JP2002164584A - ペルチェ素子材料の製造方法 - Google Patents

ペルチェ素子材料の製造方法

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JP2002164584A
JP2002164584A JP2000358623A JP2000358623A JP2002164584A JP 2002164584 A JP2002164584 A JP 2002164584A JP 2000358623 A JP2000358623 A JP 2000358623A JP 2000358623 A JP2000358623 A JP 2000358623A JP 2002164584 A JP2002164584 A JP 2002164584A
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Junji Imai
順二 今井
Tadashi Hamada
糾 濱田
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Matsushita Electric Works Ltd
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21CMANUFACTURE OF METAL SHEETS, WIRE, RODS, TUBES OR PROFILES, OTHERWISE THAN BY ROLLING; AUXILIARY OPERATIONS USED IN CONNECTION WITH METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL
    • B21C23/00Extruding metal; Impact extrusion
    • B21C23/001Extruding metal; Impact extrusion to improve the material properties, e.g. lateral extrusion

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉末状態を経ないことで含有酸素量を低減す
るとともに、塑性加工によってペルチェ素子材料鋳塊に
高密度で転位を導入し、アモルファス状態にするペルチ
ェ素子材料の製造方法を提供する。 【解決手段】 Te−Sb−Bi系化合物およびTe−
Bi−Se系化合物のいずれかでなるペルチェ素子材料
鋳塊を作成した後、この鋳塊に塑性加工を施すことによ
って1x1013/cm3もしくはそれ以上の高密度で転
位を導入し、鋳塊をアモルファス状態にする。得られた
アモルファス状態の鋳塊に適切な条件下で熱処理を施す
ことにより、アモルファスを結晶化させ、平均結晶粒径
10μm以下の微細で配向した組織を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペルチェ効果を利
用した温度制御装置であるペルチェモジュールに好適に
使用されるペルチェ素子材料の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ペルチェ効果を利用した温度制御装置で
あるペルチェモジュールに使用されるペルチェ素子材料
としては、P型のTe(テルル)−Sb(アンチモン)−B
i(ビスマス)系化合物およびN型のTe(テルル)−Bi
(ビスマス)−Se(セレン)系化合物が知られている。こ
れらのペルチェ素子材料の製造方法には、大別すると、
熔製法と焼結法がある。
【0003】熔製法は、熔融した原材料を攪拌した後、
凝固させるものであり、得られた材料は、単結晶あるい
は単結晶状で一般に強度が低く、理論的に性能指数(Z)
=3.4x10―3/Kという限界値を示すことが欠点
とされている。一方、焼結法としては、例えば、特開平
9−121063号公報に開示されているように、原料
インゴットを粉砕して固体粉末を作成し、得られた固体
粉末を整粒した後で焼結するものや、特開平8−111
546号公報に開示されているように、超急冷凝固によ
り微細な組織を有する、あるいはアモルファス状の粉末
を作成し、ホットプレス等で焼結するものがあるが、焼
結法で製造された材料は、一般に強度は高いものの製造
時に酸素に触れることによる酸化や、酸素の固溶に起因
する熱電特性の劣化が欠点とされている。
【0004】焼結法における上記した欠点を改善するた
めに、1)粉末作成から焼結までの全工程を無酸素の真
空あるいは不活性ガス雰囲気中で行ったり、2)粉末作
成後、水素ガス中で加熱して還元したり、3)粉末作成
後にプラズマ処理を実施して、粉末表面の酸化物層を破
壊したり、4)原材料よりも酸素親和力の強いLa(ラ
ンタン)のような金属元素粉末を混合して焼結する等の
方法が提案されている。
【0005】しかしながら、1)のような方法を採用す
る場合は、全工程で雰囲気を管理しながら、粉末作成設
備から焼結設備へと粉末を移動させなければならないた
め、製造設備が大型化するとともに、それにかかる費用
の増大が問題となる。2)の方法を採用する場合は、可
燃性のガスを加熱するという危険性を伴うため、安全対
策を厳重にしなければならず、処理後の粉末を空気に曝
すことなく焼結装置に移動させるための設備も必要とな
る。3)の方法を採用する場合は、プラズマ処理によっ
て表面の酸化物は除去されるが、内部に固溶した酸素の
除去は困難であるという問題がある。
【0006】また、4)の方法を採用する場合は、焼結
工程と同時に還元処理を行えるという長所があるが、添
加した金属元素粉末の量が多い場合は、焼結体の内部に
当該金属元素が残留する恐れがある。添加量が充分でな
い場合は、所望の還元処理を達成できないことは言うま
でもない。また、混合した金属が酸素と化合して生成す
る酸化物が固体である場合、焼結体内部に酸化物が分散
し、熱電特性を損ねる可能性がある。一方、生成する酸
化物が気体である場合、焼結体内部に空隙が発生し、ペ
ルチェ素子材料の強度低下を招来する恐れがある。
【0007】さらに、焼結法では、焼結時に結晶方位の
最適化を図ることが困難であるため、焼結したままの状
態では十分な性能指数を得ることが難しいという問題も
ある。そこで、焼結体に塑性加工を施して結晶方位を最
適化し、性能の改善を図ることも提案されているが、組
織を微細化するために焼結法が採用されているため、酸
素の影響は避けられない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の熔
製法や焼結法では、含有酸素量を低く抑えるとともに、
組織の微細化を図ることによって、強度と熱電性能に優
れたペルチェ素子材料を製造することが困難であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明の目的
は、粉末状態を経ないことで含有酸素量を低減するとと
もに、塑性加工によりペルチェ素子材料鋳塊に高い密度
で転位を導入し、アモルファス状態にして強度の改善を
達成するペルチェ素子材料の製造方法を提供することに
あり、さらには、得られたアモルファス状態の鋳塊に低
温、短時間の熱処理を施して結晶方位の揃った微細な組
織に結晶化させるペルチェ素子材料の製造方法を提供す
ることにある。
【0010】すなわち、本発明の請求項1にかかるペル
チェ素子材料の製造方法は、Te−Sb−Bi系化合物
およびTe−Bi−Se系化合物のいずれかでなるペル
チェ素子材料鋳塊を作成する工程と、前記鋳塊に塑性加
工を施すことにより1x10 13/cm3もしくはそれ以
上の密度で転位を導入し、鋳塊をアモルファス状態にす
る工程とを具備することを特徴とする。
【0011】請求項2にかかる発明は、請求項1に記載
のペルチェ素子材料の製造方法において、塑性加工を施
す方法が、押出し、圧延および剪断押出しを含むことを
特徴とする。
【0012】請求項3にかかる発明は、請求項1に記載
のペルチェ素子材料の製造方法において、塑性加工が、
ECAP(Equal-Channel Angular Pressing)法により実
施されることを特徴とする。ECAP法によれば、後述
するように、被加工物である鋳塊のサイズを変えずに塑
性加工を施すことができ、小さな鋳塊であっても加工が
可能である。
【0013】請求項4にかかる発明は、請求項2もしく
は3に記載のペルチェ素子材料の製造方法において、塑
性加工を施す温度が、200℃あるいはそれ以下である
ことを特徴とする。
【0014】請求項5にかかる発明は、請求項4に記載
のペルチェ素子材料の製造方法において、塑性加工が、
複数回繰り返して実施され、1回の塑性加工における加
熱時間が5分もしくはそれ以下であることを特徴とす
る。
【0015】本発明のさらなる好ましい形態として、請
求項6にかかる発明は、請求項1乃至5に記載のペルチ
ェ素子材料の製造方法において、アモルファス状態にし
た鋳塊に熱処理を施してアモルファスを結晶化させ、微
細組織を得る工程を含むことを特徴とする。
【0016】請求項7にかかる発明は、請求項6に記載
のペルチェ素子材料の製造方法において、熱処理におけ
る加熱温度が、250〜350℃の範囲内であることを
特徴とする。
【0017】請求項8にかかる発明は、請求項7に記載
のペルチェ素子材料の製造方法において、熱処理におけ
る加熱時間が、1〜5分の範囲内であることを特徴とす
る。
【0018】以下に、本発明のペルチェ素子材料の製造
方法を詳細に説明する。本発明のペルチェ素子材料の製
造方法においては、まず、Te−Sb−Bi系化合物お
よびTe−Bi−Se系化合物のいずれかでなるペルチ
ェ素子材料鋳塊を作成する。P型のTe−Sb−Bi系
化合物の鋳塊は、例えば、Te:60at%,Sb:3
0at%,Bi:10at%組成となるように原料を秤
量し、これを攪拌しながら、加熱、熔融、冷却すること
により得ることができる。また、N型のTe−Bi−S
e系化合物の鋳塊は、例えば、Te:57at%,B
i:40at%,Se:3at%組成となるように原料
を秤量し、これを攪拌しながら、加熱、熔融、冷却する
ことにより得ることができる。
【0019】次に、得られたペルチェ素子材料鋳塊に塑
性加工を加えることにより1x10 13/cm3もしくは
それ以上の密度で転位を導入し、鋳塊をアモルファス状
態にする。塑性加工を施す方法としては、押出し、圧
延、剪断押出し、あるいはECAP(Equal-Channel Ang
ular Pressing)法を採用することが好ましく、特にEC
AP法の採用が好ましい。
【0020】以下に、ECAP法について簡単に説明す
る。ECAP法は、金属材料等の被加工物に非常に強い
せん断変形を加えて、材料の結晶粒を微細化させる一種
のせん断押出し加工方法である。例えば、図1に示すよ
うに、押出し前の断面形状と押出し後の断面形状が同じ
形状であるL字型の金型1内に被加工物であるペルチェ
素子材料鋳塊3を配置した後、プランジャー2で矢印の
示す方向に加圧することでせん断押出し加工を施す。そ
して、同一金型の使用によりせん断押出し加工を所定回
数繰り返し、ペルチェ素子材料鋳塊3に非常に大きなせ
ん断変形を与えるのである。
【0021】ところで、図2に示される典型的な押出し
加工用金型1Aを使用する場合、押出し加工前のバルク
断面積が押出し加工後のバルク断面積よりも大きいた
め、1度の加工によってペルチェ素子材料鋳塊3に導入
されるせん断変形は非常に大きい。しかしながら、断面
積の減少により、同じ金型を用いての繰り返し加工は困
難である。
【0022】これに対して、図1(a)〜(c)に示すEC
AP加工用金型1を使用する場合は、押出し加工前のバ
ルク断面積が押出し加工後においても維持されるので、
同じ金型での繰り返し加工が可能であり、L字に曲がる
方向を一定にしておけば、繰り返し加工によって従来の
せん断加工に比して極めて強いせん断変形を被加工物に
付与することができる。また、加工前と加工後の形状が
基本的に変わらないので、大きな形状のものにも理論的
に応用可能である。このように、ECAP法は、形状お
よびサイズの変化無しに十分な転位密度を導入でき、鋳
塊のサイズに関係なく容易に強い塑性加工を施すことが
できるという長所がある。
【0023】次に、本発明のペルチェ素子材料の製造方
法における塑性加工の具体的な一例を示す。まず、φ2
0mmの円筒状にペルチェ素子材料鋳塊を機械加工した
後、図1に示すようなL字型をした金型にセットし、加
熱温度を150℃、1サイクルの加熱時間を3分として
押出し加工を実施し、この押出し加工を10回以上繰り
返すことによりECAP加工を施す。これにより、ペル
チェ素子材料鋳塊に1x1013/cm3以上の転位密度
を導入してアモルファス化されたペルチェ素子材料を得
ることができる。ここに、転位密度が1x1013/cm
3に満たなければ、転位論に基き、アモルファス化する
ことができない。尚、転位密度の上限は特に限定されな
いが、加工方法によって導入可能な転位密度を考慮すれ
ば、およそ1x1016/cm3程度の転位密度を上限と
することができる。
【0024】ペルチェ素子材料鋳塊に導入された転位密
度は、以下に述べるような手法により測定することがで
きる。すなわち、塑性加工を施したペルチェ素子材料鋳
塊を厚さ0.5mmにスライスした後に、厚さ0.1m
m以下になるまで機械研磨を施し、さらに電解研磨によ
り厚さ約2μmに加工してTEM(透過型電子顕微鏡)の
観察用試料とする。TEM観察試料の厚さを確認した
後、TEMにて10000倍で転位網を観察、写真撮影
し、さらに試料を10°チルさせて(傾けて)再度同じ場
所の転位網を観察、写真撮影する。このようにステレオ
化した2枚のTEM写真及び、観察試料の厚さから写真
上に1μmx1μmx2μmの空間を設定、その空間内
部にある転位をカウントし、その体積で割ることにより
転位密度を求めることができる。
【0025】尚、上記の転位密度の測定方法において
は、電解研磨によって厚さ約2μmに加工することとし
たが、厚さ数μm程度に加工すれば、TEM観察用試料
として使用可能である。また、TEMの倍率は1000
0倍以上であれば良く、転位密度が高い場合は、より高
倍率を用いることが好ましい。さらに、上記測定方法で
は、10°チルさせてTEM写真撮影を行う場合につい
て説明したが、ステレオ写真となれば良いので、10°
に限定されるものではない。
【0026】ペルチェ素子材料鋳塊に転位を導入するた
めの塑性加工を実施する温度は、200℃あるいはそれ
以下であることが好ましい。常温の冷間で塑性加工を実
施する場合は、ペルチェ素子材料の組成によっては、ク
ラック等の破壊が発生する恐れがある。一方、200℃
以上の高温で塑性加工が実施されると、転位の除去が起
こりはじめ、十分な転位密度の導入が困難になる。この
ような観点から、1x1013/cm3もしくはそれ以上
の密度で転位を導入するための塑性加工を100℃〜2
00℃の範囲で実施することが特に好ましい。
【0027】複数サイクルにより塑性加工をペルチェ素
子材料鋳塊に施す場合は、1サイクルの塑性加工におけ
る加熱時間を5分もしくはそれ以下とすることが好まし
い。例えば、1サイクルの加熱時間が5分を超えると、
上記と同様に、転位の除去が起こりはじめ十分な転位密
度の導入が困難になる。尚、加熱温度を200℃とした
場合でも、最低1分以上は加熱することが好ましい。
【0028】また、転位の導入によってアモルファス化
させたペルチェ素子材料鋳塊に熱処理を施してアモルフ
ァスを結晶化させ、微細組織を得ることができる。平均
結晶粒径10μm以下の微細で配向した組織が必要とさ
れる場合は、熱処理温度および熱処理時間をそれぞれ2
50℃〜350℃および1〜5分の範囲内とすることが
好ましい。熱処理温度が250℃に満たない場合や、熱
処理時間が1分に満たない場合は、結晶化が不充分にな
る。また、熱処理温度が350℃を超える場合や、熱処
理時間が5分を超える場合は、結晶粒の粗大化が始まっ
て微細な組織を得難くなる。尚、350℃という熱処理
温度や5分という熱処理時間の上限設定は、平均結晶粒
径10μm以下の微細で配向した組織を得る場合に好適
なのであって、より大きい平均粒径を有する結晶組織を
得るために上記熱処理条件の範囲外とすることももちろ
ん可能である。
【0029】本発明のペルチェ素子材料の製造方法によ
れば、Te−Sb−Bi系化合物およびTe−Bi−S
e系化合物でなるペルチェ素子材料鋳塊がその製造工程
中に粉末状態となることがないので酸素含有量を低く抑
えることができる。また、塑性加工により1x1013
cm3もしくはそれ以上の密度で転位を導入してアモル
ファス状態を形成、もしくは熱処理によりアモルファス
を結晶化して微細組織を形成することによって強度の改
善を達成することができる。結果的に、本発明のペルチ
ェ素子材料の製造方法は、熱電性能および強度特性に優
れたペルチェ素子材料を提供することができるのであ
る。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる好適な実施
例を以下に詳細に説明する。 [実施例1]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。これを、φ100mmの円筒形状に機械加工した
後、図2に示すような形状のせん断押出し金型1Aを使
用し、200℃、1サイクルの加熱時間を5分として押
出し加工を実施し、最終的に厚さ3mmまで塑性加工を
施した。塑性加工後のペルチェ素子材料鋳塊中の転位密
度を上記したTEM観察により測定した結果、およそ2
x1013/cm3であった。このようにして、アモルフ
ァス化したペルチェ素子材料を得た。
【0031】次いで、アモルファス化したペルチェ素子
材料を、窒素ガス雰囲気中、250℃で1分間熱処理
し、平均結晶粒径が約5μmの微細組織を得た。この熱
処理後のペルチェ素子材料の特性を評価した結果、表1
に示すように、酸素含有量:30質量ppm、熱起電
力:220μV/K、導電率:900S/cm、曲げ強
度:90MPa、性能指数:4.0x10-3/Kであっ
た。 [実施例2]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。これを、φ20mmの円筒形状に機械加工した後、
図1に示すようなL字型のせん断押出し金型1を使用
し、150℃、1サイクルの加熱時間を3分として押出
し加工し、この押出し加工を15回繰り返すことにより
ECAP加工を実施した。ECAP加工による塑性加工
後のペルチェ素子材料鋳塊中の転位密度を上記したTE
M観察により測定した結果、およそ2x1013/cm3
であった。このようにして、アモルファス化したペルチ
ェ素子材料を得た。
【0032】次いで、このアモルファス化したペルチェ
素子材料を、アルゴンガス雰囲気中、350℃で5分間
熱処理し、平均結晶粒径が約10μmの微細組織を得
た。この熱処理後のペルチェ素子材料の特性を評価した
結果、表1に示すように、酸素含有量:20質量pp
m、熱起電力:195μV/K、導電率:950S/c
m、曲げ強度:70MPa、性能指数:3.2x10-3
/Kであった。 [実施例3]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。これを、φ20mmの円筒形状に機械加工した後、
図1に示すようなL字型のせん断押出し金型1にセット
し、200℃、1サイクルの加熱時間を5分として押出
し加工し、この押出し加工を20回繰り返すことにより
ECAP加工を実施した。ECAP加工による塑性加工
後のペルチェ素子材料鋳塊中の転位密度を上記したTE
M観察により測定した結果、およそ1x1013/cm3
であった。このようにして、アモルファス化したペルチ
ェ素子材料を得た。
【0033】次いで、このアモルファス化したペルチェ
素子材料を、アルゴンガス雰囲気中、250℃で5分間
熱処理し、平均結晶粒径が約10μmの微細組織を得
た。この熱処理後のペルチェ素子材料の特性を評価した
結果、表1に示すように、酸素含有量:25質量pp
m、熱起電力:200μV/K、導電率:1000S/
cm、曲げ強度:70MPa、性能指数:3.4x10
-3/Kであった。 [実施例4]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。これを、φ20mmの円筒形状に機械加工した後、
図1に示すようなL字型のせん断押出し金型1にセット
し、180℃、1サイクルの加熱時間を3分として押出
し加工し、この押出し加工を20回繰り返すことにより
ECAP加工を実施した。ECAP加工による塑性加工
後のペルチェ素子材料鋳塊中の転位密度を上記したTE
M観察により測定した結果、およそ5x1013/cm3
であった。このようにして、アモルファス化したペルチ
ェ素子材料を得た。
【0034】次いで、このアモルファス化したペルチェ
素子材料を、アルゴンガス雰囲気中、300℃で1分間
熱処理し、平均結晶粒径が約2μmの微細組織を得た。
この熱処理後のペルチェ素子材料の特性を評価した結
果、表1に示すように、酸素含有量:20質量ppm、
熱起電力:195μV/K、導電率:1000S/c
m、曲げ強度:90MPa、性能指数:3.8x10-3
/Kであった。 [実施例5]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。これを、φ200mmの円筒形状に機械加工した
後、通常の押出し金型にセットし、200℃、1サイク
ルの加熱時間を5分として押出し加工し、最終的にφ5
mmまで塑性加工を施した。塑性加工後のペルチェ素子
材料鋳塊中の転位密度を上記したTEM観察により測定
した結果、およそ1x1013/cm3であった。このよ
うにして、アモルファス化したペルチェ素子材料を得
た。
【0035】次いで、このアモルファス化したペルチェ
素子材料を、窒素ガス雰囲気中、300℃で3分間熱処
理し、平均結晶粒径が約10μmの微細組織を得た。こ
の熱処理後のペルチェ素子材料の特性を評価した結果、
表1に示すように、酸素含有量:25質量ppm、熱起
電力:200μV/K、導電率:1000S/cm、曲
げ強度:70MPa、性能指数:3.5x10-3/Kで
あった。 [実施例6]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。これを、幅50mmx厚さ100mmの角柱状に機
械加工した後、圧延機にセットし、200℃、1サイク
ルの加熱時間を5分として押出し加工し、厚さ3mmま
で塑性加工を施した。塑性加工後のペルチェ素子材料鋳
塊中の転位密度を上記したTEM観察により測定した結
果、およそ1x1013/cm3であった。このようにし
て、アモルファス化したペルチェ素子材料を得た。
【0036】次いで、このアモルファス化したペルチェ
素子材料を、窒素ガス雰囲気中、300℃で1分間熱処
理し、平均結晶粒径が約10μmの微細組織を得た。こ
の熱処理後のペルチェ素子材料の特性を評価した結果、
表1に示すように、酸素含有量:30質量ppm、熱起
電力:220μV/K、導電率:800S/cm、曲げ
強度:80MPa、性能指数:3.3x10-3/Kであ
った。 [実施例7]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。これを、φ20mmの円筒形状に機械加工した後、
図1に示すようなL字型のせん断押出し金型1にセット
し、150℃、1サイクルの加熱時間を3分として押出
し加工し、この押出し加工を15回繰り返すことにより
ECAP加工を実施した。ECAP加工による塑性加工
後のペルチェ素子材料鋳塊中の転位密度を上記したTE
M観察により測定した結果、およそ2x1013/cm3
であった。このようにして、アモルファス化したペルチ
ェ素子材料を得た。
【0037】このアモルファス化したペルチェ素子材料
を評価した結果、表1に示すように、酸素含有量:20
質量ppm、熱起電力:190μV/K、導電率:90
0S/cm、曲げ強度:80MPa、性能指数:3.6
x10-3/Kであった。 [実施例8]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。これを、φ100mmの円筒形状に機械加工した
後、せん断押出し金型にセットし、200℃、1サイク
ルの加熱時間を5分として押出し加工し、厚さ3mmま
で塑性加工を施した。塑性加工後のペルチェ素子材料鋳
塊中の転位密度を上記したTEM観察により測定した結
果、およそ2x1013/cm3であった。このようにし
て、アモルファス化したペルチェ素子材料を得た。
【0038】このアモルファス化したペルチェ素子材料
の特性を評価した結果、表1に示すように、酸素含有
量:30質量ppm、熱起電力:220μV/K、導電
率:850S/cm、曲げ強度:80MPa、性能指
数:3.6x10-3/Kであった。 [実施例9]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。これを、φ20mmの円筒形状に機械加工した後、
図1に示すようなL字型のせん断押出し金型1にセット
し、150℃、1サイクルの加熱時間を3分として押出
し加工し、この押出し加工を20回繰り返すことにより
ECAP加工を実施した。ECAP加工により得られた
塑性加工品の転位密度を上記したTEM観察により測定
した結果、およそ2x1014/cm3であった。このよ
うにして、アモルファス化したペルチェ素子材料を得
た。
【0039】次いで、このアモルファス化したペルチェ
素子材料を、アルゴンガス雰囲気中、250℃で3分間
熱処理し、平均結晶粒径が約1μmの微細結晶組織を得
た。この熱処理後のペルチェ素子材料の特性を評価した
結果、表1に示すように、酸素含有量:20質量pp
m、熱起電力:200μV/K、導電率:900S/c
m、曲げ強度:100MPa、性能指数:3.8x10
-3/Kであった。 [実施例10]Te:60at%,Sb:31at%,B
i:9at%組成となるように原料を秤量し、これを攪
拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P型:
Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成した。
これを、φ20mmの円筒形状に機械加工した後、図1
に示すようなL字型のせん断押出し金型1にセットし、
150℃、1サイクルの加熱時間を3分として押出し加
工し、この押出し加工を20回繰り返すことによりEC
AP加工を実施した。ECAP加工により得られた塑性
加工品の転位密度を上記したTEM観察により測定した
結果、およそ2x1014/cm3であった。このように
して、アモルファス化したペルチェ素子材料を得た。
【0040】次いで、このアモルファス化したペルチェ
素子材料を、アルゴンガス雰囲気中、350℃で5分間
熱処理し、平均結晶粒径が約1μmの微細組織を得た。
この熱処理後のペルチェ素子材料の特性を評価した結
果、表1に示すように、酸素含有量:20質量ppm、
熱起電力:190μV/K、導電率:900S/cm、
曲げ強度:100MPa、性能指数:3.4x10-3
Kであった。 [実施例11]Te:57at%,Bi:40at%,S
e:3at%組成となるように原料を秤量し、さらにそ
の原料総量の0.15wt%のSbI3をドーパントと
して添加し、これらを攪拌しながら、加熱、熔融、冷却
することにより、N型:Te−Bi−Se系ペルチェ素
子材料鋳塊を作成した。これを、φ20mmの円筒形状
に機械加工した後、図1に示すようなL字型のせん断押
出し金型1にセットし、150℃、1サイクルの加熱時
間を3分として押出し加工し、この押出し加工を15回
繰り返すことによりECAP加工を実施した。ECAP
加工により得られた塑性加工品の転位密度を上記したT
EM観察により測定した結果、およそ2x1013/cm
3であった。このようにして、アモルファス化したペル
チェ素子材料を得た。
【0041】次いで、このアモルファス化したペルチェ
素子材料を、アルゴンガス雰囲気中、350℃で5分間
熱処理し、平均結晶粒径が約5μmの微細組織を得た。
この熱処理後のペルチェ素子材料の特性を評価した結
果、表1に示すように、酸素含有量:20質量ppm、
熱起電力:195μV/K、導電率:1100S/c
m、曲げ強度:80MPa、性能指数:3.6x10-3
/Kであった。 [実施例12]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。これを、φ20mmの円筒形状に機械加工した後、
図1に示すようなL字型のせん断押出し金型1にセット
し、150℃、1サイクルの加熱時間を3分として押出
し加工し、この押出し加工を15回繰り返すことにより
ECAP加工を実施した。ECAP加工により得られた
塑性加工品の転位密度を上記したTEM観察により測定
した結果、およそ2x1013/cm3であった。このよ
うにして、アモルファス化したペルチェ素子材料を得
た。
【0042】次いで、このアモルファス化したペルチェ
素子材料を、アルゴンガス雰囲気中、400℃で6分間
熱処理し、平均結晶粒径が約100μmの結晶組織を得
た。この熱処理後のペルチェ素子材料の特性を評価した
結果、表1に示すように、酸素含有量:20質量pp
m、熱起電力:200μV/K、導電率:900S/c
m、曲げ強度:40MPa、性能指数:2.7x10-3
/Kであった。 [実施例13]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。これを、φ20mmの円筒形状に機械加工した後、
図1に示すようなL字型のせん断押出し金型1にセット
し、150℃、1サイクルの加熱時間を3分として押出
し加工し、この押出し加工を15回繰り返すことにより
ECAP加工を実施した。ECAP加工により得られた
塑性加工品の転位密度を上記したTEM観察により測定
した結果、およそ2x1013/cm3であった。このよ
うにして、アモルファス化したペルチェ素子材料を得
た。
【0043】次いで、このアモルファス化したペルチェ
素子材料を、アルゴンガス雰囲気中、200℃で3分間
熱処理した。この場合は、依然としてアモルファス状態
が維持されていた。この熱処理後のペルチェ素子材料の
特性を評価した結果、表1に示すように、酸素含有量:
20質量ppm、熱起電力:200μV/K、導電率:
900S/cm、曲げ強度:80MPa、性能指数:
3.5x10-3/Kであった。 [比較例1]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、Te
−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成した。これ
を、φ20mmの円筒形状に機械加工した後、図1に示
すようなL字型をした金型1にセットし、150℃、1
サイクルの加熱時間を3分として押出し加工し、この押
出し加工を8回繰り返すことによりECAP加工を施し
た。ECAP加工により得られた塑性加工品の転位密度
を上記したTEM観察により測定した結果、およそ5x
1011/cm3の密度の転位しか導入されておらず、ア
モルファス化させることができなかった。 [比較例2]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、Te
−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成した。これ
を、φ20mmの円筒形状に機械加工した後、図1に示
すようなL字型をした金型1にセットし、250℃、1
サイクルの加熱時間を6分として押出し加工し、この押
出し加工を15回繰り返すことによりECAP加工を施
した。ECAP加工により得られた塑性加工品の転位密
度を上記したTEM観察により測定した結果、およそ2
x1010/cm 3の密度の転位しか導入されておらず、
アモルファス化させることができなかった。 [比較例3]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、Te
−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成した。これ
を、φ20mmの円筒形状に機械加工した後、図1に示
すようなL字型をした金型1にセットし、200℃、1
サイクルの加熱時間を6分として押出し加工し、この押
出し加工を15回繰り返すことによりECAP加工を施
した。ECAP加工により得られた塑性加工品の転位密
度を上記したTEM観察により測定した結果、およそ1
x1012/cm 3の密度の転位しか導入されておらず、
アモルファス化させることができなかった。 [比較例4]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、一方向凝固させて、結晶方
位を配向させたP型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子
材料粗大結晶鋳塊を作成した。この粗大結晶鋳塊でなる
ペルチェ素子材料を評価したところ、表1に示すよう
に、酸素含有量:20質量ppm、熱起電力:200μ
V/K、導電率:1000S/cm、曲げ強度:15M
Pa、性能指数:2.7x10-3/Kであった。 [比較例5]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。次に、回転ロール式急冷凝固装置を用いて、10x
10x20mmサイズに切断したこの鋳塊を、一端にφ
0.6mmの孔の開けられた石英ガラスノズルにセット
した。その石英ガラスノズルを高周波加熱装置にセット
して鋳塊を加熱熔融した後、Arガスフローされたボッ
クス内で周速10m/sで回転しているステンレスロー
ルとノズル先端の間隔が3mmになるまでノズルを降下
させ、0.2MPaのArガスによる加圧で噴出させ、
5mmx5mmx15μm(厚さ)の急冷凝固箔片を作成
し、箔片が飛散してくる方向にセットされたガイドによ
り黒鉛製の放電プラズマ焼結用ダイスに箔片を収集、充
填した。
【0044】この箔片が充填された黒鉛製ダイスを放電
プラズマ焼結装置にセットし、Arガス雰囲気に置換し
た後、350℃、60MPa、0.6ksで焼結し、ペ
ルチェ素子材料焼結体を得た。このペルチェ素子材料の
特性を評価した結果、表1に示すように、平均結晶粒
径:8μm、酸素含有量:300質量ppm、熱起電
力:230μV/K、導電率:450S/cm、曲げ強
度:50MPa、性能指数:2.5x10-3/Kであっ
た。 [比較例6]Te:60at%,Sb:30at%,B
i:10at%組成となるように原料を秤量し、これを
攪拌しながら、加熱、熔融、冷却することにより、P
型:Te−Sb−Bi系ペルチェ素子材料鋳塊を作成し
た。この鋳塊を、ジルコニア製ポットにジルコニアボー
ルと共に封入し、200時間、遊星ボールミルで粉砕
し、篩にて30μm以下の粉末を得た。この粉末を窒素
雰囲気中で黒鉛製ダイスに充填した後、放電プラズマ焼
結装置にセットし、Arガス雰囲気に置換した後、35
0℃、60MPa、0.6ksで焼結し、ペルチェ素子
材料焼結体を得た。
【0045】このペルチェ素子材料焼結体の特性を評価
した結果、表1に示すように、平均結晶粒径:15μ
m、酸素含有量:500質量ppm、熱起電力:250
μV/K、導電率:400S/cm、曲げ強度:50M
Pa、性能指数:2.4x10 -3/Kであった。
【0046】
【表1】
【0047】上記した実施例および比較例の結果より、
本発明のペルチェ素子材料の製造方法によれば、アモル
ファス状態のペルチェ素子材料を製造した場合(実施例
7、8、13)であっても、あるいはアモルファスを結
晶化させるために熱処理まで実施した場合であっても、
比較例4の一方向凝固法によって粗大結晶鋳塊を作成し
た場合と同程度の20〜30質量ppmの低酸素含有
量、190〜220μV/Kの熱起電力、800〜11
00S/cmの導電率を達成している。
【0048】また、粗大な結晶組織を形成するための熱
処理条件を採用した実施例12を除くその他の実施例に
おいては、従来の焼結法により作成した比較例5や6の
ペルチェ素子材料に比べ、1.4倍〜2倍の曲げ強度
と、約1.3〜1.6倍の性能指数が得られており、本
発明の製造方法がこれらの特性の改善にとって特に有効
であることがわかる。さらに、約100μmの粗大な結
晶組織を有する実施例12のペルチェ素子材料にあって
は、酸素含有量、熱起電力、導電率および性能指数に関
して、一方向凝固法によって作成した比較例4のペルチ
ェ素子材料とほぼ同等であり、強度に関しては2倍以上
の高い強度を得ている。
【0049】このように、本発明のペルチェ素子材料の
製造方法は、アモルファス状態もしくは10μm以下の
微細な多結晶組織としながらも、一方向凝固法によって
粗大結晶鋳塊を作成した場合と同程度の低含有酸素量に
抑えることができるとともに、焼結法で作成した場合と
比べても遥かに高い強度を提供することができ、さらに
は、一方向凝固法や焼結法によって作成した場合を上回
る性能指数を達成することができるものである。
【0050】上記のように、本発明を好適な実施例に基
づいて説明したが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものでなく、本発明の技術思想の範囲内において適宜
変更可能であることは言うまでもない。
【0051】
【発明の効果】上記実施例からも明らかなように、本発
明にかかるペルチェ素子材料の製造方法によれば、ペル
チェ素子材料の鋳塊を出発材料として使用するととも
に、工程中に粉末状態を経ないので、結果として得られ
るペルチェ素子材料の含有酸素量を低く抑えることがで
きる。さらに、ECAP法等によりペルチェ素子材料の
鋳塊に塑性加工を施し、1x1013/cm3もしくはそ
れ以上の密度で転位を導入することによって、ペルチェ
素子材料をアモルファス状態にして強度改善を図ること
ができる。また、アモルファス状態のペルチェ素子材料
に対して、適切な条件で熱処理を施すことでアモルファ
スを結晶化させ、結晶配向を有する微細な結晶組織でな
るペルチェ素子材料を得ることができる。
【0052】このように、本発明は、フロンを使用しな
い次世代の温度制御装置として期待されるペルチェモジ
ュールに好適なペルチェ素子材料の製造方法に関するも
のであり、酸素によって素子特性が悪影響を受けること
なく、フォノン散乱による低い熱伝導率を達成するとと
もに、高い強度と優れた熱電性能を有するペルチェ素子
材料を提供できる点で産業上の利用価値の高いものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本発明に基くペルチェ素子材料
鋳塊にECAP法によって塑性加工を施す工程を示す概
略断面図である。
【図2】本発明に基くペルチェ素子材料鋳塊にせん断押
出し加工によって塑性加工を施す工程を示す概略断面図
である。
【符号の説明】
1 ECAP法用のL字型金型 1A せん断押出し加工用のL字型金型 2 プランジャー 3 ペルチェ素子材料鋳塊

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Te−Sb−Bi系化合物およびTe−
    Bi−Se系化合物のいずれかでなるペルチェ素子材料
    鋳塊を作成する工程と、前記鋳塊に塑性加工を施すこと
    によって1x1013/cm3もしくはそれ以上の密度で
    転位を導入し、前記鋳塊をアモルファス状態にする工程
    とを具備することを特徴とするペルチェ素子材料の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 上記塑性加工を施す方法は、押出し、圧
    延および剪断押出しを含むことを特徴とする請求項1に
    記載のペルチェ素子材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記塑性加工は、ECAP(Equal-Chann
    el Angular Pressing)法により実施されることを特徴と
    する請求項1に記載のペルチェ素子材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記塑性加工を施す温度は、200℃あ
    るいはそれ以下であることを特徴とする請求項2もしく
    は3に記載のペルチェ素子材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記塑性加工は、複数回繰り返して実施
    され、1回の塑性加工における加熱時間が5分もしくは
    それ以下であることを特徴とする請求項4に記載のペル
    チェ素子材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記アモルファス状態にした鋳塊に熱処
    理を施してアモルファスを結晶化させ、微細組織を得る
    工程を含むことを特徴とする請求項1乃至5に記載のペ
    ルチェ素子材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記熱処理における加熱温度は、250
    〜350℃の範囲内であることを特徴とする請求項6に
    記載のペルチェ素子材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記熱処理における加熱時間は、1〜5
    分の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載のペ
    ルチェ素子材料の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100581049B1 (ko) * 2000-11-30 2006-05-16 야마하 가부시키가이샤 성능지수를 향상한 열전재료, 그 제조 방법 및 이를 이용한 펠티어모듈
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