JP2006111665A - ポリアリーレン系ポリマーの製造方法 - Google Patents

ポリアリーレン系ポリマーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリアリーレン系ポリマーを有機溶媒中で重縮合する製造方法において、従来のトルエン、ベンゼンなどの毒性や危険性の高い共沸溶媒を使用せずに、安全で簡便に高分子量のポリマーを得ることができ、さらには、イオン性基を有し結合水を持つモノマーを用いる場合でも高分子量のポリマーを得ることができる方法を提供する。
【解決手段】芳香族ジハロゲン化合物と、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物とを、アルカリ金属化合物の存在下、有機極性溶媒中で重縮合させることによってポリアリーレン系ポリマーを製造する方法において、有機極性溶媒として、水と混和することができ、常温で液体であり、沸点が200℃以上である溶媒を用い、該有機極性溶媒の沸点又は沸点近傍の温度で不活性ガスの気流下、副生する水分を、該有機極性溶媒と共に反応系外に取り除いて重縮合反応させることを特徴とするポリアリーレン系ポリマーの製造方法。

Description

本発明は、ポリアリーレンエーテル系又はポリアリーレンスルフィド系などのポリアリーレン系ポリマーの製造方法に関する。更に詳しくは、芳香族ジハロゲン化合物と二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物とをモノマーとし、有機溶媒中で重縮合させることによってポリマーを製造する方法に関する。
アルカリ金属化合物の存在下、芳香族ジハロゲン化合物と、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物とを、有機極性溶媒中で重縮合することによって、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリスルフィドスルホンなどのポリマーを製造する方法は良く知られている。この重縮合反応において副生する水は、ポリマーを加水分解するため、反応系から取り除く必要がある。通常、水を除去するには、トルエン、ベンゼンなどの溶媒と共沸して除去する方法が取られている。しかしながら、これらの共沸溶媒には毒性が高かったり、引火しやすい性質を持つものが多かったりするため、その対策のために設備が複雑となるという欠点がある。
副生する水を取り除くために、モレキュラーシーブなどの乾燥剤をコンデンサーに取り付けて重合を行うことも行われている(例えば、特許文献1参照)。しかしながらこの方法では水分の除去はモレキュラーシーブへの水の吸着に依存するため、場合によっては水の脱着なども起こり、水分を充分に除去することは困難であった。
さらに、近年注目されている燃料電池のプロトン交換膜用のポリマーとして、スルホン酸基などのイオン性基を有するポリエーテルスルホンなどが、共沸脱水を用いる方法で製造されている(例えば、特許文献2又は3参照)。しかしながら、スルホン酸基などのイオン性基を有したモノマーを用いる場合、イオン性基の極性によって水分の除去が阻害され、共沸脱水を長時間行う必要があった。また、水分が十分に除去できないため、重合速度が遅く、製造効率がよくないという問題を有していた。
また、溶媒としてジフェニルスルホンを用いて240℃以上の高温で反応させることで、高分子量のポリエーテルスルホンを製造する方法も知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながらジフェニルスルホンは常温で固体であるため、生成したポリマーを含む組成物が固体なので、後処理のために粉砕が必要になり、取り扱いが煩雑になるという問題がある。また、イオン性基を有するモノマーについては、上記方法と同様の問題があった。
特開平5−255505号公報 特開平5−1149号公報 米国特許出願公開第2002/0091225号明細書 特開2004−107606号公報
本発明は従来技術の課題を背景になされたものであって、芳香族ジハロゲン化合物と、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物とを、アルカリ金属化合物の存在下、有機溶媒中で重縮合することによってポリマーを製造する方法において、従来のトルエン、ベンゼンなどの毒性や危険性の高い共沸溶媒を使用せずに、安全で簡便に高分子量のポリマーが得られ、さらにイオン性基を有して結合水を持つようなモノマーを用いる場合でも、簡便に高分量のポリアリーレン系ポリマーを得る方法を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、ついに本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の構成を採用する。
(1)芳香族ジハロゲン化合物と、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物とを、アルカリ金属化合物の存在下、有機極性溶媒中で重縮合させることによってポリアリーレン系ポリマーを製造する方法において、有機極性溶媒として、水と混和することができ、常温で液体であり、沸点が200℃以上である溶媒を用い、該有機極性溶媒の沸点又は沸点近傍の温度で不活性ガスの気流下、副生する水分を、該有機極性溶媒と共に反応系外に取り除いて重縮合反応させることを特徴とするポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
(2)前記有機極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドンであることを特徴とする前記(1)に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
(3)前記の芳香族ジハロゲン化合物と二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物の少なくとも一種が、イオン性基を有していることを特徴とする前記の(1)又は(2)に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
(4)前記イオン性基が、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基、ホスホン酸基の塩、リン酸基、リン酸基の塩からなる群より選ばれる1種以上の基であることを特徴とする前記の(3)に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
(5)前記芳香族ジハロゲン化物がイオン性基を有していることを特徴とする前記の(4)に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法
(6)前記芳香族ジハロゲン化物が、下記化学式1で表される構造の化合物を含むことを特徴とする前記の(5)に記載のポリアリーレン系ポリマー製造方法。
Figure 2006111665
(化学式1)
(化学式1において、XはF、Cl、Br、Iのハロゲン元素のいずれかを、Yは、スルホニル基又はカルボニル基のいずれかを、Zは、スルホン酸基及びその塩、ホスホン酸基その塩、リン酸基及びその塩、アルキルスルホン酸基及びその塩からなる群より選ばれる基を表す。)
(7)前記イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化物又は二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物が、結合水を含む状態で重合に用いることを特徴とする前記の(3)〜(6)のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
(8)反応系外に除去された有機極性溶媒の量が、仕込み量に対して1〜30質量%の範囲であることを特徴とする前記の(1)〜(7)のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
(9)反応系外に除去された水の量が、理論量の50質量%以上であることを特徴とする前記の(1)〜(8)のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
本発明の方法によれば、芳香族ジハロゲン化合物と、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物とを、アルカリ金属化合物の存在下、有機極性溶媒中で重縮合させることによって、高重合度のポリアリーレン系ポリマーを短時間で簡便に得ることが可能である。特にイオン性基を有して結合水を持つようなモノマーを用いる場合でも、短時間で簡便に高重合度のポリマーを得ることができる。また、従来のトルエン、ベンゼンなどの毒性や危険性の高い共沸溶媒を使用しないため、安全に製造することができる。さらに、反応終了後は、ポリマー溶液として得られるため、後処理のための粉砕が不要で取り扱いやすく、精製なども簡便に行うことができる利点がある。
本発明におけるポリアリーレン系ポリマーとは、芳香族ジハロゲン化合物、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物をモノマーとし、アルカリ金属化合物の存在下、有機極性溶媒中で重縮合するポリアリーレンエーテル系ポリマー又はポリアリーレンスルフィド系ポリマーであり、以下、本発明のポリアリーレン系ポリマーの製造方法について詳細に説明する。
本発明における芳香族ジハロゲン化合物としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロジフェニルホスフィンオキシド、4,4’−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ビフェニル、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジクロロ−1−トリフルオロメチルベンゼン、2,4−ジクロロ−1−トリフルオロメチルベンゼン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロジフェニルホスフィンオキシド、4,4’−ビス(4−フルオロフェニルスルホニル)ビフェニル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロ−1−トリフルオロメチルベンゼン、2,4−ジフルオロ1−トリフルオロメチルベンゼンを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。中でも、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンが好ましい。
本発明における二価フェノール化合物、二価チオフェノール化合物としては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−メルカプトフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−メルカプトシフェニル)フルオレン、4,4’−ビフェノール、4,4’−ジメルカプトビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ハイドロキノン、レゾルシン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、4,4’−チオビスベンゼンチオール、4,4’−チオジフェノール、3−メチル−4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、1,3−ビス(4−ヒドロキシ)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ)アダマンタン、ナフタレンビスフェノール類を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。中でも4,4’−ビフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが好ましい。
これらの、芳香族ジハロゲン化合物と二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物は、それぞれ1種類だけでなく、数種類を混合して用いてもよい。また、イオン性基を有していてもよい。イオン性基とは、イオン結合で結合した部分を有する基を意味し、例えば、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基、ホスホン酸基の塩、リン酸基、リン酸基の塩など酸性基を挙げることができるが、その他の公知の基であってもよい。
上記のイオン性基は、モノマーのベンゼン環に直接結合していてもよいし、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、ベンジル基などを介して結合していてもよい。イオン性基は、芳香族ジハロゲン化合物と、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物のいずれに導入されていてもよいが、芳香族ジハロゲン化合物に導入されていると、反応性の低下が少なくて済むため、好ましい。二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物にイオン性基が導入されていてもよいが、イオン性基が上記のような酸性基であると、イオン性基の電子吸引性によって、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物の反応性を低下させるので好ましくない。二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物にイオン性基を導入する場合には、水酸基又はメルカプト基に対してメタ位の位置に導入されていることが好ましい。
イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化合物を用いると、燃料電池のプロトン交換膜用ポリマーを製造するのに好適である。イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化合物としては以下のような化合物を挙げることができる。
例えば、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、及びそれらのスルホン酸基が1価カチオン種との塩になったもの等が挙げられる。1価カチオン種としては、ナトリウム、カリウム、リチウムや他の金属種や各種アミン類等を挙げることができ、ナトリウム、カリウムなどが好ましいが、これらに限定されるものではない。好ましい例として、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを挙げることができる。
イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化合物と併用するのに好適なイオン性基を含まない芳香族ジハロゲン化合物としては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンが好ましい。
イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化合物が上記の場合の二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物としては、4,4’−ビフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが好ましい。
イオン性基を含む二価フェノール化合物及び二価チオフェノール化合物としては、上記の二価フェノール化合物及び二価チオフェノール化合物のスルホン化物、アルキルスルホン化物、ホスホン化物、リン酸化物、及びこれらの塩を用いることができる。例えば、ハイドロキノンスルホン酸モノカリウム塩、3,7−ジスルホン酸ナトリウム−2,6−ジヒドロキシナフタレンなどを挙げることができるが、これらの化合物に限定することなく、公知の任意の化合物を用いることができる。
一般にイオン性基を含む化合物はイオン性基を含まない化合物よりも反応性が低い。この原因としては、イオン性基の立体障害、イオン性基に結合した水、イオン性基の極性による脱水の阻害などがあり、イオン性基を含む化合物が二価フェノール化合物又は二価チオフェノールの場合には、イオン性基の電子吸引性による反応性の低下も起こる。そのためイオン性基は、芳香族ジハロゲン化合物に導入されていることが好ましい。
ポリマー中のイオン性基量は、イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化合物とイオン性基を含まない芳香族ジハロゲン化合物のモル比やイオン性基を含む二価フェノール化合物及び二価チオフェノール化合物とイオン性基を含まない二価フェノール化合物及び二価チオフェノール化合物のモル比などによって調節することができる。イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化合物の割合が10〜80モル%の間であると、燃料電池用プロトン交換膜に適したポリマーが得られる。
本発明で用いるアルカリ金属化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウムの化合物を挙げることができ、水酸化物、炭酸塩などを挙げることができる。中でも炭酸塩が重縮合反応のさせ易さの点で好ましく、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが好ましい化合物の例として挙げられる。これらのアルカリ金属化合物は、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物に対して、アルカリ金属原子と、水酸基又はメルカプト基に対して等モルから過剰に存在することが好ましい。水酸基又はメルカプト基に対する好ましいモル比は1.0〜1.2である。その他にも、二価フェノール化合物や二価フェノール化合物を活性なフェノキシド構造になしうる塩基性化合物であれば、これらに限定されず使用することができる。
本発明における重縮合反応溶媒である有機極性溶媒としては、水と混和することができ、常温で液体であり、沸点が200℃以上の溶媒である。
そのような溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。中でもN−メチル−2−ピロリドンは高純度のものを安価に入手することができ、毒性や危険性も少なく取り扱いやすいため好ましい。溶媒の純度は98%以上であることが好ましく、99%以上であることがより好ましく、99.9%以上であることがさらに好ましい。また、水分率は0.1%以下であることが好ましい。
使用する有機極性溶媒の量は、生成するポリマーに対して1.5〜10倍の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.8〜4倍の範囲である。有機極性溶媒の量が多すぎると反応速度が低下する場合や、反応終了後のポリマーの回収が困難になる場合があり好ましくない。有機極性溶媒の量が少なすぎると、反応系の粘度が異常に大きくなって取り扱いが困難になる場合があり好ましくない。
重縮合反応溶液の温度は、用いる有機極性溶媒の沸点又は沸点近傍の温度であり、有機極性溶媒の沸点に対して−10℃〜±0℃の範囲であることが好ましく、−5℃〜±0℃の範囲であることがより好ましい。例えば、N−メチル−2−ピロリドンを用いる場合、反応溶液の温度は193〜203℃の範囲にあることが好ましく、198〜203℃の範囲にあることがより好ましく、202〜203℃の範囲にあることがさらに好ましい。
反応容器の加熱方法は特に限定されないが、熱媒やヒーターなど公知の任意の方法によって加熱することができ、反応容器は200℃以上に加熱して行うことが好ましい。加熱温度は用いる有機極性溶媒の沸点以上で行うことが好ましく、沸点に対して+5〜+50℃の範囲であることがより好ましく、+10〜+30℃の範囲であることがさらに好ましい。例えば、N−メチル−2−ピロリドンの沸点は203℃であるため、203℃度以上で加熱することが好ましく、210℃以上で加熱することがより好ましく、220〜240℃で加熱することがさらに好ましい。加熱温度が高くなりすぎると、反応容器の器壁へのポリマーの固着や、ポリマーの架橋、分岐、分解などの副反応が起こりやすくなるため、好ましくない。
重合時間は、用いるモノマーによって様々であるが、一般的にイオン性基を含むモノマーの割合が多くなると、高重合度のポリマーを得るためにはより長い時間を要する傾向がある。長時間重合する場合に、連続して行うことが好ましいが、一旦温度を下げて反応を停止させた後、再び加熱して反応を続けることもできる。温度を下げている間、不活性ガスを流して、反応容器内を不活性ガス雰囲気に保つことが好ましい。
本発明のポリアリーレン系ポリマーの製造方法において、アルカリ金属化合物の存在下、芳香族ジハロゲン化合物と二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物とを有機極性溶媒中で重縮合すると、副生物として水が生成して副反応による重合性の低下の原因となるので、水を反応系外に除去する必要がある。
本発明では、不活性ガスの気流下、有機極性溶媒の沸点又は沸点近傍の温度に加熱して攪拌し、共沸溶媒を用いることなく、有機極性溶媒と副生する水とを同時に反応系外に除去することが特徴である。
なお、アルカリ金属化合物が水酸化物の場合は、水以外の副生物としてアルカリ金属塩が、また、炭酸塩の場合は、水以外の副生物として炭酸ガス、アルカリ金属塩が副生する。
本発明における反応系とは、上記の化合物を反応させる有機溶媒の溶液を有する反応容器内を意味し、コンデンサーやそれから溜出する溶媒を溜める部分は反応系外である。コンデンサーから溜出する溶媒は、連続した配管で接続された溶媒溜めに溜めてから1〜数回に分けて抜出しても良いし、連続的に外部に抜出しても良い。いずれにしても、水分や酸素などを含む外気が混入するのを防ぐようにすることが好ましい。
本発明の製造方法においては、反応性の低いイオン性基を含む化合物をモノマーとして用いても、高分子量のポリマーを得ることができる。また、イオン性基を有するモノマーが結合水を有する場合、重合の前に乾燥して結合水を除去しておくことが好ましいが、本発明の方法によれば、結合水を有した状態でも高重合度のポリマーを得ることができる。モノマーの乾燥は、公知の方法を用いることができ、特に限定されることはないが、加熱や減圧乾燥によってなされることが好ましい。乾燥温度は100〜200℃の間であることが好ましい。結合水を含むイオン性基含有モノマーを用いる場合には、前もってモノマー中の水分量を測定しておき、それに基づいて仕込み量を計算する必要がある。
本発明において、反応系内の水は有機極性溶媒と共に加熱によって気体もしくはミストとなって不活性ガスの気流によって反応系外に搬送され、コンデンサーで冷却して回収することができる。不活性ガスとしては、反応に影響を及ぼさないものであれば公知のガスを使用することができるが、窒素、アルゴンが好ましい。また使用する不活性ガスは、水分の含有量が少ないことが好ましい。また、酸素、二酸化窒素などの反応性のガスは、重合性を低下させる原因となるため、不活性ガスに混入していないことが好ましい。
本発明において、反応系外に除去される有機極性溶媒の量は、仕込み量に対して1〜30質量%の範囲であることが好ましく、3〜20質量%の範囲であるとより好ましい。除去量が多くなりすぎると、反応系の粘度が異常に大きくなって取り扱いが困難になる場合があり好ましくない。除去量が少なすぎると、水分が充分に除去できず反応性が低下する場合があり好ましくない。
有機極性溶媒の除去率は、有機極性溶媒の仕込み量に対する、反応系外に除去した有機極性溶媒の量の質量%で表される。有機極性溶媒の除去率は、不活性ガスの流量、コンデンサーの温度や大きさ及びその取り付け位置、除去時間などによって調整して、上記の範囲内に入るようにすることが好ましい。不活性ガスの流量を大きくしたり、コンデンサーの温度の入り口温度を高くしたりすると、除去率を大きくすることができる。不活性ガスの流量は、装置の構造や大きさ、モノマーの組成などによって、最適な量は異なるが、0.1〜100L/分の間であることが好ましい。不活性ガスを全く流さないと外部からの空気の混入によるモノマーの酸化劣化などによって重合度が上がらない場合があり好ましくない。コンデンサーの温度は低すぎると溜出量が多くなりすぎてしまう場合があり、高すぎると水の除去率が低下するという問題が起こりやすくなる。コンデンサーの入り口温度は100〜200℃の範囲にあることが好ましい。また、コンデンサーの冷却部の温度は0〜100℃の範囲にあることが好ましく、20〜50℃の範囲であることがより好ましい。
反応系からコンデンサーまでの距離が長いと途中で凝結が起こり、除去量が少なくなる傾向にある。逆に短すぎると除去が急激に起こり量の調節が困難になる。反応系からコンデンサーまでの経路に何らかの保温を施してやると、除去量を大きくすることができる。保温は断熱材や各種ヒーターを用いることができる。保温の温度は20〜200℃の範囲にあることが好ましい。
水の除去率は、反応系内の水の理論量に対する、反応系外に除去した水の量の質量%で表すことができる。反応系外に除去した水の量は、反応系外に除去したN−メチル−2−ピロリドンと水の混合物の質量と水分率を測定することで求めることができる。水分率は公知の任意の方法で測定することができ、例えばカールフィッシャー法を挙げることができる。水の除去率は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であるとより好ましく、80〜100質量%であることがさらに好ましい。水の理論量とは、モノマーの仕込み量から計算できる反応による生成水の量と、モノマーの結合水などで反応系内に最初から存在する水の量の合計を表す。水の除去率が50%より小さいと、反応速度が低下し、高分子量のポリマーを得ることが困難になる。水の除去率は、有機極性溶媒と同様に、不活性ガスの流量、コンデンサーの温度や大きさ及びその取り付け位置、除去時間などによって調整することができる。系外に除去した水の量が所定の量になったところで、有機極性溶媒を反応系外に除去するのを停止し、還流して反応系内に戻すようにしてもよい。また、反応の間、常に有機極性溶媒と水を反応系外に除去し続けてもよい。
ポリマーの重合度は公知の任意の方法を用いて測定することができる。例えば、一般にポリマーの重合度は、時間と共に増大していくため、所定の重合度に達した時点で重合を停止しておくことで所望の重合度のポリマーを得ることができる。重合度は、重合溶液の粘度やGPC(サイズ排除クロマトグラフィー)によって求めることができる。粘度はサンプリングした溶液をオフラインで測定してもよいし、インライン粘度計で測定したり、攪拌翼にかかるトルクをモーターの電流値として検出して粘度に換算したりして、求めることができる。また、芳香族ジハロゲン化合物と、二価フェノール化合物及び/又は二価チオフェノール化合物とのモル比や、末端停止剤の添加などによって重合度を制御することもできる。末端停止剤としては、芳香族モノハロゲン化合物や一価フェノール化合物及び/又は一価チオフェノール化合物を用いることができる。末端停止剤は、重合の最初から加えておいてもよいし、反応の途中で加えてもよい。
ポリマーの重合度を測定する手段の一つに希薄溶液の対数粘度を測定する方法がある。精製したポリマーを、0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、ln[ta/tb]/cで表される対数粘度(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)が0.8dL/g以下であると、ポリマーの成型物の機械特性が低下するなどして好ましくない。0.8dL/gであると好ましく、1.5dL/g以上であるとより好ましく、本発明の方法を用いるとポリマー対数粘度を2.0dL/g以上にすることも可能であり、さらに優れた機械特性を有するポリマーも得ることができる。
得られたポリマーは公知の任意の方法で精製することができる。ポリマー溶液を、ポリマーを溶解せず有機極性溶媒と混和する溶媒に滴下、分散して再沈することが一般的である。再沈に用いる溶媒としては、副生する無機塩も同時に除去できるため水もしくは他の有機溶媒と水の混合物を用いることが好ましい。また、ポリマー溶液から濾過によって無機塩を除去した後、水以外の溶媒で再沈することもできる。この場合の再沈溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチルなどを用いることができる。ポリマー溶液の粘度が高い場合には、ポリマーを溶解できる溶媒で希釈することもできる。希釈に用いることのできる溶媒としてはN−メチル−2−ピロリドンの他に、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを用いることができる。
プロトン交換膜を製造する場合は、再沈したポリマーを適当な溶媒に溶解した溶液や重合溶液を濾過して得た溶液などを用いてキャスティング法などで製膜することができる。
すなわち、溶液をガラス板などの基体上にキャスティングし、加熱や非溶媒中への浸漬などによって溶媒を除去してフィルムを得た後、残留溶媒や残留塩などの不純物を水洗によって除去する方法などの公知の方法を採用することができる。また、イオン性基が塩型のポリマーを用いて製膜した場合には、前記の処理方法に加えて、必要に応じて酸による処理を行ってイオン性基を塩型から酸型に変換し、残留溶媒や残留遊離酸を水洗で除去する方法を採用することができる。
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、各種測定は次のように行った。
・溶液粘度:
ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/c)で評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
・水分率の測定:
水を含む有機極性溶媒約10μLをマイクロシリンジに取り、平沼製作所製水分率測定装置AQ−7を用いて水分率を測定した。
実施例1
3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(略号:S−DCDPS)は2.8%の結合水を有していたため、重合の前に120℃で15時間減圧乾燥して結合水を取り除いた。乾燥後のS−DCDPSは窒素雰囲気下で保管した。窒素導入管、攪拌翼、温度検出端、コンデンサー、電気ヒータージャケットを取り付けたチタン製密閉容器(内容積12L)に、S−DCDPS683.0g(1.390mol)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)615.0g(3.575mol)、4,4’−ビフェノール(略号:BP)924.6g(4.965mol)、炭酸カリウム789.2g(5.710mol)、N−メチル−2−ピロリドン(略号:NMP)5581.5gを入れて、8L/分の流量で窒素を流し、攪拌しながらヒーター温度を220℃に設定して加熱を開始した。コンデンサーには約25℃の水を通して冷却した。反応容器からコンデンサーまでの約1mの配管はグラスウールで保温を施した。加熱を開始して30分後、溶液の温度は150℃に達し、激しく発泡して液面が上昇した。加熱を開始して1時間後、反応液の温度が190℃付近に達したところで、コンデンサーからNMPと水の溜出が始まった。このときのコンデンサー入り口部分の温度は約150℃であった。加熱を開始して2時間30分後に、反応溶液の温度が203℃に達し、そのまま反応を続けた。反応を開始して8時間後、ヒーターを停止し、容器を冷却して反応を停止させた。また、同時にコンデンサーからのNMPと水の除去も停止した。反応溶液は攪拌しながら放冷し、温度が30℃になったところで、溶液を取り出した。褐色で粘ちょうな溶液が得られた。重合溶液はガラス板に薄く延ばし、水に浸漬して1日放置しポリマーを凝固させた。得られたポリマー膜は数回新しい水に浸漬した後、沸騰水中で1時間洗浄して残留しているNMPを除去した後、120℃で乾燥した。得られたポリマーについて対数粘度を測定したところ、1.76dL/gであった。反応系外に除去されたNMPと水の混合物の総質量は600.5gであった。この混合物の水分率は13.6%だったことから、抜き出された水は81.4g、NMPは519.1gであると求められた。生成水の理論量はBP1モルあたり1モルの水なので、89.5gと計算された。これより、水分の除去率は91%、NMPの除去率は9.3%とそれぞれ求められた。重合結果について、表1にまとめた。
実施例2〜5
S−DCDPSとDCBNのモル比と重合時間を変更して重合を行った。反応系外へのNMPと水の除去は8時間で停止し、以降はすべて反応系内に戻すようにした。その他は実施例1と同様にした。その結果について、表1に示した。
実施例6
減圧乾燥したS−DCDPSの代わりに、減圧乾燥していないS−DCDPS(水分率2.8質量%)702.7g用いた他は、実施例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
実施例7、8
DCBNの代わりに4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(略号:DCDPS)を用い、S−DCDPSとDCDPSのモル比を変更した他は実施例5と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
実施例9
BPの代わりに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(略号:BPF)を用いた他は、実施例7と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
実施例10
窒素の流量を4L/分にした他は実施例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
実施例11
コンデンサーからのNMPと水の除去を、反応開始後2時間で止めて、その後は還流して反応を行った他は実施例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
実施例12
実施例7におけるBPの代わりに、4,4’―チオビスベンゼンチオール(略号:TBT) 1243.3g(4.965mol)を用い、S−DCDPSとDCDPSのモル比を変更した他は、実施例7と同様にして重合を行った。重合溶液の温度が約130℃付近から発泡が起こりだした。重合結果について、表1に示した。
比較例1
窒素導入管、攪拌翼、温度検出端、コンデンサー、電気ヒータージャケットを取り付けたチタン製密閉容器(内容積12L)に、前もって120℃で15時間減圧乾燥したS−DCDPS683.0g(1.390mol)、2,6−ジクロロベンゾニトリルDCBN615.0g(3.575mol)、BP924.6g(4.965mol)、炭酸カリウム789.2g(5.710mol)、NMP5581.5g、トルエン1860.5gを入れて、8L/分の流量で窒素を流し、攪拌しながらヒーター温度を160℃に設定して加熱を開始した。コンデンサーには約20℃の水を通して冷却した。加熱開始後、約40分後にヒーター温度が160℃に達した。コンデンサーから溜出してくるトルエンと水は再び反応系に戻して、4時間還流させた。その後、溜出してくるトルエン及び水を反応系内に戻さずに、反応系外に取り出すようにした。反応開始後、5時間30分後、トルエンが溜出しなくなったので、コンデンサーから溜出した溶媒が反応系内に還流するようにし、ヒーター温度を220℃に設定して、さらに昇温させた。反応を開始して7時間後、溶液温度が201℃に達し、そのまま8時間の間、反応を続けた。その後、ヒーターを停止し、容器を冷却して反応を停止させた。実施例1と同様にして、得られたポリマーについて対数粘度を測定したところ、0.75dL/gであった。重合結果について、表1にまとめた。
比較例2
減圧乾燥したS−DCDPSの代わりに、減圧乾燥していないS−DCDPS(水分率2.8質量%)702.7g用いた他は、比較例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
比較例3
NMPの代わりに、N,N−ジメチルアセトアミドを用い、ヒーター温度を180℃に設定して、165℃で反応させた他は、実施例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
比較例4
予め120℃で15時間乾燥したモレキュラーシーブ3−Aを500gセットしておいたコンデンサーを用い、溜出するNMPを反応系外に取り出さずにすべて還流させて反応させた他は、実施例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
比較例5
窒素ガスを全く流さずにした他は、実施例1と同様にして重合を行った。得られたポリマー溶液は黒褐色に着色しており、再沈したポリマーも濃い褐色であった。重合結果について、表1に示した。
比較例6〜8
S−DCDPSとDCBNのモル比と重合時間を変更した他は、比較例1と同様にして重合を行った。その結果について、表1に示した。
Figure 2006111665
表1から、本発明の方法によれば、高重合度のポリマーを短時間で重合することができ、また、モノマーがイオン性基を有しているような場合においても、良好に重合ができ、高重合度のポリマーを得ることができることが理解できる。また、驚くべきことに、イオン性基を有するモノマーで結合水を有している場合でも、乾燥を行わなくてもそのまま良好に重合することができ、より簡便に高品質のポリマーを得ることができることが判る。
本発明によれば、ポリアリーレンエーテル系ポリマーやポリアリーレンスルフィド系ポリマーなどのポリアリーレン系ポリマーをトルエンなどの危険な薬品を用いることなく、簡単な設備で得ることができ、工業的に有用である。
また、従来の方法では高重合度にすることが容易ではなかった、スルホン酸基のようなイオン性基を有するポリマーをも、簡便に高重合度で製造することができ、かかるポリマーは、特に燃料電池用のプロトン交換膜の材料として好適に用いることができ、産業上寄与すること大である。
本発明におけるポリマー重合装置の一例の概要を示す模式図である。 本発明における実施例5で合成したポリマーを重水素化ジメチルスルホキシド中室温で測定した1H−NMRスペクトルである。
符号の説明
1:攪拌モーター
2:攪拌翼
3:ジャケットヒーター
4:反応容器
5:窒素導入管
6:溜出溶媒溜め
7:コンデンサー
8:排気口
9:重合溶液抜き出しバルブ
10:還流―溜出の切り替えバルブ
11:流量計

Claims (9)

  1. 芳香族ジハロゲン化合物と、二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物とを、アルカリ金属化合物の存在下、有機極性溶媒中で重縮合させることによってポリアリーレン系ポリマーを製造する方法において、有機極性溶媒として、水と混和することができ、常温で液体であり、沸点が200℃以上である溶媒を用い、該有機極性溶媒の沸点又は沸点近傍の温度で不活性ガスの気流下、副生する水分を、該有機極性溶媒と共に反応系外に取り除いて重縮合反応させることを特徴とするポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
  2. 前記有機極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドンであることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
  3. 前記の芳香族ジハロゲン化合物と二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物の少なくとも一種が、イオン性基を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
  4. 前記イオン性基が、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基、ホスホン酸基の塩、リン酸基、リン酸基の塩からなる群より選ばれる1種以上の基であることを特徴とする請求項3に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
  5. 前記芳香族ジハロゲン化物がイオン性基を有していることを特徴とする請求項4に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法
  6. 前記芳香族ジハロゲン化物が、下記化学式1で表される構造の化合物を含むことを特徴とする請求項5に記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
    Figure 2006111665
    (化学式1)
    (化学式1において、XはF、Cl、Br、Iのハロゲン元素のいずれかを、Yは、スルホニル基又はカルボニル基のいずれかを、Zは、スルホン酸基及びその塩、ホスホン酸基その塩、リン酸基及びその塩、アルキルスルホン酸基及びその塩からなる群より選ばれる基を表す。)
  7. 前記イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化物又は二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物が、結合水を含む状態で重合に用いることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
  8. 反応系外に除去された有機極性溶媒の量が、仕込み量に対して1〜30質量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
  9. 反応系外に除去された水の量が、理論量の50質量%以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマーの製造方法。
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