JP2006111665A - ポリアリーレン系ポリマーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ジハロゲン化合物と、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物とを、アルカリ金属化合物の存在下、有機極性溶媒中で重縮合させることによってポリアリーレン系ポリマーを製造する方法において、有機極性溶媒として、水と混和することができ、常温で液体であり、沸点が200℃以上である溶媒を用い、該有機極性溶媒の沸点又は沸点近傍の温度で不活性ガスの気流下、副生する水分を、該有機極性溶媒と共に反応系外に取り除いて重縮合反応させることを特徴とするポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
Description
(2)前記有機極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドンであることを特徴とする前記(1)に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
(3)前記の芳香族ジハロゲン化合物と二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物の少なくとも一種が、イオン性基を有していることを特徴とする前記の(1)又は(2)に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
(4)前記イオン性基が、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基、ホスホン酸基の塩、リン酸基、リン酸基の塩からなる群より選ばれる1種以上の基であることを特徴とする前記の(3)に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
(5)前記芳香族ジハロゲン化物がイオン性基を有していることを特徴とする前記の(4)に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法
(6)前記芳香族ジハロゲン化物が、下記化学式1で表される構造の化合物を含むことを特徴とする前記の(5)に記載のポリアリーレン系ポリマー製造方法。
(化学式1において、XはF、Cl、Br、Iのハロゲン元素のいずれかを、Yは、スルホニル基又はカルボニル基のいずれかを、Zは、スルホン酸基及びその塩、ホスホン酸基その塩、リン酸基及びその塩、アルキルスルホン酸基及びその塩からなる群より選ばれる基を表す。)
(7)前記イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化物又は二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物が、結合水を含む状態で重合に用いることを特徴とする前記の(3)〜(6)のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
(8)反応系外に除去された有機極性溶媒の量が、仕込み量に対して1〜30質量%の範囲であることを特徴とする前記の(1)〜(7)のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
(9)反応系外に除去された水の量が、理論量の50質量%以上であることを特徴とする前記の(1)〜(8)のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
そのような溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。中でもN−メチル−2−ピロリドンは高純度のものを安価に入手することができ、毒性や危険性も少なく取り扱いやすいため好ましい。溶媒の純度は98%以上であることが好ましく、99%以上であることがより好ましく、99.9%以上であることがさらに好ましい。また、水分率は0.1%以下であることが好ましい。
本発明では、不活性ガスの気流下、有機極性溶媒の沸点又は沸点近傍の温度に加熱して攪拌し、共沸溶媒を用いることなく、有機極性溶媒と副生する水とを同時に反応系外に除去することが特徴である。
なお、アルカリ金属化合物が水酸化物の場合は、水以外の副生物としてアルカリ金属塩が、また、炭酸塩の場合は、水以外の副生物として炭酸ガス、アルカリ金属塩が副生する。
すなわち、溶液をガラス板などの基体上にキャスティングし、加熱や非溶媒中への浸漬などによって溶媒を除去してフィルムを得た後、残留溶媒や残留塩などの不純物を水洗によって除去する方法などの公知の方法を採用することができる。また、イオン性基が塩型のポリマーを用いて製膜した場合には、前記の処理方法に加えて、必要に応じて酸による処理を行ってイオン性基を塩型から酸型に変換し、残留溶媒や残留遊離酸を水洗で除去する方法を採用することができる。
ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/c)で評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
水を含む有機極性溶媒約10μLをマイクロシリンジに取り、平沼製作所製水分率測定装置AQ−7を用いて水分率を測定した。
3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(略号:S−DCDPS)は2.8%の結合水を有していたため、重合の前に120℃で15時間減圧乾燥して結合水を取り除いた。乾燥後のS−DCDPSは窒素雰囲気下で保管した。窒素導入管、攪拌翼、温度検出端、コンデンサー、電気ヒータージャケットを取り付けたチタン製密閉容器(内容積12L)に、S−DCDPS683.0g(1.390mol)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)615.0g(3.575mol)、4,4’−ビフェノール(略号:BP)924.6g(4.965mol)、炭酸カリウム789.2g(5.710mol)、N−メチル−2−ピロリドン(略号:NMP)5581.5gを入れて、8L/分の流量で窒素を流し、攪拌しながらヒーター温度を220℃に設定して加熱を開始した。コンデンサーには約25℃の水を通して冷却した。反応容器からコンデンサーまでの約1mの配管はグラスウールで保温を施した。加熱を開始して30分後、溶液の温度は150℃に達し、激しく発泡して液面が上昇した。加熱を開始して1時間後、反応液の温度が190℃付近に達したところで、コンデンサーからNMPと水の溜出が始まった。このときのコンデンサー入り口部分の温度は約150℃であった。加熱を開始して2時間30分後に、反応溶液の温度が203℃に達し、そのまま反応を続けた。反応を開始して8時間後、ヒーターを停止し、容器を冷却して反応を停止させた。また、同時にコンデンサーからのNMPと水の除去も停止した。反応溶液は攪拌しながら放冷し、温度が30℃になったところで、溶液を取り出した。褐色で粘ちょうな溶液が得られた。重合溶液はガラス板に薄く延ばし、水に浸漬して1日放置しポリマーを凝固させた。得られたポリマー膜は数回新しい水に浸漬した後、沸騰水中で1時間洗浄して残留しているNMPを除去した後、120℃で乾燥した。得られたポリマーについて対数粘度を測定したところ、1.76dL/gであった。反応系外に除去されたNMPと水の混合物の総質量は600.5gであった。この混合物の水分率は13.6%だったことから、抜き出された水は81.4g、NMPは519.1gであると求められた。生成水の理論量はBP1モルあたり1モルの水なので、89.5gと計算された。これより、水分の除去率は91%、NMPの除去率は9.3%とそれぞれ求められた。重合結果について、表1にまとめた。
S−DCDPSとDCBNのモル比と重合時間を変更して重合を行った。反応系外へのNMPと水の除去は8時間で停止し、以降はすべて反応系内に戻すようにした。その他は実施例1と同様にした。その結果について、表1に示した。
減圧乾燥したS−DCDPSの代わりに、減圧乾燥していないS−DCDPS(水分率2.8質量%)702.7g用いた他は、実施例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
DCBNの代わりに4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(略号:DCDPS)を用い、S−DCDPSとDCDPSのモル比を変更した他は実施例5と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
BPの代わりに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(略号:BPF)を用いた他は、実施例7と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
窒素の流量を4L/分にした他は実施例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
コンデンサーからのNMPと水の除去を、反応開始後2時間で止めて、その後は還流して反応を行った他は実施例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
実施例7におけるBPの代わりに、4,4’―チオビスベンゼンチオール(略号:TBT) 1243.3g(4.965mol)を用い、S−DCDPSとDCDPSのモル比を変更した他は、実施例7と同様にして重合を行った。重合溶液の温度が約130℃付近から発泡が起こりだした。重合結果について、表1に示した。
窒素導入管、攪拌翼、温度検出端、コンデンサー、電気ヒータージャケットを取り付けたチタン製密閉容器(内容積12L)に、前もって120℃で15時間減圧乾燥したS−DCDPS683.0g(1.390mol)、2,6−ジクロロベンゾニトリルDCBN615.0g(3.575mol)、BP924.6g(4.965mol)、炭酸カリウム789.2g(5.710mol)、NMP5581.5g、トルエン1860.5gを入れて、8L/分の流量で窒素を流し、攪拌しながらヒーター温度を160℃に設定して加熱を開始した。コンデンサーには約20℃の水を通して冷却した。加熱開始後、約40分後にヒーター温度が160℃に達した。コンデンサーから溜出してくるトルエンと水は再び反応系に戻して、4時間還流させた。その後、溜出してくるトルエン及び水を反応系内に戻さずに、反応系外に取り出すようにした。反応開始後、5時間30分後、トルエンが溜出しなくなったので、コンデンサーから溜出した溶媒が反応系内に還流するようにし、ヒーター温度を220℃に設定して、さらに昇温させた。反応を開始して7時間後、溶液温度が201℃に達し、そのまま8時間の間、反応を続けた。その後、ヒーターを停止し、容器を冷却して反応を停止させた。実施例1と同様にして、得られたポリマーについて対数粘度を測定したところ、0.75dL/gであった。重合結果について、表1にまとめた。
減圧乾燥したS−DCDPSの代わりに、減圧乾燥していないS−DCDPS(水分率2.8質量%)702.7g用いた他は、比較例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
NMPの代わりに、N,N−ジメチルアセトアミドを用い、ヒーター温度を180℃に設定して、165℃で反応させた他は、実施例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
予め120℃で15時間乾燥したモレキュラーシーブ3−Aを500gセットしておいたコンデンサーを用い、溜出するNMPを反応系外に取り出さずにすべて還流させて反応させた他は、実施例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
窒素ガスを全く流さずにした他は、実施例1と同様にして重合を行った。得られたポリマー溶液は黒褐色に着色しており、再沈したポリマーも濃い褐色であった。重合結果について、表1に示した。
S−DCDPSとDCBNのモル比と重合時間を変更した他は、比較例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
また、従来の方法では高重合度にすることが容易ではなかった、スルホン酸基のようなイオン性基を有するポリマーをも、簡便に高重合度で製造することができ、かかるポリマーは、特に燃料電池用のプロトン交換膜の材料として好適に用いることができ、産業上寄与すること大である。
2:攪拌翼
3:ジャケットヒーター
4:反応容器
5:窒素導入管
6:溜出溶媒溜め
7:コンデンサー
8:排気口
9:重合溶液抜き出しバルブ
10:還流―溜出の切り替えバルブ
11:流量計
Claims (9)
- 芳香族ジハロゲン化合物と、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物とを、アルカリ金属化合物の存在下、有機極性溶媒中で重縮合させることによってポリアリーレン系ポリマーを製造する方法において、有機極性溶媒として、水と混和することができ、常温で液体であり、沸点が200℃以上である溶媒を用い、該有機極性溶媒の沸点又は沸点近傍の温度で不活性ガスの気流下、副生する水分を、該有機極性溶媒と共に反応系外に取り除いて重縮合反応させることを特徴とするポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
- 前記有機極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドンであることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
- 前記の芳香族ジハロゲン化合物と二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物の少なくとも一種が、イオン性基を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
- 前記イオン性基が、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基、ホスホン酸基の塩、リン酸基、リン酸基の塩からなる群より選ばれる1種以上の基であることを特徴とする請求項3に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
- 前記芳香族ジハロゲン化物がイオン性基を有していることを特徴とする請求項4に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法
- 前記イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化物又は二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物が、結合水を含む状態で重合に用いることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
- 反応系外に除去された有機極性溶媒の量が、仕込み量に対して1〜30質量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
- 反応系外に除去された水の量が、理論量の50質量%以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
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