JP4656271B2 - 熱電素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電素子の製造方法に係る。特にプレス工程に特徴のある熱電素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電モジュールは、P型熱電素子とn型熱電素子を電気的に直列接続となるように接合されたものである。熱電モジュールに温度差を与えると電位差が生ずる。これをゼーベック効果という。また、接合部間に電流を流すと、その電流の向きにより吸熱または発熱する。これをぺルチェ効果という。これらの効果を利用して、熱発電や冷却に使用される。
熱電素子の製造方法は、素子の形態により様々な方法がある。素子がバルク材である場合は、(1)融点以上の金属溶湯を温度勾配法やゾーンメルト法により一方向凝固させる方法、単結晶を作製する方法、(2)融点以下の温度で原料粉又はインゴットを押し出し成形する方法、(3)粉や急冷箔片を常圧焼結する方法、(4)粉や急冷箔片を加圧焼結する方法、(5)原子状にして気相成長させる方法、等がある。
粉や急冷箔片を加圧焼結する方法を、熱電素子の従来の製造方法の一つを例にとり、説明する。図4は、従来の製造方法の説明図である。この熱電素子は、ホットプレス装置のダイ2の中に、熱電材料粉末や熱電材料急冷薄片を詰めて熱電材料の層1として、その上下をポンチ3で挟み、詰み重ね方向に加圧焼結することにより製造される。加熱の方法には、外部から加熱する方式、プラズマ放電焼結方式、ダイに電流を流す通電加熱式ホットプレス方式、等がある。
【0003】
熱電素子の製造において、加圧焼結して取り出した熱電素子に割れが生じていることがある。この割れを原因を調べた結果以下の原因が想定された。
通電加熱式ホットプレス方式加圧焼結する場合を例にとり説明する。加圧工程中に、焼結過程で厚さ方向にポンチが動き、カーボン製ダイ2やカーボン製ポンチ3と原料粉や原料急冷薄片の層1との間で滑りが生ずる。例えば、原料粉や原料急冷薄片の層の厚みが5乃至7mmである場合、加圧焼結された熱電素子1の厚みは2mmであるので、最大3乃至5mm程度滑っていることが推測される。
また、ダイ2内の熱電素子1の面内温度分布は均一でなく、特に中心部と外周部で異なり、加圧後の急速冷却中に焼結した熱電素子1に熱応力が生じ、割れが生じさせていると考えられる。
また、ダイ2やカーボンポンチと焼結ウエハー1の熱膨張係数が異なるので、ウエハー状の熱電素子1とポンチ3との間に摩擦力が生じ、熱電素子1が割れることがある。ポンチ3の接触面にバリや引っ掛かりが存在すると、割れる可能性が高くなる。
そこで従来、ダイ2内の原料粉や原料急冷薄片を焼結させる際に、ダイ2とポンチ3と原料との間に細かいボロンナイトライドBN粉を塗り付けている。BN粉が摩擦を小さくし、ダイとポンチが滑らかに動くことができる。しかし、BN粉は焼結過程で、ウエハーに吸収され、ウエハーとポンチの間の摩擦が大きくなる現象が観察されている。従って、加圧後の冷却工程では、ボロンナイトライドBN粉により摩擦の減少効果を期待できない。
これらの傾向は、熱電素子1の直径が大きくなるほど大きくなる。
従って、これらの現象が原因となって、加圧焼結した熱電素子1に割れが生ずると考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
製品ウエハーを大型化すると歩留まりがあがり、製造コストが低下する。しかし、製品ウエハーを大型化すると、一般的に割れの発生が大きくなり、大型化におのずから限界があった。
【0005】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、従来の熱電素子の製造方法にかわって、歩留まり好く熱電素子を製造することのできる熱電素子の製造方法を提供しようとする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係るダイとそのダイに勘合するポンチでダイの中に敷き詰めた熱電材料の粉粒体をウエハー状に焼結加圧する熱電素子の製造方法であって、熱電材料の粉粒体を層状にダイの中に敷き詰め、熱電材料の層に接する様に金属箔を重ね、該金属箔にポンチを重ね、該ポンチの側から加圧及び通電を行い、所定時間経過後に通電を停止し加圧したまま冷却し、該ポンチと該金属箔を取り外すこととした。ここで、金属箔とは、金属を薄く平たく延ばしたものをいう。
【0007】
上記本発明の構成により、熱電材料の粉粒体を層状にダイの中に敷き詰め、ダイの中に熱電材料の粉粒体の層をつくる。熱電材料の層に接する様に金属箔を重ね、ダイの中に熱電材料とそれに接する金属箔の2層をつくる。該金属箔にポンチを重ねて、該ポンチの側から加圧する。ダイの中に重なった熱電材料と金属箔とをポンチで加圧できるので、ポンチが熱電材料と接触せず、熱電材料の表面に無理な摩擦力が生じない。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るダイとそのダイに勘合するポンチでダイの中に敷き詰めた熱電材料の粉粒体を焼結加圧する熱電素子の製造方法は熱電材料の粉粒体を層状にダイの中に敷き詰め、熱電材料の層に接する様に金属箔を重ね、該金属箔に金属板を重ね、該金属板にポンチを重ね、該ポンチの側から加圧及び通電を行い、所定時間経過後に通電を停止し加圧したまま冷却し、該ポンチ、金属板、及び金属箔を取り外すものとした。ここで、金属板とは、金属を平たく延ばしたものをいう。
【0009】
上記本発明の構成により、熱電材料の粉粒体を層状にダイの中に敷き詰め、ダイの中に熱電材料の粉粒体の層をつくる。熱電材料の層に接する様に金属箔を重ね、ダイの中に熱電材料とそれに接する金属箔の2層をつくる。該金属箔に金属板を重ね、ダイの中に熱電材料と金属箔と金属板の3層をつくる。該金属板にポンチを重ねて、該ポンチの側から加圧する。ダイの中に重なった熱電材料と金属箔と金属板とをポンチで加圧できるので、ポンチが熱電材料と接触せず、熱電材料の表面に大きな摩擦力が生ぜず、さらに金属板が温度分布を均一にし、熱電材料の加圧面の平面度を維持できる。
【0010】
さらに、金属箔が、熱電材料の焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属の箔であるものとした。上記本発明の構成により、金属箔が焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属の箔であるので、ダイの中に重なった熱電材料と焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属の箔とをポンチで加圧でき、その箔が焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属なので、熱電素子の特性が劣化しない。
【0011】
さらに、本発明に係る熱電素子の製造方法は、熱電材料がBiTe系熱電材料であって、金属箔が、Fe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiの一つでできている箔であるものとした。
上記本発明の構成により、熱電材料がBiTe系熱電材料であって、金属箔がFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiの一つでできている箔であるので、ダイの中で重なったBiTe系熱電材料とFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTi箔とポンチまたは金属板とを加圧でき、BiTe系熱電材料とFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTi箔との間で相互拡散が生じないので、熱電素子の特性が劣化しない。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るダイとそのダイに勘合するポンチでダイの中の熱電材料の粉粒体を焼結加圧する熱電素子の製造方法は、一つの表面の算術平均粗さRaが1.6ミクロン以下である金属板を用意し、熱電材料の粉粒体を層状にダイの中に敷き詰め、熱電材料の層に該表面が接する様に金属板を重ね、該金属板にポンチを重ね、該ポンチの側から加圧するものとした。
【0013】
上記本発明の構成により、熱電材料の粉粒体を層状にダイの中に敷き詰め、ダイの中に熱電材料の層をつくる。熱電材料の層に該表面が接する様に金属板を重ね、ダイの中に熱電材料と金属板の2層をつくり、その金属板の算術平均粗さRaが1.6ミクロン以下である表面が熱電材料に接している。該金属板にポンチを重ねて、該ポンチの側から加圧する。ダイの中に重なった熱電材料と金属板とをポンチで加圧でき、熱電素子に接する金属板の平面度が良好なので、熱電材料の表面に大きな摩擦力が生ぜず、さらに金属板が温度分布を均一にし、熱電材料の加圧面の平面度を維持できる。
【0014】
また、本発明に係る熱電素子の製造方法は、金属板の該表面の側が焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属の層で覆われているものとした。
上記本発明の構成により、その金属板の算術平均粗さRaが1.6ミクロン以下であって、焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属の表面が熱電材料に接して、ダイの中で熱電材料と金属板とを重ねて加圧できでき、その金属板の熱電材料に接する表面が焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属なので、熱電素子の特性が劣化しない。
【0015】
また、本発明に係る熱電素子の製造方法は、熱電材料がBiTe系熱電材料であって、金属板の該表面の側がFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiの一つでできた金属層で覆われているものとした。
上記本発明の構成により、その金属板の算術平均粗さRaが1.6ミクロン以下であって、Fe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiの一つでできた金属表面がBiTe系熱電材料に接して、ダイの中で熱電材料と金属板とを重ねて加圧でき、BiTe系熱電材料とFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiのとの間で相互拡散が生じないので、熱電素子の特性が劣化しない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい第一の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
本発明の第一の実施形態に係る熱電素子の製造方法を、ハイブリッドホットプレス方式で、熱電素子をつくる場合を例にとり、説明する。図1は、本発明の実施形態の概念図である。
【0017】
熱電材料は、熱電素子の材料の粉末または急冷薄片である。例えば、Bi−Teの2元合金やBi−Te−SbやBi−Te−Seの3元合金などをあげることができる。ダイ2は、カーボン製であり、円筒形状をしている。ポンチ3は、カーボン製であり、ダイの内径よりわずかに小さな直径Rの円柱である。
金属箔4は、特定金属でできた箔であり、ポンチ3の外周直径Rと同じ直径を有する円板の形状をしている。例えば、箔の厚みは200ミクロンである。特定金属とは、焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属である。熱電材料がBiTe系熱電材料である場合、特定金属はFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiの一つが好ましい。化学的特性の外に物理的特性をも考慮するとTiが特に好ましい。
【0018】
最初に、ダイ2の中に、下からポンチ3、金属箔4、熱電材料の層1、金属箔4、ポンチの順に積層する。その上部のポンチ3の上に通電発熱材料(図示せず)を置き、下部のポンチ3をプレス下部(図示せず)で支えて、上部のポンチ3の上からプレスし通電する。所定の圧力と所定の温度を維持しつつ、所定の時間が経ったら、通電を停止し加圧したまま全体が冷却するのを待つ。全体が、所定の温度になったら、除荷し、全体をプレスから取り出す。ポンチ3、金属箔4を外し、加圧焼結されてできた、熱電素子1を取り出す。メダル状の熱電素子1の表面は特定金属と反応して化合物の薄い層ができるので、研磨して化合物の薄い層を取り去る。
【0019】
プレス過程のダイ内での挙動を説明する。焼結温度(例えば、500度C)で加圧して所定時間を維持すると、熱電材料が焼結する。金属箔の金属と熱電材料は、その接触点でわずかに反応して化合物をつくるが、相互拡散はしないので、熱電素子の性能に変化を与えない。加圧したまま、加熱を停止すると温度が低下する。温度の低下に従って、熱膨張していたダイ2、ポンチ3、金属箔4、熱電素子1がそれぞれ個々の物性に従って収縮する。金属箔4の面粗さが小さいので、金属箔4と熱電素子1との摩擦力が小さく、熱電素子1に大きな引っ張り応力が生じない。
ポンチ3、金属箔4、熱電素子1をダイから外すと、3つは容易に剥がれる。
従って、熱電素子1に割れが生じない。
【0020】
次に、本発明の第二の実施形態に係る熱電素子の製造方法を、 ハイブリッドホットプレスで、熱電素子をつくる場合を例にとり、説明する。図2は、本発明の第二の実施形態の概念図である。熱電素子とダイは同じであるので、以下説明を省略する。
【0021】
金属箔は、特定金属でできた箔であり、ポンチの外周直径Rと同じ直径を有する円板の形状をしている。例えば、箔の厚みは200ミクロンである。特定金属とは、焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属である。熱電材料がBiTe系熱電材料である場合、特定金属はFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiの一つが好ましい。化学的特性の外に物理的特性をも考慮するとTiが特に好ましい。
金属板とは、所定の金属でできた板であり、ポンチの外周直径Rと同じ直径を有する円板の形状をしている。金属板の金属の種類は特に限定しないが、熱電材料の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する金属が好ましく、例えば、ステンレス鋼(例えば、厚さ1mmのSUS304鋼板)が考えられる。
【0022】
最初に、ダイ2の中に、下からポンチ3、金属板5、金属箔4、熱電材料の層1、金属箔4、金属板5、ポンチ3の順に積層する。その上部のポンチ3の上に通電発熱材料(図示せず)を置き、下部のポンチ3をプレス下部(図示せず)で支えて、上部のポンチ3の上からプレスし通電する。所定の圧力と所定の温度を維持しつつ、所定の時間が経ったら、通電を停止し加圧したまま全体が冷却するのを待つ。全体が、所定の温度になったら、除荷し、全体をプレスから取り出す。ポンチ3、金属板5、金属箔4を外し、加圧焼結されてできた、熱電素子1を取り出す。メダル状の熱電素子1の表面は特定金属と反応して化合物の薄い層ができるので、研磨して化合物の薄い層を取り去る。
【0023】
プレス過程のダイ内での挙動を説明する。焼結温度(例えば、500度C)で加圧して所定時間を維持すると、熱電材料が焼結する。金属箔4の金属と熱電材料は、その接触点でわずかに反応して化合物をつくるが、相互拡散はしないので、熱電素子の性能に変化を与えない。熱伝導率の大きな金属板5が熱を面方向に均等に伝えるので、熱電材料の半径方向の温度分布に差が少ない。また、金属板5が変形しないので、熱電材料の層の表面の平面度が維持される。加圧したまま、加熱を停止すると温度が低下する。温度の低下に従って、熱膨張していたダイ2、ポンチ3、金属板5、金属箔4、熱電素子1がそれぞれ個々の物性に従って収縮する。金属板5の作用により、熱電素子の半径方向の温度差がすくないので、熱応力の発生が押さえられる。また、金属箔4の面粗さが小さいので、金属箔4と熱電素子1との摩擦力が小さく、熱電素子に大きな引っ張り応力が生じない。ポンチ、金属板、金属箔、熱電素子をダイから外すと、4つは容易に剥がれる。従って、熱電素子に割れが生じない。
【0024】
次に、本発明の第三の実施形態に係る熱電素子の製造方法を、ハイブリッドホットプレスで、熱電素子をつくる場合を例にとり、説明する。図3は、本発明の第三の実施形態の概念図である。
【0025】
金属板6とは、所定の金属でできた板であり、ポンチ3の外周直径Rと同じ直径を有する円形の形状をしている。金属板6は金属基板6aと金属層6bとからなる。金属基板6aの金属の種類は特に限定しないが、熱電材料の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する金属が好ましく、例えば、ステンレス鋼(例えば、厚さ1mmのSUS304鋼板)が考えられる。その金属基板の一面には、金属層6bが設けられている。
金属層6bの金属は、メッキ、溶射等でつけられた特定金属である。特定金属とは、焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属である。熱電材料がBiTe系熱電材料である場合、特定金属はFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiの一つが好ましい。化学的特性の外に物理的特性をも考慮するとTiが特に好ましい。その金属層6bの表面は、切削または研磨により面粗さが小さくなっている。その面粗さは、熱電材料が粉末である時はその粉末の大きさ、または熱電材料が急冷薄片である場合はその薄片の厚さ(例えば、10ミクロン)寸法以下であればよい。面粗さは、通常の熱電材料であれば、算術平均粗さRaが1.6ミクロン以下であれば良く、さらには算術平均粗さRaが0.2ミクロン以下であるのがさらに好ましい。
【0026】
最初に、ダイの中に、下からポンチ3、金属板6、熱電材料の層1、金属板6、ポンチ3の順に積層する。金属板6は、その金属層6bが熱電素子の層1に接触する向きになるように置かれる。その上部のポンチ3の上に通電発熱材料(図示せず)を置き、下部のポンチ3をプレス下部(図示せず)で支えて、上部のポンチ3の上からプレスし通電する。所定の圧力と所定の温度を維持しつつ、所定の時間が経ったら、通電を停止し加圧したまま全体が冷却するのを待つ。全体が、所定の温度になったら、除荷し、全体をプレスから取り出す。ポンチ3と金属板6とを外し、加圧焼結されてできた、熱電素子を取り出す。メダル状の熱電素子の表面は金属層6bの特定金属と反応して化合物の薄い層ができるので、研磨して化合物の薄い層を取り去る。
【0027】
プレス過程のダイ内での挙動を説明する。焼結温度(例えば、500度C)で加圧して所定時間を維持すると、熱電材料が焼結する。金属層の金属と熱電材料は、その接触点でわずかに反応して化合物をつくるが、相互拡散はしないので、熱電素子の性能に変化を与えない。熱伝導率の大きな金属基板が熱を面方向に均等に伝えるので、熱電材料の半径方向の温度分布に差が少ない。また、金属板が変形しないので、熱電材料の層の面の平面度が維持される。加圧したまま、加熱を停止すると温度が低下する。温度の低下に従って、熱膨張していたダイ2、ポンチ3、金属板6、熱電素子がそれぞれ個々の物性に従って収縮する。金属板6の作用により、熱電素子の半径方向の温度差がすくないので、熱応力の発生が押さえられる。また、金属板6の熱電素子に接する面の面粗さが小さいので、金属層6bと熱電素子1との摩擦力が小さく、熱電素子に大きな引っ張り応力が生じない。ポンチ3、金属板6、熱電素子1をダイから外すと、4つは容易に剥がれる。従って、熱電素子に割れが生じない。
【0028】
【実施例】
第一の実施例により熱電素子を製造した試験での割れ評価結果を説明する。表1は、直径20mmの円形ウエハーでの焼結試験結果である。表2は、直径100mmの円形ウエハーでの焼結試験結果である。
この焼結試験において、焼結材料はBiTe系熱電素子の熱電材料であり、金属箔は純Ti製の箔である。その表面の算術平均粗さRaは0.2ミクロンであった。ダイとポンチはカーボン製で、通電加熱式ホットプレス方式により加熱焼結させた。ウエハー表面の割れ(クラック)の有無は目視により確認した。
【表1】
Figure 0004656271
【表2】
Figure 0004656271
【0029】
直径20mmの円形ウエハーの焼結試験では、金属箔を使用しない場合25枚中6枚が割れたのに対し、金属箔(99.5%Ti製の箔)を使用した場合24枚中割れたものがゼロであった。
また、直径100mmの円形ウエハーの焼結試験では、金属箔を使用しない場合330枚中31枚が割れたのに対し、金属箔(99.5%Ti製の箔)を使用した場合18枚中割れたものがゼロであった。
ウエハー状の熱電素子の表面が黒ずんでいたが、X線回折分析の結果、TiとTeの反応物であることが分かった。この黒ずみは表面研摩により容易に除去でき、熱電素子の性能に影響がなかった。
【0030】
上述の実施形態の熱電素子の製造方法を用いれば、
金属箔または金属層が、ポンチと熱電材料との摩擦を低減し、熱電素子に及ぼす摩擦力を小さくできる。
また、金属基板が焼結金属に生ずる温度分布を緩和し、焼結金属の内部に発生する熱応力を緩和する。
また、金属板が、焼結金属の層の面の平行度を維持するので、さらにポンチと焼結材料の摩擦を低減し、焼結金属に及ぼす摩擦力を小さくできる。
また、熱電材料に接触する部分が熱電材料と相互拡散を起こさない材料であるので、熱電材料の特性を劣化させず、良好な熱電素子を製造できる。
従って、割れを生じさせすに特性の良好な熱電素子を製造でき、さらに大きな直径の熱電素子を製造できる。
【0031】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
ダイを円筒形の例で説明したがこれに限定されず、例えば、多角形等でも良い。
また、熱電材料の両側に配置した金属箔、金属板、またはポンチを同一のものとして説明したが、一面と他面に配置するものを異なったものとしても良い。
また、金属箔、金属板を一層のものとして説明したがこれに限定されず、必要に応じて多層としてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の熱電素子の製造方法は、その構成により、以下の効果を有する。
ダイの中に重なった熱電材料と金属箔とをポンチで加圧でき、ポンチが熱電材料と接触せず、熱電材料の表面に無理な摩擦力が生じないので、熱電素子に割れが生じにくい。
ダイの中で重なった熱電材料と金属箔と金属板とを加圧でき、ポンチが熱電材料と接触せず、熱電材料の表面に大きな摩擦力が生ぜず、さらに金属板が温度分布を均一にし、熱電材料の加圧面の平面度を維持できるので、熱電素子に割れが生じにくい。
また、ダイの中で重なった、熱電材料と金属箔とポンチまたは金属板とを加圧し、その箔が焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属なので、熱電材料の特性が劣化しないので、良好な特性を持った熱電素子を製造できる。
また、ダイの中で重なった、BiTe系熱電材料とFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTi箔とポンチまたは金属板とを加圧でき、BiTe系熱電材料とFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTi箔との間で相互拡散が生じないので、熱電素子の特性が劣化しないので、良好な特性を持ったBiTe系熱電素子を製造できる。
また、ダイの中で、その金属板の算術平均粗さRaが1.6ミクロン以下である表面が熱電材料に接して重なった熱電材料と金属板とを加圧でき、熱電素子に接する金属板の平面度が良好なので、熱電材料の表面に大きな摩擦力が生ぜず、さらに金属板が温度分布を均一にし、熱電材料の加圧面の平面度を維持できるので、熱電素子に割れが生じにくい。
また、その金属板の算術平均粗さRaが1.6ミクロン以下であって、焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属の表面が熱電材料に接して、ダイの中で熱電材料と金属板とを重ねて加圧できるので、ダイの中で重なった熱電材料と金属板とを加圧でき、その金属板の熱電材料に接する表面が焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属なので、熱電素子の特性が劣化せず、良好な特性の熱電素子を製造できる。
また、熱電材料に接する金属板の金属表面がFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiの一つであり、BiTe系熱電材料とFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiのとの間で相互拡散が生ぜず、熱電素子の特性が劣化しないので、良好な特性の熱電素子を製造できる。
従って、加圧焼結工程において熱電素子に割れが発生せず、良好な特定を有する熱電素子を歩留まり好く製造することのできる熱電素子の製造方法を提供できる。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態の側面断面図である。
【図2】本発明の第二の実施形態の側面断面図である。
【図3】本発明の第三の実施形態の側面断面図である。
【図4】従来の熱電素子の製造方法の側面断面図である。
【符号の説明】
1 焼結材料の層
2 ダイ
3 ポンチ
4 金属箔
5 金属板
6 金属板
6a 金属基板
6b 金属層
10 第一の実施形態
20 第二の実施形態
30 第三の実施形態
40 従来の実施例

Claims (7)

  1. ダイとそのダイに勘合するポンチでダイの中に敷き詰めた熱電材料の粉粒体をウエハー状に焼結加圧する熱電素子の製造方法であって、熱電材料の粉粒体を層状にダイの中に敷き詰め、熱電材料の層に接する様に金属箔を重ね、該金属箔にポンチを重ね、該ポンチの側から加圧及び通電を行い、所定時間経過後に通電を停止し加圧したまま冷却し、該ポンチと該金属箔を取り外す、ことを特徴とする熱電素子の製造方法。
  2. ダイとそのダイに勘合するポンチでダイの中に敷き詰めた熱電材料の粉粒体をウエハー状に焼結加圧する熱電素子の製造方法であって、熱電材料の粉粒体を層状にダイの中に敷き詰め、熱電材料の層に接する様に金属箔を重ね、該金属箔に金属板を重ね、該金属板にポンチを重ね、該ポンチの側から加圧及び通電を行い、所定時間経過後に通電を停止し加圧したまま冷却し、該ポンチ、金属板、及び金属箔を取り外す、ことを特徴とする熱電素子の製造方法。
  3. 金属箔が、熱電材料の焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属の箔であることを特徴とする請求項1または請求項2の一つに記載の熱電素子の製造方法。
  4. 熱電材料がBiTe系熱電材料であって、金属箔が、Fe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiの一つでできている箔であることを特徴とする請求項1または請求項2の一つに記載の熱電素子の製造方法。
  5. ダイとそのダイに勘合するポンチでダイの中の熱電材料の粉粒体をウエハー状に焼結加圧する熱電素子の製造方法であって、一つの表面の算術平均粗さRaが1.6ミクロン以下である金属板を用意し、熱電材料の粉粒体を層状にダイの中に敷き詰め、熱電材料の層に該表面が接する様に金属板を重ね、該金属板にポンチを重ね、該ポンチの側から加圧することを特徴とする熱電素子の製造方法。
  6. 金属板の該表面の側が焼結加圧条件下で熱電材料と相互拡散をおこさない金属の層で覆われていることを特徴とする請求項5に記載の熱電素子の製造方法。
  7. 熱電材料がBiTe系熱電材料であって、金属板の該表面の側がFe,Co,Ni,Mo,W,Ta,またはTiの一つでできた金属層で覆われていることを特徴とする請求項5に記載の熱電素子の製造方法。
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