JP6252470B2 - ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本出願は、2013年3月6日に出願された日本特許出願第2013−044004号および日本特許出願第2013−044005号、並びに、2013年9月30日に出願された日本特許出願第2013−204070号に基づく優先権を主張しており、これらの日本出願に記載されたすべての内容を援用するものである。
本発明はブロック共重合体に関する。より詳しくは、環状ポリアリーレンスルフィドを原料とするポリアリーレンスルフィド共重合体とその製造方法に関する。
ポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略する場合もある)は、優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性、難燃性などエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有する樹脂である。特に、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略する場合もある)樹脂は、射出成形、押出成形により各種成形部品、フィルム、シート、繊維等に成形可能であり、各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品など耐熱性、耐薬品性の要求される分野に幅広く用いられている。
一方で、PPS樹脂は、ナイロンやポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレートなどのエンジニアリングプラスチックと比較して耐衝撃性や靱性、成形加工性の面で劣っており、それらの改善のためこれまでに異種のポリマーとの複合化が試みられてきた。代表的な複合化手法として、PASと他の異種ポリマーとをブレンドしポリマーアロイとする方法や、PASと異種のポリマーとを化学的に結合させてブロック共重合体とする方法などがある。この中でもブロック共重合化は、他の複合化手法と比較して均質かつ微細な相分離構造を形成することが可能であるため、PPS改質手法としてこれまで種々の検討がなされてきた。例えば特許文献1にはポリスルホン成分ブロックを含むPPS共重合体が開示されており、この共重合体はブレンド混合物と比較して曲げ強度や耐衝撃性が向上している。ところで、この共重合体は、まず両末端にクロロ基を有するポリスルホンを合成し、次いでクロロ末端を有するポリスルホン存在下でPPSの重縮合を行うという手法により製造されている。この手法では原理的にホモポリマーの生成・混入やブロック組成分布の偏りが回避できないという問題点があり、均質な共重合体を得るためには依然として課題が残されていた。
その他のPPSとの共重合成分としては、例えばポリフェニレンスルフィドケトン(特許文献2、3)、ポリエーテルスルホン(例えば特許文献4および非特許文献1参照)、ポリスルフィドスルホン(例えば特許文献5参照)、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(例えば特許文献6、7参照)、ポリエーテルイミド(例えば特許文献8参照)、液晶ポリエステル(例えば特許文献9および非特許文献2参照)およびポリエステル(例えば特許文献10および11参照)が開示されている。これらの共重合成分を有するいずれの共重合体も、末端を官能基化したPPSあるいはPPS以外の共重合成分のホモポリマーの存在下に、異種のポリマーを重縮合法により共重合化する方法、あるいはポリマー末端同士を連結して共重合化するという方法により製造されている。そのため、原理的にホモポリマーの生成・混入やブロック組成の偏りなどの課題が残されている。
また、PPS成分ブロックを含む共重合体として、ポリアクリル酸エステルとの共重合体が特許文献12に開示されている。開示文献によれば、ジスルフィド結合を部分的に有するPPSとアクリル酸エステルとをラジカル開始剤の存在下で加熱することにより、ジスルフィド結合へのラジカル連鎖移動反応が起き、その結果、PPSとポリアクリル酸エステルとの共重合体が得られる。一方で、ホモポリマーの混入やブロック組成に関する問題点は解決されておらず、ホモポリマーの除去のために精製操作が必要となり、さらにジスルフィド結合が安定性に乏しいなど産業利用上の課題が多くあるのが現状であった。
前記共重合体の課題を解決し、より均一な共重合体を得るためには、従来手法で製造されるものと比較してより分子量分布の狭いPPS成分ブロック、あるいはPPS成分ブロック以外の共重合成分ブロックを得る必要がある。狭い分子量分布を有するPPSの製造方法として、環状アリーレンスルフィドオリゴマーを原料とし、触媒あるいは開始剤の存在下または非存在下に加熱重合する方法が開示されている(たとえば特許文献13〜15参照)。開示文献によれば、環状アリーレンスルフィドオリゴマーを原料に用いることにより、重縮合法で製造したPPSと比較して分子量分布の狭いPPSが製造可能となるが、このPPSをブロック成分とした共重合体の特性やその製造方法については何ら開示されてはいなかった。
特開昭61−225218号公報 特開平2−133428号公報 特開平2−229857号公報 特開2004−168834号公報 特開平2−235929号公報 特開平2−228325号公報 特開2004−168834号公報 特開昭64−045433号公報 特開平11−222527号公報 特開平4−311725号公報 特開平5−295346号公報 特表平4−505182号公報 特開平5−163349号公報 特開平5−301962号公報 国際公開第2007/034800号
Journal of Applied Polymer Science、61巻、1607〜1614ページ、1996年 Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry、36巻、2707〜2713ページ、1998年
従来手法では合成が困難であった、単峰性の分子量分布を有し、均質な組成分布を有するポリアリーレンスルフィド成分ブロックを含む共重合体を提供すること、またそのような共重合体を得るための手法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題解決のため鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)ブロック共重合体であって、前記ブロック共重合体を構成するブロックとして、環状ポリアリーレンスルフィドを原料とするポリアリーレンスルフィド成分ブロックを含み、前記ブロック共重合体を構成する残りのブロックが、環状化合物を原料とするブロック共重合体。
(2)上記(1)に記載のブロック共重合体であって、前記環状ポリアリーレンスルフィドが、下記一般式(i)
Figure 0006252470
で表される環状ポリフェニレンスルフィドであり、
式中、mは4〜50の整数であり、前記環状ポリフェニレンスルフィドは、同一のmを有する環状ポリフェニレンスルフィド、または、異なるmを有する複数種類の環状ポリフェニレンスルフィドの混合物であるブロック共重合体。
(3)上記(1)または(2)に記載のブロック共重合体であって、前記ポリアリーレンスルフィド成分ブロックが、下記一般式(ii)
Figure 0006252470
で表されるポリフェニレンスルフィド成分ブロックであり、前記残りのブロックが、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホンおよびポリフェニレンエーテルエーテルケトンから選ばれる少なくとも1種のポリマー成分ブロックであり、
式中、xは1以上の整数であるブロック共重合体。
(4)上記(3)に記載のブロック共重合体であって、前記残りのブロックは、下記一般式(iii)
Figure 0006252470
で表される環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを原料とするポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロックを含有し、
式中、nは2〜40の整数であり、前記環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、同一のnを有する環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、または、異なるnを有する複数種類の環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの混合物であるブロック共重合体。
(5)前記一般式(ii)で表されるポリフェニレンスルフィド成分ブロック5〜95重量%および、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホンおよびポリフェニレンエーテルエーテルケトンから選ばれる少なくとも1種のポリマー成分ブロック95〜5重量%からなる、上記(3)に記載のブロック共重合体。
(6)前記一般式(ii)で表されるポリフェニレンスルフィド成分ブロック5〜95重量%および、下記一般式(iv)で表されるポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロック95〜5重量%からなる、上記(5)に記載のポリフェニレンスルフィド−ポリフェニレンエーテルエーテルケトンブロック共重合体。
Figure 0006252470
(式中、yは1以上の整数である。)
(7)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定される最大ピーク分子量が2,000以上2,000,000未満の範囲にあり、かつ前記範囲で単峰性の分子量分布を有する上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のブロック共重合体。
(8)ブロック共重合体の製造方法であって、
(a)環状ポリフェニレンスルフィドを、開始剤存在下で開環重合する工程と、
(b)環状ポリアリーレンスルフィドとは異なる環状化合物を、開始剤存在下で開環重合する工程と、
を備え、
前記(a)工程と前記(b)工程のうちの一方の工程で得られた生成物を、他方の工程の原料である環状化合物と混合して、前記他方の工程を行なう、ブロック共重合体の製造方法。
(9)前記(b)工程で用いられる環状化合物が、環状アミド、環状エステル、環状ポリカーボネート、環状ポリスルホンおよび環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンから選ばれるいずれか1種の環状化合物である上記(8)に記載のブロック共重合体の製造方法。
(10)前記一方の工程は、前記(a)工程である上記(8)または(9)に記載のブロック共重合体の製造方法。
(11)前記(b)工程で用いられる環状化合物が、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンである上記(10)に記載のブロック共重合体の製造方法。
(12)前記一方の工程は前記(b)工程である上記(8)または(9)に記載のブロック共重合体の製造方法。
(13)前記(b)工程で用いられる環状化合物が、環状アミド、環状エステル、環状ポリカーボネートおよび環状ポリスルホンから選ばれる少なくとも1種である上記(12)に記載のブロック共重合体の製造方法。
(14)前記一方の工程で用いる前記開始剤が金属塩である上記(8)〜(13)いずれか1項に記載のブロック共重合体の製造方法。
(15)前記(a)工程および前記(b)工程で進行する前記開環重合がアニオン開環重合である上記(8)〜(14)いずれか1項に記載のブロック共重合体の製造方法。
本発明によれば、ホモポリマーを含まず単峰性の分子量分布を有する均質なポリアリーレンスルフィド成分ブロックを含むブロック共重合体を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の実施形態のブロック共重合体は、少なくとも2つのポリマー成分ブロックを含み、そのうち少なくも1つは環状ポリアリーレンスルフィドを原料とするポリアリーレンスルフィド成分ブロックである。
本発明の実施形態の共重合体を構成する「ポリアリーレンスルフィド成分ブロック」とは、ブロック共重合体を構成する成分ブロックであって、この成分ブロックを構成する繰り返し単位が実質的に環状ポリアリーレンスルフィドを開環した構造である成分ブロックを意味する。ポリアリーレンスルフィド成分ブロックの繰り返し数は特に規定はされないが、例えば1以上が例示でき、2以上が好ましく、中でも5以上が好ましい。また、上記繰り返し数は、10,000以下が例示でき、8,000以下が好ましく、中でも5,000以下が好ましい。この繰り返し数は、後述するポリアリーレンスルフィド成分ブロックを製造する際に、原料である環状ポリアリーレンスルフィドと重合開始剤および/または触媒とのモル比によって調節することが可能である。この繰り返し数は、ポリアリーレンスルフィドを溶解させることが可能な溶剤を溶離液として用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)測定により得られる、絶対分子量が既知のポリスチレン換算のポリアリーレンスルフィド成分ブロックの数平均分子量を、ポリアリーレンスルフィド成分ブロックの繰り返し単位分子量で除した値として得ることが可能である。
本発明の実施形態の共重合体に含有されるポリアリーレンスルフィド成分ブロックの含有量は、共重合体全体に対して5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがさらに好ましい。また、95重量%以下であることが好ましく、90重量%以下がさらに好ましい。この範囲では均一な共重合体が得られやすく、高い耐薬品性などのポリアリーレンスルフィド成分ブロックに由来する性質が発現しやすくなる。
本発明の実施形態に記載の「ポリアリーレンスルフィド成分ブロック以外の成分ブロック」とは、ブロック共重合体を構成する成分ブロックであって、この成分ブロックを構成する繰り返し単位が、環状ポリアリーレンスルフィド以外の環状化合物を開環した構造である成分ブロックを意味する。
本発明の実施形態の共重合体において、ポリアリーレンスルフィド成分ブロックとそれ以外の成分ブロックは、これらが各ブロックの繰り返し単位以外の構造を介して連結されていてもよい。また、各ブロックの繰り返し単位に由来する末端構造同士が直接連結していてもよい。また、同一の繰り返し単位を有するブロックが同一共重合体分子内で複数存在していてもよい。
本発明の実施形態における共重合体を構成するポリアリーレンスルフィド成分ブロックの原料となる環状ポリアリーレンスルフィドとは、式、−(Ar−S)−の繰り返し単位(ただし、Arはアリーレン基)を主要構成単位とする環状化合物である。この環状化合物は、当該繰り返し単位を80モル%以上含有することが好ましい。Arとしては下記式(A)〜式(K)などで表される単位などがあるが、なかでも式(A)が特に好ましい。
Figure 0006252470
(R1およびR2は、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜24のアリーレン基、およびハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい)
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(L)〜(N)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
Figure 0006252470
<環状ポリフェニレンスルフィド>
特に好ましい環状ポリアリーレンスルフィドとしては、主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位を80モル%以上、好ましくは90モル%以上含有する、環状ポリフェニレンスルフィド(以下環状PPSと略する場合がある)が挙げられる。ここで言う環状ポリフェニレンスルフィドとは、下記一般式(v)のごとき環状化合物の単量体もしくは混合物である。環状PPSは、(v)式の環状化合物を少なくとも50重量%以上含むものであり、70重量%以上含むことが好ましく、80重量%以上含むことがより好ましく、90重量%以上含むものがさらに好ましい。
Figure 0006252470
環状PPSに含まれる化合物を表わす前記(v)式中の繰り返し数mに特に制限は無いが、mは、4以上が好ましく、8以上がより好ましい。mが7以下の環状化合物は反応性が低い傾向があるため、短時間でポリフェニレンスルフィド成分ブロックが得られるようになるとの観点で、mを8以上にすることは有利となる。また、繰り返し数mは、50以下が好ましく、25以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。後述するように、環状PPSの加熱によるポリフェニレンスルフィド成分ブロックへの転化は、環状PPSが溶融解する温度以上で行うことが好ましい。mが大きくなると環状PPSの溶融解温度が高くなる傾向にあるため、環状PPSのポリフェニレンスルフィド成分ブロックへの転化をより低い温度で行うことができるようになるとの観点で、mを前記範囲にすることは有利となる。
環状PPSに含まれる前記(v)式の環状化合物は、単一の繰り返し数を有する単独化合物と、異なる繰り返し数を有する環状化合物の混合物とのいずれでもよい。ただし、異なる繰り返し数を有する環状化合物の混合物の方が、単一の繰り返し数を有する単独化合物よりも溶融解温度が低い傾向がある。そのため、異なる繰り返し数を有する環状化合物の混合物の使用は、ポリフェニレンスルフィド成分ブロックへの転化を行う際の温度をより低くできるため好ましい。
環状PPSにおける前記(v)式の環状化合物以外の成分は、ポリフェニレンスルフィドオリゴマーであることが特に好ましい。ここでポリフェニレンスルフィドオリゴマーとは、式、−(Ph−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とするオリゴマーであり(ただし、Phはフェニレン基)、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有する線状のホモオリゴマーまたはコオリゴマーである。ポリフェニレンスルフィドオリゴマーは、少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ph−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。ポリフェニレンスルフィドオリゴマーは、上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。ポリフェニレンスルフィドオリゴマーの分子量に特に制限はないが、重量平均分子量で10,000未満であることが好ましい。
本発明の実施形態のポリフェニレンスルフィド成分ブロックの製造に用いる環状PPSの分子量の上限値は、重量平均分子量で10,000以下が好ましく、5,000以下がより好ましく、3,000以下がさらに好ましい。一方、下限値は重量平均分子量で300以上が好ましく、400以上が好ましく、500以上がさらに好ましい。重量平均分子量が上記範囲にある環状PPSは、溶融粘度および環組成の観点から、ポリアリーレンスルフィド成分ブロックに転化しやすい傾向がある。このような環状ポリフェニレンスルフィドは、例えば国際公開第2008/105438号に開示されている手法により製造することができる。
<環状PPS以外の環状化合物>
ポリフェニレンスルフィド成分ブロック以外のブロック成分の原料として用いる環状化合物としては、繰り返し単位を有する環状ポリマーまたはオリゴマーであっても、ラクタム、ラクトンなどの低分子環状化合物であってもよい。例えば環状のポリマーとしては、環状のポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよびそれらの誘導体が好ましく用いられる。その中でも、ラクタム、ラクトン、環状のポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホンおよびポリフェニレンエーテルエーテルケトンがさらに好適である。使用できる環状ポリマーまたはオリゴマーの分子量に特に制限はないが、環状物そのものや得られる共重合体の溶融粘度の観点から、数平均分子量100,000未満が好ましく、50,000未満がさらに好ましく、10,000以下が特に好ましい。
本発明の実施形態で用いられる環状アミドとしては、環を構成する結合としてアミド結合を有する環状化合物であれば特に制限はない。例えばε−カプロラクタム、ω−ヘプタラクタム、ω−オクタラクタム、ω−ウンデカラクタムおよびω−ラウロラクタム等のラクタム、環状ポリヘキサメチレンアジパミド、環状ポリペンタメチレンアジパミド、環状ポリヘキサメチレンセバカミド、環状ポリヘキサメチレンドデカミド、環状ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、環状ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、環状ポリキシリレンアジパミド、これらの環状コポリマー、並びにこれらの混合物が例示できる。これら環状アミドは、置換基を有していてもよい。これらの中でも、ε−カプロラクタム、ω−ウンデカラクタムおよびω−ラウロラクタムが好適である。
環状エステルとしては、環を構成する結合としてエステル結合を有する環状化合物であれば制限はない。例えばε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−およびβ−ブチロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オン、ラクチド、グリコリド、環状ポリエチレンテレフタレート、環状ポリプロピレンテレフタレート、環状ポリブチレンテレフタレート、環状ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、環状ポリへキシレンテレフタレート、環状ポリエチレンイソフタレート、環状ポリプロピレンイソフタレート、環状ポリブチレンイソフタレート、環状ポリシクロヘキサンジメチレンイソフタレート、環状ポリへキシレンイソフタレート、環状ポリエチレンナフタレート、環状ポリプロピレンナフタレート、環状ポリブチレンナフタレート、環状ポリエチレンテレフタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート、環状ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、環状ポリプロピレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、環状ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、環状ポリエチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、環状ポリプロピレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、環状ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、環状ポリエチレンオキサレート、環状ポリプロピレンオキサレート、環状ポリブチレンオキサレート、環状ポリエチレンサクシネート、環状ポリプロピレンサクシネート、環状ポリブチレンサクシネート、環状ポリエチレンアジペート、環状ポリプロピレンアジペート、環状ポリブチレンアジペート、環状ポリネオペンチルグリコールアジペート、環状ポリエチレンセバケート、環状ポリプロピレンセバケート、環状ポリブチレンセバケートおよびこれらの環状コポリマーまたは環状混合物などが例示できる。これら環状エステルは置換基を有していてもよい。この中でもε−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、ラクチド、グリコリド、環状ポリエチレンテレフタレート、環状ポリプロピレンテレフタレート、および環状ポリブチレンテレフタレートなどの環状ポリアルキレンテレフタレートが好ましく用いられる。このような環状ポリアルキレンテレフタレートは、例えば特開2003−82081号公報に開示の方法などによって製造することが可能であり、特に環状ポリブチレンテレフタレートはCyclics社製CBT(登録商標)として市販品を入手することが可能である。
環状ポリカーボネートとは、環を構成する結合としてカーボネート結合を有する環状化合物である。本発明の実施形態で用いられる化合物の例として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの脂肪族環状カーボネートおよびその誘導体や、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール、5−クロル−3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール、5,7−ジクロル−3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール、5−ブロム−3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドールなどの二価芳香族アルコールから誘導される環状ポリカーボネートおよびその誘導体が挙げられる。中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から誘導される環状ポリカーボネートが特に好ましく用いられる。このような環状ポリカーボネートは、例えばMacromolecules,24巻,3035〜3044頁(1991年)に記載の方法などにより製造することが可能である。
本発明の実施形態において好ましく用いられる環状ポリスルホンは、環を構成する結合としてスルホニル結合を有する環状化合物であれば制限はないが、ジフェニルスルホン構造を構造単位とする環状ポリスルホンが好ましい。特に、ジフェニルスルホン構造がエーテル結合で連結した環状ポリスルホン化合物およびジフェニルスルホン構造と二価芳香族ジオキシ構造が交互に連結した環状ポリスルホン化合物が好ましく用いられる。ここで、二価芳香族ジオキシ構造としては、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、4,4'−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのジヒドロキシフェニルエーテル類、およびこれらの構造異性体から誘導される構造が挙げられ、特にハイドロキノン、4,4'−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン)(ビスフェノール−A)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノール−F)、4,4'−エチリデンビスフェノール(ビスフェノール−E)、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテルから誘導される構造が好ましく、最も好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン)(ビスフェノール−A)から誘導される構造である。このような環状ポリスルホン化合物は、例えば特開平3−088828に開示されている方法などにより製造することが可能である。
本発明の実施形態において好ましく用いられる環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとは、パラフェニレンケトン、およびパラフェニレンエーテルを繰り返し構造単位に持つ、前記一般式(vi)で表される環状化合物である。
Figure 0006252470
前記一般式(vi)における繰り返し数nは、2以上が好ましい。また、繰り返し数nは、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。後述するように環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物のポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロックへの転化は、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が溶融解する温度以上で行うことが好ましい。一方、繰り返し数nが大きくなると環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点が高くなる傾向にあるため、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを低温で溶融解させて、より低い温度でポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロックへ転化させるとの観点から、繰り返し数nを前記範囲にすることが好ましい。
前記一般式(vi)で表される環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、単一の繰り返し数を有する単独化合物、異なる繰り返し数を有する環状化合物の混合物のいずれでもよい。ただし、異なる繰り返し数を有する環状化合物の方が単一の繰り返し数を有する単独化合物よりも融点が低い傾向があり、異なる繰り返し異数を有する環状化合物の混合物の使用はポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロックへの転化を行う際の温度をより低くできるため好ましい。各繰り返し数nを有する環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、高速液体クロマトグラフィーによる成分分割により分析が可能である。さらに環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成、すなわち環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに含まれる各繰り返し数nを有する環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は、高速液体クロマトグラフフィーにおける各環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのピーク面積比率より算出することが可能である。
本発明の実施形態における環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中の環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン以外の成分として、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを主に挙げることができる。環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを60重量%以上含む組成物であり、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの含有量が65重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、75重量%以上であることがよりいっそう好ましい。このような環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を用いることで、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロックを短い加工時間で得られ易くなる。環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物に含有される環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は、高速液体クロマトグラフィーにおける各環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのピーク面積比より算出することが可能である。
このような環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、例えば国際公開第2011/081080号に開示されている手法により製造することができる。
<共重合体の分子量>
本発明の実施形態に記載の共重合体は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定される最大ピーク分子量が、2,000以上であることが好ましく、3,000以上であることがさらに好ましく、5,000以上であることが特に好ましい。また、最大ピーク分子量が2,000,000未満であることが好ましく、1,000,000未満であることがさらに好ましく500,000未満であることが特に好ましい。さらに、最大ピーク分子量は、上記の範囲にあり、かつ前記範囲で単峰性の分子量分布を有することが好ましい。最大ピーク分子量が前記範囲内であれば、得られる共重合体の物性や成形加工性が良好となる。ここでの最大ピーク分子量とは、示差屈折率検出器を備えたSEC装置を用いた測定によって得られるクロマトグラムの最大値に対応する分子量を意味し、横軸を保持時間、縦軸を基質濃度としたクロマトグラムの場合、基質濃度が最大値をとる保持時間を求め、その値を、絶対分子量が既知の標準物質(本実施形態ではポリスチレンが使用される)の測定により得られた分子量と保持時間との関係式に代入することにより求めることが可能である。本実施形態では、SECの測定条件としては、1−クロロナフタレンを溶離液として用い、共重合体を0.05重量%の濃度で溶解させている。SECの測定温度は50〜250℃の範囲が例示でき、カラムや検出器などSEC装置を構成する工程毎に異なっていてもよい。本実施形態では、カラム温度210℃、プレ恒温槽温度250℃、ポンプ恒温槽温度50℃、検出器温度210℃としている。
分子量分布、すなわち重量平均分子量を数平均分子量で除した値は、最大ピーク分子量と同様にSECにより測定することが可能である。分子量分布の値は、1.1以上であることが好ましい。また、分子量分布の値は、10.0以下であることが好ましく、8.0以下がさらに好ましく、5.0以下が特に好ましい。本発明の実施形態の共重合体は、分子量2,000以上2,000,000未満の範囲において単峰性の分子量分布を示すことが好ましい。ここで単峰性とは、前記のSEC測定において得られたクロマトグラムが単一の正の極大値を有することを意味する。この時、分子量2,000以上2,000,000未満の範囲以外には、極大値があってもかまわない。そして、このような分子量分布の場合、ホモポリマーが極めて少なく、また組成分布が均一なブロック共重合体が得られたことを確認できる。
本発明の実施形態の共重合体の分子量は、数平均分子量で2,000以上、好ましくは4,000以上、より好ましくは5,000以上である。また、数平均分子量の上限に特に制限は無いが、2,000,000未満を好ましい範囲として例示でき、より好ましくは500,000未満、更に好ましくは200,000未満である。数平均分子量がこの好ましい範囲にあるとき、高い機械特性及び耐薬品性が得られ易く、成形加工性も良好であるため好ましい。
<共重合体の製造方法>
本発明の実施形態の共重合体は、共重合体を構成する少なくとも2つのポリマー成分ブロックを同時に合成し共重合体を製造する方法、または少なくとも1つのポリマー成分ブロックを合成し、得られたポリマー成分ブロックを原料あるいは開始剤として用いる逐次的な製造方法のいずれによってでも製造することが可能である。このうち、共重合体中へのホモポリマーの混入低減という観点から、逐次的な製造方法が好ましく採用される。以下、本発明の実施形態の共重合体の製造方法を記述する。
本発明の実施形態の共重合体を構成するポリマー成分ブロックは、環状化合物の開環重合により製造される。開環重合は、少なくとも開始剤の存在下に行うことが可能である。そのような開始剤としては、開環重合反応を開始することのできる化合物であれば制限はないが、例えば光重合開始剤、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、遷移金属触媒など公知の開始剤を用いることができる。なかでもアニオン重合開始剤が好ましい。なお、ここでいう開始剤には、開環重合を開始することのできる反応性末端を有する高分子化合物も含まれる。アニオン重合開始剤は、一般に求核性を有し、該開始剤のモノマーへの求核付加を開始反応として、活性種がアニオンの重合を進行していく。本発明の実施形態における環状化合物のアニオン開環重合では、アニオン重合開始剤の求核付加により環状化合物が開環し、アニオン性末端を有する重合物が生成し、生成したアニオンにより更に環状物の開環反応が起きることで、アニオン開環重合が進行していく場合と、環状化合物すなわちモノマーにアニオンが生じ、重合体末端に求核付加する場合とが挙げられる。アニオン重合開始剤としては、アニオン種を発生させることができる化合物であれば制限はないが、無機アルカリ金属塩および無機アルカリ土類金属塩などの無機金属塩、または、有機アルカリ金属塩および有機アルカリ土類金属塩などの有機金属塩を例示することができる。無機アルカリ金属塩および無機アルカリ土類金属塩としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、および塩化リチウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物、水素化リチウム、水素化ナトリウム、および水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、および水酸化バリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、硫化リチウム、硫化ナトリウム、および硫化カリウムなどのアルカリ金属硫化物、水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、および水硫化カリウムなどのアルカリ金属水硫化物、並びに、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属ハロゲン化物およびアルカリ金属硫化物が好ましく用いられる。
有機アルカリ金属塩および有機アルカリ土類金属塩としては、式(vii)で表されるイオン性の化合物が望ましい。
Figure 0006252470
(上式においてoは0〜1の整数、pは1〜4の整数である。)
式(vii)中、Rはメチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルなどの炭素数1〜20のアルキル基およびその誘導体、フェニル、ナフチル、4−フェニルフェニル、3−フェニルフェニル、2−フェニルフェニル、4−フェノキシフェニル、3−フェノキシフェニル、2−フェノキシフェニル、4−ベンゾフェニル、3−ベンゾフェニル、2−ベンゾフェニル、アントリル、フルオレニルなどのアリール基およびその誘導体、並びに、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリスルホンなどのポリマー鎖が好ましい。なかでも、アリール基およびその誘導体と、ポリマー鎖が好ましく例示できる。Xとしては酸素原子、硫黄原子、カルボキシ基、アミド基、およびカーボネート基を例示することができ、これらの組み合わせからなる官能基であってもよい。Mとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、およびセシウムなどのアルカリ金属や、マグネシウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属のモノハロゲン化物が好適である。
上記のようなイオン性化合物としては、例えばナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、セシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、セシウムエトキシド、ナトリウムn−ブトキシド、カリウムn−ブトキシド、リチウムn−ブトキシド、セシウムn−ブトキシド、ナトリウムs−ブトキシド、カリウムs−ブトキシド、リチウムs−ブトキシド、セシウムs−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド、セシウムt−ブトキシド、ナトリウムn−プロポキシド、カリウムn−プロポキシド、リチウムn−プロポキシド、セシウムn−プロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、リチウムイソプロポキシド、セシウムイソプロポキシド、ナトリウムシクロヘキサノレート、カリウムシクロヘキサノレート、リチウムシクロヘキサノレート、セシウムシクロヘキサノレート等の炭素数1〜20の脂肪族アルコールのアルカリ金属塩などの金属アルコキシドや、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、リチウムフェノキシド、セシウムフェノキシド、ナトリウム4−フェニルフェノキシド、カリウム4−フェニルフェノキシド、リチウム4−フェニルフェノキシド、セシウム4−フェニルフェノキシド、ナトリウム4−フェノキシフェノキシド、カリウム4−フェノキシフェノキシド、リチウム4−フェノキシフェノキシド、セシウム4−フェノキシフェノキシド、ナトリウム4−ベンゾイルフェノキシド、カリウム4−ベンゾイルフェノキシド、リチウム4−ベンゾイルフェノキシド、セシウム4−ベンゾイルフェノキシド、ナトリウム2−ベンジルフェノキシド、カリウム2−ベンジルフェノキシド、リチウム2−ベンジルフェノキシド、ナトリウム4−ベンジルフェノキシド、カリウム4−ベンジルフェノキシド、リチウム4−ベンジルフェノキシド等のフェノール類のアルカリ金属塩、4,4−ジヒドロキシビフェニルのナトリウム塩、4,4−ジヒドロキシビフェニルのカリウム塩、4,4−ジヒドロキシビフェニルのリチウム塩、4,4−ジヒドロキシビフェニルのセシウム塩、ビスフェノールAのナトリウム塩、ビスフェノールAのカリウム塩、ビスフェノールAのリチウム塩、ビスフェノールAのセシウム塩などのビフェノール類のアルカリ金属塩などの金属フェノキシドや、ナトリウムベンゼンチオラート、カリウムベンゼンチオラート、リチウムベンゼンチオラート、セシウムベンゼンチオラート、ナトリウム4−フェニルベンゼンチオラート、カリウム4−フェニルベンゼンチオラート、リチウム4−フェニルベンゼンチオラート、セシウム4−フェニルベンゼンチオラート、ナトリウム4−フェノキシベンゼンチオラート、カリウム4−フェノキシベンゼンチオラート、リチウム4−フェノキシベンゼンチオラート、セシウム4−フェノキシベンゼンチオラート、ナトリウム4−ベンゾイルベンゼンチオラート、カリウム4−ベンゾイルベンゼンチオラート、リチウム4−ベンゾイルベンゼンチオラート、セシウム4−ベンゾイルベンゼンチオラート、ナトリウム2−ベンジルベンゼンチオラート、カリウム2−ベンジルベンゼンチオラート、リチウム2−ベンジルベンゼンチオラート、ナトリウム4−ベンジルベンゼンチオラート、カリウム4−ベンジルベンゼンチオラート、リチウム4−ベンジルベンゼンチオラート、4,4−ビフェニルジチオールのナトリウム塩、4,4−ビフェニルジチオールのカリウム塩、4,4−ビフェニルジチオールのリチウム塩、4,4−ビフェニルジチオールのセシウム塩などのチオール類のアルカリ金属塩が挙げられる。
本発明の実施形態で使用する開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。使用する開始剤の量は、目的とするポリマー成分ブロックの分子量や、開始剤と共に触媒を用いる場合には触媒の種類により異なる。開始剤の量は、通常は、目的とするポリマー成分ブロックを構成する主要繰り返し単位1モルに対して、開始剤が発生しうるアニオン濃度として0.001モル%以上とすればよく、0.005モル%以上が好ましく、0.01モル%以上がさらに好ましい。また、20モル%以下とすればよく、15モル%以下が好ましく、10モル%以下がさらに好ましい。この好ましい範囲の開始剤量を添加することにより、開環重合が短時間で進行する傾向にある。
また、開環反応を促進させることが可能な触媒としてスズ、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第二スズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、2−エチルヘキシル酸スズ、ステアリン酸スズ、テトラフェニルスズ、スズメトキシド、スズエトキシド、スズプロポキシド、スズブトキシド、および1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンなどのスズ化合物、アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムイソプロポキシド、およびアルミニウムーイミン錯体四塩化チタンなどのアルミニウム化合物、チタン、オルトチタン酸テトラメチル、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトラプロピル、オルトチタン酸テトライソプロピル、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル、オルトチタン酸テトライソブチル、オルトチタン酸テトラ−t−ブチル、オルトチタン酸テトラ(2−エチルヘキシル)、オルトチタン酸テトラオクタデシルやチタニウム(IV)オキシアセチルアセトナート、チタニウム(IV)ジイシプロポキシビスアセチルアセトナート、およびチタン酸グリコールなどのチタン化合物、亜鉛、塩化亜鉛、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、およびジエチル亜鉛などの亜鉛化合物、アンチモン、三酸化アンチモン、三臭化アンチモン、および酢酸アンチモンなどのアンチモン化合物、ゲルマニウムおよび酸化ゲルマニウムなどのゲルマニウム化合物、並びに、マンガン、酸化マンガン、炭酸マンガン、および酢酸マンガンなどのマンガン化合物等が挙げられ、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の実施形態の共重合体は、前述のごとく製造されたアニオン性、カチオン性あるいはその他の開環重合を開始しうる反応性末端を有するポリマー成分ブロックの存在下で、前記ポリマー成分ブロックの繰り返し構造単位とは異なる構造を有する環状化合物を開環重合することにより好ましく製造される。
また本発明の実施形態の共重合体の製造方法は、下記(a)および(b)の工程を含むことが好ましい。
(a)前記一般式(v)で表される環状ポリフェニレンスルフィドを、開始剤存在下で開環重合する工程。
(b)環状アミド、環状エステル、環状ポリカーボネート、環状ポリスルホンおよび環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンから選ばれるいずれか1種の環状化合物を、開始剤の存在下で開環重合する工程。
なお、(a)と(b)の工程は、互いに独立した工程であってもよく、(a)および(b)工程のうちの一方で製造されたポリマー成分ブロックを、他方の工程の開始剤として用いてもよい。ホモポリマーの混入がない均一な共重合体を得るという観点から、(a)および(b)工程のうちの一方で製造されたポリマー成分ブロックを、他方の工程の開始剤として用いる製造方法が好ましく例示できる。
上記(a)の工程において、環状ポリフェニレンスルフィドを開環重合する際の加熱温度は、特に制限はないが、環状ポリフェニレンスルフィドが溶融解する温度であることが好ましい。加熱温度が環状ポリフェニレンスルフィドの溶融解温度未満では、ポリフェニレンスルフィド成分ブロックを得るのに長時間が必要となる傾向がある。なお、環状ポリフェニレンスルフィドが溶融解する温度は、環状ポリフェニレンスルフィドの組成や分子量や、加熱時の環境により変化するため、一意的に示すことはできないが、例えば環状ポリフェニレンスルフィドを示差走査型熱量計で分析することにより溶融解温度を把握することが可能である。加熱温度の下限としては、180℃以上が例示でき、好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上、さらに好ましくは240℃以上である。この温度範囲では、環状ポリフェニレンスルフィドが溶融解し、短時間でポリフェニレンスルフィド成分ブロックを得ることができる。一方、温度が高すぎると、環状ポリフェニレンスルフィド間、加熱により生成したポリフェニレンスルフィド成分ブロック間、及びポリフェニレンスルフィド成分ブロックと環状ポリフェニレンスルフィド間などでの架橋反応や分解反応に代表される好ましくない副反応が生じやすくなる傾向にある。その結果、得られるポリフェニレンスルフィド成分ブロックや共重合体の特性が低下する場合があるため、このような好ましくない副反応が顕著に生じる温度は避けることが望ましい。加熱温度の上限としては、400℃以下が例示でき、好ましくは380℃以下、より好ましくは360℃以下である。この温度以下では、好ましくない副反応による得られるポリフェニレンスルフィド成分ブロックや共重合体の特性への悪影響を抑制できる傾向にあり、前述した特性を有するポリフェニレンスルフィド成分ブロックを得ることができる。
上記(a)工程において、環状ポリフェニレンスルフィドを開環重合する際の反応時間(加熱時間)は、使用する環状ポリフェニレンスルフィドにおける環状化合物の含有率や繰り返し数(m)、分子量などの各種特性、使用する重合開始剤、触媒の種類、および加熱の温度などの条件によって異なるため一様には規定できないが、前記した好ましくない副反応がなるべく起こらないように設定することが好ましい。加熱時間としては0.01時間以上が例示でき、0.05時間以上が好ましい。0.01時間以上では、環状ポリフェニレンスルフィドはポリフェニレンスルフィド成分ブロックへ十分に転化できる傾向にある。また、100時間以下が例示でき、20時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましい。さらに、加熱時間は2時間以下としてもよく、さらに、1時間以下、0.5時間以下、0.3時間以下、0.2時間以下が例示できる。100時間以下では、好ましくない副反応による得られるポリフェニレンスルフィド成分ブロックの特性への悪影響を抑制できる傾向にある。
上記(a)工程において、環状ポリフェニレンスルフィドの加熱は、実質的に溶媒を含まない条件下で行うことも可能である。このような条件下で行う場合、短時間での昇温が可能であり、反応速度が高く、短時間でポリフェニレンスルフィド成分ブロックを得やすくなる傾向がある。ここで実質的に溶媒を含まない条件とは、環状ポリフェニレンスルフィド中の溶媒が10重量%以下であることを指し、3重量%以下がより好ましい。
上記(a)工程において、前記加熱は、通常の重合反応装置を用いる方法で行うのはもちろんのこと、成形品を製造する型内で行ってもよいし、押出機や溶融混練機を用いて行ってもよい。加熱機構を具備した装置であれば特に制限なく行うことが可能であり、バッチ方式、連続方式など公知の方法が採用できる。
環状ポリフェニレンスルフィドの加熱の際の雰囲気は、非酸化性雰囲気で行うことが好ましく、減圧条件下で行うことも好ましい。減圧条件下で行う場合、反応系内の雰囲気を一度非酸化性雰囲気としてから減圧条件にすることが好ましい。これにより環状ポリフェニレンスルフィド間、加熱により生成したポリフェニレンスルフィド成分ブロック間、及びポリフェニレンスルフィド成分ブロックと環状ポリフェニレンスルフィド間などで架橋反応や分解反応などの好ましくない副反応の発生を抑制できる傾向にある。なお、非酸化性雰囲気とは、環状ポリフェニレンスルフィドが接する気相における酸素濃度が5体積%以下であることを指し、酸素濃度が2体積%以下であることが好ましく、酸素を実質的に含有しないことがさらに好ましい。具体的には、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気であることが好ましい。この中でも特に、経済性及び取扱いの容易さの面からは窒素雰囲気が好ましい。減圧条件下とは、反応を行う系内の圧力が大気圧よりも低いことを指す。系内の圧力の上限として50kPa以下が好ましく、20kPa以下がより好ましく、10kPa以下がさらに好ましい。下限としては0.1kPa以上が例示でき、0.2kPa以上がより好ましい。減圧条件の圧力が好ましい下限以上では、環状ポリフェニレンスルフィドを含む分子量の低い環状化合物が揮散しにくく、一方、好ましい上限以下では、架橋反応など好ましくない副反応が起こりにくい傾向にある。したがって、上記した好ましい減圧条件を採用することで、前述した特性を有するポリフェニレンスルフィド成分ブロックを得ることが容易になる。
上記(b)工程において、環状アミド化合物を開環重合する際の加熱温度は、原料である環状アミドと、開環重合の結果生成するポリアミド成分ブロックあるいは共重合体とが均一に溶融解する温度であれば特に制限はない。加熱温度が、環状アミド化合物およびポリアミド成分ブロックあるいは共重合体の均一化温度以上では、高重合度のポリアミド成分ブロックを短時間で得易くなる傾向がある。そのため、加熱温度は、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。なお、均一化する温度は、環状アミド化合物の構造や分子量、および加熱時の環境により変化するため一意的に示すことはできないが、例えば環状アミド化合物と重合開始剤を窒素雰囲気下の試験管に封入し、試験管を加熱しながら観察することで把握することが可能である。また、加熱温度が高すぎると組成物中の環状アミド化合物の分解や架橋によるゲル化などの好ましくない副反応が生じやすくなる傾向にあり、ポリアミド成分ブロックや共重合体が得られない、または得られるポリアミド成分ブロックの特性が低下する場合がある。そのため、加熱温度は、380℃以下が好ましく、360℃以下がより好ましく、340℃以下がさらに好ましい。反応は一定温度で行っても、段階的あるいは連続的に温度を変化させてもよい。また、得られたポリアミド成分ブロックを上記(a)の工程で用いる場合には、環状アミド化合物の反応中の揮発を抑制し易く、十分な反応が得られやすいため好ましい。
上記(b)工程において、環状エステル化合物あるいは環状カーボネート化合物を開環重合する際の温度は、原料である環状化合物および開環重合の結果生成するポリマー成分ブロックあるいは共重合体が均一に溶融解する温度であれば特に制限はない。環状エステル、環状カーボネートが溶融解する温度は、環状物の種類や分子量、および加熱時の環境により変化するため一意的に示すことはできないが、例えば環状物を示差走査型熱量計で分析することで溶融解温度を把握することが可能である。加熱温度の下限としては、80℃以上が例示でき、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。この温度以上では開環重合が進行しやすく、高転化率かつ高分子量のポリマーが得られやすい。加熱温度の上限としては、400℃以下が例示でき、好ましくは380℃以下、より好ましくは360℃以下、さらに好ましくは340℃以下である。この温度以下では、バックバイティング反応による解重合やゲル化などの好ましくない副反応を抑制し易くなる。また、得られたポリエステル成分ブロックあるいはポリカーボネート成分ブロックを上記(a)の工程で用いる場合には、均一な共重合体を得られ易いため好ましい。
上記(b)工程において、環状スルホン化合物を開環重合する際の温度は、環状物の種類や分子量、および加熱時の環境により変化するため一意的に示すことはできないが、例えば融点顕微鏡やホットステージを備えた光学顕微鏡により融解あるいは軟化挙動を観察することにより把握することが可能である。加熱温度の下限としては、80℃以上が例示でき、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。この温度以上では開環重合が進行しやすく、高転化率かつ高分子量のポリマーが得られやすい。加熱温度の上限としては、400℃以下が例示でき、好ましくは380℃以下、より好ましくは360℃以下、さらに好ましくは340℃以下である。また、得られたポリスルホン成分ブロックを上記(a)の工程で用いることにより、均一な共重合体を得られ易いため好ましい。
上記(b)工程において、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを開環重合する際の温度は、環状物の種類や組成や分子量、および加熱時の環境により変化するため、一意的に示すことはできないが、例えば上記環状化合物を示差走査型熱量計で分析することで融点を把握することが可能である。加熱温度の下限としては、180℃以上が例示でき、好ましくは200℃以上、より好ましくは220℃以上、さらに好ましくは240℃以上である。この温度範囲では、上記環状化合物が溶融解し、短時間で共重合体を得ることができる。一方、温度が高すぎると原料及び生成物間などでの架橋反応や分解反応に代表される好ましくない副反応が生じやすくなる傾向にあり、得られる共重合体の特性が低下する場合があるため、このような好ましくない副反応が顕著に生じる温度は避けることが望ましい。加熱温度の上限としては、400℃以下が例示でき、好ましくは360℃以下である。この温度以下では、好ましくない副反応による得られる共重合体の特性への悪影響を抑制できる傾向にあり、前述した特性を有する共重合体を得ることができる。また、本発明の実施形態におけるポリフェニレンスルフィド−ポリフェニレンエーテルエーテルケトンブロック共重合体を製造するに際して、上記(a)の工程で得られた生成物を、上記(b)の工程で用いることで、均一な共重合体を得られ易いため、好ましい。
上記(b)工程において、反応時間は使用する環状化合物の種類や分子量などの各種特性、使用する重合開始剤や触媒の種類、および加熱の温度などの条件によって異なるため一様には規定できないが、好ましくない副反応がなるべく起こらないように設定することが好ましい。加熱時間としては、例えば0.01時間以上が例示でき、0.05時間以上が好ましい。また、100時間以下が例示でき、20時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましい。
上記(b)工程において、環状化合物の開環重合は、実質的に溶媒を含まない条件下で行うことも可能である。このような条件下で行う場合、短時間での昇温が可能であり、反応速度が高く、短時間でポリマー成分ブロックを得やすくなる傾向がある。ここで実質的に溶媒を含まない条件とは、環状化合物中の溶媒が10重量%以下であることを指し、3重量%以下がより好ましい。
上記(b)工程において、前記加熱は、通常の重合反応装置を用いる方法で行うのはもちろんのこと、成形品を製造する型内で行ってもよいし、押出機や溶融混練機を用いて行ってもよい。加熱機構を具備した装置であれば特に制限なく行うことが可能であり、バッチ方式、連続方式など公知の方法が採用できる。
上記(b)工程において、環状化合物の加熱の際の雰囲気は非酸化性雰囲気で行うことが好ましく、減圧条件下で行うことも好ましい。減圧条件下で行う場合、反応系内の雰囲気を一度非酸化性雰囲気としてから減圧条件にすることが好ましい。これにより架橋反応や分解反応などの好ましくない副反応の発生を抑制できる傾向にある。なお、非酸化性雰囲気とは環状化合物が接する気相における酸素濃度が5体積%以下であることを指し、酸素濃度が2体積%以下であることが好ましく、酸素を実質的に含有しないことがさらに好ましい。具体的には、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気であることが好ましい。この中でも特に経済性及び取扱いの容易さの面からは窒素雰囲気が好ましい。減圧条件下とは、反応を行う系内の圧力が大気圧よりも低いことを指す。系内の圧力の上限として50kPa以下が好ましく、20kPa以下がより好ましく、10kPa以下がさらに好ましい。下限としては0.1kPa以上が例示でき、0.2kPa以上がより好ましい。
(a)工程および/または(b)工程における環状化合物の加熱は、繊維状物質の共存下で行うことも可能である。ここで繊維状物質とは細い糸状の物質のことであって、天然繊維のごとく細長く引き延ばされた構造である任意の物質が好ましい。繊維状物質の存在下で環状化合物の共重合体あるいはポリマー成分ブロックへの転化を行うことで、得られるポリマーと繊維状物質からなる複合材料構造体を容易に作製することができる。このような構造体は、繊維状物質によって補強されるため、ポリマー単独の場合に比べて、例えば機械物性に優れる傾向にある。
各種繊維状物質の中でも長繊維からなる強化繊維を用いることが好ましく、これによりポリマーを高度に強化することが可能になる。一般に樹脂と繊維状物質からなる複合材料構造体を作製する際には、樹脂が溶融した際の粘度が高いことに起因して、樹脂と繊維状物質のぬれが悪くなる傾向にあり、均一な複合材料ができず期待通りの機械物性が発現しないことが多い。ここでぬれとは、溶融樹脂のごとき流体物質と、繊維状化合物のごとき固体基質との間に、実質的に空気または他のガスが捕捉されないように、物理的状態が良好であり、かつ維持された接触があることを意味する。流体物質の粘度が低い方が繊維状物質とのぬれは良好になる傾向にある。本発明の実施形態の環状化合物は、融解した際の粘度が一般的な熱可塑性樹脂と比べて著しく低いため、繊維状物質とのぬれが良好になりやすい傾向にある。環状化合物と繊維状物質が良好なぬれを形成した後、本発明の実施形態の共重合体の製造方法によって環状化合物をポリマーに転化することで、繊維状物質と共重合体が良好なぬれを形成した複合材料構造体を容易に得ることができる。
繊維状物質としては長繊維からなる強化繊維が好ましいことは前述した通りであり、本発明の実施形態に用いられる強化繊維に特に制限はない。好適に用いられる強化繊維としては、一般に、高性能強化繊維として用いられる耐熱性および引張強度の良好な繊維が挙げられる。例えば、その強化繊維には、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維が挙げられる。このうち、比強度、比弾性率が良好で、軽量化に大きな寄与が認められる炭素繊維や黒鉛繊維が最も良好なものとして例示できる。炭素繊維や黒鉛繊維は用途に応じて、あらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、引張強度450Kgf/mm2、引張進度1.6%以上の高強度高伸度炭素繊維が最も適している。長繊維状の強化繊維を用いる場合、その長さは5cm以上であることが好ましい。この長さの範囲では、強化繊維の強度を複合材料として十分に発現させることが容易となる。炭素繊維や黒鉛繊維は、他の強化繊維を混合して用いても構わない。強化繊維は、その形状や配列を限定されず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物状、組み紐状であても使用可能である。特に比強度、比弾性率が高いことを要求される用途には、強化繊維が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易なクロス(織物)状の配列も本発明の実施形態には適している。
前記した環状化合物の共重合体あるいはポリマー成分ブロックへの転化は、充填剤の存在下で行うことも可能である。充填剤としては、例えば非繊維状ガラス、非繊維状炭素や、無機充填剤、例えば炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナなどを例示できる。
本発明の実施形態のポリアリーレンスルフィド成分ブロックを含有する共重合体は、ポリアリーレンスルフィドの耐熱、耐溶剤特性と、ブロック化による均一なミクロ分離構造に由来する高い物性を有するという特徴から、自動車部品、電気・電子部品、建築部材、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途や繊維、フィルム、シートに利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、これらは例示的なものであって限定的なものではない。
[分子量測定]
環状ポリフェニレンスルフィド、環状ポリフェニレンスルフィド成分ブロック、その他の成分ブロック、共重合体の各平均分子量、および最大ピーク分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によりポリスチレン換算で算出した。測定条件を以下に示す。
装置:株式会社センシュー科学 SSC−7100
カラム:株式会社センシュー科学 GPC3506
溶離液:1−クロロナフタレン
検出器:示差屈折率検出器
カラム温度:210℃
プレ恒温槽温度:250℃
ポンプ恒温槽温度:50℃
検出器温度:210℃
流速:1.0mL/min
試料注入量:300μL
尚、共重合体にポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロックが含まれる場合には、溶離液としてp−クロロフェノール/1−クロロナフタレン=1/1(容積比)を用いた。
分子量分布形状については、上記SEC測定により得られたクロマトグラムが、分子量2,000〜2,000,000の領域で正の極大値を一つ有する場合を単峰性、複数有する場合を多峰性と評価した。
[溶融時均一性評価]
リンカム社製の顕微鏡用加熱ステージTH−600PM上に、ポリマーをカバーグラスに挟んで静置した。昇温速度90℃/分で25℃から300℃に昇温し、5分間滞留後の相分離状態を、株式会社ニコン インストルメンツカンパニー社製の位相差光学顕微鏡OPTIPHOT XF−Ph(倍率50倍)で観察した。溶融時均一性の評価は以下の基準で判断した。
均一:相分離サイズが1μm以下の均一な一相状態
不均一:数〜数十μmオーダーで粗大相分離している状態
[共重合体中の環状ポリフェニレンスルフィドまたは環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの消費率、および環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中の含有環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成の算出]
共重合体中の環状ポリフェニレンスルフィドまたは環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率、および環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中の含有環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成は、以下のようにして求めた。共重合体あるいは組成物を、p−クロロフェノール/1−クロロナフタレン=6/4(v/v)混合溶媒に220℃加熱下で溶解させ、テトラヒドロフラン(THF)で希釈し、孔径0.45μmのメンブレンフィルターで濾過したものを、高速液体クロマトグラフィーにより下記条件にて測定して算出した。
装置 :株式会社島津製作所製 LC−10Avpシリーズ
カラム :Mightysil RP−18GP150−4.6
検出器 :フォトダイオードアレイ検出器(UV=270nmを使用)
カラム温度 :40℃
サンプル濃度:0.02重量%テトラヒドロフラン(THF)溶液
移動相 :THF/0.1重量%トリフルオロ酢酸水溶液
なお、共重合体中の環状ポリフェニレンスルフィドまたは環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの消費率は、下式より算出した。
(共重合体中の環状ポリフェニレンスルフィドまたは環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの消費率)(%)=100−(共重合体中の環状ポリフェニレンスルフィドまたは環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率)(%)
[融点・降温結晶化温度測定]
示差走査型熱量分析装置として、セイコー電子工業株式会社製のロボットDSC RDC220を用い、窒素雰囲気下、得られたポリマーの熱的特性を測定した。下記測定条件を用い、融点としてはSecond Runの吸熱ピークの値を用い、降温結晶化温度としてはFirst Runの発熱ピークの値を用いた。
(First Run)
・50℃×1分 ホールド
・50℃から380℃へ昇温,昇温速度20℃/分
・昇温後×1分 ホールド
・50℃へ降温,降温速度20℃/分
(Second Run)
・50℃×1分 ホールド
・ 50℃から380℃へ昇温,昇温速度20℃/分
[耐薬品性]
得られた共重合体の耐薬品性評価のため、共重合体500mgに、ヘキサフルオロイソプロパノール、ジクロロメタン、N−メチル−2−ピロリドンおよびp−クロロフェノールから選択される1種の溶媒を20mL加え、80℃で2時間撹拌して、不溶成分を除去した。さらに溶媒を真空除去により除いて、溶媒中に溶解していた可溶成分を得て、共重合体中の可溶成分の重量分率を算出した。得られた可溶成分の重量分率が低いほど、共重合体は耐薬品性に優れていると言える。
[参考例1]環状ポリフェニレンスルフィド
攪拌機を具備したステンレス製オートクレーブに、水硫化ナトリウムの48重量%水溶液を140.3g(1.20モル)、96%水酸化ナトリウムを用いて調製した水酸化ナトリウムの48重量%水溶液125.0g(1.44モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)6,150g、及びp−ジクロロベンゼン(p−DCB)180.8g(1.23モル)を仕込んだ。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素ガス下に密封した。
400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで約1時間かけて昇温した。この段階で、反応容器内の圧力はゲージ圧で0.35MPaであった。次いで200℃から270℃まで約30分かけて昇温した。この段階の反応容器内の圧力はゲージ圧で1.05MPaであった。270℃で1時間保持した後、室温近傍まで急冷してから内容物を回収した。
得られた内容物をガスクロマトグラフィー及び高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、モノマーのp−DCBの消費率は93%、反応混合物中のイオウ成分がすべて環状PPSに転化すると仮定した場合の環状PPS生成率は18.5%であることがわかった。
得られた内容物5,000gを約15,000gのイオン交換水で希釈したのちに平均目開き10〜16μmのガラスフィルターで濾過した。フィルターオン成分を約3,000gのイオン交換水に分散させ、70℃で30分攪拌し、再度前記同様の濾過を行う操作を計3回行い、白色固体を得た。これを80℃で一晩真空乾燥し、乾燥固体を得た。
得られた固形物を、クロロホルムを用い70℃で約5時間ソックスレー抽出を行うことで、固形分に含まれる低分子量成分を分離した。
クロロホルム抽出操作にて得られた抽出液から溶媒を除去した後、約50gのクロロホルムを加えてスラリーを調製し、これを約1,500gのメタノールに攪拌しながら滴下した。これにより得られた沈殿物を濾過回収し、70℃で5時間真空乾燥を行い、11.9gの白色粉末を得た。この白色粉末は赤外分光分析における吸収スペクトルよりフェニレンスルフィド単位からなる化合物であることを確認した。また、高速液体クロマトグラフィーにより成分分割した成分のマススペクトル分析(装置:日立製M−1200H)、さらにMALDI−TOF−MSによる分子量情報より、この白色粉末はp−フェニレンスルフィド単位を主要構成単位とし、繰り返し単位数4〜13の環状化合物を約98重量%含む環状ポリフェニレンスルフィドであることが判明した。以下、この白色粉末を、参考例1の環状ポリフェニレンスルフィド(cPPS)と呼ぶ。なお、SEC測定を行った結果、参考例1の環状ポリフェニレンスルフィドは、室温で1−クロロナフタレンに全溶であり、重量平均分子量は900であった。
[参考例2]環状ポリフェニレンスルフィド
攪拌機を具備したステンレス製オートクレーブに、水硫化ナトリウムの48重量%水溶液を28.06g(0.24モル)、96%水酸化ナトリウムを用いて調製した水酸化ナトリウムの48重量%水溶液25.00g(0.29モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)1167g、及びp−ジクロロベンゼン(p−DCB)36.16g(0.25モル)を仕込んだ。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素ガス下に密封した。
400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで約1時間かけて昇温した。次いで200℃から250℃まで約30分かけて昇温した。この段階の反応容器内の圧力はゲージ圧で0.54MPaであった。250℃で2時間保持した後、室温近傍まで急冷してから内容物を回収した。
得られた内容物をガスクロマトグラフィー及び高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、モノマーのp−DCBの消費率は96%、反応混合物中のイオウ成分がすべて環状PPSに転化すると仮定した場合の環状PPS生成率は16%であることがわかった。
得られた内容物500gを約1500gのイオン交換水で希釈したのちに平均目開き10〜16μmのガラスフィルターで濾過した。フィルターオン成分を約300gのイオン交換水に分散させ、70℃で30分攪拌し、再度前記同様の濾過を行う操作を計3回行い、白色固体を得た。これを80℃で一晩真空乾燥し、乾燥固体を得た。
得られた固形物をクロロホルムを用い70℃で約5時間ソックスレー抽出を行うことで、固形分に含まれる低分子量成分を分離した。
クロロホルム抽出操作にて得られた抽出液から溶媒を除去した後、約5gのクロロホルムを加えてスラリーを調製し、これを約150gのメタノールに攪拌しながら滴下した。これにより得られた沈殿物を濾過回収し、70℃で5時間真空乾燥を行い、11.2gの白色粉末を得た。この白色粉末は赤外分光分析における吸収スペクトルよりフェニレンスルフィド単位からなる化合物であることを確認した。また、高速液体クロマトグラフィーにより成分分割した成分のマススペクトル分析(装置;日立製M−1200H)、さらにMALDI−TOF−MSによる分子量情報より、この白色粉末はp−フェニレンスルフィド単位を主要構成単位とし、繰り返し単位数4〜13の環状化合物を約96重量%含む環状ポリフェニレンスルフィドであることが判明した。以下、この白色粉末を、参考例2の環状ポリフェニレンスルフィド(cPPS)と呼ぶ。なお、SEC測定を行った結果、参考例2の環状ポリフェニレンスルフィドは、室温で1−クロロナフタレンに全溶であり、重量平均分子量は900であった。
[参考例3]環状ポリカーボネート
参考例3の環状ポリカーボネートは、Macromolecules,24巻,3037頁(1991年)に記載の方法で合成した。
撹拌翼および冷却管を備えた1L三口ナスフラスコに、ジクロロメタン200mL、蒸留水7mL、9.75M水酸化ナトリウム水溶液3mLおよびトリエチルアミン2.4mLを投入した。混合溶液を30℃に保ち、400rpmで撹拌しながらビスフェノールAビス(クロロホルメート)の1.0Mジクロロメタン溶液200mLを、チューブポンプを用いて5.7mL/分の速度で系内に添加した。同時に9.75M水酸化ナトリウム水溶液59mLを滴下ロートを用いて25分かけて滴下し、トリエチルアミン2.4mLを、シリンジポンプを用いて28分かけて滴下した。ビスフェノールAビス(クロロホルメート)を添加終了後、10分間撹拌を行った後、撹拌を停止し有機層を取り出した。有機層を1.0M塩酸で洗浄後、蒸留水で3回洗浄した。有機層を濃縮乾固し、得られた粗生成物を良溶媒としてアセトン、貧溶媒として水を用いた沈殿操作を行い、得られた生成物を80℃で12時間真空乾燥し、白色固体36.2g(収率71.2%)を得た。得られた白色固体は、1H−NMR、FT−IRおよび高速液体クロマトグラフィーによる分析により、2〜15量体の環状ポリカーボネートであることが分かった。以下、この白色固体を、参考例3の環状ポリカーボネートと呼ぶ。
[参考例4]環状ポリスルホン
参考例4の環状ポリスルホンは、特開平3−088828に記載の方法で合成した。
撹拌翼、冷却管およびディーン・スターク装置を備えた5L三口ナスフラスコに、1,500mLのジメチルスルホキシドおよび800mLのトルエンを加え、混合溶液を撹拌しながら135℃で加熱還流した。加熱還流しながら、ビス(4−フルオロフェニル)スルホンの0.5Mジメチルスルホキシド溶液100mLと、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンジナトリウム塩の0.5M水溶液100mLを、0.33mL/分の速度でメタロールポンプを用いて同時に添加した。留出する水/トルエン共沸物をディーン・スターク装置で留去すると同時に、濃度を一定に保つために留出したトルエンを追加しながら、15時間加熱を続けた。反応混合物を室温まで冷却した後、5mLの無水酢酸を添加した。反応溶液を200mLに濃縮した後、約3000mLの水中に滴下し、生じた沈殿物をろ過により回収し、メタノールで数回洗浄した。得られた白色固体を80℃で6時間加熱乾燥した。得られた粗生成物20gを100mLのジメチルホルムアミドに投入し、生じた白色沈殿物をろ別し、メタノールで洗浄した。生成物を80℃の真空乾燥機で12時間乾燥し、白色固体5.2g(収率22.4%)を得た。得られた白色固体は、1H−NMR、FT−IRおよび高速液体クロマトグラフィーによる分析により、4〜6量体の環状ポリスルホンであることが分かった。以下、この白色固体を、参考例4の環状ポリスルホンと呼ぶ。
[参考例5]環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物
攪拌機を具備したステンレス製オートクレーブに、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン10.91g(0.05モル)、ヒドロキノン5.51g(0.05モル)、無水炭酸カリウム6.91g(0.05モル)、およびN−メチル−2−ピロリドン486gを仕込んだ。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素ガス下に密封した。
400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し、140℃で1時間保持した。その後180℃にまで昇温して180℃で3時間保持し、その後230℃にまで昇温して230℃で5時間保持した後、室温近傍まで冷却してから内容物を回収した。
得られた内容物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈し、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより高速液体クロマトグラフィー分析サンプルを調製し、反応混合物の分析を行った。結果、繰り返し数m=2〜8の7種類の環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認した。
このようにして得られた上記内容物50gに、1重量%酢酸水溶液150gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過してフィルターオン成分を得た。フィルターオン成分を50gのイオン交換水に分散させ70℃で30分撹拌し、再度前記同様の濾過を行う操作を計3回行い、白色固体を得た。これを80℃で一晩真空乾燥し、乾燥固体を得た。
得られた乾燥固体を円筒濾紙に仕込み、溶剤としてクロロホルムを用いて約5時間ソックスレー抽出を行うことで乾燥固体に含まれる低分子量成分を分離した。
クロロホルム抽出操作にて得られた抽出液から溶媒を除去した後、約2gのクロロホルムを加えてスラリーを調製し、これを約30gのメタノールに撹拌しながら滴下した。これにより得られた沈殿物を濾過回収し、70℃で5時間真空乾燥を行い、白色固体を得た。この白色粉末は赤外分光分析における吸収スペクトルより、フェニレンエーテルケトン単位からなる化合物であることを確認した。また、高速液体クロマトグラフィーによる分析から、上記白色粉末は、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率が85%である環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であることが分かった。なお、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン以外の成分は、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーであった。以下、この白色粉末を、参考例5の環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(cPEEK)とも呼ぶ。
[参考例6]ポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−1)
撹拌翼、減圧アダプターおよびバキュームスターラを備えた試験管に、参考例1の環状ポリフェニレンスルフィド5g(フェニレンスルフィド繰り返し単位46.2mmol)と、重合開始剤としてのナトリウムチオフェノキシド122mg(0.92mmol)を仕込み、系内を窒素置換した後、窒素雰囲気下で電気環状炉を用いて320℃に加熱した。加熱開始5分後、内容物が溶融しているのを確認してから撹拌を開始し、加熱開始から1.5時間反応を行った。反応終了後、試験管を電気環状炉から取り出し、窒素下で室温まで冷却し、片末端にナトリウムチオフェノキシドを有するポリフェニレンスルフィド(A−1)を得た。示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点は280℃であった。SEC測定の結果、数平均分子量は14,800、重量平均分子量は27,800、最大ピーク分子量は16,900であった。
[参考例7]ポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−2)
撹拌翼、減圧アダプターおよびバキュームスターラを備えた試験管に、参考例2の環状ポリフェニレンスルフィド1g(フェニレンスルフィド繰り返し単位9.16mmol)と、重合開始剤としてのナトリウムチオフェノキシド24.2mg(0.18mmol)を仕込み、系内を窒素置換した後、窒素雰囲気下で電気環状炉を用いて320℃に加熱した。50rpmで撹拌しながら1時間反応を行った。反応終了後、試験管を電気環状炉から取り出し、窒素下で室温まで冷却し、片末端にナトリウムチオフェノキシドを有するポリフェニレンスルフィド(A−2)を得た。示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点280℃であった。SECを用いた分子量測定の結果、数平均分子量は15,000、重量平均分子量は28,200、最大ピーク分子量は17,100であった。
[参考例8]ポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−3)
重合開始剤としてナトリウムチオフェノキシド12.11mg(0.09mmol)を用いた以外は参考例7と同様の方法で、片末端にナトリウムチオフェノキシドを有するポリフェニレンスルフィド(A−3)を得た。示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点282℃であった。SECを用いた分子量測定の結果、数平均分子量は20,300、重量平均分子量は50,600、最大ピーク分子量は23,100であった。
[参考例9]ポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−4)
重合開始剤として4,4'−ビフェニルジチオールジナトリウム塩48.5mg(0.19mmol)を用いた以外は参考例6と同様の方法で、両末端にナトリウムチオフェノキシドを有するポリフェニレンスルフィド(A−4)を得た。示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点282℃であった。SEC測定の結果、数平均分子量は28,700、重量平均分子量は68,900、最大ピーク分子量は31,100であった。
[参考例10]ポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−5)
重合開始剤として4,4'−ビフェニルジチオールジナトリウム塩9.7mg(0.04mmol)を用いた以外は参考例7と同様の方法で、両末端にナトリウムチオフェノキシドを有するポリフェニレンスルフィド(A−5)を得た。 示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点は275℃であった。SECを用いた分子量測定の結果、数平均分子量は28,700、重量平均分子量は72,500、最大ピーク分子量は32,000であった。
[参考例11]環状物を原料としないポリフェニレンスルフィド成分ブロック(B−1)
攪拌機を具備したステンレス製オートクレーブに、水硫化ナトリウムの48重量%水溶液を5.85g(0.05モル)、96%水酸化ナトリウムを用いて調製した水酸化ナトリウムの48重量%水溶液5.21g(0.06モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)1080g、および参考例1で合成したクロロホルム抽出残渣(ポリフェニレンスルフィド)108gを仕込み、窒素置換を3回繰り返した後、400rpmで撹拌を行いながら250℃まで45分で昇温した。その後、250℃で1時間反応させて、ポリフェニレンスルフィドの解重合による末端チオラート化を行った。反応液を冷却後、脱イオン水5000g中に投入し、沈殿物をろ別した。沈殿物を80℃の脱イオン水で数回洗浄し、得られた白色固体を80℃で8時間真空乾燥を行い、ポリフェニレンスルフィド(B−1)を得た。示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点277℃であった。SEC測定の結果、得られたポリマーの数平均分子量は6,200、重量平均分子量は16,100、最大ピーク分子量は7,500であった。
[参考例12]環状物を原料としないポリフェニレンスルフィド成分ブロック(B−2)
攪拌機を具備したステンレス製オートクレーブに、水硫化ナトリウムの48重量%水溶液を28.06g(0.24モル)、96%水酸化ナトリウムを用いて調製した水酸化ナトリウムの48重量%水溶液25.00g(0.29モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)123g、及びp−ジクロロベンゼン(p−DCB)33.81g(0.23モル)を仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで約1時間かけて昇温した。次いで200℃から250℃まで約30分かけて昇温した。250℃で2時間保持した後、室温近傍まで急冷してから内容物を回収した。
得られた内容物50gを約150gのイオン交換水で希釈したのちに平均目開き10〜16μmのガラスフィルターで濾過し、フィルターオン成分を得た。フィルターオン成分を約300gのイオン交換水に分散させ、70℃で30分攪拌し、再度前記同様の濾過を行う操作を計3回行い、白色固体を得た。これを80℃で一晩真空乾燥し、乾燥固体としてポリフェニレンスルフィド成分ブロック(B−2)を得た。示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点280℃であった。SEC測定の結果、得られたポリマーの数平均分子量は24,500、重量平均分子量は66,200、最大ピーク分子量は37,200であった。
[参考例13]ポリアミド成分ブロック(C−1)
撹拌翼を備えた試験管に、ω−ラウロラクタム1g(5.1mmol)と、重合開始剤としてのカリウムエトキシド109mg(0.38mmol)とN−アセチル−ε−カプロラクタム1.0mg(6.44×10-3mmol)とを仕込み、系内を窒素置換した後、窒素雰囲気下で電気環状炉を用いて200℃に加熱した。加熱開始5分後、内容物が溶融しているのを確認してから撹拌を開始し、加熱開始から3.0時間反応を行った。反応終了後、試験管を電気環状炉から取り出し、窒素下で室温まで冷却し、ポリアミド(C−1)を得た。示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点は174℃であった。
[参考例14]ポリエステル成分ブロック(C−2)
撹拌翼、減圧アダプターおよびバキュームスターラを備えた試験管に、環状ポリブチレンテレフタレート(Cyclics社製CBT(登録商標)100)1.2gと重合開始剤としてナトリウムチオフェノキシド122mg(0.92mmol)を仕込み、系内を窒素置換した後、窒素雰囲気下で電気環状炉を用いて250℃に加熱した。加熱開始5分後、内容物が溶融しているのを確認してから撹拌を開始し、加熱開始から3.0時間反応を行った。反応終了後、試験管を電気環状炉から取り出し、窒素下で室温まで冷却し、片末端にチオフェノキシドを有するポリエステル(C−2)を得た。示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点は228℃であった。
[参考例15]ポリカーボネート成分ブロック(C−3)
撹拌翼、減圧アダプターおよびバキュームスターラを備えた試験管に、参考例3の環状ポリカーボネート5gと、重合開始剤としてのナトリウムチオフェノキシド109mg(0.44mmol)を仕込み、系内を窒素置換した後、窒素雰囲気下で電気環状炉を用いて300℃に加熱した。加熱開始5分後、内容物が溶融しているのを確認してから撹拌を開始し、加熱開始から0.5時間反応を行った。反応終了後、試験管を電気環状炉から取り出し、窒素下で室温まで冷却し、片末端にチオフェノキシドを有するポリカーボネート(C−3)を得た。示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点は251℃であった。
[参考例16]ポリスルホン成分ブロック(C−4)
撹拌翼、減圧アダプターおよびバキュームスターラを備えた試験管に、参考例4の環状ポリスルホン5gと、重合開始剤としてのナトリウムチオフェノキシド109mg(0.44mmol)を仕込み、系内を窒素置換した後、窒素雰囲気下で電気環状炉を用いて300℃に加熱した。加熱開始5分後、内容物が溶融しているのを確認してから撹拌を開始し、加熱開始から0.5時間反応を行った。反応終了後、試験管を電気環状炉から取り出し、窒素下で室温まで冷却し、片末端にチオフェノキシドを有するポリスルホン(C−4)を得た。
[参考例17]ポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロック(C−5)
撹拌翼、減圧アダプターおよびバキュームスターラを備えた試験管に、参考例5で得られた環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン5gと、重合開始剤としてナトリウムチオフェノキシド46mg(0.35mmol)を仕込んだ。系内を窒素置換した後、窒素雰囲気下で電気環状炉を用いて340℃に加熱した。加熱開始5分後、内容物が溶融しているのを確認してから撹拌を開始し加熱開始から1.0時間反応を行った。反応終了後、試験管を電気環状炉から取り出し、窒素下で室温まで冷却し、片末端にチオフェノキシドを有するポリフェニレンエーテルエーテルケトン(C−5)を得た。示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点は341℃であった。
[参考例18]環状物を原料としないポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロック(D−1)
攪拌機を具備したステンレス製オートクレーブに、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン11.46g(52.5mmol)、ヒドロキノン5.51g(50mmol)、無水炭酸カリウム6.91g(50mmol)、およびN−メチル−2−ピロリドン58gを仕込んだ。反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持した。その後、180℃まで昇温して180℃で3時間保持した。その後、230℃にまで昇温して230℃で5時間保持した後、室温近傍まで冷却してから内容物を回収した。
このようにして得られた上記内容物50gに、1重量%酢酸水溶液150gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過してフィルターオン成分を得た。フィルターオン成分を50gのイオン交換水に分散させ70℃で30分撹拌し、再度、前記と同様の濾過を行う操作を計3回行い、白色固体を得た。これを80℃で一晩真空乾燥し、乾燥固体としてポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロック(D−1)を得た。示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点は339℃であった。SEC測定用溶離液である1−クロロナフタレンに250℃で不溶であった。
[実施例1]ポリフェニレンスルフィド−ポリアミドブロック共重合体
参考例6で得られたポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−1)の凍結粉砕微粉末1gおよびω−ラウロラクタム1g(5.1mmol)を、撹拌翼、バキュームスターラ、窒素導入管および還流管を備えた試験管に入れ、3回窒素置換した。窒素気流下で撹拌しながら、室温から200℃まで30分で昇温し、その後250℃まで60分で昇温した。次いで250℃から30分で300℃まで昇温し、300℃で2時間保持した。撹拌を止め試験管の内容物を水中に吐出し、得られた褐色固体を80℃で12時間真空乾燥し、ポリフェニレンスルフィド−ポリアミドブロック共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定を行った結果、数平均分子量は22,500、最大ピーク分子量は24,800であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡により評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な相分離構造は観察されず、均一であることが分かった。ヘキサフルオロイソプロパノールへの可溶成分の重量分率は34重量%であった。結果を表1に示す。
[実施例2]ポリフェニレンスルフィド−ポリアミドブロック共重合体
ポリフェニレンスルフィド成分ブロックとして(A−4)を用いた以外は実施例1と同様の方法でポリフェニレンスルフィド−ポリアミドブロック共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定の結果、数平均分子量は35,200、最大ピーク分子量は38,100であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造は観察されず均一であった。ヘキサフルオロイソプロパノールへの可溶成分の重量分率は39重量%であった。結果を表1に示す。
[実施例3]ポリフェニレンスルフィド−ポリアミドブロック共重合体
参考例13で得られたポリアミド成分ブロック(C−1)の凍結粉砕粉末1gおよび参考例1で得られた環状ポリフェニレンスルフィド1g(9.1mmol)を攪拌翼、バキュームスターラ、窒素導入管および還流管を備えた試験管に入れ、3回窒素置換した。窒素気流下で撹拌しながら、室温から200℃まで30分で昇温し、その後250℃まで60分で昇温した。次いで250℃から30分で300℃まで昇温し、300℃で2時間保持した。撹拌を止め試験管の内容物を水中に吐出し、得られた褐色固体を80℃で12時間真空乾燥し、ポリフェニレンスルフィド−ポリアミドブロック共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定を行った結果、数平均分子量は42,600、最大ピーク分子量は44,800であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡により評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な相分離構造は観察されず、均一であることが分かった。ヘキサフルオロイソプロパノールへの可溶成分の重量分率は22重量%であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリフェニレンスルフィド成分ブロックとして(B−1)を用いた以外は実施例1と同様の方法で共重合体の合成を行った。得られたポリマーのSEC測定の結果、数平均分子量は9,500、最大ピーク分子量は11,500であり、クロマトグラムは、残存のホモポリフェニレンスルフィドに起因するピークが存在しており多峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造が観察され、不均一であった。ヘキサフルオロイソプロパノールへの可溶成分の重量分率は68重量%であった。結果を表1に示す。
Figure 0006252470
[実施例4]ポリフェニレンスルフィド−ポリブチレンテレフタレートブロック共重合体
参考例6で得られたポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−1)の凍結粉砕微粉末1gおよび環状ポリブチレンテレフタレート(Cyclics社製CBT(登録商標)100)1.2g(5.45mmol)を、撹拌翼、バキュームスターラおよび窒素導入管を備えた試験管に入れ、3回窒素置換した。窒素気流下で室温から200℃まで30分で昇温し、その後撹拌を行いながら250℃まで60分で昇温した。次いで250℃から15分で280℃まで昇温し、反応を完結させた。試験管の内容物を水中に吐出し、得られた褐色固体を50℃で12時間真空乾燥し、ポリフェニレンスルフィド−ポリブチレンテレフタレート共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定を行った結果、数平均分子量は19,100、最大ピーク分子量は23,400であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡により評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な相分離構造は観察されず、均一であった。ヘキサフルオロイソプロパノールへの可溶成分の重量分率は22重量%であった。結果を表2に示す。
[実施例5]ポリフェニレンスルフィド−ポリブチレンテレフタレートブロック共重合体
ポリフェニレンスルフィド成分ブロックとして(A−4)を用いた以外は実施例4と同様の方法でポリフェニレンスルフィド−ポリブチレンテレフタレートブロック共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定の結果、数平均分子量は34,000、最大ピーク分子は量37,600であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造は観察されず均一であった。ヘキサフルオロイソプロパノールへの可溶成分の重量分率は30重量%であった。結果を表2に示す。
[実施例6]ポリフェニレンスルフィド−ポリブチレンテレフタレートブロック共重合体
参考例14で得られたポリブチレンテレフタレート成分ブロック(C−2)の凍結粉砕微粉末1gおよび参考例1の環状ポリフェニレンスルフィド1g(9.16mmol)を、撹拌翼、バキュームスターラおよび窒素導入管を備えた試験管に入れ、3回窒素置換した。窒素気流下で室温から200℃まで30分で昇温し、その後、撹拌を行いながら250℃まで60分で昇温した。次いで250℃から15分で280℃まで昇温し、反応を完結させた。試験管の内容物を水中に吐出し、得られた褐色固体を50℃で12時間真空乾燥し、ポリフェニレンスルフィド−ポリブチレンテレフタレート共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定を行った結果、数平均分子量は23,100、最大ピーク分子量は26,500であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡により評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な相分離構造は観察されず、均一であった。ヘキサフルオロイソプロパノールへの可溶成分の重量分率は15重量%であった。結果を表2に示す。
[比較例2]
ポリフェニレンスルフィド成分ブロックとして(B−1)を用いた以外は実施例4と同様の方法で共重合体の合成を行った。得られたポリマーのSEC測定の結果、数平均分子量は8,700、最大ピーク分子量は10,300であり、クロマトグラムは、残存のホモポリフェニレンスルフィドに起因するピークが存在しており多峰性であった。また溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造が観察され、不均一であった。ヘキサフルオロイソプロパノールへの可溶成分の重量分率は61重量%であった。結果を表2に示す。
Figure 0006252470
[実施例7]ポリフェニレンスルフィド−ポリカーボネートブロック共重合体
参考例6で得られたポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−1)の凍結粉砕微粉末1gおよび参考例3で得られた環状ポリカーボネート1.2g(4.72mmol)を、撹拌翼、バキュームスターラおよび窒素導入管を備えた試験管に入れ、3回窒素置換した。窒素気流下で室温から200℃まで30分で昇温し、その後撹拌を行いながら250℃まで60分で昇温した。次いで250℃から45分で300℃まで昇温し、反応を完結させた。試験管の内容物を水中に吐出し、得られた褐色固体を80℃で12時間真空乾燥し、ポリフェニレンスルフィド−ポリカーボネート共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定を行った結果、数平均分子量は22,200、最大ピーク分子量は24,900であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡により評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な相分離構造は観察されず、均一であった。ジクロロメタンへの可溶成分の重量分率は12重量%であった。結果を表3に示す。
[実施例8]ポリフェニレンスルフィド−ポリカーボネートブロック共重合体
ポリフェニレンスルフィド成分ブロックとして(A−4)を用いた以外は実施例7と同様の方法でポリフェニレンスルフィド−ポリカーボネートブロック共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定の結果、数平均分子量は35,700、最大ピーク分子量は39,300であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造は観察されず均一であった。ジクロロメタンへの可溶成分の重量分率は20重量%であった。結果を表3に示す。
[実施例9]ポリフェニレンスルフィド−ポリカーボネートブロック共重合体
参考例15で得られたポリカーボネート成分ブロック(C−3)の凍結粉砕微粉末1.2gおよび参考例1で得られた環状ポリフェニレンスルフィド1g(9.16mmol)を、撹拌翼、バキュームスターラおよび窒素導入管を備えた試験管に入れ、3回窒素置換した。窒素気流下で室温から200℃まで30分で昇温し、その後撹拌を行いながら250℃まで60分で昇温した。次いで250℃から45分で320℃まで昇温し、反応を完結させた。試験管の内容物を水中に吐出し、得られた褐色固体を80℃で12時間真空乾燥し、ポリフェニレンスルフィド−ポリカーボネート共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定を行った結果、数平均分子量は22,200、最大ピーク分子量は24,900であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡により評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な相分離構造は観察されず、均一であった。ジクロロメタンへの可溶成分の重量分率は5重量%であった。結果を表3に示す。
[比較例3]
ポリフェニレンスルフィド成分ブロックとして(B−1)を用いた以外は実施例7と同様の方法で共重合体の合成を行った。得られたポリマーのSEC測定の結果、数平均分子量は10,600、最大ピーク分子量は11,900であり、クロマトグラムは残存のホモポリフェニレンスルフィドに起因するピークが存在しており多峰性であった。また溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造が観察され、不均一であった。ジクロロメタンへの可溶成分の重量分率は45重量%であった。結果を表3に示す。
Figure 0006252470
[実施例10]ポリフェニレンスルフィド−ポリスルホンブロック共重合体
参考例6で得られたポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−1)の凍結粉砕微粉末1gおよび参考例3で得られた環状ポリエーテルスルホン1.2g(5.17mmol)を、撹拌翼、バキュームスターラおよび窒素導入管を備えた試験管に入れ、3回窒素置換した。窒素気流下で室温から280℃まで60分で昇温し、その後撹拌を行いながら320℃まで60分で昇温した。試験管の内容物を水中に吐出し、得られた褐色固体を80℃で12時間真空乾燥し、ポリフェニレンスルフィド−ポリスルホン共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定を行った結果、数平均分子量は21,800、最大ピーク分子量は24,400であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡により評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な相分離構造は観察されず、均一であった。N−メチル−2−ピロリドンへの可溶成分は18重量%であった。結果を表4に示す。
[実施例11]ポリフェニレンスルフィド−ポリスルホンブロック共重合体
ポリフェニレンスルフィド成分ブロックとして(A−4)を用いた以外は実施例10と同様の方法でポリフェニレンスルフィド−ポリスルホンブロック共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定の結果、数平均分子量は34,200、最大ピーク分子量は38,100であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造は観察されず均一であった。N−メチル−2−ピロリドンへの可溶成分は25重量%であった。結果を表4に示す。
[実施例12]ポリフェニレンスルフィド−ポリスルホンブロック共重合体
参考例16で得られたポリスルホン成分ブロック(C−4)の凍結粉砕微粉末1.2gおよび参考例1で得られた環状ポリフェニレンスルフィド1g(9.16mmol)を、撹拌翼、バキュームスターラおよび窒素導入管を備えた試験管に入れ、3回窒素置換した。窒素気流下で室温から280℃まで60分で昇温し、その後撹拌を行いながら320℃まで60分で昇温した。試験管の内容物を水中に吐出し、得られた褐色固体を80℃で12時間真空乾燥し、ポリフェニレンスルフィド−ポリスルホン共重合体を得た。得られたポリマーのSEC測定を行った結果、数平均分子量は21,800、最大ピーク分子量は24,400であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡により評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な相分離構造は観察されず、均一であった。N−メチル−2−ピロリドンへの可溶成分は10重量%であった。結果を表4に示す。
[比較例4]
ポリフェニレンスルフィド成分ブロックとして(B−1)を用いた以外は実施例10と同様の方法で共重合体の合成を行った。得られたポリマーのSEC測定の結果、数平均分子量は9,800、最大ピーク分子量は11,100であり、クロマトグラムは残存のホモポリフェニレンスルフィドに起因するピークが存在しており多峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造が観察され、不均一であった。N−メチル−2−ピロリドンへの可溶成分は47重量%であった。結果を表4に示す。
Figure 0006252470
[実施例13]ポリフェニレンスルフィド−ポリフェニレンエーテルエーテルケトンブロック共重合体
参考例7で得られたポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−2)の凍結粉砕微粉末0.92gおよび参考例5で得られた環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン0.08gを、撹拌翼、バキュームスターラおよび窒素導入管を備えたガラス製試験管(24mm径)に仕込んだ。試験管内を室温、常圧下で窒素置換した後、真空ポンプを用いて約0.4kPaに減圧した。約0.4kPaに減圧した約10秒後、320℃に温調した電気環状炉内に試験管を設置し、真空ポンプによって試験管内を約0.4kPaに保ち脱揮をしながら50rpmで撹拌し、90分間加熱した。その後、炉内から試験管を取り出し室温まで冷却し、茶褐色固体のポリマーを得た。
得られたポリマーを1−クロロナフタレン/p−クロロフェノール=6/4(v/v)混合溶媒に220℃で溶解させ、高速液体クロマトグラフィー測定を行った。その結果、環状ポリフェニレンスルフィドの消費率は99%、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの消費率は96%であった。示差走査型熱量分析装置を用いた融点および降温結晶化温度測定の結果、融点は281℃、335℃の2種であり、降温結晶化温度は176℃であった。SEC測定の結果、数平均分子量は8,300、最大ピーク分子量は12,200であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造は観察されず均一であった。p−クロロフェノールへの可溶成分の重量分率は0重量%であった。結果を表5に示す。
[実施例14]ポリフェニレンスルフィド−ポリフェニレンエーテルエーテルケトンブロック共重合体
参考例7で得られたポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−2)の凍結粉砕微粉末0.7gと参考例5で得られた環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物0.3gを用いた以外は実施例13と同様の方法で共重合体の合成を行った。
得られたポリマーを1−クロロナフタレン/p−クロロフェノール=6/4(v/v)混合溶媒に220℃で溶解させ、高速液体クロマトグラフィー測定を行った結果、環状ポリフェニレンスルフィドの消費率は98%、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの消費率は95%であった。示差走査型熱量分析装置を用いた融点および降温結晶化温度測定の結果、融点は278℃、328℃の2種であり、降温結晶化温度は220℃であった。SEC測定の結果、数平均分子量は25,800、最大ピーク分子量は29,100であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造は観察されず均一であった。p−クロロフェノールへの可溶成分の重量分率は0重量%であった。結果を表5に示す。
[実施例15]ポリフェニレンスルフィド−ポリフェニレンエーテルエーテルケトンブロック共重合体
参考例8で得られたポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−3)の凍結粉砕微粉末を用いた以外は実施例13と同様の方法で共重合体の合成を行った。得られたポリマーを1−クロロナフタレン/p−クロロフェノール=6/4(v/v)混合溶媒に220℃で溶解させ、高速液体クロマトグラフィー測定を行った結果、環状ポリフェニレンスルフィドの消費率は97%、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの消費率は93%であった。示差走査型熱量分析装置を用いた融点および降温結晶化温度測定の結果、融点は281℃、325℃の2種であり、降温結晶化温度は221℃であった。SEC測定の結果、数平均分子量は40,500、最大ピーク分子量は46,100であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造は観察されず均一であった。p−クロロフェノールへの可溶成分の重量分率は0重量%であった。結果を表5に示す。
[実施例16]ポリフェニレンスルフィド−ポリフェニレンエーテルエーテルケトンブロック共重合体
参考例10で得られたポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−5)の凍結粉砕微粉末を用いた以外は実施例13と同様の方法で共重合体の合成を行った。得られたポリマーを1−クロロナフタレン/p−クロロフェノール=6/4(v/v)混合溶媒に220℃で溶解させ、高速液体クロマトグラフィー測定を行った結果、環状ポリフェニレンスルフィドの消費率は99%、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの消費率は95%であった。示差走査型熱量分析装置を用いた融点および降温結晶化温度測定の結果、融点は269℃、313℃の2種であり、降温結晶化温度は183℃であった。SEC測定の結果、数平均分子量は31,300、最大ピーク分子量は35,400であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造は観察されず均一であった。p−クロロフェノールへの可溶成分の重量分率は0重量%であった。結果を表5に示す。
[実施例17]ポリフェニレンスルフィド−ポリフェニレンエーテルエーテルケトンブロック共重合体
参考例17で得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロック(C−5)の凍結粉砕微粉末0.30gおよび参考例2で得られた環状ポリフェニレンスルフィド0.70gを、撹拌翼、バキュームスターラおよび窒素導入管を備えたガラス製試験管(24mm径)に仕込んだ。試験管内を室温、常圧下で窒素置換した後、真空ポンプを用いて約0.4kPaに減圧した。約0.4kPaに減圧した約10秒後、350℃に温調した電気環状炉内に試験管を設置し、真空ポンプによって試験管内を約0.4kPaに保ち脱揮をしながら50rpmで撹拌し、90分間加熱した。その後、炉内から試験管を取り出し室温まで冷却し、茶褐色固体のポリマーを得た。
得られたポリマーを1−クロロナフタレン/p−クロロフェノール=6/4(v/v)混合溶媒に220℃で溶解させ、高速液体クロマトグラフィー測定を行った結果、環状ポリフェニレンスルフィドの消費率は99%、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの消費率は95%であった。示差走査型熱量分析装置を用いた融点および降温結晶化温度測定の結果、融点は269℃、313℃の2種であり、降温結晶化温度は183℃であった。SEC測定の結果、数平均分子量は21,300、最大ピーク分子量は25,400であり、クロマトグラムは単峰性であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造は観察されず均一であった。p−クロロフェノールへの可溶成分の重量分率は10重量%であった。結果を表5に示す。
[実施例18]ポリフェニレンスルフィド−ポリフェニレンエーテルエーテルケトンブロック共重合体
参考例7で得られたポリフェニレンスルフィド成分ブロック(A−2)の凍結粉砕微粉末0.5gと、参考例5で得られた環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物0.5gとを用いた以外は、実施例13と同様の方法で共重合体の合成を行った。
得られたポリマーを1−クロロナフタレン/p−クロロフェノール=6/4(v/v)混合溶媒に220℃で溶解させ、高速液体クロマトグラフィー測定を行った結果、環状ポリフェニレンスルフィドの消費率は98%、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの消費率は95%であった。示差走査型熱量分析装置を用いた融点および降温結晶化温度測定の結果、融点は272℃、333℃の2種であり、降温結晶化温度は226℃であった。SEC測定の結果、数平均分子量は31,400、最大ピーク分子量は34,200であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造は観察されず均一であった。p−クロロフェノールへの可溶成分の重量分率は0重量%であった。結果を表5に示す。
[実施例19]ポリフェニレンスルフィド−ポリフェニレンエーテルエーテルケトンブロック共重合体の製造方法
参考例1の環状ポリフェニレンスルフィド0.3g、参考例5で得られた環状ポリフェニレンエーテルエールケトン組成物0.7g、および、環状ポリフェニレンスルフィドの主要構成単位である式−(Ph−S)−の繰り返し単位からなる化合物に対してナトリウムベンゼンチオラートを5モル%混合した粉末1gを、攪拌機を具備したガラス製試験管(24mm径)に仕込み、試験管内を室温、常圧下で窒素置換した。360℃に温調した電気炉内に試験管を設置し、50rpmで撹拌しながら60分間加熱した後、試験管を取り出し室温まで冷却し、茶褐色固体を得た。
得られたポリマーを1−クロロナフタレン/p−クロロフェノール=6/4(v/v)混合溶媒に220℃で溶解させ、高速液体クロマトグラフィー測定を行った結果、環状ポリフェニレンスルフィドの消費率は92%、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの消費率は100%であった。示差走査型熱量分析装置を用いた融点および降温結晶化温度測定の結果、融点は302℃であり、降温結晶化温度は225℃であった。SEC測定の結果、数平均分子量は8,300、最大ピーク分子量は11,900であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造は観察されず均一であった。p−クロロフェノールへの可溶成分の重量分率は3重量%であった。結果を表5に示す。
[比較例5]ポリフェニレンスルフィド−ポリフェニレンエーテルエーテルケトンブロック共重合体の製造方法
攪拌機を具備したステンレス製オートクレーブに、参考例12で得られたポリフェニレンスルフィド成分ブロック(B−2)51.9g(0.18mmol)、参考例18で得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロック(D−1)20.0g(0.18mol)、およびN−メチル−2−ピロリドン50mLを仕込んだ。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し、140℃で1時間保持した。その後、180℃にまで昇温して180℃で3時間保持し、その後230℃にまで昇温して230℃で5時間保持した後、室温にまで冷却して内容物を回収した。
得られた内容物を10g分取し、1重量%酢酸水溶液30gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水50gに分散させ、70℃で30分間保持した後に濾過して固形分を得る操作を、3回繰り返した。得られた固形分を70℃で一晩真空乾燥に処し、乾燥固体を得た。
示差走査型熱量分析装置を用いた融点および降温結晶化温度測定の結果、融点は280℃、286℃、335℃の3種であり、降温結晶化温度は220、234、269℃の3種であった。SEC測定の結果、ポリマー由来のピークが3種確認でき、分子量の低いものから順に、数平均分子量は7,100、10,400、17,700、最大ピーク分子量は9,900、13,100、22,400であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造が観察され、不均一であった。p−クロロフェノールへの可溶成分の重量分率は20重量%であった。結果を表5に示す。
[比較例6]ポリフェニレンスルフィド−ポリフェニレンエーテルエーテルケトンブロック共重合体の製造方法
攪拌機を具備したステンレス製オートクレーブに、水硫化ナトリウムの48重量%水溶液を28.06g(0.24モル)、96%水酸化ナトリウムを用いて調製した水酸化ナトリウムの48重量%水溶液25.00g(0.29モル)、N−メチル−2ピロリドン120mL、及びp−ジクロロベンゼン33.81g(0.23モル)を仕込んだ。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら210℃にまで昇温し、210℃で3時間保持した。その後、260℃にまで昇温して260℃で10分保持した後、N−メチル−2ピロリドン10mLと参考例18で得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分ブロック(D−1)25.11g(0.09モル)を混合してスラリー化したものを加え、更に30分間反応を続けた。その後室温にまで冷却して内容物を回収した。
得られた内容物を10g分取し、1重量%酢酸水溶液30gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水50gに分散させ70℃で30分間保持して濾過して固形分を得る操作を3回繰り返した。得られた固形分を70℃で一晩真空乾燥に処し、乾燥固体を得た。
示差走査型熱量分析装置を用いた融点測定の結果、融点は278℃、304℃、336℃の3種であり、降温結晶化温度は220、226、259℃の3種であった。SEC測定の結果、ポリマー由来のピークが3種確認でき、分子量の低いものから順に数平均分子量は6,900、12,300、15,300、最大ピーク分子量は11,100、15,400、18,800であった。溶融時の均一性を光学顕微鏡で評価した結果、ホモポリマーに起因する粗大な分離構造が観察され、不均一であった。p−クロロフェノールへの可溶成分の重量分率は34重量%であった。結果を表5に示す。
Figure 0006252470
以上の結果から、環状ポリアリーレンスルフィドを原料とするポリアリーレンスルフィド成分ブロックと、環状ポリアリーレンスルフィド以外の環状化合物を原料とするブロックとを含む共重合体は、SEC測定において得られるクロマトグラムが単峰性を示し、かつ溶融時の光学顕微鏡測定からもホモポリマーに由来する粗大な相分離構造が観察されないことから、非常に均一な組成のブロック共重合体であることがわかる。これは環状物を原料とすることにより、ポリアリーレンスルフィド成分ブロックに定量的に反応性末端が導入された結果であると推察できる。環状物を原料としないポリアリーレンスルフィド成分ブロックではそのような効果が得られず、不均一な組成の共重合体となった。

Claims (8)

  1. ブロック共重合体の製造方法であって、(a)環状ポリアリーレンスルフィドを、開始剤存在下で開環重合する工程と、(b)環状ポリアリーレンスルフィドとは異なる環状化合物を、開始剤存在下で開環重合する工程と、を備え、前記(a)工程と前記(b)工程のうちの一方の工程で得られた生成物を、他方の工程の原料である環状化合物と混合して、前記他方の工程を行なう、ブロック共重合体の製造方法。
  2. 前記(b)工程で用いられる環状化合物が、環状アミド、環状エステル、環状ポリカーボネート、環状ポリスルホンおよび環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンから選ばれるいずれか1種の環状化合物である請求項に記載のブロック共重合体の製造方法。
  3. 前記一方の工程は前記(a)工程である、請求項またはに記載のブロック共重合体の製造方法。
  4. 前記(b)工程で用いられる環状化合物が、環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンである、請求項に記載のブロック共重合体の製造方法。
  5. 前記一方の工程は前記(b)工程である、請求項またはに記載のブロック共重合体の製造方法。
  6. 前記(b)工程で用いられる環状化合物が、環状アミド、環状エステル、環状ポリカーボネートおよび環状ポリスルホンから選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載のブロック共重合体の製造方法。
  7. 前記一方の工程で用いる前記開始剤が金属塩である、請求項いずれか1項に記載のブロック共重合体の製造方法。
  8. 前記(a)工程および前記(b)工程で進行する前記開環重合がアニオン開環重合である、請求項いずれか1項に記載のブロック共重合体の製造方法。
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