JP2004235278A - 熱電材料及びその製造方法 - Google Patents
熱電材料及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004235278A JP2004235278A JP2003019572A JP2003019572A JP2004235278A JP 2004235278 A JP2004235278 A JP 2004235278A JP 2003019572 A JP2003019572 A JP 2003019572A JP 2003019572 A JP2003019572 A JP 2003019572A JP 2004235278 A JP2004235278 A JP 2004235278A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- foil
- thermoelectric material
- powder
- ribbon
- solidifying
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
Abstract
【課題】熱伝導率(κ)が低く、熱電性能指数(Z)が高い熱電材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Ge、Si、Sn、Ga及びPbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とからなる組成の原料を溶解及び凝固してインゴットとし、前記インゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末形状にし、更に前記薄帯又は箔状粉末を還元ガス雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で熱処理し、その後前記薄帯又は箔状粉末を固化成形して熱電材料とする。
【選択図】 図1
【解決手段】Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Ge、Si、Sn、Ga及びPbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とからなる組成の原料を溶解及び凝固してインゴットとし、前記インゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末形状にし、更に前記薄帯又は箔状粉末を還元ガス雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で熱処理し、その後前記薄帯又は箔状粉末を固化成形して熱電材料とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペルチェモジュール等の熱電素子を構成する熱電材料及びその製造方法に関し、特に熱伝導率が低く、熱電性能指数が高い熱電材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ペルチェ効果を利用した熱電素子を構成する熱電材料としては、Bi−Sb−Te−Se系化合物、Pb−Te系化合物及びSi−Ge化合物が使用されている。また、最大温度差(ΔTmax)を向上するために、ボロン系化合物及び遷移金属系化合物等も検討されている。
【0003】
前記熱電材料の性能は、熱電性能指数(Z)で表され、前記熱電性能指数(Z)は、下記の数式1で定義される。数式1において、αはゼーベック係数、κは熱伝導率、ρは比抵抗である。
【0004】
【数1】
【0005】
前記数式1に示すように、熱電性能指数(Z)が高い熱電材料を得るためには、熱伝導率(κ)及び比抵抗(ρ)が低い材料が好ましい。しかし、比抵抗(ρ)を低くした熱電材料は、大きな吸熱量を要する用途には向いているが、チューナブルレーザーの温度制御用ペルチェモジュールのような、低い吸熱量で大きな最大温度差(ΔTmax)を必要とする用途には適していない。そのため、このような用途には、熱導電率(κ)が低い熱電材料が求められている。
【0006】
前記熱伝導率(κ)を低くするため、Bi−Sb−Te−Se系化合物を1乃至5μmの気孔を有し、相対密度が90乃至98%の焼結体とする方法(例えば、特許文献1参照)、液体急冷法により作製された箔片粉末を固化する方法(例えば、特許文献2参照)、Bi、Sb、Ag、Pb、Ge、Cu、Sn、As、Se、Te、Fe、Mn、Co及びSiから少なくとも2種類以上を含む材料を揺動しながら冷却する方法(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−223013号公報 (第2−5頁)
【特許文献2】
特開2002−246660号公報 (第2−8頁、第1図)
【特許文献3】
特開2002−26405号公報 (第2−6頁、第1及び第4図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来法では、固化成形する際の焼結性に問題があり、目的とする特性は得られていないのが現状である。
【0009】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであって、熱伝導率(κ)が低く、熱電性能指数(Z)が高い熱電材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る熱電材料の製造方法は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Ge、Si、Sn、Ga及びPbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とからなる組成の原料を溶解及び凝固してインゴットを得る工程と、前記インゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末形状にする工程と、前記薄帯又は箔状粉末を還元ガス雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で熱処理する工程と、前記薄帯又は箔状粉末を固化成形する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素に加え、Ge、Si、Sn、Ga及びPbからなる群から選択された少なくとも1種の元素を添加することにより、Bi2Te3構造に対する格子歪が導入され、熱電材料の熱伝導率(κ)が低減する。また、液体急冷法により作製された薄帯又は箔状粉末は、結晶粒が微細化されているため、これらを使用することにより熱電材料の熱伝導率(κ)が低減する。更に、前記薄帯又は箔状粉末を固化成形する前に還元ガス雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより、熱電材料の比抵抗(ρ)が低減し、性能指数(Z)が向上する。
【0012】
前記固化成形する工程は、箔の厚さ方向と平行の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程であることが好ましい。
【0013】
又は、前記固化成形する工程は、箔の厚さ方向と平行の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程と、前記圧力を印加した面を拘束しながらこの拘束された面に垂直な方向に圧力を印加して据えこみ鍛造する工程と、を有することが好ましい。
【0014】
又は、前記固化成形する工程は、加圧軸と押出軸が一軸上にないダイスに前記薄帯又は箔状粉末を箔の厚さ方向に積層して投入し、加熱下で、加圧して前記薄帯又は箔状粉末を押し出すことによりせん断力を付与するものであることが好ましい。前記固化成形する工程の後、更に箔の厚さ方向と垂直の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程を行ってもよい。
【0015】
又は、前記固化成形する工程は、箔の厚さ方向と平行の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程と、押し棒により前記圧力を印加した面に垂直な方向に圧力を印加しながら前記押し棒を回転させる工程と、を有することが好ましい。
【0016】
本発明に係る熱電材料は、前記製造方法により製造されたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る熱電材料の製造方法について添付の図面を参照して、具体的に説明する。本発明の熱電材料は、例えば、以下のような工程で作製することができる。図1はその一例を示すフロー図である。本発明の熱電材料の製造方法は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Ge、Si、Sn、Ga及びPbからなる群から選択された少なくとも1種の元素からなる組成の原料を溶解及び凝固してインゴットにする。図2(a)乃至(c)はその工程を示す模式図である。先ず、原料の秤量を行う(ステップS1)。次に、図2(a)に示すように、S1で秤量した原料1をアンプル2に入れる。その後、アンプル2内を真空引きし、その内部が真空か、又は不活性ガスを導入した状態にし、図2(b)に示すように、アンプル2の口を封じきり、封入する(ステップS2)。次に、図2(c)に示すように、アンプル2をスタンド4により回転可能に支持された管状炉3内に入れ、600乃至700℃に加熱することにより原料1を溶解し、更に、管状炉3を揺動しながら原料の融液を撹拌する。その後、原料の融液を冷却して凝固させ、インゴットとする(ステップS3)。
【0018】
次に、前記インゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末形状にする。図3は、液体急冷法(単ロール法)により熱電材料の粉末を製造する方法を示す模式図である。S3で作製した原料インゴットを、先端にスリット又は複数の孔からなる射出口5が設けられた石英ノズル6に入れ、加熱し、溶湯7とする。その後、冷却ロール8を回転しながら、溶湯7をArガスにより加圧し、石英ノズル6の射出口5から供給する。溶湯7は冷却ロール8に接触して急冷され、冷却ロール8の回転により急冷薄帯9となって送り出される(ステップS4)。
【0019】
前記液体急冷法は、所定の組成を有するインゴット又は材料の混合物を高周波コイル中又はヒーター内に設置したノズル又は拑堝内で加熱して溶解し、この融液をノズル孔から高圧ガスによって噴出し、高速回転するロール又は高速回転板に衝突させることにより、105乃至106K/秒という超高速で冷却凝固を行う方法である。その代表的なプロセスとしては、単ロール法、双ロール法及びガスアトマイズ法等が挙げられる。前記液体急冷法を使用することにより、厚さ方向に低抵抗方位が極めて配向している薄帯又は箔状粉末形状が得られる。
【0020】
図3に示す単ロール法の場合、熱電材料の溶湯7が冷却ロール8の表面で冷却され、急冷薄帯9が形成する際、溶湯7は冷却ロール8の表面側の部分が先ず冷却され、その後順次冷却ロール8から離れる部分が冷却されていく。従って、ロール表面側が低温でそれから離れるに従って高温になる温度勾配が生じる。このため、結晶粒はロール方向から遠ざかる方向に成長し、この方向に長軸を有し、ロール表面に平行の方向に短軸dを有するアスペクト比の大きな結晶粒となる。急冷薄帯9中にはこのような厚さ方向と平行に長軸が有する結晶粒が多数並ぶ。つまり、急冷薄帯9は、各結晶粒のC面がその厚さ方向に平行になっており、急冷薄帯9の厚さ方向はこの材料における低抵抗の方向となっている。また、この急冷時の溶湯7の温度を制御することにより、熱電材料の結晶方位を制御することができ、前記急冷箔帯9の厚さ方向と平行に六方晶のC面も整列する。
【0021】
図4は、急冷薄帯9における結晶粒の成長方向を示す模式図であり、図5はそれを加圧した場合の結晶方向を示す模式図である。冷却ロール8の表面には急冷薄帯9が形成され、その結晶は冷却ロール8の表面から遠ざかる方向(箔の厚さ方向)に成長するため、この方向に長軸Dを有し、冷却ロール8の表面に平行な方向に短軸dを有する結晶構造12が得られる。急冷薄帯9における結晶の形状及び配向は、長軸Dの方向とC面とが平行になっている。そこで、図5に示すように、急冷薄帯9に対し、長軸に平行の方向に応力を印加すると、六方晶であって、そのC面が押圧方向に平行の結晶構造15が得られる。
【0022】
次に、ステップS4で得られた急冷薄帯9を水素ガス等の還元ガス雰囲気中又はArガス等不活性ガス雰囲気中で熱処理(水素還元処理又はアニール処理:ステップS5)を行う。前記熱処理の条件は、例えば、温度が400℃で、時間が8時間である。図6(a)は熱処理前の急冷薄帯9の組織を示す断面図であり、図6(b)は熱処理後の急冷薄帯9の組織を示す断面図である。図6(a)に示すように、熱処理前、即ち急冷凝固状態の組織は、厚さ方向に延びる結晶粒17の他に、急冷薄帯9の表面に多量のチル晶18が存在している。これに対し、前記熱処理を施すことにより、図6(b)に示すように、チル晶18が消失する。また、熱処理により、急冷薄帯9中のTe原子及びSe原子が粒界拡散によりその表面に偏析するようになる。更に、前述した急冷時の温度制御により、図6(a)に示すように、急冷薄帯9の厚さ方向と平行に六方晶のC面も整列する。
【0023】
熱処理を施した薄帯又は箔状粉末は、急冷歪が緩和されるとともに、チル晶が配向している結晶層と融合し、消失する。この構造緩和により、焼結時の変形抵抗が低減されて結晶性が改善される。また、熱処理することによって、結晶内部で拡散速度が速いTe及びSeが薄帯又は箔状粉末表面に移動する。これにより、焼結性が向上し、箔界面の崩落がなくなり、電子の移動度が向上するため、比抵抗(ρ)の低減を図ることができる。
【0024】
次に、薄帯9を必要に応じて粉砕し、分級して粒度を揃え、箔状粉末とする。そして、適度な粒度範囲の箔状粉末を角柱状の型(図示せず)内に積層しながら挿入し、加熱した熱間で側面を拘束した状態で軸方向に圧力を印加して、ホットプレスする。前記箔状粉末をホットプレスすることにより、プレス方向(押圧方向)に長軸が揃い、押圧方向に直交する方向に短軸が揃った結晶組織を有する角柱状の固化成形体が得られる(ステップS6)。本実施例においては、前述のように、熱処理により急冷薄帯9の表面にTe原子及びSe原子が偏析しているので、これらの原子が互いに拡散し合いやすく、固化成形されやすい。その後、前記固化成形体(仮焼結体)に対して、押し棒によりホットプレス時に圧力を印加した面に垂直な方向に圧力を印加しながら、前記押し棒を回転させるHPT(High Pressure Torsion)法による加工(ステップS7a)又はホットプレス時に圧力を印加した面を拘束しながらこの拘束された面に垂直な方向に圧力を印加する据えこみ鍛造(ステップS7b)を行ってもよい。又は、前記ホットプレスを行わずに、加圧軸と押出軸が一軸上にないダイスに試料を投入し、加熱しながら圧力を印加して、前記試料を押出処理する側圧プレス(Equal−Channel Angular Pressing:以下、ECAPという)法による加工を行ってもよい(ステップS7c)。
【0025】
図7(a)は、ホットプレス後の薄帯又は箔状粉末の結晶状態を示す模式図であり、図7(b)は前記薄帯又は箔状粉末中の結晶の拡大図である。ホットプレス法により固化成形を行う際は、熱処理後の薄帯又は箔状粉末を厚さ方向に重ね合わせて型に入れ、加熱した熱間で側面を拘束した状態で、前記薄帯又は箔状粉末の厚みと平行な方向に圧力Pを印加する。それにより、図7に示すように、押圧方向に長軸が揃った結晶組織を有する固化成形体19が得られる。本発明は、固化成形する際に使用する原料が粉末ではなく、前記液体急冷法により得られた厚さ方向に低抵抗方位が極めて配向している薄帯又は箔状粉末形状であるため、それらを厚さ方向に重ね合わせ、更に厚さ方向に平行に押圧して固化成形を行うことにより、比抵抗が極めて配向した高性能材料が得られる。
【0026】
液体急冷法により製造した薄帯又は箔状粉末には歪み及び欠陥が導入されているため、前記薄帯又は箔状粉末を粉砕して、又は粉砕せずにホットプレス等によって固化形成した場合、結晶粒の粒成長が起こるか、又はこの歪み若しくは欠陥が核となって再結晶粒が析出してしまう。そのため、前記薄帯又は箔状粉末を固化成形する際は、前記急冷薄帯又は箔状粉末の厚さ方向と平行の方向に、即ち結晶粒の長軸と平行の方向に押圧し、固化成形時に生成する再結晶粒の長軸が押圧方向に揃うようにすることで、結晶粒の長軸方向に平行の方向に揃った結晶組織を有する固化成形体が得られる。
【0027】
図8(a)乃至(c)は、据え込み鍛造の各工程における結晶のミクロ組織を示す模式図であり、図8(d)は図8(c)における結晶構造を示す模式図であり、図8(e)は図8(d)を押圧方向から見た模式図である。据え込み鍛造を行う際は、先ず、図8(a)に示すように、固化形成体19を90゜回転させて、ホットプレスの押圧方向を水平方向とし、図8(b)に示すように、これを上下方向から金敷20とパンチとで挟み込み、圧力(P4)をかける。この時、ホットプレス時の押圧面(A面)を拘束する。その結果、図8(c)に示すように、各結晶粒はホットプレスの押圧方向と直交する方向に伸びて、しかも結晶の低抵抗方位の配向性が向上する。これは、図8(d)及び(e)に示すように、結晶構造が低抵抗方向に揃うためである。据え込み鍛造による固化成形は、前記薄帯又は箔状粉末を、厚さ方向に平行に押圧して成形した後、この仮焼結時と垂直の方向に加圧して変形展延する。これにより、比抵抗値の配向が付与されるため、高性能の熱電材料が得られる。更に、ホットプレス時の押圧面を変形しないように拘束し、それ以外の面方向に展延するように加工するため、結晶構造は展延方向に対し低抵抗方向に揃う。この際、拘束面は加工時に結晶面が揃う工程において配向の揺らぎを防ぐ重要な働きをする。
【0028】
また、低抵抗方向の配向を増加させて高性能熱電材料を得るためには、HPT法及びECAP法が有効である。前記HPT法及びECAP法は、強歪加工を行い、結晶粒径を微細化し、更に配向性を付与する方法である。図9(a)はHPT法加工を示す模式図であり、図9(b)はその圧力印加方向を示す模式図である。HPT法は、図9(a)に示すように、支持台21に設けられた型に試料27を投入し、押し棒22で試料27に圧力をかけながら、押し棒22を回転することにより、試料22にせん断歪を導入する方法で、結晶を微細化すると共に配向性を付与することができる。また、図9(b)に示すように、HPT法加工は、固化成形体19においてホットプレス時の圧力をP1とすると、前記P1に対して垂直の方向に圧力P2を印加する。その加工条件は、例えば、超硬ダイスを使用する場合、Arガス雰囲気中で、加熱温度が450℃、加重が7.84kN/cm2、回転数が0.2Hzである。それにより、例えば、直径が50mmで、高さが30mmの円柱等の形状を有する成形体が得られる。
【0029】
一方、図10(a)はECAP法を示す断面図であり、図10(b)はECAP法により作製した熱電材料の結晶構造を示す模式図である。ECAP法は図10(a)に示すように、加圧軸と押出軸が一軸上にないL字形状の通路26が形成されているダイス23に、液体急冷法により得られた薄帯又は箔状粉末を厚さ方向に積層し、加熱条件下で、押し棒24により加圧軸方向に圧力を印加して、押出軸方向に押し出すことにより、薄帯又は箔状粉末に側圧及びせん断力を付与する加工方法である。これにより、図10(b)に示すように、結晶構造を低抵抗方向に配向することができる。
【0030】
図11はECAP加工後の固化形成体をホットプレス加工している状態を模式的に示す断面図である。図11に示すように、ECAP法加工後の固化成形体を、更に、加圧軸と押出軸とがなす平面(B面)において、押出軸に直交する方向に圧力P5を印加しながら加熱することもできる(ステップS7d)。これにより、前記固化成形体中の加工歪がなくなり、密度が上昇するため、より低抵抗化することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明に係る熱電材料の実施例について、その特性を本発明の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
【0032】
本発明の第1実施例として、表1に示す組成に調合したインゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末とし、それらを水素雰囲気中で、400℃で10時間熱処理を行った。その後、箔の厚さ方向(C面)と平行に押圧するホットプレス法(仮焼結)により、一次固化成形し、前記一次成形体を90゜回転して据え込み鍛造した。その際、一次固化成形時の押圧面を拘束して展延した。前記一次固化成形におけるホットプレスの条件は、超硬ダイスを使用し、加重は4.9kN/cm2とし、Arガス雰囲気中で、P型は400℃で1時間、N型は450℃で1時間加熱した。また、据え込み鍛造の加工条件は、超硬ダイスを使用し、Arガス雰囲気中で、加重は7.84kN/cm2とし、400℃で5時間加熱した。その際の圧化率は85%で、試料の寸法は1辺が50mmの立方体とした。前記方法により作製した熱電材料及びその一次固化成形体の熱起電力(α)、比抵抗(ρ)、熱伝導率(κ)を測定し、それらの値から性能指数(Z)を求めた。その結果を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
表2に示すように、実施例3乃至6及び13乃至16は、4.20以上の高い性能指数(Z)を維持したまま、熱伝導率(κ)を1.00W/mK以下に下げることができ、高ΔTmaxの熱電モジュールに有効な材料物性を示す熱電材料が得られた。一方、Ge、Si、Sn、Ga及びPbのいずれも含まない比較例1、2、11及び12は、ほぼ同等の熱起電力(α)を有する実施例3及び5、4及び6、13及び15並びに14及び16と夫々対比すると、性能指数(Z)は4.20×10−3/K以上であるが、熱伝導率(κ)が高かった。
【0036】
次に、本発明の第2実施例として、表3に示す組成に調合したインゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末とし、それらを水素雰囲気中で、400℃で10時間熱処理を行った。その後、箔の厚さ方向に重なるように金型(ダイス)に積層し、ECAP法加工を行った。更に、ECAP加工後の成形体を、ホットプレスにより1軸加圧した。前記ECAP法の条件は、450℃で、押出速度が0.3mm/分とした。また、ECAP法加工後のホットプレス条件は、P型、N型共に荷重を9.8kN/cm2とし、420℃で60分とした。前記方法により作製した熱電材料のECAP加工後及びホットプレス後の固化成形体の熱起電力(α)、比抵抗(ρ)、熱伝導率(κ)を測定し、それらの値から性能指数(Z)を求めた。その結果を表4に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
表4に示すように、ECAP法により成形した実施例7乃至10及び17乃至20の熱電材料も、前記第1実施例同様、4.20×10−3/K以上の高い性能指数(z)を維持したまま、熱起電力(α)がほぼ同等で、Ge、Si、Sn、Ga及びPbのいずれも含まないものに比べて、熱伝導率(κ)を相対的に小さくすることができ、高ΔTmaxの熱電素子に有効な材料物性が得られた。
【0040】
また、本発明の第3実施例として、表5に示す組成に調合したインゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末とし、水素雰囲気下で400℃10時間熱処理を行った。その後、これらを箔の厚さ方向と平行に押圧するホットプレス法(仮焼結)によって、一次固化成形し、更に前記一次固化成形体を90゜回転し、HPT法により加工した。前記一次固化成形におけるホットプレス条件は、超硬ダイスを使用し、Arガス雰囲気中で、加重を4.9kN/cm2とし、P型が380℃で1時間、N型が450℃で1時間加熱した。また、HPT法加工の条件は、超硬ダイスを使用し、Arガス雰囲気中で、加熱温度が450℃、加重が7.84kN/cm2、回転数は0.2Hzとした。試料の形状は、直径が50mmで、高さが30mmの円柱とした。前記方法により作製した熱電材料のHPT加工後及び1軸加圧後の固化成形体の熱起電力(α)、比抵抗(ρ)、熱伝導率(κ)を測定し、それらの値から性能指数(Z)を求めた。その結果を表6に示す。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
表6に示すように、実施例21乃至25及び実施例28及び31は、4.20×10−3/K以上の高い性能指数(Z)を維持したまま、熱起電力(α)がほぼ同等で、Ge、Si、Sn、Ga及びPbのいずれも含まない比較例26及び27に比べて、熱伝導率(κ)を相対的に小さくすることができ、高ΔTmaxの熱電モジュールに有効な材料物性を示す熱電材料が得られた。
【0044】
更に、本発明の第4実施例として、表1の実施例3及び14に示す組成に調合したインゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末とし、それらを水素雰囲気中又はAr雰囲気中で、P型(実施例3)は400℃で10時間、N型(実施例14)は380℃で5時間熱処理を行った。その後、箔の厚さ方向(C面)と平行に押圧するホットプレス法(仮焼結)により一次固化成形し、更に前記一次固化成形体を90゜回転して据え込み鍛造した。その際、一次固化成形時の押圧面を拘束して展延した。前記一次固化成形におけるホットプレス条件は、超硬ダイスを使用し、Arガス雰囲気中で、P型が400℃で1時間、N型が450℃で1時間、共に加重は4.9kN/cm2とした。また、前記据え込み鍛造の条件は、超硬ダイスを使用し、Arガス雰囲気中で、荷重を7.84kN/cm2とし、400℃で5時間とした。その際の圧化率は85%であった。また、試料の寸法は、1辺が50mmの立方体とした。前記方法により作製した熱電材料及び熱処理を行わずに固化成形した熱電材料の熱起電力(α)、比抵抗(ρ)、熱伝導率(κ)を測定し、それらの値から性能指数(Z)を求めた。その結果を表7に示す。
【0045】
【表7】
【0046】
表7に示すように、P型及びN型ともに、固化成形前に水素又はArガス雰囲気中で熱処理を行うことにより、比抵抗(ρ)が低下し、それにより性能指数(Z)を向上することができた。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、歪導入元素としてGe、Si、Sn、Ga及びPbを添加することにより、Bi2Te3構造に対する格子歪が導入され、熱伝導率(κ)を大幅に低減することができる。また、液体急冷法で薄帯又は箔状粉末を作製することにより、結晶粒を微細化し、熱伝導率(κ)の値を低減することができる。更に、前記薄帯又は箔状粉末を、還元ガス雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより、比抵抗(ρ)を低減し、性能指数(Z)を向上することができる。
【0048】
本発明の熱電材料を使用して、熱電素子を作製すると、最大温度差(ΔTmax)を大きくとることができるため、チェーナブルレーザーのように、温度差を大きくつけて、多くの波長を利用する通信機器用デバイスに大きな効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法をその工程順に示すフロー図である。
【図2】原料をインゴットにするための工程を示す模式図である。
【図3】液体急冷法により、薄帯又は箔状粉末を製造する方法を示す模式図である。
【図4】液体急冷法により作製した薄帯又は箔状粉末の結晶粒の成長方向を示す模式図である。
【図5】液体急冷法により作製した薄帯を加熱した場合の結晶方向を示す模式図である。
【図6】(a)は熱処理前の急冷薄帯の組織を示す断面図であり、(b)はその熱処理後の断面図である。
【図7】(a)は、ホットプレス後の薄帯又は箔状粉末の結晶状態を示す模式図であり、(b)は薄帯又は箔状粉末中の結晶の拡大図である。
【図8】(a)乃至(c)は据え込み鍛造の各工程における結晶のミクロ組織を示す模式図であり、(d)は(c)における結晶構造を示す模式図であり、(e)は(d)を押圧方向から見た模式図である。
【図9】図9(a)はHPT法加工を示す模式図であり、図9(b)はその圧力印加方向を示す模式図である。
【図10】(a)はECAP法を示す断面図であり、(b)はそれにより作製した固化成形体の結晶構造を示す模式図である。
【図11】ECAP加工後の固化成形体をホットプレス加工している状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1;原料 2;アンプル管 3;管状炉 4;スタンド 5;射出口 6;石英ノズル 7;溶湯 8;冷却ロール 9;急冷薄帯 12、15;結晶構造 17;結晶粒 18;チル晶 19、30;固化成形体 20;金敷 21;支持台 22、24;押し棒 23、28;ダイス 25;薄帯又は箔状粉末 26;L字形状通路 27;試料 29;パンチ 31;加圧軸 32;押出軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペルチェモジュール等の熱電素子を構成する熱電材料及びその製造方法に関し、特に熱伝導率が低く、熱電性能指数が高い熱電材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ペルチェ効果を利用した熱電素子を構成する熱電材料としては、Bi−Sb−Te−Se系化合物、Pb−Te系化合物及びSi−Ge化合物が使用されている。また、最大温度差(ΔTmax)を向上するために、ボロン系化合物及び遷移金属系化合物等も検討されている。
【0003】
前記熱電材料の性能は、熱電性能指数(Z)で表され、前記熱電性能指数(Z)は、下記の数式1で定義される。数式1において、αはゼーベック係数、κは熱伝導率、ρは比抵抗である。
【0004】
【数1】
【0005】
前記数式1に示すように、熱電性能指数(Z)が高い熱電材料を得るためには、熱伝導率(κ)及び比抵抗(ρ)が低い材料が好ましい。しかし、比抵抗(ρ)を低くした熱電材料は、大きな吸熱量を要する用途には向いているが、チューナブルレーザーの温度制御用ペルチェモジュールのような、低い吸熱量で大きな最大温度差(ΔTmax)を必要とする用途には適していない。そのため、このような用途には、熱導電率(κ)が低い熱電材料が求められている。
【0006】
前記熱伝導率(κ)を低くするため、Bi−Sb−Te−Se系化合物を1乃至5μmの気孔を有し、相対密度が90乃至98%の焼結体とする方法(例えば、特許文献1参照)、液体急冷法により作製された箔片粉末を固化する方法(例えば、特許文献2参照)、Bi、Sb、Ag、Pb、Ge、Cu、Sn、As、Se、Te、Fe、Mn、Co及びSiから少なくとも2種類以上を含む材料を揺動しながら冷却する方法(例えば、特許文献3参照)等が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−223013号公報 (第2−5頁)
【特許文献2】
特開2002−246660号公報 (第2−8頁、第1図)
【特許文献3】
特開2002−26405号公報 (第2−6頁、第1及び第4図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来法では、固化成形する際の焼結性に問題があり、目的とする特性は得られていないのが現状である。
【0009】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであって、熱伝導率(κ)が低く、熱電性能指数(Z)が高い熱電材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る熱電材料の製造方法は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Ge、Si、Sn、Ga及びPbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とからなる組成の原料を溶解及び凝固してインゴットを得る工程と、前記インゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末形状にする工程と、前記薄帯又は箔状粉末を還元ガス雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で熱処理する工程と、前記薄帯又は箔状粉末を固化成形する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素に加え、Ge、Si、Sn、Ga及びPbからなる群から選択された少なくとも1種の元素を添加することにより、Bi2Te3構造に対する格子歪が導入され、熱電材料の熱伝導率(κ)が低減する。また、液体急冷法により作製された薄帯又は箔状粉末は、結晶粒が微細化されているため、これらを使用することにより熱電材料の熱伝導率(κ)が低減する。更に、前記薄帯又は箔状粉末を固化成形する前に還元ガス雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより、熱電材料の比抵抗(ρ)が低減し、性能指数(Z)が向上する。
【0012】
前記固化成形する工程は、箔の厚さ方向と平行の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程であることが好ましい。
【0013】
又は、前記固化成形する工程は、箔の厚さ方向と平行の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程と、前記圧力を印加した面を拘束しながらこの拘束された面に垂直な方向に圧力を印加して据えこみ鍛造する工程と、を有することが好ましい。
【0014】
又は、前記固化成形する工程は、加圧軸と押出軸が一軸上にないダイスに前記薄帯又は箔状粉末を箔の厚さ方向に積層して投入し、加熱下で、加圧して前記薄帯又は箔状粉末を押し出すことによりせん断力を付与するものであることが好ましい。前記固化成形する工程の後、更に箔の厚さ方向と垂直の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程を行ってもよい。
【0015】
又は、前記固化成形する工程は、箔の厚さ方向と平行の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程と、押し棒により前記圧力を印加した面に垂直な方向に圧力を印加しながら前記押し棒を回転させる工程と、を有することが好ましい。
【0016】
本発明に係る熱電材料は、前記製造方法により製造されたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る熱電材料の製造方法について添付の図面を参照して、具体的に説明する。本発明の熱電材料は、例えば、以下のような工程で作製することができる。図1はその一例を示すフロー図である。本発明の熱電材料の製造方法は、Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Ge、Si、Sn、Ga及びPbからなる群から選択された少なくとも1種の元素からなる組成の原料を溶解及び凝固してインゴットにする。図2(a)乃至(c)はその工程を示す模式図である。先ず、原料の秤量を行う(ステップS1)。次に、図2(a)に示すように、S1で秤量した原料1をアンプル2に入れる。その後、アンプル2内を真空引きし、その内部が真空か、又は不活性ガスを導入した状態にし、図2(b)に示すように、アンプル2の口を封じきり、封入する(ステップS2)。次に、図2(c)に示すように、アンプル2をスタンド4により回転可能に支持された管状炉3内に入れ、600乃至700℃に加熱することにより原料1を溶解し、更に、管状炉3を揺動しながら原料の融液を撹拌する。その後、原料の融液を冷却して凝固させ、インゴットとする(ステップS3)。
【0018】
次に、前記インゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末形状にする。図3は、液体急冷法(単ロール法)により熱電材料の粉末を製造する方法を示す模式図である。S3で作製した原料インゴットを、先端にスリット又は複数の孔からなる射出口5が設けられた石英ノズル6に入れ、加熱し、溶湯7とする。その後、冷却ロール8を回転しながら、溶湯7をArガスにより加圧し、石英ノズル6の射出口5から供給する。溶湯7は冷却ロール8に接触して急冷され、冷却ロール8の回転により急冷薄帯9となって送り出される(ステップS4)。
【0019】
前記液体急冷法は、所定の組成を有するインゴット又は材料の混合物を高周波コイル中又はヒーター内に設置したノズル又は拑堝内で加熱して溶解し、この融液をノズル孔から高圧ガスによって噴出し、高速回転するロール又は高速回転板に衝突させることにより、105乃至106K/秒という超高速で冷却凝固を行う方法である。その代表的なプロセスとしては、単ロール法、双ロール法及びガスアトマイズ法等が挙げられる。前記液体急冷法を使用することにより、厚さ方向に低抵抗方位が極めて配向している薄帯又は箔状粉末形状が得られる。
【0020】
図3に示す単ロール法の場合、熱電材料の溶湯7が冷却ロール8の表面で冷却され、急冷薄帯9が形成する際、溶湯7は冷却ロール8の表面側の部分が先ず冷却され、その後順次冷却ロール8から離れる部分が冷却されていく。従って、ロール表面側が低温でそれから離れるに従って高温になる温度勾配が生じる。このため、結晶粒はロール方向から遠ざかる方向に成長し、この方向に長軸を有し、ロール表面に平行の方向に短軸dを有するアスペクト比の大きな結晶粒となる。急冷薄帯9中にはこのような厚さ方向と平行に長軸が有する結晶粒が多数並ぶ。つまり、急冷薄帯9は、各結晶粒のC面がその厚さ方向に平行になっており、急冷薄帯9の厚さ方向はこの材料における低抵抗の方向となっている。また、この急冷時の溶湯7の温度を制御することにより、熱電材料の結晶方位を制御することができ、前記急冷箔帯9の厚さ方向と平行に六方晶のC面も整列する。
【0021】
図4は、急冷薄帯9における結晶粒の成長方向を示す模式図であり、図5はそれを加圧した場合の結晶方向を示す模式図である。冷却ロール8の表面には急冷薄帯9が形成され、その結晶は冷却ロール8の表面から遠ざかる方向(箔の厚さ方向)に成長するため、この方向に長軸Dを有し、冷却ロール8の表面に平行な方向に短軸dを有する結晶構造12が得られる。急冷薄帯9における結晶の形状及び配向は、長軸Dの方向とC面とが平行になっている。そこで、図5に示すように、急冷薄帯9に対し、長軸に平行の方向に応力を印加すると、六方晶であって、そのC面が押圧方向に平行の結晶構造15が得られる。
【0022】
次に、ステップS4で得られた急冷薄帯9を水素ガス等の還元ガス雰囲気中又はArガス等不活性ガス雰囲気中で熱処理(水素還元処理又はアニール処理:ステップS5)を行う。前記熱処理の条件は、例えば、温度が400℃で、時間が8時間である。図6(a)は熱処理前の急冷薄帯9の組織を示す断面図であり、図6(b)は熱処理後の急冷薄帯9の組織を示す断面図である。図6(a)に示すように、熱処理前、即ち急冷凝固状態の組織は、厚さ方向に延びる結晶粒17の他に、急冷薄帯9の表面に多量のチル晶18が存在している。これに対し、前記熱処理を施すことにより、図6(b)に示すように、チル晶18が消失する。また、熱処理により、急冷薄帯9中のTe原子及びSe原子が粒界拡散によりその表面に偏析するようになる。更に、前述した急冷時の温度制御により、図6(a)に示すように、急冷薄帯9の厚さ方向と平行に六方晶のC面も整列する。
【0023】
熱処理を施した薄帯又は箔状粉末は、急冷歪が緩和されるとともに、チル晶が配向している結晶層と融合し、消失する。この構造緩和により、焼結時の変形抵抗が低減されて結晶性が改善される。また、熱処理することによって、結晶内部で拡散速度が速いTe及びSeが薄帯又は箔状粉末表面に移動する。これにより、焼結性が向上し、箔界面の崩落がなくなり、電子の移動度が向上するため、比抵抗(ρ)の低減を図ることができる。
【0024】
次に、薄帯9を必要に応じて粉砕し、分級して粒度を揃え、箔状粉末とする。そして、適度な粒度範囲の箔状粉末を角柱状の型(図示せず)内に積層しながら挿入し、加熱した熱間で側面を拘束した状態で軸方向に圧力を印加して、ホットプレスする。前記箔状粉末をホットプレスすることにより、プレス方向(押圧方向)に長軸が揃い、押圧方向に直交する方向に短軸が揃った結晶組織を有する角柱状の固化成形体が得られる(ステップS6)。本実施例においては、前述のように、熱処理により急冷薄帯9の表面にTe原子及びSe原子が偏析しているので、これらの原子が互いに拡散し合いやすく、固化成形されやすい。その後、前記固化成形体(仮焼結体)に対して、押し棒によりホットプレス時に圧力を印加した面に垂直な方向に圧力を印加しながら、前記押し棒を回転させるHPT(High Pressure Torsion)法による加工(ステップS7a)又はホットプレス時に圧力を印加した面を拘束しながらこの拘束された面に垂直な方向に圧力を印加する据えこみ鍛造(ステップS7b)を行ってもよい。又は、前記ホットプレスを行わずに、加圧軸と押出軸が一軸上にないダイスに試料を投入し、加熱しながら圧力を印加して、前記試料を押出処理する側圧プレス(Equal−Channel Angular Pressing:以下、ECAPという)法による加工を行ってもよい(ステップS7c)。
【0025】
図7(a)は、ホットプレス後の薄帯又は箔状粉末の結晶状態を示す模式図であり、図7(b)は前記薄帯又は箔状粉末中の結晶の拡大図である。ホットプレス法により固化成形を行う際は、熱処理後の薄帯又は箔状粉末を厚さ方向に重ね合わせて型に入れ、加熱した熱間で側面を拘束した状態で、前記薄帯又は箔状粉末の厚みと平行な方向に圧力Pを印加する。それにより、図7に示すように、押圧方向に長軸が揃った結晶組織を有する固化成形体19が得られる。本発明は、固化成形する際に使用する原料が粉末ではなく、前記液体急冷法により得られた厚さ方向に低抵抗方位が極めて配向している薄帯又は箔状粉末形状であるため、それらを厚さ方向に重ね合わせ、更に厚さ方向に平行に押圧して固化成形を行うことにより、比抵抗が極めて配向した高性能材料が得られる。
【0026】
液体急冷法により製造した薄帯又は箔状粉末には歪み及び欠陥が導入されているため、前記薄帯又は箔状粉末を粉砕して、又は粉砕せずにホットプレス等によって固化形成した場合、結晶粒の粒成長が起こるか、又はこの歪み若しくは欠陥が核となって再結晶粒が析出してしまう。そのため、前記薄帯又は箔状粉末を固化成形する際は、前記急冷薄帯又は箔状粉末の厚さ方向と平行の方向に、即ち結晶粒の長軸と平行の方向に押圧し、固化成形時に生成する再結晶粒の長軸が押圧方向に揃うようにすることで、結晶粒の長軸方向に平行の方向に揃った結晶組織を有する固化成形体が得られる。
【0027】
図8(a)乃至(c)は、据え込み鍛造の各工程における結晶のミクロ組織を示す模式図であり、図8(d)は図8(c)における結晶構造を示す模式図であり、図8(e)は図8(d)を押圧方向から見た模式図である。据え込み鍛造を行う際は、先ず、図8(a)に示すように、固化形成体19を90゜回転させて、ホットプレスの押圧方向を水平方向とし、図8(b)に示すように、これを上下方向から金敷20とパンチとで挟み込み、圧力(P4)をかける。この時、ホットプレス時の押圧面(A面)を拘束する。その結果、図8(c)に示すように、各結晶粒はホットプレスの押圧方向と直交する方向に伸びて、しかも結晶の低抵抗方位の配向性が向上する。これは、図8(d)及び(e)に示すように、結晶構造が低抵抗方向に揃うためである。据え込み鍛造による固化成形は、前記薄帯又は箔状粉末を、厚さ方向に平行に押圧して成形した後、この仮焼結時と垂直の方向に加圧して変形展延する。これにより、比抵抗値の配向が付与されるため、高性能の熱電材料が得られる。更に、ホットプレス時の押圧面を変形しないように拘束し、それ以外の面方向に展延するように加工するため、結晶構造は展延方向に対し低抵抗方向に揃う。この際、拘束面は加工時に結晶面が揃う工程において配向の揺らぎを防ぐ重要な働きをする。
【0028】
また、低抵抗方向の配向を増加させて高性能熱電材料を得るためには、HPT法及びECAP法が有効である。前記HPT法及びECAP法は、強歪加工を行い、結晶粒径を微細化し、更に配向性を付与する方法である。図9(a)はHPT法加工を示す模式図であり、図9(b)はその圧力印加方向を示す模式図である。HPT法は、図9(a)に示すように、支持台21に設けられた型に試料27を投入し、押し棒22で試料27に圧力をかけながら、押し棒22を回転することにより、試料22にせん断歪を導入する方法で、結晶を微細化すると共に配向性を付与することができる。また、図9(b)に示すように、HPT法加工は、固化成形体19においてホットプレス時の圧力をP1とすると、前記P1に対して垂直の方向に圧力P2を印加する。その加工条件は、例えば、超硬ダイスを使用する場合、Arガス雰囲気中で、加熱温度が450℃、加重が7.84kN/cm2、回転数が0.2Hzである。それにより、例えば、直径が50mmで、高さが30mmの円柱等の形状を有する成形体が得られる。
【0029】
一方、図10(a)はECAP法を示す断面図であり、図10(b)はECAP法により作製した熱電材料の結晶構造を示す模式図である。ECAP法は図10(a)に示すように、加圧軸と押出軸が一軸上にないL字形状の通路26が形成されているダイス23に、液体急冷法により得られた薄帯又は箔状粉末を厚さ方向に積層し、加熱条件下で、押し棒24により加圧軸方向に圧力を印加して、押出軸方向に押し出すことにより、薄帯又は箔状粉末に側圧及びせん断力を付与する加工方法である。これにより、図10(b)に示すように、結晶構造を低抵抗方向に配向することができる。
【0030】
図11はECAP加工後の固化形成体をホットプレス加工している状態を模式的に示す断面図である。図11に示すように、ECAP法加工後の固化成形体を、更に、加圧軸と押出軸とがなす平面(B面)において、押出軸に直交する方向に圧力P5を印加しながら加熱することもできる(ステップS7d)。これにより、前記固化成形体中の加工歪がなくなり、密度が上昇するため、より低抵抗化することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明に係る熱電材料の実施例について、その特性を本発明の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
【0032】
本発明の第1実施例として、表1に示す組成に調合したインゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末とし、それらを水素雰囲気中で、400℃で10時間熱処理を行った。その後、箔の厚さ方向(C面)と平行に押圧するホットプレス法(仮焼結)により、一次固化成形し、前記一次成形体を90゜回転して据え込み鍛造した。その際、一次固化成形時の押圧面を拘束して展延した。前記一次固化成形におけるホットプレスの条件は、超硬ダイスを使用し、加重は4.9kN/cm2とし、Arガス雰囲気中で、P型は400℃で1時間、N型は450℃で1時間加熱した。また、据え込み鍛造の加工条件は、超硬ダイスを使用し、Arガス雰囲気中で、加重は7.84kN/cm2とし、400℃で5時間加熱した。その際の圧化率は85%で、試料の寸法は1辺が50mmの立方体とした。前記方法により作製した熱電材料及びその一次固化成形体の熱起電力(α)、比抵抗(ρ)、熱伝導率(κ)を測定し、それらの値から性能指数(Z)を求めた。その結果を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
表2に示すように、実施例3乃至6及び13乃至16は、4.20以上の高い性能指数(Z)を維持したまま、熱伝導率(κ)を1.00W/mK以下に下げることができ、高ΔTmaxの熱電モジュールに有効な材料物性を示す熱電材料が得られた。一方、Ge、Si、Sn、Ga及びPbのいずれも含まない比較例1、2、11及び12は、ほぼ同等の熱起電力(α)を有する実施例3及び5、4及び6、13及び15並びに14及び16と夫々対比すると、性能指数(Z)は4.20×10−3/K以上であるが、熱伝導率(κ)が高かった。
【0036】
次に、本発明の第2実施例として、表3に示す組成に調合したインゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末とし、それらを水素雰囲気中で、400℃で10時間熱処理を行った。その後、箔の厚さ方向に重なるように金型(ダイス)に積層し、ECAP法加工を行った。更に、ECAP加工後の成形体を、ホットプレスにより1軸加圧した。前記ECAP法の条件は、450℃で、押出速度が0.3mm/分とした。また、ECAP法加工後のホットプレス条件は、P型、N型共に荷重を9.8kN/cm2とし、420℃で60分とした。前記方法により作製した熱電材料のECAP加工後及びホットプレス後の固化成形体の熱起電力(α)、比抵抗(ρ)、熱伝導率(κ)を測定し、それらの値から性能指数(Z)を求めた。その結果を表4に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
表4に示すように、ECAP法により成形した実施例7乃至10及び17乃至20の熱電材料も、前記第1実施例同様、4.20×10−3/K以上の高い性能指数(z)を維持したまま、熱起電力(α)がほぼ同等で、Ge、Si、Sn、Ga及びPbのいずれも含まないものに比べて、熱伝導率(κ)を相対的に小さくすることができ、高ΔTmaxの熱電素子に有効な材料物性が得られた。
【0040】
また、本発明の第3実施例として、表5に示す組成に調合したインゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末とし、水素雰囲気下で400℃10時間熱処理を行った。その後、これらを箔の厚さ方向と平行に押圧するホットプレス法(仮焼結)によって、一次固化成形し、更に前記一次固化成形体を90゜回転し、HPT法により加工した。前記一次固化成形におけるホットプレス条件は、超硬ダイスを使用し、Arガス雰囲気中で、加重を4.9kN/cm2とし、P型が380℃で1時間、N型が450℃で1時間加熱した。また、HPT法加工の条件は、超硬ダイスを使用し、Arガス雰囲気中で、加熱温度が450℃、加重が7.84kN/cm2、回転数は0.2Hzとした。試料の形状は、直径が50mmで、高さが30mmの円柱とした。前記方法により作製した熱電材料のHPT加工後及び1軸加圧後の固化成形体の熱起電力(α)、比抵抗(ρ)、熱伝導率(κ)を測定し、それらの値から性能指数(Z)を求めた。その結果を表6に示す。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
表6に示すように、実施例21乃至25及び実施例28及び31は、4.20×10−3/K以上の高い性能指数(Z)を維持したまま、熱起電力(α)がほぼ同等で、Ge、Si、Sn、Ga及びPbのいずれも含まない比較例26及び27に比べて、熱伝導率(κ)を相対的に小さくすることができ、高ΔTmaxの熱電モジュールに有効な材料物性を示す熱電材料が得られた。
【0044】
更に、本発明の第4実施例として、表1の実施例3及び14に示す組成に調合したインゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末とし、それらを水素雰囲気中又はAr雰囲気中で、P型(実施例3)は400℃で10時間、N型(実施例14)は380℃で5時間熱処理を行った。その後、箔の厚さ方向(C面)と平行に押圧するホットプレス法(仮焼結)により一次固化成形し、更に前記一次固化成形体を90゜回転して据え込み鍛造した。その際、一次固化成形時の押圧面を拘束して展延した。前記一次固化成形におけるホットプレス条件は、超硬ダイスを使用し、Arガス雰囲気中で、P型が400℃で1時間、N型が450℃で1時間、共に加重は4.9kN/cm2とした。また、前記据え込み鍛造の条件は、超硬ダイスを使用し、Arガス雰囲気中で、荷重を7.84kN/cm2とし、400℃で5時間とした。その際の圧化率は85%であった。また、試料の寸法は、1辺が50mmの立方体とした。前記方法により作製した熱電材料及び熱処理を行わずに固化成形した熱電材料の熱起電力(α)、比抵抗(ρ)、熱伝導率(κ)を測定し、それらの値から性能指数(Z)を求めた。その結果を表7に示す。
【0045】
【表7】
【0046】
表7に示すように、P型及びN型ともに、固化成形前に水素又はArガス雰囲気中で熱処理を行うことにより、比抵抗(ρ)が低下し、それにより性能指数(Z)を向上することができた。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、歪導入元素としてGe、Si、Sn、Ga及びPbを添加することにより、Bi2Te3構造に対する格子歪が導入され、熱伝導率(κ)を大幅に低減することができる。また、液体急冷法で薄帯又は箔状粉末を作製することにより、結晶粒を微細化し、熱伝導率(κ)の値を低減することができる。更に、前記薄帯又は箔状粉末を、還元ガス雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で熱処理することにより、比抵抗(ρ)を低減し、性能指数(Z)を向上することができる。
【0048】
本発明の熱電材料を使用して、熱電素子を作製すると、最大温度差(ΔTmax)を大きくとることができるため、チェーナブルレーザーのように、温度差を大きくつけて、多くの波長を利用する通信機器用デバイスに大きな効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法をその工程順に示すフロー図である。
【図2】原料をインゴットにするための工程を示す模式図である。
【図3】液体急冷法により、薄帯又は箔状粉末を製造する方法を示す模式図である。
【図4】液体急冷法により作製した薄帯又は箔状粉末の結晶粒の成長方向を示す模式図である。
【図5】液体急冷法により作製した薄帯を加熱した場合の結晶方向を示す模式図である。
【図6】(a)は熱処理前の急冷薄帯の組織を示す断面図であり、(b)はその熱処理後の断面図である。
【図7】(a)は、ホットプレス後の薄帯又は箔状粉末の結晶状態を示す模式図であり、(b)は薄帯又は箔状粉末中の結晶の拡大図である。
【図8】(a)乃至(c)は据え込み鍛造の各工程における結晶のミクロ組織を示す模式図であり、(d)は(c)における結晶構造を示す模式図であり、(e)は(d)を押圧方向から見た模式図である。
【図9】図9(a)はHPT法加工を示す模式図であり、図9(b)はその圧力印加方向を示す模式図である。
【図10】(a)はECAP法を示す断面図であり、(b)はそれにより作製した固化成形体の結晶構造を示す模式図である。
【図11】ECAP加工後の固化成形体をホットプレス加工している状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1;原料 2;アンプル管 3;管状炉 4;スタンド 5;射出口 6;石英ノズル 7;溶湯 8;冷却ロール 9;急冷薄帯 12、15;結晶構造 17;結晶粒 18;チル晶 19、30;固化成形体 20;金敷 21;支持台 22、24;押し棒 23、28;ダイス 25;薄帯又は箔状粉末 26;L字形状通路 27;試料 29;パンチ 31;加圧軸 32;押出軸
Claims (7)
- Bi及びSbからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Te及びSeからなる群から選択された少なくとも1種の元素と、Ge、Si、Sn、Ga及びPbからなる群から選択された少なくとも1種の元素とからなる組成の原料を溶解及び凝固してインゴットを得る工程と、前記インゴットを液体急冷法により薄帯又は箔状粉末形状にする工程と、前記薄帯又は箔状粉末を還元ガス雰囲気中又は不活性ガス雰囲気中で熱処理する工程と、前記薄帯又は箔状粉末を固化成形する工程と、を有することを特徴とする熱電材料の製造方法。
- 前記固化成形する工程は、箔の厚さ方向と平行の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程であることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料の製造方法。
- 前記固化成形する工程は、箔の厚さ方向と平行の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程と、前記圧力を印加した面を拘束しながらこの拘束された面に垂直な方向に圧力を印加して据えこみ鍛造する工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の熱電材料の製造方法。
- 前記固化成形する工程は、加圧軸と押出軸が一軸上にないダイスに前記薄帯又は箔状粉末を箔の厚さ方向に積層して投入し、加熱下で、加圧して前記薄帯又は箔状粉末を押し出すことによりせん断力を付与するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱電材料の製造方法。
- 前記固化成形する工程の後、更に箔の厚さ方向と垂直の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程を行うことを特徴とする請求項4に記載の熱電材料の製造方法。
- 前記固化成形する工程は、箔の厚さ方向と平行の方向に圧力を印加しながら加熱してホットプレスする工程と、押し棒により前記圧力を印加した面に垂直な方向に圧力を印加しながら前記押し棒を回転させる工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の熱電材料の製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたことを特徴とする熱電材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003019572A JP2004235278A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 熱電材料及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003019572A JP2004235278A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 熱電材料及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004235278A true JP2004235278A (ja) | 2004-08-19 |
Family
ID=32949405
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003019572A Pending JP2004235278A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 熱電材料及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004235278A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007042963A (ja) * | 2005-08-05 | 2007-02-15 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | 熱電材料及びその製造方法 |
WO2008028852A2 (de) * | 2006-09-05 | 2008-03-13 | Basf Se | Dotierte bi-te-verbindungen für thermoelektrische generatoren und peltier-anordnungen |
JP2012109337A (ja) * | 2010-11-16 | 2012-06-07 | Yamaha Corp | 熱電材料の製造方法および熱電材料 |
JP2012204452A (ja) * | 2011-03-24 | 2012-10-22 | Komatsu Ltd | BiTe系多結晶熱電材料およびそれを用いた熱電モジュール |
KR101367719B1 (ko) | 2012-08-16 | 2014-02-26 | 국방과학연구소 | 삼원계 열전재료 및 그의 제조방법 |
CN115141018A (zh) * | 2022-07-15 | 2022-10-04 | 湖北赛格瑞新能源科技有限公司 | 一种利用累积热镦制备n型碲化铋基热电材料的方法 |
CN115491648A (zh) * | 2022-10-25 | 2022-12-20 | 吉林大学 | 在固溶体材料中兼具多级反射状态和低相变压力的性能调控方法 |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003019572A patent/JP2004235278A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007042963A (ja) * | 2005-08-05 | 2007-02-15 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | 熱電材料及びその製造方法 |
WO2008028852A2 (de) * | 2006-09-05 | 2008-03-13 | Basf Se | Dotierte bi-te-verbindungen für thermoelektrische generatoren und peltier-anordnungen |
WO2008028852A3 (de) * | 2006-09-05 | 2008-11-27 | Basf Se | Dotierte bi-te-verbindungen für thermoelektrische generatoren und peltier-anordnungen |
JP2012109337A (ja) * | 2010-11-16 | 2012-06-07 | Yamaha Corp | 熱電材料の製造方法および熱電材料 |
JP2012204452A (ja) * | 2011-03-24 | 2012-10-22 | Komatsu Ltd | BiTe系多結晶熱電材料およびそれを用いた熱電モジュール |
KR101367719B1 (ko) | 2012-08-16 | 2014-02-26 | 국방과학연구소 | 삼원계 열전재료 및 그의 제조방법 |
CN115141018A (zh) * | 2022-07-15 | 2022-10-04 | 湖北赛格瑞新能源科技有限公司 | 一种利用累积热镦制备n型碲化铋基热电材料的方法 |
CN115141018B (zh) * | 2022-07-15 | 2023-09-08 | 湖北赛格瑞新能源科技有限公司 | 一种利用累积热镦制备n型碲化铋基热电材料的方法 |
CN115491648A (zh) * | 2022-10-25 | 2022-12-20 | 吉林大学 | 在固溶体材料中兼具多级反射状态和低相变压力的性能调控方法 |
CN115491648B (zh) * | 2022-10-25 | 2023-11-17 | 吉林大学 | 在固溶体材料中兼具多级反射状态和低相变压力的性能调控方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8884152B2 (en) | Thermoelectric semiconductor material, thermoelectric semiconductor element using thermoelectric semiconductor material, thermoelectric module using thermoelectric semiconductor element and manufacturing method for same | |
JP3594008B2 (ja) | 熱電材料、その製造方法及びペルチェモジュール | |
US20060118161A1 (en) | Thermoelectric material having crystal grains well oriented in certain direction and process for producing the same | |
US6596226B1 (en) | Process for producing thermoelectric material and thermoelectric material thereof | |
WO2004049464A1 (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
JP3958857B2 (ja) | 熱電半導体材料の製造方法 | |
JP4479628B2 (ja) | 熱電材料及びその製造方法、並びに熱電モジュール | |
JP2004235278A (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
JP3305991B2 (ja) | 熱電半導体材料、その製造方法およびこれを用いた熱電モジュールおよび熱間鍛造方法 | |
EP0996174A1 (en) | Thermoelectric materials and thermoelectric conversion element | |
JP3979290B2 (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
JP3861804B2 (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
JP4200770B2 (ja) | 熱電材料インゴット、その製造方法及び熱電モジュールの製造方法 | |
JP2004335499A (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
JP2003037302A (ja) | 熱電材料の製造方法 | |
JP2002111086A (ja) | 熱電半導体材料、その製造方法およびこれを用いた熱電モジュールおよび熱間鍛造方法 | |
JP3509390B2 (ja) | 熱電素子チップ作製用形材の製造方法 | |
JP3572814B2 (ja) | 熱電冷却用材料の製造方法 | |
JP2002164584A (ja) | ペルチェ素子材料の製造方法 | |
JP2004363620A (ja) | 熱電材料、その製造方法及びペルチェモジュール | |
JP2004342893A (ja) | 熱電材料の作製方法 | |
JP2004146535A (ja) | 熱電材料及びその製造方法 | |
CA2316714A1 (en) | Process for producing thermoelectric material and thermoelectric material thereof | |
JP2004356272A (ja) | 熱電材料の作製方法 | |
Park et al. | Microstructure, Mechanical Properties, and Thermoelectric Properties of Hot-Extruded P-Type Te-Doped Bi0. 5Sb1. 5Te3 Compounds |