《第1の実施形態》
本発明の第1の実施形態に係る電子機器について以下説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子機器100の内部の平面図である。図2は、図1に示す電子機器100から熱伝導シート101を取り外した構成を示す平面図である。図3Aは、図1に示すS−S線の断面図である。図4は、図1に示すT−T線の断面図である。ここで、図1、図2は、電子機器100の内部を筐体40の天板40A側から天板40Aを透視して見た図である。
電子機器100は、図1、図2に示すように、筐体40と、回路基板Pと、熱伝導シート101と、を備える。電子機器100は、例えばモバイル機器、ポータブル周辺機器、又は据え置き型のネットワーク機器、表示機器、照明機器、家電機器である。
ここで、モバイル機器は、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、ポータブルゲーム機、デジタルビデオなどである。ポータブル周辺機器は、例えば外付けのハードディスクドライブ機器、フラッシュメモリドライブ機器(SSD)、ポータブルブルーレイディスク再生機器、ポータブルDVD再生機器、モバイル無線ルータなどである。据え置き型のネットワーク機器は、例えば据え置き型無線ルータ、ネットワークハブ、ネットワークサーバーなどである。表示機器は、例えばLCD、PDPなどである。照明機器は、例えばLED照明、HIDランプなどである。家電機器は、例えば冷蔵庫、エアコンなどである。
筐体40は、直方体であり、回路基板Pと熱伝導シート101とを収納する。筐体40は、樹脂から構成されている。この樹脂は、例えばABSやポリカーボネイトである。筐体40の内部には、図1〜図4に示すように、所定の回路パターン(不図示)が形成された回路基板Pが取付けられている。なお、筺体40は金属から構成されていてもよいし、金属または合金と樹脂との複合材料から構成されていてもよい。
回路基板P上には、電力の供給を受けて発熱する電子部品50、51、52、53と、電磁波の受信または送信を行うアンテナA1、A2とが実装されている。さらに、回路基板P上には、電子部品51を覆う金属ケース61と、電子部品52、53を覆う金属ケース62とが取り付けられている。
なお、筐体40が、本発明の「収納体」に相当する。また、電子部品50が、本発明の「発熱部品」に相当する。また、電子部品51と金属ケース61の複合体も、本発明の「発熱部品」に相当する。また、電子部品52、53と金属ケース62の複合体も、本発明の「発熱部品」に相当する。
電子部品50は、例えばCPU、GPU、ベースバンドIC(BBIC)、パワーマネージメントIC(PMIC)、フラッシュメモリ、SIMカードスロット、SDカードスロット、パワーアンプモジュール(PAM)、カメラモジュール、リチウムイオン二次電池などのバッテリー等である。
また、電子部品51、52、53及びアンテナA1、A2は、通信システムを構成する。この通信システムは例えば、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)、UMTS(Universal MobileTelecommunications System)、LTE(Long Term Evolution)、WLAN(Wireless LAN)、BT(Bluetooth(登録商標))、NFC(Near Field Communication)などである。
電子部品50、51、52、53のそれぞれは、エポキシ樹脂等によりモールドされている。これにより、電子部品50、51、52、53のそれぞれにおける熱伝導シート101側の主面(天面)は、平坦な正方形状を有している。この実施形態において、電子部品50、51、52、53のそれぞれの大きさは、全て同じであり、長さ10mm×幅10mm×高さ0.5mmである。ただし、実施の際は、この大きさに限るものではない。
また、電子部品51は、熱伝導性接着層31を介して金属ケース61、62に接続されている。また、電子部品52、53は、熱伝導性接着層32、33を介して金属ケース62に接続されている。
熱伝導性接着層31、32、33は、図3A、図4に示すように、シリコーン樹脂を主成分としてAlなどの導電性粒子やシリカやセラミック粒子等のフィラーを配合したものである。なお、熱伝導性接着層31、32、33は、電子部品51、52、53の天面の全部に形成されるのが好ましいが、少なくとも当該天面の中央部を中心とした広範囲に形成されていればよい。
金属ケース61は、図1〜図3Aに示すように、前記通信システムを構成する電子部品51を電磁シールドするために設けられている。また、金属ケース62は、図1、図2、図4に示すように、前記通信システムを構成する電子部品52、53を電磁シールドするために設けられている。
金属ケース61の面積は、電子部品51を被覆できるよう、電子部品51の面積より大きい。また、金属ケース62の面積は、電子部品52、53を被覆できるよう、電子部品51の面積と電子部品52の面積との和より大きい。また、金属ケース61、62のそれぞれの高さは、電子部品50、51、52、53のそれぞれの高さより少し高い。金属ケース61、62のそれぞれにおける熱伝導シート101側の主面(天面)は、平坦な長方形状を有している。
なお、この実施形態では図1に示すように、金属ケース61、62に被覆されている電子部品51、52、53と、金属ケース61、62に被覆されていない電子部品50とが回路基板Pに実装されているが、これに限るものではない。同様に、この実施形態では金属ケース61、62のそれぞれの天面が長方形状になっているが、これに限るものではない。実施の際は、製造する電子機器に応じて適宜回路設計すればよい。
次に、熱伝導シート101は、図1、図3A、図4に示すように、電子部品50及び金属ケース61、62に対向する第1平面部110、111、112と、電子部品50及び金属ケース61、62に対向しない第2平面部120と、第1平面部110、111、112及び第2平面部120を接続する接続部130、131、132と、を有する。
なお、この実施形態では、熱伝導シート101の大きさが回路基板Pの大きさとほぼ同じであるが、これに限るものではない。実施の際は、熱伝導シート101の大きさが回路基板Pの大きさより小さくてもよい。同様に、熱伝導シート101の形状も、長方形に限らず、正方形でもよいし、筺体40の内面の形状に合わせて様々な形状のカッティングパターンにしてもよい。
熱伝導シート101には、アンテナA1、A2に対向する領域に円形の開口部71と長方形の切欠部72が形成されている。また、熱伝導シート101は、第1平面部110、111、112が第2平面部120より回路基板P側へ突出するよう、変形している。
ここで、熱伝導シート101は、一枚のラミネートシートに対して金型による打ち抜き加工および絞り加工を施すことにより、製造されている。この深絞り加工は、電子部品50及び金属ケース61、62の設置箇所に合わせて第1平面部110、111、112を容易に形成することができる。また、絞り加工は絞り加工後の曲げ応力が小さく保形性に優れている。
そのため、絞り加工後の熱伝導シート101は、両面粘着テープ等の粘着材が無くとも、回路基板Pに接触した状態、あるいは該回路基板Pに近接した状態を維持することが可能である。
なお、この実施形態では、打ち抜き加工により開口部71と切欠部72を熱伝導シート101に形成しているが、これに限るものではない。実施の際は、例えばレーザー加工やカット刃加工などにより開口部71と切欠部72を熱伝導シート101に形成してもよい。
同様に、この実施形態では、絞り加工により熱伝導シート101を変形させているが、これに限るものではない。実施の際は、絞り加工以外の変形方法、例えば真空成形やブロー成形により熱伝導シート101を変形させてもよい。
また、この実施形態では、開口部71と切欠部72の両方が熱伝導シート101に形成されているが、これに限るものではない。実施の際は、開口部71または切欠部72のいずれか一方が熱伝導シート101に形成されていてもよい。また、開口部71または切欠部72の形状も円形や長方形に限らず、正方形などの他の形状でもよい。同様に、第1平面部110、111、112の形状も長方形に限らず、円形や正方形などの他の形状でもよい。
第1平面部110は、図3Aに示すように、電子部品50の天面に接続するため、第2平面部120より回路基板P側へ第1の深さZ1で突出している。第1平面部111は、図4に示すように、金属ケース61の天面に接続するため、第2平面部120より回路基板P側へ第2の深さZ2で突出している。同様に、第1平面部112は、図4に示すように、金属ケース62の天面に接続するため、第2平面部120より回路基板P側へ第2の深さZ2で突出している。
ここで、第2の深さZ2は、金属ケース61、62のそれぞれの高さが電子部品50の高さより高い分、第1の深さZ1より短い。なお、第1の深さZ1及び第2の深さZ2のそれぞれは0.5〜2mmであり、例えば第1の深さZ1が0.9mm、第2の深さZ2が0.7mmである。
また、第1平面部110、111、112における回路基板P側の面は、両面粘着テープ150、151、152を介して電子部品50及び金属ケース61、62に接合している。また、第2平面部120における回路基板Pとは逆側の面は、両面粘着テープ160を介して、天板40Aの内面に接合している。この天板40Aは、筐体40の一部を構成する板である。
なお、図3Bは、第1平面部110における回路基板P側の面が、電子部品50に(例えば100μm以下の間隔で)近接している例を示している。第2平面部120の回路基板Pとは逆側の面は、両面粘着テープ160を介して天板40Aの内面に接合している。このように、第1平面部110と電子部品50とが熱結合していれば、必ずしも第1平面部110と電子部品50とが接合していなくてもよい。
また、図3Cは、第2平面部120の回路基板Pとは逆側の面が、天板40Aの内面に(例えば100μm以下の間隔で)近接している例を示している。第1平面部110の回路基板P側の面は、両面粘着テープ160を介して電子部品50に接合している。このように、第2平面部120と天板40Aの内面とが熱結合していれば、必ずしも第2平面部120と天板40Aの内面とが接合していなくてもよい。
ここで、第1平面部における発熱部品側の面は発熱部品に熱結合していることとは、第1平面部における発熱部品側の面は発熱部品に接合または近接していることを意味する。また、第2平面部における発熱部品とは逆側の面は収納体の内面に熱結合していることとは、第2平面部における発熱部品とは逆側の面は収納体の内面に接合または近接していることを意味する。
両面粘着テープ150、151、152、160は、図3A、図4に示すように、例えばシリコーン樹脂を主成分として導電性フィラーが配合したシリコーンテープで構成されており、高い熱伝導性および低抵抗を有する。
なお、両面粘着テープ150、151、152、160の厚みは10〜200μmで、例えば両面粘着テープ150、151、152が50μm、両面粘着テープ160が100μmである。
なお、両面粘着テープ150、151、152は、電子部品51及び金属ケース61、62の天面の全部に貼付されるのが好ましいが、少なくとも当該天面の中央部を中心とした広範囲に貼付されていればよい。
また、両面粘着テープ160は、第2平面部120における回路基板Pとは逆側の面の全体に貼付されるのが好ましいが、少なくとも当該面の中央部を中心とした広範囲、あるいは中央部を除いて端部周辺に貼付されていればよい。両面粘着テープ150、151、152、160は、エポキシ樹脂やアクリル樹脂やポリイミド樹脂のような粘着剤からなる両面粘着テープやゴムでもよい。両面粘着テープ150、151、152、160は、繰り返し貼り付け可能な粘着性を有するものでもよい。電子機器100の修理などの保守性に優れる。また、両面粘着テープ150、151、152、160は、シリコーングリースのような放熱グリースでもよい。さらに、両面粘着テープ150、151、152、160に加えてネジ等で熱伝導シート101を電子部品50、51、52、53、回路基板Pまたは筺体40に固定してもよい。
そして、接続部130は、第1平面部110の周囲に形成されている。同様に、接続部131は、第1平面部111の周囲に形成され、接続部132は、第1平面部112の周囲に形成されている。接続部130、131、132のそれぞれは、絞り加工により、R形状を有している。このRは1〜3mmで、例えば1mmである。
なお、熱伝導シート101の金属層140を、筺体40に設けられた金属部(不図示)などを介して、回路基板Pのグランド(不図示)と電気的に接続してもよい。これにより、外部からのノイズや、人体による静電気が回路基板Pに侵入して電子部品50〜53を破壊することを防止できる。熱伝導シート101の金属層140を露出させて金属板などと接続してもよいし、ネジやリベットなどで熱伝導シート101の金属層140を貫通させて接続してもよい。
次に、熱伝導シート101の構造について説明する。
図5は、図1に示す熱伝導シート101の拡大断面図である。熱伝導シート101は、金属層140の回路基板P側に形成された第1絶縁層141と、金属層140と、金属層140の回路基板Pと逆側に形成された第2絶縁層142とを含み、これらが順に積層された構造を有している。熱伝導シート101は、所謂一体化されたラミネートシートである。熱伝導シート101の厚みは80〜150μmで、例えば120μmである。
金属層140は、アルミニウムから構成されている。金属層140の厚みは、80μmである。金属層140及び第1絶縁層141は、5μm程度のウレタン系接着剤等により貼付されている。同様に、金属層140及び第2絶縁層142も、5μm程度のウレタン系接着剤等により貼付されている。筺体内輻射を高め、熱伝導シート101の放熱性をより向上させるために、熱伝導シート101に対してアルマイト処理を施してもよい。熱伝導シート101に熱放射性の高い放熱塗料をコーティングしてもよい。アルミニウムの調質としては、軟質、硬質いずれでも構わないが、絞り加工などの加工性を考慮すれば軟質の方が好ましい。
なお、金属層140の材料は、アルミニウム合金や銅または銅合金、ステンレスなどを用いてもよい。また、金属層140が異なる材料で多層構造を有してもよい。金属層140は網目状のような不連続な構造体や、表面積を向上させるためにエンボス加工を施した構造体でもよい。また、金属層140の厚みは、熱伝導シート101の柔軟性と保形性の面から40〜120μmの範囲が好ましい。
また、熱伝導シート101の熱伝導性は金属層140の厚みが厚いほど高くなるが、熱伝導シート101の製造コスト(例えばRoll to Roll製法で製造可能な金属層140の厚み)を考慮すると、金属層140の厚みは、100μm以下、特に80μm以下であることが好ましい。
第1絶縁層141及び第2絶縁層142は、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成されている。第1絶縁層141の厚みは、5〜40μmで、例えば15μmであり、第2絶縁層142の厚みも、5〜40μmで、例えば15μmである。
なお、第1絶縁層141及び第2絶縁層142の材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン(ON)等を用いてもよい。さらに、第1絶縁層141及び第2絶縁層142には、熱伝導シート101の熱伝導性を高めるため導電性粉末などのフィラーが配合されていてもよい。また、第1絶縁層141又は第2絶縁層142の表面を粗くしたり、黒色化することで筺体内輻射を高め、熱伝導シート101の放熱性をより向上させることも可能である。その他、第1絶縁層141及び第2絶縁層142の材料は、シリコーンを用いてもよい。この場合、シリコーン自体の粘着性を利用して、両面粘着テープを用いなくてもよい。
ここで、第1絶縁層141及び第2絶縁層142は、同じ材料を用いる必要はなく、異なる材料を用いてもよい。また、第1絶縁層141及び第2絶縁層142がそれぞれ異なる材料で多層構造を有してもよい。
また、熱伝導シート101の熱伝導性は第1絶縁層141の厚みが薄いほど高くなるが、十分な絶縁性を有するために、第1絶縁層141の厚みは5〜30μmであることが好ましい。そして、第1絶縁層141の厚みは第2絶縁層142の厚みより薄い方が好ましい。なお、第1絶縁層141、第2絶縁層142、または金属層140の表面に、防錆コーティングや静電防止コーティングを施してもよい。
図6は、図3Aに示す断面における天板40Aの表面温度分布を示す図である。図7は、図4に示す断面における天板40Aの表面温度分布を示す図である。ここで、図6及び図7の上段に示す実線は、電子機器100の表面温度分布を表しており、点線は、電子機器100から熱伝導シート101を取り外した場合の電子機器100の表面温度分布を表している。
以上の構成において、電子部品50で発生した熱は、図1と図3Aに示すように、熱伝導シート101の第1平面部110へ伝導する。そして、第1平面部110に伝導した熱は、接続部130を介して第2平面部120に伝導する。
また、電子部品51で発生した熱は、図1と図4に示すように、金属ケース61を介して熱伝導シート101の第1平面部111へ伝導する。そして、第1平面部111に伝導した熱は、接続部131を介して第2平面部120に伝導する。同様に、電子部品52、53で発生した熱は、金属ケース62を介して熱伝導シート101の第1平面部112へ伝導する。そして、第1平面部112に伝導した熱は、接続部132を介して第2平面部120に伝導する。
そして、第2平面部120に伝導した熱は、第2平面部120において面方向に広がりながら筐体40へ伝導する。
そのため、電子機器100では、電子部品50〜53で発生した熱が、熱伝導シート101及び筐体40に拡散されながら熱伝導シート101及び筐体40で空気中へ放熱される。これにより、電子部品50〜53の温度上昇が抑えられる。よって、電子機器100は、熱伝導シート101だけでなく筐体40でも放熱されるため、電子部品50〜53の放熱効率に優れる。
なお、図示していないが、回路基板Pにおいてもサーマルビア等による放熱構造は施されている。しかし、回路基板Pの放熱構造だけでは電子部品50〜53の温度上昇を抑えることは難しい。また、電子機器100の小型化と電子部品50〜53等の高密度実装化に伴い、放熱フィンや冷却ファン等を筐体40内部に設置することが難しい。さらに、冷却ファンの場合には駆動音の問題から、ファンレスあるいは冷却ファンの稼働率の低減が望まれる。そのため、前記の熱伝導シート101による放熱構造が効果的である。
また、電子機器100では、電子部品50〜53で発生した熱が、第1平面部110〜112から筐体40へ直接伝導せず、第1平面部110〜112から第2平面部120へ伝導し、第2平面部120において面方向に広がりながら筐体40へ伝導する。そのため、電子機器100では、図6、図7に示すように、電子部品50〜53に対向する天板40Aの領域における表面温度の局所的な上昇が抑制される。
したがって、電子機器100は、電子部品50〜53の放熱効率に優れ、且つ筐体40の表面温度の局所的な上昇を抑制できる。
また、前述したように熱伝導シート101は、金属層140がアルミニウムから構成されているため、軽量で柔軟性を有する。また、近年のラミネート製造技術により熱伝導シート101は安価に製造することができる。
また、アルミニウムからなる熱伝導シート101は非磁性のため、強磁性のものに比べると電子機器100のアンテナ特性やノイズ特性への影響は小さい。しかし、例えばNFC(Near Field Communication)のようなコイルアンテナを用いた近距離無線通信の場合、電子機器100と通信相手側の装置との間の通信路において熱伝導シート101が介在すると通信が妨げられる虞がある。
そこで、電子機器100では、熱伝導シート101が前記電磁波を遮蔽しないよう、熱伝導シート101に開口部71と切欠部72が形成されている。そのため、電子機器100によれば、アンテナA1、A2による電子機器100と通信相手側の装置との通信が妨げられることを防止できる。
《第2の実施形態》
図8は、本発明の第2の実施形態に係る電子機器200の主要部の断面図である。この実施形態の電子機器200が、前記第1の実施形態に係る電子機器100と相違する点は、フレーム241及び筐体240である。その他の構成については、同じである。そのため、電子機器200では、フレーム241及び筐体240の接合体が本発明の「収納体」に相当する。
詳述すると、電子機器200では、ステンレス、マグネシウム合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属製のフレーム241が筐体240の内面に接合している。なお、金属製のフレーム241として、リチウムイオン二次電池などのバッテリーの外装体も含まれる。筐体240の高さは筐体40の高さより高い。その他の筐体240の構成については、筐体40と同じである。そして、第2平面部120における回路基板Pとは逆側の面は、両面粘着テープ160を介してフレーム241の内面に接合している。
そのため、電子機器200では、第1平面部110、111、112から第2平面部120に伝導した熱が、第2平面部120において面方向に広がりながらフレーム241へ伝導する。そして、フレーム241に伝導した熱が、筐体240へ伝導する。
よって、電子機器200では、電子部品50〜53で発生した熱が、熱伝導シート101、フレーム241及び筐体240に拡散されながら熱伝導シート101、フレーム241及び筐体240で空気中へ放熱される。
したがって、電子機器200は、前記第1の実施形態の電子機器100と同様の効果を奏する。
《第3の実施形態》
図9は、本発明の第3の実施形態に係る電子機器300の主要部の断面図である。この実施形態の電子機器300が、前記第1の実施形態に係る電子機器100と相違する点は、表示部材342及び筐体340である。その他の構成については、同じである。そのため、電子機器300では、表示部材342及び筐体340の接合体が本発明の「収納体」に相当する。
詳述すると、筐体340には、開口部が形成されている。その他の筐体340の構成については、図8に示した筐体240と同じである。そして、表示部材342が筐体340の当該開口部に嵌入されている。表示部材342は例えば液晶パネルである。電子機器300において、第2平面部120における回路基板Pとは逆側の面は、両面粘着テープ160を介して表示部材342の内面に接合している。
そのため、電子機器300では、第1平面部110、111、112から第2平面部120に伝導した熱が、第2平面部120において面方向に広がりながら表示部材342へ伝導する。
よって、電子機器300では、電子部品50〜53で発生した熱が、熱伝導シート101及び表示部材342に拡散されながら熱伝導シート101及び表示部材342で空気中へ放熱される。
したがって、電子機器300は、前記第1の実施形態の電子機器100と同様の効果を奏する。
なお、表示部材342には、表示部材342の補強および放熱性を考慮して、回路基板Pに対向するようアルミニウム板(金属板)が設けられている場合がある。その場合には特に、第2平面部120における回路基板Pとは逆側の面が、両面粘着テープ160を介して表示部材342におけるアルミニウム板の内面に接合することが効果的である。
《第4の実施形態》
図10は、本発明の第4の実施形態に係る電子機器400の主要部の断面図である。この実施形態の電子機器400が、前記第1の実施形態に係る電子機器100と相違する点は、筐体440及び金属メッシュ部材445、446である。その他の構成については、同じである。なお、筐体440及び金属メッシュ部材445、446が本発明の「金属部」に相当する。
詳述すると、筐体440は、金属から構成されている。この金属は、例えばステンレス、マグネシウム合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金などである。その他の筐体440の構成については、筐体40と同じである。
また、金属メッシュ部材445、446は、金属製の筐体440に接合している。そして、金属メッシュ部材445、446は、熱伝導シート101の両端を保持し、熱伝導シート101の金属層140及び金属製の筐体440に導通している。
そのため、電子機器400では、熱伝導シート101の金属層140が金属メッシュ部材445、446を介して回路基板Pのグランドに接続される。
したがって、電子機器400は、外部からのノイズや、人体による静電気が回路基板Pに侵入して電子部品50〜53などを破壊することを防止できる。
なお、金属メッシュ部材445、446は、他の実施形態の電子機器に備えられていてもよい。
また、この実施形態では、熱伝導シート101の金属層140が金属メッシュ部材445、446を介して筐体440に接続されているが、これに限るものではない。例えば図11に示すように、熱伝導シート101の金属層140が直接、筐体440に接続されていてもよい。
詳述すると、図11に示す電子機器450では、金属層140を回路基板Pと逆側へ露出させる切欠部421が熱伝導シート101の第2絶縁層142に形成され、熱伝導シート101の金属層140が切欠部421を介して両面粘着テープ160によって筺体440に貼付されている。この切欠部421は、レーザー加工等で熱伝導シート101の第2絶縁層142の一部を除去することにより形成される。
そのため、電子機器450においても、熱伝導シート101の金属層140が金属製の筐体440に導通する。よって、電子機器450では、熱伝導シート101の金属層140が回路基板Pのグランドに接続される。したがって、電子機器450は、前記電子機器400と同様の効果を奏する。
なお、電子機器450では切欠部421が第2絶縁層142に形成されているが、これに限るものではなく、開口部が第2絶縁層142に形成されていてもよい。
《第5の実施形態》
図12は、本発明の第5の実施形態に係る電子機器500の主要部の断面図である。この実施形態の電子機器500が、前記第1の実施形態に係る電子機器100と相違する点は、緩衝材Kを備える点である。その他の構成については、同じである。
詳述すると、緩衝材Kは、第1平面部110の回路基板Pとは逆側の面と筐体40の内面との間に嵌められている。同様に、緩衝材Kは、第1平面部111、112の回路基板Pとは逆側の面と筐体40の内面との間にもそれぞれ嵌められている。緩衝材Kは、ウレタン樹脂等からなるスポンジやシリコーン樹脂等からなる熱伝導性ゴム等から構成されている。
そのため、電子機器500では、第1平面部110、111、112が第2平面部120より回路基板P側へ突出した熱伝導シート101の形状を3個の緩衝材Kによって保つことができる。
また、この構成では、3個の緩衝材Kが電子部品50及び金属ケース61、62への圧力を第1平面部110、111、112の回路基板Pとは逆側の面に付与するため、第1平面部110、111、112と電子部品50及び金属ケース61、62との密着性が増す。
したがって、電子機器500によれば、さらに、熱伝導シート101の保形性が向上し、電子部品50及び金属ケース61、62から第1平面部110、111、112への熱伝導性も向上する。
なお、緩衝材Kは、他の実施形態の電子機器に備えられていてもよい。
《第6の実施形態》
図13は、本発明の第6の実施形態に係る電子機器600の主要部の断面図である。この実施形態の電子機器600が、前記第1の実施形態に係る電子機器100と相違する点は、熱伝導シート601である。その他の構成については、同じである。
詳述すると、熱伝導シート601は、第1平面部110と第2平面部120とを接続する接続部630を有する。この接続部630は、テーパ状に形成されている。その他の熱伝導シート601の構成については、熱伝導シート101と同じである。
ここで、前記電子機器100において接続部130は、図3に示すように第1平面部110及び第2平面部120に対して直交している。この直交部分では、縮流が生じ、熱伝導性が低下する。
電子機器600では、接続部630がテーパ状に形成されているため、接続部630が第1平面部110または第2平面部120と交わる部分R1の曲率が、接続部130が第1平面部110または第2平面部120と交わる直交部分の曲率より低減する。
したがって、電子機器600によれば、さらに、この部分R1における縮流が緩和され、熱伝導性が向上する。また、絞り加工時の熱伝導シート601の破損等が低減されるため、熱伝導シート601の歩留まり率が向上する。
《第7の実施形態》
図14は、本発明の第7の実施形態に係る電子機器700の主要部の断面図である。この実施形態の電子機器700が、前記第1の実施形態に係る電子機器100と相違する点は、熱伝導シート701である。その他の構成については、同じである。
詳述すると、熱伝導シート701は、第1平面部710と第2平面部120とを接続する接続部730を有する。この第1平面部710の回路基板P側の面の面積は、電子部品50と第1平面部710との接合面の面積より大きい。その他の熱伝導シート701の構成については、熱伝導シート101と同じである。
電子機器700では、第1平面部710における電子部品50との接合部分と第2平面部120との間隔が広くなる。そのため、熱伝導シート701を、接続部730が第1平面部710または第2平面部120と交わる部分R2の曲率を低減させた形状に形成することができる。よって、熱伝導シート701では、この部分R2における縮流が緩和され、熱伝導性が向上する。
また、電子機器700では、接続部730が、第1平面部710における電子部品50との接合部分から遠くなる。そのため、第1平面部710に伝導した熱が第2平面部120へ伝導する地点は、第1平面部710における電子部品50との接合部分から遠くなる。そのため、電子機器700では、電子部品50に対向する天板40Aの領域における表面温度の局所的な上昇がより抑制される。
したがって、電子機器700によれば、さらに、筐体40の表面温度の局所的な上昇をより抑制できる。
なお、前記各実施形態において、接続部の形状は、直線状やテーパ状に限らず、円弧状や階段状などでもよい。
《第8の実施形態》
図15は、本発明の第8の実施形態に係る電子機器800の主要部の断面図である。この実施形態の電子機器800が、前記第1の実施形態に係る電子機器100と相違する点は、熱伝導シート801である。その他の構成については、同じである。
詳述すると、熱伝導シート801は、図4に示す熱伝導シート101の第1平面部111と第1平面部112とを連続させた第1平面部811を有する。すなわち、第1平面部811における回路基板P側の面は、複数の金属ケース61、62を跨るよう、両面粘着テープ151、152を介して金属ケース61、62に接合している。その他の熱伝導シート801の構成については、熱伝導シート101と同じである。なお、勿論、図4や図15のように1枚の熱伝導シート101、801を用いるのではなく、金属ケース61、62に合わせて2枚(複数枚)の熱伝導シートを用いてもよい。
したがって、電子機器800によれば、前記第1の実施形態に係る電子機器100と同様の作用効果を奏する。
《熱伝導シートの変形例》
前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート851を用いてもよい。
図16は、図5に示す熱伝導シート101の第1変形例に係る熱伝導シート851の拡大断面図である。熱伝導シート851は、2枚の熱伝導シート101を熱融着した構造を有している。
詳述すると、熱伝導シート851は、金属層140の回路基板P側に形成された第1絶縁層141と、金属層140と、融着層845と、金属層140と、金属層140の回路基板Pと逆側に形成された第2絶縁層142とを含み、これらが順に積層された構造を有している。熱伝導シート851の厚みは、160〜300μmであり、例えば230μmである。
融着層845は、2枚の熱伝導シート101の第1絶縁層141と第2絶縁層142とが熱融着して形成された層である。そのため、融着層845は熱融着が可能な材料として例えば変性ポリプロピレン(CPP)から構成されている。融着層845の厚みは、20〜80μmであり、例えば25μmである。
この構造では、2つの金属層140を熱が伝導する。そのため、前記各実施形態において、熱伝導シート101、601、701、801に代えて熱伝導シート851を用いても、同様の作用効果を奏する。
なお、2枚の熱伝導シート101を熱融着する場合に、融着層845が熱伝導シート101の端部から溶出する。この滲み出した融着層845が金属層140の端部を覆うので、金属層140の端部の絶縁処理が可能となる。他の実施形態も同様に、融着層による金属層の絶縁処理が可能である。勿論、絶縁テープを用いて熱伝導シート101の必要箇所に絶縁処理してもよい。
また、図16では、2枚の熱伝導シート101が同じ大きさであるが、異なる大きさに、すなわち、熱伝導シート101の一方の端部において段差が生じるようにしてもよい。その場合に、上記の滲み出した融着層845が段差の部分に保持されるので、金属層140の端部の絶縁処理がさらに確実となる。
同様に、前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート861を用いてもよい。以下、熱伝導シート101を熱伝導シート861に置き換えた電子機器100を一例として説明する。
図17は、図5に示す熱伝導シート101の第2変形例に係る熱伝導シート861の拡大断面図である。図18は、図17に示す熱伝導シート861を備える電子機器100のS−S線の断面図である。図19は、図17に示す熱伝導シート861を備える電子機器100のT−T線の断面図である。
熱伝導シート861は、図17に示すように、第2絶縁層142が形成されていない点で、熱伝導シート101と異なる。その他の熱伝導シート861の構造については、熱伝導シート101と同じである。そのため、熱伝導シート861の厚みは70〜110μmで、例えば95μmである。
この構造では、図18、図19に示すように、金属層140の回路基板P側に形成された第1絶縁層141により、電子部品50、金属ケース61、62と熱伝導シート861の金属層140とが絶縁される。また、熱伝導シート861における回路基板Pとは逆側の面には、金属層140が露出している。そのため、熱伝導シート861は、金属層140を介して筐体40の内面に接合している。
一方、導体シート101は、図3、図4に示すように、第2絶縁層142を介して筐体40の内面に接合している。
よって、熱伝導シート861から筐体40の内面への熱伝導性は、導体シート101から筐体40の内面への熱伝導性より優れる。特に、この構造は、熱伝導シート861と筐体40の内面との絶縁が不要な場合に好適である。
したがって、前記各実施形態において、熱伝導シート101、601、701、801に代えて、図17に示す構造の熱伝導シート861を用いても、同様の作用効果を奏する。
また、同様に、前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート871を用いてもよい。以下、熱伝導シート101を熱伝導シート871に置き換えた電子機器100を一例として説明する。
図20は、図5に示す熱伝導シート101の第3変形例に係る熱伝導シート871の拡大断面図である。図21は、図20に示す熱伝導シート871を備える電子機器100のS−S線の断面図である。図22は、図20に示す熱伝導シート871を備える電子機器100のT−T線の断面図である。
熱伝導シート871は、図20に示すように、第1絶縁層141が形成されていない点で、熱伝導シート101と異なる。その他の熱伝導シート871の構造については、熱伝導シート101と同じである。そのため、熱伝導シート871の厚みは70〜110μmで、例えば95μmである。
この構造では、図21、図22に示すように、金属層140の回路基板Pとは逆側に形成された第2絶縁層142により、筐体40の内面と熱伝導シート871の金属層140とが絶縁される。また、熱伝導シート871における回路基板P側の面には、金属層140が露出している。そのため、熱伝導シート871は、金属層140を介して電子部品50、金属ケース61、62に接合している。
一方、導体シート101は、図3、図4に示すように、第1絶縁層141を介して電子部品50、金属ケース61、62に接合している。
よって、電子部品50から熱伝導シート871への熱伝導性は、電子部品50から導体シート101への熱伝導性より優れる。同様に、金属ケース61、62から熱伝導シート871への熱伝導性は、金属ケース61、62から導体シート101への熱伝導性より優れる。特に、この構造は、熱伝導シート871と電子部品50、金属ケース61、62との絶縁が不要な場合に好適である。
したがって、前記各実施形態において、熱伝導シート101、601、701、801に代えて、図20に示す構造の熱伝導シート871を用いても、同様の作用効果を奏する。
また、同様に、前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート881を用いてもよい。以下、熱伝導シート101を熱伝導シート881に置き換えた電子機器100を一例として説明する。
図23は、図5に示す熱伝導シート101の第4変形例に係る熱伝導シート881の第2平面部820の拡大断面図である。図24は、図5に示す熱伝導シート101の第4変形例に係る熱伝導シート881の封入部190の拡大断面図である。図25は、熱伝導シート99と熱伝導シート101の断面図である。図26は、図23、図24に示す熱伝導シート881を備える電子機器100のS−S線の断面図である。図27は、図23、図24に示す熱伝導シート881を備える電子機器100のT−T線の断面図である。
熱伝導シート881が前記熱伝導シート851と相違する点は、封入部190、191を有する点である。その他の熱伝導シート881の構造については、前記熱伝導シート851と同じである。
詳述すると、熱伝導シート881は、図23、図24、図26、図27に示すように、電子部品50及び金属ケース61、62に対向し、グラファイトシート170、171を封入する封入部190、191と、電子部品50及び金属ケース61、62に対向しない第2平面部820と、を有する。グラファイトシート170、171のそれぞれは、本発明の「熱伝導部材」に相当する。
封入部190は、第1平面部110と、接続部130と、筐体40の天板40Aに対向する第3平面部180と、グラファイトシート170とから構成されている。封入部191も、第1平面部811と、接続部131、132と、筐体40の天板40Aに対向する第3平面部181と、グラファイトシート171とから構成されている。
熱伝導シート881は、図23、図24、図25に示すように、熱伝導シート99と熱伝導シート101とが熱融着されることにより形成されたシートである。ここで、融着層845は、熱伝導シート99の第1絶縁層141と熱伝導シート101の第2絶縁層142とが熱融着して形成された層である。
熱伝導シート99は、図25に示すように、第1絶縁層141と、金属層140と、第2絶縁層142とを含み、これらが順に積層された構造を有している。熱伝導シート99は、熱伝導シート101と異なり、平坦なラミネートシートである。
そのため、熱伝導シート881の構造は、図23、図24に示すように、第2平面部820と封入部190、191とで異なっている。
なお、熱伝導シート99は、第1絶縁層141、金属層140、第2絶縁層142が、同じ厚みや同じ組成のものを用いてもよいが、少なくともいずれかが異なるものを用いてもよい。
詳述すると、第2平面部820は、図23に示すように、金属層140の回路基板P側に形成された第1絶縁層141と、金属層140と、融着層845と、金属層140と、金属層140の回路基板Pと逆側に形成された第2絶縁層142とを含み、これらが順に積層された構造を有している。第2平面部820の厚みは、160〜300μmであり、例えば230μmである。
一方、封入部190の第1平面部110及び接続部130のそれぞれは、図24に示すように、金属層140の回路基板P側に形成された第1絶縁層141と、金属層140と、金属層140の回路基板Pと逆側に形成された第2絶縁層142とを含み、これらが順に積層された構造を有している。この第1平面部110及び接続部130のそれぞれの厚みは80〜150μmで、例えば120μmである。
また、封入部190の第3平面部180も、図24に示すように、金属層140の回路基板P側に形成された第1絶縁層141と、金属層140と、金属層140の回路基板Pと逆側に形成された第2絶縁層142とを含み、これらが順に積層された構造を有している。この第3平面部180の厚みも80〜150μmで、例えば120μmである。
そのため、封入部190は、第1平面部110と接続部130と第3平面部180とで、グラファイトシート170を封入するための密閉空間175を形成している(図24参照)。ここで、グラファイトシート170は、熱伝導シート101において接続部130に囲まれた第1平面部110上にグラファイトシート170を載置した後、第1平面部110の周囲に位置する接続部130及び第3平面部180の三方を熱融着し、減圧下で最後の一方を熱融着することによって、封入部190内に気密に封入される。
なお、封入部191も、封入部190と同様の構造を有し、同様の密閉空間を形成している。また、グラファイトシート171は、グラファイトシート170の封入方法と同様の方法で、封入部191に封入される。
ここで、グラファイトシート170の構造について以下詳述する。グラファイトシート171の構造は、グラファイトシート170の構造と同じである。
グラファイトシート170は、黒鉛粉を有機バインダーで固める第1の製法により形成されたシートである。なお、実施の際は第1の製法に限らず、天然黒鉛を粉砕・圧延してシート状にする第2の製法や、ポリイミドなどの高分子フィルムを熱分解によりグラファイト化する第3の製法により形成されたグラファイトシートを用いてもよい。
グラファイトシート170の厚みは10〜400μmで、例えば120μmである。グラファイトシート170における面方向の熱伝導率は、400〜1800W/m・Kであり、例えば銅、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属の熱伝導率に比べて高い。
一方、グラファイトシート170における厚さ方向の熱伝導率は、1〜15W/m・Kであり、銅やアルミニウムなどの金属の熱伝導率に比べて低い。
グラファイトシート170の熱伝導率は、グラファイトシート170の厚みが厚くなるにつれて高くなる。なお、前記第2の製法で形成されたグラファイトシートの熱伝導率は、当該グラファイトシートの厚みが厚くなるにつれて高くなる。反対に、前記第3の製法で形成されたグラファイトシートの熱伝導率は、当該グラファイトシートの厚みが薄くなるにつれて高くなる。
そのため、グラファイトシート170、171は、面方向に熱を伝え易いが、厚さ方向に熱を伝え難い。よって、熱伝導シート881では、封入部190、191がグラファイトシート170、171を封入していることにより、電子部品50、金属ケース61、62から、電子部品50、金属ケース61、62に対向する天板40Aの領域へ熱が伝わり難い。
ここで、前記第1の製法で形成されたグラファイトシートは、保形性に乏しく、変形に対して脆弱である。そのため、当該グラファイトシートは、絞り加工などによって変形させて用いることは難しい。当該グラファイトシートを変形させた場合、当該グラファイトシートが破損したり、当該グラファイトシートから黒鉛粉が飛散したりするおそれがある。当該グラファイトシートから黒鉛粉が飛散すると、回路基板Pにおいて短絡が生じるおそれがある。なお、前記第2、第3の製法で形成されたグラファイトシートを変形させた場合でも、当該グラファイトシートが破損するおそれがある。
そのため、電子部品50、金属ケース61、62と筺体40の天板40Aとの間隔が比較的大きく離れている場合でも、グラファイトシート単体では、絞り加工などによって変形させ、電子部品50、金属ケース61、62と筺体40の天板40Aの内面とに接合させることが困難である。
そこで、この第4変形例は、絞り加工などによって変形させた熱伝導シート101と熱伝導シート99とが熱融着し、グラファイトシート170、171が封入部190,191に封入された熱伝導シート881を用いている。これにより、グラファイトシート単体を変形しなくとも、電子部品50、金属ケース61、62の設置箇所に合わせてグラファイトシート170、171を容易に設置することが可能となる。そのため、変形に伴うグラファイトシートの破損や、グラファイトシートからの黒鉛粉の飛散を防止することができる。
よって、電子部品50、金属ケース61、62と筺体40の天板40Aとの間隔が比較的大きく離れている場合でも、熱伝導シート881であれば、電子部品50、金属ケース61、62と筺体40の天板40Aの内面とに容易に接合させることができる。
具体的には、第1平面部110、811における回路基板P側の面は、両面粘着テープ150、151、152を介して電子部品50、金属ケース61、62に接合している。また、第2平面部120における回路基板Pとは逆側の面は、両面粘着テープ160を介して天板40Aの内面に接合している。なお、第3平面部180、181における回路基板Pとは逆側の面も、両面粘着テープ160を介して天板40Aの内面に接合している。
そのため、この第4変形例では、電子部品50〜53で発生した熱はまず、熱伝導シート881の封入部190、191へ伝導する。そして、封入部190、191に伝導した熱は、封入部190、191内のグラファイトシート170、171に伝導しつつ、第2平面部820及び第3平面部180に伝導する。
そして、第2平面部820及び第3平面部180に伝導した熱は、第2平面部820及び第3平面部180において面方向に広がる。そのため、この構成では、電子部品50〜53で発生した熱が、熱伝導シート881に拡散されながら筺体40の内部または筺体40の外部へ放熱される。
したがって、前記各実施形態において、熱伝導シート101、601、701、801に代えて、図23、図24に示す構造の熱伝導シート881を用いても、同様の作用効果を奏する。
特に、この第4変形例では、グラファイトシート170、171が封入部190,191に封入された熱伝導シート881を用いているため、電子部品50〜53に対向する天板40Aの領域における表面温度の局所的な上昇がより抑制される。
また、同様に、前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート882を用いてもよい。以下、熱伝導シート101を熱伝導シート882に置き換えた電子機器100を一例として説明する。
図28は、図5に示す熱伝導シート101の第5変形例に係る熱伝導シート882を備える電子機器100のT−T線の断面図である。
熱伝導シート882が前記熱伝導シート881と相違する点は、封入部291を有する点である。その他の熱伝導シート882の構造については熱伝導シート881の構造と同じである。
詳述すると、封入部291は、第1平面部811と、接続部131、132と、第2平面部820より回路基板P側へ突出した第3平面部281と、グラファイトシート171より厚みの薄いグラファイトシート271とから構成されている。第3平面部281における回路基板Pとは逆側の面は、天板40Aの内面に接合していない。
そのため、この第5変形例では、電子部品51〜53に対向する天板40Aの領域における表面温度の局所的な上昇が前記第4変形例より抑制される。
なお、熱伝導シート882の形成方法については、熱伝導シート881の形成方法と同様である。
また、同様に、前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート883を用いてもよい。以下、熱伝導シート101を熱伝導シート883に置き換えた電子機器100を一例として説明する。
図29は、図5に示す熱伝導シート101の第6変形例に係る熱伝導シート883を備える電子機器100のT−T線の断面図である。
熱伝導シート883が前記熱伝導シート881と相違する点は、封入部391と第2平面部820とを接続し、回路基盤P側に突出する接続部333を有する点である。封入部391は、第1平面部811と、接続部333と、第3平面部181と、グラファイトシート171とから構成されている。接続部333を有することで、グラファイトシート171の厚みが第2の深さZ2よりも大きい場合でも、グラファイトシート171を封入することができる。
その他の熱伝導シート883の構造については熱伝導シート881の構造と同じである。
そのため、この第5変形例は、前記第4変形例と同様の作用効果を奏する。
なお、熱伝導シート883の形成方法についても、熱伝導シート881の形成方法と同様である。
また、同様に、前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート884を用いてもよい。以下、熱伝導シート101を熱伝導シート884に置き換えた電子機器100を一例として説明する。
図30は、図5に示す熱伝導シート101の第7変形例に係る熱伝導シート884の拡大断面図である。図31は、図5に示す熱伝導シート101の第7変形例に係る熱伝導シート884を備える電子機器100のS−S線の断面図である。図32は、図5に示す熱伝導シート101の第7変形例に係る熱伝導シート884を備える電子機器100のT−T線の断面図である。
熱伝導シート884は、図30に示すように、グラファイト層371が形成されている点で、熱伝導シート101と異なる。その他の熱伝導シート884の構造については、熱伝導シート101と同じである。
詳述すると、熱伝導シート884は、第1絶縁層141と、金属層140と、グラファイト層371と、第2絶縁層142とを含み、これらが順に積層された構造を有している。第1絶縁層141と金属層140、金属層140とグラファイト層371、及びグラファイト層371と第2絶縁層142は、アクリル系接着剤等により貼付されている。
グラファイト層371は、厚みの薄い一枚のグラファイトシートを、金属層140の絞り加工などによる変形に伴って同様に変形されている。グラファイト層371の熱伝導率は、例えば銅、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属の熱伝導率より高い。即ち、グラファイト層371の熱伝導率は、金属層140の熱伝導率より高い。
この構造では、電子部品50、金属ケース61、62からの熱が、金属層140とグラファイト層371とを伝導する。
したがって、前記各実施形態において、熱伝導シート101、601、701、801に代えて、図30に示す構造の熱伝導シート884を用いても、同様の作用効果を奏する。
特に、この第7変形例では、グラファイト層371を含んだ熱伝導シート884を用いているため、電子部品50〜53に対向する天板40Aの領域における表面温度の局所的な上昇がより抑制される。
なお、筐体40の内面と熱伝導シート884との絶縁が不要な場合には第2絶縁層142を設けなくてもよい。また、電子部品50、金属ケース61、62と熱伝導シート884との絶縁が不要な場合には第1絶縁層141を設けなくてもよい。
ただし、グラファイト層371の変形により、グラファイト層371から黒鉛粉が飛散したり、破損したりするおそれがある場合には、グラファイト層371を第1絶縁層141または第2絶縁層142で保護することが好ましい。
また、同様に、前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート885を用いてもよい。以下、熱伝導シート101を熱伝導シート885に置き換えた電子機器100を一例として説明する。
図33は、図5に示す熱伝導シート101の第8変形例に係る熱伝導シート885の拡大断面図である。図34は、図5に示す熱伝導シート101の第8変形例に係る熱伝導シート885を備える電子機器100のS−S線の断面図である。図35は、図5に示す熱伝導シート101の第8変形例に係る熱伝導シート885を備える電子機器100のT−T線の断面図である。
熱伝導シート885は、図33に示すように、グラファイト層371が形成されている点で、熱伝導シート101と異なる。その他の熱伝導シート885の構造については、熱伝導シート101と同じである。熱伝導シート885は、図30、図33に示すように、金属層140とグラファイト層371の積層順序が入れ替わっている点で、前記熱伝導シート884と異なる。なお、金属層140とグラファイト層371の積層順序は、それぞれの厚みや熱伝導率に応じて適宜設定される。
詳述すると、熱伝導シート885は、第1絶縁層141と、グラファイト層371と、金属層140と、第2絶縁層142とを含み、これらが順に積層された構造を有している。第1絶縁層141と金属層140、金属層140とグラファイト層371、及びグラファイト層371と第2絶縁層142は、アクリル系接着剤等により貼付されている。
この構造でも、電子部品50、金属ケース61、62からの熱が、グラファイト層371と金属層140とを伝導する。
したがって、前記各実施形態において、熱伝導シート101、601、701、801に代えて、図33に示す構造の熱伝導シート885を用いても、同様の作用効果を奏する。
さらに、この第8変形例でも、グラファイト層371を含んだ熱伝導シート885を用いているため、電子部品50〜53に対向する天板40Aの領域における表面温度の局所的な上昇がより抑制される。
なお、この第8変形例においても、筐体40の内面と熱伝導シート885との絶縁が不要な場合には第2絶縁層142がなくてもよい。同様に、電子部品50、金属ケース61、62と熱伝導シート885との絶縁が不要な場合には第1絶縁層141がなくてもよい。
ただし、グラファイト層371の変形により、グラファイト層371から黒鉛粉が飛散したり、破損したりするおそれがある場合には、グラファイト層371を第1絶縁層141または第2絶縁層142で保護することが好ましい。
また、同様に、前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート886を用いてもよい。以下、熱伝導シート101を熱伝導シート886に置き換えた電子機器100を一例として説明する。
図36は、図5に示す熱伝導シート101の第9変形例に係る熱伝導シート886を備える電子機器100のS−S線の断面図である。
熱伝導シート886が前記熱伝導シート101と相違する点は、熱伝導シート886の形状である。その他の熱伝導シート886の構造については熱伝導シート101の構造と同じである。
詳述すると、まず、筐体40の天板40Aの内面には、特定のモジュール59(カメラモジュールなど)が接合されている。
そして、熱伝導シート886では、第2平面部120の端部が回路基板P側へ折れ曲がり、折れ曲がった部分120Aが、天板40Aに接合されている第2平面部120の回路基板P側の面に両面粘着テープ161を介して接合している。
そのため、熱伝導シート886では、例えば特定のモジュール59(カメラモジュールなど)の実装により熱伝導シート886と筐体40の内面とを接合する面積が制限される場合でも、熱伝導シート886の面積を広くすることができる。よって、熱伝導シート886は、高い放熱性を有する。
したがって、前記各実施形態において、熱伝導シート101、601、701、801に代えて、図36に示す構造の熱伝導シート886を用いても、同様の作用効果を奏する。
また、同様に、前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート887を用いてもよい。以下、熱伝導シート101を熱伝導シート887に置き換えた電子機器100を一例として説明する。
図37は、図5に示す熱伝導シート101の第10変形例に係る熱伝導シート887を備える電子機器100のS−S線の断面図である。
熱伝導シート887が前記熱伝導シート101と相違する点は、熱伝導シート887の形状である。その他の熱伝導シート887の構造については熱伝導シート101の構造と同じである。
詳述すると、まず、筐体40の天板40Aの内面には、特定のモジュール59(カメラモジュールなど)が接合されている。
そして、熱伝導シート887では、第2平面部120の端部が回路基板Pとは逆側へ折れ曲がり、折れ曲がった部分120Bの回路基板Pとは逆側の面が、両面粘着テープ160を介して天板40Aに接合している。折れ曲がった部分120Bの回路基板P側の面は、当該部分120B以外の第2平面部120の回路基板Pとは逆側の面に(接着剤または熱融着により)接合している。
そのため、熱伝導シート887では、例えば特定のモジュール59(カメラモジュールなど)の実装により熱伝導シート887と筐体40の内面とを接合する面積が制限される場合でも、熱伝導シート887の面積を広くすることができる。よって、熱伝導シート887は、高い放熱性を有する。
したがって、前記各実施形態において、熱伝導シート101、601、701、801に代えて、図36に示す構造の熱伝導シート887を用いても、同様の作用効果を奏する。
また、この第10変形例では、熱伝導シート887の端部が、第2平面部120と筐体40の天板40Aとの間に位置し、回路基板Pから構造的に隔離されている。そのため、この第10変形例は、熱伝導シート887の端部において露出している金属層140が回路基板Pに接触して短絡することを防止できる。
また、同様に、前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート888を用いてもよい。以下、熱伝導シート101を熱伝導シート888に置き換えた電子機器100を一例として説明する。
図38は、図5に示す熱伝導シート101の第11変形例に係る熱伝導シート888を備える電子機器100のS−S線の断面図である。
熱伝導シート888が前記熱伝導シート101と相違する点は、熱伝導シート888の形状である。その他の熱伝導シート888の構造については熱伝導シート101の構造と同じである。
詳述すると、まず、筐体40の天板40Aの内面には、特定のモジュール59(カメラモジュールなど)が接合されている。
そして、熱伝導シート888では、第2平面部120の端部が回路基板P側へ巻き回され、または二つ折りされ、第2平面部120の回路基板P側の面に向くように形成されている。
そのため、熱伝導シート888では、例えば特定のモジュール59(カメラモジュールなど)の実装により熱伝導シート888と筐体40の内面とを接合する面積が制限される場合でも、熱伝導シート888の面積を広くすることができる。よって、熱伝導シート888は、高い放熱性を有する。
したがって、前記各実施形態において、熱伝導シート101、601、701、801に代えて、図36に示す構造の熱伝導シート888を用いても、同様の作用効果を奏する。
また、この第11変形例では、熱伝導シート888の端部が、第2平面部120の回路基板P側の面に向くように形成され、回路基板Pから構造的に隔離されている。そのため、この第11変形例は、熱伝導シート888の端部において露出する金属層140が回路基板Pに接触して短絡することを防止できる。
前記各実施形態では、図5で示した構造を有する熱伝導シート101、601、701、801を用いたが、異なる構造を有する熱伝導シート1201を用いてもよい。
図39は、図5に示す熱伝導シート101の変形例に係る熱伝導シート1201の外観斜視図である.図40は、図39に示すA−A線の断面図である。
熱伝導シート1201が前記熱伝導シート101と相違する点は、熱伝導シート1201の形状である。その他の熱伝導シート1201の構造については熱伝導シート101の構造と同じである。
詳述すると、熱伝導シート1201は図39に示すように、複数の第1平面部1210が千鳥状に周期的に配置された周期構造を有している。各第1平面部1210の間隔は、全て均一である。各第1平面部1210は平面視して円形状を有している。各第1平面部1210は全て、同一の形状、同一の大きさである。
図40に示すように、第1平面部1210は絞り加工により、第1平面部1210が第2平面部1220より回路基板側へ突出するよう変形している。絞り加工の断面形状は半円状または半楕円状を有している。第1平面部1210の絞り加工の深さはいずれも同一である。半円状または半楕円状を有することで回路基板P上の発熱部品を押圧しやすくなる。
そして、第1平面部1210における回路基板側の面は、回路基板上の発熱部品に接合する。また、第2平面部1220における回路基板とは逆側の面は、筐体の天板の内面に接合する。
したがって、前記各実施形態において、熱伝導シート101、601、701、801に代えて、図39、図40に示す構造の熱伝導シート1201を用いても、同様の作用効果を奏する。
また、熱伝導シート1201が周期構造を有するため、発熱部品が回路基板上のどこに配置されていても、熱伝導シート1201は、発熱部品と接合し易くなる。すなわち、熱伝導シート1201と発熱部品との接触機会が増える。
また、前記熱伝導シート101では、回路基板P上の発熱部品(電子部品50及び金属ケース61、62)の配置に合わせて絞り加工を施し、第1平面部110、111、112を形成する必要がある。すなわち、回路基板P上の発熱部品の配置に合わせて、絞り加工のための金型を設ける必要がある。
しかし、本変形例では、例えば、周期構造の異なる数種の熱伝導シートを用意し、各回路基板上の発熱部品の配置に適した熱伝導シートを数種の熱伝導シートから選べばよい。回路基板P上の発熱部品の配置に合わせて、絞り加工のための金型を設ける必要がない。そのため、熱伝導シート1201によれば、汎用性が向上し、製造コスト高を低減できる。
《第9の実施形態》
図41は、本発明の第9の実施形態に係る電子機器900であって、図39に示す熱伝導シート1201を備える電子機器900の主要部の断面図である。
この実施形態の電子機器900が、前記第1の実施形態に係る電子機器100と相違する点は、熱伝導シート1201及び回路基板P上の配置である。その他の構成については、同じである。
まず、回路基板P上には、電力の供給を受けて発熱する電子部品(能動部品)50、54と、コンデンサやインダクタ等の受動部品80、81とが実装されている。
図41に示す熱伝導シート1201は、図39に示す熱伝導シート1201の複数の第1平面部1210のいくつかが変形し、第1平面部1310、1311、1312となったシートである。そのため、熱伝導シート1201は、図39に示すように、周期構造を有している。
詳述すると、第1平面部1310における回路基板P側の面は、電子部品54の天面の一部(略半分)と接合している。第1平面部1210における回路基板P側の面は、その近傍に位置する電子部品50、54および受動部品81のいずれにも接合していない。第1平面部1311における回路基板P側の面は、電子部品50の天面の略全部と接合している。第1平面部1312における回路基板P側の面は、受動部品80の天面と接合している。
ここで、絞り加工の深さは電子部品50、54と第1平面部1310、1311とが接合可能な寸法を適宜選択する。電子部品50、54のように高さが異なる場合には、高さの低い電子部品54に合わせることが好ましい。
ただし、電子部品50、54の高さが大きく異なる場合には、電子部品50側の第1平面部1311の変形が大きくなってしまうため、例えば電子部品54側の第1平面部1310は電子部品54に接合させるのではなくて近接させるようにしてもよい。
電子機器900では、図39に示す熱伝導シート1201を筐体40に収納し、電子部品50、54及び受動部品80と接合させることにより、絞り加工の略半円状の断面形状が変形して第1平面部1310、1311、1312が形成される。
なお、受動部品80の中には、電子部品50の熱を熱伝導シート1201で伝導させない方が好ましいものもあるが、電子部品50の熱は、主として第1平面部1311から隣接する第2平面部1220に伝導し、第2平面部1220に伝導した熱は第2平面部1220において面方向に広がりながら筺体40の天板40Aに伝導するので影響は小さい。
熱伝導シート1201の金属層140の材料に、例えば銅を用いた場合にはバネ性を有する。この場合、熱伝導シート1201と電子部品50とをより密着させることができる。また、熱伝導シート1201の金属層140の材料に、例えばアルミニウムを用いた場合でも、絞り加工の深さより筐体40と電子部品50との隙間の方が小さいために電子部品50を押圧することができ、熱伝導シート1201と電子部品50とをより密着させることができる。
したがって、図41に示すように、電子部品50、54、受動部品80と第1平面部1310、1311、1312とを接合するために両面粘着テープ150(図3参照)を用いなくてもよい。
なお、例えば電子部品50が、確実に接合させる必要があるCPUなどの主要な電子部品である場合には、両面粘着テープ150や熱伝導性接着層、グリースなどの接着剤を用いてもよい。
また、第2平面部1220における回路基板Pとは逆側の面は、両面粘着テープ160を介して、筐体40の天板40Aの内面に接合している。なお、両面粘着テープ160は筐体40の内面に熱伝導シート1201の大きさと略同じとなるように一枚で貼り付けてもよいし、熱伝導シート1201の第2平面部1220に対応するように個々に貼り付けてもよい。
なお、上記実施形態と同様に、熱伝導シート1201の金属層140を回路基板Pのグランドに接続させてもよい。
したがって、電子機器900は、前記第1の実施形態の電子機器100と同様の効果を奏する。
以下、熱伝導シートにおける第1平面部の周期構造の他の例を示す。
図42は、図39に示す熱伝導シート1201の第1変形例に係る熱伝導シート1401の平面図である。図43は、図39に示す熱伝導シート1201の第2変形例に係る熱伝導シート1501の平面図である。図44は、図39に示す熱伝導シート1201の第3変形例に係る熱伝導シート1601の平面図である。図45は、図39に示す熱伝導シート1201の第4変形例に係る熱伝導シート1701の平面図である。
熱伝導シート1401、1501、1601、1701のそれぞれは、周期構造が異なっている点で、熱伝導シート1201と相違する。他の構造については、同じである。
詳述すると、熱伝導シート1401は図42に示すように、平面視して円形状の第1平面部1210をマトリクス状に配置した周期構造を有している。第1平面部1210は絞り加工により、第1平面部1210が第2平面部1420より回路基板側へ突出するよう変形している。第1平面部1210をマトリクス状に配置することで、順送プレス金型等による列毎の連続加工がし易く生産性が向上する。
なお、第1平面部1210の平面視の形状は円形状だけでなく、矩形状や楕円状、多角形状でもよい。
熱伝導シート1501は図43に示すように、平面視して棒状の第1平面部1510を列状に配置した周期構造を有している。第1平面部1510は絞り加工により、第1平面部1510が第2平面部1520より回路基板側へ突出するよう変形している。第1平面部1510を列状に配置することで、順送プレスでの連続加工が容易である。また、5列の第1平面部1510によって5列の通風路が形成されることになるため、筐体40の内部の対流を向上させることができる。
熱伝導シート1601は図44に示すように、平面視して格子状の第1平面部1610を配置した周期構造を有している。第1平面部1610は絞り加工により、第1平面部1610が第2平面部1620より回路基板側へ突出するよう変形している。このように第1平面部1610の面積を相対的に大きく、第2平面部1620の面積を相対的に小さくした場合には、筐体40の内部での放熱が中心となり、筐体40の外部への放熱が他の実施例に比べて抑制される。
熱伝導シート1701は図45に示すように、3行2列の第1平面部1210を偏在または散在させた周期構造を有している。第1平面部1210は絞り加工により、第1平面部1210が第2平面部1720より回路基板側へ突出するよう変形している。発熱部品の回路基板上の配置に逐次合わせなくても、発熱部品の集中する箇所が予め分かっている場合は第1平面部1210をその箇所に集中的に配置することが効率的である。
次に、以下、第1平面部の形状の他の例を示す。
図46は、図39に示す熱伝導シート1201の第5変形例に係る熱伝導シート1801の断面図である。図47は、図39に示す熱伝導シート1201の第6変形例に係る熱伝導シート1901の断面図である。図48は、図39に示す熱伝導シート1201の第
7変形例に係る熱伝導シート2001の断面図である。図49は、図39に示す熱伝導シート1201の第8変形例に係る熱伝導シート2041の断面図である。図50は、図39に示す熱伝導シート1201の第9変形例に係る熱伝導シート2051の断面図である。図51は、図39に示す熱伝導シート1201の第10変形例に係る熱伝導シート2101の断面図である。
熱伝導シート1801は図46に示すように、発熱部品と接合する前に第1平面部1810が絞り加工により形成されたシートである。第1平面部1810は接合後に発熱部品の天面方向に拡がるように、接合前には相対的に小さく形成されている方が好ましい。
図47に示す熱伝導シート1901は、図39に示す熱伝導シート1201にエンボス加工を施すことにより形成したシートである。熱伝導シート1901は、第1平面部1910と、第1平面部1910と第1平面部1910との間にエンボス部1970と、第2平面部1920と、を有する。
エンボス部1970は第1平面部1910より、回路基板とは逆側に突出するとともに第2平面部1920より回路基板側に突出している。図47では隣接する2つの第1平面部1910を繋ぐようにエンボス加工が施されているが、2つ以上の第1平面部1910を繋ぐようにエンボス加工を施してもよい。エンボス加工は絞り加工のように熱伝導シート1901を延ばさないため加工しやすい。
なお、エンボス部1970が例えば1mm以下の狭ピッチの場合は、図47のようにエンボス部1970が第2平面部1920より回路基板側に突出するが、例えば2mm以上の比較的広いピッチの場合は、エンボス部1970が第2平面部1920と面一にすることも可能である。
図48に示す熱伝導シート2001は、図26、図27に示す熱伝導シート881と同様に、第1平面部2010及び第3平面部2080を含む封入部2090と、第2平面部2020と、を有する。熱伝導シート2001は、複数の封入部2090によって周期構造を有している。
封入部2090の断面形状は半円状または半楕円状を有している。封入部2090は、第1平面部2010が、第2平面部2020および第3平面部2080より回路基板側に突出するように形成されている。第1平面部2010は、絞り加工により形成されている。第2平面部2020および第3平面部2080は、2枚の熱伝導シートが熱融着(ヒートシール)されることにより形成される。
なお、封入部2090が大きな押圧力を受けない場合には、熱融着により封入部を形成するのではなく、両面粘着テープ等で封入部を形成してもよい。
第2平面部2020と第3平面部2080は略面一状であるが、第2平面部2020の厚みは、熱融着により、第3平面部2080の厚みと第1平面部2010の厚みとの和より薄くなっている。
よって、熱伝導シート2001の金属層同士が近接するため第2平面部2020における熱伝導性が向上する。第2平面部2020の金属層同士は、できるだけ近接させることが熱伝導性の面で好ましい。後述するヒータHの形状やヒートシールの温度を工夫することで、シール性を確保しながらも部分的に金属層同士を接触させることが可能である。
封入部2090は、内部に密閉空間2075を形成している。封入部2090は、熱伝導シート881と異なり、空気または窒素などのガスを密閉空間2075に封入している。ガスは第2平面部2020を熱融着する工程において封入される。熱伝導シート2001は、第3平面部2080により筐体40側への放熱性に優れるとともに、封入部2090により弾力性を有する。
なお、ガスの封入は第2平面部2020を熱融着した後に封入されてもよい。熱伝導シートに空気弁等を設けておけば、熱融着後にガスの封入が可能である。
なお、ガスの熱伝導率は低いため、封入部2090における厚さ方向の熱伝導は抑制される。よって、第3平面部2080と対向する筺体40における表面温度の局所的な上昇を抑制できる。
なお、ガスは、筺体940に収納する前から押圧力が得られるように、密閉空間2075内に十分に充満させておいてよいが、筺体940に収納された後に押圧力が得られるように、密閉空間2075内に所定量に調整して充満させておいてもよい。
また、密閉空間2075に蓄熱材を注入して、蓄熱や熱輸送を行うことも可能である。なお、蓄熱材は、熱伝導シート2001の外縁部に位置する密閉空間2075に注入することが熱輸送の面で好ましい。あるいは受動部品の上方に位置する密閉空間2075に注入することが熱輸送の面で好ましい。
蓄熱材は、固形パラフィンから構成されている。パラフィン系材料には、固形パラフィン、流動パラフィンなど、融点や蓄熱量(融解熱)その他特性の異なる各種の材料があるが、この実施形態では熱伝導シート2001の製造時に封入部2090に封入し易いよう、常温において固体の固形パラフィンを用いている。固形パラフィンは、所定の温度、例えば40℃以上になると融解して液体になるものを用いる。蓄熱量は150〜250(kJ/kg)のものを用いる。電子部品50〜53から伝導した熱が蓄熱材の潜熱となる。
なお、蓄熱材料としては、パラフィンなどの有機物化合物以外に、塩化カルシウム水和物、酢酸ナトリウム水和物、硫酸ナトリウム水和物などの無機水和塩でもよい。無機水和塩の場合、蓄熱量はパラフィンよりも小さいが、体積変化率が約3%以下と小さいため好ましい。
一方、固形のパラフィン系材料は、他の蓄熱材料の中でも液体になる際の熱膨張が比較的大きい材料(例えば30〜40℃付近で10〜15%)である。しかし、ラミネートシートは柔軟性を有することに加えて、蓄熱材は封入部2090内に減圧下で気密に封入されているため、温度変化による膨張または収縮が生じても密閉状態を保つことができる。
図49に示す熱伝導シート2041は、図48に示す熱伝導シート2001と同様に、第1平面部2014A,2014B及び第3平面部2084を含む封入部2094と、第2平面部2024と、を有する。図49に示す熱伝導シート2041が、図48に示す熱伝導シート2001と相違する点は、封入部2094における第1平面部2014A,2014Bの形状である。
詳述すると、封入部2094は、第1平面部2014A,2014Bが、第2平面部2024および第3平面部2084より回路基板側に突出するように形成されている。
第1平面部2014A,2014Bは、絞り加工により形成されている。これにより、第1平面部2014Aは、テーパ形状を有し、第1平面部2014Bは、R形状を有している。
図50に示す熱伝導シート2051は、図48に示す熱伝導シート2001と同様に、第1平面部2015A,2015B及び第3平面部2085を含む封入部2095と、第2平面部2025と、を有する。図50に示す熱伝導シート2051が、図48に示す熱伝導シート2001と相違する点は、封入部2095における第1平面部2015A,2015Bの形状である。
詳述すると、封入部2095は、第1平面部2015A,2015Bが、第2平面部2025および第3平面部2085より回路基板側に突出するように形成されている。
第1平面部2015A,2015Bは、絞り加工により形成されている。これにより、第1平面部2015A、2015Bのそれぞれは、R形状を有している。第1平面部2015Aの曲率は、第1平面部2015Bの曲率より小さい。
熱伝導シート2101は図51に示すように、絞り加工により形成された第1平面部2010を含む封入部2190と、熱伝導シート2101を熱融着することにより形成される第2平面部2020と、を有する。熱伝導シート2101は、複数の封入部2190によって周期構造を有している。
封入部2190は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側に第2平面部2020より突出するように形成されている。封入部2190の回路基板とは逆側の突出部については、第1平面部2010と同様に絞り加工により形成されたものである。封入部2190は、内部に密閉空間2175を形成している。封入部2190は、空気または窒素などのガスを密閉空間2175に封入している。ガスは第2平面部2020を熱融着する工程において封入される。封入部2090は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側で弾力性を有する。
《第10の実施形態》
図52は、本発明の第10の実施形態に係る電子機器1000であって、図51に示す熱伝導シート2101を備える電子機器1000の主要部の断面図である。
この実施形態の電子機器1000が、前記第1の実施形態に係る電子機器100と相違する点は、熱伝導シート2101、筐体940の厚み、及び回路基板P上の配置である。その他の構成については、同じである。
まず、筐体940の厚みは、筐体40の厚みより厚い。
次に、回路基板P上には、電力の供給を受けて発熱する電子部品50、54と、コンデンサやインダクタ等の受動部品80とが実装されている。
図52に示す熱伝導シート2101は、図51に示す熱伝導シート2101の複数の封入部2190が変形し、封入部2290〜2293となったシートである。熱伝導シート2101は、封入部2290〜2293と、第2平面部2020と、を有する。封入部2290〜2293は、第1平面部2210、2010、2211、2212と、第3平面部2280〜2283とを含んでいる。熱伝導シート2101は、封入部2290〜2293を含む複数の封入部によって周期構造を有している。
封入部2290〜2293は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側に第2平面部2020より突出するように形成されている。封入部2290〜2293は、内部に密閉空間2275〜2278を形成している。封入部2290〜2293は、空気または窒素などのガスを密閉空間2275〜2278に封入している。ガスは第2平面部2020を熱融着する工程において封入される。そのため、封入部2290〜2293は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側で弾力性を有する。
なお、ガスの熱伝導率は低いため、封入部2290〜2293における厚さ方向の熱伝導は抑制される。よって、第3平面部2280〜2283と対向する筺体940における表面温度の局所的な上昇を抑制できる。
詳述すると、第1平面部2210は、電子部品54の天面の一部(略半分)と接合している。第1平面部2010は、近傍に位置する電子部品50、54および受動部品81のいずれにも接合していない。第1平面部2211における回路基板P側の主面は、電子部品50の天面の略全部と接合している。第1平面部2212における回路基板P側の主面は、受動部品80の天面と接合している。
絞り加工の深さは電子部品50、54と第1平面部2210、2211が接合可能な寸法を適宜選択する。電子部品50と電子部品54のように高さが異なる場合には、高さの低い電子部品54に合わせることが好ましい。
ただし、電子部品50と電子部品54の高さが大きく異なる場合には、電子部品50側の第1平面部2211の変形が大きくなってしまうため、例えば電子部品54側の第1平面部2210は電子部品54に接合させるのではなくて近接させるようにしてもよい。
熱伝導シート2101では、図51に示す熱伝導シート2101を筐体940に収納し、電子部品50、54及び受動部品80と接合させることにより、絞り加工の略円状の断面を有する封入部2190が変形して第1平面部2210〜2212が形成される。さらに、筐体940の天板940Aに当接して前記熱伝導シート2101の封入部2190が変形することにより第3平面部2280〜2283が形成される。
なお、受動部品80の中には、電子部品50の熱を熱伝導シート2101で伝導させない方が好ましいものもあるが、電子部品50の熱は、主として第1平面部2211から隣接する第2平面部2020に伝導し、第2平面部2020に伝導した熱は、第2平面部2020において面方向に広がりながら第3平面部2282および隣接する第3平面部2283に伝導し、第3平面部2282、2283において面方向に広がりながら筺体40の天板40Aに伝導するので影響は小さい。
ここで、封入部2290〜2293に酸素や窒素などのガスが封入されているため、電子部品50、54を押圧することができ、熱伝導シート2101と電子部品50、54とをより密着させることができる。
したがって、図52に示すように、電子部品50、54、受動部品80と第1平面部2210、2211、2212との間に両面粘着テープ150(図3参照)を用いなくてもよい。また、弾力性があるために耐衝撃性にも優れている。
なお、例えば電子部品50が、確実に接合させる必要があるCPUなどの主要な電子部品である場合には、両面粘着テープ150や熱伝導性接着層、グリースなどの接着剤を用いてもよい。
また、第3平面部2280〜2283における回路基板Pとは逆側の面は、両面粘着テープ160を介して、筐体940の天板940Aの内面に接合している。なお、両面粘着テープ160は筐体940の内面に熱伝導シート2101の大きさと略同じとなるように一枚で貼り付けてもよいし、熱伝導シート2101の第3平面部2280〜2283に対応するように個々に貼り付けてもよい。
したがって、電子機器1000は、前記第1の実施形態の電子機器100と同様の効果を奏する。
以下、電子機器1000の変形例について説明する。
図53は、図52に示す電子機器1000の第1変形例に係る電子機器1001の主要部の断面図である。
電子機器1001では、電子部品58が熱伝導シート2101の複数の第1平面部2211と接合している。ここで、電子部品58の天面の面積は、図52に示す電子部品50の天面の面積より大きい。
電子機器1001では、電子部品58で発生した熱が複数の第1平面部2211に伝導するため、電子部品58の放熱性が向上する。また、電子部品58が、確実に接合させる必要があるCPUなどの主要な電子部品の場合には、グリースなどの接着剤を用いることがあるが、その場合に、第1平面部2211、2211の間にグリースなどの接着剤が回り込んで充填されるので、グリースなどの接着剤と熱伝導シート2101との密着性が向上し、放熱性が向上する。
図54は、図52に示す電子機器1000の第2変形例に係る電子機器1002の主要部の断面図である。図55は、図52に示す電子機器1000の第3変形例に係る電子機器1003の主要部の断面図である。
図54に示すように、電子機器1002では第3平面部2280〜2283における回路基板Pとは逆側の面が、両面粘着テープ160を介さず直接、筐体940の天板940Aの内面に接合している。封入部2290〜2293が弾力性を有するため、筐体940と電子部品50、54、及び受動部品80、81(即ち回路基板P)との間で熱伝導シート2101を挟持することが可能である。
なお、熱伝導シート2101の少なくとも一部に両面粘着テープ160を貼り付けるだけでも筐体940に確実に固定することが可能である。例えば、熱伝導シート2101の中央部を中心とした広範囲、あるいは中央部を除いて端部周辺に両面粘着テープ160を貼り付けて固定することが可能である。
同様に、熱伝導シート2101の少なくとも一部に両面粘着テープ1261、1262を貼り付けるだけでも回路基板Pに確実に固定することが可能である。例えば、熱伝導シート2101の電子部品50、54に接合する箇所に両面粘着テープ1261、1262を貼り付けて固定することが可能である(図55参照)。
図56は、図52に示す電子機器1000の第4変形例に係る電子機器1004の主要部の断面図である。
封入部2290と封入部2291との間(第2平面部2020の上部)には第1の隙間が形成される。同様に、封入部2291と封入部2292との間(第2平面部2020の上部)には第2の隙間が形成される。そのため、アンテナA3、A4などの電磁シールドを避けたい部品を、第1、第2の隙間に設けることが可能である。
図57は、図39に示す熱伝導シート1201の第9変形例に係る熱伝導シート2401の平面図である。図58は、図57に示すB−B線の断面図である。
熱伝導シート2401が前記熱伝導シート1201と相違する点は、熱伝導シート2401の第2平面部2420を熱融着(ヒートシール)することにより第1平面部2410を含む封入部2490を形成している点である。すなわち、図39に示す熱伝導シート1201のように、予め絞り加工を施すことにより第1平面部1210を形成したものとは相違する。熱伝導シート2401の構造は、図51に示す熱伝導シート2101の構造と同じである。
詳述すると、熱伝導シート2401は、第1平面部2410を含む封入部2490と、第2平面部2420と、を有する。熱伝導シート2401は図57に示すように、複数の封入部2490がマトリクス状に周期的に配置された周期構造を有している。
各封入部2490は平面視して矩形状を有している。各封入部2490は全て、同一の形状、同一の大きさである。各封入部2490の断面形状は円状または楕円状を有している。各封入部2490は、円状または楕円状を有するため、回路基板上の発熱部品を押圧しやすい。
封入部2490は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側に第2平面部2420より突出するように形成されている。封入部2490は、内部に密閉空間2475を形成している。封入部2490は、空気または窒素などのガスを密閉空間2475に封入している。ガスは第2平面部2420を熱融着する工程において封入される。封入部2490は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側で弾力性を有する。
以上より、熱伝導シート2401は、熱融着により封入部2490を形成するため加工容易であり、封入部2490の大きさも自由に変更可能である。熱伝導シート2401では、例えば、周期構造の異なる数種の熱伝導シート2401を用意し、各回路基板上の発熱部品の配置に適した熱伝導シートを数種の熱伝導シートから選べばよい。すなわち、回路基板上の発熱部品の配置に合わせて、絞り加工のための金型を設ける必要がない。そのため、熱伝導シート2401によれば、汎用性が向上し、製造コスト高を低減できる。
なお、熱伝導シート2401においては、熱融着による融着層を形成するために、融着層には無延伸ポリプロピレン(CPP)、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、低密度ポリエチレン(LDPE)、アクリル系共重合樹脂などのシーラント材が用いられている。
以下、熱伝導シート2401の変形例について説明する。
図59は、図57に示す熱伝導シート2401の第1変形例に係る熱伝導シート2451の断面図である。
熱伝導シート2451は、第1平面部2410及び第3平面部2489を含む封入部2499と、第2平面部2420と、を有する。熱伝導シート2451は、複数の封入部2499によって周期構造を有している。封入部2499の断面形状は半円状または半楕円状を有している。
封入部2499は、第2平面部2420を熱融着することにより形成された第1平面部2410が、第2平面部2420および第3平面部2489より回路基板側に突出するように形成されている。第2平面部2420と第3平面部2489は略面一状であるが、第2平面部2420の厚みは、熱融着により第3平面部2489の厚みより薄くなっている。
よって、熱伝導シート2451の金属層同士が近接するため第2平面部2420における熱伝導性が向上する。第2平面部2420の金属層同士は、できるだけ近接させることが熱伝導性の面で好ましい。後述するヒータHの形状やヒートシールの温度を工夫することで、シール性を確保しながらも部分的に金属層同士を接触させることが可能である。
封入部2499は、内部に密閉空間2479を形成している。封入部2499は、熱伝導シート881と異なり、空気または窒素などのガスを密閉空間2479に封入している。ガスは第2平面部2420を熱融着する工程において封入される。熱伝導シート2451は、第3平面部2489により筐体40側への放熱性に優れるとともに、封入部2499により弾力性を有する。
以下、熱伝導シート2401の製造方法について説明する。
図60、図61、図62は、図57に示す熱伝導シート2401の製造方法を示す平面図である。
図60に示すように、2枚の熱伝導シート98を重ね合わせて周縁部20の4辺のうち3辺を上下からヒーターHで熱融着する(3方シール)。ヒートシールの方法は熱板方式、インパルス方式、超音波方式などがある。熱伝導シート2401の生産性を高めるためには熱板方式が好ましく、ヒートシール性を高めるためにはインパルス方式や超音波方式が好ましい。本実施形態の製造方法では熱板方式を用いている。
そして、4辺のうち残りの1辺を熱融着する前に、封入部90に空気または窒素などのガスを所定量封入し、その後残りの1辺を熱融着し、封入部90を閉じる(4方シール)。
図61に示すように、大きな封入部90を小さな封入部91〜94にするために、田の字状部21を熱融着して4分割する。このときガスが分割された各封入部91〜94に均一になるように、押圧治具などで押圧した後、熱融着する。
図62に示すように、封入部91〜94をさらに小さな封入部2490にするために、さらに田の字状に熱融着する。これにより、複数の封入部2490と、第2平面部2420と、を有する熱伝導シート2401が得られる。ガスの封入量、第2平面部2420の幅、または小さな封入部2490の大きさにより、突出する第1平面部2410の深さが決められる。
《第11の実施形態》
図63は、本発明の第11の実施形態に係る電子機器1100であって、図57に示す熱伝導シート2401を備える電子機器1100の主要部の断面図である。
図63に示す熱伝導シート2401は、図57、図58に示す熱伝導シート2401の複数の封入部2491が変形し、封入部2491〜2494となったシートである。熱伝導シート2401は、封入部2491〜2494と、第2平面部2420と、を有する。封入部2491〜2494は、第1平面部2411、2410、2413、2410と、第3平面部2480〜2483とを含んでいる。熱伝導シート2401は、封入部2491〜2494を含む複数の封入部によって周期構造を有している。
なお、熱伝導シート2401の構造上は、図52に示す熱伝導シート2101と類似しているが、熱伝導シート2401の封入部2491〜2494は、熱伝導シート2101のように絞り加工を施されて保形性を有する封入部2290〜2293とは異なり、より柔軟性に富んでいる。
封入部2491〜2494は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側に第2平面部2420より突出するように形成されている。封入部2491〜2494は、内部に密閉空間2476〜2479を形成している。封入部2491〜2494は、空気または窒素などのガスを密閉空間2476〜2479に封入している。ガスは熱融着する工程において封入される。そのため、封入部2491〜2494は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側で弾力性を有する。
詳述すると、第1平面部2411は、電子部品54の天面の一部(略半分)と接合している。第1平面部2410は、近傍に位置する電子部品50、54および受動部品81のいずれにも接合していない。第1平面部2412における回路基板P側の主面は、電子部品50の天面の略全部と接合している。第1平面部2413における回路基板P側の主面は、受動部品80の天面と接合している。
熱伝導シート2401では、図57、図58に示す熱伝導シート2401を筐体940に収納し、電子部品50、54及び受動部品80と接合させることにより、略円状の断面を有する封入部2490が電子部品50の天面方向、あるいは電子部品54の天面方向及び側面方向に拡がるように変形し、第1平面部2411〜2413が形成される。さらに、筐体940の天板940Aに当接し、図57、図58に示す熱伝導シート2401の封入部2490が天板940Aの面方向に拡がるように変形し、第3平面部2480〜2483が形成される。
ここで、封入部2491〜2494に酸素や窒素などのガスが封入されているため、電子部品50、54を押圧することができ、熱伝導シート2401と電子部品50、54とをより密着させることができる。
したがって、図52に示すように、電子部品50、54と第1平面部2411、2413との間に両面粘着テープ150(図3参照)を用いなくてもよい。また、弾力性があるために耐衝撃性にも優れている。
なお、例えば電子部品50が、確実に接合させる必要があるCPUなどの主要な電子部品である場合には、両面粘着テープ150や熱伝導性接着層、グリースなどの接着剤を用いてもよい。
また、第3平面部2480〜2483における回路基板Pとは逆側の面は、両面粘着テープ160を介して、筐体940の天板940Aの内面に接合している。なお、両面粘着テープ160は筐体940の内面に熱伝導シート2401の大きさと略同じとなるように一枚で貼り付けてもよいし、熱伝導シート2401の第3平面部2480〜2483に対応するように個々に貼り付けてもよい。
したがって、電子機器1100は、前記第1の実施形態の電子機器100と同様の効果を奏する。
以下、電子機器1100の変形例について説明する。
図64は、図63に示す電子機器1100の変形例に係る電子機器1101であって、図57に示す熱伝導シート2401の第2変形例に係る熱伝導シート2501を備える電子機器1101の主要部の断面図である。熱伝導シート2501は、図57、図58に示す熱伝導シート2401を九十九折りして重ね合わせ、上下の第2平面部2420の間に封入部2594が重なるように配置したシートである。このような配置は、電子部品50、54と筐体1340の天板1340Aとの隙間が大きい場合に特に有効である。
なお、必ずしも九十九折りする必要はなく、複数枚の熱伝導シート2401を重ねてもよい。また、上下の第2平面部2420の間に配置される封入部2594は、図64にように整然と重なる方が好ましいが、実質的に上下方向に熱結合させることができれば整然と重なっていなくてもよい。
以下、熱伝導シート2401の変形例について説明する。
図65は、図57に示す熱伝導シート2401の第3変形例に係る熱伝導シート2601の平面図である。図65は、熱伝導シート2601における回路基板側の主面を示している。図66は、図65に示すC−C線の断面図である。
熱伝導シート2601は、図57に示す熱伝導シート2401の第2平面部2420における回路基板側の主面に格子状のグラファイト層G1、G2を形成したシートである。なお、グラファイト層G1、G2の代わりにグラフェン層を形成してもよい。
熱伝導シート2601によれば、グラファイト層G1、G2により熱伝導性が向上するとともに、熱に弱い他の電子部品への熱伝導を抑制することができる(サーマルブロック)。また、熱伝導シート2601によれば、比較的高価なグラファイト材料を特定個所にしか使用しないため、熱伝導シート2601の製造コストを低減できる。また、グラファイト単体だけでは困難な立体形状の熱伝導シートを形成することが可能である。
なお、グラファイト層G1、G2は、上述した第1〜第3の製法で形成されたグラファイト層を、熱伝導シート2601に貼り付けてもよいし、第1〜第3の製法で形成されたグラファイト層を、粘着シートや粘着ロール等に被着させて剥離することで(テープ剥離法)、グラファイト層をさらに薄く形成したものを熱伝導シート2601に貼付したり、転写してもよい。グラファイト層からの剥離は、同じグラファイト層から繰り返し行うことができるので製造コストを低減できる。また、グラファイト層G1,G2を第2平面部2420の熱融着と同時に形成すれば、より生産性が向上する。グラファイト層G1、G2を先に熱伝導シート2601に形成しておいてから封入部2490を形成してもよい。グラファイト層G1、G2の表面には必要に応じて樹脂層などの絶縁層(保護層)を形成してもよい。
図67は、図57に示す熱伝導シート2401の第4変形例に係る熱伝導シート2701の平面図である。図67は、熱伝導シート2701における回路基板側の主面を示している。なお、図67に示すC−C線の断面図は、図66で示されている断面図と同じである。
熱伝導シート2701は、図57に示す熱伝導シート2401の第2平面部2420における回路基板側の主面にストライプ状のグラファイト層G1を形成したシートである。熱伝導シート2701は、ストライプ状に形成されたグラファイト層G1の高熱伝導性により、異方性の熱伝導シートとなる。
熱伝導シート2701によれば、グラファイト層G1により熱伝導性が向上するとともに、熱に弱い他の電子部品への熱伝導を抑制することができる(サーマルブロック)。また、熱伝導シート2701によれば、比較的高価なグラファイト材料を特定個所にしか使用しないため、熱伝導シート2701の製造コストを低減できる。また、グラファイト単体だけでは困難な立体形状の熱伝導シートを形成することが可能である。
なお、グラファイト層G1は、テープ剥離法などで薄く形成したグラファイトを熱伝導シート2701に転写するか、またはテープ状のグラファイトを熱伝導シート2701に貼り付けてもよい。グラファイト層G1の表面には必要に応じて樹脂層などの絶縁層(保護層)を形成してもよい。
また、グラファイト層G1は、ストライプ状でなくても例えばジグザグ状でもよい。熱伝導シート2701にグラファイト層G1を偏在または散在させてもよい。
図68は、図57に示す熱伝導シート2401の第5変形例に係る熱伝導シート2801の平面図である。図68は、熱伝導シート2801における回路基板側の主面を示している。図69は、図68に示すD−D線の断面図である。
熱伝導シート2801は、図57に示す熱伝導シート2401の封入部2490における回路基板側の主面にグラファイト層G3を形成したシートである。
熱伝導シート2801によれば、封入部2490の放熱性が向上する。また、熱伝導シート2701によれば、比較的高価なグラファイトを特定個所にしか使用しないため、熱伝導シート2801の製造コストを低減できる。
なお、グラファイト層G3は、テープ剥離法などで薄く形成したグラファイトを熱伝導シート2401に転写するか、またはテープ状のグラファイトを熱伝導シート2401に貼り付けてもよい。グラファイト層G3の表面には必要に応じて樹脂層などの絶縁層(保護層)を形成してもよい。また、熱伝導シート2801にグラファイト層G3を偏在または散在させてもよい。
図70は、図57に示す熱伝導シート2401の第6変形例に係る熱伝導シート2901の平面図である。図70は、熱伝導シート2901における回路基板側の主面を示している。図71は、図70に示すE−E線の断面図である。
熱伝導シート2901は、図57に示す熱伝導シート2401における回路基板側の主面の全域にグラファイト層G4を形成したシートである。
熱伝導シート2901によれば、グラファイト層G4により熱伝導性が向上するとともに、グラファイト単体だけでは困難な立体形状の熱伝導シートを形成することが可能である。
なお、グラファイト層G4は、テープ剥離法などで薄く形成したグラファイトを熱伝導シート2401に転写するか、またはテープ状のグラファイトを熱伝導シート2401に貼り付けてもよい。
図72は、図57に示す熱伝導シート2401の第7変形例に係る熱伝導シート3001の平面図である。図73(A)は、図72に示すF−F線の断面図である。図73(B)は、図72に示すG−G線の断面図である。
熱伝導シート3001が前記熱伝導シート2401と相違する点は、第2平面部3021によって周期構造を形成している点である。熱伝導シート3001の構造は、熱伝導シート2401の構造と同じである。
詳述すると、熱伝導シート3001は、第1平面部3010を含む封入部3090と、封入部3090より外周にあり、封入部3090を囲む第2平面部3020と、複数の第2平面部3021(この変形例では4×4個の第2平面部3021)と、を有する。熱伝導シート3001は図72に示すように、複数の第2平面部3021がマトリクス状に周期的に配置された周期構造を有している。
各第2平面部3021は平面視して矩形状を有している。各第2平面部3021は全て、同一の形状、同一の大きさである。封入部3090の断面形状は円状または楕円状を有している。封入部3090は、円状または楕円状を有するため、回路基板上の発熱部品を押圧しやすい。
封入部3090は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側に第2平面部3020、3021より突出するように形成されている。封入部3090は、内部に密閉空間3075を形成している。封入部3090は、空気または窒素などのガスを密閉空間3075に封入している。ガスは封入部3090より外周にある第2平面部3020を熱融着する工程において封入される。封入部3090は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側で弾力性を有する。
また、図73(A)、(B)に示すように、封入部3090は格子状に連通しているため、ガスが密閉空間3075内を自由に流動することができる。したがって、電子部品50、54のように高さが異なる場合でも、電子部品50、54のそれぞれの高さに合わせやすいため、より密着性が向上し、放熱性が向上する。
また、密閉空間3075に作動液を注入して、潜熱を利用した熱輸送を行うことも可能である。また、密閉空間3075に蓄熱材を注入して、蓄熱や熱輸送を行うことも可能である。
以上より、熱伝導シート3001は、熱融着により封入部3090を形成するため加工容易であり、封入部3090の大きさも自由に変更可能である。熱伝導シート3001では、例えば、周期構造の異なる数種の熱伝導シート3001を用意し、各回路基板上の発熱部品の配置に適した熱伝導シートを数種の熱伝導シートから選べばよい。すなわち、回路基板上の発熱部品の配置に合わせて、絞り加工のための金型を設ける必要がない。そのため、熱伝導シート3001によれば、汎用性が向上し、製造コスト高を低減できる。
図74は、図57に示す熱伝導シート2401の第8変形例に係る熱伝導シート3101の平面図である。図75は、72に示すH−H線の断面図である。
熱伝導シート3101が前記熱伝導シート2401と相違する点は、第2平面部3021、3121によって周期構造を形成している点である。熱伝導シート3101の構造は、熱伝導シート2401の構造と同じである。
詳述すると、熱伝導シート3101は、第1平面部3010を含む封入部3190と、封入部3190より外周にあり、封入部3190を囲む第2平面部3020と、複数の第2平面部3021(この変形例では4×2個の第2平面部3021)と、複数の第2平面部3121(この変形例では4×2個の第2平面部3121)と、を有する。熱伝導シート3101は図72に示すように、複数の第2平面部3021、3121がマトリクス状に周期的に配置された周期構造を有している。
各第2平面部3021は平面視して矩形状を有している。各第2平面部3021は全て、同一の形状、同一の大きさである。同様に、各第2平面部3121は平面視して矩形状を有している。各第2平面部3121は全て、同一の形状、同一の大きさである。各第2平面部3021の大きさは、各第2平面部3121の大きさより大きい。封入部3190の断面形状は円状または楕円状を有している。封入部3190は、円状または楕円状を有するため、回路基板上の発熱部品を押圧しやすい。
封入部3190は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側に第2平面部3020、3021、3121より突出するように形成されている。封入部3190は、内部に密閉空間3175を形成している。封入部3190は、空気または窒素などのガスを密閉空間3175に封入している。ガスは封入部3190より外周にある第2平面部3020を熱融着する工程において封入される。封入部3190は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側で弾力性を有する。
以上より、熱伝導シート3101は、熱伝導シート3001と同様の効果を有する。また、個々の第2平面部3021、3121の大きさ、形状を異ならせることも可能である。第2平面部3021、3121を交互に配置したり、熱伝導シート3101に第2平面部3021、3121を散在させてもよい。これにより発熱部品の大きさ、形状に合わせて、熱伝導シート3101を発熱部品に接合することができる。
図76は、図57、図58に示す熱伝導シート2401の第9変形例に係る熱伝導シート3201の平面図である。図77は、図76に示すI−I線の断面図である。
図76、図77に示す熱伝導シート3201が図57、図58に示す熱伝導シート2401と相違する点は、封入部3290が突起部3266を封入している点である。突起部3266は、本発明の「緩衝材」に相当する。
詳述すると、熱伝導シート3201は、3×4個の封入部3290と、各封入部3290を囲む第2平面部3220と、を有する。各封入部3290は、第1平面部3210を含み、空気を封入している円筒状の突起部3266を封入している。熱伝導シート3201は、詳細を後述するが、熱伝導シート3298と、複数の突起部3266を含む気泡緩衝シート3260と、熱伝導シート3299と、が積層された構造を有している。
熱伝導シート3201は図76に示すように、複数の封入部3290がマトリクス状に周期的に配置された周期構造を有している。複数の封入部3290は、第2平面部3220を熱融着(ヒートシール)することにより形成されている。
複数の封入部3290は、回路基板側に第2平面部3220より突出するように形成されている。各封入部3290は平面視して矩形状を有している。各封入部3290は全て、同一の形状、同一の大きさである。各封入部3290の断面形状は半楕円状を有している。各封入部3290は、半楕円状を有するため、回路基板上の発熱部品を押圧しやすい。
ここで、各封入部3290の寸法は、主要な発熱部品のサイズに合わせることが好ましい。また、各封入部3290間における第2平面部3220の幅Xは、発熱部品との接触面積の確保を考慮すると小さい方が好ましいが、第1平面部3210から第2平面部3220への放熱性を考慮すると大きい方が好ましい。また、突起部3266は、封入部3290に少なくとも1つ封入されることが好ましい。複数の突起部3266は、熱伝導シート3201の中央部に配置されることが好ましい。
以上の構成において、各封入部3290は、図77に示すように、空気を封入している突起部3266を封入している。そのため、熱伝導シート3201の封入部3290の弾力性は、ガス(空気や窒素など)のみを封入した熱伝導シート2401の封入部2490の弾力性に比べて、突起部3266によって向上している。また、熱伝導シート3201は、封入部3290の厚みを、突起部3266の高さで容易に調整することができる。
なお、突起部3266を封入した熱伝導シート3201の厚み方向の熱伝導率は、ガスのみを封入した熱伝導シート2401の厚み方向の熱伝導率に比べて若干大きくなるが、筺体の表面温度の局所的な上昇(ヒートスポット)に影響を及ぼす程度ではない。
以下、熱伝導シート3201の製造方法について説明する。
図78は、熱伝導シート3298、3299の平面図である。図79は、気泡緩衝シート3260の平面図である。図80は、図79に示す気泡緩衝シート3260の変形例である気泡緩衝シート3261の平面図である。図81、図82、図83、図84は、図76に示す熱伝導シート3201の製造方法を示す平面図である。図85(A)は、図84に示すJ−J線の断面図である。図85(B)は、図84に示すK−K線の断面図である。図86は、図76に示す熱伝導シート3201の製造方法を示す平面図である。
まず、図78に示す2枚の熱伝導シート3298、3299と、図79に示す気泡緩衝シート3260とを用意する。
熱伝導シート3298、3299のそれぞれは、図78、図81に示すように、第1絶縁層141と、金属層140と、第2絶縁層142とを含み、これらが順に積層された構造を有している。熱伝導シート3298、3299のそれぞれは、図25に示した熱伝導シート99と同様に、平坦なラミネートシートである。
気泡緩衝シート3260は、図79に示すように、複数の突起部3266が千鳥状に周期的に配置された周期構造を有している。各突起部3266は、空気を封入している。
ここで、図81に示すように、突起部3266の径R5は、封入部3290に突起部3266が少なくとも1つ封入されるよう適宜選択される。突起部3266の径R5は、例えば3mm〜30mmの範囲で、例えば5mm〜15mmである。
また、突起部3266の高さZ5は、封入部3290の所望の厚みに合わせて適宜選択される。突起部3266の高さZ5は、例えば1mm〜10mmの範囲で、例えば2mm〜3mmである。
なお、本実施形態の製造方法では気泡緩衝シート3260を用いているが、これに限るものではない。例えば、図80に示すように、複数の突起部3266が格子状に周期的に配置された周期構造を有する気泡緩衝シート3261を用いてもよい。
次に、図81〜図83に示すように、気泡緩衝シート3260を挟んで2枚の熱伝導シート3298、3299を重ね合わせる。
次に、図84、図85に示すように、重ね合せた2枚の熱伝導シート3298、3299及び気泡緩衝シート3260に対し、この3枚のシートを挟むように上下方向からシール幅の異なるヒータH1、H2で熱融着する。これにより、2枚の熱伝導シート3298、3299及び気泡緩衝シート3260が熱融着され、図84のJ−J線に並ぶ3つの突起3266は2枚の熱伝導シート3298、3299の間に挟まれ(図85(A)参照)、図84のK−K線に並ぶ4つの突起3266は潰れる(図85(B)参照)。なお、図84のK−K線に並ぶ4つの突起3266内に封入されていた空気Aは、図85(B)に示すように、突起3266内において熱融着されていない部分に残る。
ここで、熱伝導シート3298、3299の絶縁層141、142と気泡緩衝シート3260が同じ材料の場合、例えばポリプロピレンの場合、熱伝導シート3298、3299及び気泡緩衝シート3260は、第2平面部3220において互いに熱融着する。
熱伝導シート3298、3299の絶縁層141、142と気泡緩衝シート3260が異なる材料の場合、例えば熱伝導シート3298、3299の絶縁層141、142がポリプロピレンで気泡緩衝シート3260がポリエチレンの場合、一般にポリエチレンの融点よりポリプロピレンの融点の方が高い。そのため、ヒータH1、H2の温度をポリプロピレンに合わせることで、熱伝導シート3298、3299及び気泡緩衝シート3260は、第2平面部3220において互いに熱融着する。先に気泡緩衝シート3260が溶融して途切れたりすることで、熱伝導シート3298、3299の絶縁層141、142が直接熱融着する領域もある。
また、気泡緩衝シート3260の材料やヒータH1、H2の温度や時間を調整することで、熱融着時に封入部3290内の気泡緩衝シート3260も溶融させることができる。これにより、重ね合わせた時には気泡緩衝シート3260の突起部3266により封入部3290の高さを調整するとともに、熱融着後には封入部3290の気泡緩衝シート3260が実質的に無くなり、封入部3290の密閉空間はガスのみとなる。なお、後述の発泡シート3460を用いた場合も同様である。
次に、図86に示すように、2枚の熱伝導シート3298、3299の縦方向からヒータH1、H2で熱融着し、封入部3290を閉じる。
これにより、複数の突起部3266を封入した複数の封入部3290と、第2平面部3220と、を有する熱伝導シート3201が得られる。
以上の本実施形態の製造方法において、気泡緩衝シート3260を2枚の熱伝導シート3298、3299で挟んで熱融着することは容易である。そのため、本実施形態の製造方法によれば、安価な製造コストで熱伝導シート3201を製造できる。
なお、本実施形態の製造方法では、横方向のヒータH1、H2で熱融着を行った後に、縦方向のヒータH1、H2で熱融着を行っているが、これに限るものではない。例えば、ヒータH1、H2で、同時に熱融着(ヒートシール)を行ってもよい。その他、重ね合せた2枚の熱伝導シート3298、3299の周縁部の4辺をヒータH1で熱融着した後に、周縁部より内側に位置する中央部をヒータH2で熱融着してもよいし、逆の順序でもよい。
また、本実施形態の製造方法では、複数の突起部3266を封入する複数の封入部3290が形成された熱伝導シート3201を製造しているが、これに限るものではない。例えば、図87に示すように、1つの突起部3266を封入する1つの封入部3390が形成された熱伝導シート3301を同様の製造方法で製造しても構わない。熱伝導シート3301は、第1平面部3310を含む封入部3390と、第2平面部3320と、を有している。
図88は、図76、図77に示す熱伝導シート3201の変形例に係る熱伝導シート3401の断面図である。図89は、発泡シート3460の平面図である。図90は、図88に示す熱伝導シート3401の製造方法を示す断面図である。
図88に示す熱伝導シート3401が図76、図77に示す熱伝導シート3201と相違する点は、気泡緩衝シート3260の代わりに発泡シート3460を備える点である。すなわち、熱伝導シート3401は、熱伝導シート3298と、発泡シート3460と、熱伝導シート3299と、が積層された構造を有している。そして、複数の封入部3490は、回路基板側および回路基板とは逆側の両側に第2平面部3220より突出するように形成されている。各封入部3490の断面形状は楕円状を有している。その他の構成については、熱伝導シート3201と同じであるため、説明を省略する。なお、発泡シート3460が、本発明の「緩衝材」に相当する。
また、熱伝導シート3401の製造方法が熱伝導シート3201の製造方法と相違する点は、図89に示すように気泡緩衝シート3260の代わりに発泡シート3460を用いる点である。
すなわち、熱伝導シート3401の製造方法では図90に示すように、発泡シート3460を挟んで2枚の熱伝導シート3298、3299を重ね合わせる。
そして、重ね合せた2枚の熱伝導シート3298、3299及び発泡シート3460に対してヒータH1、H2で熱融着する。これにより、2枚の熱伝導シート3298、3299及び発泡シート3460が熱融着される。その他の製造方法については、熱伝導シート3201の製造方法と同じであるため、説明を省略する。
以上において、各封入部3490は、図88に示すように、空気を含む発泡シート3460を封入している。泡そのため、熱伝導シート3401の封入部3490の弾力性は、ガス(空気や窒素など)のみを封入した熱伝導シート2401の封入部2490の弾力性に比べて、発泡シート3460によって向上している。また、熱伝導シート3401は、封入部3490の厚みを、2枚の熱伝導シート3298、3299及び発泡シート3460に対する熱融着の温度や時間で容易に調整することができる。
よって、熱伝導シート3401においても、熱伝導シート3201と同様の効果を奏する。
また、発泡シートは気泡緩衝シートに比べて厚みを薄く形成することができる。そのため、熱伝導シート3401は、厚みの薄い熱伝導シートを製造するのに適している。
また、熱伝導シート3401の製造方法においても、発泡シート3460を2枚の熱伝導シート3298、3299で挟んで熱融着することは容易である。そのため、この製造方法においても、安価な製造コストで熱伝導シート3401を製造できる。
《その他の実施形態》
なお、前記各実施形態で用いられる熱伝導シートは、フレキシブルで形状自由度があるため、ヒートパイプ、ヒートシンク、冷却ファン、蓄熱材などと容易に組み合わせることが可能である。
また、各実施形態における熱伝導シートは、筺体(収納体)の内部に収納される形態で説明されているが、各実施形態の熱伝導シートを筺体(収納体)の外部に配置される形態で用いることも可能である。例えば、図91に示すように、図39、図40で示した熱伝導シート1201をノート型パーソナルコンピュータ(発熱部品)NPの底部と、該ノート型パーソナルコンピュータを載置する机Tとの間に敷設することも可能である。図91では、熱伝導シート1201の第1平面部1210におけるノート型パーソナルコンピュータNP側の面が、ノート型パーソナルコンピュータNPに接合している。
その他、各実施形態における熱伝導シートは、リチウムイオン二次電池などの組電池におけるセル(発熱部品)とセル(発熱部品)との間に敷設して、セルと接合することも可能である。また、太陽光パネル(発熱部品)の裏面側に敷設して、バックシートや金属フレームと接合することも可能である。
最後に、前記の各実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。例えば、各実施形態において開示された特徴的な構成は、それぞれ任意に組み合わせることが可能である。また、各実施形態において開示された特徴的な構成は、単独で発明として成立するものであるから、各実施形態の一部の構成要件を削除した実施形態も可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。