JPH0432094B2 - - Google Patents

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JPH0432094B2
JPH0432094B2 JP8721388A JP8721388A JPH0432094B2 JP H0432094 B2 JPH0432094 B2 JP H0432094B2 JP 8721388 A JP8721388 A JP 8721388A JP 8721388 A JP8721388 A JP 8721388A JP H0432094 B2 JPH0432094 B2 JP H0432094B2
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polymer
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【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は新規な芳香族ポリエーテルケトン共重
合体に関するものである。さらに詳しくいえば、
本発明は、エンジニアリング樹脂として有用な、
耐熱性、機械的性質、難燃性、耐溶剤性などに優
れ、かつゲルを含まない高分子量の溶融成形可能
な熱可塑性の結晶性芳香族ポリエーテルケトン共
重合体に関するものである。 従来の技術 近年、フエニレン基がケトン基とエーテル基を
介してp−位に連結した線状高分子重合体である
芳香族ポリエーテルケトンは、耐熱性、機械的性
質、難燃性、耐溶剤性などに優れていることか
ら、エンジニアリング樹脂として、例えば電子・
電気分野、自動車分野、精密機械分野などにおけ
る各部品の素材用に広く用いられている。 このような芳香族ポリエーテルケトンとして
は、これまで種々のものが見い出されており、例
えば構造式 をもつものや、構造式 をもつものが知られている。これらの芳香族ポリ
エーテルケトンの製造方法としては、活性化され
た芳香族ジハライドとジヒドロキシ芳香族化合物
とを、アルカリの存在下に親核的重縮合させる方
法が提案されている(特公昭57−22938号公報、
特公昭60−32642号公報)。例えば、前記構造式
()をもつ芳香族ポリエーテルケトンについて
は、4,4′−ジフルオロベンゾフエノンと4,
4′−ジヒドロキシベンゾフエノンのジカリウム塩
とを縮重合させることによつて、結晶融点370℃
のものが得られており、一方前記構造式()を
もつ芳香族ポリエーテルケトンは、炭酸カリウム
の存在下、4,4′−ジフルオロベンゾフエノンと
ハイドロキノンとを縮重合させることによつて、
結晶融点334℃のものが得られている。 このように、前記構造式()や()の重合
体は、親核的重合反応によつて製造することが可
能であるが、これらよりケトン基の含有量が多く
て、融点が高く、より耐熱性に優れた重合体、例
えば式 で表わされる繰り返し単位を有する重合体を、親
核的重合反応により、4,4′−ジハロテレフタロ
フエノンと4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノン
とを、アルカリの存在下に縮重合させて製造する
ためには、生成ポリマーの融点が高いことと、反
応性の低い4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノン
を使用することから、重合温度を高くする必要が
ある。しかしながら、このような方法において
は、該4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノンから
誘導される末端フエノール基のアルカリ金属塩が
多量に存在する条件で高温重合を行うために、重
合体鎖に分枝を生じたり、ゲル化するため、もろ
いフイルムしかできず、所望の重合体を製造する
ことができない(特開昭52−96700号公報、実施
例4)。 本発明者らは、よりケトン含量が多いことか
ら、高融点が予想される、式 で表わされる繰り返し単位を有する重合体を、親
核的重合反応により、4,4′−ジハロテレフタロ
フエノンと4,4′−ジヒドロキシテレフタロフエ
ノンとを、アルカリの存在下に縮合させて製造し
ようとしたが、該4,4′−ジヒドロキシテレフタ
ロフエノンは反応性がさらに低いため、より高温
で縮重合させなければならず、その結果ゲルを含
まない直鎖状の高分子量重合体は得られなかつ
た。 一方、このような親核的重合反応とは別に、親
電子反応によりケトン基を形成させて、芳香族ポ
リエーテルケトンを製造する、いわゆるフリーデ
ルクラフト反応法が知られている(特公昭56−
33419号公報)。このフリーデルクラフト反応法と
前記の親核的重合方法とは、反応形式が本質的に
異なるため、得られる高分子化合物の物性も異な
る。例えばフリーデルクラフト反応により得られ
る重合体
【式】()は、親核 的反応により得られる重合体
【式】()に比べて 結晶性が低く、このため200〜350℃のような高温
におけるモジユラスが低かつたり、延伸フイルム
の熱収縮が著しく大きいなどの欠点がある。これ
は、親核的重縮合反応においては、パラ結合のみ
が独占的に生成するのに対し、フリーデルクラフ
ト反応においては、パラ配向以外にオルト配向や
メタ配向による結合が生成し、重合体鎖に異種結
合や分枝が生じるためである。そしてこのような
異種結合を有するポリマーは、機械的物性が劣る
ため、所望の物性を確保するには、特に高分子量
にする必要があるが、その結果、成形性と結晶性
が低下するのを免れない。 また、フリーデルクラフト反応においては、よ
り高融点のポリエーテルケトン、例えば構造式 のものも知られているが、このものは異種結合を
有し、不安定で熱可塑加工できない上、この反応
では重合時末端に不安定なキサントヒドロール基
を生成するため、安定化に還元処理という特別な
操作が必要である[「ジヤパン−ユーエス・ポリ
マー・シンポジウム(Japan−US Polymer
Symposium)」第259ページ(1985年)]。またこ
のフリーデルクラフト反応により得られる前記構
造式()の重合体は、異種結合を有するため
に、その融点は、ケトン基の含有量が多い割には
低く、385℃程度であることが報告されている
[「ジヤパン−ユーエス・ポリマー・シンポジウム
(Japan−US Polymer Symposium)」第259ペー
ジ(1985年)]。 さらに、フリーデルクラフト反応における重合
触媒、溶媒としては、通常HF−BF3が使用され
るが、このHF−BF3は極めて有毒かつ腐食性の
化合物であるため、工業的に生産する場合には不
適当な物質である。また、通常使用されるもう一
つの触媒である塩化アルミニウムを用いる場合に
は、前記のHF−BF3系に比べて重合体構造にお
いて異種結合や分枝を生じやすいという欠点があ
る上に、生成したポリマーの中に塩化アルミニウ
ムが混入し、この除去が困難なため、該ポリマー
は熱安定性が劣つたものとなるのを免れない。 このように、フリーデルクラフト反応により得
られる芳香族ポリエーテルケトンは、ポリマー構
造的に親核的重合反応により得られた同等物とは
異なり、また実用的性能においても劣るため、こ
れまでのところ工業化されるに至つていない。 発明が解決しようとする課題 本発明は、結晶融点が385℃以上と極めて高く、
かつゲルを含まない上、熱安定性に優れていて溶
融成形が可能であるなどの特徴を有する、高分子
量の結晶性芳香族ポリエーテルケトンを提供する
ことを目的としてなされたものである。 課題を解決するための手段 本発明者らは、このような優れた特徴を有する
高分子量の結晶性芳香族ポリエーテルケトンを開
発するために鋭意研究を重ねた結果、所定の割合
の4,4′−ジハロテレフタロフエノンと4,4′−
ジハロベンゾフエノンとの混合物と、アルカリ金
属の炭酸塩や重炭酸塩とを反応させることによ
り、前記目的を達成しうることを見い出し、この
知見に基づいて本発明を完成するに至つた。 すなわち、本発明は、(A)式 で表わされる繰り返し単位と、(B)式 で表わさる繰り返し単位から成り、(A)単位と(B)単
位との割合がモル比で50:50ないし99:1の範囲
にあり、かつ融点が385℃以上で、極限粘度が0.7
〜1.5dl/gであることを特徴とするゲルを含ま
ない溶融成形可能な芳香族ポリエーテルケトン共
重合体を提供するものである。 この芳香族ポリエーテルケトン共重合体は、例
えば、一般式 (式中のX1及びX2は、それぞれハロゲン原子で
あつて、それらは同一であつてもよいし、たがい
に異なつていてもよい) で表わされる4,4′−ジハロテレフタロフエノン
と、一般式 (式中のX3及びX4は、それぞれハロゲン原子で
あつて、それらは同一であつてもよいし、たがい
に異なつてもいてもよい) で表わされる4,4′−ジハロベンゾフエノンとを
モル比50:50ないし99:1の割合で混合し、この
混合物と、アルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩の
中から選ばれた少なくとも1種のアルカリ金属塩
とを反応させることにより、製造することができ
る。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の芳香族ポリエーテルケトン共重合体
は、4,4′−ジハロテレフタロフエノンと4,
4′−ジハロベンゾフエノンとの混合物と、アルカ
リ金属の炭酸塩や重炭酸塩とを反応させることに
よつて製造されるが、この反応をアルカリ金属の
炭酸塩を用いた場合を例に挙げて反応式で示す
と、次のようになる。 (ただし、Xはハロゲン原子、Mはアルカリ金属
である) このような反応によつて生成したエーテル結合
中の酸素はM2CO3から由来したものである。 一方、従来の方法の1例を方法を反応式で示す
と次のようになる。 (ただし、n=n1+n2、n2=n1+m、X及びMは
前記と同じ意味をもつ) この反応によつて生成するエーテル結合の中の
酸素は4,4′−ジヒドロキシテレフタロフエノン
に由来するものである。また該反応においては、
反応促進剤としてアルカリ金属の炭酸塩や重炭酸
塩が用いられるが、これらは重合時に4,4′−ジ
ヒドロキシテレフタロフエノンのジアルカリ金属
塩を形成させるためのものであり、したがつて、
重合反応の1成分として使用する本発明における
アルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩とは全く役割が
異なるものである。 本発明の芳香族ポリエーテルケトン共重合体の
製造に用いられる原料の単量体は、次の一般式 (式中X1及びX2は前記と同じ意味をもつ) で表わされる4,4′−ジハロテレフタロフエノン
と、一般式 (式中のX3及びX4は前記と同じ意味をもつ) で表わされる4,4′−ジハロベンゾフエノンであ
り、前記一般式()及び()の中のX1、X2
X3及びX4は、それぞれハロゲン原子であつて、
それらは同一であつてもよいし、異なつていても
よい。ハロゲン原子としては、フツ素、塩素、臭
素及びヨウ素原子が挙げられるが、これらの中で
フツ素及び塩素原子が好ましく、特にフツ素原子
が好ましい。該4,4′−ジハロテレフタロフエノ
ンの具体例としては、4,4′−ジフルオロテレフ
タロフエノン、4,4′−ジクロロテレフタロフエ
ノン、4−クロロ−4'−フルオロテレフタロフエ
ノンなどを挙げることができるが、これらの中で
特に、4,4′−ジフルオロテレフタロフエノンが
好適である。また、該4,4′−ジハロテレフタロ
フエノンは1種用いてもよいし、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。また、該4,4′−ジハロ
ベンゾフエノンの具体例としては、4,4′−フル
オロベンゼンフエノン、4,4′−ジクロロベンゾ
フエノン、4−クロロ−4'−フルオロベンゾフエ
ノンなどを挙げることができるが、これらの中
で、特に4,4−ジフルオロベンゾフエノンが好
適である。また該4,4′−ジハロベンゾフエノン
は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて
用いてもよい。 そして、前記一般式()で表わされる4,
4′−ジハロテレフタロフエノンと一般式()で
表わされる4,4′−ジハロベンゾフエノンとをモ
ル比50:50ないし99:1の割合で用い、この混合
物と、アルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩とを反応
させることにより、所望の芳香族ポリエーテルケ
トン共重合体が得られる。 上記の方法において用いられるアルカリ金属の
炭酸塩、重炭酸塩としては、たとえば炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、
炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムなどが挙
げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ま
た、これらの中で、特に炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウ
ムが好適である。カリウム塩とナトリウム塩とを
比較した場合、一般にカリウム塩の方が反応が速
い傾向にあり、一方ナトリウム塩の方が副反応が
少ない傾向にある。 上記の方法において、これらのアルカリ金属の
炭酸塩1分子又は重炭酸塩2分子から1原子の酸
素原子が放出され、芳香族ジハロゲノ化合物中の
ハロゲン原子が2原子脱離してエーテル生成反応
を起こす。したがつて、芳香族ジハロゲノ化合物
を完全に反応させ、高重合体を得るためには、該
芳香族ジハロゲノ化合物中のハロゲン原子2原子
に対して、1当量以上のアルカリ金属の炭酸塩や
重炭酸塩を用いることが望ましい。 しかし、あまり多量のアルカリ金属の炭酸塩や
重炭酸塩を用いることは製造コスト的にも不利で
あるし、場合によつては副反応を引きおこす可能
性もある。このアルカリ金属の炭酸塩や重炭酸塩
の好適な使用量については、芳香族ジハロゲノ化
合物中のハロゲン原子2原子に対し、1〜10当量
の範囲で選ばれ、またモル数としては、全芳香族
ジハロゲノ化合物1モル当り、炭酸塩の場合で1
〜10モル、重炭酸塩の場合で2〜20モルの範囲か
ら選ばれる。さらに、これらのアルカリ金属の炭
酸塩や重炭酸塩は微粉砕して用いる方が反応速度
は速くなる。 上記の方法において、反応を促進させるため
に、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、チタニ
アなどを触媒として用いることができる。シリカ
としては、例えば二酸化ケイ素、無水ケイ酸、シ
リカゲル、乾式シリカ、湿式シリカなどや、本発
明の反応条件下において、反応系中でシリカを生
成しうるクロロシラン類、ケイ酸、シロキサン
類、ケイ酸塩類などを挙げることができる。シリ
カアルミナとしては、例えばゼオライト、活性白
土、セピオライト、モンモリロナイト、エイソウ
土などの鉱物系化合物を挙げることができる。こ
れらの中で、粒径が小さくて有効表面積の大きな
乾式シリカ(フユームドシリカ)、シリカゲル、
シリカアルミナが特に活性が高く、好ましい。 これらの触媒は、反応が迅速に進行する点か
ら、微粉砕して用いるのがよい。触媒の添加量に
ついては特に制限はないが、通常原料の芳香族ジ
ハロゲノ化合物の合計量に対して、0.1〜100重量
%、好ましくは1〜30重量%の範囲で用いられ
る。この添加量が0.1重量%未満では触媒添加の
効果が十分に発揮されないし、100重量%を超え
ると、添加量の割にはエーテル生成速度はあまり
大きくならず、場合によつては好ましくない副反
応が起こる場合がある。 さらに、上記の方法において、前記触媒ととも
に、助触媒を併用することができる。この助触媒
としては銅又は銅化合物が挙げられる。これら助
触媒により反応速度がさらに加速される。反応速
度が比較的遅い芳香族塩素化合物を用いた場合や
アルカリ金属塩としてナトリウム塩を用いた場合
はこの助触媒の効果は特に大きい。 前記銅及び銅化合物としては、金属銅、あるい
は各種の一価又は二価の銅化合物、例えば各種ハ
ロゲン化第一銅(塩化第一銅、臭化第一銅、ヨー
化第一銅など)、ハロゲン化第二銅(塩化第二銅、
臭化第二銅など)、酸化第一銅、酸化第二銅、水
酸化銅、硫酸銅、塩基性炭酸銅、銅アセチルアセ
トナート、酢酸銅、硫化銅などが特に好ましく用
いられる。これらは混合物として使用してもよい
し、無水あるいは結晶水を含んだ形で使用しても
よい。 これらの助触媒の添加量については特に制限は
ないが、通常前記触媒に対して、0.01〜10重量%
の割合で用いられる。 上記の方法において、反応は無溶媒で行つても
よいし、適当な溶媒中で行つてもよい。該溶媒に
ついては、反応温度において安定なものであれば
よく特に制限はない。該溶媒としては、例えばア
セトフエノン、ベンゾフエノン、キサントン、フ
エノキシベンゾフエノンなどのケトン類、スルホ
ラン、ジフエニルスルホンなどのスルホン類、ジ
フエニルエーテルなどのエーテル類、N−メチル
ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミドなど
のアミド類、ビフエニル、ターフエニル、ナフタ
レン、デカリンなどの炭化水素類、塩素化ビフエ
ニルなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げられ
る。ここに挙げた例は沸点が高く、常圧で反応に
使用できるものであるが、重合温度より沸点の低
い溶媒については加圧下で使用することも可能で
ある。 反応は溶媒の極性が高い方が容易に進行する。
特に好ましい溶媒としては極性が高く、高温で安
定なジフエニルスルホン、ベンゾフエノン、キサ
ントンなどを挙げることができる。 これらの溶媒の使用量については特に制限はな
いが、通常原料の芳香族ジハロゲノ化合物の合計
量に対して、0.2〜10重量倍程度の溶媒が用いら
れる。また、反応系の粘度上昇や生成した共重合
体の析出を防止するために、反応の進行に応じ
て、溶媒を追加することもできる。 また、反応温度は使用する原料単量体の種類、
アルカリ金属塩や触媒の種類、量などによつて異
なるが、通常150〜400℃の範囲の温度において反
応が行われる。この温度が150℃未満では反応速
度が遅すぎて実用的でないし、400℃を超えると
エーテル生成以外の好ましくない副反応が生じや
すい。また、生成した共重合体が反応中に析出す
るのを防止するために、反応の進行に伴い、反応
温度を連続的に、あるいは段階的に昇温してもよ
い。 上記の方法において、生成した共重合体の熱安
定性をより向上させる目的で、従来行われている
末端安定化の手段を採用することができる。この
末端安定化は、重合終了後、活性ハロゲン化物、
例えば4−フルオロベンゾフエノン、4−クロロ
ベンゾフエノン、4−クロロジフエニルスルホ
ン、塩化メチルなどを重合溶液に加え、通常重合
温度と同じ温度に維持して反応させることによつ
て、行われる。 このようにして生成した芳香族ポリエーテルケ
トン共重合体は、水や、アセトン、メタノールな
どの有機溶媒で洗浄して、無機塩や溶媒などを除
去するだけで各種用途に用いられるが、さらにそ
の物性を向上させるために、適当な有機溶媒で抽
出することによつて、共重合体中に含まれている
オリゴマーを除くこともできる。 このようにして得られた本発明の共重合体は、
(A)式 で表される繰り返し単位と、(B)式 で表わされる繰り返し単位とを、モル比50:50な
いし99:1の割合で含有する結晶性高分子量共重
合体であつて、その融点は385℃以上である。こ
のように融点が高いことは、共重合体中に分枝や
不安定末端基などの異種結合が少なく、直鎖性が
極めて高いことを示すものである。実際、実施例
1に示すように、本発明の共重合体には、NMR
解析により異種結合が検知されない。 また、該共重合体の極限粘度は0.7〜1.5dl/
g、好ましくは0.8〜1.3dl/gの範囲である。こ
の極限粘度が0.7dl/g未満では機械的強度に劣
るし、1.5dl/gを超えると加工性が低下する傾
向にある。さらに、該共重合体はゲルを含まない
特徴を有し、室温で濃硫酸に可溶である。ゲルを
含む共重合体は室温で濃硫酸に溶解しない。 このように、本発明の共重合体は、ゲルや異種
結合を含まないため、強靭で加工時の耐熱性(約
400℃)に優れているので、溶融成形が可能であ
り、また長期耐熱性(300℃促進テスト)も良好
である。 発明の効果 本発明の芳香族ポリエーテルケトン共重合体
は、その製造の際に、原料単量体として、熱的に
不安定なフエノール類を使用せず、かつ反応生成
水が副生しないため、副反応が少なくて、分枝や
異種結合が生成しにくく、かつゲルを含まない高
融点の結晶生熱可塑性共重合体が得られる。この
ものは、熱可塑性共重合体の中では、最も融点の
高い重合体の1つであり、また、耐熱安定生に優
れているので、溶融成形が可能である。 本発明の芳香族ポリエーテルケトン共重合体
は、耐熱生、機械特性、難燃性、耐溶剤性などに
優れた高性能エンジニアリング樹脂として有用で
あり、任意の所望形状、例えば射出成形品、押出
成形品、被覆、フイルム、繊維などとして用いる
ことができる。さらに、各種の耐熱エンジニアリ
ング樹脂、例えば他のポリエーテルケトン、ポリ
スルホン、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエス
テル、ポリフエニレンスルフイドなどや、汎用エ
ンジニアリング樹脂、ガラス繊維、アラミド繊
維、炭素繊維、無機質などと混合し、アロイ化や
コンポジツト化して使用することができる。 実施例 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によつてなんら限定
されるものではない。 なお、共重合体の物性は次のようにして測定し
た。 (1) 極限粘度[ηsp/c] 濃硫酸に共重合体を0.1重量%濃度になるよ
うに溶解し、この溶液について、温度25℃にて
測定した。 (2) 融 点 共重合体を1度420℃で溶融したのち、室温
まで急冷したサンプルを用い、室温から10℃/
分の測定で昇温し、測定した。 また、1H−NMRは、共重合体2重量%濃度の
濃重硫酸(D2SO4)溶液について、内部標準とし
て3−トリメチルシリルプロパン酸ナトリウムを
用い、25℃で日本電子(株)GX−400のスペクトロ
メータを用いて測定した。 さらに、1H−NMRスペクトルにおいては、各
ピークのケミカルシフトは共重合組成により
0.1ppm以内の変化はあるが、例えば の組成の共重合体については、5種のピークが認
められる。 (a) 6.94ppm(d) (a′) 7.02ppm(d) (b) 7.67ppm(s) (c) 7.71ppm(d) (c′) 7.83ppm(d) (a),(a′):
【式】 (b):
【式】 (c),(c′):
【式】 共重合体組成はピーク面積比((a)+(a′))/
((b)+(c)+(c′))より求めた。 実施例 1 4,4′−ジフルオロベンゾフエノン26.2g
(0.12モル)、4,4′−ジフルオロテレフタロフエ
ノン90.1g(0.28モル)、炭酸ナトリウム50.9g
(0.48モル)、シリカ(フジデビソン社製、サイロ
イド244)20.0g及びジフエニルスルホン350gを
1フラスコに仕込み、窒素置換したのち、かき
まぜながら30分間で280℃に昇温し、その温度に
2時間保持した。その後段階的に昇温し300℃で
1時間、315℃で4時間、330℃で3時間保持して
重合を行い、次いで4,4′−ジフルオロベンゾフ
エノン10.0gを添加し、30分間330℃で反応して
末端を安定化した。 次に得られた反応物を冷却固化したのち、粉砕
後、温アセトンで2回、温水で2回、さらに4重
量%水酸化ナトリウム水溶液、5重量%塩酸、
水、アセトンで洗浄して白色粉末を得た。 この重合体の濃硫酸中の極限粘度は1.04dl/
g、融点395℃であつた。また室温で濃硫酸に完
全に溶解した。 1H−NMRによりこの重合体の構造は の繰り返し単位を69モル%
【式】の繰り返し単位 を31モル% を含む共重合体であつた。 この重合体を熱プレスにはさんで400℃で30分
間保持しても極限粘度は変わらなつた。また、
300℃のギヤーオーブン中で100時間放置してもゲ
ル化せず、極限粘度は1.43dl/gであつた。 なお、比較に従来法で製造された構造式()
を有するICI社のPEEK(450P)(融点340℃、極限
粘度0.9dl/g)を300℃のギヤーオーブン中に放
置したところ、48時間でゲル化し、濃硫酸に全く
溶解しなかつた。さらに本発明の共重合体を410
℃で5分間プレスしたのち、徐冷して作成した結
晶フイルムは20回以上折り曲げても折れないタフ
なものであつた。 実施例 2 4,4′−ジフルオロベンゾフエノン17.5g
(0.08モル)、4,4′−ジフルオロテレフタロフエ
ノン103.0g(0.32モル)、炭酸ナトリウム76.3g
(0.72モル)、シリカ(日本アエロジル社製、アエ
ロジル300)15.0g及びジフエニルスルホン400g
を1フラスコに仕込み、窒素置換したのち、か
きまぜながら30分間で280℃に昇温し、その温度
で2時間保持した。その後、段階的に昇温し300
℃で1.5時間、315℃で2.0時間、335℃で3.5時間保
持して重合を行い、次いで4,4′−ジフルオロベ
ンゾフエノン10.0gを添加し、335℃で15分間反
応して末端を安定化させた。 得られた反応物を冷却固化したのち、粉砕後、
温アセトンで2回、温水で2回、さらに4重量%
水酸化ナトリウム水溶液、5重量%塩酸、水、ア
セトンで洗浄して白色粉末を得た。 この重合体の濃硫酸中の極限粘度は0.92dl/
g、融点397℃であつた。 1H−NMRよりこの重合体の構造は の繰り返し単位を78モル%
【式】の繰り返し単位 を22モル% を含む共重合体であつた。 実施例 3 4,4′−ジフルオロベンゾフエノン34.9g
(0.16モル)、4,4′−ジフルオロテレフタロフエ
ノン77.4g(0.24モル)、炭酸ナトリウム46.6g
(0.44モル)、シリカ(フジデビソン社製、サイロ
イド244)20g及びジフエニルスルホン350gを1
フラスコに仕込み、窒素置換したのち、かきま
ぜながら30分間で280℃に昇温し、その温度で2
時間保持した。その後、段階的に昇温し、300℃
で4.0時間、315℃で2.5時間、340℃で3.0時間保持
して重合を行い、次いで4,4′−ジフルオロベン
ゾフエノン10.0gを添加し、340℃で30分間反応
して末端を安定化させた。 得られた反応物を冷却固化したのち、粉砕後、
温アセトンで2回、温水2回、さらに4重量%水
酸化ナトリウム水溶液、5重量%塩酸、水、アセ
トンで洗浄して白色粉末を得た。 この重合体の濃硫酸中の極限粘度は1.14dl/
g、融点392℃であつた。 1H−NMRよりこの重合体の構造は の繰り返し単位を60モル%
【式】の繰り返し単位 を40モル% を含む共重合体であつた。 実施例 4 4,4′−ジフルオロベンゾフエノン4.39g
(0.0201モル)、4,4′−ジフルオロテレフタロフ
エノン6.49g(0.0201モル)、炭酸ナトリウム7.25
g(0.0684モル)、シリカ(日本アエロジル社製、
アエロジル300)2.0g及びジフエニルスルホン40
gを100mlフラスコに仕込み、窒素置換したのち、
かきまぜながら30分間で280℃に昇温し、その温
度に1.5時間保持した。その後30分間かけて325℃
に昇温し、その温度で4.25時間反応させた。反応
物を実施例1と同様に洗浄して得られた淡いクリ
ーム色重合体は、硫酸中でのηsp/cが0.85、融
点は387℃であつた。またこの重合体は元素分析、
1H−NMR、13C−NMRの結果から で表わされる構造であることが確認された。 実施例 5 4,4′−ジフルオロベンゾフエノン39.3g
(0.18モル)、4,4′−ジフルオロテレフタロフエ
ノン70.9g(0.22モル)、炭酸ナトリウム63.6g
(0.60モル)、シリカ(フジデビソン社製、サイロ
イド244)20.0g及びジフエニルスルホン350gを
1フラスコに仕込み、窒素置換したのち、かき
まぜながら30分間で280℃に昇温し、その温度で
2時間保持した。その後、段階的に昇温し、300
℃で1.0時間、310℃で1.0時間、325℃で2.0時間保
持して重合を行い、次いで4,4′−ジフルオロベ
ンゾフエノン10.0gを添加し、325℃で15分間反
応して末端を安定化させた。 得られた反応物を冷却固化したのち、粉砕後、
温アセトンで2回、温水で2回、さらに4重量%
水酸化ナトリウム水溶液、5重量%塩酸、水、ア
セトンで洗浄して白色粉末を得た。 この重合体の濃硫酸中で極限粘度は0.95dl/
g、融点は388℃であつた。 1H−NMRよりこの重合体の構造は の繰り返し単位を55モル%
【式】の繰り返し単位 を45モル% を含む共重合体であつた。 実施例 6 4,4′−ジフルオロベンゾフエノン43.6g
(0.20モル)、4,4′−ジフルオロテレフタロフエ
ノン64.5g(0.20モル)、炭酸ナトリウム72.1g
(0.68モル)、シリカ(フジデビソン社製、サイロ
イド244)20.0g及びフエニルスルホン350gを1
フラスコに仕込み、窒素置換したのち、かきま
ぜながら、30分間で280℃に昇温し、その温度で
2時間保持した。その後、段階的に昇温し、300
℃で1.0時間、310℃で1.0時間、325℃で1.5時間保
持して重合を行い、次いで4,4′−ジフルオロベ
ンゾフエノン10.0gを添加し、325℃で15分間反
応して末端を安定化させた。 得られた反応物を冷却固化したのち、粉砕後、
温アセトンで2回、温水で2回、さらに4重量%
水酸化ナトリウム水溶液、5重量%塩酸、水、ア
セトンで洗浄して白色粉末を得た。 この重合体の濃硫酸中の極限粘度は0.85dl/
g、融点387℃であつた。 1H−NMRよりこの重合体の構造は の繰り返し単位を50モル%
【式】の繰り返し単位 を50モル% を含む共重合体であつた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (A)式 で表わされる繰り返し単位と、(B)式 【式】 で表わされる繰り返し単位とから成り、(A)単位と
    (B)単位との割合がモル比で50:50ないし99:1の
    範囲にあり、かつ融点が385℃以上で、極限粘度
    が0.7〜1.5dl/gであることを特徴とするゲルを
    含まない溶融成形可能な芳香族ポリエーテルケト
    ン共重合体。
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