JP4631494B2 - 熱電材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は温度制御素子である熱電材料の製造方法に関し、特にN型のBi2Te3系熱電材料の製造方法に関する。
通電により表面に温度差を生じる、あるいは表面の温度差により起電力を生じるペルチェモジュールに使用される熱電材料の1つとしてBi2Te3系の熱電材料がある。
この熱電材料の製造方法としては、各元素を溶融した溶湯を撹拌し、それを凝固させる溶製法と、原料のインゴットを粉砕して固体粉末を作成し、得られた固体粉末を整粒した後で焼結する焼結法がある。後者の焼結法により製造される材料は溶製法と比べて強度は高いものの、製造時に酸素に触れることにより酸化や酸素の固溶を起こし、熱電特性が低下しやすい。
このため、原料であるインゴットを不活性ガス雰囲気中で溶融し、溶湯を回転ロール上に供給して急冷凝固を行う液体急冷法により薄片状粉末とする粉末形成工程と、この薄片状粉末をダイスを用いて固化成形し、焼結するホットプレス工程とからなる製造方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、焼結法による熱電材料は性能指数を高めるため結晶の高い配向性が要求される。このため、上記ホットプレス工程では押圧方向と垂直の方向に結晶方位(a軸)を成長させ、c面の配向を上昇させてこの方向に電流を流すように電極を接合して熱電素子を形成したり、さらに押出し成形工程により配向を高めるようにしている。
特開2003−163385号公報
ところで、一般にP型の熱電素子とN型の熱電素子とを比較した場合、材料の特性上、N型の方が性能指数が低くなりやすい。この理由の1つはP型及びN型の各熱電材料中の酸素濃度が性能指数に与える影響が異なり、酸素濃度を同じように管理したとしても、N型の熱電材料の方が含有酸素に対して敏感なことに起因する。本発明者らの検討によれば、P型の熱電材料では酸素濃度が200ppmを超えても性能指数が低下しなかったが、N型の熱電材料では酸素濃度が100ppmを超えると極端に性能指数が低下することが確認された。このため、P型の熱電材料と同様の方法で作成したN型の熱電材料とを組み合わせて使用するとモジュールの性能が低下するという問題がある。
上記の液体急冷法により得られる薄片状粉末は各粉末が配向した多結晶で形成されており、外部の雰囲気に触れない結晶粒界が存在するため結晶粒界の界面に付着しやすい酸素を低減することができ、焼結固化された酸素を低減できるため好ましいが、N型のBi2Te3系熱電材料ではP型の熱電材料に比べて性能指数の低下が大きかったことから、薄片状粉末形成工程からホットプレス工程に粉末を移動させる際の酸化によっても性能が影響され易いことが考えられた。この場合、液体急冷法による薄片状粉末形成工程とホットプレス工程を同一の装置内で行なうことも考えられるが、各工程の装置構造上連続工程とすることが難しく、また同時に各工程を行なうことができないためコスト高にもなる。
本発明は上記課題を解決することを目的とするものであり、液体急冷法を用いた熱電材料の製造方法において、性能指数に優れたN型のBi2Te3系熱電材料が得られる製造方法を提供するものである。
本発明の請求項1記載の発明は、Bi及びTeを含有する溶湯を回転ロール上に供給して液体急冷法により薄片状粉末に形成する薄片状粉末形成工程と、少なくともダイスの幅方向中央部ではc面が高さ方向に略平行に並ぶように前記薄片状粉末が充填されたダイスを、前記熱電材料の焼結温度未満で前記ダイスの高さ方向と同軸方向に押圧して予備成形する予備成形工程と、前記予備成形された薄片状粉末を前記予備成形工程における押圧方向と同軸方向から押圧しながらホットプレス処理するホットプレス工程とを備え、前記予備成形工程のダイス内に充填される薄片状粉末のアスペクト比(粉末の長軸と厚さの比)が50以上であるN型のBi2Te3系熱電材料の製造方法である。
上記の予備成形工程を薄片状粉末形成工程とホットプレス工程との間に設けることにより、ダイスに充填される粉末の間隔を密にして外気、特に酸素の浸透を抑制し、ホットプレス工程で成形する際に焼結する粉末間に存在する酸素量を極めて低減することが可能となる。すなわち、回転ロールを用いた液体急冷法により形成した薄片状粉末は複数の単結晶が集まった多結晶からなる厚みの薄い扁平形状の粉末であり、前記単結晶中ではc面が粉末の厚み方向に平行で並んだ状態となっている。このため、ダイスへ薄片状粉末を充填する際、少なくともダイスの幅方向中央部では薄片状粉末が粉末の厚み方向に重なり、c面がダイスの高さ方向に略平行に並ぶように充填し、このダイスを高さ方向と同軸方向に押圧することにより、c面の方向性を維持しつつ、ダイス内の粉末の充填も高密度となり、高配向で、薄片状粉末形成工程で得られる充填状態よりも粉末間の酸素量が低減された状態とすることができる。また、予備成形工程によって得られた高充填の粉末をホットプレス工程で予備成形工程における押圧方向と同軸方向で押圧することにより、予備成形工程の密な充填状態を維持しつつ成形を行うことができるため、結晶が酸素に接触する状態が低減されたまま熱電材料の成形体を得ることが可能となる。
また本発明の請求項2記載の発明は上記請求項1記載の発明において、前記予備成形工程における圧力を10MPa以上、50MPa以下で行なうものである。
この範囲の圧力で予備成形することにより薄片状粉末の充填密度及び配向をさらに高めて、性能指数を向上することができる。
アスペクト比が高い薄片状粉末を用いることにより、充填時にc面が充填高さ方向に並びやすくなるため高配向が得られやすく、さらに性能指数を改善することができる。
本発明の請求項1記載の製造方法によれば、少なくともダイスの幅方向中央部ではc面が高さ方向に略平行に並ぶように薄片状粉末が充填されたダイスを、熱電材料の焼結温度未満でダイスの高さ方向と同軸方向に押圧して予備成形する予備成形工程を液体急冷法による薄片状粉末形成工程とホットプレス工程の間に設けているため、熱電材料中の酸素濃度を極めて低減でき、高充填密度で高配向の熱電材料を製造することができる。従って、含有酸素によって劣化しやすいN型のBi2Te3系熱電材料であっても、酸素濃度を100ppm以下に制御することができ性能指数に優れた熱電材料を得ることができる。また、アスペクト比が50以上の扁平形状の薄片状粉末を用いるため、ダイス充填時に薄片状粉末が整列して充填されやすくなり配向をさらに向上することができ、性能指数のさらなる改善を図ることができる。
本発明の請求項2記載の製造方法によれば、薄片状粉末の破砕を招くことなく充填密度と配向を向上できるため、性能指数のさらに優れた熱電材料を得ることができる。
以下、本発明の製造方法を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の製造方法において用いられる薄片状粉末形成工程の一例である回転ロール式の液体急冷法による急冷凝固装置10を示す概略図である。この装置では薄片状粉末を得るための回転ロール11と当該回転ロール11を不活性ガス雰囲気下又は減圧雰囲気下に置くためのチャンバー13などとから構成される。
本発明において用いられる熱電材料の原料としてはN型のBi2Te3系のインゴットが用いられ、例えばBi2Te3以外に、これらの一部をSb、Seなどで置換した熱電材料を挙げることができる。このような熱電材料はBi2Te3系のインゴットとともにSb、Seなどを添加して用いればよい。また、溶湯には、I、Cl、Br等のハロゲン元素が1種又は2種以上添加されていてもよい。これらハロゲン元素はSbI3、AgIまたはHgBr2などの形態で添加すればよい。溶湯は、例えば所定組成で各元素を含有するインゴット及び必要により添加剤を添加し、これを加熱して溶融させることにより得ることができる。
チャンバー13にはチャンバー13内の空気を排出するための排気装置19と、チャンバー13内を窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスで置換するためのガスボンベ16が備えられており、チャンバー13内はこれらの不活性ガスによって一定圧に保たれている。チャンバー13内への不活性ガスの導入はチャンバー13を0.1Pa以下に真空引きした後、不活性ガスを供給することにより行なうことができる。また、チャンバー13には出来上がった薄片状粉末2が回収器15に充填されるようガイド14を備えている。なお、回収器15はガイド14と着脱可能に連結されている。
回転ロール11は、例えばステンレス、銅などから作製され、不活性ガス雰囲気下に保持されたチャンバー13内に回転自在に配置される。なお、この図1では、回転ロール11は円盤状のロールが縦に配置されているが、横置きに配置され水平回転するものであってもよい。
回転ロール11の上方にはロール11表面との間に一定距離をおいて、溶融された溶湯を噴出するノズル12が備えられている。ノズル12は石英ガラスから作製されており、このノズル12にはインゴット及びその他の添加剤を含む原料1が充填されている。また、ノズル12には噴射用ガスボンベ18が接続されている。溶融された原料1は噴出用ノズル部から溶湯として噴射用ガスによって回転ロール11に向けて供給される。溶融温度はノズル12に取り付けられた温度センサーによって検知されており、一定温度に調整される。
本発明においては、まずこのような回転ロール式の液体急冷法によって、薄片状粉末を作製する。高周波加熱装置17によって溶融されたノズル12内の原料1を噴射する際の溶湯の温度は熱電材料の完全溶融温度より20℃以上、100℃以下の範囲で高くなるように設定される。溶湯温度を20℃以上にすることにより噴射時にノズルからの供給を円滑にし、均一な薄片状粉末が得られ易くなり、100℃以下とすることにより粉末に含まれる酸素濃度をさらに低減することができるとともに、熱電材料内の成分を変化させることなく安定した性質の粉末を得ることができる。
チャンバー13内は室温と略同程度に維持されており、回転ロール11上に噴射などの手段により供給された溶湯は急激に冷却固化される。急冷条件は熱電材料の種類によって異なるが、通常103K/sec以上、106K/sec以下である。なお、ノズル先端と回転ロール11との距離は、概ね1〜数mm程度に設定される。そして、回転ロール11表面で急冷凝固された薄片状粉末2はその遠心力によってその表面から剥離され、回転ロール11の回転方向に飛散しガイド14を通って回収器15に充填される。なお、この回収器15は後述する予備成形工程及びホットプレス工程で用いられるダイスであってもよい。
上記薄片状粉末形成工程において得られる薄片状粉末の大きさは、平板状の形状をしており、その幅及び長さが各々1mm以上、10mm以下、厚さが10μm以上、20μm以下となるようにすることが好ましい。またアスペクト比(粉末の長軸と厚さの比)は10以上、1000以下となるようにすることが好ましく、特にアスペクト比が50以上の薄片状粉末のみを用いることが好ましい。粉末の大きさを長軸で1mm以上、アスペクト比を10以上とすることにより、薄片状粉末が粉末の厚み方向で並列しやすくなり、配向をさらに高めることができ、長軸を10mm以下、アスペクト比を1000以下とすることにより、薄片状粉末の形状のばらつきを減少し、性能を向上することができる。なお、粉末のサイズは光学顕微鏡により薄片状粉末10〜100個を測定した時の平均値によるものである。上記のような高いアスペクト比を有する薄片状粉末は、例えば急冷凝固された薄片状粉末を所定径のメッシュで粒径の小さな粉末を分別することにより得ることができる。このような薄片状粉末の形態とすることにより、ダイスへの充填時に結晶のc面が充填高さ方向に対して略平行に並び易く、従って予備成形工程での押圧時に粉末間の隙間を低減することが可能となる。
上記のような粉末を形成するための回転ロールの速度としては、周速で5〜20m/sec、溶湯の噴出圧力としては、0.15〜2MPaが好ましい。
次に、本発明では得られた薄片状粉末をホットプレス工程での焼結を行う前に予備成形する。この予備成形工程を経てホットプレス処理を行なうことにより粉末が焼結するホットプレス時に粉末間に存在する酸素量が低減され、酸素濃度の低い熱電材料を得ることができる。予備成形工程に当たっては押圧により成形を行うためまず薄片状粉末2をダイス内に充填する。
図4は本発明の薄片状粉末のダイスへの充填状態を示すものであり、(a)はアスペクト比の低い粉末のみを充填したダイスを、(b)はアスペクト比の高い粉末のみを充填したダイスの状態を示す概略図である。なお、実際はメッシュなどによる分別工程を設けなければ、アスペクト比の異なる薄片状粉末が混在した状態となっている。図中、(a)では薄片状粉末がダイスの幅方向中央部では粉末の厚み方向に重なるようにしているため、各粉末中で単結晶内のc面がダイスの高さ方向に略平行に並ぶように充填されているが、アスペクト比が低いためダイスの側壁部では並列しない薄片状粉末もある。これに対し、(b)ではアスペクト比が高いためいずれの粉末も粉末の厚み方向に重なるように充填されており、c面がさらにダイスの高さ方向に平行に並ぶようになる。アスペクト比が50以上の薄片状粉末のみを用いた場合、(b)の充填状態となりやすい。これらのようなc面がダイスの高さ方向に略平行に並ぶように充填することにより、酸素濃度が低減され、高充填で、高配向の熱電材料を得ることができる。
予備成形工程における押圧時の雰囲気は不活性ガス雰囲気又は減圧雰囲気とする必要があり、好ましくは酸素濃度が0.01ppm以下で行なうことが望ましい。従って、薄片状粉末を充填したダイス内を再度不活性ガスにより置換してもよい。このため予備成形工程はグローブボックスなどの密閉系で行なわれる。
図2は予備成形工程の一例を示す予備成形機20の概略図である。グローブボックス21内には薄片状粉末形成工程で作製された薄片状粉末2をc面が高さ方向に略平行に並ぶように充填したダイス25が設置されており、ダイス25の開口部端から充填された薄片状粉末2を押圧できる構造を有している。
予備成形機20は通常のものが用いられ、例えば、ダイス25を上下動自在に支持する下側支持台22、押圧部23、下側支持台22を上下動させる油圧シリンダ24を備えている。グローブボックス21には、内部にアルゴンガスなどの不活性ガスを封入できるガスボンベ26および内部の空気を排気する排気装置27が接続されている。下側支持台22は上端部にダイス25の下端部を収納保持する凹部が形成されている。なお、図示していないがグローブボックス21はダイス25をグローブボックス内に搬入可能な搬入部が設けられている。そして、搬入部を含めてグローブボックス21内を不活性ガスで置換した後、下側支持台22上にダイス25を設置できるようになっている。そして油圧シリンダ24の操作により下側支持台22を下方に位置させる。次に、油圧シリンダ24により下側支持台22を徐々に持ち上げることによりダイス25に充填された薄片状粉末2を押圧する。
本発明の予備成形工程における押圧の圧力としては、10MPa以上、50MPa以下とすることが好ましい。10MPa以上とすることにより粉末の充填密度をさらに高くし粉末間の隙間を減少することができ、好ましくは、15MPa以上である。一方、50MPa以下とすることにより充填密度を減少し、配向の低下をもたらす押圧時の粉末の破砕を防ぐことができ、好ましくは、30MPa以下である。予備成形工程における押圧時間は10秒以下の短時間で十分であり、薄片状粉末2を徐々に押圧していき、所定の圧力になった時点で圧を開放することもできる。押圧時間が余りに長いと薄片状粉末が粉砕されてしまい、充填性が低下する傾向にある。
また、予備成形工程におけるダイスの押圧の方向は図に示すように薄片状粉末の充填される際の高さ方向と同軸方向から行なう必要がある。この押圧方向を充填時の高さ方向と一致させることにより、粉末を破砕することなく充填を高めることができる。
押圧時の温度は熱電材料が焼結しない温度未満であればよく、好ましくは室温である。予備成形工程での温度が焼結時の温度に近づくと焼結により結晶界面に酸素が残存し、酸素濃度の低減の効果が得られにくくなる。焼結温度は使用される熱電材料の種類によって異なるが、例えば、Bi2Te3からなる熱電材料では、400〜500℃である。
次に、上記のようにして得られた予備成形体をホットプレス処理し、成形体とする。図3はホットプレス工程の一例を示すホットプレス機30の概略図である。
ホットプレス機30は、通常のものが用いられ、予備成形工程で用いられた成形機と類似しているが、ヒータ35がダイス25の周囲に配置されている点などで異なっている。
ホットプレス工程では、まず、例えば排気装置37によりチャンバー31内を真空にした後、ガスボンベ36によりチャンバー31内にアルゴンガスなどの不活性ガスを充填する。次に、ヒータ35をオンさせてダイス25を加熱した状態に保持する。次に、油圧シリンダ34により下側支持台32を徐々に持ち上げダイス25内に充填された熱電材料の薄片状粉末2を押圧する。これにより薄片状粉末2を加熱・加圧するホットプレス処理が行われて薄片状粉末2が焼結し成形体が形成される。加圧圧力は、5MPa以上、50MPa以下に設定する。加熱温度は使用される熱電材料によっても異なり、Bi2Te3からなる熱電材料では、前述の熱電材料の焼結温度以上であればよい。処理時間は通常0.5〜3時間であり、好ましくは1〜2時間である。
ホットプレス処理における押圧の方向は予備成形工程の押圧方向と同軸方向とすることが必要である。このように押圧方向を一致させることにより予備成形による高充填、高配向を維持したまま成形することができる。従って、本発明では上記のような予備成形工程により粉末間の間隙が減少され、高配向の状態で焼結されることから、結晶界面の酸素量が低減され熱電材料中の酸素濃度を100ppm以下にできるとともに、高い充填密度で高配向のN型の熱電材料を得ることができ、それによって性能指数に優れた熱電素子を得ることができる。
本発明の製造方法によって得られる熱電材料は、高充填、高配向であるため、ホットプレス処理後は所定サイズに切り出してそのまま熱電素子成形体とすることもできる。また所望により上記成形体をさらに押出し法などにより二次成形体とすることもできる。この押出し法による二次成形体としては、例えば2軸加工成形では押出し温度300〜500℃、ステム速度0.1〜10mm/s、押出し比は5〜40が望ましい。
以下本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、下記実施例は単なる一例であり本発明を限定する性質のものでなく、前・後記の趣旨に基づき設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
実験1
図1に示す回転ロール式急冷凝固装置を用い、N型のBi2Te3系熱電材料の薄片状粉末を作成した。原料にはSe3重量部を含有するBi2Te3のインゴットを用いた。装置内を0.1Pa以下に真空引きした後、アルゴンガスを注入して不活性雰囲気とした。回転ロール11の上のノズル12に投入した原料(溶融温度:585℃)を温度620℃で溶湯とし、金属製の回転ロール11の上にこの溶湯を噴出した。このとき液体急冷するための回転ロール11の回転速度は10m/sec、噴出圧は0.1MPa(ノズル径:φ0.3mm)とした。
噴出した溶湯は回転ロールにより冷却されて飛散し、薄片状粉末2がガイドを通って回収器15内に回収されるようにした。得られた薄片状粉末は一辺が平均5mm、厚さが平均20μmの板状粉末であった。
次に、得られた薄片状粉末を入れた回収器を密閉した後、急冷凝固装置から取り外し、大気下直ちにアルゴンガスで置換した予備成形用のグローブボックスに搬入した。グローブボックスを真空引きしアルゴンガスで再度内部を置換した後、グローブボックス中でダイス(内径:φ28mm)内へ高さ約50mmまで薄片状粉末を充填した。充填時にはc面がダイスの高さ方向に略平行に並ぶように粉末を重ねた。
図2に示す予備成形機を用い、室温で充填高さ方向と同軸方向で圧力15MPaまで30秒間かけて押圧していき、15MPaになった時点で圧を開放した。
得られた予備成形体を入れたダイスをグローブボックスから取り出し、直ちにホットプレス処理を行うためチャンバー内に搬入した。
ホットプレス処理は図3に示す装置を用い、チャンバーを真空引きしアルゴンガスで内部を置換した後、ヒータで炉内温度450℃に加熱した状態で、圧力50MPa、押圧時間1.5時間で押圧し加熱・加圧焼結処理して成形体を作製した。
実験2
実験1において、予備成形工程の押圧の圧力を30MPaとした以外は、実験1と同様にして成形体を作製した。
実験3
実験1において、予備成形工程の押圧の圧力を10MPaとした以外は、実験1と同様にして成形体を作製した。
実験4
実験1において、薄片状粉末形成工程で得られた粉末を予めふるい(1mmのメッシュ)にかけ長軸が1mm未満の粉末を除去し、1mmより大きな薄片状粉末(アスペクト比:50以上)のみを用いた以外は、実験1と同様にして成形体を作製した。
実験5
実験1において、予備成形を行わなかった以外は、実験1と同様にして成形体を作製した。
実験6
実験1において、予備成形前に薄片状粉末を乳鉢により粉砕し、この粉砕した粉末のうち粒径53μm以下(アスペクト比:3以下)の粉末を用いてダイス内に粉末をランダム状態で充填したものを予備成形した以外は、実験1と同様にして成形体を作製した。
上記のようにして得られた各熱電材料の酸素濃度及び性能指数を測定した結果を表1に示す。
Figure 0004631494
表1に示すように、本発明の予備成形工程を有する製造方法により製造された実験1〜3の熱電材料は予備成形工程を有するため酸素濃度が100ppm以下に抑えられており、性能指数に優れている。特に圧力15MPaと30MPaで予備成形した実験1及び2は、酸素濃度が50ppmに抑えられており、またアスペクト比が50以上の薄片状粉末のみを用いた実験4の熱電材料はさらに性能指数が改善されている。これに対して、予備成形工程を行わなかった実験5では酸素濃度が高くなり、200ppm程度で性能指数が劣化することが分かる。また、予備成形工程を行ったが粉末をランダムに充填して押圧を行った実験6では酸素濃度の減少はわずかであり、配向も劣るため性能指数が低下している。
本発明の薄片状粉末成形工程に用いられる回転ロール式の急冷凝固装置を示す概略図である。 本発明の予備成形工程に用いられる予備成形機の示す概略図である。 本発明のホットプレス工程に用いられるホットプレス機の示す概略図である。 (a)及び(b)は本発明の薄片状粉末のダイス内での充填状態を示す概略図である。
符号の説明
1 原料
2 薄片状粉末
10 急冷凝固装置
11 回転ロール
20 予備成形機
25 ダイス
30 ホットプレス機

Claims (2)

  1. N型のBi2Te3系熱電材料の製造方法であって、
    Bi及びTeを含有する溶湯を回転ロール上に供給して液体急冷法により薄片状粉末に形成する薄片状粉末形成工程と、
    少なくとも幅方向中央部ではc面が高さ方向に略平行に並ぶように前記薄片状粉末が充填されたダイスを、前記熱電材料の焼結温度未満で前記ダイスの高さ方向と同軸方向に押圧して予備成形する予備成形工程と、
    前記予備成形された薄片状粉末を前記予備成形工程における押圧方向と同軸方向で押圧しながらホットプレス処理するホットプレス工程と、
    を備え
    前記予備成形工程のダイス内に充填される薄片状粉末のアスペクト比(粉末の長軸と厚さの比)が50以上である熱電材料の製造方法。
  2. 前記予備成形工程における圧力が、10MPa以上、50MPa以下である請求項1に記載の熱電材料の製造方法。
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