JPH01259029A - 芳香族ポリエーテルケトン - Google Patents

芳香族ポリエーテルケトン

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JPH01259029A
JPH01259029A JP8721288A JP8721288A JPH01259029A JP H01259029 A JPH01259029 A JP H01259029A JP 8721288 A JP8721288 A JP 8721288A JP 8721288 A JP8721288 A JP 8721288A JP H01259029 A JPH01259029 A JP H01259029A
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府川 伊三郎
Tsuneaki Tanabe
恒彰 田辺
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は新規な芳香族ポリエーテルケトン及びその製造
方法に関するものである。さらに詳しくいえば、本発明
は、エンジニアリング樹脂として有用な、耐熱性、機械
的性質、難燃性、耐溶剤性などに優れ、かつゲルを含ま
ない高分子量の溶融成形可能な結晶性芳香族ポリエーテ
ルケトン、及びこのものを効率よく製造する方法に関す
るものである。
従来の技術 近年、フェニレン基がケトン基とエーテル基を介してp
−位連結した線状高分子重合体である芳香族ポリエーテ
ルケトンは、耐熱性、機械的性質、難燃性、耐溶剤性な
どに優れていることから、エンジニアリング樹脂として
、例えば電子・電気分野、自動車分野、精密機械分野な
どにおける各部品の素材用に広く用いられている。
このような芳香族ボ゛リエーテルケトンとしては、これ
まで種々のものが見い出されており、例えば構造式 をもつものや、構造式 をもつものが知られている。これらの芳香族ポリエーテ
ルケトンの製造方法としては、活性化された芳香族シバ
ライドとジヒドロキシ芳香族化合物とを、アルカリの存
在下に親核的重縮合させる方法が提案されている(特公
昭57−22931号公報、特公昭6G−32642号
公報)。例えば、前記構造式(I)をもつ芳香族ポリエ
ーテルケトンについては、4,4゜−ジフルオロベンゾ
フェノンと4.4′−ジヒドロキシベンゾフェノンのジ
カリウム塩とを縮重合させることによって、結晶融点3
70℃のものが得られており、一方前記構造式(II)
をもつ芳香族ポリエーテルケトンは、炭酸カリウムの存
在下、4.4’−ジフルオロベンゾフェノンとハイドロ
キノンとを縮重合させることによって、結晶融点334
°Cのものが得られている。
このように、前記構造式(I)や(n)の重合体は、親
核的重合反応によって製造することが可能であるが、こ
れらよりケトン基の含有量が多くて、融点が高く、より
耐熱性に優れた重合体、例えば式で表わされる繰り返し
単位を有する重合体を、親核的重合反応により、4.4
′−ジハロテレフタロフェノンと4.4′−ジヒドロキ
シベンゾフェノンとを、アルカリの存在下に縮重合させ
て製造するためには、生成ポリマーの融点が高いことと
、反応性の低い4.4′−ジヒドロキンベンゾフェノン
を使用することから、重合温度を高くする必要がある。
しかしながら、このような方法においては、該4.4゛
−ジヒドロキシベンゾフエノンから誘導されるそのアル
カリ金属塩が多量に存在する条件で高温重合を行うため
に、重合体鎖に分校を生じたり、ゲル化スるIこめ、も
ろいフィルムしかできず、所望の重合体を製造すること
ができない(特開昭52−96700号公報、実施例4
)。
本発明者らは、よりケトン含量が多いことから、高融点
が予想される、式 で表わされる繰り返し単位を有する重合体を、親核的重
合反応により、4.4′−ジハロテレフタロフェノンと
4.4’−ジヒドロキシテレフタロフェノンとを、アル
カリの存在下に縮合させて製造しようとしたが、該4,
4′−ジヒドロキシテレフタロフエノンは反応性がさら
に低いため、より高温で縮重合させなければならず、そ
の結果ゲルを含まない直鎖状の高分子量重合体は得られ
なかった。
一方、このような親核的重合反応とは別に、親電子反応
によりケトン基を形成させて、芳香族ポリエーテルケト
ンを製造する、いわゆるフリーデルクラフト反応法が知
られている(特公昭56−33419号公報)。このフ
リーデルクラフト反応法と前記の親核的重合方法とは、
反応形式が本質的に異なるl;め、得られる高分子化合
物の物性も異なる。例えばフリーデルタラフト反応によ
り得られる重合体 に比べて結晶性が低く、このため200〜350℃のよ
うな高温におけるモジュラスが低かったり、延伸フィル
ムの熱収縮が著しく大きいなどの欠点がある。これは、
親核的重縮合反応においては、バラ結合のみが独占的に
生成するのに対し、フリーデルタラット反応においては
、ノ(う配向以外にオルト配向やメタ配向による結合が
生成し、重合体鎖に異種結合や分校が生じるためである
。そしてこのような異種結合を有するポリマーは、機械
的物性が劣るため、所望の物性を確保するには、特に高
分子量にする必要があるが、その結果、成形性と結晶性
が低下するのを免れない。
また、7リ一デルクラフト反応におし1て(よ、より高
融点のポリエーテルケトン、例えば構造式のものも知ら
れているが、このものは異種混合を有し、不安定で熱可
塑加工できない上、この反応では重合時末端に不安定な
キサントヒトロール基を生成するため、安定化に還元処
理という特別な操作が必要である[「ジャパン−ニーニ
ス・ボIJ ?−,シンポジウム(ハpan−■S P
olymer Symposium)J第259ページ
(1985年)]。またこのフリーデルタラフト反応に
より得られる前記構造式(V)の重合体は、異種結合を
有するために、その融点は、ケトン基の含有量が多い割
には低く、385°C程度であることが報告されている
[rジャパン−ニーニス・ポリマー・シンポジウム(J
apan−US PolymerSymposium)
 J第259ページ(1985年)]。
さらに、フリーデルクラフト反応における重合触媒、溶
媒としては、通常HF−BF3が使用されるが、このI
IF−BF、は極めて有毒かつ腐食性の化合物であるた
め、工業的に生産する場合には不適当な物質である。ま
た、通常使用されるもう一つの触媒で塩化アルミニウム
を用いる場合には、前記のHF−BF、系に比べて重合
体構造において異種結合や分枝を生じやすいという欠点
がある上に、生成したポリマーの中に塩化アルミニウム
が混入し、この除去が困難なため、該ポリマーは熱安定
性が劣ったものとなるのを免れない。
このように、フリーデルクラフト反応により得られる芳
香族ポリエーテルケトンは、ポリマー構造的に親核的重
合反応により得られた同等物とは異なり、また実用的性
能においても劣るため、これまでのところ工業化される
に至っていない。
発明が解決しようとする課題 本発明は、結晶融点が390°C以上と極めて高く、か
つゲルを含まない上、熱安定性に優れていて溶融成形が
可能であるなどの特徴を有する、高分子量の結晶性芳香
族ポリエーテルケトンを提供することを目的としてなさ
れたものである。
課題を解決するための手段 本発明者らは、このような優れl;特徴を有する高分子
量の結晶性芳香族ポリエーテルケトンを開発するために
鋭意研究を重ねた結果、4,4°−ジハロテレフタロフ
ェノンとアルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩とを反応させ
ることにより、前記目的を達成し得ることを見い出し、
この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、式 で表わされる繰り返し単位から成り、かつ結晶融点が3
90℃以上で、極限粘度が0.7〜1.5dll/gで
あることを特徴とするゲルを含まない溶融成形可能な芳
香族ポリエーテルケトンを提供するものである。
この芳香族ポリエーテルケトンは、本発明に従えば、一
般式 (式中のXI及びX2は、それぞれハロゲン原子であっ
て、それらは同一であってもよいし、たがいに異なって
いてもよい) で表わされる4、4′−ジハロテレフタロフェノンと、
アルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩の中から選ばれた少
なくとも1種とを反応させることにより、製造すること
ができる。
以下、本発明の詳細な説明する。
本発明の芳香族ポリエーテルケトンは、4 、1’ −
ジハロテレフタロフェノンとアルカリ金属の炭酸塩や重
炭酸塩とを反応させることによって製造されるが、この
反応をアルカリ金属の炭酸塩を用いた場合を例に挙げて
反応式で示すと、次のようになる。
(ただし、Xはハロゲン原子、Mはアルカリ金属である
) このような反応によって生成したエーテル結合中の酸素
はM2CO3から由来したものである。
一方、従来の方法を反応式で示すと次のようになる。
この反応によって生成するエーテル結合の中の酸素は4
.4′−ジヒドロキシテレフタロフェノンに由来するも
のである。また該反応においては、反応促進剤としてア
ルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩が用いられるが、これら
は重合時に4,1′−ジヒドロキシテレフタロフェノン
のジアルカリ金属塩を形成させるためのものであり、し
たがって、重合反応の1成分として使用する本発明にお
けるアルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩とは全く役割が異
なるものである。
本発明においては、原料単量体として、一般式(式中の
Xl及びX2は前記と同じ意味をもつ)で表h サレル
4 、4 ’ −ジハロテレフタロフェノンが用いられ
る。前記一般式(■)中のXl及びX2は、それぞれハ
ロゲン原子であり、それらは同一であってもよいし、異
なっていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素及びヨウ素原子が挙げられるが、これらの中で
7ツ素及び塩素原子が好ましく、特lこフッ素原子が好
ましい。該4,4′−ジハロテレフタロフエノンの具体
例としては、4.4″−ジフルオロテレフタロフェノン
、 4.4’−ジクロロテレフタロフェノン、4−クロ
ロ−4′−7ルオロテレフタロフエノンなどを挙げるこ
とができるが、これらの中で特に、4.4’−ジフルオ
ロテレフタロフェノンが好適である。また、該4,4′
−ジハロテレ7りロフエノンは1種用いてもよいし、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられるアルカリ金属の炭酸塩、重炭
酸塩としては、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム
、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム
、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セ
シウムなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また
、これらの中で、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムが好適である
。カリウム塩とナトリウム塩とを比較した場合、一般に
カリウム塩の方が反応が速い傾向にあり、一方ナトリウ
ム塩の方が副反応が少ない傾向にある。
本発明においては、これらのアルカリ金属の炭酸塩1分
子又は重炭酸塩2分子から1yK子の酸素原子が放出さ
れ、4.4’−ジハロテレフタロフエノン中のハロゲン
原子が2厚子脱離してエーテル生成反応を起とす。した
がって4.4′−ジハロテレフタロフェノンを完全に反
応させ、高重合体を得るためには、4.1’−ジハロテ
レフタロフェノン中のハロゲン原子2原子に対して、1
当量以上のアルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩を用いるこ
とが望ましい。
しかし、あまり多量のアルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩
を用いることは製造コスト的にも不利であるし、場合に
よっては副反応を引きおこす可能性もある。このアルカ
リ金属の炭酸塩や重炭酸塩の好適な使用量については、
4.4′−ジハロテレフタロフェノン中のハロゲン原子
2厘子に対し、1〜10当量の範囲で選ばれ、またモル
数としては、(I41−ジハロテレフタロフェノン1モ
ル当り、炭酸塩の場合で1〜10モノ1重炭酸塩の場合
で2〜20モルの範囲から選ばれる。さらに、これらの
アルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩は微粉砕して用いる方
が反応速度は速くなる。
本発明においては、反応を促進させるために、シリカ、
シリカアルミナ、アルミナ、チタニアなどを触媒として
用いることができる。シリカとしては、例えば二酸化ケ
イ素、無水ケイ酸、シリカゲノ呟乾式シリカ、湿式シリ
カなどや、本発明の反応条件下において、反応系中でシ
リカを生成し得るクロロシラン類、ケイ酸、シロキサン
類、ケイ酸塩類などを挙げることができる。シリカアル
ミナとしては、例えばゼオライト、活性白土、セピオラ
イト、モンモリロナイト、ケイソウ土などの鉱物系化合
物を挙げることができる。これらの中で、粒径が小さく
て有効表面積の大きな乾式シリカ(フユームドシリカ)
、シリカゲル、シリカアルミナが特に活性が高く、好ま
しい。
これらの触媒は、反応が迅速に進行する点から、微粉砕
して用いるのがよい。触媒の添加量については特に制限
はないが、通常原料の4,4′−ジハロテレフタロフェ
ノンに対して、0.1〜100重量%、好ましくは1〜
30重量%の範囲で用いられる。この添加量が0.1重
量%未満では触媒添加の効果が十分に発揮されないし、
100重量%を超えると、添加量の割にはエーテル生成
速度はあまり大き゛くならず、場合によっては好ましく
ない副反応が起こる場合がある。
さらに、本発明においては、前記触媒とともに、助触媒
を併用することができる。この助触媒としては銅又は銅
化合物が挙げられる。これら助触媒により反応速度がさ
らに加速される。反応速度が比較的遅い芳香族塩素化合
物を用いた場合やアルカリ金属塩としてナトリウム塩を
用いた場合はこの助触媒の効果は特に大きい。
前記銅及び銅化合物としては、金属銅、あるいは各種の
一価又は二価の銅化合物、例えば各種ハロゲン化第−銅
(塩化第一銅、臭化第一銅、ヨー化第−銅など)、ハロ
ゲン化第二銅(塩化第二銅、臭化第二銅など)、酸化第
一銅、酸化第二銅、水酸化銅、硫酸銅、塩基性炭酸銅、
銅アセチルアセトナート、酢酸鋼、硫化銅などが特に好
ましく用いられる。これらは混合物として使用してもよ
いし、無水あるいは結晶水を含んだ形で使用してもよい
これらの助触媒の添加量については特に制限はないが、
通常前記触媒に対して、0.01〜Lot量%の割合で
用いられる。
本発明においては、反応は無溶媒で行ってもよいし、適
当な溶媒中で行ってもよい。該溶媒については、反応温
度において安定なものであればよく特に制限はない。該
溶媒としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン
、キサントン、フェノキシベンゾフェノンなどのケトン
類、スルホラン、ジフェニルスルホン ニルエーテルなどのエーテル類、N−メチルピロリドン
、ヘキサメチルリン酸トリアミドなどのアミド類、ビフ
ェニル、ターフェニル、ナフタレン、デカリンなどの炭
化水素類、塩素化ビフェニルなどのハロゲン化炭化水素
類などが挙げられる。ここに挙げた例は沸点が高く、常
圧で反応に使用できるものであるが、重合温度より沸点
の低い溶媒については加圧下で使用することも可能であ
る。
反応は溶媒の極性が高い方が容易に進行する。
特に好ましい溶媒としては極性が高く、高温で安定なジ
フェニルスルホン、ベンゾフェノン、キサントンなどを
挙げることができる。
これらの溶媒の使用量については特に制限はないが、通
常原料の4,4′−ジハロテレフタロフェノンに対して
、0.2〜10重量倍程度の溶媒が用いられる。また、
反応系の粘度上昇や生成した重合体の析出を防止するた
めに、反応の進行に応じて、溶媒を追加することもでき
る。
また、反応温度は使用する4、4′−ジハロテレフタロ
フェノンの種類、アルカリ金属塩や触媒の種類、量など
によって異なるが、通常150〜400°Cの範囲の温
度において反応が行われる。この温度が150 ’C未
満では反応速度が遅すぎて実用的でないし、400’(
!を超えるとエーテル生成以外の好ましくない副反応が
生じやすい。また、生成した重合体が反応中に析出する
のを防止するために、反応の進行に伴い、反応温度を連
続的に、あるいは段階的に昇温してもよい。
本発明に8いては、生成した重合体の熱安定性をより向
上させる目的で、従来行われている末端安定化法を採用
することができる。この末端安定化は、重合終了後、活
性ハロゲン化物、例えば4−フルオロベンゾフェノン、
4−クロロベンゾフェノン、4−クロロジフェニルスル
ホン、塩化メチルなどを重合溶液に加え、通常重合温度
と同じ温度に維持して反応させることによって、行われ
る。
このようにして生成した芳香族ポリエーテルケトンは、
水や、アセトン、メタノールなどの有機溶媒で洗浄して
、無機塩や溶媒などを除去するだけで各種用途に用いら
れるが、さらにその物性を向上させるために、適当な有
機溶媒で抽出することによって、重合体中に含まれてい
るオリゴマーを除くこともできる。
このようにして得られた本発明の重合体は、式で表わさ
れる繰り返し単位を有する結晶性高分子量重合体であっ
て、その結晶融点は390°C以上である。このように
結晶融点が高いことは、重合体中に分枝や不安定末端基
などの異種結合が少なく、直鎖性が極めて高いことを示
すものである。
実際、実施例1に示すように、本発明の重合体には、N
MR解析により異種結合が検知されない。
また、該重合体の極限粘度は0.7〜1,5d幻、好ま
しくは0.8〜1.3dl/9の範囲である。この極限
粘度が0.7dl/9未満では機械的強度に劣るし、1
.5dl/yを超えると加工性が低下する傾向にある。
さらに、該重合体はゲルを含まない特徴を有し、室温で
濃硫酸に可溶である。ゲルを含む重合体は室温で濃硫酸
に溶解しない。
このように、本発明の重合体は、ゲルや異種結合を含ま
ないため、強靭で加工時の耐熱性(約400°C)に優
れているので、溶媒成形が可能であり、また長期耐熱性
(300℃促進テスト)も良好である。
発明の効果 本発明の芳香族ポリエーテルケトンの製造方法によると
、原料単量体として、熱的に不安定なフェノール類を使
用せず、かつ反応生成水が副生じないため、副反応が少
なくて、分枝や異種結合が生成しにくく、かつゲルを含
まない高融点の結晶性熱可塑性重合体が得られる。この
ものは、熱可塑性重合体の中では、最も融点の高い重合
体の1つであり、また、耐熱安定性に優れているので、
溶融成形が可能である。
本発明の芳香族ポリエーテルケトンは、耐熱性、機械特
性、難燃性、耐溶剤性などに優れた高性能エンジニアリ
ング樹脂として有用であり、任意の所望形状、例えば射
出成形品、押出成形品、被覆、フィルム、繊維などとし
て用いることができる。
さらに、各種の耐熱エンジニアリング樹脂、例えば他の
ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルイミ
ド、芳香族ポリエステル、ポリフェニレンスルフィドな
どや、汎用エンジニアリング樹脂、ガラス繊維、アラミ
ド繊維、炭素繊維、無機質などと混合し、アロイ化やコ
ンポジット化合して使用することができる。
実施例 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらの例によってなんら限定されるものでは
ない。
なお、重合体の物性は次のようにして測定した。
(1)極限粘度[1sp/c] 濃硫酸に重合体を0.1重量%濃度になるように溶解し
、この溶液について、温度25℃にて測定した。
(2)結晶融点 重合体を1度420’Oで溶融したのち、室温まで急冷
したサンプルを用い、室温から10°C/分の測定で昇
温し、測定した。
また、’H−NMRは、重合体2重量%濃度の製型硫酸
(nzsot)溶液について、内部標準として3−トリ
メチルシリルプロパン酸ナトリウムを用い、25°Cで
日本電子(株)GX−+ooのスペクトロメータを用い
て測定した。
実施例1 4.4′−ジフルオロテレフタロフェノン10.739
(0,0:Nモル)、炭酸すトリウム4.249 (0
,040モル)、シリカ(富士デビソン社製、サイロイ
ド244)2.09及びジフェニルスルホン40.09
を100meフラスコに仕込み窒素置換したのち、かき
まぜながら30分間で280°Cに昇温し、その温度に
1.5時間保持した。その後30分間で310°Cに昇
温し、その温度で3時間反応させた。さらに10分間で
335°Cに昇温し、その温度で8.5時間反応させた
のち、4.4’−ジフルオロテレフタロフェノン2gを
加えて重合を停止した。
得られた反応物は粉砕したのち、温アセトンで2回、温
水で2回、さらに4重量%水酸化ナトリウム水溶液、5
重量%塩酸、水、アセトンで洗浄して白色粉末を得た。
この重合体の濃硫酸中の極限粘度は0.85di!/り
結晶融点4 G + ’Oであり、また濃硫酸に室温で
完全に溶解した。
この重合体は、元素分析、’ 11−NMR及び13C
−11MRの結果から、 で表わされる繰り返し単位を有していることが確認され
た。’II−NMRi:おけるピークは7.0811p
m(d )、7.7 g ppm(s )、7.93 
ppm(d )にあり、異種結合は認められなかった。
この重合体を熱プレスにはさんで420°0,30分間
保持しても極限粘度は変わらなかった。また、300°
Cのギヤーオーブン中で100時間放置してもゲル化せ
ず、極限粘度は1.2dQ/9であった。
なお比較に、従来法で製造された構造式(II)を有す
るICI社のPEEK (4SOP)(結晶融点340
℃、極限粘度0 、9 dll/9)を30000(7
)ギヤーオーブン中に放置したところ、48時間でゲル
化し、濃硫酸に全く溶解しなかった。また本発明の重合
体を420°Cで5分間プレスしたのち、徐冷して作成
した結晶フィルムは20回以上折り曲げても折れないタ
フなものであった。
実施例2 (,4′−ジフルオロテレフタロフェノン10.739
(0,033モル)、炭酸ナトラム1.779(0゜0
167モル)、炭酸カリウム4.60 g(LQ33モ
ル)、シリカ(日本アエロジル社製、アエロジル300
) 1.09及びジフェニルスルホン40gを100m
1+フラスコに仕込み、窒素置換したのち、かきまぜな
がら30分間で285℃に昇温し、その温度に1.5時
間保持した。その後30分間で335°Cに昇温し、そ
の温度で1.75時間反応させた。反応物を実施例1と
同様に洗浄して得られた淡いクリーム色重合体は硫酸中
の極限粘度(yy sp/c)が0.95、結晶融点が
398℃であった。
また、この重合体は、元素分析、1■−NMR及び” 
N−NMRの結果、 で表わされる繰り返し単位を有することが確認された。
さらに、濃硫酸に完全に溶解し、ゲルは認められなかっ
た。
実施例3 炭酸ヂトリウム3.8 t 9 (0,036モル)、
シリカ(アエロジル3H)t、5gを使用した以外は、
実施例1と同様に重合して、極限粘度1.15dl/9
、結晶融点397°Cで、かつ濃硫酸に完全に可溶な重
合体が得られた。
実施例4 ジフェニルスルホン309を使用し、最終重合温度を3
45°Cにした以外は、実施例2と同様に重合して、極
限粘度1.09dl!/g、結晶融点399°Cで、か
つ濃硫酸に完全可溶な重合体が得られた。
比較例 4.4’−’;フルオロテレフタロフェノン10.73
g(0,033モル) 、4.4’−ジヒドロキシテレ
フタロフェノン9.81 S+ (0,031モル)、
炭酸カリウム4.609(0,033モル)及びジフェ
ニルスルホ240g全100m1フラスコに仕込み、窒
素置換したのち、かきまぜながら30分間で285℃に
昇温し、その温度に2時間保持し、310℃2時間反応
させ、さらに340°Cで6時間重合した。得られた反
応物は実施例1の方法で洗浄し、やや褐色の重合体を得
た。この重合体はゲルを含み正確な極限粘度を測定でき
なかった。また、結晶融点は378°Cであつt二。
特許出願人 旭化成工業株式会社

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 式 ▲数式、化学式、表等があります▼ で表わされる繰り返し単位から成り、かつ結晶融点が3
    90℃以上で、極限粘度が0.7〜1.5dl/gであ
    ることを特徴とするゲルを含まない溶融成形可能な芳香
    族ポリエーテルケトン。 2 一般式 ▲数式、化学式、表等があります▼ (式中のX^1及びX^2は、それぞれハロゲン原子で
    あって、それらは同一であってもよいし、たがいに異な
    っていてもよい) で表わされる4,4’−ジハロテレフタロフェノンと、
    アルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩の中から選ばれた少
    なくとも1種とを反応させることを特徴とする、請求項
    1記載の芳香族ポリエーテルケトンの製造方法。
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