JP5023427B2 - ポリアリーレン系ポリマーの製造方法 - Google Patents
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(2)前記有機極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドンであることを特徴とする(1)に記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
(3)前記イオン性基が、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基、ホスホン酸基の塩、リン酸基、リン酸基の塩からなる群より選ばれる1種以上の基であることを特徴とする(2)に記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
(4)前記芳香族ジハロゲン化物がイオン性基を有していることを特徴とする(3)に記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法
(5)前記芳香族ジハロゲン化物が、下記化学式1で表される構造の化合物を含むことを特徴とする(4)に記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
(化学式1において、XはF、Cl、Br、Iのハロゲン元素のいずれかを、Yは、スルホニル基又はカルボニル基のいずれかを、Zは、スルホン酸基及びその塩、ホスホン酸基その塩、リン酸基及びその塩 からなる群より選ばれる基を表す。)
(6)前記イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化物又は二価フェノール化合物又は二価チオフェノール化合物が、結合水を含む状態で重合に用いることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
(7)反応溶液の温度が、溶媒の常圧における沸点に対して+1〜+20℃の範囲にあることを特徴とする(1〜6)のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
(8)反応を不活性ガスの気流下で行い、反応容器からの気体出口に背圧弁を取り付けて、反応容器内を加圧することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
そのような溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。中でもN−メチル−2−ピロリドンは高純度のものを安価に入手することができ、毒性や危険性も少なく取り扱いやすいため好ましい。溶媒の純度は98%以上であることが好ましく、99%以上であることがより好ましく、99.9%以上であることがさらに好ましい。また、水分率は0.1%以下であることが好ましい。
すなわち、溶液をガラス板などの基体上にキャスティングし、加熱や非溶媒中への浸漬などによって溶媒を除去してフィルムを得た後、残留溶媒や残留塩などの不純物を水洗によって除去する方法などの公知の方法を採用することができる。また、イオン性基が塩型のポリマーを用いて製膜した場合には、前記の処理方法に加えて、必要に応じて酸による処理を行ってイオン性基を塩型から酸型に変換し、残留溶媒や残留遊離酸を水洗で除去する方法を採用することができる。
ポリマー粉末を0.5g/dlの濃度でN−メチルピロリドンに溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度ln[ta/tb]/c)で評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度)。
水を含む有機極性溶媒約10μLをマイクロシリンジに取り、平沼製作所製水分率測定装置AQ−7を用いて水分率を測定した。
3,3’−ジスルホン酸ナトリウム−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(略号:S−DCDPS)は3.1%の結合水を有していたため、重合の前に120℃で15時間減圧乾燥して結合水を取り除いた。乾燥後のS−DCDPSは窒素雰囲気下で保管した。窒素導入管、攪拌翼、温度検出端、コンデンサー、電気ヒータージャケット、背圧弁を取り付けたチタン製密閉容器(内容積12L)に、S−DCDPS800.0g(1.629mol)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)623.5g(3.625mol)、4,4’−ビフェノール(略号:BP)978.2g(5.253mol)、炭酸カリウム835.0g(6.041mol)、N−メチル−2−ピロリドン(略号:NMP)6055.9g、トルエン2018.6gを入れて、8L/分の流量で窒素を流し、攪拌しながらヒーター温度を160℃に設定して加熱を開始した。このとき背圧弁は開放にしておいた。コンデンサーには約20℃の水を通して冷却した。加熱開始後、約40分後にヒーター温度が160℃に達した。コンデンサーから溜出してくるトルエンと水は再び反応系に戻して、4時間還流させた。その後、溜出してくるトルエン及び水を反応系内に戻さずに、反応系外に取り出すようにした。反応開始後、5時間30分後、トルエンが溜出しなくなったので、コンデンサーから溜出した溶媒が反応系内に還流するようにし、ヒーター温度を230℃に設定して、さらに昇温させた。反応を開始して7時間後、溶液温度が201℃に達した。そして背圧弁を調節して反応容器内の圧力が0.103MPaになるようにし、加熱を続けた。反応を開始して8時間後、反応溶液の温度が210℃に達し、そのまま5時間反応を続けた。その後、ヒーターを停止し、容器を冷却して反応を停止させ、背圧弁を開放して反応容器内を常圧に戻した。反応溶液は攪拌しながら放冷し、温度が30℃になったところで、溶液を取り出した。褐色で粘ちょうな溶液が得られた。重合溶液はガラス板に薄く延ばし、水に浸漬して1日放置しポリマーを凝固させた。得られたポリマー膜は数回新しい水に浸漬した後、沸騰水中で1時間洗浄して残留しているNMPを除去した後、120℃で乾燥した。得られたポリマーについて対数粘度を測定したところ、1.88dL/gであった。
窒素導入管、攪拌翼、温度検出端、コンデンサー、電気ヒータージャケット、背圧弁を取り付けたチタン製密閉容器(内容積12L)に、120℃で15時間減圧乾燥して結合水を取り除いたS−DCDPS683.0g(1.390mol)、DCBN615.0g(3.575mol)、BP924.6g(4.965mol)、炭酸カリウム789.2g(5.710mol)、NMP5581.5gを入れて、8L/分の流量で窒素を流し、攪拌しながらヒーター温度を220℃に設定して加熱を開始した。コンデンサーには約25℃の水を通して冷却した。反応容器からコンデンサーまでの約1mの配管はグラスウールで保温を施した。加熱を開始して30分後、溶液の温度は150℃に達し、激しく発泡して液面が上昇した。加熱を開始して1時間後、反応液の温度が190℃付近に達したところで、コンデンサーからNMPと水の溜出が始まった。このときのコンデンサー入り口部分の温度は約150℃だった。加熱を開始して2時間30分後に、反応溶液の温度が203℃に達したので、コンデンサーからのNMPと水を反応系外に除去するのを止め、反応容器内に還流するようにした。そして背圧弁を調整して反応容器内の圧力を0.103MPaに調整し、ヒーター温度を230℃に設定して加熱を続けた。反応を開始して3時間15分後に反応溶液の温度が212℃に達し、そのまま4時間反応させた。その後、ヒーターを停止し、容器を冷却して反応を停止させ、背圧弁を開放して反応容器内を常圧に戻した。実施例1と同様にして得られたポリマーについて対数粘度を測定したところ、1.96dL/gであった
S−DCDPSに、3.1%の結合水を有するS−DCDPS824.8g(乾燥したS−DCDPSとして800.0g)をそのまま用いた他は実施例2と同様にして重合を行った。得られたポリマーの対数粘度は1.85dL/gであった。
実施例1と同様にして原料を反応容器に入れ、脱水を行った。反応を開始して5時間30分後、トルエンが溜出しなくなったので、コンデンサーから溜出した溶媒が反応系内に還流するようにし、ヒーター温度を230℃に設定して、さらに昇温させた。反応を開始して7時間後、溶液温度が202℃に達し、そのまま6時間反応を続けた。その後、ヒーターを停止し、容器を冷却して反応を停止させた。反応溶液は攪拌しながら放冷し、温度が30℃になったところで、溶液を取り出した。実施例1と同様にして、得られたポリマーについて対数粘度を測定したところ、1.18dL/gであった。
実施例2と同様にして原料を反応容器に入れ、脱水を行った。反応を開始して2時間30分後、反応溶液の温度が203℃に達したので、コンデンサーからのNMPと水を反応系外に除去するのを止め、反応容器内に還流するようにし、そのまま5時間反応させた。その後、ヒーターを停止し、容器を冷却して反応を停止させ、実施例1と同様にして得られたポリマーについて対数粘度を測定したところ、1.58dL/gであった。
また、従来の方法では高重合度にすることが容易ではなかった、スルホン酸基のようなイオン性基を有するポリマーをも、簡便に高重合度で製造することができ、かかるポリマーは、特に燃料電池用のプロトン交換膜の材料として好適に用いることができ、産業上寄与すること大である。
2:攪拌翼
3:ジャケットヒーター
4:反応容器
5:窒素導入管
6:溜出溶媒溜め
7:コンデンサー
8:排気口
9:重合溶液抜き出しバルブ
10:還流―溜出の切り替えバルブ
11:流量計
12:背圧弁
Claims (8)
- 芳香族ジハロゲン化合物と二価フェノール化合物の少なくとも一種が、イオン性基を有している、該芳香族ジハロゲン化合物と、該二価フェノール化合物とを、アルカリ金属化合物の存在下、有機極性溶媒中で重縮合させることによってポリマー溶液を製造する方法において、不活性ガスの気流下、該有機極性溶媒の沸点付近の温度に加熱して、有機極性溶媒と水とを同時に反応系外に除去して水分を除去することによって、反応系内の脱水を行った後、加圧して溶媒の常圧での沸点を上回る温度で重縮合させることを特徴とするポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
- 前記有機極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドンであることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
- 前記イオン性基が、スルホン酸基、スルホン酸基の塩、ホスホン酸基、ホスホン酸基の塩、リン酸基、リン酸基の塩からなる群より選ばれる1種以上の基であることを特徴とする請求項2に記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
- 前記芳香族ジハロゲン化物がイオン性基を有していることを特徴とする請求項3 に記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法
- 前記芳香族ジハロゲン化物が、下記化学式1で表される構造の化合物を含むことを特徴とする請求項4に記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
(化学式1において、XはF、Cl、Br、Iのハロゲン元素のいずれかを、Yは、スルホニル基又はカルボニル基のいずれかを、Zは、スルホン酸基及びその塩、ホスホン酸基その塩、リン酸基及びその塩 からなる群より選ばれる基を表す。) - 前記イオン性基を含む芳香族ジハロゲン化物又は二価フェノール化合物 が、結合水を含む状態で重合に用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
- 反応溶液の温度が、溶媒の常圧における沸点に対して+1〜+20℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
- 反応を不活性ガスの気流下で行い、反応容器からの気体出口に背圧弁を取り付けて、反応容器内を加圧することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリアリーレン系ポリマー溶液の製造方法。
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