JPH0432093B2 - - Google Patents

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JPH0432093B2
JPH0432093B2 JP8721288A JP8721288A JPH0432093B2 JP H0432093 B2 JPH0432093 B2 JP H0432093B2 JP 8721288 A JP8721288 A JP 8721288A JP 8721288 A JP8721288 A JP 8721288A JP H0432093 B2 JPH0432093 B2 JP H0432093B2
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carbonate
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【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は新規な芳香族ポリエーテルケトンに関
するものである。さらに詳しくいえば、本発明
は、エンジニヤリング樹脂として有用な、耐熱
性、機械的性質、難然性、耐溶剤性などに優れ、
かつゲルを含まない高分子料の溶融成形可能な結
晶性芳香族ポリエーテルケトンに関するものであ
る。 従来の技術 近年、フエニレン基がケトン基とエーテル基を
介してp−位連結した線状高分子重合体である芳
香族ポリエーテルケトンは、耐熱性、機械的性
質、難然性、耐溶剤性などに優れていることか
ら、エンジニアリング樹脂として、例えば電子・
電気分野、自動車分野、精密機械分野などにおけ
る各部品の素材用に広く用いられている。 このような芳香族ポリエーテルケトンとして
は、これまでに種々のものが見い出されており、
例えば構造式 をもつものや、構造式 をもつものが知られている。これらの芳香族ポリ
エーテルケトンの製造方法としては、活性化され
た芳香族ジハライドとジヒドロキシ芳香族化合物
とを、アルカリの存在下に親核的重縮合させる方
法が提案されている(特公昭57−22938号公報、
特公昭60−32642号公報)。例えば、前記構造式
()をもつ芳香族ポリエーテルケトンについて
は、4,4′−ジフルオロベンゾフエノンと4,
4′−ジヒドロキシベンゾフエノンのジカリウム塩
と縮重合させることによつて、結晶融点370℃の
ものが得られており、一方前記構造式()をも
つ芳香族ポリエーテルケトンは、炭酸カリウムの
存在下、4,4′−ジフルオロベンゾフエノンとハ
イドロキノンとを縮重合させることによつて、結
晶融点334℃のものが得られている。 このように、前記構造式()や()の重合
体は、親核的重合反応によつて製造することが可
能であるが、これらよりケトン基の含有量が多く
て、融点が高く、より耐熱性に優れた重合体、例
えば式 で表わされる繰り返し単位を有する重合体を、親
核的重合反応により、4,4′−ジハロテレフタロ
フエノンと4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノン
とを、アルカリの存在下に縮重合させて製造する
ためには、生成ポリマーの融点が高いことと、反
応性の低い4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノン
を使用することから、重合温度を高くする必要が
ある。しかしながら、このような方法において
は、該4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノンから
誘導されるそのアルカリ金属塩が多量に存在する
条件で高温重合を行うために、重合体鎖に分枝を
生じたり、ゲル化するため、もろいフイルムしか
できず、所望の重合体を製造することができない
(特開昭52−96700号公報、実施例4)。 本発明者らは、よりケトン含量が多いことか
ら、高融点が予想される、式 で表わされる繰り返し単位を有する重合体を、親
核的重合反応により、4,4′−ジハロテレフタロ
フエノンと4,4′−ジヒドロキシテレフタロフエ
ノンとを、アルカリの存在下に縮合させて製造し
ようとしたが、該4,4′−ジヒドロキシテレフタ
ロフエノンは反応性がさらに低いため、より高温
で縮重合させなければならず、その結果ゲルを含
まない直鎖状の高分子量重合体は得られなかつ
た。 一方、このような親核的重合反応とは別に、親
電子反応によりケトン基を形成させて、芳香族ポ
リエーテルケトンを製造する、いわゆるフリーデ
ルクラフト反応法が知られている(特公昭56−
33419号公報)。このフリーデルクラフト反応法と
前記の親核的重合方法とは、反応形式が本質的に
異なるため、得られる高分子化合物の物性も異な
る。例えばフリーデルクラフト反応より得られる
重合体
【式】()は、親核 的反応により得られる重合体
【式】()に比らべ て結晶性が低く、このため200〜350℃のような高
温におけるモジユラスが低かつたり、延伸フイル
ムの熱収縮が著しく大きいなどの欠点がある。こ
れは、親該的重縮合反応においては、パラ結合の
みが独占的に生成するのに対し、フリーデルクラ
フト反応においては、パラ配向以外にオルト配向
やメタ配向による結合が生成し、重合体鎖に異種
結合や分枝が生じるためである。そしてこのよう
な異種結合を有するポリマーは、機械的物性が劣
るため、所望の物性を確保するには、特に高分子
量にする必要があるが、その結果、成形性と結晶
性が低下するのを免れない。 また、フリーデルクラフト反応においては、よ
り高融点のポリエーステルケトン、例えば構造式 のものも知られているが、このものは異種混合を
有し、不安定で熱可塑加工できない上、この反応
では重合時未端に不安定なキサントヒドロール基
を生成するため、安定化に還元処理という特別な
操作が必要である[「ジヤパン−ユーエス・ポリ
マー・シンポジウム(Japan−US Polymer
Symposium)」第259ページ(1985年)]。またこ
のフリーデルクラフト反応により得られる前記構
造式()の重合体は、異種結合を有するため
に、その融点は、ケトン基の含有量が多い割には
低く、385℃程度であることが報告されている
[「ジヤパン−ユーエス・ポリマー・シンポジウム
(Japan−US Polymer Symposium)」第259ペー
ジ(1985年)]。 さらに、フリーデルクラフト反応における重合
触媒、溶媒としては、通常HF−BF3が使用され
るが、このHF−BF3は極めて有毒かつ腐食性の
化合物であるため、工業的に生産する場合には不
適当な物質である。また、通常使用されるもう一
つの触媒で塩化アルミニウムを用いる場合には、
前記のHF−BF3系に比べて重合体構造において
異種結合や分枝を生じやすいという欠点がある上
に、生成したポリマーの中に塩化アルミニウムが
混入し、この除去が困難なため、該ポリマーは熱
安定性が劣つたものとなるのを免れない。 このように、フリーデルクラフト反応により得
られる芳香剤ポリエーテルケトンは、ポリマー構
造的に親核的重合反応により得られた同等物とは
異なり、また実用的性能においても劣るため、こ
れまでのところ工業化されるに至つていない。 発明が解決しようとする課題 本発明は、結晶融点が390℃以上と極めて高く、
かつゲルを含まない上、熱安定性に優れていて溶
融成形が可能であるなどの特徴を有する、高分子
量の結晶性芳香族ポリエーテルケトンを提供する
ことを目的としてなされたものである。 課題を解決するための手段 本発明者らは、このような優れた特徴を有する
高分子量の結晶性芳香族ポリエーテルケトンを開
発するために鋭意研究を重ねた結果、4,4′−ジ
ハロテレフタロフエノンとアルカリ金属の炭酸塩
や重炭酸塩とを反応させることにより、前記目的
を達成し得ることを見い出し、この知見に基づい
て本発明を完成するに至つた。 すなわち、本発明は、式 で表わされる繰り返し単位から成り、かつ結晶融
点が390℃以上で、極限粘度が0.7〜1.5d/gで
あることを特徴とするゲルを含まない溶融成形可
能な芳香族ポリエーテルケトンを提供するもので
ある。 この芳香族ポリエーテルケトンは、例えば、一
般式 (式中のX1及びX2は、それぞれハロゲン原子で
あつて、それらは同一であつてもよいし、たがい
に異なつてもよい) で表わされる4,4′−ジハロテレフタロフエノン
と、アルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩の中から
選ばれた少なくとも1種とを反応させることによ
り、製造することができる。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の芳香族ポリエーテルケトンは、4,
4′−ジハロテレフタロフエノンとアルカリ金属の
炭酸塩や重炭酸塩とを反応させることによつて製
造されるが、この反応をアルカリ金属の炭酸塩を
用いた場合を例に挙げて反応式で示すと、次のよ
うになる。 (ただし、Xはハロゲン原子、Mはアルカリ金属
である) このような反応によつて生成したエーテル結合
中の酸素はM2CO3から由来したものである。 一方、従来の方法を反応式で示すと次のように
なる。 この反応によつて生成するエーテル結合の中の
酸素は4,4′−ジヒドロキシテレフタロフエノン
に由来するものである。また該反応においては、
反応促進剤としてアルカリ金属の炭酸塩や重炭酸
塩が用いられてるが、これらは重合時に4,4′−
ジヒドロキシテレフタロフエノンのジアルカリ金
属塩を形成させるためのものであり、したがつ
て、重合反応の1成分として使用する本発明にお
けるアルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩とは全く役
割が異なるものである。 本発明の芳香族ポリエーテルケトンを製造する
には、原料単量体として、一般式 (式中のX1及びX2は前記と同じ意味をもつ) で表わされる4,4′−ジハロテレフタロフエノン
が用いられる。前記一般式()中のX1及びX2
は、それぞれハロゲン原子であり、それらは同一
であつてもよいし、異なつていてもよい。ハロゲ
ン原子としては、フツ素、塩素、臭素及びヨウ素
原子が挙げられるが、これらの中でフツ素及び塩
素原子が好ましく、特にフツ素原子が好ましい。
該4,4′−ジハロテレフタロフエノンの具体例と
しては、4,4′−ジフルオロテレフタロフエノ
ン、4,4′−ジクロロテレフタロフエノン、4−
クロロ−4′−フルオロテレフタロフエノンなどを
挙げることができるが、これらの中で特に、4,
4′−ジフルオロテレフタロフエノンが好適であ
る。また、該4,4′−ジハロテレフタロフエノン
は1種用いてもよいし、2種以上を組み合せて用
いてもよい。 本発明の芳香族ポリエーテルケトンを製造する
際に用いられるアルカリ金属の炭酸塩、重炭酸塩
としては、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナ
トリウム、炭感水素カリウム、炭酸水素ルビジウ
ム、炭酸水素セシウムなどが挙げられ、これらは
それぞれ単独で用いられてもよいし、2種以上を
組み合わせて用いてもよい。また、これらの中
で、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水
素ナトリウム及び炭酸水素カリウムが好適であ
る。カリウム塩とナトリウム塩とを比較した場
合、一般にカリウム塩の方が反応が速い傾向にあ
り、一方ナトリウム塩の方が副反応が少ない傾向
にある。 上記の方法においては、これらのアルカリ金属
の炭酸塩1分子又は重炭酸塩2分子から1原子の
酸素原子が放出され、4,4′−ジハロテレフタロ
フエノン中のハロゲン原子が2原子脱離してエー
テル生成反応を起こす。したがつて4,4′−ジハ
ロテレフタロフエノンを完全に反応させ、高重合
体を得るためには、4,4′−ジハロテレフタロフ
エノン中のハロゲン原子2原子に対して、1当量
以上のアルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩を用いる
ことが望ましい。 しかし、あまり多量のアルカリ金属の炭酸塩や
重炭酸塩を用いることは製造コスト的にも不利で
あるし、場合によつては副反応を引きおこす可能
性もある。このアルアリ金属の炭酸塩や重炭酸塩
の好適な使用量については、4,4′−ジハロテレ
フタロフエノン中のハロゲン原子2原子に対し、
1〜10当量の範囲で選ばれ、またモル数として
は、4,4′−ジハロテレフタロフエノン1モル当
り、炭酸塩の場合で1〜10モル、重炭酸塩の場合
で2〜20モルの範囲から選ばれる。さらに、これ
らのアルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩は微粉砕し
て用いる方が反応速度は速くなる。 上記の方法においては、反応を促進させるため
に、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、チタニ
アなどを触媒として用いることができる。シリカ
としては、例えば二酸化ケイ素、無水ケイ素、シ
リカゲル、乾式シリカ、湿式シリカなどや、本発
明の反応条件下において、反応系中でシリカを生
成し得るクロロシラン類、ケイ酸、シロキサン
類、ケイ素塩類などを挙げることができる。シリ
カアルミナとしては、例えばゼオライト、活性白
土、セピオライト、モンモリロナイト、ケイソウ
土などの鉱物系化合物を挙げることができる。こ
れらの中で、粒径が小さくて有効表面積の大きな
乾式シリカ(フユームドシリカ)、シリカゲル、
シリカアルミナが特に活性が高く、好ましい。 これらの触媒は、反応が迅速に進行する点か
ら、微粒砕して用いるのがよい。触媒の添加量に
ついては特に制限はないが、通常原料の4,4′−
ジハロテレフタロフエノンに対して、0.1〜100重
量%、好しくは1〜30重量%の範囲で用いられ
る。この添加量が0.1重量%未満では触媒添加の
効果が十分に発揮されないし、100重量%を超え
ると、添加量の割にはエーテル生成速度はあまり
大きくならず、場合によつては好ましくない副反
応が起こる場合がある。 さらに、上記の方法においては、前記触媒とと
もに、助触媒を併用することができる。この助触
媒としては銅又は銅化合物が挙げられる。これら
助触媒により反応速度がさらに加速される。反応
速度が比較的遅い芳香族塩素化合物を用いた場合
やアルカリ金属塩としてナトリウム塩を用いた場
合はこの助触媒の効果は特に大きい。 前記銅及び銅化合物としては、金属銅、あるい
は各種の一価又は二価の銅化合物、例えば各種ハ
ロゲン化第一銅(塩化第一銅、臭化第一銅、ヨー
化第一銅など)、ハロゲン化第二銅(塩化第二銅、
臭化第二銅など)、酸化第一銅、酸化第二銅、水
酸化銅、硫酸銅、塩基性炭酸銅、銅アセチルアセ
トナート、酢酸銅、硫化銅などが特に好ましく用
いられる。これらは混合物として使用してもよい
し、無水あるいは結晶水を含んだ形で使用しても
よい。 これらの助触媒の添加量については特に制限は
ないが、通常前記触媒に対して、0.01〜10重量%
の割合で用いられる。 上記の方法においては、反応は無溶媒で行つて
もよいし、適当な溶媒中で行つてもよい。該溶媒
については、反応温度において安定なものであれ
ばよく特に制限はない。該溶媒としては、例えば
アセトフエノン、ベンゾフエノン、キサントン、
フエノキシベンゾフエノンなどのケトン類、スル
ホラン、ジフエニルスルホンなどのスルホン類、
ジフエニルエーテルなどのエーテル類、N−メチ
ルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミドな
どのアミド類、ビフエニル、ターフエニル、ナフ
タレン、デカリンなどの炭化水素類、塩素化ビフ
エニルなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げら
れる。ここに挙げた例は沸点が高く、常圧で反応
に使用できるものであるが、重合温度より沸点の
低い溶媒については加圧下で使用することも可能
である。 反応は溶媒の極性が高い方が容易に進行する。
特に好ましい溶媒としては極性が高く、高温で安
定なジフエニルスルホン、ベンゾフエノン、キサ
ントンなどを挙げることができる。 これらの溶媒の使用量については特に制限はな
いが、通常原料の4,4′−ジハロテレフタロフエ
ノンに対して、0.2〜10重量倍程度の溶媒が用い
られる。また、反応系の粘度上昇や生成した重合
体の析出を防止するために、反応の進行に応じ
て、溶媒を追加することもできる。 また、反応温度は使用する4,4′−ジハロテレ
フタロフエノンの種類、アルカリ金属塩や触媒の
種類、量などによつて異なるが、通常150〜400℃
の範囲の温度において反応が行われる。この温度
が150℃未満では反応速度が遅すぎて実用的でな
いし、400℃を超えるとエーテル生成以外の好ま
しくない副反応が生じやすい。また、生成した重
合体が反応中に析出するのを防止するために、反
応の進行に伴い、反応温度を連続的に、あるいは
段階的に昇温してもよい。 上記の方法においては、生成した重合体の熱安
定性をより向上させる目的で、従来行われている
未端安定化法を採用することができる。この未端
安定化は、重合終了後、活性ハロゲン化物、例え
ば4−フルオロベンゾフエノン、4−クロロベン
ゾフエノン、4−クロロジフエニルスルホン、塩
化メチルなどを重合溶液に加え、通常重合温度と
同じ温度に維持して反応させることによつて、行
われる。 このようにして生成した芳香族ポリエーテルケ
トンは、水や、アセトン、メタノールなどの有機
溶媒で洗浄して、無機塩や溶媒などを除去するだ
けで各種用途に用いられるが、さらにその物性を
向上させるために、適当な有機溶媒で抽出するこ
とによつて、重合体中に含まれているオリゴマー
を除くこともできる。 このようにして得られた本発明の重合体は、式 で表わされる繰り返し単位を有する結晶性高分子
量重合体であつて、その結晶融点は390℃以上で
ある。このように結晶融点が高いことは、重合体
中に分枝や不安定末端基などの異種結合が少な
く、直鎖性が極めて高いことを示すものである。
実際、実施例1に示すように、本発明の重合体に
は、NMR解析により異種結合が検知されない。 また、該重合体の極限粘度は0.7〜1.5dlg、好
ましくは0.8〜1.3dl/gの範囲である。この極限
粘度が0.7dl/g未満では機械的強度に劣るし、
1.5dl/gを超えると加工性が低下する傾向にあ
る。さらに、該重合体はゲルを含まない特徴を有
し、室温で濃硫酸に可溶である。ゲルを含む重合
体は室温で濃硫酸に溶解しない。 このように、本発明の重合体は、ゲルや異種結
合を含まないため、強靭で加工時の耐熱性(約
400℃)に優れているので、溶媒成形が可能であ
り、また長期耐熱性(300℃促進テスト)も良好
である。 発明の効果 本発明の芳香族ポリエーテルケトンは、それを
製造する際に、原料単量体として、熱的に不安定
なフエノール類を使用せず、かつ反応生成水が副
生しないため、副反応が少なくて、分枝や異種結
合が生成しにくく、かつゲルを含まない高融点の
結晶性可塑性重合体が得られる。このものは、熱
可塑性重合体の中では、最も融点の高い重合体の
1つであり、また、耐熱安定性に優れているの
で、溶融成形が可能である。 本発明の芳香族ポリエーテルケトンは、耐熱
性、機械特性、難燃性、耐溶剤性などに優れた高
性能エンジニアリング樹脂として有用であり、任
意の所望形状、例えば射出成形品、押出成形品、
被覆、フイルム、繊維などとして用いることがで
きる。さらに、各種の耐熱エンジニアリング樹
脂、例えば他のポリエーテルケトン、ポリスルホ
ン、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエステル、
ポリフエニレンスルフイドなどや、汎用エンジニ
アリング樹脂、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素
繊維、無機質などと混合し、アロイ化やコンポジ
ツト化合して使用することができる。 実施例 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によつてなんら限定
されるものではない。 なお、重合体の物性は次のようにして測定し
た。 (1) 極限粘度[ηsp/c] 濃硫酸に重合体を0.1重量%濃度になるよう
に溶解し、この溶液について、温度25℃にて測
定した。 (2) 結晶融点 重合体を1度420℃で溶融したのち、室温ま
で急冷したサンプルを用い、室温から10℃/分
の測定で昇温し、測定した。 また、1H−NMRは、重合体2重量%濃度の濃
重硫酸(D2SO4)溶液について、内部標準として
3−トリメチルシリルプロパン酸タトリウムを用
い、25℃で日本電子(株)GX−400のスペクトロメ
ータを用いて測定した。 実施例 1 4,4′−ジフルオロテレフタロフエノン10.73
g(0.033モル)、炭酸ナトリウム4.24g(0.040モ
ル)、シリカ(富士デビソン社製、サイロイド
244)2.0g及びジフエニルスルホン40.0gを100
mlフラスコに仕込み窒素置換したのち、かきまぜ
ながら30分間で280℃に昇温し、その温度に1.5時
間保持した。その後30分間で310℃に昇温し、そ
の温度で3時間反応させた。さらに10分間で335
℃に昇温し、その温度で8.5時間反応させたのち、
4,4′−ジフルオロテレフタロフエノン2gを加
えて重合を停止した。 得られた反応物は粉砕したのち、温アセトンで
2回、温水で2回、さらに4重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液、5重量%塩酸、水、アセトンで洗浄
して白色粉末を得た。 この重合体の濃硫酸中の極限粘度は0.85dl/g
結晶融点401℃であり、また濃硫酸に室温で完全
に溶解した。 この重合体は、元素分析、1H−NMR及び13C−
NMRの結果から、 で表わされる繰り返し単位を有していることが確
認された。1H−NMRにおけるピークは7.08ppm
(d)、7.78ppm(s)、7.93ppm(d)にあり、異種結合
は認められなかつた。 この重合体を熱プレスにはさんで420℃、30分
間保持しても極限粘度は変わらなかつた。また、
300℃のギヤーオーブン中で100時間放置してもゲ
ル化せず、極限粘度は1.2dl/gであつた。 なお比較に、従来法で製造された構造式()
を有するICI社のPEEK(450P)(結晶融点340℃、
極限粘度0.9dl/g)を300℃のギヤーオーブン中
に放置したところ、48時間でゲル化し、濃硫酸に
全く溶解しなかつた。また本発明の重合体を420
℃で5分間プレスしたのち、徐冷して作成した結
晶フイムルは20回以上折り曲げても折れないタフ
なものであつた。 実施例 2 4,4′−ジフルオロテレフタロフエノン10.73
g(0.033モル)、炭酸ナトリウム1.77g(0.0167
モル)、炭酸カリウム4.60g(0.033モル)、シリ
カ(日本アエロジル社製、アエロジル300)1.0g
及びジフエニルスルホン40gを100mlフラスコに
仕込み、窒素置換したのち、かきまぜながら30分
間で285℃に昇温し、その温度に1.5時間保持し
た。その後30分間で335℃に昇温し、その温度で
1.75時間反応させた。反応物を実施例1と同様に
洗浄して得られた淡いクルーム色重合体は硫酸中
の極限粘度(ηsp/c)が0.95、結晶融点が398℃
であつた。 また、この重合体は、元素分析、1H−NMR及
13N−NMRの結果、 で表わされる繰り返し単位を有することが確認さ
れた。さらに、濃硫酸に完全に溶解し、ゲルは認
められなかつた。 実施例 3 炭酸ナトリウム3.81g(0.036モル)、シリカ
(アエロジル300)1.5gを使用した以外は、実施
例1と同様に重合して、極限粘度1.15dl/g、結
晶融点397℃で、かつ濃硫酸に完全に可溶な重合
体が得られた。 実施例 4 ジフエニルスルホン30gを使用し、最終重合温
度を345℃にした以外は、実施例2と同様に重合
して、極限粘度1.09dl/g、結晶融点399℃で、
かつ濃硫酸に完全可溶な重合体が得られた。 比較例 4,4′−ジフルオロテレフタフエノン10.73g
(0.033モル)、4,4′−ジヒドロキシテレフタロ
フエノン9.81g(0.031モル)、炭酸カリウム4.60
g(0.033モル)及びジフエニルスルホン40gを
100mlフラスコに仕込み、窒素置換したのち、か
きまぜながら30分間で285℃に昇温し、その温度
に2時間保持し、310℃2時間反応させ、さらに
340℃で6時間重合した。得られた反応物は実施
例1の方法で洗浄し、やや褐色の重合体を得た。
この重合体はゲルを含み正確な極限粘度を測定で
きなかつた。また、結晶融点は378℃であつた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 式 で表わされる繰り返し単位からなり、かつ結晶融
    点が390℃以上で、極限粘度が0.7〜1.5dl/gで
    あることを特徴とするゲルを含まない溶融成形可
    能な芳香族ポリエーテルケトン。
JP8721288A 1988-04-11 1988-04-11 芳香族ポリエーテルケトン Granted JPH01259029A (ja)

Priority Applications (1)

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JP8721288A JPH01259029A (ja) 1988-04-11 1988-04-11 芳香族ポリエーテルケトン

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JP8721288A JPH01259029A (ja) 1988-04-11 1988-04-11 芳香族ポリエーテルケトン

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