(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の画像形成装置の構成の概略を示す図である。
本実施形態の画像形成装置100は、スキャナ部110と、プリンタ部120とを有する。本実施形態の画像形成装置100においてスキャナ部110は、読み取った原稿(図示せず)の反射光を電気信号に変換し、さらにそのアナログ電気信号をデジタル画像信号に変換してプリンタ部120に出力する。プリンタ部120は、スキャナ部110から入力された画像データ、又は画像形成装置100と接続されたコンピュータ等から送信された画像データに基づき画像形成動作を行なう。
本実施形態のプリンタ部120は、感光体ドラム121、帯電器122、書き込み装置123、現像装置124、給紙装置125、転写装置126、分離装置127、定着装置128等を有する。
本実施形態において、感光体ドラム121は帯電器122により均一に帯電される。画像形成装置100に入力された画像データは、後述する画像処理部で各種補正、各種変換・変倍等の処理がされた後に書き込み装置123に入力される。書き込み装置123は、入力された画像データに基づいてレーザ光を感光体ドラム121に照射する。感光体ドラム121上に形成された静電潜像は現像装置124により加熱溶融性のトナーにより現像され可視像化される。一方、給紙装置125から記録材(図示せず)が給紙ローラ131により給紙され、搬送ローラ132を介してレジストローラ133へ搬送される。レジストローラ133は感光体ドラム121上のトナー像に同期して記録材を送出する。この記録材に、転写装置126の作用により感光体ドラム121上のトナー像が転写される。
そして、分離装置127の作用により記録材が感光体ドラム121から分離され、搬送ガイド134に案内されて定着装置128に導かれる。記録材上の未定着トナー像が定着装置128により加熱定着され、記録材は排紙ローラ135により機外に排出される。また、感光体ドラム121は記録材の分離後にクリーニング装置136により残留トナーが除去され、除電器137により残留電荷が消去される。
本実施形態の画像形成装置100では、書き込み装置123に入力される画像データを用いて、定着装置128における定着制御を行う。すなわち本実施形態の画像形成装置100は、画像データに基づき感光体ドラム121上に形成されたトナー像を記録材に定着させることで、記録材に画像を形成する。
以下に本実施形態の定着装置128について説明する。本実施形態の定着装置128は、定着ローラ129と加圧ローラ130と、定着ベルト138を有する。本実施形態の定着装置128では、定着ローラ129と加圧ローラ130とにより、記録材が挟持搬送されることで、未定着トナー像が記録材に定着される。尚図1の例では、感光体ドラム121は1つであるが、画像形成装置100が複数色のトナーを用いたカラー画像を印刷する機能を有する場合には、感光体ドラム121、帯電器122、書き込み装置123、現像装置124等は、トナーの色の数と同数設けられる。
図2は、第一の実施形態の定着ローラを説明する図である。図2(A)は、定着ローラ129の構成の概略を説明する図であり、図2(B)は、加熱体200を説明する図である。
本実施形態の定着ローラ129は、内部に加熱体200が設けられている。加熱体200は、例えば複数の加熱体201,202,・・・,20(n−1),20nを含む。以下の説明では、複数の加熱体201,202,・・・,20(n−1),20nを区別しない場合は、単に加熱体20nと呼ぶ。
図2(B)を参照して加熱体200について説明する。本実施形態の加熱体20nは、それぞれの大きさが異なっても良いし、それぞれの大きさが同じであっても良い。図2(B)の例では、それぞれの加熱体20nの大きさが異なる例を示す。具体的には加熱体20nは、それぞれの主走査方向の幅が異なる。
本実施形態では、定着ローラ129の主走査方向の中央部分にある加熱体204の主走査方向の幅A4を定着ローラ129の端部に近い加熱体20nの主走査方向の幅ANよりも広くした。具体的には、定着ローラ129の主走査方向の一方の端部にある加熱体201の幅A1、加熱体302の幅A2、定着ローラ129の主走査方向の他方の端部にある加熱体20nの幅ANは、加熱体204の主走査方向の幅A4よりも狭い。加熱体203の主走査方向の幅A3は、加熱体202の主走査方向の幅A2より広く、加熱体204の主走査方向の幅A4よりも狭くした。
定着ローラ129の主走査方向における中央部分では、未定着トナー像が形成されている可能性が高い。よって本実施形態では、中央部分に主走査方向に幅の広い加熱体204を配置した。このように加熱体を配置することで、配置する加熱体20nの数を削減でき、加熱体20nの制御を簡単にすることができる。また本実施形態では、定着ローラ129の主走査方向における両端部の加熱体の幅を、主走査方向の中央部分に配置された加熱体の幅よりも狭くした。これにより、記録材の主走査方向における両端部において、未定着トナー像が形成されていない領域に合わせて加熱体をオフさせたままとすることができる。
本実施形態の加熱体20nは、定着ローラ129において主走査方向の幅ANと同じ幅×副走査方向の長さWの領域を加熱する。本実施形態では、それぞれの加熱体20nの副走査方向の長さWは全て同じとする。本実施形態では、加熱体200の主走査方向の幅Hと記録材の主走査方向の幅とが一致するように、加熱体20nの主走査方向の幅ANと数が決定されていることが好ましい。各加熱体は個々にオン・オフ制御される。
本実施形態の複数の加熱体20nは、例えばIH(Induction Heating)コイルやサーマルヘッドアレイ等により実現されても良い。
次に本実施形態の画像形成装置100の構成について説明する。図3は、第一の実施形態の画像形成装置の構成を説明する図である。
本実施形態の画像形成装置100は、コントローラ制御部210、エンジン制御部220、HDD(Hard Disk Drive)230、FAXユニット231、操作制御部232、読取制御部233、ARDF(自動両面反転原稿送り装置)234、書込制御部235、電装品236、DC(Direct Current)電源237、AC(Alternating Current)電源238を有する。
本実施形態のコントローラ制御部210は、画像形成動作の指定を受け付け、画像形成動作を設定する。具体的にはコントローラ制御部210は、画像形成、ユーザインターフェイスやモード設定、コピーやプリンタといったアプリケーションの制御などを司る。
エンジン制御部220は、プリンタエンジンの駆動制御等を行う。
HDD230は、例えば処理対象のデータ等が格納される。FAXユニット231は、画像形成装置100においてFAX機能を実現する。操作制御部232は、ユーザインターフェイスとなるタッチパネル(操作部)等の制御を行う。
読取制御部233は、スキャナ部110を制御するものであり、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスを介して読み取った画像をコントローラ制御部210の画像処理部214に伝達する。
書込制御部235は、書き込み装置123を制御するものであり、コントローラ制御部210や読取制御部233からPCIバスを介して送られてきた画像データに基づき、レーザ光の照射を制御する。本実施形態では、レーザ光が感光体ドラム121上に照射されることにより、画像データに基づく画像の静電潜像が形成される。
より具体的には本実施形態の書込制御部235は、画像データに基づき、画像形成を行うLD(Laser Diode)ユニットやLED(Light Emitting Diode)ユニット等に含まれるLDやLEDの点灯を制御する点灯制御信号を生成する。そして書込制御部235は、点灯制御信号に基づきLDやLEDの点灯を制御して感光体ドラム121に静電潜像の書込を行う。さらに本実施形態の書込制御部235は、後述する方法により、LDやLEDによる画像が形成される領域を複数のエリアの集合として捉えるための処理を行う。本実施形態では、画像が形成される領域を、LDから照射されるレーザ光により走査される領域(以下、書込領域)とした。本実施形態の書込制御部235の詳細は後述する。尚以下の説明では、本実施形態の点灯制御信号は、書込制御部235のLDの点灯を制御するものとして説明する。
電装品236は、例えば温度センサ、モータ、ソレノイド等を含む。DC電源237とAC電源238とは、各制御部へ電源を供給する。
次に本実施形態のコントローラ制御部210の構成を説明する。本実施形態のコントローラ制御部210は、CPU(Central Processing Unit)211、RAM(Random Access Memory)212、ROM(Read Only Memory)213、画像処理部214、画像メモリ215、I/F(インターフェイス)216を有する。
CPU211は、各種の処理動作を行う。RAM212は、各種情報を一時的に記憶する。ROM213は、制御プログラムを固定的に記憶する。画像処理部214は、例えば画像処理を行うASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により実現される。画像メモリ215は、画像処理部214により処理された画像データが格納される。また本実施形態のコントローラ制御部210は、図示しないNVRAM(Non Volatile RAM)等を備えており、NVRAMには画像形成装置100の動作条件の設定情報等が格納されていても良い。
本実施形態のコントローラ制御部210は、外部通信機器からネットワークを介してLAN(Local Area Network)等で情報を送受信するインターフェイス216、ユーザインターフェイスとなる操作制御部232や所定の処理対象のデータを格納するHDD230と接続されている。
本実施形態のコントローラ制御部210は、FAXユニット231や、エンジン制御部220とインターフェイスとPCIバスで結ばれている。コントローラ制御部210は、操作制御部232や外部機器からインターフェイス216を介して画像形成動作の指示を受け付け、画像形成動作を実行し、作成した画像をエンジン制御部220にPCIバスを介して伝達する。
本実施形態のエンジン制御部220は、CPU300、RAM221、ROM222、電装制御部223を有する。CPU300は、エンジン制御部220の各種処理を行う。また本実施形態のCPU300は、定着装置128による定着制御を行う。CPU300による定着制御の詳細は後述する。
RAM221は、各種情報を一時的に記憶する。ROM222は制御プログラムが格納されている。本実施形態では、ROM222に定着制御プログラムが格納されていても良い。また本実施形態のROM222には、後述する加熱体情報22が格納されていても良い。電装制御部223は、電装品236を制御する。
以下にCPU300の機能について説明する。本実施形態のCPU300は、定着制御部350を有する。
定着制御部350は、画像領域判断部310、加熱体選択部320、加熱体駆動部330を有する。画像領域判断部310は、書込制御部235から取得した後述するカウント値に基づき、書込領域内のエリア毎に、各エリアにおける画像の有無を判断する。加熱体選択部320は、画像の有るエリアに合わせて実際に加熱させる加熱体20nを選択する。画像領域判断部310と加熱体選択部320の処理の詳細は後述する。加熱体駆動部330は、選択された加熱体20nを加熱する。
本実施形態の画像形成装置100では、書込制御部235において生成される点灯制御信号を、書込領域における予め設定された所定エリア毎のデータとし、エリア毎の画像の有無を判断する。次に加熱体選択部320は画像が有るエリアと対応する加熱体20nを選択し、対応する加熱体20nにエリアを割り当てる。加熱体駆動部330は、選択された加熱体20n毎を駆動して加熱させる。加熱体駆動部330による加熱体20nの駆動の詳細は後述する。
尚本実施形態の画像形成装置100は、図示しない機能として、加熱体200の温度状態を監視する温度センサによる加熱体温度監視機能も備えている。
また本実施形態では、画像領域判断部310をエンジン制御部220内に搭載する構成としたが、画像領域判断部310はコントローラ制御部210の画像処理部214内に搭載されても良い。この場合画像領域判断部310による処理の結果は、コントローラ制御部210からエンジン制御部220に通知されても良い。
ここで本実施形態の加熱体駆動部330による加熱体20nの駆動について説明する。図4は、加熱体駆動部による加熱体の駆動を説明する図である。
本実施形態の加熱体駆動部330は所定の周期の駆動信号41により加熱体20nを駆動させる。例えば、以下に加熱体駆動部330が図4に示す加熱体301を駆動させる場合について説明する。
本実施形態の駆動信号41は、ハイレベル(以下、Hレベル)とローレベル(以下、Lレベル)との比率を示すデューティが50%の信号である。本実施形態の加熱体201は、駆動信号41がHレベルのとき電力が供給され、駆動信号がLレベルのとき電力の供給が遮断される。以下の説明では、加熱体20nへ電力が供給されることを、加熱体20nがオンされる、と表現し、加熱体20nへの電力の供給が遮断されることを、加熱体20nがオフされる、と表現する。本実施形態の加熱体駆動部330は、駆動信号41のデューティを変更することで、加熱体201に電力が供給される時間(以下、オン時間と呼ぶ。)を制御し、加熱体201の発熱量を制御する。加熱体201の発熱量は、オン時間が長いほど大きくなる。本実施形態の他の加熱体20nも同様に、所定の周期の駆動信号41によりオン/オフが制御される。尚、図4の例では、駆動信号41がHレベルのとき加熱体201がオンされる構成としたが、これに限定されない。加熱体201は、例えば駆動信号41がLレベルのときオンされ、駆動信号41がHレベルのときオフされても良い。
次に加熱体201により加熱される加熱エリアについて説明する。本実施形態では、書込領域と対応する定着ベルト138上の領域において、加熱体20nを1周期分の駆動信号41によりオンせた際に加熱されるエリアを加熱エリアと呼ぶ。すなわち本実施形態の加熱エリアとは、加熱体20n毎に加熱して画像を記録材に定着させる場合において、独立して加熱量が制御できる領域の最小単位である。尚本実施形態の加熱量は、加熱体20nの発熱量に対応する熱量であり、以下の説明では、「加熱体20nの発熱量の制御」と、「加熱体20nによる加熱量の制御」は同義のものとして説明する。また本実施形態では、加熱体201〜20nによる加熱対象となる定着ベルト138上の領域を定着領域と呼ぶ。定着領域は、書込領域に対応する領域である。
図4に示す定着領域45において、加熱体201の幅をA1とし、駆動信号41の1周期をT[msec]とした場合、加熱体201の加熱エリアは、幅A1×(T[msec]×副走査方向の搬送速度)となる。図4では、加熱体201の加熱エリアを加熱エリア42として示す。また、加熱体202の加熱エリアは、幅A2×(T[msec]×副走査方向の搬送速度)となる。図4では、加熱体202の加熱エリアを加熱エリア43として示す。
すなわち加熱体20nの加熱エリアは、加熱体20nの主走査方向の幅×(駆動信号の1周期×副走査方向の搬送速度)として得ることができる。
尚、図4では、駆動信号41の加熱体201のオン時間により加熱体201の加熱量を制御するものとして説明したが、これに限定されない。駆動信号41は、例えば1周期分の期間、一定の電流値を供給することで加熱体201の加熱量を制御しても良い。この場合、電流値を制御することで加熱体201の加熱量が制御される。
次に図5を参照して本実施形態の書込制御部235の機能を説明する。図5は、書込制御部の機能を説明する図である。
本実施形態の書込制御部235は、点灯制御信号生成部241、書込部242、画素カウント部243、レジスタ244を有する。
本実施形態の点灯制御信号生成部241は、コントローラ制御部210から受け取った画像データに基づき、LDの点灯/消灯を制御する点灯制御信号を生成する。本実施形態の点灯制御信号は、画像データに基づきLDを照射させて感光体ドラム121に静電潜像を書き込むための書き込みデータである。
本実施形態の書込部242は、点灯制御信号生成部241により生成された点灯制御信号に従ってLDを点灯/消灯を制御し、静電潜像を感光体ドラム121へ書き込む。より具体的の本実施形態の書込部242は、点灯制御信号がHレベルのときLDを点灯させ、点灯制御信号がLレベルのときLDを消灯させる。
本実施形態の画素カウント部243は、点灯制御信号に基づきLDによる書込領域の画素をカウントする。レジスタ244は、画素カウント部243によりカウントされたカウント値が格納される。画素カウント部243とレジスタ244の詳細は後述する。
尚図5では省略しているが、例えば感光体ドラム121が複数色分設けられている場合には、点灯制御信号生成部241、書込部242、画素カウント部243は、各色の感光体ドラム121毎に設けられている。またこの場合レジスタ244は、各色に対応した複数の画素カウント部243により共有される。
以下に本実施形態の画素カウント部243について説明する。
本実施形態の画素カウント部243は、主走査カウント部245、副走査カウント部246を有する。本実施形態の主走査カウント部245は、点灯制御信号に基づき、LDによる書込領域の主走査方向に画素をカウントする。具体的には本実施形態の主走査カウント部245は、主走査方向においてLDが点灯した回数をカウントする。言い換えれば、主走査カウント部245は、点灯制御信号がLレベルからHレベルになった回数をカウントする。本実施形態では、点灯制御信号によりLDが1回点灯されると、1画素分の画像と対応する静電潜像が感光体ドラム121上に形成される。
本実施形態の副走査カウント部246は、点灯制御信号に基づき、書込領域における副走査方向の走査ラインの本数をカウントする。
以下に図6を参照して本実施形態における画素カウント部243による画素のカウントについて説明する。図6は、書込領域における画素のカウントを説明する図である。
本実施形態の画素カウント部243は、書込領域50を予め設定した所定のエリアEのm行×n列の集合Emnと捉え、所定のエリアE内の画素をカウントする。本実施形態では、所定のエリアEをX×Yの領域とした。尚X,Yの単位はミリメートルである。
また本実施形態の書込制御部235のレジスタ244は、所定のエリアE毎に対応した複数のレジスタを含む。図6の例では、書込領域50はエリアE11〜エリアEmnを含むため、レジスタ244はエリアE11〜エリアEmnのそれぞれに対応した複数のレジスタを含む。複数のレジスタには、画素カウント部243によりカウントされたエリアE11〜エリアEmnそれぞれのカウント値が格納される。
本実施形態の画素カウント部243は、走査の開始位置である書込領域50の左上から順に画素のカウントを開始する。
画素カウント部243の主走査カウント部245は、書込領域50の左上から主走査方向に画素のカウントを行い、各画素のカウント値をエリアEmn毎に対応したレジスタに格納する。
例えば主走査カウント部245は、書込領域50の左上から1ライン目のカウントを開始する。このときカウントされる画素は、エリアE11内の画素である。よって主走査カウント部245は、カウント値をエリアE11に対応したレジスタに格納する。すなわち主走査カウント部245は、主走査方向にXミリメートル分の画素をカウントするまで、カウント値をエリアE11と対応したレジスタに格納する。したがってレジスタの値は、エリアE11内の1ライン目を形成する画素のカウント値の和となる。
続いてカウント対象の画素がエリアE12内の画素となると、主走査カウント部245は、エリアE12に対応したレジスタにカウント値を格納する。そして主走査カウント部245は、エリアE12内の最初の画素から主走査方向にXミリメートル分の画素をカウントするまで、カウント値をエリアE12に対応するレジスタに格納する。したがってレジスタの値は、エリアE12内の1ライン目を形成する画素のカウント値の和となる。
同様にして、主走査カウント部245が主走査方向に1ライン、すなわちX×nミリメートル分カウントすると、副走査カウント部246は、副走査方向にカウントしたライン数をカウントする。この場合、ライン数は1である。よってこのときは、エリアE11〜エリアE1nに対応するレジスタには、エリアE11〜エリアE1nそれぞれの1ライン目の画素のカウント値の和が格納されたことになる。
主走査カウント部245は、1ラインカウントが終了すると、次のラインの左端の画素からカウントを再開する。主走査カウント部245は、2ライン目の左端の画素からカウントを開始し、1ライン目と同様の処理を行う。
本実施形態では、副走査カウント部246が副走査方向にYミリメートル分のライン数のカウントが終了すると、エリアE11〜エリアE1nは、それぞれがXミリメートル×Yミリメートルの領域内の画素がカウントされたことになる。このときエリアE11〜エリアE1nのそれぞれに対応するレジスタには、エリアE11〜エリアE1nのそれぞれにおいて各エリア内の全ての画素のカウント値の累積値が格納される。
本実施形態では、エリアE21以降に対しても同様の処理を行い、エリアE11〜エリアEmnそれぞれの画素のカウント値の累積値を得る。
本実施形態では、書込領域50に含まれるエリア数と同数のレジスタを有していても良い。この場合レジスタの数は、m×n個となる。また本実施形態では、レジスタの数を主走査方向に設けられたエリアの数と同様のn個としても良い。この場合書込制御部235は、エリアE1nまでのカウントが終了すると、n個のレジスタに格納された値を例えばRAM221等に一時的に格納させ、全てのレジスタに格納された値を消去しても良い。本実施形態のレジスタの数は、書込領域50の幅と、エリアEの大きさとに応じて決められる。例えば画像形成装置100におい書込領域の最大幅をWミリメートルとした場合のレジスタの数は、Wミリメートル/Xミリメートル以上であれば良い。
本実施形態のレジスタに格納されるカウント値は、後述するように、エリア毎の画像の有無の判定と、加熱体20nの加熱量の算出に使用される。したがって本実施形態では、各レジスタの大きさは例えば8ビットレジスタであることが好ましく、カウント値は階調を有する値であることが好ましい。
本実施形態では、X=Y=2ミリメートルとした。すなわち本実施形態では、書込領域50は2ミリメートル×2ミリメートルのエリアの集合となる。
本実施形態において、Xの値は、例えば複数の加熱体20nのうち最も主走査方向の幅のせまい加熱体20nの幅と同様の値にしても良い。
また本実施形態のYの値は、画像形成装置100における記録材の搬送速度をVとし、加熱体20nの加熱応答時間をtとしたとき、V>Y/t1となれば良い。尚加熱応答時間とは、加熱体20nの加熱を開始してから定着ローラ129の温度がトナーを記録材に定着させるために予め設定された所定温度になるまでの時間である。このようにYの値を決めれば、記録材の搬送速度よりも加熱応答時間が十分に早くなり、定着時に定着ローラ129を所定温度まで到達させることができる。
次に、図7を参照して本実施形態の画像領域判断部310の機能について説明する。図7は、第一の実施形態の画像領域判断部の機能を説明する図である。
本実施形態の画像領域判断部310は、カウント値読込部311、画像有無判定部312、加熱位置決定部313を有する。
本実施形態のカウント値読込部311は、書込制御部235においてレジスタ244に格納されたカウント値を読み込む。読み込まれたカウント値は、一時的にエンジン制御部220内のRAM221に格納されても良い。
画像有無判定部312は、書込領域50における所定のエリア毎に、エリア内の画像の有無を判定する。画像有無判定部312による判定の詳細は後述する。加熱位置決定部313は、画像が有るエリアに対応する加熱体20nを加熱位置に決定する。
以下に図8を参照して、画像有無判定部312による画像の有無の判定を説明する。図8は、第一の実施形態の画像有無判定部による判定を説明する図である。
本実施形態の画像有無判定部312は、画素カウント部243により各エリアのカウント値の累積値が格納されたレジスタの値に基づき、各エリア内の画像の有無を判定する。具体的には画像有無判定部312は、レジスタの値が0のとき、対応するエリアを画像が無い非画像領域と判定する。また画像有無判定部312は、レジスタの値が0でないとき、対応するエリアを画像が有る画像領域と判定する。非画像領域とは、画像(未定着トナー)が存在しない領域であり、定着のための加熱が不要な領域である。画像領域とは、画像(未定着トナー)が存在する領域であり、加熱体20nによる加熱対象となる領域である。
尚本実施形態では、カウント値の和が0のとき、そのエリアを非画像領域と判定するものとしたが、例えばカウント値が予め設定された所定値以下のときそのエリアを非画像領域と判定しても良い。
本実施形態の加熱位置決定部313は、画像領域を加熱位置に決定する。図8の例では、エリアE25、E35、E36、E66、E67、E77のカウント値が7であり、E42〜E46、E52〜E57のカウント値が63である。よってこれらのエリアが画像領域であることがわかる。本実施形態の加熱位置決定部313は、この画像領域と重なる加熱エリアを加熱位置に決定する。
加熱位置が決定されると、本実施形態の加熱体選択部320は、加熱位置に対応する加熱体20nを選択し、選択された加熱体20nにより加熱対象の画像領域を加熱する。
次に、図9を参照して本実施形態の加熱体選択部320について説明する。図9は、第一の実施形態の加熱体選択部の機能を説明する図である。
本実施形態の加熱体選択部320は、加熱体割当部321、加熱量算出部322、変動量算出部323、加熱量補正部324を有する。本実施形態の加熱体割当部321は、加熱位置決定部313により決定された加熱位置に対し、この加熱位置と対応する加熱エリアを加熱する加熱体20nを割り当てる。
本実施形態の加熱量算出部322は、カウント値読込部311において読み出したエリアEmnのカウント値に基づき、加熱エリア毎の加熱量を算出する。例えば図8の例では、カウント値が3のエリアとエリアEmnとカウント値が63のエリアEmnとが存在する。カウント値が大きいということは、エリアEmn内の画素数が多い、すなわち定着させる画像の濃度が高いことを示す。よって加熱量算出部322は、加熱エリア内に含まれるエリアEmnのカウント値に対応した加熱量を算出する。尚本実施形態では、例えばカウント値と加熱量とが対応付けられたテーブル等がROM222等に格納されており、加熱量算出部322はこのテーブルを参照して加熱量を算出しても良い。
変動量算出部323は、隣接する加熱エリア間の加熱量の変動量を算出する。加熱量補正部324は、変動量算出部323により算出された加熱量の変動量が所定の閾値以上であった場合、変動量が閾値未満となるように加熱量を補正する。
以下に図10を参照して本実施形態の加熱体割当部321による加熱体20nの割当と、加熱量算出部322による加熱量の算出について説明する。図10は、加熱体の割当と加熱量の算出を説明する図である。
図10は、エリアEmnに分割された書込領域50と、書込領域50に対応して加熱体201〜20nにより加熱されて定着される定着領域45とを重ねた状態を示す概念図である。
図10の例では、書込領域50のエリアE21,E22,E32,E42,E52が画像領域であり、加熱位置である。例えばエリアE21は、加熱体201により加熱される加熱エリア42と、加熱体202により加熱される加熱エリア42とに含まれる。したがって加熱体割当部321は、エリアE21に対して加熱体201,202を割り当てる。
またエリアE22,E32,E42,E52は、加熱体202により加熱される加熱エリア42に含まれる。したがって加熱体割当部321は、エリアE22,E32,E42,E52に対して加熱体202を割り当てる。
次に本実施形態の加熱量算出部322による加熱量の算出について説明する。本実施形態の加熱量算出部322は、加熱エリアに含まれるエリアEmnと対応するカウント値に応じて加熱量を算出しても良い。
図10の例では、加熱エリア42に含まれるエリアEmnのうち、カウント値が1以上のエリアは、画像領域であるエリアE21のみである。エリアE21と対応するカウント値が例えば31であった場合、加熱量算出部322は、加熱エリア42の加熱量をカウント値31に対応する加熱量とする。
また加熱エリア43に含まれるエリアEmnのうち、カウント値が1以上のエリアは、画像領域であるエリアE21,E22,E32,E42,E52である。そこで加熱量算出部322は、エリアE21,E22,E32,E42,E52のそれぞれのカウント値を合算し、合算した結果と対応する加熱量を加熱エリア43の加熱量とする。例えばエリアE21,E22,E32,E42,E52のそれぞれのカウント値を合算の値が255であった場合には、加熱エリア43の加熱量をカウント値255に対応する加熱量となる。
この場合、加熱エリア43の加熱量は、加熱エリア42の加熱量よりも大きくなる。本実施形態の変動量算出部323は、このように加熱量が異なり且つ隣接する加熱エリア間の加熱量の変動量を算出し、加熱量補正部324は加熱量を補正する。変動量算出部323と加熱量補正部324の処理の詳細は後述する。
尚、本実施形態では、加熱エリア42及び43は、連続した領域として説明したが、実際の定着制御では、加熱エリア42及び43は、副走査方向においても、定着ローラ129の回転速度に応じた加熱体20nの移動距離に応じて分割される。
以上のように本実施形態の加熱量算出部322は、加熱エリアにおける画像の有無と、画像の濃度に基づき加熱エリア毎の加熱量を算出する。また本実施形態の加熱量算出部322は、記録材の種類等に合わせて加熱量を調整しても良い。
また図10の例では、加熱エリアに複数のエリアEmnが含まれるものとして説明したが、これに限定されない。例えば加熱エリアは、駆動信号41の周期を短くし、書込領域50を分割したエリアEmnと対応するようにしても良い。この場合、1つの加熱エリアに含まれるエリアEmnは1つである。
次に、本実施形態の画像形成装置100による画像形成の際の定着装置128の温度制御について説明する。
図11は、画像形成の際の定着装置の温度制御を説明する図である。
本実施形態の画像形成装置100の定着制御部350は、定着装置128による定着を行う際に、加熱体駆動部330により3つの温度領域を予め設定して温度制御を行う。3つの温度領域は、ベース温度領域、紙温度領域、定着温度領域である。ベース温度領域は、ベース温度H1以下の温度領域である。複数の加熱体20nを含む加熱体200の温度は、画像形成装置100が画像形成動作を行わない場合にはベース温度領域内の温度となる。尚本実施形態では、加熱体200の温度を検出する温度センサが設けられており、画像形成装置100に設けられた加熱体温度監視機能により検出される。
紙温度領域は、ベース温度H1より高く紙温度H2以下の温度領域である。本実施形態では、画像形成装置100が印刷要求を受けると、加熱体200の温度を紙温度領域内まで加熱し、記録材が検出されたときに加熱体200の温度が紙温度H2に到達するように、加熱体200を加熱する。尚紙温度H2は、記録材の種類によって紙温度領域内で変化しても良い。
定着温度領域は、紙温度H2より高い温度領域である。本実施形態では、画像形成において定着が開始されるとき、加熱体200に含まれる複数の加熱体20nのうち、加熱対象として選択された加熱体20nのみが加熱されて定着温度H3となる。
すなわち本実施形態では、加熱体200に含まれる複数の加熱体20nは、紙温度H2まで加熱される。そして定着を開始するとき、選択された加熱体20nのみをさらに加熱して定着温度H3とする。定着温度H3は、例えば定着される画像の濃度等や記録材の種類等に応じて、定着温度領域内で変化しても良い。
図11(A)は、エリアの例であり、図11(B)は加熱体200の温度の例を示す図である。
図11の例では、エリアE12〜E15、エリアE17〜E18が画像領域である。よってエリアE12〜E15、エリアE17〜E18を加熱する加熱体20nは定着温度H3まで加熱される。それ以外のエリアE11、エリアE16は、非画像領域である。よってエリアE1、エリアE6に対応する加熱体20nは、紙温度H2以下となる。
次に図12を参照して本実施形態の画像形成装置100の動作を説明する。図12は、第一の実施形態の画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
本実施形態の画像形成装置100が印刷要求を受け付けると(ステップS1201)、定着制御の処理と、記録材検出の処理と、温度制御の処理とを並行して行う。定着制御の処理は、コントローラ制御部210とCPU300の定着制御部350により実行される。温度制御の処理は、CPU300の定着制御部350により実行される。記録材検出の処理は、電装制御部223により実行される。
始めに記録材の検出の処理について説明する。
本実施形態の画像形成装置100において、電装制御部223は、記録材の搬送を開始する(ステップS1202)。続いて電装制御部223は、記録材が定着装置128に到達したか否かを判断する(ステップS1203)。尚本実施形態では、例えば定着装置128に記録材の到着を検出する到着検出センサが設けられており、到着検出センサにより定着装置128への記録材の到着を検出しても良い。ステップS1203において、記録材が定着装置128に到達すると、電装制御部223は、記録材検出信号をCPU300へ出力する(ステップS1204)。記録材が検出されると、CPU300において定着制御部350は、後述するステップS1208へ進む。
また記録材が検出されると、電装制御部223は、記録材が定着装置128を通過したか否かを判断する(ステップS1205)。尚本実施形態では、例えば定着装置128を記録材が通過したか否かを検出する通過検出センサが設けられており、通過検出センサにより定着装置128からの記録材の通過を検出しても良い。ステップS1205において記録材が定着装置128を通過すると、電装制御部223は、次の印刷要求の有無を判断する(ステップS1206)。ステップS1206において次の印刷要求がある場合、後述するステップS1210へ進む。ステップS1206において次の印刷要求がない場合、後述するステップS1211へ進む。
次に温度制御の処理について説明する。
本実施形態の定着制御部350は、印刷要求を受け付けると、加熱体駆動部330により加熱体200を加熱し、加熱体200の温度をベース温度H1とする(ステップS1207)。続いて定着制御部350は、印刷要求を受け付けているため、加熱体駆動部330によりさらに加熱体200を加熱し、加熱体200の温度を紙温度H2とする(ステップS1208)。
続いて定着制御部350は、後述するステップS1217において選択され、ステップS1218において加熱量が補正された加熱体20nを、補正後の加熱量に基づき加熱する(ステップS1209)。加熱体20nが画像濃度に応じた定着温度H3となると、未定着トナーが記録材に定着される。
続いて定着制御部350は、次の印刷要求がある場合は加熱体200の温度をベース温度H1に維持する(ステップS1210)。また定着制御部350は、次の印刷要求がない場合は加熱体200の加熱を停止し、定着を停止する(ステップS1211)。
次に本実施形態の定着制御の処理について説明する。尚実施形態の定着制御の処理は、加熱エリア毎の加熱量を算出する加熱量算出制御の処理を含む。
本実施形態の画像形成装置100は、コントローラ制御部210により、読み取った画像データを読み出す(ステップS1212)。続いてコントローラ制御部210は、画像処理部214により読み出した画像データに対して画像処理を行う(ステップS1213)。画像処理部214による画像処理は、画像データをプリンタ部120から出力するために必要な画像処理である。
続いてコントローラ制御部210は、画像処理後の画像データを書込制御部235へ送信する(ステップS1214)。続いて書込制御部235は、画像データから点灯制御信号を生成して静電潜像を書き込み、画素カウント部243により画素をカウントして書込領域50を所定エリアの集合と判断する(ステップS1215)。言い換えれば本実施形態の書込制御部235は、書込領域50を所定エリアに分割する。画素のカウントの方法は、上述した通りである。
続いて定着制御部350において、画像領域判断部310は、カウント値読込部311により書込制御部235からカウント値を読み込み、画像有無判定部312により書込領域50の全てのエリアについて、画像領域であるか又は非画像領域であるかを判定する(ステップS1216)。
続いて加熱体選択部320は、加熱体割当部321により画像領域を複数の加熱体20nに割り当てて画像領域が割り当てられた加熱体20nを選択する(ステップS1217)。続いて加熱体選択部320は、加熱量算出部322により加熱体20n毎の加熱量を算出した結果に基づき加熱量を補正し(ステップS1218)、ステップS1209へ進む。
以下に、図13を参照して本実施形態の加熱体選択部320の処理の詳細を説明する。図13は、第一の実施形態の加熱体選択部の処理を説明するフローチャートである。図13の処理は、図12のステップS1217とステップS1218の処理の詳細を示す。
以下の図13では、ステップS1301からステップS1309までの処理が図12のステップS1217の処理の詳細であり、図13のステップS1310からステップS1312までの処理が図12のステップS1218の処理の詳細である。
本実施形態の加熱体選択部320は、記録材の幅を検出する(ステップS1301)。記録材の幅は、例えば定着装置128に記録材が到着した際に、定着装置128に設けられている到着検出センサ等により検出されても良い。
続いて加熱体選択部320は、記録材の幅に合わせて使用する加熱体20nを選択する(ステップS1302)。具体的には例えば、記録材が加熱体200の中央部分に配置され、加熱体200の両端部に対応する記録材が存在しない場合には、対応する記録材が存在しない加熱体20nは使用しない。例えば図2に示す加熱体200において、加熱体201と加熱体20nと対応する位置に記録材が存在しない場合、加熱体選択部320は、加熱体201と加熱体20n以外の加熱体を使用する加熱体として選択する。
続いて加熱体選択部320は、記録材の端部に位置する加熱体20nを使用するか否かを判断する(ステップS1303)。例えば画像が記録材の中央部に集中し、記録材の端部に画像が無い場合等がある。この場合には、記録材の端部に位置する加熱体20nをオンさせる必要はない。本実施形態では、記録材の端部に位置する加熱体20nを使用するか否か、設定により予め決められていても良い。
例えば記録材の端部に位置する加熱体20nを使用する設定であった場合、加熱体選択部320は、ステップS1302で選択された全ての加熱体20nを使用する。また記録材の端部に位置する加熱体20nを使用しない設定であった場合、加熱体選択部320は、該当する加熱体20nを選択しない。
続いて加熱体選択部320は、ROM222から加熱体情報22(図3参照)を取得する(ステップS1304)。本実施形態の加熱体情報22とは、加熱体200に関する情報であり、具体的には複数の加熱体20nのそれぞれの幅、配置、温度上昇率、定着ベルト138の回転による温度低下率が含まれる。
続いて加熱体選択部320は、ステップS1302、ステップS1303で使用するものとして選択された加熱体20nに対し、加熱体20nの加熱体情報22を参照して書込領域50のエリアEmnを割り当てる(ステップS1305)。本実施形態では、加熱体20nにエリアEmnを割り当てる際に、主に加熱体情報22に含まれる加熱体20nの幅と配置を参照する。
以下に図14を参照して加熱体20nに対する書込領域50のエリアの割り当てについて説明する。図14は、加熱体に対する書込領域のエリアの割り当てを説明する図である。
図14では、加熱体200において加熱体201〜207が使用する加熱体として選択された例を示している。また図14では、加熱体200に対し、エリアE11〜エリアE1nを割り当てる例を示している。
本実施形態の加熱体選択部320は、エリアE11のカウント値が格納されたレジスタのアドレスから、エリアE11が書込領域50において主走査方向及び副走査方向のどの位置のエリアであるかを判断する。そして加熱体選択部320は、エリアE11の位置から、どの加熱体20nにエリアE11の加熱を行わせるかを判断する。
例えばエリアE11に対応する位置にある加熱体は、加熱体201である。よって加熱体選択部320は、加熱体201にエリアE11を割り当てる。次に加熱体選択部320は、エリアE11とエリアE12の合計幅We1が、加熱体201の幅W1以下となるか否かを判断する。そして合計幅We1≦幅W1であれば、加熱体選択部320は、エリアE12も加熱体201へ割り当てる。
以上のようにして、加熱体選択部320は、加熱体20nの幅WNと、エリアの主走査方向の幅とに基づき、個々の加熱体20nに対してエリアを割り当てる。
例えばエリアE13,E14の主走査方向の幅We2は、加熱体202の幅W2以下である。よって本実施形態の加熱体選択部320は、加熱体202にエリアE13,E14を割り当てる。同様にして、加熱体選択部320は、加熱体203にエリアE15〜E17を割り当てる。以上のようにして本実施形態の加熱体選択部320は、書込領域50に含まれる全てのエリアを加熱体20nに割り当てる。
続いて加熱体選択部320は、全ての加熱体20nのオン/オフを決定したか否かを判断する(ステップS1306)。尚ここでの「加熱体20nをオンさせる」とは、紙温度H2まで加熱された加熱体20nをさらに定着温度H3まで加熱することを意味する。また「加熱体20nをオフさせる」とは、加熱体20nを定着温度H3まで加熱せずに紙温度H2に維持することを意味する。
全ての加熱体20nのオン/オフを決定していない場合、定着制御部350は、次のステップS1307へ進む。ステップS1306において、全ての加熱体20nのオン/オフを決定した場合、定着制御部350は、後述するステップS1310へ進む。
加熱体選択部320は、加熱体20nに割り当てられたエリアEmnにおいて、画像領域があるか否かを判断する(ステップS1307)。
ステップS1307において、割り当てられたエリアEmnに画像領域が含まれる場合、加熱体選択部320は、加熱体20nをオンさせる加熱体に選択し(ステップS1308)、ステップS1306へ戻る。またステップS1307において割り当てられたエリアEmnに画像領域が含まれない場合、加熱体選択部320は、加熱体20nをオフのままの加熱体とし(ステップS1309)、ステップS1306へ戻る。
ステップS1306において、全ての加熱体20nのオン/オフが決定したら、加熱体選択部320において加熱量算出部322は、各加熱体20nと対応した加熱エリア毎の加熱量の算出を行う(ステップS1310)。ここで本実施例の加熱量算出部322は、全ての加熱エリアに対し、加熱エリア毎の加熱量を算出する。
続いて加熱体選択部320は、変動量算出部323により、隣接する加熱エリア間の加熱量の変動量を算出する(ステップS1311)。本実施形態の変動量算出部323は、例えば副走査方向に隣接する加熱エリア間の加熱量の変動量を算出する。続いて加熱量補正部324は、副走査方向に隣接する加熱エリア間において変動量が予め設定された閾値以上である箇所が存在するか否かを判断する(ステップS1312)。
ステップS1312において変動量が閾値以上である箇所が存在する場合、加熱量補正部324は、変動量が閾値未満となるように、該当する加熱エリアの加熱量を補正し(ステップS1313)、ステップS1312へ戻る。加熱量の補正の詳細は後述する。
ステップS1312において変動量が閾値以上である箇所が存在しない場合、定着制御部350は、図12のステップS1209へ進む。
以下に図15を参照して本実施形態の加熱体20nの加熱量の変動について説明する。図15は、加熱量の変動を説明する第一の図である。図15(A)は、補正前の加熱体20nと対応する加熱エリア150〜160の加熱量と各加熱エリア間の加熱量の変動量を示す図である。図15(B)は、補正後の加熱体20nと対応する加熱エリア150〜160の加熱量と各加熱エリア間の加熱量の変動量を示す図である。図15では、1つの加熱体20nにおける加熱量の補正を説明する。
図15に示す加熱エリア150〜160は、加熱体20nを1周期T[msec]の駆動信号41で駆動したときに、副走査方向において加熱体20nに加熱されて画像が定着される定着領域46を示している。
以下の説明では、例えば加熱体20nの温度をベース温度H1とする場合の加熱体20nの加熱量を30とし、加熱体20nの温度を紙温度H2とする場合の加熱体20nの加熱量を50とし、加熱体20nの温度を定着温度H3とする場合の加熱体20nの加熱量を100とした。尚本実施形態の加熱量は、ここでは単に数値としたが、例えば加熱体20nを目的の温度とするために必要となる電力等により示される。
図15の例では、定着領域46に含まれる加熱体20nの加熱エリア153〜157に、画像領域が存在している。すなわち加熱エリア153〜157には、書込領域50において画素のカウント値が1以上のエリアEmnが含まれている。
図15(A)の例では、加熱エリア150,151,159,160はベース温度H1、加熱エリア152,158は紙温度H2、加熱エリア153〜157は定着温度H3となるように加熱量が算出されている。尚、加熱エリア毎に算出された加熱量を示す値は、例えばRAM221に一時的に格納されていても良い。
変動量算出部323は、副走査方向において隣接する加熱エリア間の加熱量の変動量(差分)をそれぞれ算出する。すなわち変動量算出部323は、N周期目の駆動信号による加熱体20nの加熱量と、N+1周期目の駆動信号による加熱体20nの加熱量との差分を算出する。
図15(A)において、加熱エリア150の加熱量を示す値と加熱エリア151の加熱量を示す値とは同じであり、変動量は0である。また加熱エリア151の加熱量を示す値と加熱エリア152の加熱量を示す値との変動量が20であり、加熱エリア152の加熱量を示す値と加熱エリア153の加熱量を示す値との変動量が50である。
本実施形態では、各加熱エリア間の変動量を隣接する加熱エリアを識別する情報と共にRAM221に一時的に保持しても良い。図15(A)の場合、加熱エリア150,151間の変動量として0が保持され、加熱エリア151,152間の変動量として30が保持される。他の変動量に対しても同様である。
以下に変動量の閾値を50とした場合について説明する。尚本実施形態の加熱量の閾値は、実験等により求められた値であり、フリッカの発生の防止を実現するための値である。図15(A)の例では、加熱エリア152,153間の変動量と、加熱エリア157,158間の変動量とが閾値である50以上である。
そこで加熱量補正部324は、図15(B)に示すように、変動量が50以下となるよう加熱量を補正する。
図15(B)では、加熱量補正部324は、加熱エリア152の加熱量を60に補正することで、加熱エリア152,153間の変動量が閾値未満とした。また加熱量補正部324は、加熱エリア158の加熱量を60に補正することで、加熱エリア157,158間の変動量が閾値未満とした。
以上のように本実施形態の加熱量補正部324は、加熱量を加算させることで変動量が閾値未満となるように補正する。本実施形態では、加熱エリアの加熱量を低減させることなく変動量を補正するため、加熱エリアにおいて定着不良が発生することを防止でき、定着性を確保することができる。また本実施形態では、変動量を所定の閾値未満とすることができ、フリッカの発生を抑制することができる。
図16は、加熱量の変動を説明する第二の図である。図16では、主走査方向に複数配置された加熱体201〜20nにおける加熱量の補正を説明する。
図16では、加熱体201〜20nにより加熱されて画像が定着される定着領域47を示している。定着領域47には、加熱体201〜20n毎の1周期の駆動信号により加熱される加熱エリアが含まれる。
本実施形態の加熱量算出部322は、加熱体201〜20n毎の加熱エリアの加熱量を算出すると、主走査方向に重なる加熱エリア毎の加熱量を加算し、副走査方向の加熱エリア毎の加熱量の総和を算出する。
図16の例では、副走査方向における加熱エリアの1列目170の加熱量の総和は330となる。また副走査方向における加熱エリアの2列目171の加熱量の総和も330である。副走査方向における加熱エリアの3列目172の加熱量の総和は510である。本実施形態では、このように副走査方向における加熱エリアの列毎の加熱量の総和を算出し、加熱量の総和の変動量が閾値以内となるように加熱量を補正する。尚このときの閾値は、加熱量の総和の変動に対する閾値が設定される。この閾値は、実験等により求められた値であり、フリッカの発生の防止を実現するための値である。
図16の例では、閾値を200とすると、3列目172の加熱量の総和と4列目173の加熱量の総和の間の変動量が閾値以上となる。よって加熱量補正部324は、変動量が閾値未満となるように、3列目172に含まれる加熱エリアの加熱量又は4列目173に含まれる加熱エリアの加熱量を補正する。このとき加熱量補正部324は、3列目172に含まれる加熱エリアの加熱量と4列目173に含まれる加熱エリアの加熱量の両方を補正しても良い。
また図16の例では、9列目178の加熱量の総和と10列目179の加熱量の総和の間の変動量が閾値以上となる。加熱量補正部324は、この場合も同様に、9列目178に含まれる加熱エリアの加熱量と10列目179に含まれる加熱エリアの加熱量を変動量が閾値未満となるように補正する。
尚本実施形態では、例えば主走査方向に複数加熱体201〜20nが存在する場合には、各加熱エリアへの加熱量の割り振りは、画像形成装置100の用途によって決めても良い。例えば本実施形態では、加熱体201〜20nのオン/オフの切り替えが少なくなるように加熱量を制御しても良い。この場合、加熱体301〜30Nの消耗を低減し、加熱体201〜20nの寿命を延ばすことができる。また本実施形態では、例えば加熱体20nがオンされる加熱エリアに続く加熱エリアも予め加熱するようにしても良い。この場合、定着性や生産性を有利にすることができる。
以上のように本実施形態では、画像形成時の加熱量の変動量が所定の閾値未満となるように加熱エリアの加熱量を補正するため、定着不良を起こさずに、フリッカの発生を抑制することができる。
また本実施形態は、画像の書込領域を所定エリアEmnの集合と捉え、各エリアを加熱体に対して割り当てる。したがって本実施形態では、加熱体の形状や数が変わったとしても、加熱体情報22がROM222に格納されていれば、加熱体にエリアを割り当てることができる。したがって本実施形態は、加熱体の形状や構成に関わらず適用することができ、汎用性を高めることができる。
さらに本実施形態では、エリアEmnに割り当てられた加熱体20nのみを定着温度まで加熱させる。このため本実施形態によれば、定着に係る電力を低減でき、効率良くトナーを定着させることができる。
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態では、画像が形成される領域をコントローラ制御部210から受け取った画像データとする点で第一の実施形態と相違する。よって以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図17は、第二の実施形態の画像形成装置の構成を説明する図である。
本実施形態の画像形成装置100Aは、書込制御部235Aと、CPU300Aを有する。本実施形態の書込制御部235Aは、コントローラ制御部210や読取制御部233からPCIバスを介して送られてきた画像データを、画像形成を行うLD(Laser Diode)ユニットやLED(Light Emitting Diode)ユニットに送信することで、用紙にパターンを書込み、プリントやコピーといった動作を行う。
本実施形態のエンジン制御部220Aは、CPU300A、RAM221、ROM222、電装制御部223を有する。
本実施形態のCPU300Aは、定着制御部350Aを有する。定着制御部350Aは、画像領域判断部360、加熱体選択部320A、加熱体駆動部330を有する。画像領域判断部310Aは、コントローラ制御部210から受け取った画像データを所定のエリアの集合として扱う。より具体的には画像領域判断部310Aは、画像データを所定のエリア毎のデータとし、エリア毎に各エリアにおける画像の有無を判断する。
以下に図18を参照して本実施例の画像領域判断部360について説明する。図18は、第二の実施形態の画像領域判断部の機能を説明する図である。
本実施形態の画像領域判断部360は、画像読み込み部361、画素カウント部362、画像有無判定部312A、加熱位置決定部313Aを有する。
本実施形態の画像読み込み部361は、コントローラ制御部210を介して入力される画像データを読み込む。読み込まれた画像データは、一時的にエンジン制御部220内のRAM221に格納されても良い。
画素カウント部362は、画像データの画素をカウントする。本実施形態の画素カウント部362は、主走査カウント部363と副走査カウント部364とを有し、画像データの画素を主走査方向と副走査方向にそれぞれカウントすることで、画像データを予め設定されたエリアの集合と判断する。すなわち本実施形態の画素カウント部362は、画素をカウントするデータが画像データとなる点以外は、第一の実施形態の画素カウント部243と同様の処理を行う。
主走査カウント部363は、画像データの主走査方向に画素をカウントする。副走査カウント部364は、画像データの副走査方向に画素をカウントする。本実施形態の主走査カウント部363は、画像データにおける1ラインの幅をカウントする。副走査カウント部364は、画像データの副走査方向に画素をカウントする。すなわち副走査カウント部364は、画像データにおけるラインの本数をカウントする。
以下に図19を参照して本実施形態におけるエリアの判断について説明する。図19は、画像データにおけるエリアの判断を説明する図である。
本実施形態の画素カウント部362は、第一の実施形態と同様に、画像データを予め設定した所定のエリアGのm行×n列の集合Emnと捉える。本実施形態では、所定のエリアGをX×Yの領域とした。尚X,Yの単位はミリメートルである。本実施形態では、X=Y=2とした。
本実施形態のCPU300Aは、所定のエリアG毎に対応したレジスタが設けられており、このレジスタには、画素カウント部362によるカウント値が格納される。
本実施形態の画素カウント部362は、画像データの左上から順に画像データの画素のカウントを開始する。
画素カウント部362の主走査カウント部363は、図19に示す画像データGの左上から主走査方向に画素のカウントを行い、各画素のカウント値をエリアG毎に対応したレジスタに格納する
主走査カウント部363が主走査方向に1ライン、すなわちX×nミリメートル分カウントすると、副走査カウント部364は、副走査方向にカウントしたライン数をカウントする。この場合、ライン数は1である。よってこのときは、エリアG11〜エリアG1nに対応するレジスタには、エリアG11〜エリアG1nそれぞれの1ライン目の画素のカウント値の和が格納されたことになる。
画素カウント部362は、エリアG21以降に対しても同様の処理を行い、エリアG11〜エリアGmnそれぞれの画素のカウント値の累積値を得る。
すなわち本実施形態の画像領域判断部360は、画素カウント部362により、画像データをXミリメートル×Yミリメートルのエリアに分割した際のエリア毎の画素カウント値の累積値を得る。
尚本実施形態では、画像データGに含まれるエリア数と同数のレジスタを有していても良い。この場合レジスタの数は、m×n個となる。また本実施形態では、レジスタの数を主走査方向に設けられたエリアの数と同様のn個としても良い。この場合CPU300は、エリアG1nまでのカウントが終了すると、n個のレジスタに格納された値を例えばRAM222等に一時的に格納させ、全てのレジスタに格納された値を消去しても良い。
本実施形態の画像有無判定部312Aは、第一の実施形態と同様の処理を行う。すなわち本実施形態の画像有無判定部312Aは、画素カウント部362により各エリアのカウント値の累積値が格納されたレジスタの値に基づき、各エリア内の画像の有無を判定する。具体的には画像有無判定部312Aは、レジスタの値が0のとき、対応するエリアを画像が無い非画像領域と判定する。また画像有無判定部312Aは、レジスタの値が0でないとき、対応するエリアを画像が有る画像領域と判定する。
本実施形態の加熱位置決定部313Aは、第一の実施形態と同様の処理を行う。すなわち本実施形態の加熱位置決定部313Aは、画像領域を加熱位置に決定する。加熱位置が決定されると、本実施形態の加熱体選択部320は、加熱位置に対応する加熱体20nを選択し、選択された加熱体20nにより加熱対象の画像領域を加熱する。
次に本実施形態の加熱体選択部320Aについて説明する。図20は、第二の実施形態の加熱体選択部の機能を説明する図である。
本実施形態の加熱体選択部320Aは、加熱体割当部321、加熱量算出部322、変動量算出部323、加熱量補正部324の各部に加え、レイアウト検知部325を有する。
本実施形態のレイアウト検知部325は、画像データが印刷される記録材が書込領域50上のどの位置にくるかを検知する。すなわち本実施形態のレイアウト検知部325は、書込領域51における画像データの位置を検知する。
本実施形態の加熱体割当部321は、レイアウト検知部325により書込領域51における画像データの位置が検知されると、画像データにおける画像領域の位置と、加熱エリアが重なる加熱体20nを画像領域に割り当てる。
以下に図21を参照して本実施形態のレイアウト検知部325の処理について説明する。図21は、第二の実施形態のレイアウト検知部による処理を説明する図である。
図21は、定着領域45に所定エリアGmnに分割された画像データGが配置された状態を示す概念図である。
本実施形態のレイアウト検知部325は、印刷要求を受け付けたときに記録材の搬送レイアウト(縦、横等)、記録材のサイズ、搬送速度に基づき、記録材の先端、後端、右端お及び左端が書込領域50のどの位置にくるかを検知する。続いてレイアウト検知部325は、書込領域50において記録材に定着される画像領域と重なる加熱エリアを検知する。
図21の例では、記録材Rの先端と左端が加熱エリア42と重なる。また記録材Rの先端の左端が加熱体20(n−1)の加熱エリア4(N−1)重なる。よって図21の例では、加熱体20nが割り当てられる画像領域は存在しないことがわかる。
また図21の例では、画像データGにおいて、エリアG11,G21,G22が画像領域である。エリアG11,G21は、加熱体201の加熱エリア42と、加熱体202の加熱エリア43に含まれる。よって加熱体割当部321は、加熱体201,202を画像領域であるエリアG11,G21に割り当てる。
またエリアG22は、加熱体202の加熱エリア43と、加熱体203の加熱エリア44に含まれる。よって加熱体割当部321は、加熱体202,203を画像領域であるエリアG22に割り当てる。
加熱体20nが画像領域に割り当てられた後の処理は、第一の実施形態と同様であるから説明を省略する。
以上のように本実施形態では、画像データを所定エリアに分割するため、定着制御で取り扱うデータは、エリア毎のカウント値となる。よって本実施形態では、画像データに基づく書き込み制御データをそのまま定着制御に用いる場合に比べて、定着制御の際に取り扱うデータ量を大幅に低減することができる。また本実施形態では、画像領域のエリアが割り当てられた加熱体20nのみを定着温度まで加熱させる。このため本実施形態によれば、定着に係る電力を低減でき、効率良くトナーを定着させることができる。
また本実施形態は、画像データを所定エリアの集合と捉え、各エリアを加熱体に対して割り当てる。したがって本実施形態では、加熱体の形状や数が変わったとしても、加熱体情報22がROM222に格納されていれば、加熱体にエリアを割り当てることができる。したがって本実施形態は、加熱体の形状や構成に関わらず適用することができ、汎用性を高めることができる。
(第三の実施形態)
以下に、図面を参照して本実施形態の第三の実施形態について説明する。第三の実施形態では、第一及び第二の実施形態で言及した加熱体201〜20nにおける加熱量の補正の詳細について説明する。以下の本実施形態の説明において、第一及び第二の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一及び第二の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
図22は、第三の実施形態の画像形成装置の構成を説明する図である。
本実施形態の画像形成装置100Bは、エンジン制御部220Bを有する。エンジン制御部220Bは、加熱体駆動部260、CPU300Bを有する。
本実施形態のCPU300Bは、定着制御部350Bを有する。定着制御部350Bは、画像領域判断部360、加熱体割当部321、加熱体制御部330Aを有する。
本実施形態の加熱体駆動部260は、加熱体200を駆動させる電力を加熱体200へ供給する。本実施形態の加熱体制御部270は、加熱体200の加熱量を制御する。本実施形態では、加熱体制御部270により加熱体駆動部260が制御される。
本実施形態の加熱体駆動部260は、加熱体200に供給される電力を制御する機能を果たす電源供給装置(PSU)である。加熱体駆動部260は、加熱体20nへ電力を供給する際に、緩やかに電力を増加させるソフトスタートと、加熱体200に対する電力の提供を遮断する際に、緩やかに電力を減らすソフトストップを実施する。すなわち本実施形態では、加熱体20nの加熱量を緩やかに増加させるソフトスタートと、加熱体20nの加熱量を緩やかに減少させるソフトストップとを実施することで、加熱体201〜20nにおける加熱量の補正を行う。
より具体的には、本実施形態の加熱体駆動部260は、加熱エリアにおける加熱体20nの加熱量の変動量が所定の閾値以上であったとき、ソフトスタートとソフトストップを実施する。
以下の説明では、加熱体20nの加熱量は、加熱体20nに提供される電力と対応しており、同義のものとする。
以下に、図23を参照して、本実施形態の定着装置128と、加熱体駆動部260及び加熱体制御部270の関係について説明する。図23は、第三の実施形態の定着装置の断面を示す図である。
本実施形態の定着装置128は、定着ローラ129及び加圧ローラ130を備えている。定着ローラ129及び加圧ローラ130は、加圧ローラ130により互いに圧接されており、定着ニップ部SNを形成する。定着ローラ129及び加圧ローラ130は、図示しない駆動手段により回転可能になっており、定着ニップ部SNにおいて用紙を挟持搬送する。
本実施形態の定着ローラ129は、搬送部材として機能するものであって、外径が40mmで厚みが例えば40μmのSUS製の基体129aと、この基体129aの表面に被覆された弾性層129bを有している。弾性層129bは、シリコーンゴムで形成されており厚みは例えば100μmである。定着ローラ129の表面には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFE等のフッ素系樹脂による厚みが例えば5〜50μmの離型層129cが形成されている。また、定着ローラ129の基体129aは、ポリイミドとしてもよい。定着ローラ129の内部にはベルト支持部材61が設けられているとともに、ニップ部SNの箇所にはニップ形成部材60が設けられている。定着ローラ129は、ベルト支持部材61およびニップ形成部材60において図示しない外部部材(側板)と接続されて支持される。
加圧ローラ130は、例えば外径が40mmで厚みが2mmの鉄製の芯金30aと、この芯金130aの表面に被覆された弾性層130bを有している。弾性層130bは、シリコーンゴムで形成されており厚みは例えば5mmである。弾性層130bの表面には、離型性を高めるために厚みが例えば40μm程度のフッ素樹脂層を形成するのが望ましい。加圧ローラ130は、図示しない付勢手段により定着ローラ129に圧接されている。
また、定着ローラ129の内部には、電力負荷となる加熱定着用の加熱体200が内蔵されており、加熱体制御部270により制御される加熱体駆動部260が接続されている。
加えて、定着ローラ129の加熱部材56に対向する位置には、定着ローラ129と加熱体200の接触状態を良好に保つための押圧ローラ40が設けられている。押圧ローラ40は、図示しない付勢手段により定着ローラ129に圧接されている。なお、押圧ローラ40は、パッドやブラシなど、定着ローラ129と加熱体200の接触状態が良好に保たれる機構であれば差し支えない。押圧ローラ40は、外径が例えば15mm〜30mmで、内径が例えば8mmの鉄製の芯金40aと、この芯金40aの表面に被覆された弾性層40bを有している。弾性層40bは、例えばシリコーンゴムで形成されており厚みは例えば3.5mm〜11mmである。弾性層40bの表面には、離型性を高めるために厚みが例えば40μm程度のフッ素樹脂層を形成するのが望ましい。
また、定着ローラ129の外周面には、定着ローラ129の表面温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ34が接触して配置されている。加えて、加熱体200には、加熱体200の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ36が配置されている。
加熱体制御部270は、サーミスタ34及びサーミスタ36の検知情報に基づいて加熱体駆動部260を制御する。
図24は、第三の実施形態の加熱体を概略的に示す模式図である。加熱体200は、図24に示すように、用紙の幅方向(用紙搬送方向に直交する方向)に分割配置された複数の加熱体20nで構成される加熱領域を有している。図24では、幅方向に14個の加熱体201,202,・・・,2013,2014からなる加熱領域を有する一例を示している。各加熱体201〜2014は、独立に定着ローラ129を加熱可能となっている。
以下に、図25を参照して本実施形態の加熱体駆動部260について説明する。図25は、第三の実施形態の加熱体駆動部の一例を説明する図である。
本実施形態の加熱体駆動部260には、商用交流電源(以下、AC電源という)238からのAC電力が供給される。
加熱体駆動部260は、定着装置128の加熱体200を構成する加熱体201〜2014のオン/オフ制御のために使用する駆動回路C1〜C14を備えている。各駆動回路C1〜C14は、加熱体201〜2014への給電を司る温度制御用トライアックT1〜T14と、温度制御用トライアックT1〜T14の給電の開始と停止のトリガ素子として機能するフォトカプラP1〜P14と、トランジスタt1〜t14とを各加熱体201〜2014に対応させて備えている。
すなわち、温度制御用トライアックT1〜T14は、各負荷のオン/オフを選択的に制御可能な負荷制御手段である。本実施形態の温度制御用トライアックT1〜T14は、2つのサイリスタを逆向き、かつ並列に接続した素子である。フォトカプラP1〜P14は、非ゼロクロススイッチングタイプであり、これによって、AC電源238の任意の位相角で加熱体201〜2014への電力の供給を制御できる。任意の位相角は、加熱体制御部270からのヒータトリガ信号の指示により決まる。
加熱体制御部270は、AC電源238により印加される電源電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出回路(図示せず)から出力されるゼロクロス信号を基準に、ヒータトリガ信号を出力制御する。
温度制御用トライアックT1〜T14は、トランジスタt1〜t14を介して加熱体制御部270から入力されるヒータトリガ信号がオンになり(印加される)、フォトカプラP1〜P14がオンに切り換わり、ゲート端子に規定以上の電圧が印加されたときにオンとなる。これにより、AC電源238の電力が加熱体201〜2014に供給されて、加熱体201〜2014がオンされる。一方、温度制御用トライアックT1〜T14は、トランジスタt1〜t14を介して入力されるヒータトリガ信号がオフになると、フォトカプラP1〜P14がオフに切り換わり、ゲート端子が規定電圧以下になってオフとなる。これにより、加熱体201〜2014に対するAC電源238の電力の供給が遮断される。
次に、図26を参照して本実施形態の加熱体制御部270について説明する。図26は、第三の実施形態の加熱体制御部の機能構成を説明する図である。
本実施形態の加熱体制御部270は、変動算出部271、閾値判定部272、電力制御部273を有する。
本実施形態の変動算出部271は、用紙搬送方向に直交する方向における画像領域と非画像領域に基づいて、加熱体201〜2014に対する所定時間毎の電力投入の変動量を算出する。
閾値判定部272は、変動算出部271で算出した電力投入の変動量が閾値をより大きいか否かを判定する。
電力制御部273は、閾値判定部272により電力投入の変動量が閾値以上と判定した場合、加熱体駆動部260を制御し、画像領域に対応する加熱体201〜2014をオンさせる際に電力を緩やかに増加するソフトスタートまたは加熱体201〜2014をオフさせる際に電力を緩やかに減らすソフトストップを実施する。
以上のように構成された画像形成装置100Bにおける電力制御処理について、図27を参照しながら説明する。
図27は、画像に応じた加熱例を示す模式図である。図27(a)は、用紙搬送方向の下流側において用紙搬送方向と直交する方向である加熱体200の長手方向において、画像領域と非画像領域とが存在する画像データが用紙上に転写された例を示している。
加熱体制御部270は、トナーを用紙に定着させるために、トナーが載っている箇所に対応する加熱体201〜2014をオンさせる。
尚、本実施形態では、画像領域判断部310と加熱体割当部321により、画像領域に対応する加熱体20nが割り当てられており、加熱体制御部270は、どの加熱体201〜2014をオンさせる必要があるかを事前に把握している。
図27(b)に示す四角形状のマスは、画像領域に割り当てられたて加熱体20nがオンされる加熱エリアを示す。本実施形態の加熱エリアは、主操作方向の長さL1が加熱体20nの幅で決まり、用紙搬送方向(副走査方向)の長さL2が定着ローラ129の回転速度に応じた加熱体20nの移動距離によって決まる。
本実施形態の加熱体制御部270において、変動算出部271は、加熱エリアの個数と消費電力の解析も実施する。
尚、消費電力は、実際は温度制御を行うため、加熱体20nの温度を最高温度まで上昇させない可能性があるが、本実施形態においては簡略に説明するため、加熱エリアにおいて加熱体20nの温度を最高温度まで上昇させる(以下、フル点灯と呼ぶ。)前提で説明する。また、以下の説明では、加熱体20nをフル点灯させた際に80Wの電力を消費するものとする。
図27(b)は、図27(a)に示したような原稿画像に対して加熱体201〜2014を制御することにより、温度を高くする領域(画像領域)を網掛け部分Xで示したものである。なお、図27(b)では、用紙搬送方向と直交する各ラインにおいて、オンされる加熱体20nの個数と、その消費電力とを示している。
本実施形態において、閾値判定部272は、オンされる加熱体201〜2014の個数および消費電力の解析の際に、所定時間単位の電力変動が閾値以上か否かの判断処理をおこなう。本実施形態においては、フリッカが発生すると判定する電力変動の閾値を400Wとする。図27(b)に、図27(a)の原稿画像における電力変動が400W以上であるか400W以下であるかを示す。
本実施形態の電力制御部273は、電力変動が400W以下であると判定したラインについては、ソフトスタート/ソフトストップを実施しない。一方、電力制御部273は、加熱体駆動部260に、電力変動が400W以上であると判定したラインについては、ソフトスタートあるいはソフトストップを実施させる。
図27(c)は、図27(a)に示したような原稿画像に対して加熱体201〜2014を制御することにより、温度を高くする領域(画像領域)を網掛け部分Xで示し、ソフトスタート/ソフトストップを実施する領域を梨地部分Yに示したものである。尚、網掛け部分Zは、電力変動が400W以下であると判定したためにソフトスタート/ソフトストップを実施しなかった領域を示す。
このように本実施形態によれば、電力変動が400W以下である場合にはソフトスタート/ソフトストップを実施せず、電力変動が400W以上である場合にソフトスタートあるいはソフトストップを実施するようにしたので、消費電力の低減を測ると共に、ちらつき改善との両立を図ることができる。
以下に図28を参照して本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、消費電力の変動量が閾値以上の場合にのみ、ソフトスタート又はソフトストップを実施することで、フリッカの発生を抑制しつつ省エネルギー化に貢献する。
図28は、第三の実施形態よる効果を説明する図である。図28(a)は、画像領域の前後でソフトスタート又はソフトストップを実施した場合の加熱例を示す模式図であり、図28(b)は本実施形態を適用した場合の加熱例を示す模式図である。
図28(a)では、加熱体201〜2014(14個×80Wの加熱体20n)をオンさせる必要は無く、画像領域に対応する加熱体20nのみオンさせる。したがって、主走査方向において最大9個の加熱体20nをオンさせ、電力消費量は720W(9×80W)となる。また図28(a)では、オンされる加熱体20nが、9個から3個へと切替わるラインがある。
図28の例では、画像領域の前後でソフトスタート又はソフトストップを実施するため、加熱体20nが9個オンされる前に9個の加熱体20nに対してソフトスタートが実施される。またオンされる加熱体20nの個数が切り替わるラインでは、9個の加熱体20nのうち、6個の加熱体20nについてソフトストップを実施する。さらに、図28(a)の例では、オンされる加熱体20nの個数が、3個から0個へと切替わるラインがある。図28の例では、このラインでも、3個の加熱体20nに対してソフトストップを実施する。この場合、画オンされる加熱体20nの個数が0となる領域においても、ソフトスタート/ソフトストップを実施する領域(梨地部分Y)が存在している。すなわち図28(a)の例では、非画像領域においてソフトスタート/ストップを実施することで、定着に使用されない電力が消費される。
これに対し、図28(b)では、これは、例えばオンされる加熱体20nが3個から0個へ切り替わったときの消費電力の変動量が、閾値未満であるため、枠Oで示す箇所のソフトストップを実施しない。したがって、図28(b)の例では、図28(a)に示す例と比較して、消費電力を低減することができる。
尚、本実施形態においてはフル点灯1箇所当たりの消費電力量を80Wとしたが、実
際は温度制御で変動する。温度制御により電力量を1箇所当たり低減する場合、閾値判定部272は、温度制御により低減した消費電力に基づき、ソフトスタート/ソフトストップを実施するか否かを判定しても良い。
また、本実施形態では、加熱体201〜2014の電力投入の変動量として、消費電力量を適用したが、消費電力量ではなく、加熱部材56を構成するヒータの加熱対象個数を電力投入の変動量と設定しても良い。この場合、ソフトスタートあるいはソフトストップを実施するか否かを判定する閾値は、加熱対象となる加熱体20nの数が5個以上(400W=5個×80W)としても良い。このようにすれば、消費電力の計算ではなく、加熱エリアの数でソフトスタートあるいはソフトストップの実施を判断できる。したがって、ソフトウェアによる簡単な構成の制御で、消費電力の低減とフリッカの防止との両立を図れる効果がある。
尚、本実施形態における閾値の400Wは、事前の実験や経験から算出した数値である。一例であるので、装置によっては別の数値としても実施には差し支えない。
また、本実施形態における加熱エリアは、例えば第一の実施形態に記載したように、点灯制御信号に基づき画像領域と判定されたエリアEmnに割り当てられた加熱体20nにより加熱されるエリアとしても良い。また本実施形態の加熱エリアは、第二の実施形態に記載したように、画像データに基づき画像領域と判定されたエリアEmnに割り当てられた加熱体20nにより加熱されるエリアとしても良い。
(第四の実施形態)
次に、第四の実施形態について説明する。なお、前述した第三の実施形態と同じ部分は
同じ符号で示し説明も省略する。
図29は、第四の実施形態にかかる画像データに応じた加熱例を示す模式図である。図29は、図27(a)に示したような原稿画像が2部以上複写される場合を想定している。図29は、用紙搬送方向の下流側が1部目、用紙搬送方向の上流側が2部目の定着画像を示すものである。また、図29においては、定着ローラ129の外周の長さを20分割した値を、加熱エリアの用紙搬送方向における長さL2とした。図29において、2巡目の"1"、"2"、"3"の数値は、定着ローラ129が1回転したことを示す。
本実施形態では、第三の実施形態で説明と同様に、電力変動が400W以下である場合にはソフトスタート/ソフトストップを実施せず、電力変動が400W以上である場合にソフトスタートあるいはソフトストップを実施することにより、消費電力の低減を測ると共に、ちらつき改善を図ることができる。
また、本実施形態においては、電力制御部273は、定着ローラ129が回転することに着目し、定着ローラ129が1回転した後に加熱体201〜2014による加熱対象となる部分を優先して、ソフトスタート/ソフトストップを実施するようにした。
図29に示す網掛け部分V(2周目の網掛け部分W)は、定着ローラ129が1回転した後に、加熱体201〜2014を制御することにより温度を高くする部位となるエリアである。すなわち、網掛け部分Wは、定着ローラ129が1回転した後に、定着温度H3まで温度を上げる必要がある。よって本実施形態では、網掛け部分Vで示す箇所を予め予熱しておくことで、次周に投入電力量を若干減らすことができ、省エネルギー化に貢献することができる。
尚、網掛け部分Vに対応する加熱体20nに予熱として与える電力投入量は、最低限の電力を加熱体201〜2014の個数で平均化して求めても良いし、その他の方法で求めても良い。
例えば図27の例において、定着ローラ129が1回転した後にソフトスタート/ソフトストップが実施されるエリアである梨地部分Yに対応する加熱体20nに予熱として与えられる電力投入量を360W(9×40W)とする。この電力投入量を、例えば本実施形態において予熱として投入する最低限の電力とした場合、本実施形態における図29に示す網掛け部分Vに対応する加熱体20nの消費電力は、72W(360W÷5個)となる。
尚、網掛け部分Vを加熱する加熱体20nついては、提供する電力を変動させる必要がある。具体的なやり方は、例えば加熱体20nに供給される駆動信号41がHレベルの時間を長くすることで実施する。
また、図29に示すように、加熱体2013に対応する位置は、用紙搬送方向において非画像領域がある。非画像領域では、加熱体2013をオンさせる必要がない。したかって、加熱体2013に対応する位置については、ソフトスタート/ソフトストップを実施する対象とはしないことで、電力の無駄を省くことができる。
(第五の実施形態)
次に、第五の実施形態について説明する。なお、前述した第三の実施形態または第四の
実施形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
図30は、第五の実施形態の定着装置の断面を示す図である。本実施形態の定着装置128Aは、加熱体駆動部260Aから出力された電力を、キャパシタ等の蓄電部400に充電できる点で、第三の実施形態または第四の実施形態と異なる。
尚、加熱体駆動部260A、図示は省略するが、商用電源からの電力と、蓄電部400からの電力とが入力される。
本実施形態の加熱体制御部270Aは、加熱体駆動部260Aに入力された商用電源からの電力や蓄電部400からの電力を、加熱体200に対して供給する制御を行う。
さらに、蓄電部400は、DC電源237に対しても蓄電された電力を出力できる構成となっている。DC電源237に出力された電力は、定着装置128以外の部分へのDC電力を供給する構成となっている。
図31は、第五の実施形態の加熱体駆動部の一例を説明する図である。
本実施形態の加熱体駆動部260Aは、スイッチング素子Trc(トライアック)T1〜T14と、充電用出力電力調整器239と、リレー回路410、420とを有する。
本実施形態では、例えば電圧変動やフリッカ改善のための画像領域前後で加熱体20nに予熱を与える場合に、この予熱を蓄電部400に充電して一時的に蓄電する動作を実施する。以下の本実施形態の説明では、画像領域前後に加熱体20nに与える予熱を中間電力と呼ぶ。
本実施形態の中間電力は、待機電力と定着加熱電力の中間値であれば良い。待機電圧とは、例えば加熱体20nの温度をベース温度領域又は紙温度領域内の温度とするために消費される電力である。定着加熱電力とは、加熱体20nの温度を定着温度領域内の温度とするために消費される電力である。
本実施形態の中間電力は、例えば加熱体制御部270Aにおいて、変動算出部271により、画像領域に割り当てられた加熱体20nに供給される電力に基づき算出されても良い。また本実施形態では、例えば待機電力と定着加熱電力とが予め設定されており、両者に基づき中間電力を算出しても良い。また本実施形態では、例えば中間電力を定着加熱電力の所定のパーセントの電力として予め設定されていても良い。また本実施形態では、例えば待機電力と定着加熱電力とが得られたら、両者の平均値を算出し、中間電力としても良い。本実施形態の中間電力は、加熱体制御部270Aの指示に基づき、充電用出力電力調整器239で生成される。
本実施形態では、リレー回路410により、蓄電部400の接続先が充電用出力電力調整器239(充電側)とされたとき、蓄電部400に電力が蓄電される。また本実施形態では、リレー回路410により、蓄電部400の接続先が放電側とされ、且つリレー回路420により、蓄電部400の接続先が加熱体20n又はDC電源とされたとき、蓄電部400に電力が加熱体20n又はDC電源へ放電される。
このように、本実施形態では、非画像領域において、加熱体20nに予熱を与えるために消費されていた電力を中間電力として一時的に蓄電し、画像領域における加熱体20nの加熱に用いるため、電力を有効に利用することができる。
本実施形態のAC電源238は、加熱体201〜2014に各スイッチング素子Trc(トライアック)T1〜T14を介して接続されている。本実施形態では、加熱体制御部270Aからの各制御信号によって、各加熱体201〜2014の加熱制御が可能である。スイッチング素子Trc(トライアック)T1〜T14を制御するには、フォトカプラやトランジスタや抵抗で周辺回路を構成することが必要であるが、図31ではこれらの回路は省略している。
AC電源238は、充電用出力電力調整器239に接続されている。加熱体制御部270Aは、制御信号によって、充電用出力電力調整器239の出力電力を自由に調整できる。より具体的には、加熱体制御回路270Aは、加熱体20nに対する電力の供給の遮断から加熱体20nをフル点灯させる電力の供給まで、電力の出力を制御できる。充電用出力電力調整器239から出力された電力は、リレー回路410が加熱体制御部270Aによって充電用出力電力調整器239に接続されている場合、蓄電部400に蓄電され、蓄電部400に一時的に電力を蓄えることができる。
本実施形態では、加熱体制御部270Aが、リレー回路410の接続先を放電側とし、リレー回路420の接続先を加熱体20nとした場合、蓄電部400と加熱体201〜2014とが各スイッチング素子FETを介して放電回路を形成する。したがって、加熱体制御部270Aは、FET制御信号を出力することによって、蓄電部400に充電されている電力を加熱体201〜2014に供給することができる。尚、加熱体制御部270Aは、各FETをON制御する場合は、必ずそれぞれに対応する各Trc(トライアック)T1〜T14はOFFに制御しておく必要がある。
また本実施形態では、加熱体制御部270Aが、リレー回路410の接続先を放電側とし、リレー回路420の接続先をDC電源とした場合、蓄電部400とDC電源とが接続され、、蓄電部400に蓄えられた電力はDC電源237に出力される。この場合、DC電源237には加熱体制御部270Aから制御信号が出力されて、DC電源237の入力を蓄電部400からのDC入力に切り替える。
本実施形態のDC電源237は、通常の動作は、AC電源238から供給されるAC電圧で動作してDC電圧を出力するようになっているが、蓄電部400からの放電エネルギーを使用するときのみ、蓄電部400から入力されるDC電圧で動作する。DC電源237から出力されたDC電圧は、定着装置128A以外の部分に対する電力として使用される。
このような構成により、本実施形態の加熱体制御部270Aは、加熱体20nに提供される電力を逐次事前把握し、電力の変動量が閾値以上のときに、画像領域の直前直後の非画像領域で中間電力を蓄電部400に一時的に蓄電する。
逆に言えば、本実施形態では、電力の変動量が閾値を越えない場合は、加熱体制御部270Aは、画像領域の直前直後の非画像領域では中間電力で蓄電部400に一時的に蓄電することを実施しない。
以上のように本実施形態では、画像領域と非画像領域において加熱体20nに供給される電力の変動量が閾値以上の場合、画像領域に対応する加熱体20nに電力の供給を開始する前に中間電力を生成して蓄電部400へ蓄電する。そして本実施形態では、画像領域に対応する加熱体20nを加熱する際に、蓄電部400に蓄電された電力(以下、蓄電電力と呼ぶ。)を加熱体20nに対して放電する。したがって本実施形態においてAC電源238は、加熱体20nの定着加熱電力から、中間電力を差し引いた電力のみを加熱体20nに供給すれば良い。
その結果として、AC電源238から加熱体20nに提供される電力の変動量は小さくなり、フリッカの発生を防止できる。
また本実施形態では、加熱体20nに供給される電力の変動量が閾値未満の場合、フリッカが発生しないと判断されるため、蓄電部400への蓄電を行わない。したがって本実施形態では、必要以上に電力を消費することがなく、省エネルギー化に貢献することができる。
本実施形態では、加熱体20nに供給する電力の変動量に応じて中間電力の蓄電を行った場合、図28(b)に示すように、枠Oで示す箇所の部分は蓄電部400に対する中間電力での蓄電が実施されない。よって、省エネルギー化を図ることができる。
尚、本実施形態の蓄電電力は、上述したように、定着加熱電力の一部として使用される以外にも、以下のように使用することで、有効活用できる。
・画像後端部において、電力変動が閾値未満の画像領域の定着加熱電力として使用する。
この場合、蓄電電力は、変動が小さいところで定着加熱電力として再利用されるため、フリッカが問題になることはなく、電力を有効活用できる。
・定着加熱電力以外のDC電源の電力として使用する。
この場合、蓄電電力は、加熱体20nの加熱以外に用いることができるため、電力を有効活用できる。また、例えば蓄電電力を、定着加熱電力に限定して使用した場合、放電のタイミングが逸される場合がある。そこで本実施形態では、蓄電電力を、常に電力消費しているAC−DC電源等に放電することで、速やかな放電が可能となる。
また、蓄電部400の容量が小さい場合や画像によっては、蓄電電力を次の蓄電までに放電できない可能性がある。このような場合、蓄電部400を充電できないことが予想される。そこで本実施形態では、フリッカの発生を防止するために、蓄電される予定である中間電力を非画像領域で定着加熱電力として強制的に消費させても良い。
さらに本実施形態では、画像や蓄電部400の残量の状態によっては、中間電力の消費が必要な場合でも十分な蓄電が行えない場合が考えられる。このような場合のために、加熱体制御部270Aでは、蓄電部400の残量を検知する機能を備えても良い。そして加熱体制御部270Aは、十分な蓄電が行えないと判断した場合には、画像領域前後での中間電力を加熱体201〜2014に供給させても良い。
また本実施形態の加熱体制御部270Aは、例えば蓄電部400の残量が所定値以上となった場合に、蓄電電力を放電し、上述した各用途に活用させても良い。
また本実施形態の加熱体制御部270Aは、加熱体20nで用紙1枚分の画像を定着させるために必要となる電力を蓄電電力でまかなえるか否かを判断し、まかなえる場合に加熱体20nに対して蓄電電力を放電しても良い。
このように本実施形態によれば、中間電力が蓄えられた蓄電部400からの放電エネルギーを、加熱体201〜2014やDC電源237への供給することで、電力を有効利用することができる。
要するに、本実施形態では、画像領域と非画像領域とにおいて、加熱体20nに供給される電力の変動を検出し、変動が閾値以上の場合は、画像領域の前後で中間電力を擬似的に生成し、中間電力は一時的に蓄電部400に蓄えて、しかる後に有効利用することが特徴になっている。
本実施形態では、以上の構成により、画像領域の直前直後の非画像領域では、蓄電によって擬似的に電力消費し、非画像領域から画像領域へ遷移する際及び画像領域から非画像領域へ遷移する際の急激な電力変動を抑えることができる。
すなわち本実施形態では、定着において消費される電力の遷移を、"非画像領域の小電力→画像領域の大電力"または"画像領域の大電力→非画像領域の小電力"から、"非画像領域の小電力→蓄電の中間電力→画像領域の大電力"または"画像領域の大電力→蓄電の中間電力→非画像領域の小電力"とすることによって、急激な電力の変動を抑制し、フリッカの発生を防止することができる。
また、本実施形態の蓄電電力は、定着加熱電力以外の電力として有効利用できるので、省エネルギー性に優れた定着装置を提供することができる。
尚、上記実施形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する画像形成装置に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。