JP6226862B2 - 穿刺装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、皮膚を通して活性成分を体内に移行するための穿刺装置及びその製造方法に関する。
従来、先端に薬剤等が塗布された多数のマイクロニードルを備えるマイクロニードル部材を、ラッチ機構などにより保持する穿刺装置が知られている(特許文献1〜5参照)。穿刺装置に保持されているマイクロニードル部材を解放して皮膚に衝突させることで、マイクロニードルが皮膚に刺突し、薬剤等に含まれる活性成分が皮膚を通して動物(例えば、ヒト)の体内に移行する。
特許第4659332号公報 特表2007−516781号公報 国際公開第2009/107806号パンフレット 国際公開第00/009184号パンフレット 米国特許出願公開第2011/276027号明細書
しかしながら、従来の穿刺装置はサイズが大きかった。薬剤等によっては、活性成分を十分に体内に移行させるために、マイクロニードルを皮膚に刺突後、数十分間装着し続けなければならないこともある。そのため、装着性や携帯性の更なる改善のために、穿刺装置のより一層の小型化及び軽量化が望まれていた。
そこで、本発明の一側面は、小型化及び軽量化を図ることが可能な穿刺装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る穿刺装置は、マイクロニードルの皮膚への穿刺により皮膚を通して活性成分を体内に移行するための穿刺装置であって、筒状の筐体と、筐体内にスライド可能に配置されると共にスライド方向に交差する主面を有し、当該主面側に複数のマイクロニードルが配置されている、ピストンと、筐体内に配置されると共にピストンに付勢力を付与する非線形コイルばねとを備える。
本発明の一形態に係る穿刺装置は、ピストンに付勢力を付与するために非線形コイルばねを用いている。一般的な円筒形コイルばねと比較して、非線形コイルばねは、圧縮時の高さが極めて小さくなる。そのため、穿刺装置自体の高さを小さくすることができ、穿刺装置の軽量化が図られる。
薬剤等の種類によっては、マイクロニードルを皮膚に衝突させた後に穿刺装置を皮膚上に長時間保持させる必要が生ずる。このような場合でも、小型化及び軽量化された本発明の一形態に係る穿刺装置を用いると、使用者は穿刺装置を皮膚につけたまま衣類を着用したり制限なく移動したりできるようになる。しかも、本発明の一形態に係る穿刺装置は小型であるので、使用者がこのように自由に行動した場合であっても、穿刺装置が他の物体(障害物)に衝突して、マイクロニードルが皮膚から抜けたり、マイクロニードルが折れて皮膚内に残ったりする虞が極めて低い。
従来の大型の穿刺装置を用いる場合には、取り扱いに手間取ることがあったり、その外観の大きさから使用者に恐怖心が生じたりする虞があった。しかしながら、小型化及び軽量化された本発明の一形態に係る穿刺装置を用いると、簡単に取り扱うことができると共に、使用者に与えうる恐怖心も大きく低減できる。
ピストンは、溝が形成されたピストン本体と、溝に係合する係合片が設けられたマイクロニードル部材30とを有し、マイクロニードル部材は、ピストンの主面を構成する面を含み、当該面に複数のマイクロニードルが突設されていてもよい。粘着剤等でマイクロニードル部材をピストン本体に貼り付けて一体化する場合、粘着剤に含まれる有機化合物が、マイクロニードルの先端に塗布されている薬剤等に影響を与える虞がある。しかしながら、この場合、マイクロニードル部材は、係合片によりピストン本体に機械的に取り付けられて、ピストン本体と一体化されているので、薬剤等に影響を与えることがなく、薬剤等の本来の効果が発揮されうる。
本発明の他の形態に係る穿刺装置は、マイクロニードルの皮膚への穿刺により皮膚を通して活性成分を体内に移行するための穿刺装置であって、筒状の筐体と、筐体内にスライド可能に配置されると共にスライド方向に交差する主面を有し、マイクロニードルが設けられたマイクロニードルアレイに主面が衝突することによりマイクロニードルアレイに衝撃力を伝達するピストンと、筐体内に配置されると共にピストンに付勢力を付与する非線形コイルばねとを備える。
本発明の他の形態に係る穿刺装置は、ピストンに付勢力を付与するために非線形コイルばねを用いている。一般的な円筒形コイルばねと比較して、非線形コイルばねは、圧縮時の高さが極めて小さくなる。そのため、穿刺装置自体の高さを小さくすることができ、穿刺装置の軽量化が図られる。
薬剤等の種類によっては、マイクロニードルを皮膚に衝突させた後に穿刺装置を皮膚上に長時間保持させる必要が生ずる。このような場合でも、小型化及び軽量化された本発明の他の形態に係る穿刺装置を用いると、使用者は穿刺装置を皮膚につけたまま衣類を着用したり制限なく移動したりできるようになる。しかも、本発明の他の形態に係る穿刺装置は小型であるので、使用者がこのように自由に行動した場合であっても、穿刺装置が他の物体(障害物)に衝突して、マイクロニードルが皮膚から抜けたり、マイクロニードルが折れて皮膚内に残ったりする虞が極めて低い。
従来の大型の穿刺装置を用いる場合には、取り扱いに手間取ることがあったり、その外観の大きさから使用者に恐怖心が生じたりする虞があった。しかしながら、小型化及び軽量化された本発明の他の形態に係る穿刺装置を用いると、簡単に取り扱うことができると共に、使用者に与えうる恐怖心も大きく低減できる。
非線形コイルばねは、ステンレス鋼線、ピアノ線、プラスチック又は銅線で形成されていてもよい。
非線形コイルばねは円錐コイルばねであってもよい。この場合、圧縮時の高さがより小さくなるので、穿刺装置の更なる小型化及び軽量化が図られる。
円錐コイルばねの自由高さは線径の3倍以上であってもよい。この場合、円錐コイルばねを圧縮したときに、ピストンに十分なエネルギーを与えることができる。
円錐コイルばねの自由高さは、1mm〜100mmであってもよい。円錐コイルばねの自由高さが1mm未満であると、穿刺装置が十分な穿刺性能を発揮できない傾向にある。円錐コイルばねの自由高さが100mmを超えると、使用者が穿刺装置を取り付けたまま行動することが困難となる傾向にある。
円錐コイルばねを構成する金属線は、円錐コイルばねの中心線の延在方向から見て重なり合っていなくてもよい。この場合、中心線の延在方向に沿って円錐コイルばねに荷重を加えると、圧縮された円錐コイルばねの高さがその線径とほぼ一致する。そのため、穿刺装置の更なる小型化及び軽量化が図られる。
円錐コイルばねの両端部はそれぞれ、円錐コイルばねの中心線に直交する仮想平面に沿うように平坦に削られていてもよい。円錐コイルばねの両端部は、穿刺装置を構成するピストン等の部材に接するため、このようにすると、穿刺装置を構成する部材と円錐コイルばねとの接触面積が大きくなる。そのため、穿刺装置内において、円錐コイルばねを安定して配置できる。さらに、両端部が平坦に削られた円錐コイルばねは、このような平坦化処理が行われていないものと比較して、ピストン等の部材との接触面積が大きくなるので、ピストン等の部材を進行方向に対してほとんど傾けることなく皮膚に衝突させることができる。そのため、皮膚に対してより適切に穿刺が行える。
円錐コイルばねの最大直径は1mm〜100mmであってもよい。円錐コイルばねの最大直径が1mm未満であると、穿刺装置が十分な穿刺性能を発揮できない傾向にある。動物の皮膚において平坦と見做せる領域は限られているため、円錐コイルばねの最大直径が100mmを超えると、穿刺装置を皮膚に安定して取り付けることが困難となる傾向にある。
円錐コイルばねの最小直径は、円錐コイルばねの最大直径の1/1000倍以上で且つ1倍未満であってもよい。
円錐コイルばねの線径は0.1mm〜2mmであってもよい。
円錐コイルばねの圧縮時荷重は1100gf〜5000gfであってもよい。
上記の穿刺装置を製造する方法において、円錐コイルばねの大径側が下側で且つ小径側が上側の状態で、円錐コイルばねをピストンに取り付けるようにしてもよい。この場合、円錐コイルばねをピストンに取り付ける際、円錐コイルばねが安定して起立するので、穿刺装置を製造しやすくなる。
本発明の一側面によれば、小型化及び軽量化を図ることが可能な穿刺装置及びその製造方法を提供できる。
図1は、本実施形態に係るデバイスを上方から見た斜視図である。 図2は、本実施形態に係るデバイスを下方から見た斜視図である。 図3は、ピストン及びマイクロニードル部材を示す斜視図である。 図4は、キャップを示す斜視図である。 図5(a)は、ピストンが付勢された状態における図2のV−V線断面図であり、図5(b)は、ピストンが作動した後の状態における図2のV−V線断面図である。 図6は、マイクロニードル部材を部分的に示す斜視図である。 図7は、図6のVII−VII線断面図である。 図8は、マイクロニードルをコーティングする方法の一例を説明するための図である。 図9は、円錐コイルばねを示す断面図である。 図10は、非線形コイルばねの例を示す断面図である。 図11は、実施例1〜27及び比較例1,2の各実施条件及びそれらの評価結果を示す表である。 図12は、自由高さと速度との関係を示す図である。 図13は、自由高さと圧縮時荷重との関係を示す図である。 図14は、実施例28〜30の各実施条件及びそれらの評価結果を示す表である。
[穿刺装置の構成]
図1〜図10を参照して、本実施形態に係る穿刺装置1を説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
穿刺装置1は、ヒト等の動物の皮膚を通して薬剤等の活性成分を動物の体内に移行するための装置である。穿刺装置1は、円筒形状を呈する筐体Hと、ピストン本体20及びマイクロニードル部材30を有するピストンPと、円錐コイルばね40と、キャップ50とを備える。
筐体Hは、図1及び図2に示されるように、円筒形状を呈する筒体10と、筐体Hの両端にそれぞれ取り付けられた環状部材11,12とを有する。筐体Hは、円錐コイルばね40(詳しくは後述する)の付勢力を維持出来る強度をもっている。筐体Hの材質としては、ABS樹脂やポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール(POM)などの合成又は天然の樹脂素材等のほか、シリコン、二酸化ケイ素、セラミック、金属(ステンレス鋼、チタン、ニッケル、モリブデン、クロム、コバルト等)が挙げられる。
穿刺装置1は、持ちやすく、動物(ヒトを含む)の皮膚にマイクロニードル32を適用しやすい(穿刺しやすい)形状が望ましい。そのため、筒体10の外形は、例えば、多角形状であったり、丸みを帯びていたりしてもよい。筒体10の表面に、窪みが設けられていたり、段差が設けられていたりしてもよい。筒体10の表面に細かな溝を形成したり、滑り難いコーティング層を設けたりすることで、筒体10の表面が粗面化処理されていてもよい。空気抵抗の低減や軽量化を目的として、筒体10に貫通孔が形成されていてもよい。
環状部材11は、筒体10とは別体であり、筒体10に取り付け及び筒体10から取り外しが可能である。環状部材11は、図2及び図5に示されるように、円筒状を呈する側壁部11aと、側壁部11aの端部から内方に向けて延びる底壁部11bとを有する。底壁部11bには、円形状を呈する貫通孔11cが形成されている。貫通孔11cの直径は、筒体10の内径よりも小さい。
図2及び図5に示されるように、底壁部11bの内側面には、円環状の緩衝部材13が取り付けられている。緩衝部材13は、弾性材料で構成されている。弾性材料としては、例えば、ゴムやシリコンが挙げられるが、特に、経時劣化し難いシリコンを用いることができる。
環状部材12は、筒体10とは別体であり、筒体10に取り付け及び筒体10から取り外しが可能である。環状部材12は、図1に示されるように、円筒状を呈する側壁部12aと、側壁部12aの端部から内方に向けて延びる天壁部12bとを有する。天壁部12bには、円形状を呈する貫通孔12cが形成されている。貫通孔12cの直径は、筒体10の内径よりも小さい。
図5に示されるように、筒体10の内部には、当該内部を仕切るための仕切り壁10aが環状部材12側に設けられている。そのため、筒体10の内部は、仕切り壁10aよりも環状部材11側の空間V1と、仕切り壁10aよりも環状部材12側の空間V2とに分けられる。
仕切り壁10aの中央部分には、筐体H(筒体10)の延在方向に沿って延びる貫通孔10bが形成されている。貫通孔10bは、円柱状の表面を有し、空間V1と空間V2とを連通する。貫通孔10bの内部には、内側に向けて突出する環状の突出部10cが設けられている。突出部10cは、環状部材11側から環状部材12側に向かうにつれて縮径している。
ピストンPは、図2に示されるように、筐体H(筒体10)の空間V1内にスライド可能に配置されている。具体的には、ピストンPは、筐体H(筒体10)の延在方向に沿って、空間V1内において、環状部材11側と環状部材12側との間を移動する。
本実施形態において、ピストンPは、図3に示されるように、ピストン本体20と、マイクロニードル部材30とで構成されている。ピストン本体20は、ピストン板21と、3つのピストンロッド22と、緩衝部材23とを有する。空気抵抗の低減や軽量化を目的として、ピストン本体20に貫通孔が形成されていてもよい。ピストン本体20の材質は、後述する基板31及びマイクロニードル32の材質と同じであってもよい。
ピストン板21は、円板状を呈し、一対の主面を有する。ピストン本体20が筐体H(筒体10)内に配置されている状態において、ピストン板21の一対の主面は、ピストン本体20のスライド方向(筐体10の延在方向)に交差(略直交)する。
ピストン板21の外周縁には、外方に向けて突出する平板状の3つの突出部21aが設けられている。これらの突出部21aは、ピストン板21の外周縁に沿って、互いに略等間隔に配置されている。突出部21aの一方の主面はピストン板21の一方の主面と同一面であり、突出部21aの他方の主面は、ピストン板21の他方の主面側を向いている。
ピストン板21の側面には、3つの溝部21bが形成されている(図3及び図5参照)。これらの溝部21bは、ピストン板21の外周縁に沿って、互いに略等間隔に配置されている。
3つのピストンロッド22は、ピストン板21の一方の主面の中心付近に立設されている。3つのピストンロッド22は、ピストン板21の中心周りに、互いに等間隔となるように離間した状態で、当該一方の主面上に配置されている。
ピストンロッド22の先端22aは、ピストン板21の外周縁に向かって外方に突出しており、貫通孔10b内の突出部10cと係合するフックとして機能する。先端22aは、先端に向かうにつれて先細りとなっている。
緩衝部材23は、突出部21aの他方の主面に取り付けられている。緩衝部材23は、緩衝部材13と同じ材料で構成される。
マイクロニードル部材30は、図5及び図6に示されるように、円板状の基板31と、複数のマイクロニードル32とを有する。基板31は、マイクロニードル32を支持するための土台である。基板31の面積は、0.5cm〜300cmでもよいし、1cm〜100cmでもよいし、1cm〜50cmでもよい。基板31を複数繋げることで所望の大きさの基板を構成するようにしてもよい。
基板31の外周縁には、基板31の一対の主面の対向方向に沿って延びる3つの突出部31bが設けられている(図3及び図5参照)。これらの突出部31bは、基板31の外周縁に沿って、互いに略等間隔に設置されている。突出部31bの先端部分は、基板31の中心方向に向かって突出しており、ピストン板21の側面に形成された溝部21bと係合するフックとして機能する。突出部31bが溝部21bに係合することにより、マイクロニードル部材30がピストン本体20の他方の主面に一体的に取り付けられることとなる。
マイクロニードル32は、図6に示されるように、基板31の表面上に突設される。本実施形態において、マイクロニードル32が突設されている基板31の表面が、ピストンPの主面を構成する。マイクロニードル32は、基板31の表面上において千鳥状(互い違い)に略等間隔に配列されている。
マイクロニードル32の高さ(長さ)は、20μm〜700μmでもよいし、50μm〜700μmでもよい。マイクロニードル32の高さを20μm以上とするのは、薬剤等の体内への移行を確実にするためである。マイクロニードル32の高さを700μm以下とするのは、マイクロニードル32が皮膚の角質を穿孔するのみにとどまり、真皮層にマイクロニードル32が到達しないようにするためである。
マイクロニードル32は、基板31と接続される基底部から先端部に向けて細くなるテーパ状の構造物である。すなわち、マイクロニードル32は、針形状、又は針形状を含む構造物である。マイクロニードル32は、円錐状や多角錐状などの先端が尖った形状であってもよいし、切頭円錐状や切頭多角錐状などの先端が尖っていない形状であってもよい。図6に示されるように、マイクロニードル32が円錐状を呈する場合には、基底部における直径が5μm〜250μmでもよいし、10μm〜200μmでもよい。
マイクロニードル32の先端が丸みを帯びている場合には、先端部の曲率半径が2μm〜100μmでもよいし、5μm〜30μmでもよい。マイクロニードル32の先端が平坦である場合には、その平坦部の面積が20μm〜600μmでもよいし、50μm〜250μmでもよい。
マイクロニードル32の基板31上における密度に関しては、典型的には、一つの列について1mmあたり1本〜10本のマイクロニードル32が配列されている。一般に、隣接する横列は、横列内のマイクロニードル32の空間に対して実質的に等しい距離だけ互いに離間している。そのため、マイクロニードル32の密度は、1cmあたり100本〜10000本であるが、1cmあたり200本〜5000本であってもよいし、1cmあたり300本〜2000本であってもよいし、1cmあたり400本〜850本であってもよい。
基板31とマイクロニードル32との材質は、同じであっても異なっていてもよい。全てのマイクロニードル32が同じ材質であってもよいし、異なる材質のマイクロニードル32が混在していてもよい。基板31及びマイクロニードル32の材質としては、例えば、シリコン、二酸化ケイ素、セラミック、金属(ステンレス鋼、チタン、ニッケル、モリブデン、クロム、コバルト等)及び、合成又は天然の樹脂材料が挙げられる。樹脂材料としては、基板31及びマイクロニードル32の抗原性及び材質の単価を考慮すると、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリ乳酸−co−ポリグリコリド、プルラン、カプロラクトン、ポリウレタン、ポリ無水物等の生分解性ポリマーや、非分解性ポリマーであるポリカーボネート、ポリメタクリル酸、エチレンビニルアセテート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオキシメチレン等が挙げられる。また、多糖類であるヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、プルラン、デキストラン、デキストリン又はコンドロイチン硫酸、セルロース誘導体等でもよい。また、他の実施形態においては、基板31及び/又はマイクロニードル32の材質として、上記の生物分解性樹脂に活性成分を配合した物を用いてもよい。
マイクロニードル32の材質は、皮膚上で折れたことを考えると、ポリ乳酸などの生分解性樹脂であってもよい。なお、ポリ乳酸には、ポリL−乳酸やポリD−乳酸のポリ乳酸ホモポリマ、ポリL/D−乳酸共重合体、およびこれらの混合体等が存在するが、これらのいずれを用いてもよい。ポリ乳酸の平均分子量が大きいほどその強度は強くなり、分子量が40,000〜100,000のものを使用することができる。
基板31及びマイクロニードル32の製法としては、シリコン基板を用いたウエットエッチング加工又はドライエッチング加工、金属又は樹脂を用いた精密機械加工(放電加工、レーザー加工、ダイシング加工、ホットエンボス加工、射出成型加工等)、機械切削加工等が挙げられる。これらの加工法により、基板31及びマイクロニードル32が一体的に形成される。マイクロニードル32を中空上に加工する方法としては、マイクロニードル32を作製後にレーザー加工等で二次加工する方法が挙げられる。
図7に示されるように、基板31及び/又はマイクロニードル32上には、活性成分によるコーティングCが施されていてもよい。本実施形態において、コーティングCは、活性成分と相溶性を有する高分子担体を含むコーティング液が基板31及び/又はマイクロニードル32の一部又は全面に固着化されたものである。高分子担体としては、例えば後述するカルボキシビニルポリマーやポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体などが挙げられる。「固着化された」とは、コーティング液が対象物にほぼ一様に付着している状態を保つことをいう。コーティング直後には、風乾、真空乾燥、凍結乾燥またはそれらの組み合わせの既知の乾燥方法で、コーティング液が乾燥状態で固着しているが、経皮投与後は、取り巻く雰囲気と平衡にある水分含量や有機溶媒などを保持することもあるため、乾燥状態で固着しているとは限らない。
マイクロニードル32をコーティングする方法の一例を、図8を用いて説明する。まず、図8(a)に示されるように、コーティング液100をマスク版101上でヘラ102により矢印A方向に掃引し、マスク版101の開口部103にコーティング液100を充填する。続いて、図8(b)に示されるように、マスク版101の開口部103にマイクロニードル32を挿入する。その後、図8(c)に示されるように、マスク版101の開口部103からマイクロニードル32を引き出す。これにより、マイクロニードル32の表面にコーティングCが施される。コーティングCは、乾燥によりマイクロニードル32に固着する。
マイクロニードル32のコーティングCの範囲Rは、ギャップG(図8(b)参照)またはマスク版101の厚みで調節される。ギャップGは、マイクロニードル32の基底部からマスク版101の下面までの距離(基板厚みは関与しない)で定義され、マスク版101のテンションとマイクロニードル32の高さとに応じて設定される。ギャップGの距離の範囲は、0μm〜500μmでもよい。ギャップGの距離が0μmの場合にはマイクロニードル32全体がコーティングされる。コーティングCの範囲Rは、マイクロニードル32の高さによって変動するが、0μmより大きく500μm以下とすることができ、通常は10μm〜500μmであり、30μm〜300μm程度でもよい。
基板31及び/又はマイクロニードル32のコーティングCの厚さは50μm未満でもよいし、25μm未満でもよいし、1μm〜10μmでもよい。一般に、コーティングCの厚さは、乾燥後にマイクロニードル32の表面にわたって測定される平均の厚さである。コーティングCの厚さは、一般に、コーティング担体の複数の被膜を適用することにより、すなわち、コーティング担体固着後にコーティング工程をくり返すことにより、増大させることができる。
基板31及び/又はマイクロニードル32にコーティングを行う際に、コーティング剤の溶媒揮発による薬剤の濃度変化および物性の変化を最小限にするために、装置の設置環境の温湿度が一定に制御されてもよい。溶媒の蒸散を防ぐために、温度を下げるか湿度を上げるかのどちらか、またはその両方を制御してもよい。温度を制御しない場合の室温での湿度は、相対湿度で50%RH〜100%RHでもよいし、70%RH〜100%RHでもよいし、90%RH〜100%RHでもよい。50%RH以下であると溶媒の著しい蒸発が起こり、コーティング溶液の物性の変化が起こる。加湿方式には気化式、蒸気式、水噴霧式などがあるが、目的の湿度状態が確保できるならば加湿方式は特に限定されない。溶媒の揮発性を極力抑えるために、湿潤性や保湿性の高い水溶性ポリマーをコーティング溶液に混合してもよい。
コーティング剤は、活性成分と精製水および/またはコーティング担体とを含む。コーティング担体としては、ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、デキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、デキストリン、アラビアゴム、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミド、ポリエチレングリコール、安息香酸ベンジル、ゴマ油、ダイズ油、乳酸、ベンジルアルコール、ポリソルベート80、アルファチオグリセリン、エチレンジアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、チオグリコール酸、フェノキシエタノール等がある。
コーティング担体としては、活性成分と相溶性(均一に交わる性質)のある水溶性高分子の担体を用いてもよい。具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、プルロニック、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ポリビニルアセトアミド、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン等が挙げられる。この中でも特に、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコールが挙げられる。
コーティング剤中のコーティング担体の含量は、0.1重量%〜70重量%でもよいし、0.1重量%〜60重量%でもよいし、1重量%〜40重量%でもよい。このコーティング担体は、液だれすることのないようにある程度の粘性が必要な場合があり、粘度として100cps〜100000cps程度必要である。粘度は、500cps〜60000cpsでもよい。粘度がこの範囲にあることにより、マイクロニードル32の材質に依存することなく、所望量のコーティング溶液を一度に塗布することが可能となる。また、一般的に、粘度が高くなればなるほどコーティング溶液の量が増える傾向にある。
基板31及び/又はマイクロニードル32をコーティングするのに使用される液体組成物は、生体適合性の担体、送達されるべき有益な活性成分、および場合によってはいずれかのコーティング補助物質を揮発性液体と混合することにより調製される。揮発性液体は、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エタノール、イソプロピルアルコールおよびそれらの混合物とすることができる。これらの中で、特に水を用いてもよい。液体のコーティング溶液もしくは懸濁液は、典型的には、0.1重量%〜65重量%の有益な生理活性成分濃度を有することができ、1重量%〜40重量%でもよいし、10重量%〜30重量%でもよい。コーティングは、固着化された状態になりうる。界面活性剤は、双性イオン性、両性イオン性、カチオン性、アニオン性、または非イオン性でありうる。例えば、ツイーン20およびツイーン80、他のソルビタン誘導体、例えばラウリン酸ソルビタン、およびアルコキシル化されたアルコール類、例えばラウレス−4でありうる。例えば、より多くの活性成分をコーティング担体に溶解させるために界面活性剤を加えることも有効である。
他の既知の製剤補助物質は、それらがコーティングの必要な溶解性および粘度の特徴、並びに乾燥されたコーティングの性状及び物性に有害な影響を及ぼさない限り、コーティングに添加されてもよい。
本実施形態に用いられる活性成分は、特に限定することなく、例えば医薬分野や化粧分野において用いられる全ての成分が含まれうる。医薬分野において用いられる活性成分としては、例えば、予防薬(抗原)、抗生物質、抗ウイルス剤のような抗感染薬、鎮痛薬、鎮痛複合薬、麻酔薬、食欲減退薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、下痢止め、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗偏頭痛薬、乗り物酔い防止剤、抗嘔吐薬、抗腫瘍薬、抗パーキンソン病薬、かゆみ止め、抗精神病薬、解熱薬、胃腸及び尿路を含む鎮痙薬、抗コリン作動薬、交感神経作用薬、キサンチン誘導体類、カルシウムチャンネル遮断薬を含めた心血管製剤、ベータ遮断薬、ベータ−アゴニスト、抗不整脈薬、抗高血圧薬、ACE阻害剤、利尿薬、全身、冠状、末梢及び脳血管を含む血管拡張薬、中枢神経系刺激薬、咳止め薬及び風邪薬、うっ血除去薬、診断薬、ホルモン類、催眠薬、免疫抑制薬、筋弛緩薬、副交感神経遮断薬、副交感神経作用薬、プロスタグランジン、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、精神刺激薬、鎮静薬、トランキライザー等が挙げられる。
本実施形態に用いられる活性成分としての上記抗原は、特に限定されず、ポリヌクレオチド(DNAワクチン、RNAワクチン)、ペプチド抗原、タンパク質ベースのワクチンなどが考えられる。具体的に述べると、タンパク質、多糖、オリゴ糖、リポタンパク質、弱毒化もしくは殺された、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルス及び水痘帯状疱疹のようなウイルス、弱毒化もしくは殺された、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、グループA連鎖球菌属、レジオネラ・ニューモフィラ菌、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、梅毒トレポネーマおよびコレラ菌のような細菌、並びにそれらの混合物の形態の抗原を包含する。抗原には、抗原性作用物質を含有する多数の商業的に入手可能なワクチンも含まれ、インフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン及びジフテリアワクチン、さらには、癌、動脈硬化、神経疾患、アルツハイマー等のワクチン療法で使用される抗原も包含する。また、抗原は、抗原性(感作性)を有するアレルゲン物質であってもよく、多種多様な金属、化学物質がそれにあたる。例えば、アトピー性皮膚炎の抗原を明らかにするアレルギー検査および治療の場合は、ホコリ、不活性化ダニ等のハウスダスト、各種の花粉などが使用されてもよい。また、T細胞性介在性の自己免疫疾患または病状に関連する炎症性T細胞により認識される抗原も含まれる。
本実施形態に用いられる活性成分は、局所的な皮膚の病気の治療のために、例えば抽出物またはチンキ剤などのような植物の調合液も含むことができる。抽出物またはチンキ剤の例として、オークの樹皮の抽出液、クルミの抽出液、アルニカのチンキ剤、マンサクの抽出物、ヘラオオバコの抽出物、パンジーの抽出物、タイムもしくはセージの抽出物;セントジョーンズワートのチンキ剤、オオハンゴンソウの抽出物、カモミールフラワーの抽出物、もしくはキンセンカのチンキ剤;ひどく疲れた及び傷つけられた皮膚の手入れのための、例えば樺の木の葉の抽出物、イラクサの抽出物、コールズフットの抽出物、ヒレハリソウのチンキ剤、つくしの抽出物、もしくはアロエの抽出物や、トチノキ及びナギイカダの抽出物、アルニカ、キンセンカ、及びトウガラシの抽出物などが挙げられる。
その他、医薬分野以外に用いられる活性成分としては、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、保湿剤、脱色素剤、脂肪調節剤、紫外線反射剤、湿潤剤、抗菌剤、アレルギー防止薬、抗ニキビ薬、老化防止薬、しわ防止薬、殺菌剤、脱毛防止剤、育毛助成剤、育毛抑制剤、ふけ防止剤、角質溶解薬、清涼飲料水、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、体臭防止剤、制汗剤、皮膚軟化剤、皮膚の保湿液、柔軟剤、ヘアコンディショナー、毛髪軟化剤、毛髪保湿剤、日焼け剤、美白剤、抗真菌剤、脱毛剤、外用鎮痛薬、反対刺激剤、痔疾薬、殺虫剤、ツタウルシ治療薬、有毒ウルシ治療薬、ヤケド治療薬、抗おむつかぶれ薬、あせも薬、化粧水、ビタミン、アミノ酸、アミノ酸誘導体、ハーブエキス、レチノイド、フラボノイド、感覚マーカー、スキンコンディショナー、ヘアライトナー、キレート剤、細胞ターンオーバーエンハンサー、着色剤、日焼け防止剤、滋養薬、水分吸収剤、皮脂吸収剤、及びこれらの混合物からなる群より選択される。
本実施形態に用いられる活性成分として、アミノ酸は、その塩、エステル、またはアシル誘導体のみならず、様々なタンパク質の加水分解から得られるアミノ酸を含む。そのようなアミノ酸薬品の例としては、例えばアルキルアミドアルキルアミン、グルタミン酸ステアリルアセチル、カプリロイルシルクアミノ酸、カプリロイルコラーゲンアミノ酸などの両性アミノ酸;カプリロイルケラチンアミノ酸;カプリロイルエンドウマメアミノ酸;ココジモニウムヒドロキシプロピルアミノ酸シルク;コーングルテンアミノ酸;システイン;グルタミン酸;グリシン;髪ケラチンアミノ酸;例えばアスパラギン酸、スレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、ハーフシスチン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、システイン酸、リシン、ヒスチジン、アルギニン、システイン、トリプトファン、シトルリンなどの髪アミノ酸;リシン;シルクアミノ酸;小麦アミノ酸;及びそれらの混合物が挙げられる。
本実施形態に用いられうる活性成分として、ペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、例えば炭素原子数が少なくとも約10である長い鎖、及び例えば少なくとも1000である高い分子量を持つポリマーを含み、それらはアミノ酸の自己縮合によって形成される。そのようなタンパク質の例としては、コラーゲン;デオキシリボヌクレアーゼ;ヨウ素化コーンタンパク質;ケラチン;乳タンパク質;プロテアーゼ;血清タンパク質;シルク;甘扁桃タンパク質;小麦麦芽タンパク質;小麦タンパク質;小麦タンパク質、ケラチンタンパク質のアルファ及びベータへリックス;例えば中間フィラメントタンパク、高硫黄含量のタンパク質、極めて高い硫黄含量のタンパク質、中間フィラメント関連タンパク質、高チロシンタンパク質、高グリシン・チロシンタンパク質、トリコヒアリン、及びそれらの混合物などの髪タンパク質が挙げられる。
本実施形態に用いられうる抗シワ成分の例としては、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、レチノール(ビタミンA)、シリビンペプチド類(HTCコラーゲン、パルミトイルペンタ、ペプチド3、アルジルリン)、アミノ酸類、ヒドロキシプロリン、レチノイン酸トコフェリル、ウルソール酸、ビタミンC誘導体、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、フラーレン、ポリフェノール類、αリポ酸、ダイズエキス、プルラン、活性型イソフラボン、糖類、多糖類、グリセリン、グリセリン誘導体などが挙げられる。しかし、抗シワ成分はこれらに限定される、混合も考えられる。
ヒアルロン酸ナトリウムは、コーティング担体および抗シワ成分として有望である。特に、分子量が5〜11万程度の低分子量ヒアルロン酸ナトリウムは、高分子量ヒアルロン酸ナトリウムよりもマイクロニードル部材30への付着性が高い。
本実施形態に用いられる好適なビタミンの例としては、ビタミンB複合体;チアミン、ニコチン酸、ビオチン、パントテン酸、コリン、リボフラビン、ビタミンB6、ビタミンB12、ピリドキシン、イノシトール、カルニチンを含む、例えばビタミンAパルミテートなどのビタミンA,C,D,E,K及びそれらの誘導体;並びに例えばパンテノール(プロビタミンB5)及びパンテノールトリアセテートなどのプロビタミン;並びにこれらの混合物が挙げられる。
本実施形態に用いられうる好適な抗菌物質の例としては、バシトラシン、エリスロマイシン、ネオマイシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、塩化ベンゼトニウム、フェノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
本実施形態に用いられうる好適な皮膚軟化剤及び肌の保湿剤の例としては、鉱油、ラノリン、植物油、イソステアリル酸イソステアリル、ラウリン酸グリセリル、メチルグルセス−10、メチルグルセス−20、キトサン、及びこれらの混合物が挙げられる。
本実施形態に用いられうる好適なヘアコンディショナーの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、水添ポリデセン、及びこれらの混合物のような脂溶性化合物のみならず、ベヘンアミドプロピルPG−ジモニウムクロリド、塩化トリセチルアンモニウム、水添タロウアミドエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、及びこれらの混合物などの4級化合物が挙げられる。
本実施形態に用いられうる好適な日焼け防止剤の例としては、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸オクチル、オキシベンゾン、オクトクリレン、サリチル酸オクチル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、アミノ安息香酸エチルヒドロキシプロピル、アントラニル酸メンチル、アミノ安息香酸、シノキサート、メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン、アミノ安息香酸グリセリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、オキシベンゾン、パディメートO、赤色ワセリン、及びその混合物が挙げられる。本実施形態に用いられうる好適な日焼け剤はジヒドロキシアセトンである。
本実施形態に用いられうる好適な皮膚美白剤の例としては、ハイドロキノン及びその誘導体、カテコール及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、コウジ酸及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、胎盤抽出物、アルブチン、油溶性甘草エキス、並びにこれらの混合物が挙げられる。
本実施形態に用いられうる抗炎症鎮痛薬の例としては、アセトアミノフェン、サリチル酸メチル、サリチル酸モノグリコール、アスピリン、メフェナム酸、フルフェナム酸、インドメタシン、ジクロフェナク、アルクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、プラノプロフェン、フェノプロフェン、スリンダク、フェンクロフェナク、クリダナク、フルルビプロフェン、フェンチアザク、ブフェキサマク、ピロキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、クロフェゾン、ペンタゾシン、メピリゾール、塩酸チアラミドなどが挙げられる。本実施形態に用いられうるステロイド性抗炎症鎮痛薬の例としては、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸デキサメタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、フルメタゾン、フルオロメトロン、ジプロピオン酸ベクロメタゾンなどが挙げられる。
本実施形態に用いられうる抗ヒスタミン薬の例としては、塩酸ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸クロルフェニラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸イソチペンジル、塩酸トリペレナミン、塩酸プロメサジン、塩酸メトジラジンなどが挙げられる。本実施形態に用いられうる局所麻酔薬の例としては、塩酸ジブカイン、ジブカイン、塩酸リドカイン、リドカイン、ベンゾカイン、p−ブチルアミノ安息香酸2−(ジエチルアミノ)エチルエステル塩酸塩、塩酸プロカイン、テトラカイン、塩酸テトラカイン、塩酸クロロプロカイン、塩酸オキシプロカイン、メピバカイン、塩酸コカイン、塩酸ピペロカイン、ジクロニン、塩酸ジクロニンなどが挙げられる。
本実施形態に用いられうる殺菌薬及び消毒剤の例としては、チメロザール、フェノール、チモール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロヘキシジン、ポピドンヨード、塩化セチルピリジニウム、オイゲノール、臭化トリメチルアンモニウムなどが挙げられる。本実施形態に用いられうる血管収縮薬の例としては、硝酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸フェニルエフリン、塩酸トラマゾリンなどが挙げられる。本実施形態に用いられうる止血薬の例としては、トロンビン、フィトナジオン、硫酸プロタミン、アミノカプロン酸、トラネキサム酸、カルバゾクロム、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、ルチン、ヘスペリジンなどが挙げられる。
本実施形態に用いられうる化学療法薬の例としては、スルファミン、スルファチアゾール、スルファジアジン、ホモスルファミン、スルフィソキサザール、スルフィソミジン、スルファメチゾール、ニトロフラゾンなどが挙げられる。本実施形態に用いられうる抗生物質の例としては、ペニシリン、メチシリン、オキサシリン、セファロチン、セファロジン、エリスロマイシン、リンコマイシン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、バシトラシン、シクロセリンなどが挙げられる。
本実施形態に用いられうる抗ウイルス薬の例としては、プロテアーゼ阻害剤、チマジンキナーゼ阻害剤、糖または糖タンパク合成阻害剤、構成タンパク質合成阻害剤、付着及び吸着阻害剤、並びに例えばアシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、及びガンシクロビルなどのヌクレオシド類似体が挙げられる。
本実施形態に用いられうる発毛又は育毛薬の例としては、ミノキシジル、塩化カルプロニウム、ペンタデカン酸グリセリド、酢酸トコフェロール、ピロクトンオラミン、グリチルリチン酸、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、センブリ抽出液、セラミド及び前駆体、ニコチン酸アミド及びトウガラシチンキが挙げられる。
本実施形態に用いられうる美容活性成分の例としては、D−アルファ−トコフェロール、DL−アルファ−トコフェロール、D−アルファ−酢酸トコフェリル、DL−アルファ−酢酸トコフェリル、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンF及びビタミンFグリセリド、ビタミンD、ビタミンD2、ビタミンD3、レチノール、レチノールエステル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、ベータ−カロチン、コエンザイムQ10、D−パンテノール、ファルネソール、酢酸ファルネシル;必須脂肪酸中に多く含まれているホホバ油及びクロフサフグリ油;5−n−オクタノイルサリチル酸及びそのエステル、サリチル酸及びそのエステル;例えばクエン酸、乳酸、グリコール酸などのアルファ−ヒドロキシ酸のアルキルエステル;アシアチン酸、マデカシン酸、アシアチコシド、ツボクサの総抽出物、ベータ−グリシレチン酸、アルファ−ビサボロール、例えば2−オレオイルアミノ−1,3−オクタデカンなどのセラミド;フィタントリオール、ポリ不飽和必須脂肪酸中に多く含まれている海洋起源のリン脂質、エトキシキン;ローズマリーの抽出物、バルムの抽出物、ケルセチン、乾燥微細藻類の抽出物、例えばステロイド系抗炎症薬などの抗炎症薬、並びに例えばホルモンまたは脂肪及び/もしくはタンパク質の合成による化合物のような生化学的刺激剤が挙げられる。
本実施形態で用いられるビタミンCは、コラーゲン(結合組織)合成、脂質(脂肪)及び炭水化物の代謝、並びに神経伝達物質の合成を促進する。ビタミンCはまた、免疫系の最適な維持に必須である。ビタミンCは、広範囲のガン細胞、特にメラノーマに対して有毒である。メラニン及び他の色素へ変化するチロシンの好気性の活動を触媒するチロシン酸化酵素も、ビタミンCの存在により活動を妨げられる。ビタミンCは、多くのウイルス及び細菌の感染に対する免疫反応を触媒することにおいて効果的であることが見出されている。上述した多くの適用に加えて、ビタミンCはコラーゲン合成及び外傷治療に必須である。本実施形態では、ビタミンC、ビタミンE、並びに例えば保湿剤、コラーゲン合成促進剤、及びスクラブ洗顔料のような他の成分の組み合わせを含みうる。
本実施形態における皮膚コンディショナー成分は、鉱物油、ワセリン、植物油(例えば大豆油またはマレイン化大豆油など)、ジメチコン、ジメチコンコポリオール、カチオン性モノマー及びポリマー(例えばグアールヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びジステアリルジメチルアンモニウムクロリドなど)、並びにその混合物を含む。実例となる保湿剤は、例えばソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、キシリトール、フラクトース、及びその混合物などのポリオールである。
なお、これらの活性成分は単独で用いても2種類以上併用してもよく、薬学的に許容できる塩であれば、無機塩あるいは有機塩のいずれの形態の活性成分も当然含まれる。また、活性成分はコーティング担体中に包含させるのが基本であるが、コーティング担体中には活性成分を包含させずに、後から、基板31に形成された貫通孔を介して供給することもできる。また、活性成分を皮膚に直接塗布し、その後皮膚の同じ部分にマイクロニードル部材30を当てることもできる。この場合には、皮膚を引き伸ばす効果と皮膚上におけるODT(密封包袋療法)効果とにより、活性成分の皮膚への浸透を促進させることが可能となる。
円錐コイルばね40は、中央にピストンロッド22が挿通された状態で、ピストン板21の一方の主面と仕切り壁10aとの間に配置されている。円錐コイルばね40は、図5及び図9(a)に示されるように、断面円形状を呈する金属線を螺旋状に巻回して、側方から見て円錐状となるように形成したものである。本実施形態において、円錐コイルばね40は、当該円錐コイルばね40の中心線方向から見て重なり合っていない。金属線としては、例えば、ステンレス鋼線、ピアノ線(鉄線)、銅線が挙げられる。この中でも特に、ステンレス鋼線は極めて錆び難い。
本実施形態において、円錐コイルばね40の小径側が仕切り壁10aに当接し、円錐コイルばね40の大径側がピストン板21側に当接している。円錐コイルばね40の最小直径は貫通孔10bの直径よりも大きい。そのため、円錐コイルばね40は、貫通孔10bを通って空間V2側に移動することがない。円錐コイルばね40の最大直径はピストン板21の直径よりも小さい。そのため、円錐コイルばね40はピストン板21を確実に付勢できる。
円錐コイルばね40の付勢力により作動するピストンPのエネルギに関するパラメータとして、横弾性係数、線径(図9(a)におけるd)、最大直径(図9(a)におけるD1)、最小直径(図9(a)におけるD2)、総巻き数、円錐コイルばね40の重量、ピストンP(ピストン本体20及びマイクロニードル部材30)の重量、自由高さ(図9(a)におけるh)、密着高さ、ピッチ角並びにピッチが挙げられる。
横弾性係数は、円錐コイルばね40の材質によって定まる。ステンレス鋼線であれば横弾性係数は68500N/mm、ピアノ線(鉄線)であれば横弾性係数は78500N/mm、銅線であれば3.9×10N/mm〜4.4×10N/mmである。円錐コイルばねの線径dは、0.01mm〜2mmでもよいし、0.1mm〜1.5mmでもよいし、0.3mm〜1.3mmでもよい。円錐コイルばね40を構成する金属線の一端から他端にかけて、線径dが一定でもよいし、テーパコイルばねのように線径dが変化していてもよい。
最大直径D1は、線径dの4倍以上であればよい。最大直径D1は、1mm〜100mmでもよいし、1mm〜50mmでもよいし、5mm〜30mmでもよい。最大直径D1が1mm未満であると、穿刺装置1が十分な穿刺性能を発揮できない傾向にある。動物の皮膚において平坦と見做せる領域は限られているため、最大直径D1が100mmを超えると、穿刺装置1を皮膚に安定して取り付けることが困難となる傾向にある。
最小直径D2は、最大直径D1の1/1000倍以上で且つ1倍未満でもよいし、1/100倍〜2/3倍でもよいし、1/10倍〜1/2倍でもよい。最小直径D2は、例えば、1mm〜100mmでもよいし、1mm〜50mmでもよいし、1mm〜20mmでもよいし、1mm〜10mmでもよい。特に、最小直径D2は、最大直径D1の0.33倍〜0.38倍でもよいし、0.34倍〜0.37倍でもよい。
総巻き数は、1〜100でもよいし、1〜10でもよいし、2〜5でもよい。円錐コイルばね40の重量は、0.01g〜10gでもよいし、0.1g〜5gでもよいし、0.1g〜3gでもよい。ピストンP(ピストン本体20及びマイクロニードル部材30)の重量は、0.1g〜20.0gでもよいし、0.2g〜10.0gでもよいし、0.3g〜0.6gでもよい。
自由高さは、線径の3倍以上であるとよい。例えば、自由高さは、1mm〜100mmでもよいし、2mm〜20mmでもよいし、2mm〜10mmでもよい。自由高さが1mm未満であると、穿刺装置1が十分な穿刺性能を発揮できない傾向にある。自由高さが100mmを超えると、使用者が穿刺装置1を取り付けたまま行動することが困難となる傾向にある。
熱処理が行われた円錐コイルばね40を穿刺装置1に用いてもよい。この場合、円錐コイルばね40の保存性を高めることができる。つまり、熱処理により、円錐コイルばね40の圧縮時のへたり(機械的性質の劣化)を抑制することが可能となる。熱処理の時間は、例えば、1分以上であってもよいし、10分以上であってもよいし、20分以上であってもよい。
円錐コイルばね40の圧縮時荷重は、1100gf〜5000gfであってもよい。
キャップ50は、図4に示されるように、円板状を呈する。キャップ50の直径は、筐体11の内径と略同一か若干小さい。そのため、キャップ50は、筐体H(筒体10)の空間V2内に収容され、筒体10に取り付けられた環状部材12によって空間V2から出ることが防止されている。キャップ50の材質は、筐体Hの材質と同じであってもよい。空気抵抗の低減や軽量化を目的として、キャップ50に貫通孔が形成されていてもよい。
キャップ50の一方の主面の中央部分には、円柱状を呈する突出部51が設けられている。突出部51の直径は、貫通孔10bの直径と略同一化若干小さい。そのため、突出部51は、貫通孔10bに沿って案内される。突出部51には、キャップ50側に向かうにつれて縮径するすり鉢状の凹部52が形成されている。
[穿刺装置の製造方法]
続いて、穿刺装置1の製造方法について説明する。まず、上記した穿刺装置1の各部品(筒体10、環状部材11,12、ピストン本体20、マイクロニードル部材30、円錐コイルばね40及びキャップ50)を用意する。なお、用意したマイクロニードル部材30のマイクロニードル32には、予めコーティングCが施されている。
次に、ピストンPに円錐コイルばね40を取り付ける。具体的には、ピストンPのマイクロニードル部材30が下側で且つピストン本体20が上側となるように、ピストンPを静置する。そして、円錐コイルばね40の大径側が下側で且つ小径側が上側の状態で、ピストンロッド22に挿通させつつ、円錐コイルばね40をピストン本体20の一方の主面上に載置する。これにより、円錐コイルばね40をピストンPに取り付ける際、円錐コイルばね40が安定して起立するので、穿刺装置1を製造しやすくなる。
続いて、ピストンPに円錐コイルばね40が取り付けられた状態で、空間V1側からピストンPを筒体10内に押し込む。この際、円錐コイルばね40が縮まり円錐コイルばね40に付勢力が発生するので、発生した付勢力を超える荷重をピストンPに付与しつつ、ピストンPを押す。ピストンロッド22の先端22aは、筒体10の突出部10cによって貫通孔10bの中心側(ピストン板21の中心側)に向けて撓みつつ貫通孔10bを通過する。ピストンロッド22の先端22aは、その後、突出部10cを超えて空間V1側に至る。
次に、マイクロニードル部材30をピストン本体20に取り付ける。具体的には、マイクロニードル部材30の突出部31bをピストン本体20の溝部21bに係合させて、マイクロニードル部材30とピストン本体20とを一体化させ、ピストンPを構成する。
ピストンロッド22の先端22aが空間V1に至ると、先端22aが元の形状に戻るので、ピストンロッド22の先端22aが筒体10の突出部10cに係合する(引っかかる)。これにより、図5(a)に示されるように、ピストンPが円錐コイルばね40の付勢力に抗した状態で筒体10に対して固定される。従って、筒体10の突出部10cと、ピストンロッド22の先端22aとは、ピストンPを筒体10に固定するための固定手段であるといえる。このようにピストンPを筒体10に固定することを、コッキング(cocking)ともいう。本実施形態では、円錐コイルばね40の中心線方向から見て円錐コイルばね40を構成する金属線が重なり合っていないので、ピストンPが筒体10に固定(コッキング)された状態においてピストン板21と仕切り壁10aと間に挟まれる円錐コイルばね40は、線径と同程度の高さとなる(図5(a)参照)。
円錐コイルばね40が完全に圧縮した状態でコッキングが行われ、その状態で穿刺装置1が保存されると、円錐コイルばね40が完全に圧縮されない状態でコッキングが行われ、その状態で穿刺装置1が保存された場合と比較して、円錐コイルばね40のへたり(機械的性質の劣化)が生じやすくなる。従って、円錐コイルばね40は、完全に圧縮されない状態で穿刺装置1内に保存されることが好ましい。このため、へたりの発生を考慮して、より強度の高い円錐コイルばね40を完全に圧縮しない状態でコッキングし、コッキングを解除したときのピストンPの速度が所望の速度となるように調整してもよい。
次に、筒体10の空間V1側の端部に、環状部材11を固定する。これにより、筒体10に対するピストンPの固定(コッキング)が解除された際にピストンPが環状部材11の底壁部11bに当たり、ピストンPが筒体10から飛び出すことが防止される。
次に、突出部51及び凹部52が貫通孔10bに向かうように、筒体10の空間V2内にキャップ50を配置する。そして、筒体10の空間V2側の端部に、環状部材12を固定する。環状部材12の天壁部12bにより、キャップ50が筒体10から飛び出すことが防止される。
空間V2内でキャップ50の位置を固定させることはしないので、キャップ50は空間V2内において筐体H(筒体10)の延在方向に沿って自由に移動できる。従って、キャップ50の凹部52は、ピストンロッド22の先端22aと接触する。このように、本実施形態では、キャップ50を押さえるための押さえばね等が不要であるので、部品点数を削減できる。
以上の工程を経て、穿刺装置1が製造される。従って、穿刺装置1が製造後に出荷されて使用者により使用されるまで、円錐コイルばね40は縮まった状態のままである。
[穿刺装置の使用方法]
続いて、穿刺装置1の使用方法について説明する。まず、皮膚において薬剤等を適用したい箇所に、マイクロニードル32が皮膚に向かうように穿刺装置1を位置決めする。この状態で穿刺装置1を保持したまま、キャップ50を押す。
キャップ50を押すと、すり鉢状の凹部52が、ピストンロッド22の先端22aに当接して、当該先端22aがピストン板21の中心側に向かって撓む。貫通孔10bを通過できるまで当該先端22aが撓むと、当該先端22aと筒体10の突出部10cとの係合が解除される。その結果、筒体10に対するピストンPの固定(コッキング)が解除され、円錐コイルばね40の付勢力によってピストンPが筒体10の外方(皮膚)に向かって移動し、マイクロニードル部材30が皮膚に衝突する。
マイクロニードル部材30が皮膚に衝突すると、マイクロニードル32が皮膚に穿刺される。この際のマイクロニードル32(ピストンP)の速度は、4m/s〜30m/sでもよいし、4m/s〜15m/sでもよいし、7m/s〜15m/sでもよい。マイクロニードル32が皮膚に4m/s〜30m/sの速度で衝突するように構成されていると、マイクロニードル32を適切に皮膚に穿刺でき、それにより、薬剤等を動物の体内に十分に移行できる。
以上のように、使用者がキャップ50を押すだけで穿刺装置1による皮膚の穿刺が行われる。従って、誰が穿刺装置1を使用しても、円錐コイルばね40の付勢力がピストンPを介してマイクロニードル32に伝わり、一定の衝撃力をもってマイクロニードル32により皮膚が穿刺されるので、皮膚の穿刺が確実に行える(穿刺の再現性が高まる)。マイクロニードル32が皮膚を穿刺すると、マイクロニードル32に付着しているコーティングCの活性成分が体内に投与され、皮膚を通して活性成分が体内に移行することとなる。
マイクロニードル部材30が皮膚に衝突する際には、ピストン板21に取り付けられている緩衝部材23が、環状部材11に取り付けられている緩衝部材13に接触する。そのため、作動したピストンPが環状部材11で止まった際の衝突音を低減できる。
[作用及び効果]
以上のような本実施形態では、ピストンPに付勢力を付与するために円錐コイルばね40を用いている。一般的な円筒形コイルばねと比較して、円錐コイルばね40は、圧縮時の高さが極めて小さくなる。そのため、穿刺装置1自体の高さを小さくすることができ、穿刺装置1の軽量化が図られる。従って、円錐コイルばね40を適切に設計することで、所望の移行率(基板31及び/又はマイクロニードル32上に施されたコーティングCの量に対して、薬剤等が動物の体内に移行した量の割合)を達成しつつ穿刺装置1の携帯性を向上できる。
薬剤等の種類によっては、マイクロニードル32を皮膚に衝突させた後に穿刺装置1を皮膚上に長時間保持させる必要が生ずる。このような場合でも、小型化及び軽量化された本実施形態に係る穿刺装置1を用いると、使用者は穿刺装置1を皮膚につけたまま衣類を着用したり制限なく移動したりできるようになる。しかも、本実施形態に係る穿刺装置1は小型であるので、使用者がこのように自由に行動した場合であっても、穿刺装置1が他の物体(障害物)に衝突してマイクロニードル32が皮膚から抜けたり、マイクロニードル32が折れて皮膚内に残ったりする虞が極めて低い。
従来の大型の穿刺装置を用いる場合には、取り扱いに手間取ることがあったり、その外観の大きさから使用者に恐怖心が生じたりする虞があった。しかしながら、小型化及び軽量化された本実施形態に係る穿刺装置1を用いると、簡単に取り扱うことができると共に、使用者に与えうる恐怖心も大きく低減できる。
ピストン本体とマイクロニードル部材とが別体の場合には、皮膚にマイクロニードルを穿刺するために、まず、マイクロニードル部材を皮膚上に配置し、その後、穿刺装置をマイクロニードル部材上に配置して、ピストン本体をマイクロニードル部材に衝突させる。この場合、マイクロニードル部材と穿刺装置とを共に適切に配置しないと、両者間に位置ずれが生じてマイクロニードルを皮膚に適切に穿刺できず、動物の体内へ薬剤等を十分に移行できない虞が生じうる。しかしながら、本実施形態に係る穿刺装置1では、ピストンPの主面(基板31の表面)に複数のマイクロニードル32が突設されている。そのため、このような虞が生じることなく、薬剤等を確実に動物の体内に移行できるので、穿刺装置1の製造者が意図したとおりの性能を発揮することができる。しかも、穿刺装置1を皮膚上に置くだけで、皮膚上へのセッティングが完了するので、セッティング時間が極めて短時間で済む。
粘着剤等でマイクロニードル部材をピストン本体に貼り付けて一体化する場合、粘着剤に含まれる有機化合物が、マイクロニードルの先端に塗布されている薬剤等に影響を与える虞がある。しかしながら、本実施形態では、ピストンPは、溝21bが形成されたピストン板21を有するピストン本体20と、溝21bに係合する突出部31bが基板31に設けられたマイクロニードル部材30とを有し、突出部31bが溝21bに係合することでマイクロニードル部材30がピストン本体20と一体化されている。そのため、薬剤等に影響を与えることがなく、薬剤等の本来の効果が発揮されうる。
本実施形態では、円錐コイルばね40を構成する金属線が、円錐コイルばね40の中心線の延在方向から見て重なり合っていない。そのため、中心線の延在方向に沿って円錐コイルばね40に荷重を加えると、圧縮された円錐コイルばね40の高さがその線径とほぼ一致する。そのため、穿刺装置1の更なる小型化及び軽量化が図られる。
[他の実施形態]
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では、突出部31bと溝21bとが係合することでマイクロニードル部材30がピストン本体20と一体化していたが、ピストン本体20の他の主面にマイクロニードル部材30を接着剤又は接着シートにより貼り付けることでマイクロニードル部材30とピストン本体20とを一体化してもよいし、ピストン板21の他の主面にマイクロニードル32が一体成形されていてもよい。
本実施形態では、マイクロニードル32が基板31の表面上において千鳥状(互い違い)に略等間隔となるように配列されていたが、基板31においてマイクロニードル32の高さが異なっていてもよい。例えば、マイクロニードル32の密度を、基板31の周縁側よりも中心近傍において高くしたり、基板31の中心近傍よりも周縁側において高くしたりしてもよい。
マイクロニードル32の高さは、全て同じでもよいし、異なっていてもよい。マイクロニードル32の高さが異なる場合には、例えば、基板の周縁側よりも中心近傍におけるマイクロニードル32の高さを高くしてもよいし、基板の中心近傍よりも周縁側におけるマイクロニードル32の高さを高くしてもよい。
図9(b)に示されるように、両端部が、中心線に直交する仮想平面に沿うように平坦に削られている円錐コイルばね41を用いてもよい。円錐コイルばね41の小径側の端部は仕切り壁10aと当接し、円錐コイルばね41の大径側の端部はピストン板21と当接する。そのため、円錐コイルばね41をこのように構成すると、仕切り壁10a及びピストン板21と円錐コイルばね41との接触面積が大きくなる。そのため、筒体10内において、円錐コイルばね41を安定して配置できる。
本実施形態では、ピストンPに付勢力を付与するために円錐コイルばね40を用いたが、他の形状の非線形コイルばねを用いてもよい。他の形状の非線形コイルばねとしては、例えば、鼓型コイルばね42(図10(a)参照)や樽型コイルばね43(図10(b)参照)が挙げられる。
本実施形態では、円錐コイルばね40を構成する金属線が、円錐コイルばね40の中心線の延在方向から見て重なり合っていなかったが、中心線の延在方向から見て重なり合うように金属線を巻回させた円錐コイルばね40を用いてもよい。どちらの場合であっても、円錐コイルばね40の自由高さhが、線径dと総巻き数とを乗算した値よりも小さくなるように設定できる。
本実施形態では、ピストン本体20とマイクロニードル部材30とが一体化されていたが、これらが別体であってもよい。これらが別体である場合には、マイクロニードル部材(マイクロニードルアレイ)を皮膚上に載置し、マイクロニードル部材と対向するように穿刺装置1を皮膚上に載置した後に、穿刺装置1を作動させることで、ピストン本体20が皮膚上のマイクロニードル部材に衝突し、皮膚への穿刺が行われる。
上記の実施形態では、マイクロニードル部材30がピストン本体20と一体化されていたが、ピストン本体20の下面にマイクロニードル32が一体成形されていてもよい。この場合、ピストン本体20はマイクロニードル部材の基板と同視できる。すなわち、マイクロニードル部材がピストン板20として振る舞っていると見ることもできる。
以下、実施例1〜21及び比較例並びに図11に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜27)
円錐コイルばねの各種パラメータ(線径、最大直径、最小直径、総巻き数、自由高さ、密着高さ、材質及び重量)と、ピストン重量(ピストン本体の重量及びマイクロニードル部材重量)とが図11に従って設計された、実施例1〜27に係る穿刺装置を用意した。各実施例1〜27に係る穿刺装置について、キャップを押してピストンの固定を解除し、マイクロニードルが皮膚に衝突する際の速度を3回測定し、平均速度を得た。また、各実施例1〜27に係る穿刺装置に用いられる円錐コイルばねに荷重を加えて、円錐コイルばねが平坦になったとき(円錐コイルばねの高さが線径と略等しくなったとき)の荷重の大きさを圧縮時荷重として測定した。
(比較例1)
比較例1では、円筒コイルばねのパラメータ(線径、総巻き数、密着高さ及び材質)を実施例21における円錐コイルばねと同じとすると共にピストン重量を実施例21と同じとし、円筒コイルばねの直径を18mmに設定したうえで、実施例21と同じ速度となる円筒コイルばねの自由高さhを以下に従って計算した。
まず、式(1)に基づいて、円筒コイルばねのばね定数kを計算したところ、k=869.8N/mであった。
Figure 0006226862
ただし、式(1)において、各パラメータは以下のとおりである。
G[N/m]:横弾性係数(SUS−304の場合、68500N/mm
d[m]:線径(実施例21と同じであるため、1.2mm)
n:総巻き数(実施例21と同じであるため、3.5)
D:直径(比較例1では18mmに設定)
続いて、式(2)に基づいて、円筒コイルばねのばね重量mを計算したところ、m=1.78gであった。
Figure 0006226862
ただし、式(2)において、各パラメータは以下のとおりである。
p[kg/m]:密度(SUS−304の場合、7.93g/cm
L[m]:円筒コイルばねを直線状となるように引き伸ばしたときの長さであり、直径D×円周率×総巻き数nから求められる
続いて、式(3)に基づいて、円筒コイルばねのエネルギーEを計算したところ、E=0.35kg・m/sであった。
Figure 0006226862
ただし、式(3)において、各パラメータは以下のとおりである。
Mtotal[kg]:ピストン重量及びばね重量の合計
V[m/s]:マイクロニードルが皮膚に衝突する際の速度(実施例21と同じであるため、17.8m/s)
続いて、式(4)に基づいて、円筒コイルばねのたわみ量xを計算したところ、x=28.4mmであった。
Figure 0006226862
そして、得られた値xに、円筒コイルばねの全縮長(=線径d×総巻き数n)を加算することで、自由高さhがh=32.6mmと計算された。
(比較例2)
比較例2では、円筒コイルばねのパラメータ(線径、総巻き数、密着高さ及び材質)を実施例21における円錐コイルばねと同じとすると共にピストン重量を実施例21と同じとし、円筒コイルばねの直径を6mmに設定したうえで、実施例21と同じ速度となる円筒コイルばねの自由高さhを、比較例1と同様の手順で計算した。その結果、比較例2において、自由高さhはh=7.9mmと計算された。
(評価結果)
マイクロニードルが皮膚に4m/s〜30m/sの速度で衝突するように構成されていると、マイクロニードルを適切に皮膚に穿刺でき、それにより、薬剤等を動物の体内に十分に移行できるが、実施例1〜27はいずれもこの範囲内に含まれることが確認された。しかも、実施例21と比較例1,2とを対比すると、同じ速度を達成するために、比較例1では自由高さ及び密着高さが高くなると共にばね重量が重くなり、比較例2では密着高さが高くなることが確認された。従って、実施例21においては、比較例1,2よりも小型化及び軽量化が図られることが確認された。
圧縮時荷重に関しては、同一線径の円錐コイルばねについて比較すると、圧縮時荷重が大きくなるほど速度が大きくなる傾向にあり、圧縮時荷重と速度とがほぼ比例関係を有することが確認された。また、同じ大きさの圧縮時荷重について、異なる線径の円錐コイルばねを比較すると、線径が大きくなるほど速度が大きくなる傾向にあることが確認された。
また、実施例4〜8、実施例22,23、実施例24,25、及び実施例26,27について、図12に自由高さと平均速度との関係を示し、図13に自由高さと圧縮時荷重との関係を示す。図12及び図13に示されるように、自由高さを一定以上に大きくした場合、皮膚への衝突速度は自由高さに対して比例するように大きくなったが、圧縮時荷重は、自由高さが大きな領域において増加率が小さくなった。すなわち、円錐コイルばね40の自由高さが7.4mm以上の場合、より小さな圧縮時荷重の増加量をもって衝突速度を大きくできることが判明した。圧縮時荷重が大きいとピストン及び筐体に作用する負荷が大きくなるため、ピストン及び筐体の機械的強度を高める必要があり、装置全体の大型化や重量化に繋がりうるが、円錐コイルばね40の自由高さを一定以上とすることにより、速度を高めつつ、圧縮時荷重を抑制し、ピストン及び筐体への負荷を低減することが確認された。
(実施例28〜30)
円錐コイルばねの各種パラメータ(線径、最大直径、最小直径、総巻き数、自由高さ、密着高さ、材質、重量、及び製造時の熱処理時間)と、ピストン重量(ピストン本体の重量及びマイクロニードル部材重量)とが図14に従って設計された、実施例28〜30に係る穿刺装置を用意した。実施例28〜30において、円錐コイルばねを平坦に(円錐コイルばねの高さが線径と略等しくなるよう円錐コイルばねを圧縮)した状態で、60℃の環境下で2週間保存したものと、この処理が行われる前のもの(初期のもの)とで、速度と圧縮時荷重とを測定し、熱及び負荷が円錐コイルばねに作用したときの円錐コイルばねの耐久性を評価した。具体的には、各実施例28〜30に係る穿刺装置について、キャップを押してピストンの固定を解除し、マイクロニードルが皮膚に衝突する際の速度を3回測定し、平均速度を得た。また、各実施例28〜30に係る穿刺装置に用いられる円錐コイルばねに荷重を加えて、円錐コイルばねが平坦になったとき(円錐コイルばねの高さが線径と略等しくなったとき)の荷重の大きさを圧縮時荷重として測定した。
(評価結果)
実施例28,29から理解されるように、円錐コイルばねの熱処理時間が長いほど速度及び圧縮時荷重が劣化し難くなっており、円錐コイルばねの耐久性の向上が確認された。
また、実施例28,30から理解されるように、ピストン本体の重量を軽くすることで、圧縮時荷重が同じ円錐コイルばねにおいて、速度が劣化し難くなることが確認された。すなわち、ピストン本体、マイクロニードル部材及び円錐コイルばねの合計重量に対するピストン本体の重量の割合を小さくすることで、円錐コイルばねにおける衝突速度の耐久性を向上させることができることが判明した。なお、ピストン本体、マイクロニードル部材及び円錐コイルばねの合計重量に対するピストン本体の重量の割合は、50%未満であると好ましい。
1…穿刺装置、10…筐体、20…ピストン本体、21…ピストン板、21b…溝部、30…マイクロニードル部材、31…基板、31b…突出部、32…マイクロニードル、40…円錐コイルばね、50…キャップ、P…ピストン。

Claims (8)

  1. マイクロニードルの皮膚への穿刺により皮膚を通して活性成分を体内に移行するための穿刺装置であって、
    筒状の筐体と、
    前記筐体内にスライド可能に配置されると共にスライド方向に交差する主面を有し、前記主面側に複数の前記マイクロニードルが配置されている、ピストンと、
    前記筐体内に配置されると共に前記ピストンに付勢力を付与する円錐コイルばねとを備え、
    前記ピストンの重量が0.44g〜0.84gであり、
    前記円錐コイルばねがステンレス鋼線で形成され、
    前記円錐コイルばねの自由高さが3.85mm〜11.0mmであり、
    前記円錐コイルばねの圧縮時荷重が1100gf〜5000gfである、
    穿刺装置。
  2. 前記ピストンは、溝が形成されたピストン本体と、前記溝に係合する係合片が設けられたマイクロニードル部材とを有し、
    前記マイクロニードル部材は、前記ピストンの前記主面を構成する面を含み、当該面に前記複数のマイクロニードルが突設されている、請求項1に記載の穿刺装置。
  3. 前記円錐コイルばねの自由高さは線径の3倍以上である、請求項1または2に記載の穿刺装置。
  4. 前記円錐コイルばねを構成する金属線は、前記円錐コイルばねの中心線の延在方向から見て重なり合っていない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の穿刺装置。
  5. 前記円錐コイルばねの両端部はそれぞれ、前記円錐コイルばねの中心線に直交する仮想平面に沿うように平坦に削られている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の穿刺装置。
  6. 前記円錐コイルばねの最大直径は7.8mm〜18mmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の穿刺装置。
  7. 前記円錐コイルばねの最小直径は、前記円錐コイルばねの最大直径の1/1000倍以上で且つ1倍未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の穿刺装置。
  8. 前記円錐コイルばねの線径は0.6mm〜1.2mmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の穿刺装置。
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