に溶解させた樹脂を金属製バンド、またはドラムへ流延し、溶媒を乾燥除去してフィルムを得る溶媒キャスト法、および樹脂をその溶融温度以上に加熱・混練してダイより押し出し、冷却することによりフィルムを得る溶融押出法が採用される。この溶融押出法では、単層フィルムの押し出しであってもよく、また多層フィルムの同時押し出しであってもよい。
こうして得られる透明保護フィルムとして用いられるフィルムは、市販品を容易に入手することが可能である。たとえば、メタクリル酸メチル系樹脂フィルムとしては、それぞれ商品名で、スミペックス(住友化学(株)製)、アクリライト(三菱レイヨン(株)製)、アクリプレン(三菱レイヨン(株)製)、デラグラス(旭化成(株)製)、パラグラス((株)クラレ製)、コモグラス((株)クラレ製)およびアクリビュア((株)日本触媒製)等が挙げられる。
また、たとえば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムとしては、それぞれ商品名で、ノバクリアー(三菱化学(株)製)および帝人A−PETシート(帝人化成(株)製)等が挙げられる。
また、たとえば、ポリプロピレン系樹脂フィルムとしては、それぞれ商品名で、FILMAX CPPフィルム(FILMAX社製)、サントックス(サン・トックス(株)製)、トーセロ(東セロ(株)製)、東洋紡パイレンフィルム(東洋紡績(株)製)、トレファン(東レフィルム加工(株)製)、ニホンポリエース(日本ポリエース(株)製)および太閤FC(フタムラ化学(株)製)等が挙げられる。
さらに、たとえば、セルロース系樹脂フィルムとしては、それぞれ商品名で、フジタックTD(富士フィルム(株)製)およびコニカミノルタTACフィルムKC(コニカミノルタオプト(株)製)等が挙げられる。
本発明に用いられる透明保護フィルムには、防眩性(ヘイズ)を付与することができる。防眩性を付与する方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、上記の原料樹脂中に無機微粒子もしくは有機微粒子を混合してフィルム化する方法、上記の多層押し出しを用いて、一方に微粒子が混合された樹脂ともう一方に微粒子が混合されていない樹脂とから二層フィルム化する方法、または粒子が混合された樹脂を外側にして三層フィルム化する方法、およびフィルムの片側に無機微粒子もしくは有機微粒子を硬化性バインダー樹脂に混合してなる塗布液をコートし、バインダー樹脂を硬化して防眩層を設ける方法等が採用される。
防眩性を付与するための無機微粒子としては、特に限定されるものではないが、たとえば、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ−シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウム等が挙げられる。また、有機微粒子としては、特に限定されるものではないが、たとえば、架橋ポリアクリル酸粒子、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子およびポリイミド粒子等が挙げられる。
こうして得られる防眩性が付与された透明保護フィルムのヘイズ値は、6〜45%の範囲内であることが好ましい。透明保護フィルムのヘイズ値が6%を下回ると、十分な防眩効果が現れない場合がある。また、透明保護フィルムのヘイズ値が45%を超えると、このフィルムを用いてなる液晶表示装置の画面が白ちゃけ、画質の低下をまねく場合がある。
なお、このヘイズ値は、JIS K 7136に準拠し、たとえば、ヘイズ・透過率計HM−150((株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定することができる。ヘイズ値の測定に際しては、フィルムの反りを防止するために、たとえば、光学的に透明な粘着剤を用いて防眩性付与面が表面となるようにフィルム面をガラス基板に貼合した測定サンプルを用いることが好ましい。
透明保護フィルム上には、さらに、導電層、ハードコート層および低反射層等の機能層を積層することができる。また、透明保護フィルムを構成するバインダー樹脂には、これらの機能を有する樹脂組成物を選択することもできる。
また、透明保護フィルムは、偏光フィルムとの貼合に先立って、ケン化処理、コロナ処理、およびプラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
透明保護フィルムの厚みは、特に制限されるものではないが、通常、強度や取り扱い性等の観点から1〜500μm程度であり、20〜300μmが好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。この範囲内の厚みであれば、偏光フィルムを機械的に保護し、高温高湿下に曝されても偏光フィルムが収縮せず、安定した光学特性を保つことができる。
(透明保護フィルム貼合用接着剤)
偏光フィルムと透明保護フィルムの接着に用いる接着剤は、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シアノアクリレート系樹脂およびアクリルアミド系樹脂等を接着剤成分とする接着剤が挙げられる。中でも、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたはこれを水に分散させたものは、接着剤層の厚みをより低減することができるため好ましく用いられる。また、別の好ましい接着剤としては、加熱や活性エネルギー線の照射によりモノマーまたはオリゴマーを反応硬化させて接着剤層を形成する無溶剤の樹脂組成物からなるものが挙げられる。
まず、水系の接着剤について説明する。水系の接着剤としては、接着剤成分として、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、水溶性の架橋性エポキシ樹脂またはウレタン系樹脂等を含有するものが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、水系接着剤として用いられる種々公知の樹脂を用いることができる。また、水溶性の架橋性エポキシ樹脂としては、たとえば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンとアジピン酸等のジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンにエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂を挙げることができる。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、スミレーズレジン 650(住化ケムテックス(株)製)、スミレーズレジン 675(住化ケムテックス(株)製)等が挙げられる。
接着剤成分として水溶性の架橋性エポキシ樹脂を用いる場合、その接着剤組成物には、塗工性と接着性を向上させるために、さらにポリビニルアルコール系樹脂等の他の水溶性樹脂を混合することが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂としては、部分ケン化ポリビニルアルコールおよび完全ケン化ポリビニルアルコールの他に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコールおよびアミノ基変性ポリビニルアルコール等の変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。中でも、酢酸ビニルと不飽和カルボン酸またはその塩との共重合体のケン化物、すなわち、カルボキシル基変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。なお、ここでいう「カルボキシル基」とは、−COOHおよびその塩を含む概念である。
市販されている好適なカルボキシル基変性ポリビニルアルコールとしては、たとえば、クラレポバール KL−506((株)クラレ製)、クラレポバール KL−318((株)クラレ製)、クラレポバール KL−118((株)クラレ製)、ゴーセナール T−330(日本合成化学工業(株)製)、ゴーセナール T−350(日本合成化学工業(株)製)、DR−0415(電気化学工業(株)製)、AF−17(日本酢ビ・ポバール(株)製)、AT−17(日本酢ビ・ポバール(株)製)、AP−17(日本酢ビ・ポバール(株)製)などが挙げられる。
水溶性の架橋性エポキシ樹脂を含む接着剤は、エポキシ樹脂および必要に応じて加えられるポリビニルアルコール系樹脂等の他の水溶性樹脂を水に溶解し、接着剤溶液として調製することができる。この場合、水溶性の架橋性エポキシ樹脂の含有量は、水100重量部に対して、0.2〜2重量部程度とすることが好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂を配合する場合、その配合量は、水100重量部に対して、1〜10重量部程度とすることが好ましく、1〜5重量部程度とすることがより好ましい。
一方、水系の接着剤に好適に用いることができるウレタン系樹脂としては、アイオノマー型のウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を挙げることができる。ここで、アイオノマー型とは、ウレタン樹脂を構成する骨格内に、少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。また、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その骨格内に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。このようなアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂の市販品としては、たとえば、ハイドラン AP−20(大日本インキ化学工業(株)製)、ハイドラン APX−101H(大日本インキ化学工業(株)製)等があり、いずれもエマルジョンの形で入手できる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を接着剤成分とする場合、その接着剤組成物には、さらにイソシアネート系架橋剤を配合することが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、分子内にイソシアナト基(−NCO)を少なくとも2個有する化合物であり、たとえば、2,4−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネート単量体の他に、それらの複数分子がトリメチロールプロパン等の多価アルコールに付加したアダクト体、ジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分でイソシアヌレート環を形成した3官能のイソシアヌレート体およびジイソシアネート3分子がそれぞれの片末端イソシアナト基の部分で水和・脱炭酸して形成されるビュレット体等のポリイソシアネート変性体等が挙げられる。好適に使用し得る市販のイソシアネート系架橋剤としては、たとえば、ハイドランアシスター C−1(大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられる。
アイオノマー型のウレタン樹脂を含む水系接着剤においては、粘度と接着性の観点から、ウレタン樹脂は、その濃度が10〜70重量%程度となるように水中に溶解または分散されることが好ましく、20〜50重量%以下がより好ましい。また、イソシアネート系架橋剤を配合する場合、その配合量は、ウレタン系樹脂100重量部に対してイソシアネート系架橋剤が5〜100重量部程度となるように適宜選択される。
こうしてなる水系接着剤を用いる場合、その接着剤を、透明保護フィルム、または偏光フィルムの接着面に塗布し、両者を貼り合わせて乾燥することにより、偏光フィルムと透明保護フィルムとの積層体を得ることができる。
次に、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有する無溶剤の樹脂組成物からなる接着剤について説明する。
本発明の製造方法に用いられる前記接着剤とは、加熱や活性エネルギー線の照射により重合する硬化性の化合物と重合開始剤とを含有し有意量の溶剤を含まない硬化性組成物である。この硬化性の化合物は、反応性の観点からカチオン重合で硬化するものが好ましく、特にエポキシ化合物(エポキシ樹脂)を含有することが好ましい。
このエポキシ化合物は、耐候性や屈折率等の観点から、分子内に芳香環を含まないものが好適に用いられる。分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を用いた接着剤は、たとえば、特開2004−245925号公報に記載されている。このような芳香環を含まないエポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物の水素化物、脂環式エポキシ化合物、および脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。
芳香族エポキシ化合物の水素化物とは、芳香族エポキシ化合物を触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行なうことにより得られるものである。芳香族エポキシ化合物しては、たとえば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、およびビスフェノールSのジグリシジルエーテルのようなビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、およびヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂のようなノボラック型のエポキシ樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタンのグリシジルエーテル、テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル、およびエポキシ化ポリビニルフェノールのような多官能型のエポキシ化合物等が挙げられる。中でも、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが好ましい。
脂環式エポキシ化合物とは、次式に示すような、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有する化合物である。
Figure 2010139703
(式中、mは2〜5の整数を表す。)
この式における(CH2m中の水素原子を1個または複数個取り除いた形の基が他の化学構造に結合した化合物が、脂環式エポキシ化合物となりうる。また、脂環式環を形成する水素がメチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。中でも、エポキシシクロペンタン環(上式においてm=3のもの)や、エポキシシクロヘキサン環(上式においてm=4のもの)を有する化合物を用いることが好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例として、たとえば、次のものを挙げることができる。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、
ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ−[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン(また、3,4−エポキシシクロヘキサンスピロ−2’,6’−ジオキサンスピロ−3’’,5’’−ジオキサンスピロ−3’’’,4’’’−エポキシシクロヘキサンとも命名できる化合物)、
4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−2,6−ジオキサ−8,9−エポキシスピロ[5.5]ウンデカン、
4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、
ビス−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、および、
ジシクロペンタジエンジオキサイド。
また、脂肪族エポキシ化合物とは、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルである。たとえば、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、エチレングリコールやポリプロピレングリコール、およびグリセリンのような脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド)を付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
ここに例示したエポキシ化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、また複数のエポキシ化合物を混合して使用してもよい。
このようなエポキシ化合物のエポキシ当量は、通常、30〜3000g/eqであり、50〜1500g/eqが好ましい。エポキシ当量が30g/eqを下回ると、硬化後の透明保護フィルムの可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする場合がある。一方、3000g/eqを超えると、他の成分との相溶性が低下する場合がある。
上記硬化性組成物には、エポキシ化合物をカチオン重合で硬化させるためにカチオン重合開始剤が配合される。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、および電子線等の活性エネルギー線の照射、または加熱により、カチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基の重合反応を開始させる。いずれのタイプのカチオン重合開始剤であっても、潜在性が付与されていることが作業性の観点から好ましい。
以下、活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる光カチオン重合開始剤について説明する。光カチオン重合開始剤を使用すると、常温での硬化が可能となり、偏光フィルムの耐熱性または熱膨張による内部応力を考慮する必要が減少し、透明保護フィルムと偏光フィルムとを良好に接着することができる。また、光カチオン重合開始剤は光で触媒的に作用するため、エポキシ化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物としては、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩および芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、ならびに鉄−アレン錯体等を挙げられる。中でも、特に芳香族スルホニウム塩は300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ良好な機械強度や接着強度を有する硬化物を与えることができるため、好ましく用いられる。
このような光カチオン重合開始剤は市販品として容易に入手でき、たとえば、それぞれ商品名で、カヤラッド PCI−220(日本化薬(株)製)、カヤラッド PCI−620(日本化薬(株)製)、UVI−6990(ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマー SP−150((株)ADEKA製)、アデカオプトマー SP−170((株)ADEKA製)、CI−5102(日本曹達(株)製)、CIT−1370(日本曹達(株)製)、CIT−1682(日本曹達(株)製)、CIP−1866S(日本曹達(株)製)、CIP−2048S(日本曹達(株)製)、CIP−2064S(日本曹達(株)製)、DPI−101(みどり化学(株)製)、DPI−102(みどり化学(株)製)、DPI−103(みどり化学(株)製)、DPI−105(みどり化学(株)製)、MPI−103(みどり化学(株)製)、MPI−105(みどり化学(株)製)、BBI−101(みどり化学(株)製)、BBI−102(みどり化学(株)製)、BBI−103(みどり化学(株)製)、BBI−105(みどり化学(株)製)、TPS−101(みどり化学(株)製)、TPS−102(みどり化学(株)製)、TPS−103(みどり化学(株)製)、TPS−105(みどり化学(株)製)、MDS−103(みどり化学(株)製)、MDS−105(みどり化学(株)製)、DTS−102(みどり化学(株)製)、DTS−103(みどり化学(株)製)、PI−2074(ローディア社製)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部であり、1重量部〜15重量部が好ましい。
上記硬化性組成物には、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。光増感剤としては、たとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、ならびに光還元性色素等が挙げられる。光増感剤を配合する場合、その配合量は、光カチオン重合性エポキシ樹脂組成物を100重量部として、通常、0.1〜20重量部程度である。
次に、熱カチオン重合開始剤について説明する。加熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する化合物としては、ベンジルスルホニウム塩、チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、およびアミンイミド等を挙げられる。これらの熱カチオン重合開始剤も、市販品を容易に入手することができ、たとえば、いずれも商品名で、アデカオプトン CP77((株)ADEKA製)、アデカオプトン CP66((株)ADEKA製)、CI−2639(日本曹達(株)製)、CI−2624(日本曹達(株)製)、サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製)、サンエイド SI−80L(三新化学工業(株)製)、サンエイド SI−100L(三新化学工業(株)製)等が挙げられる。
前記の光カチオン重合と熱カチオン重合を併用することも、有用な技術である。
エポキシ系接着剤は、さらにオキセタン類やポリオール類等のカチオン重合を促進する化合物を含有してもよい。
こうして得られる硬化性組成物からなる接着剤を、透明保護フィルムまたは偏光フィルムの接着面に塗布し、両者を貼り合わせた後、接着剤を硬化させることにより、偏光フィルムと透明保護フィルムとの積層体を得ることができる。この接着剤を透明保護フィルムまたは偏光フィルムに塗工する方法に特別な限定はなく、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、およびグラビアコーター等、種々の塗工方式が採用される。接着剤層の厚さは、通常、1μm以上、50μm以下であり、20μm以下が好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化を行なう場合、用いられる光源としては、特に限定されるものではないが、波長400nm以下に発光分布を有する、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯およびメタルハライドランプ等が挙げられる。接着剤組成物への光照射強度は、その組成物の硬化性によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、光カチオン重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。接着剤組成物への光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、100mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱および硬化性エポキシ樹脂組成物の重合時の発熱により、硬化性エポキシ樹脂組成物の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる場合がある。同様に、接着剤組成物への光照射時間は、その組成物の硬化性によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜5000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。硬化性エポキシ樹脂組成物への積算光量が10mJ/cm2未満であると、光カチオン重合開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、接着剤の硬化が不十分となる場合がある。また、積算光量が5000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利なものとなる。
熱により接着剤の硬化を行なう場合、一般的に知られた方法で加熱することができ、その条件等も特に限定されるものではないが、通常、硬化性エポキシ樹脂組成物に配合された熱カチオン重合開始剤がカチオン種やルイス酸を発生する温度以上で加熱が行なわれ、たとえば、50〜200℃程度である。
活性エネルギー線の照射または加熱のいずれの条件で硬化させる場合でも、片面保護フィルム付き偏光板の偏光度、透過率、色相、透明保護フィルムの透明性等の諸機能が低下しない範囲で硬化させることが好ましい。接着剤組成物を硬化してなる硬化層の厚さは、通常、50μm以下であり、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
(剥離性フィルム)
本発明の製造方法で用いられる粘着性を有する剥離性フィルムとしては、剥離が容易になるよう低分子量の粘着剤処理がなされたフィルムが使用でき、たとえば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;環状オレフィン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンおよびプロピレン/エチレン共重合体等の鎖状オレフィン系樹脂等を使用できる。中でも、粘着性を適宜調節することができ、市販品の入手が容易であるという点から、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、またはポリエチレンフィルムが好ましく用いられる。
剥離性フィルムは自己粘着性を有しており、偏光フィルムにおける透明保護フィルムが貼合される面とは反対側の面に、直接貼合することができる。
こうして、接着剤により偏光フィルムの片面に透明保護フィルムが貼合され、反対側の面には粘着性を有する剥離性フィルムが貼合された片面透明保護フィルム付き偏光板は、一旦、巻き取り装置によって塩化ビニル管等のコアに巻き取られる。なお、偏光フィルムに透明保護フィルムを貼合する工程と、偏光フィルムに剥離性フィルムを貼合する工程とは、いずれを先に行なってもよく、同時に行なってもよい。
〔2〕工程(B)
本発明の複合偏光板の製造方法においては、次に、上述のようにして作製した片面透明保護フィルム付き偏光板を、位相差フィルムの大きさに合わせて長尺方向に沿って裁断(スリット)する(工程(B))。片面透明保護フィルム付き偏光板の裁断後の幅は、後述する位相差フィルムの幅に応じて適宜設定されるが、たとえば、裁断後の片面透明保護フィルム付き偏光板の少なくとも一断片は、後述する位相差フィルムの幅と同じ幅とされることが好ましい。
片面透明保護フィルム付き偏光板を裁断する方法は、特に限定されるものではないが、通常、巻き取られた片面透明保護フィルム付き偏光板をスリッター(長尺方向の裁断機)へ繰り出すと同時に裁断し、次いで裁断された複数の断片を再び巻き取る方法が採用される。
〔3〕工程(C)
本発明の複合偏光板の製造方法においては、次に、上記工程(B)で裁断された片面透明保護フィルム付き偏光板の剥離性フィルムを除去するとともに、その偏光フィルム面(剥離性フィルムが貼合されていた面)と位相差フィルムとを活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を用いて貼合する(工程(C))。
(エポキシ樹脂組成物)
偏光フィルムと位相差フィルムとの接着に用いられる、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物は、無溶剤であることが好ましい。
片面保護フィルム付き偏光板と位相差フィルムとをこの接着剤で接着する方法としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、およびグラビアコーター等、種々の塗工方式が採用される。また、偏光フィルムと位相差フィルムとの間に上記接着剤組成物を滴下した後、ロール等で偏光フィルムと位相差フィルムを加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。ここで、ロールの材質は金属やゴム等を用いることが可能であり、これらロールは同じ材質であってもよく、異なる材質であっても良い。接着剤層の厚さは、通常、50μm以下であり、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
上記エポキシ樹脂組成物としては、上述した偏光フィルムと透明保護フィルムとの接着に用いることができるエポキシ化合物(エポキシ樹脂)と重合開始剤とを含有する硬化性組成物を好適に用いることができる。上記したように、エポキシ化合物は、分子内に芳香環を含まないものが好ましく、また、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に少なくとも1個有するエポキシ化合物(脂環式エポキシ化合物)を含むことが好ましい。当該エポキシ樹脂組成物を用いた偏光フィルムと位相差フィルムとの貼合は、偏光フィルムと透明保護フィルムとの貼合と同様にして行なうことができる。
活性エネルギー線の照射によりエポキシ樹脂組成物の硬化を行なう場合、用いられる光源としては、特に限定されるものではないが、波長400nm以下に発光分布を有する、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯およびメタルハライドランプ等が挙げられる。エポキシ樹脂組成物への光照射強度は、その組成物の硬化性によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、光カチオン重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜100mW/cm2であることが好ましい。エポキシ樹脂組成物への光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、100mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱およびエポキシ樹脂組成物の重合時の発熱により、エポキシ樹脂組成物の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる場合がある。同様に、エポキシ樹脂組成物への光照射時間は、その組成物の硬化性によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜5000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。エポキシ樹脂組成物への積算光量が10mJ/cm2未満であると、光カチオン重合開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、エポキシ樹脂組成物の硬化が不十分となる場合がある。また、積算光量が5000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利なものとなる。
熱によりエポキシ樹脂組成物の硬化を行なう場合、一般的に知られた方法で加熱することができ、その条件等も特に限定されるものではないが、通常、エポキシ樹脂組成物に配合された熱カチオン重合開始剤がカチオン種やルイス酸を発生する温度以上で加熱が行なわれ、たとえば、50〜200℃程度である。
活性エネルギー線の照射または加熱のいずれの条件で硬化させる場合でも、片面保護フィルム付き偏光板の偏光度、透過率、色相、透明保護フィルムの透明性、および位相差フィルムの位相差特性等、複合偏光板の諸機能が低下しない範囲で硬化させることが好ましい。エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化層の厚さは、通常、50μm以下であり、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。
(位相差フィルム)
次に、上記位相差フィルムについて詳細に説明する。本発明の製造方法に用いられる位相差フィルムは、そのコア層がスチレン系樹脂からなり、その両面に、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層が形成されたものである。
コア層を構成するスチレン系樹脂は、スチレンまたはその誘導体の単独重合体であることができるほか、スチレン若しくはその誘導体と他の共重合性モノマーとの、二元またはそれ以上の共重合体であることもできる。ここで、スチレン誘導体とは、スチレンに他の基が結合した化合物であって、たとえば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンのようなアルキルスチレン;および、ヒドロキシスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニル安息香酸、o−クロロスチレン、p−クロロスチレンのような、スチレンのベンゼン核に水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン等が導入された置換スチレン等が挙げられる。上記特許文献4や特許文献5に開示されるような三元共重合体も用いることができる。スチレン系樹脂は、スチレンまたはスチレン誘導体と、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレートおよびブタジエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体であることが好ましい。コア層を構成するスチレン系樹脂は、コア層の耐熱性を向上させるために、そのガラス転移温度Tgは100℃以上であることが好ましく、より好ましくは、120℃以上である。
スチレン系樹脂からなるコア層は、その厚み(膜厚)が10〜100μmとなるように設定することが望ましい。その厚みが10μm未満では、延伸によって十分なレターデーション値が発現しにくいことがある。一方、その厚みが100μmを超えると、フィルムの衝撃強度が弱くなりやすいとともに、外部応力によるレターデーション変化が大きくなる傾向にあり、液晶表示装置に適用したときに白抜け等が発生しやすくなり、表示性能が低下しやすい。
前記のスチレン系樹脂からなるコア層の両面に配置されるスキン層は、(メタ)アクリル系樹脂にゴム粒子が配合されている(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる。ゴム粒子を配合することにより、耐衝撃性やハンドリング性が向上する。(メタ)アクリル系樹脂としては、たとえば、メタクリル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルキルエステルの単独重合体や、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体等が挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルとして具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル等が、またアクリル酸アルキルエステルとして具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル等が挙げられる。このような(メタ)アクリル系樹脂には、汎用の(メタ)アクリル系樹脂として市販されているものが使用できる。なお、(メタ)アクリル系樹脂の中には、耐衝撃(メタ)アクリル系樹脂と呼ばれるもの、また、主鎖中にグルタル酸無水物構造やラクトン環構造を有する高耐熱(メタ)アクリル系樹脂と呼ばれるものも含まれる。
(メタ)アクリル系樹脂に配合されるゴム粒子は、アクリル系のものが好ましい。アクリル系ゴム粒子とは、アクリル酸ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステルを主な単量体成分とし、多官能モノマーの存在下に重合させて得られるゴム弾性を有する粒子である。ゴム粒子は、このようなゴム弾性を有する粒子が単層で形成されたものでもよいし、ゴム弾性層を少なくとも1層有する多層構造体であってもよい。多層構造のアクリル系ゴム粒子としては、上記のようなゴム弾性を有する粒子を核とし、その周りを硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体で覆ったもの、硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体を核とし、その周りを上記のようなゴム弾性を有するアクリル系重合体で覆ったもの、また硬質の核の周りを、ゴム弾性を有するアクリル系重合体で覆い、さらにその周りを硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体で覆ったもの等が挙げられる。これらのゴム粒子は、弾性層で形成される粒子の平均直径が通常50〜400nm程度の範囲にある。
スキン層を構成する(メタ)アクリル系樹脂組成物における上記ゴム粒子の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部あたり、通常5〜50重量部程度である。(メタ)アクリル系樹脂およびアクリル系ゴム粒子は、それらを混合した状態で市販されているので、その市販品を用いることができる。アクリル系ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂の市販品の例として、HT55X(住友化学(株)製)およびテクノロイ(登録商標)S001(住友化学(株)製)等が挙げられる。このようなアクリル系ゴム粒子含有(メタ)アクリル系樹脂組成物は、一般に160℃以下のTgを有するが、その好ましいTgは120℃以下、さらには110℃以下である。
ゴム粒子、好ましくはアクリル系ゴム粒子、が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層は、その厚みが10〜100μmとなるようにすることが望ましい。その厚みを10μm未満にしようとすると、製膜が難しくなる傾向にある。一方、厚みが100μmを超えると、この(メタ)アクリル系樹脂層(スキン層)のレターデーションが無視できなくなる傾向にある。
上記のとおり、本発明で使用する位相差フィルムにおいて、スチレン系樹脂からなるコア層は、そのTgが120℃以上であるのが好ましく、一方、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層は、そのTgが120℃以下、さらには110℃以下であるのが好ましい。延伸時に、スチレン系樹脂からなるコア層は、その高分子主鎖を積極的に配向させ、選択的に異方性を発現させる一方で、スキン層は光学的のみならず力学的な観点からも高分子鎖を極力配向させずに、より等方的な構造に近づけるのが好ましいことから、両者のTgが重ならず、スチレン系樹脂からなるコア層のほうが、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層よりも高いTgを有するようにするのが好ましい。
本発明に使用される位相差フィルムを製造するには、たとえば、スチレン系樹脂と、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物とを共押出し、その後延伸すればよい。その他、それぞれ単層のフィルムを作製した後で、ヒートラミネーションにより熱融着させ、それを延伸する方法も可能である。
位相差フィルムは、スチレン系樹脂からなるコア層の両面に、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層が形成された3層構造とされる。この3層構造において、両面に配置されるスキン層は通常、ほぼ同じ厚みとされる。このように3層構造とすることにより、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層が保護層として働き、機械強度や耐薬品性に優れたものとなる。
以上のように構成される位相差フィルムは、延伸により面内レターデーションが付与される。延伸は、公知の縦一軸延伸やテンター横一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸等で行うことができ、所望とするレターデーション値が得られるように延伸すればよい。
また、位相差フィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、残存溶媒、安定剤、可塑剤、老化防止剤、帯電防止剤、および紫外線吸収剤等、その他の成分を必要に応じて含有していてもよい。また、表面粗さを小さくするため、レベリング剤を含有することもできる。
位相差フィルムの幅は、上記片面透明保護フィルム付き偏光板より10%以上小さいことが生産性向上の効果が際立つために好ましい。さらに、その幅が前記偏光板の40〜50%の範囲であれば、片面透明保護フィルム付き偏光板をその半分の幅へスリットすることにより、その双方ともに位相差フィルムとの貼合に用いることができるためより好ましい。
本発明の製造方法では、複合偏光板における位相差フィルムの外面に、粘着剤層が設けられてもよい。その粘着剤層は、液晶セル等の他の部材との貼合に好適に用いることができる。こうしてなる複合偏光板は、通常、液晶セルへの貼合にあたりその位相差フィルム側が液晶セルに向き合うように配置される。
<液晶表示装置>
本発明の製造方法により製造された複合偏光板は、その位相差フィルム側と液晶セルとを粘着層を介して貼合することで、液晶表示装置とすることができる。この複合偏光板を貼合した液晶表示装置の裏面側には、同種の偏光板、または公知の偏光板を貼合することができる。また、貼合される液晶パネルの動作モードは、本発明の複合偏光板の屈折率特性により良好に光学補償されるIPS(In−Plane−Switching)モードが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量または含有量を表す「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。
後述する実施例および比較例において、接着剤、偏光フィルムおよび位相差フィルムとして、次の製造例にて得たものを用いた。
(製造例1:接着剤Aの調製)
水100部に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(クラレポバール KL318、(株)クラレ製)3部と水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(スミレーズレジン 650、住化ケムテックス(株)製)(固形分濃度30%の水溶液)1.5部を添加し、溶解させて接着剤Aを調製した。
(製造例2:接着剤Bの調製)
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート100部、水添ビスフェノールAのジグリシジルエーテル25部、および光カチオン重合開始剤として4,4'−ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィド ビス(ヘキサフルオロホスフェート)(50%プロピレンカーボネート溶液)2.2部(有効成分量)を混合した後、脱泡して、硬化性エポキシ樹脂組成物からなる接着剤Bを調製した。
(製造例3:偏光フィルムの作製)
平均重合度が約2400であり、ケン化度が99.9モル%以上であるポリビニルアルコールからなる厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。
(製造例4:位相差フィルムの作製)
スチレン−無水マレイン酸系共重合樹脂〔ノヴァケミカル社製の「ダイラーク(登録商標)D332」(Tg=131℃)〕をコア層とし、平均粒径200nmのアクリル系ゴム粒子が約20%配合されているメタクリル系樹脂〔住友化学株式会社製の「テクノロイ(登録商標)S001」に使用されている樹脂(Tg=105℃)〕をスキン層として、3層共押出を行ない、コア層の厚みが60μmで、その両面に各々厚みが72μmのスキン層が形成された樹脂3層フィルムを得た。この樹脂3層フィルムを142℃で2倍に延伸して、総厚みが104μm、面内レターデーションが140nm、Nz係数が0.0である負の位相差フィルムを得た。この位相差フィルムにおける各層の膜厚は、コア層が約30μm、各々のスキン層が約37μmであった。また、得られた長尺の位相差フィルムの幅は、720mmであった。
<実施例1>
[工程(A)]
製造例3で得られた偏光フィルムの片面に、表面にケン化処理を施した厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明保護フィルム)を、製造例1で得られた接着剤Aを用いて貼合し、その他方の面には、表面(偏光フィルムとの接着面)が自己粘着性を有するポリエチレンフィルム(剥離性フィルム)を貼合し、その貼合体を60℃で乾燥し、片面に透明保護フィルムが貼合された偏光板を得た。得られた長尺の片面保護フィルム付き偏光板の幅は、1490mmであった。この片面保護フィルム付き偏光板の外観は、乾燥の熱や搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
[工程(B)]
次いで、この片面透明保護フィルム付き偏光板を、スリッター(Model FN25、(株)西村製作所製)を用いて、位相差フィルムの大きさに合わせて長尺方向に沿って裁断(スリット)し、720mm幅の片面保護フィルム付き偏光板を得た。このスリットされた偏光板の外観は、スリット時の剪断や搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
[工程(C)]
製造例4で得られた位相差フィルムの片面に、照射量16.8kJ/m2でコロナ処理を施し、その処理面に製造例2で得られた接着剤Bを塗工した。次いで、上記工程(B)でスリットされた片面保護フィルム付き偏光板からポリエチレンフィルムを剥離除去し、ただちに、片面保護フィルム付き偏光板と位相差フィルムとを、偏光フィルム面と位相差フィルムの接着剤塗工面とが接するように積層し、その積層体に紫外線照射装置(ランプ:Fusion Dランプ、積算光量1000mJ/cm2)で紫外線の照射を行ない、室温で1時間放置して、複合偏光板を得た。こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮きやはがれ、気泡等はなく良好なものであった。また、この複合偏光板から液晶セル貼合用のシートを裁断によって得るにあたり、片面保護フィルム付き偏光板の全面積中96.6%を使用できた。
得られた複合偏光板の位相差フィルム面を、粘着剤シートを用いてソーダガラス(液晶セルの代わりとして使用)に固定し、50℃で20分間のオートクレーブ処理を施して複合偏光板をガラス板に密着させる。この状態で、−35℃の雰囲気に30分置き、次に+85℃の雰囲気に移して30分置くことを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返すヒートショック試験を行なう。実施例1の複合偏光板は、試験後にも欠陥は観察されず、良好な状態を維持している。
<比較例1>
片面保護フィルム付き偏光板をスリットしない以外は、実施例1と同様に複合偏光板を作製した。こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮きやはがれ、気泡等はなく良好なものであった。しかし、実施例1と同様にシートを得るにあたっては、片面保護フィルム付き偏光板の全面積中48.3%しか使用できなかった。
<比較例2>
片面保護フィルム付き偏光板の作製時に、表面(偏光フィルムとの接着面)が自己粘着性を有するポリエチレンフィルムを使用しなかった以外は、実施例1と同様に複合偏光板を作製した。作製した複合偏光板の外観は、片面保護フィルム付き偏光板の作製時および偏光板のスリット時に偏光フィルムが損傷を受けており実用に供せられるものではなかった。
<実施例2>
[工程(A)]
製造例3で得られた偏光フィルムの片面に、表面にケン化処理を施した厚み40μmのトリアセチルセルロースフィルム(透明保護フィルム)を、製造例2で得られた接着剤Bを介して貼合し、その反対側の面には、表面(偏光フィルムとの接着面)が自己粘着性を有するポリエチレンフィルム(剥離性フィルム)を貼合し、紫外線照射装置(ランプ:Fusion Dランプ、積算光量1000mJ/cm2)にて紫外線の照射を行ない、室温で1時間放置して、片面に透明保護フィルムが貼合された偏光板を得た。得られた長尺の片面保護フィルム付き偏光板の幅は、1490mmであった。この片面保護フィルム付き偏光板の外観は、搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
[工程(B)]
次いで、この片面透明保護フィルム付き偏光板を、スリッター(Model FN25、(株)西村製作所製)を用いて、位相差フィルムの大きさに合わせて長尺方向に沿って裁断(スリット)し、720mm幅の片面保護フィルム付き偏光板を得た。このスリットされた偏光板の外観は、スリット時のせん断や搬送ロールとの摩擦を受けたにもかかわらず、キズ、割れ等の損傷もなく良好であった。
[工程(C)]
製造例4で得られた位相差フィルムを用い、実施例1の工程(C)と同様にして、複合偏光板を得た。こうして得られた複合偏光板の外観は、フィルムの浮きやはがれ、気泡等はなく良好なものであった。また、この複合偏光板から液晶セル貼合用のシートを裁断によって得るにあたり、片面保護フィルム付き偏光板の全面積中96.6%を使用できた。
得られた複合偏光板の位相差フィルム面を、粘着剤シートを用いてでソーダガラス(液晶セルの代わりとして使用)に固定し、50℃で20分間のオートクレーブ処理を施して複合偏光板をガラス板に密着させる。この状態で、−35℃の雰囲気に30分置き、次に+85℃の雰囲気に移して30分置くことを1サイクルとし、これを100サイクル繰り返すヒートショック試験を行なう。実施例2の複合偏光板は、試験後にも欠陥は観察されず、良好な状態を維持している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明により得られる複合偏光板は、種々の液晶表示装置における光学部材として広く利用され得るものであり、たとえば、テレビ等の大型液晶表示装置や、コンピュータ用ディスプレイ、カーナビ、携帯電話、携帯端末機器等に用いられる中小型液晶表示装置における光学部材として利用され得るものである。

Claims (6)

  1. スチレン系樹脂からなるコア層と、前記コア層の両面に積層される、ゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層との3層構造を有する延伸フィルムからなる位相差フィルムと、
    前記位相差フィルム上に積層される、偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを有する片面透明保護フィルム付き偏光板と、
    を備える複合偏光板を製造する方法であって、
    (A)偏光フィルムの片面に透明保護フィルムを貼合し、反対側の面に粘着性を有する剥離性フィルムを貼合し、片面透明保護フィルム付き偏光板を作製する工程と、
    (B)前記片面透明保護フィルム付き偏光板を、前記位相差フィルムの幅に合わせて長尺方向に沿って裁断する工程と、
    (C)前記工程(B)で裁断された片面透明保護フィルム付き偏光板の剥離性フィルムを除去するとともに、その偏光フィルム面と前記位相差フィルムとを、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を用いて貼合する工程とを含む、複合偏光板の製造方法。
  2. 前記コア層の膜厚は10〜100μmであり、前記スキン層の膜厚は10〜100μmである、請求項1に記載の複合偏光板の製造方法。
  3. 前記コア層のガラス転移温度は120℃以上であり、前記スキン層のガラス転移温度は120℃以下である、請求項1または2に記載の複合偏光板の製造方法。
  4. 前記位相差フィルムは、その幅が、前記工程(A)において作製される片面透明保護フィルム付き偏光板の幅より10%以上小さいものである、請求項1〜3のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
  5. 前記エポキシ樹脂は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
  6. 前記透明保護フィルムの厚みが20〜300μmである請求項1〜5のいずれかに記載の複合偏光板の製造方法。
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