JP5633655B1 - 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法 - Google Patents

環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5633655B1
JP5633655B1 JP2013558248A JP2013558248A JP5633655B1 JP 5633655 B1 JP5633655 B1 JP 5633655B1 JP 2013558248 A JP2013558248 A JP 2013558248A JP 2013558248 A JP2013558248 A JP 2013558248A JP 5633655 B1 JP5633655 B1 JP 5633655B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyphenylene ether
ether ketone
ether
ketone
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013558248A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2014097564A1 (ja
Inventor
山下 浩平
浩平 山下
牧人 横江
牧人 横江
幸二 山内
幸二 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2013558248A priority Critical patent/JP5633655B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5633655B1 publication Critical patent/JP5633655B1/ja
Publication of JPWO2014097564A1 publication Critical patent/JPWO2014097564A1/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G65/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule
    • C08G65/34Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives
    • C08G65/38Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives derived from phenols
    • C08G65/40Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives derived from phenols from phenols (I) and other compounds (II), e.g. OH-Ar-OH + X-Ar-X, where X is halogen atom, i.e. leaving group
    • C08G65/4012Other compound (II) containing a ketone group, e.g. X-Ar-C(=O)-Ar-X for polyetherketones
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G65/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule
    • C08G65/34Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives
    • C08G65/38Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives derived from phenols
    • C08G65/40Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives derived from phenols from phenols (I) and other compounds (II), e.g. OH-Ar-OH + X-Ar-X, where X is halogen atom, i.e. leaving group
    • C08G65/4081Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives derived from phenols from phenols (I) and other compounds (II), e.g. OH-Ar-OH + X-Ar-X, where X is halogen atom, i.e. leaving group forming cyclic polymers or oligomers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G65/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule
    • C08G65/34Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule from hydroxy compounds or their metallic derivatives
    • C08G65/48Polymers modified by chemical after-treatment
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G2650/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule
    • C08G2650/28Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule characterised by the polymer type
    • C08G2650/38Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule characterised by the polymer type containing oxygen in addition to the ether group
    • C08G2650/40Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule characterised by the polymer type containing oxygen in addition to the ether group containing ketone groups, e.g. polyarylethylketones, PEEK or PEK

Abstract

環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを経済的且つ短時間で効率良く製造する方法を提供する。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを製造する方法であって、(i)反応混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対して1.20リットル以上100リットル以下の有機極性溶媒を用い、(ii)塩基として、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種、または、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種並びにナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属の炭酸塩および重炭酸塩から選ばれる少なくとも1種との混合塩基、を用いる。

Description

本願は、2012年12月21日に出願された出願番号2012−279217の日本特許出願に基づく優先権を主張し、その開示の全てが参照によって本願に組み込まれる。
本発明は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法に関する。
芳香族環式化合物は、その環状構造に由来する特異性で近年注目を集めている。その特異性としては、高機能材料や機能材料への応用展開可能性、たとえば包接能を有する化合物としての特性や、開環重合による高分子量直鎖状高分子の合成のための有効なモノマーとして活用できるという特性を挙げることができる。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンも芳香族環式化合物の範疇に属し、注目に値する化合物である。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの合成方法としては、例えば下式に示したように両末端に水酸基を有する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーと、両末端にフッ素基を有する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーを反応させる方法がある(例えば非特許文献1参照)。
Figure 0005633655
中国特許第101519399号明細書
Macromolecules 1996, 29, 5502 Macromol. Chem. Phys. 1996, 197, 4069 Polymer Bulletin 1999, 42, 245
しかし、この方法では鎖長の長いオリゴマーを原料に用いているため、得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物は環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの繰り返し数mが3および/または6のものである。このため、この方法では、融点が270℃を超える環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンしか得ることができない。より具体的には、上式に示した線状オリゴマー(ベンゼン環成分4単位から構成される両末端水酸基オリゴマーとベンゼン環成分5単位から構成される両末端フッ素基オリゴマー)から得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、環状3量体(m=3)と環状6量体(m=6)のみから構成される。環状3量体(m=3)と環状6量体(m=6)はそれぞれ366℃、324℃に融点を有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることが非特許文献1に記載されている。
また、下式に示した通り、両末端に水酸基を有する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーと、4、4'−ジフルオロベンゾフェノンを反応させることによる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法もある(例えば非特許文献2参照)。
Figure 0005633655
この方法により得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、環状2量体(m=2)の単核体であり、この融点は440℃以上であると非特許文献2に記載されている。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの合成原料として線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーを用いることは、所望の繰り返し数mからなる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを高純度で得るとの目的のためには有意な方法である。しかし、この方法では、異なる繰り返し数mからなる混合物であり、融点が270℃以下であることを特徴とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造することは困難である。
また、非特許文献1及び2の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの合成は、擬似希釈条件下での反応で行っているため、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン生成選択率は高いものの、超希薄状態の維持が必須である。このため、この合成方法は、反応に極めて長時間を要し、さらに環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン合成原料に用いている両末端水酸基のオリゴマーや両末端フッ素基のオリゴマーを別途調製する工程も必須である。このため、非特許文献1及び2の合成方法は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの工業的に利用可能な製造方法とは言い難い方法であった。
また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造原料として、芳香族イミン化合物を用いる方法もある(例えば非特許文献3参照)。非特許文献3では、下式に示した通り、N−フェニル(4、4'−ジフルオロジフェニル)ケチミンとヒドロキノンから環式ポリフェニレンエーテルエーテルケチミンを調製し、次いで環式ポリフェニレンエーテルエーテルケチミンを酸性条件下、加水分解することにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得る。
Figure 0005633655
一般に、芳香族ケチミン化合物は、これと対応する芳香族ケトン化合物と比較して反応性が低い。さらに、非特許文献3の方法では、超希薄条件下で反応を行っている。このため、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケチミンの合成反応の終了後において、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケチミンとの分離が困難な低分子量の線状オリゴマーが残存している。従って、この方法では、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして不純物を多量に含むため、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの純度が低いものしか得られなかった。さらに、この方法により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを製造するためには、(i)原料となる芳香族ケチミン化合物を調製する工程、(ii)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケチミンを調製・精製する工程、(iii)回収した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケチミンを加水分解することにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを調製・精製する工程が少なくとも必須である。すなわち、この方法は、多段階の煩雑な反応工程が必須となるため、工業的に活用が可能な環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法とは言い難い方法であった。
さらに、非特許文献3には環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの融点については何ら記載がない。しかし、非特許文献3の方法では、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、融点が高い線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを不純物として多く含む。このため、該方法で得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、高融点を有すると考えられる。
また、フェニレンエーテルオリゴマーを原料に用いた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法も開示されている(例えば特許文献1参照)。
Figure 0005633655
特許文献1の方法では、ルイス酸の存在下で1、4−ジフェノキシベンゼンを反応させることにより、一段階反応で環式ポリエーテルケトンが調製可能である。ポリフェニレンエーテルケトン型化合物の合成法としては、大別して、芳香族求核置換反応によるエーテル結合形成に基づく合成法と、芳香族求電子置換反応によるケトン結合形成に基づく合成法の2種類に分類することが可能である。特許文献1の環式ポリフェニレンエーテルケトン合成ルートは後者に含まれる。ポリフェニレンエーテルケトン合成反応に芳香族求電子置換反応を用いた場合の問題点の1つとしては、反応の位置選択性が低いことが挙げられる。従って、特許文献1の方法により得られる環式ポリフェニレンエーテルケトンに関しても、目的化合物であるパラ体以外にオルト体やメタ体を含む、純度の低い環式ポリフェニレンエーテルケトンであることが推測できる。また、特許文献1中には、得られる環式ポリフェニレンエーテルケトンの融点について何ら記載がない。
本発明は上記課題の少なくとも一つを解決する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用することができる。
1.有機極性溶媒中で、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、および塩基を、加熱することにより反応させて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを製造する方法であって、
(i)反応混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対して1.20リットル以上100リットル以下の有機極性溶媒を用い、
(ii)塩基として、
炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種、または、
炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種並びにナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属の炭酸塩および重炭酸塩から選ばれる少なくとも1種との混合塩基、を用いる、
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
2.有機極性溶媒中で、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、および塩基を、加熱することにより反応させて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを製造するに際し、
少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、有機極性溶媒を含む混合物を加熱することにより反応(A)を行い、
反応(A)で得られた反応混合物に、反応(A)で用いたジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり1.0〜1.5モルになるようにジハロゲン化芳香族ケトン化合物を追加させることにより反応(B)を行う、
1記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
3.反応によって得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が、
一般式(I)で表される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを60重量%以上含む組成物であって、一般式(I)で表される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが、異なる繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの混合物であり、
且つ、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点が270℃以下である、
1または2に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
Figure 0005633655
(ここで(I)中のmは2〜40の整数である)
4.mは、少なくとも異なる3つ以上の整数である、
3に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
5.mは、少なくとも連続する3つ以上の整数である、
3または4に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
6.有機極性溶媒中で、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、および塩基を、接触させることにより得られる線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして、反応に用いる、
1から5のいずれか1項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
7.少なくともジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および有機極性溶媒を含む混合物であり、且つ、混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対する有機極性溶媒量が1.20リットル以上100リットル以下である混合物を、加熱することにより反応させて得られた、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含むポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物から、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離することによって得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして反応に用いる、
1から5のいずれか1項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
8.少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および有機極性溶媒を含む混合物であり、且つ、混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対する有機極性溶媒量が1.20リットル以上100リットル以下である混合物を加熱することにより反応させて得られた、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含むポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物から、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離することによって得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして反応に用いる、
1から5のいずれか1項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
9.有機極性溶媒中で、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、および塩基を加熱することにより反応させる際に、
少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、有機極性溶媒を含む混合物を加熱することにより反応(A)を行い、
反応(A)で得られた反応混合物に、反応(A)で用いたジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり1.0〜1.5モルになるようにジハロゲン化芳香族ケトン化合物を追加させることにより反応(B)を行い、
反応(B)により得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含むポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物から、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離することによって得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして反応に用いる、
1から5のいずれか1項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
10.(1)1から5のいずれか1項に記載の製造方法を実施する工程と、
(2)工程(1)で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンから、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離する工程と、
(3)工程(2)において環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離された線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを用いて、工程(1)を実施する工程と、
(4)工程(3)で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンから、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離する工程と、
(5)工程(3)と工程(4)とを繰り返す工程と、を含む、
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
11.1から10のいずれか1項に記載の製造方法により得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を加熱開環重合する、
ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
本発明によれば、経済的且つ簡易な方法で効率良く、純度の高い環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを製造する方法を提供できる。
特に、塩基として、(i)炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種、または、(ii)炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種並びにナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属の炭酸塩および重炭酸塩から選ばれる少なくとも1種との混合塩基、を用いることにより、得られる線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに含まれる、"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"などの不純物構造の生成を抑える効果がある。
さらに、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、有機極性溶媒を含む混合物を加熱することにより反応(A)を行い、反応(A)で得られた反応混合物に、反応(A)で用いたジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり1.0〜1.5モルになるようにジハロゲン化芳香族ケトン化合物を追加することにより反応(B)を行うことで、収率を向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物
本発明における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとは、パラフェニレンケトンおよびパラフェニレンエーテルを繰り返し構造単位に持つ、下記一般式(I)で表される環式化合物である。
Figure 0005633655
式(I)における繰り返し数mは、整数であり、繰り返し数mの範囲は2〜40であり、2〜30がより好ましく、2〜15がさらに好ましく、2〜10が特に好ましい範囲として例示できる。繰り返し数mが大きくなると環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの融点が高くなる傾向にある。このため、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを低温で溶融解させるとの観点から、繰り返し数mを前記範囲にすることが好ましい。
また、式(I)で表される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは異なる繰り返し数mからなる混合物であることが好ましく、少なくとも異なる3つ以上の繰り返し数mからなる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物であることがさらに好ましく、4つ以上の繰り返し数mからなる混合物であることがより好ましく、5つ以上の繰り返し数mからなる混合物であることが特に好ましい。さらに、繰り返し数mが連続するものであることが特に好ましい。
単一の繰り返し数mを有する単独化合物と比較して、異なる繰り返し数mからなる混合物の融点は、低くなる傾向にある。2種類の異なる繰り返し数mからなる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物と比較して、3種類以上の繰り返し数mからなる混合物の融点は、さらに低くなる傾向にある。不連続の繰り返し数mからなる混合物よりも、連続する繰り返し数mからなる混合物の方が、さらに融点が低くなる傾向にある。
各繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、高速液体クロマトグラフィーによる成分分割により分析が可能である。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成、すなわち環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに含まれる各繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は、高速液体クロマトグラフィーにおける各環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのピーク面積比率より算出することが可能である。
さらに、本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は融点が270℃以下であり、本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物と対応する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと比較して、大幅に融点が低い。本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点としては250℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましく例示できる。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点が低いほど加工温度を下げることが可能である。この結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンをポリフェニレンエーテルエーテルケトンプレポリマーとして用いて高重合度体を得る際のプロセス温度を低く設定可能となるため、加工に要するエネルギーを低減し得るとの観点で有利となる。なお、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点は、示差走査型熱量測定装置を用いて吸熱ピーク温度を観測することにより測定することが可能である。
本発明の実施形態における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを60重量%以上含む環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であり、65重量%以上含む組成物であることがより好ましく、70重量%以上含むことがさらに好ましく、75重量%以上含む組成物であることがよりいっそう好ましい。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における不純物成分、即ち環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン以外の成分としては、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを主に挙げることができる。この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは融点が高いため、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が高くなると環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点が高くなる傾向にある。従って、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が上記範囲にあることにより、融点の低い環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物となる傾向にある。さらに、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物をポリフェニレンエーテルエーテルケトンプレポリマーとして用いた際に、十分に高重合度化が進行したポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得られるという観点からも、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が上記範囲にあることが好ましい。
上記のような特徴を有する本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の還元粘度(η)としては、0.1dL/g以下であることが好ましく例示でき、0.09dL/g以下であることがより好ましく、0.08dL/g以下であることがさらに好ましく例示できる。なお、本発明の実施形態における還元粘度とは、特に断りのない限り、濃度0.1g/dL(環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物、または線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量/98重量%濃硫酸の容量)の濃硫酸溶液について、スルホン化の影響を最小にするために溶解完了直後に、25℃においてオストワルド型粘度計を用いて測定した値である。
還元粘度の計算は下記式により行った。
η={(t/t0)−1}/C
(上記式におけるtはサンプル溶液の通過秒数、t0は溶媒(98重量%濃硫酸)の通過秒数、Cは溶液の濃度を表す)。
(2)線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン
本発明の実施形態における線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとは、パラフェニレンケトンおよびパラフェニレンエーテルを繰り返し構造単位に持つ、下記一般式(II)で表される線状化合物である。
Figure 0005633655
式(II)における繰り返し数nは整数であり、繰り返し数nに特に制限はないが、10以上が例示でき、20以上が好ましく、30以上がより好ましく例示できる。繰り返し数nは、特に制限はないが、10000以下が例示でき、5000以下が好ましく、1000以下がより好ましく例示できる。
本発明の実施形態における線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの還元粘度(η)に特に制限はないが、一般的な線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの還元粘度(η)としては、通常0.1dL/g以上が例示でき、好ましくは0.2dL/g以上、より好ましくは0.3dL/g以上が例示できる。一般的な線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの還元粘度(η)としては、通常2.5dL/g以下が例示でき、好ましくは2.0dL/g以下、より好ましくは1.8dL/g以下が例示できる。一般に、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの還元粘度が低いほど、即ち、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分子量が低いほど、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして用いた場合に有機極性溶媒への溶解性が高くなる。このため、反応に要する時間が短くできるという利点があるが、還元粘度が前述した範囲にあれば本質的な問題なく使用が可能である。
このような線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法は特に限定はされず、いかなる製造方法によるものでも使用することが可能である。線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法としては、例えば、特開昭54−90296号公報、特開昭59−93724号公報に代表されるように、芳香族ジハロゲン化合物とジフェノール類とをアルカリ塩の存在下で重縮合反応させることにより製造する方法がある。また、これら方法により製造されたポリフェニレンエーテルエーテルケトンを用いた成形品や成形屑、廃プラスチックやオフスペック品なども幅広く、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして使用することが可能である。
一般的に、環式化合物の製造は、環式化合物の生成と線状化合物の生成の競争反応である。このため、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造を目的とする方法においては、目的物である環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン以外に線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが少なからず副生物として生成する。本発明の実施形態では、この様な副生線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンも問題なく用いることが可能である。下記する本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの好ましい製造方法により得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む混合物から、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを分離することにより得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを用いる方法は、特に好ましい方法と言える。
従来、環式化合物である環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造において、副生する線状化合物である線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは利用価値の無いものとして廃棄されていた。従って、環式化合物の製造においてはこの副生線状化合物に起因する廃棄物量が多いという課題や、原料モノマーに対する収率が低いという課題があった。本発明の実施形態では、副生線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを原料として使用することが可能である。このことは、廃棄物量の著しい低減や、原料モノマーに対する収率の飛躍的な向上を可能とするという観点で、意義の大きいものである。
線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの形態に特に制限はなく、乾燥状態の粉末状、粉粒状、粒状、ペレット状でも良いし、反応溶媒である有機極性溶媒を含む状態で用いることも可能である。線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの形態としては、本質的に反応を阻害しない第三成分を含む状態で用いることも可能である。第三成分としては、例えば、無機フィラーなどが例示できる。線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの形態としては、無機フィラーを含む樹脂組成物の形態の線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを用いることも可能である。
(3)ジハロゲン化芳香族ケトン化合物
本発明の実施形態で用いられるジハロゲン化芳香族ケトン化合物は一般式(III)で表される芳香族ケトン化合物である。
Figure 0005633655
ここで、一般式(III)におけるXとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチンなどから選ばれるハロゲノ基である。一般式(III)に含まれる2つのハロゲノ基は、同一であっても異なるハロゲノ基であってもよい。ジハロゲン化芳香族ケトン化合物の具体例としては、4、4'−ジフルオロベンゾフェノン、4、4'−ジクロロベンゾフェノン、4、4'−ジブロモベンゾフェノン、4、4'−ジヨウ化ベンゾフェノン、4−フルオロ−4'−クロロベンゾフェノン、4−フルオロ−4'−ブロモベンゾフェノン、4−フルオロ−4'−ヨウ化ベンゾフェノン、4−クロロ−4'−ブロモベンゾフェノン、4−クロロ−4'−ヨウ化ベンゾフェノン、4−ブロモ−4'−ヨウ化ベンゾフェノンなどが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から4、4'−ジフルオロベンゾフェノン、また、経済性の観点から4、4'−ジクロロベンゾフェノンが好ましい具体例として挙げることができ、4、4'−ジフルオロベンゾフェノンが特に好ましい具体例として挙げることができる。これらジハロゲン化芳香族ケトン化合物は、単独の化合物を用いても良いし、2種類以上の混合物として用いてもよい。
(4)ジヒドロキシ芳香族化合物
本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造において用いられるジヒドロキシ芳香族化合物は、一般式(IV)で表される芳香族化合物である。
Figure 0005633655
ここで、一般式(IV)における繰り返し数qは整数であり、繰り返し数qに特に制限はないが、q=0であるヒドロキノンを好ましい具体例として挙げることができる。一般式(IV)における繰り返し数qの上限についても特に制限はないが、q=2以下であるジヒドロキシ芳香族化合物を好ましいジヒドロキシ芳香族化合物として挙げることができる。ジヒドロキシ芳香族化合物は、単独で用いても良いし、2種類以上の混合物として用いても良い。
(5)有機極性溶媒
本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法において用いる有機極性溶媒としては、反応の阻害や生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解などの好ましくない副反応を実質的に引き起こさないものであれば特に制限はない。このような有機極性溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−メチルカプロラクタム、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N、N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、ジフェニルエーテルなどのジアリールエーテル類、ベンゾフェノン、アセトフェノンなどのケトン類、およびこれらの混合物などが挙げられる。これらの有機極性溶媒は、いずれも反応の安定性が高いため好ましく使用されるが、なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドが好ましく、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましく用いられる。これらの有機極性溶媒は、高温領域での安定性に優れ、さらに入手性の観点からも好ましい有機極性溶媒である。
(6)塩基
本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法では、塩基として、(i)炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種、または、(ii)炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種並びにナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属の炭酸塩および重炭酸塩から選ばれる少なくとも1種との混合塩基、を用いる。本発明の実施形態では、塩基として、(i)炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種を用いる方法と、(ii)炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種並びにナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属の炭酸塩および重炭酸塩から選ばれる少なくとも1種との混合塩基を用いる方法がある。
ナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムなどが例示でき、アルカリ金属の重炭酸塩としては、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムなどが例示できる。塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合物、炭酸ナトリウムと炭酸ルビジウムの混合物、炭酸ナトリウムと炭酸セシウムの混合物、炭酸ナトリウムと炭酸水素カリウムの混合物、炭酸ナトリウムと炭酸水素ルビジウムの混合物、炭酸ナトリウムと炭酸水素セシウムの混合物、炭酸水素ナトリウムと炭酸カリウムの混合物、炭酸水素ナトリウムと炭酸ルビジウムの混合物、炭酸水素ナトリウムと炭酸セシウムの混合物、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムの混合物、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素ルビジウムの混合物、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素セシウムの混合物などが例示できる。これらのなかでも、取り扱いの容易さ、反応性の観点から、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合物、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物、炭酸水素ナトリウムと炭酸カリウムの混合物、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムの混合物が好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合物がより好ましい。これら好ましい塩基を用いることにより、例えば炭酸カリウム単独を塩基に用いた場合に見られるステンレス製反応槽の黒色被膜といった課題を回避できる傾向にあり、反応により得られる線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン中の、"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"などの不純物構造の生成といった課題を回避できる傾向にある。
また、塩基として上記のような混合塩基を用いる場合、ナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属の炭酸塩および重炭酸塩から選ばれる1種の添加量は、使用するナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属の炭酸塩もしくは重炭酸塩に依存するので一概に規定することができないが、好ましくはナトリウム1.0モルに対してナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属が0.01モル以上、より好ましくは0.02モル以上、さらに好ましくは0.03モル以上、特に好ましくは0.05モル以上であることが望まれる。
また、混合塩基におけるナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属の炭酸塩および重炭酸塩から選ばれる1種の添加量の上限に特に制限はないが、好ましくはナトリウム1.0モルに対してナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属が10.0モル以下、より好ましくは5.0モル以下、さらに好ましくは3.0モル以下、特に好ましくは1.0モル以下であり、0.5モル以下、0.1モル以下となるに従いよりいっそう好ましい。混合塩基におけるナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属の炭酸塩および重炭酸塩から選ばれる1種の添加量が、これら好ましい範囲にあることにより、反応により得られる線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン中の、"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"などの不純物構造の生成といった課題を回避できる傾向にある。
(7)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法
本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法としては、(I)有機極性溶媒中で少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、および塩基を反応させる方法と、(II)少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、有機極性溶媒を含む混合物を加熱することにより反応(A)を行い、次いで得られた反応混合物に反応(A)で用いたジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり1.0〜1.5モルになるようにジハロゲン化芳香族ケトン化合物を追加することにより反応(B)を行う方法と、を好ましい製造方法として挙げることができる。以下、これら好ましい製造方法につき詳細を記す。
(7)−1.製造方法(I)
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの好ましい製造方法として、有機極性溶媒中で少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、および塩基を反応させる方法を例示できる。
この好ましい製造方法(I)により、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを製造する際の反応混合物中の有機極性溶媒の量は、反応混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対して1.20リットル以上、より好ましくは1.30リットル以上、さらに好ましくは1.50リットル以上、特に好ましくは2.0リットル以上含むものが望まれる。また、反応混合物中の有機極性溶媒量の上限に特に制限はないが、反応混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対して100リットル以下であることが好ましく、50リットル以下がより好ましく、20リットル以下がさらに好ましく、10リットル以下が特に好ましい。
有機極性溶媒の使用量を多くすると、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン生成の選択率が向上する傾向となる。一方、有機極性溶媒の使用量が、多すぎる場合、反応容器の単位体積当たりの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成量が低下する傾向にあり、さらに、反応に要する時間が長時間化する傾向にある。従って、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成選択率と生産性を両立するとの観点から、前記した有機極性溶媒の使用範囲とすることが好ましい。
なお、ここでの有機極性溶媒の量は、常温常圧下での溶媒の体積を基準とする。反応混合物における有機極性溶媒の使用量とは、反応系内に導入した有機極性溶媒量から脱水操作などにより反応系外に除外された有機極性溶媒量を差し引いた量である。また、ここでの反応混合物中のベンゼン環成分とは、反応により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン構成成分となり得る原料に含まれるベンゼン環成分である。これら原料におけるベンゼン環成分の「モル数」とは、「化合物を構成するベンゼン環の数」を表す。例えば、4、4'−ジフルオロベンゾフェノン1モルはベンゼン環成分2モル、ヒドロキノン1モルはベンゼン環成分1モル、4、4'−ジフルオロベンゾフェノン1モルとヒドロキノン1モルを含む混合物はベンゼン環成分3モルを含む混合物と原料におけるベンゼン環成分の「モル数」を計算する。
反応に用いる線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン構成成分となり得る原料であるため、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンにおけるベンゼン環成分のモル数についても加味する必要がある。線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、繰り返し単位にベンゼン環3個を含むポリマーである。従って、これら線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに含まれるベンゼン環成分の「モル数」とは、「ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの繰り返し単位の数×3」である。例えば、重合度100のポリフェニレンエーテルエーテルケトン1分子は1モルではなく、ベンゼン環成分300モルとベンゼン環成分の「モル数」を計算する。また、トルエンなど反応により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン構成成分となり得ない成分は、ベンゼン環成分が0モルとみなす。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの好ましい製造方法(I)におけるジヒドロキシ芳香族化合物の使用量は、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物1.0モルに対し、0.8モル以上であることが好ましく、0.9モル以上がより好ましく、0.95モル以上がさらに好ましく、0.97モル以上が特に好ましい。製造方法(I)におけるジヒドロキシ芳香族化合物の使用量は、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物1.0モルに対し、1.2モル以下であることが好ましく、1.1モル以下がより好ましく、1.05モル以下がさらに好ましく、1.03モル以下が特に好ましい。ジヒドロキシ芳香族化合物の使用量を上記好ましい範囲にすることにより、生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解反応が抑制できる傾向にあり、かつ環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの分離が困難な線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成も抑制できる傾向にあるため好ましい。
製造方法(I)における塩基の使用量は、反応に用いるジヒドロキシ芳香族化合物に対して化学量論的比率として当量以上が望ましい。塩基の具体的な使用量は、例えば炭酸ナトリウムや炭酸カリウムのような2価の塩基の使用量をYモル、炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウムのような1価の塩基の使用量をZモルとした場合、反応に用いたジヒドロキシ芳香族化合物1.0モルに対して(Y+2Z)が1.00から1.10モルの範囲にあることが好ましく、1.00モルから1.05モルの範囲にあることがより好ましく、1.00モルから1.03モルの範囲にあることがさらに好ましく例示できる。製造方法(I)における塩基の使用量がこれら好適な範囲にあることにより、ジヒドロキシ芳香族化合物の金属塩を十分に生成させることが可能であり、さらに、大過剰の塩基による生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解反応といった好ましくない反応の進行を抑制することもできるため好ましい。なお、ここでの「大過剰」とは、ジヒドロキシ芳香族化合物1.0モルに対して(Y+2Z)が2.0モル以上の範囲にあることを指す。
製造方法(I)による方法で、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを製造する際、ジヒドロキシ芳香族化合物と塩基から別途調製したジヒドロキシ芳香族化合物の金属塩を用いることもできる。この場合には上記した好ましい塩基を追加して、過剰量の塩基を供給することができる。この供給する塩基の過剰量は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造するために用いたジヒドロキシ芳香族化合物1.0モルに対して(Y+2Z)が0〜0.10モルの範囲にあることが好ましく、0〜0.05モルの範囲にあることが好ましく、0〜0.03モルの範囲にあることがさらに好ましく例示できる。塩基の過剰量を好適な範囲にすることにより、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解反応といった好ましくない反応の進行を抑制することもできるため好ましい。
少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および有機極性溶媒を含む混合物を加熱することにより反応させることによる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(I)において、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの使用量は、反応開始時点、すなわち反応系に仕込んだジハロゲン化芳香族ケトン化合物の転化率が0の段階での反応混合物に、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが含まれていれば良い。線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの主要構成単位である式
Figure 0005633655
の繰り返し単位を基準として、ジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり0.1繰り返し単位モル以上であることが好ましく、0.25繰り返し単位モル以上がより好ましく、0.5繰り返し単位モル以上がさらに好ましく、1繰り返し単位モル以上が特に好ましい。一方、ジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり30繰り返し単位モル以下であることが好ましく、20繰り返し単位モル以下がより好ましく、15繰り返し単位モル以下がさらに好ましく、10繰り返し単位モル以下が特に好ましい。線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの使用量が好ましい範囲では、特に、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが高収率で得られる傾向にあり、さらに、短時間で反応を進行させ得る傾向にある。
少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基および有機極性溶媒を含む混合物を加熱することにより反応させる反応温度は、反応に用いるジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、有機極性溶媒、さらには線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの種類、量によって多様化するため一意的に決めることはできない。しかし、通常、この反応温度は、120℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上が例示できる。また、通常、この反応温度は、350℃以下、好ましくは330℃以下、より好ましくは320℃以下が例示できる。これら好ましい温度範囲では、より高い反応速度が得られる傾向にある。また、反応は、一定の温度で行う1段階反応、段階的に温度を上げていく多段反応、あるいは連続的に温度を変化させていく形式の反応のいずれでもよい。
反応時間は、使用した原料の種類や量、あるいは反応温度に依存するので一概に規定することはできない。しかし、通常、この反応時間は、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。この好ましい時間以上とすることで、未反応の原料成分を十分に減少できる傾向にある。一方、反応時間に特に上限はないが、40時間以内でも十分に反応が進行し、好ましくは10時間以内、より好ましくは6時間以内も採用できる。
有機極性溶媒中で少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、および塩基を加熱することにより反応させる際、前記必須成分以外に実質的に反応を阻害しない成分や、反応を加速する効果を有する成分を加えることも可能である。また、反応を行う方法に特に制限はないが、撹拌条件下に行うことが好ましい。さらに、本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(I)においては、バッチ式および連続式などの公知の各種重合方式や、反応方式を採用することができる。製造における雰囲気は、非酸化性雰囲気下が好ましく、窒素、ヘリウム、およびアルゴンなどの不活性雰囲気下で行うことがより好ましく、経済性および取り扱いの容易さから、窒素雰囲気下で行うことがさらに好ましい。
少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基および有機極性溶媒を含む混合物を加熱することによる反応は、反応系内に水が多量に存在すると、反応速度の低下や、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの分離が困難な副反応生成物が生成するといった悪影響が顕在化する傾向にある。反応中に系内に存在する水分量としては、3.0重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以下であることがさらに好ましく、0.3重量%以下であることが特に好ましい。従って、塩基として水和物や水性混合物を用いた場合の水や反応により副生する水を、必要に応じて反応系外への除外操作を行うことにより、水分量をこの好ましい範囲以下とすることが好ましい。
なお、ここでの系内に存在する水分量とは、反応混合物総重量に対する重量分率であり、水分量はカールフィッシャー法により測定することができる。脱水操作を行う時期に特に制限はないが、製造方法(I)における必須成分を混合した後であることが好ましい。水の除去方法としては、反応系外に水を取り除くことができれば如何なる方法でも良く、例えば、高温加熱による脱水方法や、共沸溶媒を用いた共沸蒸留による方法が挙げられ、なかでも脱水効率の観点から共沸蒸留による方法が好ましい方法として挙げられる。共沸蒸留に用いられる共沸溶媒としては、水との共沸混合物を形成し得る有機化合物であり、且つ共沸混合物の沸点が反応に用いる有機極性溶媒の沸点よりも低いものであれば問題ない。共沸溶媒は、具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの不活性塩素化芳香族化合物などが挙げられ、なかでもトルエン、キシレンを好ましい共沸溶媒として挙げることができる。
共沸溶媒の量は、系内に存在する水の量や溶媒の種類により水との共沸混合物を形成するための必要量が異なるため一概に規定することはできない。しかし、共沸溶媒の量は、反応系内の水を共沸混合物として除去するのに必要な量よりも過剰量の溶媒を用いることが好ましい。共沸溶媒の量は、具体的には、混合物中のジヒドロキシ芳香族化合物1.0モルに対して0.2リットル以上が好ましく、0.5リットル以上がより好ましく、1.0リットル以上がさらに好ましい。共沸溶媒量の上限に特に制限はないが、混合物中のジヒドロキシ芳香族化合物1.0モルに対して20.0リットル以下であることが好ましく、10.0リットル以下であることがさらに好ましく、5.0リットル以下であることがより好ましい。共沸溶媒の使用量が多すぎる場合、混合物中の極性が低下するため、塩基とジヒドロキシ芳香族化合物の反応の効率が低下する傾向にある。なお、ここでの共沸溶媒の量は、常温常圧下での溶媒の体積を基準とする。また、ディーン・スターク装置の原理を用いて水の共沸蒸留を行う場合、反応系内の共沸溶媒量を常に一定に保つことができるため、用いる共沸溶媒量をさらに少なくすることも可能である。
反応系外に水を取り除く際の温度は、共沸溶媒の種類により水との共沸混合物の沸点が異なるため一意的に決めることはできないが、水との共沸混合物の沸点以上であり反応に用いる有機極性溶媒の沸点以下であることが好ましい。反応系外に水を取り除く際の温度は、具体的には、60〜170℃の範囲が例示でき、好ましくは80〜170℃、より好ましくは100〜170℃、さらに好ましくは120〜170℃の範囲が例示できる。なお、水の除去は、好ましい温度範囲内における一定温度で行う方法、段階的に温度を上げていく方法、もしくは連続的に温度を変化させていく形式のいずれでもよい。さらに、上記共沸蒸留を減圧下で行うことも好ましい方法であり、減圧下で行うことにより、より効率よく水の除去を行える傾向にある。
上記の共沸溶媒は、水の共沸蒸留後に系内から除外することが好ましい。共沸溶媒を系内から除外する時期は、水の共沸蒸留の終了後であることが好ましい。共沸溶媒が系内に多量に残存すると、反応系の極性が下がり、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン生成反応速度が低下する傾向にある。このため、共沸溶媒の除去操作を行うことが望まれる。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン生成反応中に、系内に残存する共沸溶媒量としては、製造方法(I)に用いている有機極性溶媒に対して20%以下であることが好ましく、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがさらに好ましく、6%以下であることが特に好ましい。この好ましい範囲以下となるように共沸溶媒の除去を行うことが重要である。共沸溶媒の除去方法としては、蒸留による方法が好ましく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスをキャリアーガスとして用いても良い。また、減圧下で蒸留を行うことも好ましい方法であり、より効率良く共沸溶媒の除去が可能となる傾向にある。
共沸溶媒の除去を行う温度は、共沸溶媒を反応系から除外できれば如何なる温度でも良いが、具体的には60〜170℃の範囲が例示でき、好ましくは100〜170℃、より好ましくは120〜170℃、さらに好ましくは140〜170℃の範囲が例示できる。なお、共沸溶媒の除去は好ましい温度範囲における一定温度で行う方法、段階的に温度を上げていく方法、あるいは連続的に温度を変化させていく形式のいずれでもよい。
(7)−2.製造方法(II)
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの好ましい製造方法であって、製造方法(I)と異なる方法として、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、有機極性溶媒を含む混合物を加熱することにより反応(A)を行い、反応(A)で得られた反応混合物に反応(A)で用いたジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり1.0〜1.5モルになるようにジハロゲン化芳香族ケトン化合物を追加することにより反応(B)を行う方法を挙げることができる。このような製造方法を採用することで、収率を向上させることができる。
以下、反応(A)、反応(B)について述べる。
「反応(A)」
反応(A)では少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基および有機極性溶媒を含む混合物を加熱することにより反応させる。
反応(A)における線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの使用量は、反応開始時点に反応混合物中に線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが含まれていれば良いが、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの主要構成単位である式
Figure 0005633655
の繰り返し単位を基準として、ジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり0.1繰り返し単位モル以上であることが好ましく、0.25繰り返し単位モル以上がより好ましく、0.5繰り返し単位モル以上がさらに好ましく、1繰り返し単位モル以上が特に好ましい。また、この繰り返し単位を基準として、ジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり30繰り返し単位モル以下であることが好ましく、20繰り返し単位モル以下がより好ましく、15繰り返し単位モル以下がさらに好ましく、10繰り返し単位モル以下が特に好ましい。線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの使用量が好ましい範囲では、反応(A)についで反応(B)を行った際に、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが高収率で得られる傾向にあり、また、短時間で反応を進行させ得る傾向にある。
反応(A)に用いる有機極性溶媒の量に特に制限はないが、反応混合物中の反応によりポリフェニレンエーテルエーテルケトン構成成分となり得る原料に含まれるベンゼン環成分1.0モルに対して100リットル以下が例示でき、50リットル以下が好ましく、20リットル以下がさらに好ましく例示でき、10リットル以下が特に好ましく例示できる。また、有機極性溶媒の使用量の下限にも特に制限はないが、反応を効率良く行うとの観点から、反応混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対して0.2リットル以上が好ましく、0.35リットル以上がより好ましく、0.5リットル以上がさらに好ましい。なお、ここでの溶媒使用量は、常温常圧下における溶媒の体積を基準とする。有機極性溶媒の使用量を好ましい量とすることで、短時間で原料消費率を向上できる傾向にある。
反応(A)における塩基の使用量は、用いるジヒドロキシ芳香族化合物に対して化学量論的比率として当量以上が望ましい。塩基の具体的な使用量は、例えば炭酸ナトリウムや炭酸カリウムのような2価の塩基の使用量をYモル、炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウムのような1価の塩基の使用量をZモルとした場合、反応(A)に用いたジヒドロキシ芳香族化合物1.0モルに対して(Y+2Z)が1.00から1.10モルの範囲にあることが好ましく、1.00モルから1.05モルの範囲にあることがより好ましく、1.00モルから1.03モルの範囲にあることがさらに好ましく例示できる。反応(A)における塩基の使用量がこれら好適な範囲にあることにより、ジヒドロキシ芳香族化合物の金属塩を十分に生成させることが可能であり、さらに大過剰の塩基による線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解反応といった好ましくない反応の進行を抑制することもできるため好ましい。なお、ここでの「大過剰」とは、ジヒドロキシ芳香族化合物1.0モルに対して(Y+2Z)が2.0モル以上の範囲にあることを指す。
反応(A)において、ジヒドロキシ芳香族化合物と塩基とから別途調製したジヒドロキシ芳香族化合物の金属塩を用いることもでき、この場合には上記した好ましい塩基を追加添加して、過剰量の塩基を供給することができる。この供給する塩基の過剰量は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造するために用いたジヒドロキシ芳香族化合物1.0モルに対して(Y+2Z)が0〜0.10モルの範囲にあることが好ましく、0〜0.05モルの範囲にはることが好ましく、0〜0.03モルの範囲にあることがさらに好ましく例示できる。塩基の過剰量を好適な範囲にすることにより、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解反応といった好ましくない反応の進行を抑制することもできるため好ましい。
少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、有機極性溶媒を含む混合物を加熱することにより反応させる反応(A)における反応温度は、反応に用いるジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、有機極性溶媒、さらには線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの種類、量によって多様化するため一意的に決めることはできない。しかし、この反応温度は、通常、120℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上が例示できる。また、この反応温度は、通常、350℃以下、好ましくは330℃以下、より好ましくは320℃以下が例示できる。これら好ましい温度範囲では、より高い反応速度が得られる傾向にある。また、反応は、一定の温度で行う1段階反応、段階的に温度を上げていく多段反応、あるいは連続的に温度を変化させていく形式の反応のいずれでもよい。
反応時間は、使用した原料の種類や量、あるいは反応温度に依存するので一概に規定することができないが、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。この好ましい時間以上とすることで、未反応の原料成分を十分に減少できる傾向にある。一方、反応時間に特に上限はないが、40時間以内でも十分に反応が進行し、好ましくは10時間以内、より好ましくは6時間以内も採用できる。
有機極性溶媒中で少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジヒドロキシ芳香族化合物、および塩基を加熱することにより反応させる際、前記必須成分以外に実質的に反応を阻害しない成分や、反応を加速する効果を有する成分を加えることも可能である。また、反応を行う方法に特に制限はないが、撹拌条件下に行うことが好ましい。反応(A)においては、バッチ式および連続式などの公知の各種重合方式、反応方式を採用することができる。反応(A)における雰囲気は非酸化性雰囲気下が望ましく、窒素、ヘリウム、およびアルゴンなどの不活性雰囲気下で行うことが好ましく、経済性および取り扱いの容易さから、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
上記反応(A)は反応系内に水が多量に存在すると、反応速度の低下や、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解といった好ましくない反応が進行するといった悪影響が顕在化する傾向にある。反応中に系内に存在する水分量としては、3.0重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以下であることがさらに好ましく、0.5重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることが特に好ましい。従って、塩基として水和物や水性混合物を用いた場合の水や反応により副生する水を、必要に応じて反応系外への除外操作を行うことにより、水分量をこの好ましい範囲以下とすることが好ましい。
系内に存在する水分量は、反応混合物総重量に対する重量分率である。水分量は、カールフィッシャー法により測定することができる。脱水操作を行う時期に特に制限はないが、反応(A)における必須成分を混合した後であることが好ましい。水の除去方法としては、反応系外に水を取り除くことができれば如何なる方法でも良く、例えば、高温加熱による脱水方法や、共沸溶媒を用いた共沸蒸留による方法が挙げられ、なかでも脱水効率の観点から共沸蒸留による方法が好ましい方法として挙げられる。共沸蒸留に用いられる共沸溶媒としては、水との共沸混合物を形成し得る有機化合物であり、且つ共沸混合物の沸点が反応に用いる有機極性溶媒の沸点よりも低いものであればよい。共沸溶媒としては、具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの不活性塩素化芳香族化合物などが挙げられ、なかでもトルエン、キシレンを好ましい共沸溶媒として挙げることができる。
共沸溶媒の量は系内に存在する水の量や溶媒の種類により水との共沸混合物を形成するための必要量が異なるため一概に規定することはできないが、反応系内の水を共沸混合物として除去するのに必要な量よりも過剰量の溶媒を用いることが好ましい。共沸溶媒の量は、具体的には混合物中のジヒドロキシ芳香族化合物1.0モルに対して0.2リットル以上が好ましく、0.5リットル以上がより好ましく、1.0リットル以上がさらに好ましい。さらに共沸溶媒量の上限に特に制限はないが、混合物中のジヒドロキシ芳香族化合物1.0モルに対して20.0リットル以下であることが好ましく、10.0リットル以下であることがさらに好ましく、5.0リットル以下であることがより好ましい。共沸溶媒の使用量が多すぎる場合、混合物中の極性が低下するため、塩基とジヒドロキシ芳香族化合物の反応の効率が低下する傾向にある。なお、ここでの共沸溶媒の量は、常温常圧下での溶媒の体積を基準とする。
ディーン・スターク装置の原理を用いて水の共沸蒸留を行う場合、反応系内の共沸溶媒量を一定に保つことができるため、用いる共沸溶媒量をさらに少なくすることも可能である。反応系外に水を取り除く際の温度は、共沸溶媒の種類により水との共沸混合物の沸点が異なるため一意的に決めることはできないが、水との共沸混合物の沸点以上であり反応に用いる有機極性溶媒の沸点以下であることが好ましくい。反応系外に水を取り除く際の温度は、具体的には60〜170℃の範囲が例示でき、好ましくは80〜170℃、より好ましくは100〜170℃、さらに好ましくは120〜170℃の範囲が例示できる。なお、水の除去は好ましい温度範囲内における一定温度で行う方法、段階的に温度を上げてく方法、もしくは連続的に温度を変化させていく形式のいずれでもよい。さらに、上記共沸蒸留を減圧下で行うことも好ましい方法であり、減圧下で行うことにより、より効率よく水の除去を行える傾向にある。
上記の共沸溶媒は、水の共沸蒸留後に系内から除外することが好ましい。共沸溶媒を系内から除外する時期は、水の共沸蒸留の終了後であることが好ましい。共沸溶媒が系内に多量に残存すると、反応系の極性が下がり、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン生成反応速度が低下する傾向にある。このため、共沸溶媒の除去操作を行うことが望まれる。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン生成反応中に系内に残存する共沸溶媒量としては、反応(A)に用いている有機極性溶媒に対して20%以下であることが好ましく、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがさらに好ましく、6%以下であることが特に好ましい。この好ましい範囲以下となるように共沸溶媒の除去を行うことが重要である。共沸溶媒の除去方法としては、蒸留による方法が好ましく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスをキャリアーガスとして用いても良い。また、減圧下で蒸留を行うことも好ましい方法であり、より効率良く共沸溶媒の除去が可能となる傾向にある。また、共沸溶媒の除去を行う温度は、共沸溶媒を反応系から除外できれば如何なる温度でも良いが、具体的には60〜170℃の範囲が例示でき、好ましくは100〜170℃、より好ましくは120〜170℃、さらに好ましくは140〜170℃の範囲が例示できる。なお、共沸溶媒の除去は、好ましい温度範囲における一定温度で行う方法、段階的に温度を上げていく方法、あるいは連続的に温度を変化させていく形式のいずれでもよい。
「反応(B)」
反応(B)では、反応(A)で用いたジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり1.0〜1.5モルになるようにジハロゲン化芳香族ケトン化合物を追加し、反応混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対して1.20リットル以上100リットル以下の有機極性溶媒中で加熱することにより反応させる。
反応(A)で得られた反応混合物は、反応液のままで安定性が良いため、そのまま反応(B)に用いることが可能である。また、必要ならば、反応(A)で得られた反応混合物から、反応物が変性・変質しない条件下で分離したプレポリマーを反応(B)に用いることも可能である。なお、ここでの「変性・変質しない条件」とは、非酸化性雰囲気下のことを指す。
反応(B)におけるジハロゲン化芳香族ケトン化合物の追加量は、反応(A)で用いたジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり1.0〜1.5モルの範囲、好ましくは1.0〜1.2モルの範囲、さらに好ましくは1.0〜1.1モルの範囲が例示できる。反応(B)におけるジハロゲン化芳香族ケトン化合物の追加量がこれら好ましい範囲にあることにより、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの分離が困難な線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーの生成を抑制できる傾向にあるため、好ましい。
反応(B)で用いる有機極性溶媒の使用量は、反応混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対して1.20リットル以上、より好ましくは1.30リットル以上、さらに好ましくは1.50リットル以上、特に好ましくは2.0リットル以上含むものが望まれる。また、反応混合物中の有機極性溶媒量の上限に特に制限はないが、反応混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対して100リットル以下であることが好ましく、50リットル以下がより好ましく、20リットル以下がさらに好ましく、10リットル以下が特に好ましい。有機極性溶媒の使用量を多くすると、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン生成の選択率が向上する傾向となる。一方、有機極性溶媒の使用量が多すぎる場合、反応容器の単位体積当たりの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成量が低下する傾向にあり、さらに反応に要する時間が長時間化する傾向にある。従って、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成選択率と生産性を両立するとの観点から、前記した有機極性溶媒の使用範囲とすることが好ましい。なお、反応(B)では、有機極性溶媒の使用量を所望のものとするために、反応(A)で得られた反応混合物に、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物とともに有機極性溶媒を追加する方法が好ましく採用できる。
反応(B)における好ましい反応温度は、反応混合物中の成分の種類、量、反応(A)で得られた反応混合物に含まれるプレポリマーの分子量などによって多様に変化するため一意的に決めることはできない。しかし、反応温度は、通常120℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上が例示できる。また、反応温度は、通常350℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは270℃以下が例示できる。この好ましい温度範囲ではより高い反応速度が得られ、反応が均一で進行しやすい傾向にあるのみならず、生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分解なども起こりにくい傾向にある。このため、効率良く環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得られる傾向にある。また、反応は、一定温度で行う1段反応、段階的に温度を上げていく多段階反応、あるいは連続的に温度を変化させていく形式の反応のいずれでもよい。
反応(B)における反応時間は、反応(A)で得られた反応混合物に含まれるプレポリマーの分子量や、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、有機極性溶媒の種類、およびこれら原料の量や反応温度に依存するので一概には規定できない。しかし、反応(B)における反応時間は、0.05時間以上が例示でき、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましく例示できる。この好ましい時間以上とすることで、未反応の原料成分を十分に減少できる傾向にある。一方、反応時間に特に上限はないが、10時間以内でも十分に反応が進行し、好ましくは6時間以内、より好ましくは3時間以内も採用できる。
(8)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法
本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、(7)項に記した製造方法により得られた反応混合物から分離回収することにより得ることが可能である。上記製造方法により得られた反応混合物には少なくとも環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン及び有機極性溶媒が含まれ、その他の成分として未反応原料や副生塩、水、共沸溶媒などが含まれる場合もある。この様な反応混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを回収する方法に特に制限はなく、例えば、必要に応じて有機極性溶媒の一部もしくは大部分を蒸留などの操作により除去した後に、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分に対する溶解性が低く且つ有機極性溶媒と混和し、その後、副生塩に対して溶解性を有する溶剤と必要に応じて加熱下で接触させて、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合固体として回収する方法が例示できる。このような特性を有する溶剤は、一般に比較的極性の高い溶剤であり、用いた有機極性溶媒や副生塩の種類により好ましい溶剤は異なるので限定はできない。しかし、このような特性を有する溶剤は、例えば、水やメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノールに代表されるアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンに代表されるケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどに代表される酢酸エステル類が例示でき、入手性、経済性の観点から、水、メタノール及びアセトンが好ましく、水が特に好ましい。
このような溶剤による処理を行うことにより、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合固体に含有される有機極性溶媒や副生塩の量を低減することが可能である。この処理により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン及び線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは共に固体成分として析出するので、公知の固液分離法により、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン及び線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの混合物を回収することが可能である。これにより、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合固体に含有される有機極性溶媒や副生塩の量がさらに低減される傾向にある。
上記の溶剤による処理方法としては、溶剤と反応混合物を混合する方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。溶剤による処理を行う際の温度は、特に制限はないが、下限として、20℃以上が好ましく、50℃以上がさらに好ましく、上限として、220℃以下が好ましく、200℃以下がさらに好ましい。このような範囲では、例えば副生塩の除去が容易となり、また、比較的低圧の状態で処理を行うことが可能であるため好ましい。溶剤として水を用いる場合、水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましいが、必要に応じて、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、アクリル酸、クロトン酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などの有機酸性化合物やそのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、また、硫酸やリン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物やアンモニウムイオンなどを含む水溶液を用いることも可能である。この処理後に得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合固体が処理に用いた溶剤を含有する場合には、必要に応じて乾燥などを行い、溶剤を除去することも可能である。
上記した回収方法では、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が得られる。つまり、上記した回収方法において、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合物として回収される。この組成物の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの含有量をさらに上げるために、この混合物から環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを分離回収する方法としては、例えば、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶解性の差を利用した分離方法が挙げられ、より具体的には、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解性が高く、且つ線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに対する溶解性に乏しい溶剤を、必要に応じて加熱下で上記環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合物と接触させることにより、溶剤可溶成分として環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得る方法が例示できる。一般に、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは結晶性が高く、溶剤への溶解性が非常に低いという特徴を有することが知られており、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶剤への溶解性の違いが大きいため、上記の溶解性差を利用した分離方法により効率良く環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得ることが可能である。
ここで用いる溶剤としては、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを溶解可能な溶剤であれば特に制限はないが、溶解を行う環境において、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは溶解するが、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは溶解しにくい溶剤が好ましく、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは溶解しない溶剤がより好ましい。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとの混合物を前記溶剤と接触させる際の反応系圧力は、常圧もしくは微加圧が好ましく、特に常圧が好ましく、このような圧力の反応系は、それを構築する反応器の部材が安価であるという利点がある。このような観点から反応系圧力は、高価な耐圧容器を必要とする加圧条件は避けることが望ましい。用いる溶剤としては、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン成分の分解や架橋など好ましくない副反応を実質的に引き起こさないものが好ましい。上記混合物を溶剤と接触させる操作を、例えば常圧還流条件下で行う場合に好ましい溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トリメチルリン酸、N、N−ジメチルイミダゾリジノンなどの極性溶媒を例示できるが、なかでもベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2、6−ジクロロトルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トリメチルリン酸、N、N−ジメチルイミダゾリジノンがより好ましく、トルエン、キシレン、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフランがさらに好ましく例示できる。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる混合物を溶剤と接触させる際の雰囲気に、特に制限はないが、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことがより好ましく、この中でも、経済性および取り扱いの容易さの観点から、窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる混合物を溶剤と接触させる温度に、特に制限はないが、一般に温度が高いほど環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶剤への溶解は促進される傾向にある。前記した通り、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン及び線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる混合物の溶剤との接触は常圧下で行うことが好適であるため、上限温度は使用する溶剤の大気圧下での還流温度にすることが好ましく、前記した好ましい溶剤を用いる場合には例えば20〜150℃を具体的な温度範囲として例示できる。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとからなる混合物を、溶剤と接触させる時間は、用いる溶剤の種類や温度などによって異なるため一意的には限定できないが、例えば1分〜50時間が例示できる。このような範囲では、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶剤への溶解が十分となる傾向にある。
上記混合物を溶剤と接触させる方法は、公知の一般的な手法を用いれば良く、特に限定はないが、例えば、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン及び線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる混合物と溶剤を混合し、必要に応じて撹拌した後に溶液部分を回収する方法や、各種フィルター上の上記混合物に溶剤をシャワーすると同時に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを溶剤に溶解させる方法や、ソックスレー抽出法原理による方法など、いかなる方法も用いることができる。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン及び線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる混合物と溶剤を接触させる際の溶剤の使用量に、特に制限はないが、例えば混合物重量に対する浴比で0.5〜100の範囲が例示できる。浴比がこの様な範囲の場合、上記混合物と溶剤を均一に混合し易く、また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが溶剤に十分に溶解し易くなる傾向にある。一般に、浴比が大きい方が環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶剤への溶解には有利である。しかし、大きすぎてもそれ以上の効果は望めず、逆に溶剤使用量増大による経済的不益が生じることがある。なお、混合物と溶剤の接触を繰り返し行う場合は、小さい浴比でも十分な効果が得られる場合が多く、ソックスレー抽出法は、その原理上、類似の効果が得られる。このため、ソックスレー抽出法を用いる場合、小さい浴比で十分な効果が得られる場合が多い。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの混合物を溶剤と接触させた後に、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを溶解した溶液が固形状の線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む固液スラリー状で得られた場合、公知の固液分離法を用いて溶液部を回収することが好ましい。固液分離方法としては、例えば、濾過による分離、遠心分離、デカンテーションなどを例示できる。このようにして分離した溶液から溶剤の除去を行うことにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回収が可能となる。一方、固体成分については、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンがまだ残存している場合、再度溶剤との接触及び溶液の回収を繰り返し行うことで、より収率よく環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得ることも可能である。
前述のようにして得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む溶液から溶剤の除去を行い、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを固形成分として得ることが可能である。ここで溶剤の除去は、例えば、加熱し、常圧下で処理する方法や、膜を利用した溶剤除去を例示できるが、より収率良く、また効率良く環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得るとの観点では常圧以下で加熱して溶剤を除去する方法が好ましい。なお、前述のようにして得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含む溶液は温度によっては固形物を含む場合もあるが、この場合の固形物も環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに属するものであるので、溶剤の除去時に溶剤に可溶の成分とともに回収することが好ましく、これにより収率良く環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得られるようになる。溶剤の除去は、少なくとも50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、よりいっそう好ましくは95重量%以上の溶剤を除去することが好ましい。加熱による溶剤の除去を行う際の温度は、用いる溶剤の種類に依存するため一意的には限定できないが、通常、下限としては、20℃以上、好ましくは40℃以上が選択でき、上限としては、150℃以下、好ましくは120℃以下が選択できる。溶剤の除去を行う圧力は、常圧以下が好ましい。これにより、溶剤の除去をより低温で行うことが可能となる。
本発明の実施形態の方法で得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、(1)項に記した通り、通常環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを60重量%以上含む純度の高いものであり、一般的に得られる線状のポリフェニレンエーテルエーテルケトンとは異なる特性を有し、工業的にも利用価値の高いものである。
(9)ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法
本発明の実施形態の方法により得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンプレポリマーとして用いて、加熱開環重合することによりポリフェニレンエーテルエーテルケトンへと転化させることができる。なお、ここでのポリフェニレンエーテルエーテルケトンとは、パラフェニレンケトン、およびパラフェニレンエーテルを繰り返し構造単位に持つ、前記一般式(II)で表される線状化合物である。本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を加熱開環重合することにより得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの還元粘度(η)に特に制限はないが、下限として、好ましくは0.1dL/g以上、より好ましくは0.2dL/g以上、さらに好ましくは0.3dL/g以上であり、上限として、好ましくは2.5dL/g以下、より好ましくは2.0dL/g以下、さらに好ましくは1.8dL/g以下を例示できる。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を加熱開環重合することによりポリフェニレンエーテルエーテルケトンへと転化する際の加熱温度は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が溶融解する温度以上であることが好ましく、このような温度条件であれば特に制限はない。加熱温度が環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの溶融解温度未満では、加熱開環重合によりポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得るのに長時間が必要になる。もしくは、加熱開環重合が進行せずにポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得られなくなる傾向にある。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が溶融解する温度は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの組成や分子量、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率、さらには加熱時の環境により変化するため、一意的に示すことはできないが、例えば、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を示差走査型熱量計で分析することにより溶融解温度を把握することが可能である。加熱温度の下限としては、150℃以上が例示でき、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは220℃以上である。この温度範囲では、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が溶融解し、短時間でポリフェニレンエーテルエーテルケトンを得ることができる傾向にある。一方、加熱開環重合の温度が高すぎると環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン間、加熱により生成したポリフェニレンエーテルエーテルケトン間、およびポリフェニレンエーテルエーテルケトンと環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン間などでの架橋反応や分解反応に代表される好ましくない副反応が生じやすくなる傾向にあり、得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの特性が低下する場合がある。このため、このような好ましくない副反応が顕著に生じる温度は避けることが望ましい。
加熱温度の上限としては、500℃以下が例示でき、好ましくは400℃以下、より好ましくは360℃以下、さらに好ましくは335℃以下、よりいっそう好ましくは300℃以下である。この温度範囲以下では、好ましくない副反応による悪影響であって、得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの特性への悪影響を抑制できる傾向にある。公知の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを用いた場合、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの融点が高いため、上記の好適な温度範囲では加熱開環重合に長時間を要する。もしくは、公知の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを用いた場合、加熱開環重合が進行せず、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得られない傾向になる。これに対し、融点が270℃以下という特徴を有する本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、上記好適な温度範囲において、効率良く加熱開環重合が進行することにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得られる。本発明の実施形態のポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法では、得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの融点以下の温度で、加熱開環重合をすることも可能である。
反応時間は、使用する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率や組成比、加熱温度や加熱開環重合方法などの条件によって異なるため一様には規定できないが、前記した架橋反応などの好ましくない副反応が起こらないように設定することが好ましく、下限として、0.01時間以上が例示でき、0.05時間以上が好ましく、上限として、100時間以下が例示でき、20時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましい。これら好ましい反応時間とすることにより、架橋反応などの好ましくない副反応の進行による悪影響であって、得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの特性への悪影響を抑制できる傾向にある。
本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合によるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法においては、触媒の非存在化または触媒の存在下に行うことができる。ここでの触媒とは、本発明の実施形態における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合反応を加速させる効果のある化合物であれば特に制限はなく、光重合開始剤、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、遷移金属触媒など公知の触媒を用いることができるが、なかでもアニオン重合開始剤が好ましい。アニオン重合開始剤としては、無機アルカリ金属塩や有機アルカリ金属塩を例示することができる。無機アルカリ金属塩としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物を例示できる。有機アルカリ金属塩としては、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドや、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、ナトリウム−4−フェノキシフェノキシド、カリウム−4−フェノキシフェノキシドなどのアルカリ金属フェノキシド、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム酢酸カリウムなどのアルカリ金属酢酸塩を例示することができる。
これらアニオン重合開始剤は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を求核攻撃することにより触媒作用を発現していると推測している。従って、これらアニオン重合開始剤と同等の求核攻撃能を有する化合物を触媒として用いることも可能であると推測される。このような求核攻撃能を有する化合物としては、アニオン重合性末端を有するポリマーを挙げることができる。これらアニオン重合開始剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合を、これら好ましい触媒の存在下に行うことにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが短時間で得られる傾向にある。具体的には、加熱開環重合の加熱時間として、2時間以下、さらには1時間以下、0.5時間以下が例示できる。
使用する触媒の量は、目的とするポリフェニレンエーテルエーテルケトンの分子量ならびに触媒の種類により異なるが、通常、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの主要構成単位である式
Figure 0005633655
の繰り返し単位1モルに対して、下限としては、0.001モル%以上、好ましくは0.005モル%以上、さらに好ましくは0.01モル%以上であり、上限としては、20モル%以下、好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。この好ましい範囲の触媒量を添加することにより、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合が短時間で進行する傾向にある。
これら触媒の添加に関しては、そのまま添加してもよいが、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物に触媒を添加した後、均一に分散させることが好ましい。均一に分散させる方法として、例えば、機械的に分散させる方法、溶媒を用いて分散させる方法などが挙げられる。機械的に分散させる方法として、具体的には、粉砕機、撹拌機、混合機、振とう機、乳鉢を用いる方法などが例示できる。溶媒を用いて分散させる方法として、具体的には、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を適宜、溶媒に溶解または分散させ、これに触媒を加えた後、溶媒を除去する方法などが例示できる。また、触媒の分散に際して、触媒が固体である場合、より均一な分散が可能となるためには、重合触媒の平均粒径は1mm以下であることが好ましい。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合は、溶媒中または実質的に溶媒を含まない条件下のいずれでも行うことが可能である。短時間での昇温が可能であり、反応速度が速く、短時間でポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得やすい傾向にあるため、加熱開環重合は、実質的に溶媒を含まない条件下で行うことが好ましい。ここでの実質的に溶媒を含まない条件とは、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中の溶媒が20重量%以下であることを指し、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。
加熱方法としては、通常の重合反応装置を用いる方法で行うのはもちろんのこと、成形品を製造する型内で行っても良いし、押出機や溶融混練機を用いて行うなど、加熱機構を具備した装置であれば特に制限なく行うことが可能である。加熱方法としては、バッチ式、連続式など公知の方法が採用できる。
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合の際の雰囲気は非酸化性雰囲気で行うことが好ましく、減圧条件下で行うことも好ましい。減圧条件下で行う場合、反応系内の雰囲気を一度非酸化性雰囲気としてから減圧条件にすることが好ましい。これにより環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン間、加熱開環重合により生成したポリフェニレンエーテルエーテルケトン間、およびポリフェニレンエーテルエーテルケトンと環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン間などでの架橋反応や分解反応などの好ましくない副反応の発生を抑制できる傾向にある。なお、非酸化性雰囲気とは環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが接する気相における酸素濃度が5体積%以下、好ましくは2体積%以下、さらに好ましくは酸素を実質的に含有しない雰囲気をいう。すなわち、非酸化性雰囲気とは、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気であることを指し、この中でも特に経済性および取り扱いの容易さの観点から、窒素雰囲気が好ましい。
減圧条件下とは反応を行う系内が大気圧よりも低いことを指す。減圧条件下は、上限として50kPa以下が好ましく、20kPa以下がより好ましく、10kPa以下がさらに好ましい。減圧条件下は、下限として0.1kPa以上が例示でき、0.2kPa以上がより好ましい。減圧条件が好ましい下限以上では、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物に含まれる分子量の低い環式化合物が揮散しにくい傾向にある。一方、好ましい上限以下では、架橋反応など好ましくない副反応が起こりにくい傾向にある。
前記した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの加熱は、繊維状物質の共存下で行うことも可能である。ここで繊維状物質とは、細い糸状の物質のことである。繊維状物質は、天然繊維のごとく細長く引き延ばされた構造である任意の物質が好ましい。繊維状物質の存在下で、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物のポリフェニレンエーテルエーテルケトンへの転化を行うことで、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと繊維状物質からなる複合材料構造体を容易に作成することができる。このような構造体は、繊維状物質によって補強されるため、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン単独の場合と比べて、例えば機械的に優れる傾向にある。
各種繊維状物質の中でも、長繊維からなる強化繊維を用いることが好ましい。これにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを高度に強化することが可能になる。一般に、樹脂と繊維状物質からなる複合材料構造体を作成する際には、樹脂が溶融した際の粘度が高いことに起因して、樹脂と繊維状物質のぬれが悪くなる傾向にある。このため、均一な複合材料が出来なかったり、期待通りの機械物性が発現しないことが多い。ここで、ぬれとは、溶融樹脂のごとき流体物質と、繊維状化合物のごとき固体基質との間に実質的に空気または他のガスが補足されないような状態であって、この流体物質と固体基質との物理的状態の良好かつ維持された接触があることを意味する。流体物質の粘度が低い方が、繊維状物質とのぬれは良好になる傾向にある。本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は融解した際の粘度が、一般的な熱可塑性樹脂、例えばポリフェニレンエーテルエーテルケトンと比べて著しく低いため、繊維状物質とのぬれが良好になりやすい傾向にある。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物と繊維状物質が良好なぬれを形成した後、本発明の実施形態のポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法によれば環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物がポリフェニレンエーテルエーテルケトンに転化するので、繊維状物質とポリフェニレンエーテルエーテルケトンが良好なぬれを形成した複合材料構造体を容易に得ることができる。
繊維状物質としては、長繊維からなる強化繊維が好ましいことは前述した通りである。本発明の実施形態に用いられる強化繊維は、特に制限はない。好適に用いられる強化繊維としては、一般に、高性能強化繊維として用いられる耐熱性および引張強度の良好な繊維が挙げられる。その強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維が挙げられる。このうち、比強度、比弾性率が良好で、軽量化に大きな寄与が認められる炭素繊維や黒鉛繊維が、強化繊維として最も良好なものとして例示できる。炭素繊維や黒鉛繊維は用途に応じて、あらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、引張強度450kgf/mm、引張進度1.6%以上の高強度高伸度炭素繊維が最も適している。長繊維状の強化繊維を用いる場合、その長さは5cm以上であることが好ましい。この長さの範囲では、強化繊維の強度を複合材料として十分に発現させることが容易となる。また、炭素繊維や黒鉛繊維は、他の強化繊維を混合して用いてもよい。また、強化繊維は、その形状や配列を限定されず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物状、組み紐状であっても使用可能である。特に、比強度、比弾性率が高いことを要求される用途には、強化繊維が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易なクロス(織物)状の配列も本発明の実施形態には適している。
前記した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物のポリフェニレンエーテルエーテルケトンへの転化は、充填剤の存在下で行うことも可能である。充填剤としては、例えば非繊維状ガラス、非繊維状炭素や、無機充填剤が挙げられる。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナなどを例示できる。
(10)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の用途
本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の溶融粘度を大幅に低減させる傾向が強く、熱可塑性樹脂の流動性向上の効果を発現する。これは、通常の線状化合物や線状ポリマーと異なり、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが末端構造を持たないため、分子間の絡み合いが小さくなることに起因する効果である。
ここでの熱可塑性樹脂とは、溶融成形可能な樹脂であればいずれでもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂を他の樹脂とブレンドまたはグラフト重合させて変性させた変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ1−ブテン樹脂、ポリ1−ペンテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、エチレン/α−オレフィン共重合体、(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体、(エチレンおよび/またはプロピレン)と(不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸エステル)との共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属塩化して得られるポリオレフィン、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素のブロック共重合体、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素のブロック共重合体の水素化物、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂などのアクリル樹脂、アクリロニトリルを主成分とするアクリロニトリル系共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂、塩化ビニル/エチレン共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、およびエチレン/酢酸ビニル共重合体のケン化物などが挙げられ、1種または2種以上併用してポリマーアロイとして用いてもよい。
本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物とこれら熱可塑性樹脂は任意の割合で混合することができるが、好ましい構成割合として熱可塑性樹脂70〜99.9重量%、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物0.1〜30重量%を例示でき、さらに好ましくは熱可塑性樹脂90〜99.9重量%、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物0.1〜10重量%であり、より好ましくは熱可塑性樹脂95〜99.5重量%、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物0.5〜5重量%を例示できる。
このような本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物と熱可塑性樹脂を配合してなる熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、溶融混練によることが好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることができる。溶融混練としては、例えば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用いることができ、熱可塑性樹脂および環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の溶融温度以上で溶融混練することにより、樹脂組成物を得ることができる。中でも、二軸押出機を用いる方法が、好ましい方法として例示できる。
混練方法としては、1)熱可塑性樹脂と、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとを一括混練する方法、2)熱可塑性樹脂に環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを高濃度に含む樹脂組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるように該樹脂組成物、熱可塑性樹脂を添加し溶融混練する方法(マスターペレット法)などを例示することができる。混練方法は、どのような混練方法を用いてもよい。本発明の実施形態の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は、融点が270℃以下と低融点である。従って、熱可塑性樹脂組成物を製造する際、溶融混練時の温度を低く設定することができるため、熱可塑性樹脂との溶融混練が容易となる傾向にある。
このようにして得られる熱可塑性樹脂組成物は、通常公知の射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの任意の方法で成形することができる。熱可塑性樹脂組成物は、各種成形品に加工し利用することができる。成形品は、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フィルム、シート、繊維などとして利用できる。フィルムとしては、未延伸、一軸延伸、二軸延伸などの各種フィルムとして、繊維としては、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維として利用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これらの例は例示的なものであって限定的なものではない。
各種物性は、高速液体クロマトグラフィー、示差走査型熱量測定装置(DSC)、赤外分光分析装置(IR)、核磁気共鳴装置(NMR)、オストワルド型粘度計を用いて測定した。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの定量分析は高速液体クロマトグラフィーにて行った。詳細な分析条件は以下の通りである。
(高速液体クロマトグラフィー)
装置 :島津株式会社製 LC−10Avpシリーズ
カラム :Mightysil RP−18GP150−4.6
検出器 :フォトダイオードアレイ検出器(UV=270nmを使用)
カラム温度:40℃
サンプル :0.1重量%THF溶液。
(示差走査型熱量測定装置)
環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよびポリフェニレンエーテルエーテルケトン、開環重合物の融点は、示差走査型熱量測定装置を用いて測定した。測定条件は下記の通り。なお、ここではFirst Runにおける昇温時の吸熱ピークの温度を、融点としている。
装置 :セイコーインスツル株式会社製 ロボットDSC。
雰囲気 :窒素雰囲気
温度プログラム :
(First Run)
・50℃で1分保持
・50℃から380℃へ昇温、昇温速度20℃/分
・380℃で1分保持
・380℃から50℃へ降温、降温速度20℃/分
(Second Run)
・50℃で1分保持
・50℃から380℃へ昇温、昇温速度20℃/分
・380℃で1分保持
・380℃から50℃へ降温、降温速度20℃/分
(赤外分光分析装置)
装置 :Perkin Elmer System2000 FT−IR
サンプル調製:KBr法。
(核磁気共鳴装置)
装置 :日本電子社製 JNM−AL400
サンプル調製:試料約20mgをメタンスルホン酸600μLに溶解させた後に、重水素化ジクロロメタン200μLを加えることにより調製。
(粘度測定)
粘度計 :オストワルド型粘度計
溶媒 :98重量%硫酸
サンプル濃度:0.1g/dL(サンプル重量/溶媒容量)
測定温度 :25℃
還元粘度計算式:η={(t/t0)−1}/C
t :サンプル溶液の通過秒数
t0 :溶媒の通過秒数
C :溶液の濃度。
[参考例1]
撹拌機を具備した1Lのオートクレーブに、4、4´−ジフルオロベンゾフェノン10.9g(50.0mmol)、ヒドロキノン5.50g(50.0mmol)、炭酸カリウム0.35g(2.5mmol)、炭酸ナトリウム5.04g(47.5mmol)、N−メチル−2−ピロリドン500mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は、3.33リットルである。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで昇温させ、200℃で5分間保持した。その後250℃にまで昇温し250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈した。その後、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより分析サンプルを調製し、反応混合物のガスクロマトグラフィー分析および高速液体クロマトグラフィー分析を行った。結果、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認した。ヒドロキノンに対する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は16.0%であった。
また、このようにして得られた反応混合物500gを分取し、1重量%酢酸水溶液1500gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水150gに分散させて70℃で30分間保持した後、濾過して固形分を得る操作を、3回繰り返した。得られた固形分を70℃で8時間真空乾燥に処し、乾燥固体約13.4gを得た。
さらに、上記で得られた乾燥固体13.0gをクロロホルム675gを用いて、浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去して固形分を得た。この固形分にクロロホルム10gを加えた後、超音波洗浄器を用いて分散液として、メタノール150gに滴下した。これにより生じた析出成分を平均ポアサイズ1μmの濾紙を用いて濾別後、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体を得た。得られた白色固体は2.4g、反応に用いたヒドロキノンに対する収率は16.6%であった。
この白色粉末は赤外分光分析における吸収スペクトルよりフェニレンエーテルケトン単位からなる化合物であることを確認した。また高速液体クロマトグラフィーにより成分分割したマススペクトル分析(装置;日立製M−1200H)、およびMALDI−TOF−MSによる分子量情報により、この白色粉末は繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であることが分かった。また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は83重量%であった。なお、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン以外の成分は線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーであった。
このような環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点を測定した結果、158℃の融点を有することが分かった。また、還元粘度を測定した結果、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物は0.02dL/g未満の還元粘度を有していることが分かった。
上記したソックスレー抽出による環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収における、クロロホルム不溶の固形成分を70℃で8時間真空乾燥に処し、オフホワイト色の固形分を10.5g得た。分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。また還元粘度の測定を行った結果、この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは0.45dL/gの還元粘度を有していることが分かった。
1H−NMR(サンプルは、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン20mgをメタンスルホン酸600μLに溶解させた後、重水素化ジクロロメタン200μLを加えることにより調製)により、得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの構造解析を行った結果、主鎖骨格中に"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"骨格を3%含んでいることが分かった。
[参考例2]
ここでは、特許公表2007−506833の実施例に記載の一般的な方法によるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法に準じた合成について記す。
撹拌機、窒素吹き込み管、ディーン・スターク装置、冷却管、温度計を具備した4つ口フラスコに4、4´−ジフルオロベンゾフェノン22.5g(103mmol)、ヒドロキノン11.0g(100mmol)、およびジフェニルスルホン49gを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するジフェニルスルホンの量は、約0.16リットルである。窒素を通じながら140℃にまで昇温したところ、ほぼ無色の溶液を形成した。この温度で無水炭酸ナトリウム10.6g(100mmol)および無水炭酸カリウム0.28g(2mmol)を加えた。温度を200℃に上げて1時間保持し、その後、250℃に上げて1時間保持し、その後、315℃に上げて3時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
得られた反応混合物を粉砕し、水およびアセトンで洗浄することにより、副生塩及びジフェニルスルホンを洗浄除去した。得られたポリマーを熱風乾燥機中、120℃で乾燥させて、乾燥固体約28.0gを得た。
また、得られた乾燥固体25.0gを、クロロホルム1250gを用いて浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行うことにより、クロロホルム可溶成分の抽出除去を行った。これにより得られたクロロホルムに不溶の固形成分を70℃で8時間真空乾燥に処し、オフホワイト色の固形分を24.7g得た。得られた固形分の分析を行った結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、得られた固形分は線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの還元粘度の測定を行った結果、0.75dL/gであることが分かった。
さらに、1H−NMRを用いて、得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの構造解析を行った結果、得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは、主鎖骨格中に"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"骨格を2%含んでいることが分かった。
参考例A
ここでは、参考例1による方法で得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(還元粘度;0.45dL/g)を用いた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(I)について記す。
撹拌機を具備した100mLのオートクレーブに4、4´−ジフルオロベンゾフェノン109.1mg(0.5mmol)、ヒドロキノン55.1mg(0.5mmol)、無水炭酸ナトリウム53.0mg(0.5mmol)、無水炭酸カリウム2.1mg(0.015mmol)、参考例1記載の方法により得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン1.44g(5mmol)、N−メチル−2−ピロリドン50mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.03リットルであり、塩基としてはK/Na=0.03/1(mol/mol)の混合物を使用した。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで昇温し200℃で5分間保持、その後250℃にまで昇温し、250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈した後、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより、分析サンプルを調製した。反応混合物のガスクロマトグラフィー分析および高速液体クロマトグラフィー分析を行った。結果、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は6.0%であった(ここでの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの収率は、生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物に含まれるベンゼン環成分量の、反応に用いたポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ヒドロキノン、4、4´−ジフルオロベンゾフェノンに含まれるベンゼン環成分量に対する割合を算出した値である)。
また、上記のようにして得られた反応混合物50gを分取し、1重量%酢酸水溶液150gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水20gに分散させて70℃で30分間保持して濾過して固形分を得る操作を3回繰り返した。得られた固形分を70℃で8時間真空乾燥に処し、乾燥固体約1.48gを得た。
さらに、上記で得られた乾燥固体1.4gをクロロホルム70gを用いて、浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去して固形分を得た。この固形分にクロロホルム2gを加えた後、超音波洗浄器を用いて分散液として、メタノール30gに滴下した。これにより生じた析出成分を平均ポアサイズ1μmの濾紙を用いて濾別後、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体を得た。得られた白色固体は0.1gであった。
参考例1記載の方法により、この白色固体の分析を行った結果、この白色固体は繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であり、また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は84重量%であった。
また、上記したソックスレー抽出による環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収における、クロロホルム不溶の固形成分を70℃で8時間真空乾燥に処し、オフホワイト色の固形分を1.3g得た。分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。また、還元粘度の測定を行った結果、この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは0.45dL/gの還元粘度を有していることが分かった。
さらに、1H−NMRにより、得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの構造解析を行った結果、主鎖骨格中に"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"骨格を3%含んでいることが分かった。
参考例B
ここでは、参考例2による方法で得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(還元粘度;0.75dL/g)を用いた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(I)について記す。
撹拌機を具備した100mLのオートクレーブに4、4´−ジフルオロベンゾフェノン109.1mg(0.5mmol)、ヒドロキノン55.1mg(0.5mmol)、無水炭酸ナトリウム53.0mg(0.5mmol)、無水炭酸カリウム2.1mg(0.015mmol)、参考例2記載の方法により得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン1.44g(5mmol)、N−メチル−2−ピロリドン50mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は、3.03リットルであった。塩基としては、K/Na=0.03/1(mol/mol)の混合物を使用した。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで昇温させた後、200℃で5分間保持した。その後250℃にまで昇温させた後、250℃で5時間保持することにより反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却することにより反応混合物を調製した。
反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈させた後、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより分析サンプルを調製し、その後、反応混合物のガスクロマトグラフィー分析および高速液体クロマトグラフィー分析を行った。結果、反応混合物において、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認した。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は5.8%であった(ここでの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの収率は、生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物に含まれるベンゼン環成分量の、反応に用いたポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ヒドロキノン、4、4´−ジフルオロベンゾフェノンに含まれるベンゼン環成分量に対する割合を算出した値である)。
上記のようにして得られた反応混合物50gを分取し、1重量%酢酸水溶液150gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過することにより、固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水20gに分散させて70℃で30分間保持した後に、濾過することにより固形分を得る操作を、3回繰り返した。得られた固形分を70℃で8時間真空乾燥に処し、乾燥固体約1.48gを得た。
上記で得られた乾燥固体1.3gにクロロホルム70gを加えて、浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去することにより、固形分を得た。この固形分にクロロホルム2gを加えた後、超音波洗浄器を用いて分散液として、メタノール30gに滴下した。これにより生じた析出成分を、平均ポアサイズ1μmの濾紙を用いて濾別後、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体を得た。得られた白色固体は0.09gであった。
参考例1記載の方法により、この白色固体の分析を行った結果、この白色固体は繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であることがわかった。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は、85重量%であった。
上記したソックスレー抽出による環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収における、クロロホルム不溶の固体成分を70℃で8時間真空乾燥に処し、オフホワイト色の固形分を1.2g得た。分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、固形分は、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。また、還元粘度の測定を行った結果、この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは0.47dL/gの還元粘度を有していることが分かった。
1H−NMRを用いて、得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの構造解析を行った結果、主鎖骨格中に"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"骨格を3%含んでいることが分かった。
参考例C
ここでは、参考例Aによる方法で得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(還元粘度;0.45dL/g、“エーテルケトン”骨格3%含有)を用いた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(I)について記す。
撹拌機を具備した100mLのオートクレーブに4、4´−ジフルオロベンゾフェノン87.3mg(0.4mmol)、ヒドロキノン44.0mg(0.4mmol)、無水炭酸ナトリウム42.4mg(0.4mmol)、無水炭酸カリウム1.7mg(0.012mmol)、参考例A記載の方法により得られる線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン1.15g(4mmol)、N−メチル−2−ピロリドン40mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.03リットルであった。塩基としては、K/Na=0.03/1(mol/mol)の混合物を使用した。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで昇温させ、200℃で5分間保持した。その後250℃にまで昇温させ、250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈後、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより分析サンプルを調製し、反応混合物のガスクロマトグラフィー分析および高速液体クロマトグラフィー分析を行った。結果、反応混合物において、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認した。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は5.4%であった(ここでの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの収率は、生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物に含まれるベンゼン環成分量の、反応に用いたポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ヒドロキノン、4、4´−ジフルオロベンゾフェノンに含まれるベンゼン環成分量に対する割合を算出した値である)。
上記のようにして得られた反応混合物40gを分取し、1重量%酢酸水溶液120gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。その後、スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水20gに分散させて、70℃で30分間保持した後、濾過して固形分を得る操作を、3回繰り返した。得られた固形分を70℃で8時間真空乾燥に処し、乾燥固体約1.18gを得た。
上記で得られた乾燥固体1.0gにクロロホルム70gを加えて、浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去して固形分を得た。この固形分にクロロホルム2gを加えた後、超音波洗浄器を用いて分散液として、メタノール30gに滴下した。これにより生じた析出成分を平均ポアサイズ1μmの濾紙を用いて濾別後、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体を得た。得られた白色固体は0.06gであった。
参考例1記載の方法により、この白色固体の分析を行った結果、この白色固体は繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であった。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は82重量%であった。
上記したソックスレー抽出による環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収における、クロロホルム不溶の固体成分を、70℃で8時間真空乾燥に処し、オフホワイト色の固形分を0.9g得た。赤外分光分析における吸収スペクトルより、固形分は線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。また、還元粘度の測定を行った結果、この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは0.43dL/gの還元粘度を有していることが分かった。
1H−NMRを用いて、得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの構造解析を行った結果、主鎖骨格中に"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"骨格を3%含んでいることが分かった。
参考例Aとの比較より、塩基として炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとからなる混合塩基を用いることにより、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法(I)による方法で得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを、再び製造方法(I)の原料に用いても、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン中の“エーテルケトン”骨格は増加しないことが分かる。
[比較例1]
ここでは、塩基に炭酸カリウムを用い、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに参考例1による方法で得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(還元粘度;0.45dL/g)を用いた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(I)について記す。
撹拌機を具備した100mLのオートクレーブに4、4´−ジフルオロベンゾフェノン109.1mg(0.5mmol)、ヒドロキノン55.1mg(0.5mmol)、無水炭酸カリウム69.1mg(0.5mmol)、参考例1記載の方法により得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン1.44g(5mmol)、N−メチル−2−ピロリドン50mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.03リットルである。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで昇温させ、200℃で5分間保持した。その後、250℃にまで昇温させ、250℃で5時間保持し反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈した後、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより分析サンプルを調製し、反応混合物のガスクロマトグラフィー分析および高速液体クロマトグラフィー分析を行った。結果、反応混合物において、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認した。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は8.0%であった(ここでの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの収率は、生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物に含まれるベンゼン環成分量の、反応に用いたポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ヒドロキノン、4、4´−ジフルオロベンゾフェノンに含まれるベンゼン環成分量に対する割合を算出した値である)。
上記のようにして得られた反応混合物50gを分取し、1重量%酢酸水溶液150gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。その後、スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水20gに分散させて70℃で30分間保持した後、濾過して固形分を得る操作を、3回繰り返した。得られた固形分を70℃で8時間真空乾燥に処し、乾燥固体約1.48gを得た。
上記で得られた乾燥固体1.4gにクロロホルム70gを加えて、浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去して固形分を得た。この固形分にクロロホルム2gを加えた後、超音波洗浄器を用いて分散液として、メタノール30gに滴下した。これにより生じた析出成分を平均ポアサイズ1μmの濾紙を用いて濾別後、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体を得た。得られた白色固体は0.14gであった。
参考例1記載の方法により、この白色固体の分析を行った結果、この白色固体は繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であることがわかった。また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は79%であった。
上記したソックスレー抽出による環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収における、クロロホルム不溶の固形成分を、70℃で8時間真空乾燥に処し、オフホワイト色の固形分を1.2g得た。赤外分光分析における吸収スペクトルより、固形成分は、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。また、還元粘度の測定を行った結果、この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは0.44dL/gの還元粘度を有していることが分かった。
1H−NMRにより、得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの構造解析を行った結果、主鎖骨格中に"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"骨格を7%含んでいることが分かった。
参考例1、参考例Aおよび比較例1の結果から、塩基として炭酸カリウムを単独で用いた場合、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン中の不純物骨格である“エーテルケトン”骨格が反応中に増加しているのに対し、塩基として炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合塩基を用いた場合には、反応中に線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン中の不純物骨格が増加しないことが分かる。この不純物骨格“エーテルケトン”は、反応により環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンにはなり得な。このいため、反応中の不純物骨格“エーテルケトン”の増加がないことが望まれる。
[比較例2]
ここでは、塩基に炭酸カリウムを用い、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンに比較例1による方法で得られる線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(還元粘度;0.44dL/g、"エーテルケトン"骨格7%含有)を用いた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(I)について記す。
撹拌機を具備した100mLのオートクレーブに4、4´−ジフルオロベンゾフェノン87.3mg(0.4mmol)、ヒドロキノン44.0mg(0.4mmol)、無水炭酸カリウム55.3mg(0.4mmol)、比較例1記載の方法により得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン1.15g(4.0mmol)、N−メチル−2−ピロリドン40mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.03リットルである。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで昇温させ、200℃で5分間保持し、その後250℃にまで昇温し、250℃で5時間保持することにより反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈した後、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより分析サンプルを調製し、反応混合物のガスクロマトグラフィー分析および高速液体クロマトグラフィー分析を行った。結果、反応混合物において、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認した。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は3.8%であった(ここでの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの収率は、生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物に含まれるベンゼン環成分量の、反応に用いたポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ヒドロキノン、4、4´−ジフルオロベンゾフェノンに含まれるベンゼン環成分量に対する割合を算出した値である)。
上記のようにして得られた反応混合物40gを分取し、1重量%酢酸水溶液120gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。その後。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水12gに分散させて70℃で30分間保持した後。濾過して固形分を得る操作を、3回繰り返した。得られた固形分を70℃で8時間真空乾燥に処し、乾燥固体約1.26gを得た。
上記で得られた乾燥固体1.2gにクロロホルム70gを加えて、浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去して固形分を得た。この固形分にクロロホルム2gを加えた後、超音波洗浄器を用いて分散液として、メタノール30gに滴下した。これにより生じた析出成分を平均ポアサイズ1μmの濾紙を用いて濾別後、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体を得た。得られた白色固体は0.06gであった。
参考例1記載の方法により、この白色固体の分析を行った結果、この白色固体は、繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であることがわかった。また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は73%であった。
上記したソックスレー抽出による環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収における、クロロホルム不溶の固形成分を、70℃で8時間真空乾燥に処し、オフホワイト色の固形分を1.1g得た。赤外分光分析における吸光スペクトルより、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。また、還元粘度の測定を行った結果、この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは0.42dL/gの還元粘度を有していることが分かった。
1H−NMRにより、得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの構造解析を行った結果、主鎖骨格中に"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"骨格を13%含んでいることが分かった。
参考例1、比較例1および比較例2における線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの構造解析の結果から、塩基に炭酸カリウムを単独で用いた場合、反応により線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン中に不純物構造である"エーテルケトン"骨格が増加していることが分かる。
[実施例4]
ここでは、参考例1による方法で得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(還元粘度;0.45dL/g)を用いた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(II)について記す。
撹拌機、および追添装置を具備した1Lのオートクレーブに、参考例1記載の方法により得られる線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン14.4g(50mmol)、ヒドロキノン0.55g(5mmol)、無水炭酸ナトリウム0.53g(5mmol)、およびN−メチル−2−ピロリドン500mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.2リットルである。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで昇温させ、200℃で5分間保持し、その後250℃にまで昇温し、250℃で3時間保持することにより反応(A)を行った。
反応(A)終了後、オートクレーブ内の温度を250℃に保ちながら、別途調製しておいた4、4´−ジフルオロベンゾフェノン1.15g(5.3mmol)およびN−メチル−2−ピロリドン50mLからなる溶液を、追添装置を用いて圧入した。圧入後の混合物中におけるベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.3Lである。圧入後、さらに250℃で4時間保持し反応(B)を行った。反応(B)終了後、室温にまで冷却して、反応混合物を調製した。
反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈した後、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより分析サンプルを調製し、反応混合物のガスクロマトグラフィー分析および高速液体クロマトグラフィー分析を行った。結果、反応混合物において、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認した。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は11.3%であった(ここでの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの収率は、生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物に含まれるベンゼン環成分量の、反応に用いたポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ヒドロキノン、4、4´−ジフルオロベンゾフェノンに含まれるベンゼン環成分に対する割合を算出した値である)。
このようにして得られた反応混合物500gを分取し、1重量%酢酸水溶液1500gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。その後、スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水150gに分散させて70℃で30分間保持して濾過した後、固形分を得る操作を、3回繰り返した。得られた固形分を70℃で8時間真空乾燥に処し、乾燥固体約13.6gを得た。
上記で得られた乾燥固体13.0gにクロロホルム675gを加えて、浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去して固形分を得た。この固形分にクロロホルム10gを加えた後、超音波洗浄器を用いて分散液として、メタノール150gに滴下した。これにより生じた析出成分を、平均ポアサイズ1μmの濾紙を用いて濾別後、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体を得た。得られた白色固体は1.63gであった。
参考例1記載の方法により、この白色固体の分析を行った結果、この白色固体は繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であることがわかった。また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は90重量%であった。
また、上記したソックスレー抽出による環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収における、クロロホルム不溶の固形成分を70℃で8時間真空乾燥に処し、オフホワイト色の固形分を11.0g得た。赤外分光分析における吸収スペクトルより、固形分は線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。また、還元粘度の測定を行った結果、この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは0.41dL/gの還元粘度を有していることが分かった。
1H−NMRにより、得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの構造解析を行った結果、主鎖骨格中に"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"骨格を3%含んでいることが分かった。
参考例Aとの比較より、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(I)と比較して、製造方法(II)の方が、効率よく環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を製造できることが分かる。
[実施例5]
ここでは、参考例2による方法で得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(還元粘度;0.75dL/g)を用いた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(II)について記す。
撹拌機、および追添装置を具備した1Lのオートクレーブに、参考例2記載の方法により得られる線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン14.4g(50mmol)、ヒドロキノン0.55g(5mmol)、無水炭酸ナトリウム0.53g(5mmol)、およびN−メチル−2−ピロリドン500mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.2リットルである。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで昇温させ、200℃で5分間保持し、その後250℃にまで昇温させ、250℃で3時間保持することにより反応(A)を行った。
反応(A)終了後、オートクレーブ内の温度を250℃に保ちながら、別途調製しておいた4、4´−ジフルオロベンゾフェノン1.15g(5.3mmol)、およびN−メチル−2−ピロリドン50mLからなる溶液を、追添装置を用いて圧入した。圧入後の混合物中におけるベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.3Lである。圧入後、さらに250℃で4時間保持することにより反応(B)を行った。反応(B)終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈した後、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより分析サンプルを調製し、反応混合物のガスクロマトグラフィー分析および高速液体クロマトグラフィー分析を行った。結果、反応混合物において、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認した。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は11.8%であった(ここでの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの収率は、生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物に含まれるベンゼン環成分量の、反応に用いたポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ヒドロキノン、4、4´−ジフルオロベンゾフェノンに含まれるベンゼン環成分に対する割合を算出した値である)。
このようにして得られた反応混合物500gを分取し、1重量%酢酸水溶液1500gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。その後、スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水150gに分散させて70℃で30分間保持した後、濾過して固形分を得る操作を、3回繰り返した。得られた固形分を70℃で8時間真空乾燥に処し、乾燥固体約13.5gを得た。
上記で得られた乾燥固体13.0gをクロロホルム675gを用いて、浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去して固形分を得た。この固形分にクロロホルム10gを加えた後、超音波洗浄器を用いて分散液として、メタノール150gに滴下した。これにより生じた析出成分を平均ポアサイズ1μmの濾紙を用いて濾別後、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体を得た。得られた白色固体は1.68gであった。
参考例1記載の方法により、この白色固体の分析を行った結果、この白色固体は繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であり、また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は91重量%であった。
上記したソックスレー抽出による環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収における、クロロホルム不溶の固形成分を、70℃で8時間真空乾燥に処し、オフホワイト色の固形分を11.0g得た。赤外分光分析における吸収スペクトルより、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。また、還元粘度の測定を行った結果、この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは0.42dL/gの還元粘度を有していることが分かった。
1H−NMRにより、得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの構造解析を行った結果、主鎖骨格中に"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"骨格を2%含んでいることが分かった。
[実施例6]
ここでは、実施例4による方法で得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(還元粘度;0.41dL/g、"エーテルケトン"骨格3%含有)を用いた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(II)について記す。
撹拌機、および追添装置を具備した1Lのオートクレーブに、実施例4記載の方法により得られる線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン11.52g(40mmol)、ヒドロキノン0.44g(4mmol)、無水炭酸ナトリウム0.42g(4mmol)、およびN−メチル−2−ピロリドン400mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.2リットルである。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで昇温させ、200℃で5分間保持し、その後250℃にまで昇温させ、250℃で3時間保持することにより反応(A)を行った。
反応(A)終了後、オートクレーブ内の温度を250℃に保ちながら、別途調製しておいた4、4´−ジフルオロベンゾフェノン0.92g(4.2mmol)およびN−メチル−2−ピロリドン40mLからなる溶液を、追添装置を用いて圧入した。圧入後の混合物中におけるベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.3Lである。圧入後、さらに250℃で4時間保持することにより反応(B)を行った。反応(B)終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈した後、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより分析サンプルを調製し、反応混合物のガスクロマトグラフィー分析および高速液体クロマトグラフィー分析を行った。結果、反応混合物において、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認した。環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は10.8%であった(ここでの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの収率は、生成した環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物に含まれるベンゼン環成分量の、反応に用いたポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ヒドロキノン、4、4´−ジフルオロベンゾフェノンに含まれるベンゼン環成分に対する割合を算出した値である)。
このようにして得られた反応混合物400gを分取し、1重量%酢酸水溶液1200gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。その後、スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水150gに分散させて、70℃で30分間保持した後、濾過して固形分を得る操作を、3回繰り返した。得られた固形分を70℃で8時間真空乾燥に処し、乾燥固体約10.8gを得た。
上記で得られた乾燥固体10.0gにクロロホルム500gを加えて、浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去して固形分を得た。この固形分にクロロホルム10gを加えた後、超音波洗浄器を用いて分散液として、メタノール150gに滴下した。これにより生じた析出成分を平均ポアサイズ1μmの濾紙を用いて濾別後、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体を得た。得られた白色固体は1.23gであった。
参考例1記載の方法により、この白色固体の分析を行った結果、この白色固体は繰り返し数mが2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とする環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であり、また、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は88重量%であった。
上記したソックスレー抽出による環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収における、クロロホルム不溶の固形成分を、70℃で8時間真空乾燥に処し、オフホワイト色の固形分を8.7g得た。赤外分光分析における吸収スペクトルより、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。また、還元粘度の測定を行った結果、この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは0.43dL/gの還元粘度を有していることが分かった。
1H−NMRにより、得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの構造解析を行った結果、主鎖骨格中に"エーテルエーテルケトン"とは異なる"エーテルケトン"骨格を3%含んでいることが分かった。
実施例4との比較より、塩基として炭酸ナトリウムを用いることにより、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法(II)による方法で得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを、再び製造方法(II)の原料に用いても、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン中の"エーテルケトン"骨格は増加しないことが分かる。
[実施例7]
ここでは、実施例4で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の加熱開環重合について記す。
実施例4で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物に、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの主要構成単位である式−(O−Ph−O−Ph−CO−Ph)−の繰り返し単位に対してフッ化セシウムを5モル%混合した粉末100mgを、ガラス製アンプルに仕込み、アンプル内を窒素で置換した。350℃に温度調整した電気炉内にアンプルを設置し60分間加熱した後、アンプルを取り出し、室温まで冷却し、黒色固体を得た。
示差走査型熱量分析装置を用いて黒色固体の分析を行った結果、黒色固体は、融点335℃、結晶化温度240℃の熱特性を有することが分かった。また、黒色固体の還元粘度を測定した結果、ηは0.6dL/gであることが分かった。
[実施例8]
実施例4で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物に、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの主要構成単位である式−(O−Ph−O−Ph−CO−Ph)−の繰り返し単位に対してフッ化セシウムを5モル%混合した粉末100mgを、ガラス製アンプルに仕込み、アンプル内を窒素で置換した。320℃に温度調整した電気炉内にアンプルを設置し60分間加熱した後、アンプルを取り出し、室温まで冷却し、黒色固体を得た。
示差走査型熱量分析装置を用いて黒色固体の分析を行った結果、黒色固体は、融点347℃、結晶化温度246℃の熱特性を有することが分かった。また、黒色固体の還元粘度を測定した結果、ηは0.6dL/gであることが分かった。

Claims (10)

  1. 有機極性溶媒中で、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、および塩基を、加熱することにより反応させて環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを製造する方法であって、
    (i)反応混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対して1.20リットル以上100リットル以下の有機極性溶媒を用い、
    (ii)塩基として、
    炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種、または、
    炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種並びにナトリウムよりも原子番号の大きいアルカリ金属の炭酸塩および重炭酸塩から選ばれる少なくとも1種との混合塩基、を用い
    少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、有機極性溶媒を含む混合物を加熱することにより反応(A)を行い、
    反応(A)で得られた反応混合物に、反応(A)で用いたジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり1.0〜1.5モルになるようにジハロゲン化芳香族ケトン化合物を追加させることにより反応(B)を行う、
    環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
  2. 反応によって得られる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物が、
    一般式(I)で表される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを60重量%以上含む組成物であって、一般式(I)で表される環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンが、異なる繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの混合物であり、
    且つ、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の融点が270℃以下である、
    請求項1に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
    Figure 0005633655
    (ここで(I)中のmは2〜40の整数である)
  3. mは、少なくとも異なる3つ以上の整数である、
    請求項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
  4. mは、少なくとも連続する3つ以上の整数である、
    請求項または請求項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
  5. 有機極性溶媒中で、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、および塩基を、接触させることにより得られる線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして、反応に用いる、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
  6. 少なくともジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および有機極性溶媒を含む混合物であり、且つ、混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対する有機極性溶媒量が1.20リットル以上100リットル以下である混合物を、加熱することにより反応させて得られた、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含むポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物から、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離することによって得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして反応に用いる、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
  7. 少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および有機極性溶媒を含む混合物であり、且つ、混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対する有機極性溶媒量が1.20リットル以上100リットル以下である混合物を加熱することにより反応させて得られた、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含むポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物から、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離することによって得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして反応に用いる、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
  8. 有機極性溶媒中で、少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、および塩基を加熱することにより反応させる際に、
    少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、有機極性溶媒を含む混合物を加熱することにより反応(A)を行い、
    反応(A)で得られた反応混合物に、反応(A)で用いたジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり1.0〜1.5モルになるようにジハロゲン化芳香族ケトン化合物を追加させることにより反応(B)を行い、
    反応(B)により得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを含むポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物から、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離することによって得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとして反応に用いる、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
  9. (1)請求項1から請求項のいずれか1項に記載の製造方法を実施する工程と、
    (2)工程(1)で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンから、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離する工程と、
    (3)工程(2)において環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離された線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを用いて、工程(1)を実施する工程と、
    (4)工程(3)で得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンから、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を分離する工程と、
    (5)工程(3)と工程(4)とを繰り返す工程と、を含む、
    環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
  10. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の製造方法により得られた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物を加熱開環重合する、
    ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法。
JP2013558248A 2012-12-21 2013-12-05 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法 Expired - Fee Related JP5633655B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013558248A JP5633655B1 (ja) 2012-12-21 2013-12-05 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012279217 2012-12-21
JP2012279217 2012-12-21
JP2013558248A JP5633655B1 (ja) 2012-12-21 2013-12-05 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法
PCT/JP2013/007158 WO2014097564A1 (ja) 2012-12-21 2013-12-05 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5633655B1 true JP5633655B1 (ja) 2014-12-03
JPWO2014097564A1 JPWO2014097564A1 (ja) 2017-01-12

Family

ID=50977927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013558248A Expired - Fee Related JP5633655B1 (ja) 2012-12-21 2013-12-05 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP2937374B1 (ja)
JP (1) JP5633655B1 (ja)
CN (1) CN104870519B (ja)
WO (1) WO2014097564A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6987516B2 (ja) 2017-03-30 2022-01-05 住友化学株式会社 芳香族ポリスルホン、芳香族ポリスルホン組成物、及び芳香族ポリスルホンの製造方法
JP6670400B2 (ja) * 2017-10-12 2020-03-18 株式会社クレハ 芳香族環状オリゴマーの連続製造方法および連続製造装置、並びに芳香族重合体の製造方法
WO2020145017A1 (ja) * 2019-01-08 2020-07-16 株式会社クレハ 芳香族ポリエーテルの連続製造方法
US20230265245A1 (en) * 2020-09-02 2023-08-24 Idemitsu Kosan Co.,Ltd. Method for producing aromatic polyether, and potassium carbonate used in same

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009227961A (ja) * 2008-03-24 2009-10-08 Gharda Chemicals Ltd モノマーでありフェノラートであるポリエーテルケトンの製造方法
WO2011081080A1 (ja) * 2009-12-28 2011-07-07 東レ株式会社 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物およびその製造方法
JP2012506474A (ja) * 2008-10-24 2012-03-15 ソルベイ・アドバンスト・ポリマーズ・エルエルシー 炭酸ナトリウムの存在下でポリ(アリールエーテルケトン)を製造するための方法
JP2012229177A (ja) * 2011-04-26 2012-11-22 Toray Ind Inc 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法
JP2013028598A (ja) * 2011-06-23 2013-02-07 Toray Ind Inc 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2861696D1 (en) 1977-09-07 1982-04-29 Ici Plc Thermoplastic aromatic polyetherketones, a method for their preparation and their application as electrical insulants
ZA784896B (en) 1977-09-07 1980-04-30 Ici Ltd Thermoplastic aromatic polyetherketones
GB0322598D0 (en) 2003-09-26 2003-10-29 Victrex Mfg Ltd Polymeric material
CN101519399B (zh) 2009-03-27 2012-05-23 武汉工程大学 芳香环状聚醚酮齐聚物及其制备方法
EP2682255B1 (en) * 2011-02-28 2015-12-16 Toray Industries, Inc. Thermoplastic resin composition, and molded product thereof
JP5867185B2 (ja) * 2011-03-14 2016-02-24 東レ株式会社 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法
JP5966559B2 (ja) * 2011-04-26 2016-08-10 東レ株式会社 ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009227961A (ja) * 2008-03-24 2009-10-08 Gharda Chemicals Ltd モノマーでありフェノラートであるポリエーテルケトンの製造方法
JP2012506474A (ja) * 2008-10-24 2012-03-15 ソルベイ・アドバンスト・ポリマーズ・エルエルシー 炭酸ナトリウムの存在下でポリ(アリールエーテルケトン)を製造するための方法
WO2011081080A1 (ja) * 2009-12-28 2011-07-07 東レ株式会社 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物およびその製造方法
JP2012229177A (ja) * 2011-04-26 2012-11-22 Toray Ind Inc 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法
JP2013028598A (ja) * 2011-06-23 2013-02-07 Toray Ind Inc 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP2937374A1 (en) 2015-10-28
WO2014097564A1 (ja) 2014-06-26
CN104870519A (zh) 2015-08-26
EP2937374A4 (en) 2016-07-20
CN104870519B (zh) 2017-11-24
EP2937374B1 (en) 2018-06-27
JPWO2014097564A1 (ja) 2017-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4888612B2 (ja) 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物およびその製造方法
US20030176635A1 (en) Melt processible polyether ether ketone polymer
JP5633655B1 (ja) 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物および線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法
JP2012188625A (ja) 環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP5966559B2 (ja) ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法
JP6024458B2 (ja) ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法
JP5867185B2 (ja) 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法
JP2013028598A (ja) 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の製造方法
JP5316727B1 (ja) 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法およびそれを用いたポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法
JP6221311B2 (ja) ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法
JP5867155B2 (ja) 環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法
JP2020037672A (ja) 環状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物およびそれを転化してなるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法
JP2013010345A (ja) ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの回転成形方法とその成形体
JPH01259029A (ja) 芳香族ポリエーテルケトン

Legal Events

Date Code Title Description
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20140901

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140916

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140929

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5633655

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees