JP6212995B2 - 熱電変換素子の製造方法 - Google Patents
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前記第1の成形工程後に、前記押出成形型内において、前記熱電変換素子材料よりも250℃以上融点の高い高融点材料を含む第2材料を前記第1材料に重ねるとともに、前記第1材料に重ねられた前記第2材料にさらに前記第1材料を重ねる第2の成形工程と、
前記第2の成形工程後に、前記押出成形型内の前記第1材料および前記第2材料を熱間押出成形して、前記熱電変換素子材料を含む押出成形体を得る第3の成形工程と、を備える方法である。
(1)前記高融点材料として、カーボン、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、珪化物セラミックス、炭化物セラミックスからなる群から選ばれる少なくとも一種の無機材料を用いる。
(2)前記高融点材料として、アルミナ、ジルコニア、シリカ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ケイ化モリブデン、ケイ化ホウ素、ケイ化チタン、炭化ホウ素からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機材料を用いる。
(3)前記第1材料として圧粉体状に成形したものを用いる。
(4)前記第2の成形工程は、
圧粉成形型内において、前記第2材料および前記第1材料を重ねるとともに加圧し、前記第2材料と前記第1材料とが一体化してなる圧粉体を得る圧粉体成形工程を含む。
(5)前記第2の成形工程は、
前記熱電変換素子に重ねられた前記第2材料の表面のなかで、さらに前記第1材料が重ねられる領域を均す工程を含む。
(6)前記圧粉体成形工程は、前記圧粉成形型内において前記加圧前に前記第2材料の表面を均す工程を含む。
(7)前記第2材料は前記高融点材料のみからなる。
なお、熱間押出成形時における成形温度は、熱電変換素子材料の融点(絶対温度〔K〕)の55%〜95%の範囲であるのが好ましく、70%〜90%の範囲であるのがより好ましい。
<第1材料の準備>
(結晶合金製造工程)
ビスマス−テルル系合金、つまり、Bi2(Te0.95Se0.05)3からなる熱電半導体の結晶合金を作製すべく、以下の工程をおこなった。なお、実施例1においては、第1材料として熱電変換素子材料のみからなるものを用いた。
上記の結晶合金作製工程で得た結晶合金を、粉砕器(カッターミル)で粉砕し、結晶合金の粉末を得た。
上記の粉末化工程で得た結晶合金の粉末を篩にかけて、粒子径90μm以下の粉末状の第1材料を得た。
実施例1においては、第2材料を高融点材料のみで構成した。高融点材料としては、平均粒子径5μm程度のカーボン粉末を用いた。
図1に示すように、第1の成形工程〜第3の成形工程で用いる熱間押出成形機1は、押出ダイス10および押出パンチ11を備える。押出ダイス10および押出パンチ11は、本発明の熱電変換素子の製造方法における押出成形型に相当する。押出ダイス10は、略中央部にキャビティ12を持つ略円筒状をなす。キャビティ12は、大径部13、小径部14、およびテーパ部15で構成されている。大径部13、小径部14、およびテーパ部15は、押出方向の後側から先側(図1中上側から下側)に向けて、大径部13→テーパ部15→小径部14の順に配列し、互いに連絡している。大径部13はキャビティ12において最も径(キャビティ12の直径、図1中上下方向に対して直交する方向の径)の大きな部分である。小径部14は大径部13よりも小径である。テーパ部15は、大径部13と小径部14とを連絡する。テーパ部15における大径部13との境界部分15xは、大径部13と略同径であり、テーパ部15における小径部14との境界部分15yは、小径部14と略同径である。つまり、テーパ部15は大径部13側から小径部14側に向けて徐々に小径になるテーパ状をなす。押出ダイス10の外周側には、図略のリングヒータが設けられている。リングヒータは図略の電源から給電されて、押出ダイス10を加熱する。なお、押出ダイス10を加熱する方法はこれに限定されず、種々の方法をとり得る。
上記の分級工程で得た第1材料20を図2に示す圧粉成形型3に投入した。圧粉成形型3は、圧粉ダイス30および圧粉パンチ31を備える。圧粉ダイス30は、略中央部にキャビティ32を持つ略有底円筒状をなす。圧粉ダイス30のキャビティ32の径は軸方向に一定である。つまり、圧粉ダイス30は有底の略直筒状をなす。圧粉ダイス30におけるキャビティ32の直径は、押出ダイス10における大径部13の直径と略同じである。圧粉ダイス30におけるキャビティ32の軸方向長さは、押出ダイス10における大径部13の軸方向長さよりもやや短い。
上記の第1の成形工程後に、押出パンチ11をキャビティ12の外側に後退させた。そして、キャビティ12内において、第1の成形工程後の成形材料20(より具体的には、焼結した熱電変換素子材料)の上に、第2材料40を重ねた(図5)。第2材料40は、圧粉体における上面のほぼ全面を覆った。次いで、押出パンチ11をキャビティ12の内部に前進させ、第2材料40の上面に接触させた。この工程により、第2材料40の表面(具体的には第2材料40の上面、第2材料40における押出パンチ11側の面)が均された。その後、第1の成形工程で用いたものと同じ第1の圧粉体21を第2材料40に重ねた(図6)。したがって、このとき押出ダイス10のキャビティ12内部において、各材料は、押出方向の後側から先側に向けて、成形材料20(第1の圧粉体21、熱電変換素子材料)→第2材料40(高融点材料)→成形材料20(第1の圧粉体21、熱電変換素子材料)の3層を構成した。
上記の第2の成形工程後に、押出パンチ11を押出ダイス10のキャビティ12内部に前進させた。このときの圧力、速度等は第1の成形工程と同じであった。これにより、第1の成形工程で押出ダイス10のキャビティ12内に入れた第1材料20のほぼ全部が焼結されつつ吐出口18から吐出された。ところで、このとき第1材料20に隣接する第2材料40もまた押し出され、吐出口18に向けて流動する(図7)。しかし、第2材料40は高融点材料で構成されているため、第3の成形工程においても溶融せず、第1材料20と一体化されない。したがって吐出口18から押し出された成形材料20(つまり押出成形体22)は、第2材料40との境界面付近で第2材料40から分離して、自重により落下する(図8)。したがって、実施例1の熱電変換素子の製造方法においては、押出成形体22を切り離す工程が不要であり、またカッター等の切断要素も不要である。つまり、押出成形体22には曲げ方向の外力を作用させなくても良く、押出成形体22の曲げ変形が抑制される。なお、押出成形体22および後述する分割成形体23は、必要に応じて研磨処理等を施しても良い。
第3の成形工程後、図9に示すように、得られた押出成形体22から所定形状の分割成形体23を、一または複数個切り出すこともできる。この場合、カッター、マルチワイヤーソー等の一般的な切断要素を用いれば良い。このようにすることで、例えば直方体状の熱電変換素子を同時にかつ数多く製造できる利点がある。そして本発明の製造方法によると、曲げ変形を抑制しつつ断面積の比較的大きな押出成形体22を得ることができるため、分割成形体23を歩留まり良く切り出すことが可能である。
実施例2の熱電変換素子の熱電変換素子の製造方法は、第1の成形工程において圧粉体状に成形した第1材料を用い、第2の成形工程が圧粉体成形工程を含むこと以外は実施例1と同様である。実施例2の製造方法を以下に説明する。なお、<第1材料の準備>および<第2材料の準備>は実施例1と同じであるため省略する。実施例2の熱電変換素子の製造方法を模式的に表す説明図を図13〜図20に示す。図13は第1の成形工程を模式的に表す。図14〜図17は第2の成形工程における第2の圧粉体成形工程を模式的に表す。図18、図19は第2の成形工程を模式的に表す。図20は第3の成形工程を模式的に表す。
実施例1と同様の圧粉成形工程により得られた第1の圧粉体21を、実施例1と同様の熱間押出成形機1に入れた(図13)。そして、実施例1の第1の成形工程と同様に、第1の圧粉体21を押し出して、大径部13からテーパ部15および小径部14に向けて流動させた。
上記の第1の成形工程後に、押出パンチ11を後退させた。そして、押出ダイス10のキャビティ12内において、第1の成形工程後の第1の圧粉体21(第1材料20、より具体的には焼結した熱電変換素子材料)の上に、以下の第2の圧粉体成形工程で得られた第2の圧粉体25を重ねた。
第2の圧粉体成形工程においては、実施例1における第1の成形工程で用いたものと略同じ圧粉成形型3を用いた。圧粉成形型3の圧粉ダイス30のキャビティ32の内部に第2材料40を入れた(図14)。次いで、圧粉パンチ31をキャビティ32の内部に前進させ、第2材料40の表面(上面、圧粉パンチ31側の面)を均した。そして、圧粉パンチ31をキャビティ32の外部に一旦後退させた。さらに、キャビティ32内において、第2材料40に第1材料20を重ねた(図15)。その後圧粉パンチ31を再度キャビティ32の内部に前進させた(図16)以上の工程で、第2材料40の層と第1材料20の層とが積層され、第2材料40と第1材料20とが一体化してなる第2の圧粉体25が得られた(図17)。なお、このときの圧力、温度、速度等は第1の圧粉体成形工程と同様である。
上記の第2の成形工程後に、実施例1における第2の成形工程と同様に、押出ダイス10を所定温度に昇温した上で、押出パンチ11を押出ダイス10のキャビティ12内部に前進させた。押出パンチ11によって加圧された第2の圧粉体25(つまり、第2材料40および第1材料20)は、大径部13からテーパ部15および小径部14に向けて流動した。第2の圧粉体25に含まれる第1材料20(特に熱電変換材料)は、この過程で熱および圧力を受けて焼結した。一方、高融点の第2材料40には、大きな変化はなかった。焼結された第1材料20の一部は、押出ダイス10の吐出口18から押し出された。このときの押出条件(速度、温度等)は実施例1と同じである。
比較例の熱電変換素子の製造方法は、第2材料を用いず、第1材料のみを用いる方法である。第1材料としては、実施例1および実施例2と同じものを用いた。比較例の熱電変換素子の製造方法を以下に説明する。なお、<第1材料の準備>は実施例1および実施例2と同じであるため省略する。比較例の熱電変換素子の製造方法を模式的に表す説明図を図21〜図24に示す。図21、図22は第1の成形工程を模式的に表す。図23は第2の成形工程を模式的に表す。図24は第3の成形工程を模式的に表す。
実施例1と同様の圧粉成形工程により得られた第1の圧粉体21を、実施例1と同様の熱間押出成形機1に入れた(図21)。そして、実施例1の第1の成形工程と同様に、第1の圧粉体21を熱間押出成形することで、第1材料20を大径部13からテーパ部15および小径部14に向けて流動させた(図22)。
上記の第1の成形工程後に、押出パンチ11を後退させた。そして、図23に示すように、押出ダイス10のキャビティ12内において、第1の成形工程後の第1材料20の上に、第1の成形工程で用いた物と同じ第1の圧粉体21を重ねた。つまり、比較例の第2の成形工程においては、同種の2つの成形材料(つまり、第1材料20からなる第1の圧粉体21)を重ねた。
上記の第2の成形工程後に、実施例1における第2の成形工程と同様に、押出ダイス10を所定温度に昇温した上で、押出パンチ11を押出ダイス10のキャビティ12内部に前進させた。押出パンチ11によって加圧された第1の圧粉体21(つまり第1材料20)は、大径部13からテーパ部15および小径部14に向けて流動した。第1材料20に含まれる熱電変換素子材料は、この過程で熱および圧力を受けて焼結した。ところで、比較例においては、同種の2つの第1材料20(第1の圧粉体21)を重ねて押出成形した。2つの第1の圧粉体21は、何れも第3の成形工程で溶融する第1材料20を含むため、このとき2つの第1の圧粉体21(焼結体)は境界面で一体に混ざり合った。したがって、吐出口18から吐出された押出成形体22(焼結体)は、キャビティ12内の第1材料20と一体化し、そのままでは分離しない。このため、比較例の熱電変換素子の製造方法においては、押出成形体22を切り離す工程が必要になる。具体的には、図24に示すように、吐出口18付近に配設した切断要素99(比較例ではカッター)を押出成形体22に向けて前進させ、押出成形体22を径方向に切断した。つまりこのとき、押出成形体22には径方向に向けた力が作用した。したがって押出成形体22は、切断要素99の逆方向に向けて曲げ変形した。
10:押出ダイス(押出成形型) 11:押出パンチ(押出成形型)
12:キャビティ 18:吐出口
20:第1材料 21:第1の圧粉体
22:押出成形体 23:分割成形体
25:第2の圧粉体 30:圧粉ダイス
31:圧粉パンチ 32:キャビティ
40:第2材料
Claims (8)
- 熱電変換素子材料を含む第1材料を押出成形型に入れる第1の成形工程と、
前記第1の成形工程後に、前記押出成形型内において、前記熱電変換素子材料よりも250℃以上融点の高い高融点材料を含む第2材料を前記第1材料に重ねるとともに、前記第1材料に重ねられた前記第2材料にさらに前記第1材料を重ねる第2の成形工程と、
前記第2の成形工程後に、前記押出成形型内の前記第1材料および前記第2材料を熱間押出成形して、前記熱電変換素子材料を含む押出成形体を得る第3の成形工程と、を備える熱電変換素子の製造方法。 - 前記高融点材料として、カーボン、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、珪化物セラミックス、炭化物セラミックスからなる群から選ばれる少なくとも一種の無機材料を用いる請求項1に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記高融点材料として、アルミナ、ジルコニア、シリカ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ケイ化モリブデン、ケイ化ホウ素、ケイ化チタン、炭化ホウ素からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機材料を用いる請求項1または請求項2に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記第1材料として圧粉体状に成形したものを用いる請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記第2の成形工程は、
圧粉成形型内において、前記第2材料および前記第1材料を重ねるとともに加圧し、前記第2材料と前記第1材料とが一体化してなる圧粉体を得る圧粉体成形工程を含む請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の熱電変換素子の製造方法。 - 前記第2の成形工程は、
前記第1材料に重ねられた前記第2材料の表面のなかで、さらに前記第1材料が重ねられる領域を均す工程を含む請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の熱電変換素子の製造方法。 - 前記圧粉体成形工程は、前記圧粉成形型内において前記加圧前に前記第2材料の表面を均す工程を含む請求項5に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 前記第2材料は前記高融点材料のみからなる請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の熱電変換素子の製造方法。
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