JP2551103B2 - 熱可塑性芳香族ポリエーテルの製造方法 - Google Patents

熱可塑性芳香族ポリエーテルの製造方法

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JP2551103B2 JP63111515A JP11151588A JP2551103B2 JP 2551103 B2 JP2551103 B2 JP 2551103B2 JP 63111515 A JP63111515 A JP 63111515A JP 11151588 A JP11151588 A JP 11151588A JP 2551103 B2 JP2551103 B2 JP 2551103B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、予め反応系中に芳香族ポリエーテル類を存
在させて反応させることにより、耐熱性、耐薬品性およ
び機械的強度等に優れた、高分子量で且つゲル状物等の
異物を含まない高品質の熱可塑性芳香族ポリエーテル類
を工業的に有利に製造する方法に関するものである。
(従来の技術とその問題点) 近年、熱可塑性の芳香族ポリエーテル類が優れた耐熱
性、耐薬品性および機械的強度等を有することから、各
種分野における成型材料として注目され実用に供されて
いる。
この芳香族ポリエーテル類の製造方法には、一般に、
親電子的芳香族置換法と求核的芳香族置換法があるが、
フリーデル・クラフツ型縮合反応によつて重合する前者
の方法は腐食性の高い酸類を化学量論量以上必要とする
など、工業化に際して不利な点も多い。一方、後者の方
法では、ジハロベンゼノイド化合物と二価フエノールあ
るいはハロフエノール類をアルカリ金属フエノキシドと
して縮合重合させ高分子量の重合体が得られる。この種
の製法として、これまで、例えば、電子吸引基を含むジ
ハロベンゼノイド化合物と二価フエノールのジアルカリ
金属塩を極性溶媒中で反応させる方法(例えば特公昭42
−7799号公報)、電子吸引基を含むジハロベンゼノイド
化合物と二価フエノールをアルカリ金属炭酸塩とともに
スルホキシドもしくはスルホン系溶媒中で反応させる方
法(例えば特公昭46−21458号公報)、カルボニル基を
含む二価フエノールのジアルカリ金属塩とカルボニル基
乃至スルホン基を含むジハロベンゼノイド化合物とをジ
アリールスルホン中で250〜400℃の温度に加熱する方法
(例えば、特公昭57−22938号公報)あるいはハロフエ
ノールをアルカリ金属炭酸塩とともに、溶媒中で、200
〜400℃の温度に加熱する方法(例えば、特開昭61−548
8号公報および米国特許第4,113,699号明細書)等が知ら
れている。
ところで、アール・エヌ・ジヨンソン(R.N.Johnso
n)等によるジヤーナル・オブ・ポリマーサイエンス(J
ournal of Polymer Science)1967年、第5巻、パート
A−1、2375〜2398頁の報告などから、ハロゲン原子の
活性化度の低いジハロベンゼノイド化合物ではふつ素化
合物が最も反応性に富み、同じ反応条件での二価フエノ
ールとの縮合重合では生成した芳香族ポリエーテル類の
重合度も高いことが知られている。特に、ジハロベンゼ
ノイド化合物のハロゲン原子が塩素原子の場合は反応性
が低いので、高分子量の芳香族ポリエーテルを得るため
には必然的に高い反応温度での過酷な反応条件が要求さ
れ、その結果として製品重合体に着色などの変質あるい
はゲル状物の発生などの好ましくない現象を伴うという
問題点があつた。従つて、ジフルオロベンゼノイド化合
物類に比べて経済的には有利であるにもかかわらず、こ
れまでかかるクロロベンゼノイド化合物をモノマーとし
て高品質で高分子量の芳香族ポリエーテル類を製造する
ことは困難であつた。このことは、特公昭61−10486号
公報にも述べられているところである。
かかる反応性の低いクロロベンゼノイド化合物モノマ
ーから芳香族ポリエーテル類を製造する際に、銅化合物
を共存させることで重合を促進する方法(特開昭61−17
9228号公報)や硫酸ナトリウムの存在下高温で反応させ
る方法(特開昭62−148524号公報)も知られているが、
生成する重合体中へ異物が混入し品質低下につながるこ
とが問題になつていた。
本発明は、従来のような銅化合物、硫酸ナトリウムな
どの特殊な添加剤を使用することなく、反応性の低いク
ロロベンゼノイド化合物モノマーから高分子量でかつ着
色あるいはゲル状物などの異物を含まない高品質の熱可
塑性芳香族ポリエーテルを工業的に有利に製造する方法
を提供するにある。
(問題点を解決するための手段・作用) 本発明者らは、かかる問題点を解決するべく鋭意検討
したところ、驚くべきことに予め反応系に芳香族ポリエ
ーテル類を存在させて反応させたことによりクロロベン
ゼノイド化合物を用いて着色などの変質あるいはゲル状
物の発生などの好ましくない現象を伴うことなく高品質
で高分子量の芳香族ポリエーテル類を製造し得ることを
見いだし、この知見に基づいて本発明を為すに至つた。
即ち、本発明は一般式(I) Cl−E−X ……(I) (式中、Xはハロゲン原子であり、Eは下記一般式(I
V)で表される二価の残基である。)で示されるクロロ
ベンゼノイド化合物の少なくとも一種と、二価フエノー
ルまたはそのアルカリ金属塩の少なくとも一種および/
または一般式(III) Cl−E−OH ……(III) (式中、Eは下記一般式(IV)で表される二価の残基で
ある。)で示されるクロロフエノール類の少なくとも一
種との混合物をアルカリ金属塩の存在下、縮合重合させ
ることにより芳香族ポリエーテルの製造する方法におい
て、予め芳香族ポリエーテル類を反応系に存在させるこ
とを特徴とする熱可塑性芳香族ポリエーテルの製造方法 ここで、上記Eは下記一般式(IV) −Ar−(Y−Ar′)n− ……(IV) (式中、ArおよびAr′は二価の芳香族残基を示し、独立
的に下記一般式(V)、(VI)もしくは(VII) (式中、R1〜R5はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1
〜8の炭化水素基、炭素数1〜8のふつ素化炭化水素基
から選択され、互いに同一又は異なつていてもよく、Z
はカルボニル基、スルホン基、酸素原子、硫黄原子もし
くは直接結合であり、そしてa〜cは0〜4、d及びe
は0〜3の整数で同一でも異なつていてもよい。)から
選択され、Yはカルボニル基、スルホン基、−CO−CO
−、二価の炭化水素基、二価のふつ素化炭化水素基、酸
素原子、硫黄原子もしくは直接結合であり、そしてnは
0から4までの整数である。)で表される。
本発明の方法において原料として用いられる二価フエ
ノールは、下記一般式(II) HO−E−OH ……(II) (式中、Eは前記一般式(IV)で表される二価の残基で
ある。)で表される化合物なら特に制限はない。
具体的には、ヒドロキノン、レゾルシン、1,5−ジヒ
ドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、
2,7−ジヒドロキシナフタレン、4,4′−ジヒドロキシビ
フエニル、2,2′−ジヒドロキシビフエニル、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフエニル)プロパン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフエニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフエニル)メタン、
4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノン、4,4′−ジヒドロ
キシジフエニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフエ
ニルスルフイド、4,4′−ジヒドロキシジフエニルスル
ホン及びこれらの核置換体を挙げることができる。この
ような芳香族ジヒドロキシ化合物の中で特に好適なもの
は、ヒドロキノン、4,4′−ジヒドロキシジフエニルス
ルホン、4,4′−ジヒドロキシビフエニル及び2,6−ジヒ
ドロキシナフタレンである。これらの二価フエノール
は、それぞれ単独で用いてもよいし、また二種以上の混
合物として用いてもよい。またこれらの二価フエノール
は、重合に際しアルカリ金属塩として反応するので、当
初から二価フエノールのアルカリ金属塩を使用して実施
することもできる。
次に、この二価フエノールと縮合させるクロロベンゼ
ノイド化合物としては、前記一般式(I)で表される化
合物である。具体的には、4,4′−ジクロロベンゾフエ
ノン、2,4′−ジクロロベンゾフエノン、4−クロロ−
4′−フルオロベンゾフエノン、4,4′−ジクロロベン
ジル、1,4−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼン、
1,3−ビス(4−クロロベンゾイル)ベンゼン、4,4′−
ビス(4−クロロベンゾイル)ビフエニル、4,4′−ビ
ス(4−クロロベンゾイル)ジフエニルエーテル、4,
4′−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフエニルスルフ
イド、4,4′−ビス(4−クロロフエニル)ベンゾフエ
ノン、2−(4−クロロベンゾイル)−6−クロロナフ
タレン、3,3′−ジクロロジフエニルスルホン、4,4′−
ジクロロジフエニルスルホン、4,4′−ジクロロジフエ
ニルスルフイド、4,4′−ジクロロジフエニルエーテ
ル、4,4′−ジクロロビフエニル、2,2−ビス(4−クロ
ロフエニル)ヘキサフルオロプロパン、1,2−ビス(4
−クロロフエニル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタ
ン、などを挙げることができる。これらのクロロベンゼ
ノイド化合物は、単独で用いてもよいし、また二種以上
の混合物として用いてもよい。特に好適なものは、4,
4′−ジクロロベンゾフエノンである。
次に、別法の原料として用いるクロロフエノール類
は、前記一般式(III)で表される化合物である。具体
的には、4−クロロ−4′−ヒドロキシベンゾフエノ
ン、4−(4−クロロベンゾイル)−4′−ヒドロキシ
ビフエニル、4−(4−クロロベンゾイル)−4′−ヒ
ドロキシジフエニルエーテル、4−(4−クロロベンゾ
イル)−4′−ヒドロキシジフエニルスルフイド、4−
クロロ−4′−ヒドロキシジフエニルスルホン、4−ク
ロロ−4′−ヒドロキシジフエニルスルフイド、4−ク
ロロ−4′−ヒドロキシジフエニルエーテル、4−クロ
ロ−4′−ヒドロキシビフエニル、2−(4−クロロベ
ンゾイル)−6−ヒドロキシナフタレンなどを挙げるこ
とができる。これらのクロロフエノール類は、単独で用
いてもよいし、また二種以上の混合物として用いてもよ
い。前記クロロフエノール類の中で特に好適なものは、
4−クロロ−4′−ヒドロキシベンゾフエノン及び4−
(4−クロロベンゾイル)−4′−ヒドロキシジフエニ
ルエーテルである。
本発明の方法において、重縮合反応は予め芳香族ポリ
エーテル類の存在下に実施される。使用する芳香族ポリ
エーテル類は製造される芳香族ポリエーテル類と同一の
反復単位を有するものであつてもまた異なつていてもよ
い。
一般的には、下記反復単位(VIII) −E−O−E′−O− ……(VIII) (式中、E及びE′は独立的に前記一般式(IV)で表さ
れる二価の残基である。)で表されるものであればよ
い。
特に単一の反復単位のみを含む芳香族ポリエーテル類
を製造する場合は製品重合体と同一の反復単位を有する
芳香族ポリエーテルを使用すれば生成物の主鎖構造を変
化させない上、生成物の一部を再利用できるので好まし
い。しかしながら高分子の熱的、機械的、電気的などの
特性を改善する目的で複数の反復単位を含む重合体を製
造する場合には、予め反応系に存在させる芳香族ポリエ
ーテル類が製品重合体と異なつていても差し支えない。
予め存在させる芳香族ポリエーテル類の具体的な代表例
として、4,4′−ジクロロベンゾフエノンとヒドロキノ
ンの重合原料の組合せでの下記反復単位(IX) から成る芳香族ポリエーテルエーテルケトン、4,4′−
ジクロロベンゾフエノンと4,4′−ジヒドロキシビフエ
ニルの重合原料の組合せでの下記反復単位 から成る芳香族ポリエーテルエーテルケトン、4,4′−
ジクロロベンゾフエノンと2,7−ジヒドロキシナフタレ
ンの重合原料の組合せでの下記反復単位 から成る芳香族ポリエーテルエーテルケトン、4−クロ
ロ−4′−ヒドロキシベンゾフエノンを重合原料とした
ときの下記反復単位(X) から成る芳香族ポリエーテルケトン、4,4′−ジクロロ
ベンゾフエノンと4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノン
の重合原料の組合せでの上記反復単位(X)から成る芳
香族ポリエーテルケトン、4−(4−クロロベンゾイ
ル)−4′−ヒドロキシビフエニルを重合原料としたと
きの下記反復単位 から成る芳香族ポリエーテルケトン、4−(4−クロロ
ベンゾイル)−4′−ヒドロキシジフエニルエーテルを
重合原料としたときの該反復単位(IX)から成る芳香族
ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
本発明の方法において、これらの芳香族ポリエーテル
類は、重縮合反応において触媒的作用を示し反応を促進
させる効果がある。そして十分な触媒効果を発揮するた
めには、固有粘度ηinhで0.1ないし2.0、好ましくは0.3
ないし1.2の範囲の芳香族ポリエーテル類を用いること
が好ましい。これらの芳香族ポリエーテル類の使用量
は、前記重合原料の二価フエノール、クロロベンゼノイ
ド化合物及びクロロフエノール類の合計量に対して重量
比で0.005〜10倍、さらに好ましくは0.01〜5倍の範囲
である。この範囲外では十分な触媒効果が得られなかつ
たり、生産性が低下する。
なお本明細書でいう重合体の固有粘度ηinhとはジク
ロロ酢酸溶媒中、重合体濃度1g/dl、温度30℃の条件下
に測定した固有粘度である。
本発明の方法に用いられる二価フエノールもしくはク
ロロフエノール類をアルカリ金属塩として使用する場合
は、別途にこれらフェノールのアルカリ金属塩を製造し
て使用に供するか、重合反応前または同時に塩を形成し
ながら反応を進めることができる。該アルカリ金属塩を
形成させるのに使用さるものとしては、反応系に存在さ
せるアルカリ金属塩と同等のものが使用され、例えば、
ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの水酸
化物、炭酸塩、および重炭酸塩等が例示され、これらは
単独でまたは二種以上を混合してもよい。具体的には水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウムなどの少なくとも1種を用いるのが特に好ま
しい。これらのアルカリ金属化合物は、二価フエノール
もしくはクロロフエノール類に対して存在するフエノー
ル性水酸基の当量以上のアルカリ金属原子を含むような
量が必要とされるが、着色やゲル状物の発生などの好ま
しくない現象を避けるため、使用量は当量の30%までの
過剰量とすべきである。
本発明の方法においては、必要に応じて溶媒が使用さ
れる。該溶媒としては一般的には双極性の非プロトン系
溶媒が用いられればよいが、本発明によつて得られる熱
可塑性芳香族ポリエーテルの多くは高結晶性で高融点で
あるためこれらの溶媒に対しても溶解度が低く、高重合
度の芳香族ポリエーテルを得るにはその融点付近の高い
反応温度で重合させることも必要になる。そこで高沸点
で熱的、化学的な安定性も高く、且つ重合原料及び製品
重合体に対して良好な溶解度を有する溶媒が要求され
る。以上の点からスルホン系、スルホキシド系あるいは
アミド系溶媒が好ましいが、これらに限定されるもので
はなく、重合原料や製造する芳香族ポリエーテルの性状
に応じて適切な溶媒が選択されねばならない。
特に予め存在させる芳香族ポリエーテル類が十分な触
媒効果を発揮するためには、反応温度で当該芳香族ポリ
エーテル類に対して十分な溶解度を有する溶媒を用いる
ことが望ましい。これらの溶媒の具体的な代表例として
は、ジフエニルスルホン、スルホラン、ジメチルスルホ
キシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメ
チル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。とりわ
けジアリールスルホン類、例えばジフエニルスルホン、
は適用範囲が広く好適である。溶媒の使用量は用いられ
る二価フエノール、クロロベンゼノイド化合物及びクロ
ロフエノール類の合計量に対して重量比で0.05〜10倍、
さらに好ましくは0.1〜5倍の範囲から適宜選ばれる。
本発明の方法においては、必要に応じて製品重合体の
着色を改良し、且つ熱安定性を向上させる目的で三価の
有機燐化合物を使用することが出来る。使用される三価
の有機燐化合物の具体的な代表例としては、トリフェニ
ルホスフィン、トリス(ノニルフェニル)ホスファイ
ト、トリ−n−ブチルホスフィンなどが挙げられる。こ
れらの三価の有機燐化合物の使用量はフェノール類に対
し、0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であ
る。
本発明の方法においては、前記二価フエノールとクロ
ロベンゼノイド化合物との反応に、所望に応じてクロロ
フエノール類を併用しても差し支えない。いずれにして
も高分子量の重合体を得る目的では、通常、反応系にお
けるフエノール性水酸基と反応性のハロゲン原子とのモ
ル比が1:0.95乃至1:1.05の範囲内になるような割合を選
ぶのが望ましい。特にハロゲン原子が系内のフエノール
性水酸基に対して5モル%以下過剰になるようなクロロ
ベンゼノイド化合物の過剰量を使用することで製品重合
体の分子量を調節し且つ重合体の両末端を熱安定性の高
いハライド末端基とすることができる。
本発明の方法に従つて、二価フエノールとクロロベン
ゼノイド化合物及び/またはクロロフエノール類を縮合
重合させる場合には、例えば以下に示す種々の形式で具
体的に実施することができる。
すなわち、予め所定の芳香族ポリエーテルを含む溶媒
中で、(1)別途調製した二価フエノールのアルカリ金
属塩無水物とクロロベンゼノイド化合物及び/または別
途調製したクロロフエノール類のアルカリ金属塩無水物
を反応させる方法、(2)二価フエノールとクロロベン
ゼノイド化合物及び/またはクロロフエノール類と存在
するフエノール性水酸基の当量以上のアルカリ金属原子
が存在するような量のアルカリ金属の炭酸塩または重炭
酸塩の少なくとも一種との混合物を必要があれば共沸溶
媒とともに加熱することにより、二価フエノール及び/
またはクロロフエノール類のアルカリ金属塩を生成さ
せ、同時に生成する水を留去しつつ、または留去した後
に重合反応を進行させる方法、さらには(3)溶媒を用
いずに予め所定の芳香族ポリエーテルを加えて、前記
(1)または(2)の形式で重合させる方法などを挙げ
ることができ、重合原料と製品重合体の性状に応じて最
適な方法を選ぶことができる。
上記の重合方法で明らかなように、二価フエノール及
び/またはクロロフエノール類のアルカリ金属塩を無水
の状態で反応させるために、必要に応じて水と共沸する
共沸溶媒が用いられる。具体的な共沸溶媒の代表例とし
てはベンゼン、トルエン、クロロベンゼンなどの芳香族
化合物が挙げられるが、その他の化合物も使用し得る。
本発明方法において実際の重合反応の温度は、重合原
料成分の種類、重合反応の形式などにより変化するが、
通常80〜400℃の範囲であり、好ましくは120〜350℃の
範囲で実施される。80℃未満の反応温度では生成した重
合体の重合度が低く、また400℃を越える反応温度では
着色等の熱変性とともにゲル状物の発生のような望まし
くない副反応が著しくなる。
また重合は一定の温度で実施してもよいし、温度を徐
々に変化させるかまたは段階的に変化させてもよい。
本発明の方法において、反応に要する時間は重合原料
成分の種類、重合反応の形式、反応温度などにより異な
るが、通常は10分〜100時間の範囲であり、好ましくは3
0分〜24時間の範囲で実施される。
本発明方法において重合は酸素の存在しない反応雰囲
気、例えば窒素もしくはその他の不活性ガス中で実施す
ることが望ましい。二価フエノールやクロロフエノール
類のアルカリ金属塩は、酸素の存在下で加熱すると酸化
され易く、重合反応が阻害される他、重合体の着色の原
因ともなるからである。
さらに反応性の酸素含有アニオンもしくは反応性の芳
香核塩素原子を中和し重合度を調節する目的で、そのた
めの試薬を重合反応に導入することができる。反応性の
一官能性塩素化合物として例えば塩化メチル、臭化メチ
ル、反応性の芳香族塩素化合物として例えば、4,4′−
ジクロロベンゾフエノン、4,4′−ジフルオロベンゾフ
エノン、4−クロロベンゾフエノン、4−フルオロベン
ゾフエノン、4,4′−ジクロロジフエニルスルホンまた
は4−クロロジフエニルスルホンは特に好適である。
本発明方法において、重合反応を停止させるには通常
反応物を冷却すればよい。しかしながら、重合度を正確
に制御し、反応物の粘度上昇による固化を避ける目的で
反応液が所定の粘度に達したところで不活性な溶媒で希
釈することも必要に応じて実施される。特には、反応に
使用した溶媒で希釈するのが好適である。
重合反応終了後の重合体の分離及び精製は、芳香族ポ
リエーテル系重合体についての公知の方法が適用できる
が、重合溶媒や製品重合体の性状に応じて適切な方法が
選択されねばならない。例えば目的とする重合体が不溶
で、重合溶媒が可溶である溶媒を反応混合物に加えて、
重合溶媒を溶出除去した後、濾別した固形物を水で洗浄
して無機塩類を除去し、残つた重合体を常圧または減圧
下に加熱乾燥するという工程などである。
本発明の方法で得られる高分子量の芳香族ポリエーテ
ル類は、圧縮成型、押し出し成型、射出成型等の通常の
成型加工法で成型加工し、単独で構造材、フイルム、繊
維、被覆材などに用いることができる。さらには、用途
に応じて充填剤成分を混合した複合材料としても用いら
れる。充填剤成分の代表例としてはガラス繊維、炭素繊
維、芳香族ポリアミド繊維、炭素、酸化マグネシウム、
炭酸カルシウム、硅酸カルシウム、タルク、アルミナ、
シリカなどを挙げることができ、単独あるいは二種類以
上の混合物として用いることができる。
以上のようにして成型された本発明の重合体は電気・
電子分野の機器部品、絶縁材料、電線等の被覆材料、摺
動用材料、自動車部品、航空機用材料などの広範な分野
に用いることができる。
(発明の効果) 本発明の方法は、重縮合反応に際して予め芳香族ポリ
エーテル類を存在させることによつて、従来反応性が低
いため工業的には実用されていなかったクロロベンゼノ
イド化合物を原料として使用が可能となり、高品質で高
分子量の重合体を得ることができるもので、従来の4,
4′−ジフルオロベンゾフエノンなどを原料とする方法
に比べて安価なクロロベンゼノイド化合物を利用でき工
業的、経済的に有利である。さらには、本発明の方法で
予め加えられる芳香族ポリエーテル類は、製品の芳香族
ポリエーテル類の一部を再利用することが可能であり、
それにより重合反応終了後に製品として回収できるので
原料経費を増加させない利点がある。
(実施例) 次に実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例 1 攪拌機、粉体投入器、温度計、窒素導入管及び冷却器
に接続した水分離器を備えた100ccの重合反応容器中に
4,4′−ジクロロベンゾフエノン25.36g(0.101モル)、
ヒドロキノン11.01g(0.100モル)、下記反復単位(I
X) から成り固有粘度ηinh=0.70である芳香族ポリエーテ
ルエーテルケトン2.88g(該反復単位(IX)を0.01モル
含む量に相当する)及びジフエニルスルホン55gを仕込
み、また粉体投入器内には無水炭酸カリウム15.09g(0.
107モル)を仕込んだ。冷却器の頂部に接続したフアイ
ヤストン(Firestone)・バルブを使用して反応装置を
減圧脱気し、高純度窒素で置換する操作を数回繰り返し
た。次いで、高純度窒素気流を導入管に通し始め、冷却
器頂部から放出されるように切り替えた。マントル加熱
器を使用して原料混合物を180℃に加熱して殆ど無色の
溶液となつたら、攪拌しながら粉体投入器より無水炭酸
カリウムを添加した。窒素雰囲気を維持しながら0.5時
間保つ後、昇温して該反応混合物を220〜230℃に1時間
保ち、次いで昇温して1時間270〜280℃に保持した。さ
らに昇温を続け1時間310〜320℃に保持した。得られた
非常に粘凋な反応生成物を冷却固化させ、反応容器から
取り出した。その固体塊を粉砕し、粒子径500μm以下
の粉末とした。この粉末を300〜500mlの加温したアセト
ン及び水で交互に3回ずつ抽出・洗浄することにより、
ジフエニルスルホン及び無機塩を除去した。得られた重
合体を140℃で真空乾燥し、前記の反復単位(IX)から
成るクリーム色の重合体30.3g(添加重合体分を差し引
いた収率で94.7%)を得た。
この重合体は、ジクロロ酢酸に完全に溶解し、ゲル状
物は皆無であつた。この重合体の差動走査熱量計(昇温
速度20℃/分)より求めた融点は336℃であり、固有粘
度ηinhは0.823dl/gであつた。
比較例 1 実施例1に用いた反復単位(IX)より成る芳香族ポリ
エーテルエーテルケトンを予め反応系に存在させなかっ
た以外は実施例1と同様に実施したところ の反復単位から成るクリーム色の重合体がモノマーに基
づいて98.2%の収率で得られた。
実施例1と同条件で測定した固有粘度ηinhは0.421dl
/gという低重合度であつた。この重合体の差動走査熱量
計(昇温速度20℃/分)より求めた融点は325℃であつ
た。
実施例 2〜5 実施例1に使用したと同様の反復単位(IX)より成る
芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEKと略す)につ
き、表1に示す種々の固有粘度ηinhを有するものを種
々の割合で使用し、実質的に実施例1と同様に反応を行
なつた。生成した重合体の固有粘度ηinh及び添加重合
体分を差し引いた収率を表1に示す。
実施例 6 実施例1において、ヒドロキノン及び実施例1に使用
した芳香族ポリエーテルケトンの代わりに、それぞれ4,
4′−ジヒドロキシジフェニル18.62g(0.100モル)及び
下記反復単位 から成り固有粘度ηinh=0.72である芳香族ポリエーテ
ルエーテルケトン3.64g(該反復単位を0.01モル含む量
に相当する)を用い、最終温度を340℃とする以外は、
実施例1を繰り返し、上記反復単位から成るクリーム色
の重合体39.4g(添加重合体分を差し引いた収率で98.2
%)を得た。
この重合体は、ジクロロ酢酸に完全に溶解し、ゲル状
物は皆無であり、固有粘度ηinhが1.023dl/g、差動走査
熱量計(昇温速度20℃/分)より求めた融点は385℃で
あつた。
実施例 7 実施例1において、4,4′−ジクロロベンゾフエノン
及びヒドロキノンの代わりに4−(4−クロロベンゾイ
ル)−4′−ヒドロキシジフエニルエーテル32.48g(0.
100モル)を用いる以外は、実施例1と同様に実施し、
実施例1記載の反復単位(IX)より成る芳香族ポリエー
テルエーテルケトンのクリーム色の重合体31.14g(添加
重合体分を差し引いた収率で98.0%)を得た。
この重合体は、ジクロロ酢酸に完全に溶解し、ゲル状
物は皆無であり、固有粘度ηinhが0.795dl/g、差動走査
熱量計(昇温速度20℃/分)より求めた融点は334℃で
あつた。
実施例 8 実施例1において、ヒドロキノン及び反復単位(IX)
より成る芳香族ポリエーテルエーテルケトンの代わりに
それぞれ2,7−ジヒドロキシナフタレン16.02g(0.100モ
ル)及び下記反復単位 から成り固有粘度ηinh=0.62である芳香族ポリエーテ
ルエーテルケトン3.38g(上記反復単位を0.01モル含む
量に相当する)を用い、溶媒としてジフェニルスルホン
の代わりにスルホラン80mlを使用し、最終温度を240℃
とする以外は実施例1を繰り返し、上記反復単位から成
るクリーム色の重合体36.61g(添加重合体分を差し引い
た収率で98.2%)を得た。
この重合体は、ジクロロ酢酸に完全に溶解し、ゲル状
物は皆無であり、固有粘度ηinhが0.823dl/g、差動走査
熱量計(昇温速度20℃/分)より求めた融点は249℃で
あつた。
フロントページの続き (72)発明者 阿部 崇文 新潟県新潟市太夫浜字新割182番地 三 菱瓦斯化学株式会社新潟研究所内 審査官 天野 宏樹 (56)参考文献 特開 平1−123821(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め反応系中に芳香族ポリエーテル類を存
    在させて、一般式(I) Cl−E−X (I) (式中、Xはハロゲン原子であり、Eは下記一般式(I
    V)で表される二価の残基である。)で示されるクロロ
    ベンゼノイド化合物の少なくとも一種と、二価フェノー
    ルまたはそのアルカリ金属塩の少なくとも一種および/
    または一般式(III) Cl−E−OH (III) (式中、Eは下記一般式(IV)で表される二価の残基で
    ある。)で示されるクロロフェノール類の少なくとも一
    種との混合物をアルカリ金属塩の存在下、縮合重合させ
    ることを特徴とする熱可塑性芳香族ポリエーテルの製造
    方法。 ここで、上記Eは下記一般式(IV) −Ar−(Y−Ar′)n− (IV) (式中、ArおよびAr′は二価の芳香族残基を示し、独立
    的に一般式(V)、(VI)もしくは(VII) (式中、R1〜R5はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1
    〜8の炭化水素基または炭素数1〜8のふつ素化炭化水
    素基から選択され、互いに同一又は異なっていてもよ
    く、Zはカルボニル基、スルホン基、酸素原子もしくは
    直接結合であり、そしてa〜cは0〜4、d及びeは0
    〜3の数数で同一でも異なっていてもよい。)から選択
    され、Yはカルボニル基、スルホン基、−CO−CO−、二
    価の炭化水素基、二価のふつ素化炭化水素基、酸素原
    子、硫黄原子もしくは直接結合であり、そしてnは0か
    ら4までの整数である。)で表される。
  2. 【請求項2】予め反応系に存在させる芳香族ポリエーテ
    ル類が下記反復単位(VIII) −E−O−E′−O− (VIII) (式中、E及びE′は前記一般式(IV)で表される二価
    の残基である。)で表される芳香族ポリエーテル類であ
    る特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】予め反応系に存在させる芳香族ポリエーテ
    ル類が0.1乃至2.0の固有粘度ηinhを有する芳香族ポリ
    エーテル類である特許請求の範囲第1項記載の方法。
  4. 【請求項4】二価フェノールが下記一般式(II) HO−E−OH (II) (式中、Eは前記一般式(IV)で表される二価の残基で
    ある。)で表される芳香族ポリエーテル類である特許請
    求の範囲第1項記載の方法。
  5. 【請求項5】アルカリ金属塩がアルカリ金属の炭酸塩ま
    たは重炭酸塩の少なくとも一種である特許請求の範囲第
    1項記載の方法。
  6. 【請求項6】アルカリ金属の炭酸塩または重炭酸塩は、
    使用される二価フェノール及びクロロフェノール類のフ
    ェノール性水酸基の当量以上のアルカリ金属原子が存在
    するような量で使用される特許請求の範囲第5項記載の
    方法。
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