JP3958857B2 - 熱電半導体材料の製造方法 - Google Patents

熱電半導体材料の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電半導体材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ペルチェ効果、あるいはエッチングスハウゼン効果を利用した電子冷却素子、あるいはゼ―ベック効果を利用した熱電発電素子は、構造が簡単で、かつ取扱いが容易で安定な特性を維持できることから、広範囲にわたる利用が注目されている。特に電子冷却素子としては、局所冷却および室温付近の精密な温度制御が可能であることから、オプトエレクトロニクス、半導体レーザなどの恒温化などに向けて広く研究が進められている。
【0003】
この電子冷却および熱電発電に用いる熱電モジュールは、図12に示すようにp型半導体5とn型半導体6とを金属電極7を介して接合してpn素子対を形成し、このpn素子対を複数個直列に配列し、接合部を流れる電流の方向によって一方の端部が発熱せしめられると共に他方の端部が冷却せしめられるように構成されている。この熱電素子の材料には、その利用温度域で、物質固有の定数であるゼーベック係数αと比抵抗ρと熱伝導率Kによって表わされる性能指数Z(=α2/ρK)が大きな材料が用いられる。熱電半導体材料の多くはその結晶構造に起因した熱電性能の異方性をもつ、すなわち性能指数Zが結晶方位により異なる。そのため、単結晶材料では熱電性能の大きな結晶方位に通電し使用する。一般に異方性結晶は劈開性をもち材料強度が脆弱であるため、実用材としては単結晶は使用せず、ブリッジマン法などで一方向凝固させ熱電性能の大きな結晶方位に配向させた多結晶が使用される。しかしながら、多結晶材料も単結晶程ではないが材料強度が脆弱であり、素子加工時に素子の割れやかけが生じ易いという問題がある。これら結晶材料に対し、粉末焼結材料は劈開性がなく材料強度が飛躍的に向上するが、結晶方位の配向がランダムあるいは結晶配向性をもつものの緩やかな分布をもつために、熱電性能が結晶材料に比べ劣ってしまうという問題があった。このように十分な強度と性能をもち合わせた熱電半導体材料は従来存在しなかった。すなわち、電子冷却素子として一般に用いられる結晶材は、テルル化ビスマス(Bi2Te3)、テルル化アンチモン(Sb2Te3)およびセレン化ビスマス(Bi2Se3)の混晶系であるが、これら結晶は著しい劈開性を有しており、インゴットから熱電素子を得るためのスライシング、ダイシング工程等を経ると、割れや欠けの為に歩留りが極めて低くなるという問題があった。
【0004】
そこで、機械的強度の向上のために粉末焼結素子を形成する試みがなされている。このように結晶としてではなく、粉末焼結体として用いると劈開性の問題はなくなるが、先に述べたように配向性が低いためにその性能が劣る。すなわち、性能指数Zが小さいという問題があった。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、十分な強度と性能を具備し、製造歩留りの高い熱電半導体材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段(および作用効果)】
そこで、本発明では、所望の組成をもつように材料粉末を混合し、加熱溶融せしめる加熱工程と、菱面体構造(六方晶構造)を有する熱電半導体材料の固溶インゴットを形成する凝固工程と、前記固溶体インゴットを粉砕し固溶体粉末を形成する粉砕工程と、前記固溶体粉末の粒径を均一化する整粒工程と、粒径の均一となった前記固溶体粉末を加圧焼結せしめる焼結工程と、この粉末焼結体を熱間で塑性変形させ、展延することで、粉末焼結組織の結晶粒が性能指数の優れた結晶方位に配向せしめる熱間すえこみ鍛造工程とを含むことを、前提とする。
【0006】
本発明の第1では、上記熱間すえこみ鍛造工程は、粉末焼結体を熱間で塑性変形させ、前記焼結工程における加圧方向と垂直に加圧しつつ展延することを特徴とする。
【0007】
本発明の第2では、上記熱間すえこみ鍛造工程は、粉末焼結体を熱間で塑性変形させ、前記焼結工程における加圧方向と一致する方向に加圧しつつ展延し、その後前記焼結工程における加圧方向と垂直方向に展延することを特徴とする。
【0008】
本発明の第3では、上記熱間すえこみ鍛造工程は、粉末焼結体を熱間で塑性変形させ、前記焼結工程における加圧方向と垂直方向に加圧しつつ展延し、その後前記焼結工程における加圧方向と一致する方向に展延することを特徴とする。
【0009】
本発明の第4では、上記熱間すえこみ鍛造工程は、粉末焼結体を熱間で、1000kg/cm2以下の初期荷重圧力で、塑性変形させ、展延することを特徴とする。
【0010】
本発明の第5では、上記熱間すえこみ鍛造工程は、粉末焼結体を熱間で、1000kg/cm2以下の荷重圧力で、塑性変形させ、展延することを特徴とする。
【0011】
本発明の方法では、熱電半導体材料の単結晶が元来もつ熱電性能の異方性に着目し、強度はあるが結晶粒の配向性が劣る粉末焼結インゴットを熱間すえこみ鍛造で塑性変形させることで結晶配向を改善する。これにより、強度を維持しつつ性能の良好な熱電半導体材料を得ることができる。熱間鍛造の塑性変形に伴い圧縮方向にインゴットは縮み、一方圧縮面方向にインゴットは展伸する。この変形によりインゴット内の結晶粒は偏平に塑性変形を起こしつつ、劈開面が圧縮方向に垂直となるように配向する。この結果、十分な強度と性能をもつ熱電半導体材料を得ることができる。またBi2Te3系熱電半導体材料では、c軸が圧縮方向に配向する。
【0012】
従って、機械的強度が高くかつ配向性に優れ信頼性の高い熱電モジュールを得ることが可能となる。
【0013】
また本発明では、単結晶ではなく、粉末焼結体を熱間すえこみ鍛造することによって形成されるため、組成比を比較的自由に選択でき、性能指数Zの高いものを得ることができる。
【0014】
また、単結晶あるいは多結晶のインゴットをそのまま用いた場合に比べ、割れ等による製造歩留りの低下も大幅に低減される。
なお、ここでBi2Te3系熱電半導体材料とは、Bi2ーxSbxTe3ーy-zSeyz(0≦x≦2、0≦y+z≦3)であらわされるものをいい、結晶中に不純物を含むものも含まれるものとする。同様に、BiSb系半導体とは、Bi1-xSbx(0<x<1)であらわされるものをいい、結晶中にドーパントとしての不純物を含むものも含まれるものとする。
【0015】
【発明の実施の形態 】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
本発明の方法では、粉末焼結による焼結インゴットを図1(a)および(b)に概念図を示すような熱間すえこみ鍛造により、図2に示すように結晶粒が層状に配向するように処理したことを特徴とする。図2は自由鍛造後、図3は自由鍛造前の状態を示す顕微鏡写真である。
【0017】
これら図2、図3に示す写真は、熱間すえこみ鍛造後の材料と熱間すえこみ鍛造前の材料を、それぞれエポキシ樹脂中に埋め込み、それぞれの材料表面が鏡面になるまで研磨した後に酸性溶液でエッチングした組織写真であり、写真の上下方向が、鍛造時、焼結時の加圧方向となっている。
【0018】
図3の鍛造前の状態では、波立つような形状で組織が観察される。この波状粒は、粉末焼結材を形成する際の粉体の粒に起因する結晶粒である。
【0019】
図2の鍛造後の状態では、図3でみえていた波状の結晶粒が鍛造をすることにより細長く展延されて結晶粒が加圧方向に垂直に層状に配向していることがわかる。
【0020】
なお、写真中の円形の穴は、エッチングのときに生じたものであり、組織そのものを示すものではない。
【0021】
図4は、n型のBi2Te3熱電半導体材料の製造工程を示すフローチャートである。
【0022】
すなわち、図4に示すように、ビスマスBi、テルルTe、セレンSeの元素単体を、化学量論比Bi2Te2.7Se0.30となるように秤量し、さらにキャリア濃度を調整する化合物を適量に添加したものを、溶解、混合、凝固させ、溶性材料を作成した。この溶性材料をスタンプミル、ボ―ルミル等で粉砕した後、150メッシュおよび400メッシュの篩にかけ400メッシュの篩上に残ったものを選び、粒径34〜106μm程度の粉末に揃える。ここで整粒後、真空排気下所定容量のガラスアンプル内に所定容量の粉末を供給し、水素を注入して0.9気圧に封止したのち、350℃の加熱炉内で10時間の熱処理を行うことにより、水素還元を行った。そして、この粉末をホットプレス装置にて、アルゴン雰囲気中で、焼結温度500℃、 加圧力750kg/cm2で粉末焼結をおこなった。焼結インゴットの大きさは、断面積が32mm×32mm、厚さは20mmであった。このインゴットのゼーベック係数は負であり、この材料はn型を有する。そしてこれを熱間すえこみ鍛造により鍛造する。
【0023】
鍛造工程は、図5に示すように、このインゴットを超硬合金製のすえこみ装置に設置し、アルゴン雰囲気中で、450℃にて 150kg/cm2で上部から加圧焼結時の加圧方向と同一方向に加圧することによってなされる。この結果、焼結インゴットは圧縮される。ここで 図5(a)は上面図、 図5(b)は断面図である。このすえこみ装置は、ベース1とベース1に直交して起立せしめられた円筒状のスリーブ2とこのスリーブ2に挿通せしめられるように形成されたパンチ3とを具備し、上述したインゴット4をベース1上に載置し、パンチ3で押圧するように構成されている。そしてこの装置は超硬製であり450℃程度に図示しない加熱装置によって加熱されるように構成されている。この装置によればインゴット4は上方および下方の2方向からのみに加圧され、他の方向は自由状態になっており、c軸方向が揃うように鍛造される。図6は鍛造時間とインゴット厚さとの関係を測定した結果を示す図である。加圧時間12時間の加圧によりインゴットの厚みは、約1/2の約8mmになり、底面積は約2倍の48.5mm角になった。図7はこのインゴットの4半部分の単結晶に対する密度比の分布である。熱電性能は密度が低下すると減少し強度も弱くなるので使用できる部分は97%以上の密度比の部分となる。
【0024】
この熱間鍛造インゴットと鍛造前のインゴット中心部の熱電性能は表1に示すようになった。このn型材料の場合、熱間鍛造による結晶欠陥のためにキャリアが減少し、比抵抗、ゼーベック定数が増大するが、0.9気圧のアルゴンガスと共にガラスアンプル中に封入して400℃48時間熱処理することで鍛造(フォージ)のための格子欠陥はなくなり、キャリア濃度は出発インゴットと同じになった。これはゼーベック定数が同じことで理解できる。
【0025】
Figure 0003958857
さらに圧縮比を変えて熱間鍛造を行い、熱処理後の材料の性能を比較した。この結果を表2に示す。
【0026】
Figure 0003958857
表2から明らかなように、圧縮比が増加すると塑性変形量が大きくなり、配向が改善され、熱電性能も改善される。加圧力を増すことにより、図8に示すように圧縮速度(厚さ減少量)は増大し、加工時間は短縮されるが、周辺部に加工時のひび割れができて密度の高い部分が減少し使用できる個所が減少する。従って加圧力は、ひび割れのできない程度とするのが望ましい。この加圧力はインゴットとベースおよびパンチとの接した部分の摩擦力にも依存する。展延をスムーズにするために、カーボン粉末、BN粉末等を鍛造前にパンチの底面およびベースの上面に塗布した。このことによりひびを生じることなく変形させ易くなる。
【0027】
このように本発明の方法によれば、鍛造時のひびなどによる密度低下がなく歩留まりが高く、極めて配向性の良好な熱電半導体材料を得ることが可能となる。
なお、この熱間鍛造工程は、アルゴン雰囲気中でおこなったが、これに限定されることなく真空中でもよいし、また他の不活性ガス雰囲気中でもよい。
【0028】
次に本発明の第2の実施例として、一軸方向のみ自由展延させるすえこみ鍛造方法について説明する。この方法では、鍛造工程を、図9に示すように、このインゴットを超硬合金製のすえこみ装置に設置し、450℃にて100〜 500kg/cm2で5時間、加圧焼結時の加圧方向と同一方向に加圧することによってなされる。この結果、焼結インゴットは圧縮される。ここで図9(a)はすえこみ鍛造前、図9(b)はすえこみ鍛造後の状態を示す。このすえこみ装置は、ベース11とベース11に直交して起立せしめられ、内部に直方体状の空洞Hを有する円柱状のスリーブ12とこのスリーブ12の空洞Hに挿通せしめられるように形成されたパンチ13とを具備し、インゴット14をベース11上に載置し、パンチ13で押圧するように構成されている。そしてこの装置は超硬製であり450℃程度に図示しない加熱装置によって加熱されるように構成されている。ここでインゴットは厚さ30mm、幅40mm、展延される方向の長さが18mmであった。この装置によればインゴット14は上方および下方およびスリーブ内の空洞の幅方向から規制され、残る2方向についてはスリーブの壁に接触するまではこれらの方向は自由状態になっており、劈開面が揃うように鍛造される。この工程で印加する圧力と経過時間に対するインゴット厚さを測定した結果を図10に示す。この図から明らかなように、加圧時間5時間の加圧によりインゴットの厚さは、約7mmになり、長さ方向はスリーブの壁にあたるまで加圧したために、型の長手方向の長さと同じ80mmであった。そしてこのインゴットの9割程度が密度比98%以上であった。図11は、このインゴットの半分の単結晶に対する密度比の分布である。熱電性能は密度比が減少すると低下し材料強度も弱くなる。この例では、使用できる部分は97%以上の密度比の部分であるため、ほとんどすべてが使用可能であることになる。
【0029】
この熱間鍛造後、熱処理したインゴットと鍛造前のインゴット中心部の熱電性能は表3に示すようになった。このn型材料の場合、熱間鍛造による結晶欠陥のためにキャリアが減少し、比抵抗、ゼーベック定数が増大するが前記第1の実施例と同様にアルゴンガス雰囲気中で熱処理することで鍛造(フォージ)のための格子欠陥はなくなり、キャリア濃度は出発インゴットと同じになる。これはゼーベック定数が同じことで理解できる。
【0030】
Figure 0003958857
さて、上述した実施例では、鍛造工程時に、加圧焼結時の加圧方向と同一方向に加圧するようにしているが、鍛造工程時に、加圧焼結時の加圧方向に垂直な方向に加圧しても、同様に、熱電性能を向上させることができる。以下、この実施例について説明する。
【0031】
本実施例の鍛造工程では、高さ30mm、幅40mm、展延される方向の長さ20mmの寸法の焼結インゴットを、図9に示す超硬合金製のすえこみ装置に設置し、アルゴン雰囲気中で450℃にて200kg/cm2 の荷重圧力をもって、6時間、上部から加圧焼結時の加圧方向に対して垂直な方向に加圧し、1軸方向のみ自由展延させる。
【0032】
この結果、焼結インゴットは圧縮され、鍛造後の鍛造インゴットの寸法は、高さ7.5mm、幅40mm、展延方向長さ80mmとなった。
【0033】
次表37は、鍛造前の焼結インゴット(ホットプレス品)と、熱間鍛造後に熱処理した鍛造インゴット(ホットホージ品)の中心部、端部における物性値を比較して示す。
【0034】
Figure 0003958857
この表37に示すように、鍛造後の鍛造インゴットの熱電性能を示す性能指数は、鍛造前の焼結インゴットに比較して、向上しているのがわかる。性能指数が、2.45以上の場合には、「熱電性能は良い」と評価される。鍛造後のインゴットは、2.45以上の性能指数を示し、熱電性能は「良い」ことがわかる。
【0035】
さて、上述した実施例では、鍛造工程を、加圧焼結時の加圧方向と同一方向に加圧することで行うか、加圧焼結時の加圧方向に垂直な方向に加圧することで行うようにしているが、鍛造工程を、まず、加圧焼結時の加圧方向と同一方向に加圧することで行い、その後、加圧焼結時の加圧方向に垂直な方向に加圧することで、最終的な鍛造インゴットを取得するような実施も可能である。このようにしても、上述した実施例と同様に、熱電性能を向上させることができる。以下、この実施例について説明する。
【0036】
本実施例の鍛造工程では、高さ30mm、幅15mm、展延される方向の長さ20mmの寸法の焼結インゴットを、図9に示す超硬合金製のすえこみ装置に設置し、アルゴン雰囲気中で450℃にて250kg/cm2 の荷重圧力をもって、6時間、上部から加圧焼結時の加圧方向と一致する方向に加圧し、1軸方向のみ自由展延させる。その後、インゴットを90°反転させ、上部から加圧焼結時の加圧方向に垂直な方向に加圧した。
【0037】
この結果、焼結インゴットは圧縮され、鍛造後の鍛造インゴットの寸法は、高さ7.5mm、幅40mm、展延方向長さ80mmとなった。
【0038】
次表38は、鍛造前の焼結インゴット(ホットプレス品)と、熱間鍛造後に熱処理した鍛造インゴット(ホットホージ品)の中心部、端部における物性値を比較して示す。
【0039】
Figure 0003958857
この表38に示すように、鍛造後の鍛造インゴットの熱電性能を示す性能指数は、鍛造前の焼結インゴットに比較して、向上しているのがわかる。
【0040】
なお、上述した実施例では、鍛造工程を、まず、加圧焼結時の加圧方向と同一方向に加圧することで行い、その後、加圧焼結時の加圧方向に垂直な方向に加圧することで、最終的な鍛造インゴットを取得しているが、鍛造工程を、まず、加圧焼結時の加圧方向に垂直な方向に加圧することで行い、その後、加圧焼結時の加圧方向と同一方向に加圧することで、最終的な鍛造インゴットを取得してもよい。このようにしても、同様に、熱電性能を向上させることができる。以下、この実施例について説明する。
【0041】
本実施例の鍛造工程では、高さ30mm、幅15mm、展延される方向の長さ20mmの寸法の焼結インゴットを、図9に示す超硬合金製のすえこみ装置に設置し、アルゴン雰囲気中で450℃にて250kg/cm2 の荷重圧力をもって、6時間、上部から加圧焼結時の加圧方向に垂直な方向に加圧し、1軸方向のみ自由展延させる。その後、インゴットを90°反転させ、上部から加圧焼結時の加圧方向と一致する方向に加圧した。
【0042】
この結果、焼結インゴットは圧縮され、鍛造後の鍛造インゴットの寸法は、高さ7.5mm、幅40mm、展延方向長さ80mmとなった。
【0043】
この場合でも、上記表38と同様に、鍛造後の鍛造インゴットの熱電性能を示す性能指数は、鍛造前の焼結インゴットに比較して、向上しているのが確認された。
【0044】
次に本発明の第3の実施例として、p型素子を形成する方法について説明する。ビスマスBi、テルルTe、アンチモンSbの元素単体を、化学量論比Bi0.4Sb1.6Te3となるように秤量し、 さらにキャリア濃度を調整するTeを適量に添加したものを、溶解、混合、凝固させ、溶性材料を作成した。この溶性材料をスタンプミル、ボ―ルミル等で粉砕した後、150メッシュおよび400メッシュの篩にかけ400メッシュの篩上に残ったものを選び、粒径34〜106μm程度の粉末に揃える。p型材料の場合は微粒子および粉末酸化の影響が小さいため水素還元工程は行わなかった。そしてこの粉末をホットプレス装置にて焼結温度500℃、 加圧力750kg/cm2で粉末焼結をおこなった。焼結インゴットの大きさは、高さ30mm、幅40mm、長さ18mmに切断し、実施例2で用いたのと同じすえこみ装置に設置し、これを熱間すえこみ鍛造により鍛造する。
【0045】
鍛造工程は、このインゴットを、図9に示したのと同様、超硬合金製のすえこみ装置に設置し、500℃にて100〜 500kg/cm2で5時間、加圧焼結時の加圧方向と同一方向に加圧することによって、焼結インゴットは圧縮される。この熱間鍛造インゴットと鍛造前のインゴット中心部の熱電性能は表4に示すようになった。このp型材料の場合はn型ほど熱間鍛造によるキャリアの減少がみられなかったため、熱処理はしない。熱処理を行った場合は、キャリア濃度は出発インゴットよりも小さくなる。
【0046】
Figure 0003958857
さらにまた同様にしてBi2Te2.85Se0.15とBi0.5Sb1.5Te3についても、熱間鍛造インゴットと鍛造前のインゴット中心部の熱電性能を測定しその結果をそれぞれ表5および表6に示す。
【0047】
Figure 0003958857
Figure 0003958857
次に、このようにして前記第2の実施例の方法で形成されたn型である Bi2Te2.7Se0.3のインゴットのうち密度97%以上、8割のインゴットを使用して、展延方向に垂直にスライスし、厚み1.33mmのウェハを形成する。このウェハの表面および裏面に電極金属層を形成した。そして、ダイシングを行い、0.64mm角のチップを形成した。この中から無作為に抽出したものをn型素子とした(表3参照)。さらに前記第3の実施例の方法で形成されたp型であるBi0.4Sb1.6Te3インゴットを同じ大きさのチップに加工し、これをp型素子とした(表4参照)。そしてこのn型素子およびp型素子からなるpn素子対を18対実装し、図12に示すような熱電モジュールを形成した。そしてこの熱電モジュールを16個形成して、最大温度差を計測した。この最大温度差の平均値を算出し、これと放熱面温度との関係を図13に曲線aで示す。また比較のために同じ材料で形成し熱間すえこみ鍛造を行うことなくホットプレス後、ダイシングを行うようにし、他の工程はまったく同様にして熱電モジュールを形成した結果を曲線bに示す。放熱面温度が0℃〜80℃の領域で、熱間すえこみ鍛造によって処理して形成した熱電モジュールの最大温度差はホットプレスで形成したモジュールの最大温度差を大幅に上回っており、表3、表4中の熱間すえこみ鍛造による熱電性能の向上をうらづけている。ここで最大温度差を与える電流値は両モジュール共に 1.5から1.6Aであった。また最大温度差の標準偏差は0.4から0.5℃ であった。さらにまた例えば放熱面温度が27℃のとき、熱間すえこみ鍛造によって処理して形成した熱電モジュールの最大温度差は75℃以上と極めて優れた結果を記録している。
【0048】
ここで、上述したごとく形成された熱電モジュールの強度について検討を加える。
【0049】
熱電モジュールが破壊する場合は、せん断応力が当該熱電モジュールにかかり、p型、n型素子が折れる場合が多い。
【0050】
そこで、図17に示すように、供試材料として、熱電モジュールの製造過程で得られる片側のセラミック板15にp型素子5、n型素子6を半田接合したものを使用して、これらp型素子、n型素子のせん断強度を計測した。
【0051】
すなわち、同図17(a)の側面図、同図17(b)の一部斜視図に示すように、プッシュプルゲージ16にて、p型素子5、n型素子6の根元にかけられた太さ0.15mmのワイヤ17を、10mm/minの速度で引き上げたときのせん断強度を計測するものである。
【0052】
次表10は、熱間すえこみ鍛造が行われた鍛造インゴットに基づき生成されたp型素子、n型素子のせん断強度計測結果を示している。
【0053】
また、次表11は、同じ材料でホットプレス後熱間すえこみ鍛造を行っていない焼結インゴットに基づき生成されたp型素子、n型素子のせん断強度計測結果を示している。
【0054】
また、次表12は、同じ材料でホットプレスの代わりに、ストックバーガー法にて一方向凝固溶性材料を生成し、この溶性材料に基づき生成されたp型素子、n型素子のせん断強度計測結果を示している。
【0055】
Figure 0003958857
これら表を比較すると、n型素子6については、溶製材料の素子に較べて、熱間鍛造材料の素子とホットプレス材料の素子のせん断強度はともに大きくなっており(1176に対して2185、1914)、熱間鍛造材料の素子はホットプレス材料の素子よりもさらに強度が大きくなっている(1914に対して2185)のがわかる。また、せん断強度の標準偏差についても溶性材料の素子、ホットプレス材料の素子、熱間鍛造材料の素子の順で減少しているのがわかる(347に対して224、224に対して158)。
【0056】
一方、p型素子5については、僅かの差ながらせん断強度の大きさは、溶性材料の素子、ホットプレス材料の素子、熱間鍛造材料の素子の順で大きくなっている(1413に対して1430、1430に対して1472)。せん断強度の標準偏差についても溶性材料の素子、ホットプレス材料の素子、熱間鍛造材料の素子の順で減少している(429に対して132、132に対して112)。
【0057】
ここで、せん断強度の標準偏差が大きくなる程、せん断強度の平均値以下でも破壊が起こる可能性が高い、せん断強度の平均値以下での破壊確率が高いということを意味する。
【0058】
よって、熱間鍛造材料にて生成された素子は、他の材料の素子に較べてせん断強度が高いのみならず、せん断強度の平均値以下での破壊確率が低く、信頼性が高いと結論づけられる。
【0059】
このため熱電モジュールに熱間鍛造材料を用いることによって、モジュール組立時の破損を少なくし、耐久性を高くでき、信頼性を向上させることができる。
【0060】
また同様にして、Bi2Te2.85Se0.15とBi0.5Sb1.5Te3についても、(表5および表6参照)同様にしてそれぞれn型素子およびp型素子を形成し、熱電モジュールを作成した。この熱電モジュールの最大温度差の平均値を算出し、これと放熱面温度との関係を図14に曲線aで示す。また比較のために同じ材料で形成し熱間すえこみ鍛造を行うことなくホットプレス後、ダイシングを行うようにし、他の工程はまったく同様にして熱電モジュールを形成した結果を曲線bに示す。放熱面温度が0℃〜80℃の領域で、熱間すえこみ鍛造によって処理して形成した熱電モジュールの最大温度差はホットプレスで形成したモジュールの最大温度差を上回っている。最大温度差を与える電流値は両モジュール共に1.3から1.4Aであった。
【0061】
図13および図14の比較から、材料により多少の変化はあるが、何れも、本発明は有効であることがわかる。
【0062】
さて、本発明者らは、さらに、実験を行った結果、つぎの各パラメータの性能に及ぼす影響が明らかになった。概略説明すれば、つぎのようになる。
【0063】
(1)密度比
焼結インゴットの密度比が低いと熱伝導度が低下するが、熱電性能は電気抵抗が増大するため低下する。また、材料の強度も低下する。
【0064】
結局、熱電性能を向上させることができ、材料の強度も損なわない密度比の範囲というものが、存在し、焼結インゴットを熱間鍛造によってその密度比を最終的に97%以上にすればよいということが明らかになった。
【0065】
この場合、密度比が97%以上の焼結インゴットを、熱間鍛造することにより、最終的に、当該密度比以上にしてもよく、また、密度比が97%未満の焼結インゴットであっても、熱間鍛造することにより、最終的に、97%以上の密度比以上にすればよい。
【0066】
ここで、密度比とは、圧粉密度と、圧粉体と同一組成の物質(粉砕する前の単結晶)の真密度(理想密度)との比のことである。
【0067】
(2)塑性加工温度
熱間鍛造加工、温間鍛造加工では、塑性加工の進行に伴い結晶歪みの他に結晶の回復が同時に進行する。熱電半導体の熱間塑性加工では、この結晶歪みと回復、さらには焼結材料の粉末粒界、結晶粒界の流れが生じていると考えられるが、この詳細は未だ不明である。
【0068】
ただし、ホットホージ比が大きい程、偏光顕微鏡でみた組織が均一であり、塑性加工による結晶歪みと回復が配向改善に大きく寄与していることが明らかである。ここで、温度が高くなると結晶歪みと回復は促進されるが、再結晶温度以上では結晶粒が配向とは関係なく粒成長してしまい、配向度が低くなってしまい、材料強度も低下してしまう。温度が高くなると、インゴットの変形速度も速くなる。つまり、温度が高いと、組織が流動的になってしまい、配向が揃う前に塑性変形してしまい、それ以上配向がすすまないということになる。
【0069】
逆に、温度が低すぎると、塑性変形自体が遅くなり、実用的な加工に適さないという問題がある。
【0070】
結局、焼結インゴットを塑性加工するのに最適な温度範囲というものが存在し、結晶子が増大し配向がなくなってしまう粒成長温度以下であることが必要であることが明らかになった。
【0071】
具体的には、550°C以下であって、塑性変形を実用的な速度で行うことができる350°C以上の範囲であればよいことが明らかになった。
【0072】
なお、ホットプレスの温度範囲と塑性加工の温度範囲とは同じであるのが望ましいと考えられる。
【0073】
(3)塑性加工荷重
焼結インゴットに加わる荷重が大きいほど、変形速度は速くなる。しかし、荷重が大きいほど、摩擦抵抗が増え、インゴットが座屈してしまう。また、荷重を弱めて変形速度を遅くした場合には、粒界での流れのみ生じるためか、顕著な配向改善が認められなかった。変形速度は、焼結インゴットに最初に与える初期荷重圧力によって定まる。また、この初期荷重圧力は、焼結インゴットの降伏応力以上の力である必要がある。
【0074】
結局、適正な初期荷重圧力あるいは荷重圧力の範囲というものが存在し、その範囲は、1000kg/cm2以下の範囲であることが明らかになった。
【0075】
(4)鍛造のプロセス
本発明は、基本的には、すえこみ鍛造工程を前提としているが、このすえこみ鍛造の工程に適宜、型鍛造的なプロセスを加えることで、上記(1)の密度比を向上させることができることが明らかになった。
【0076】
すなわち、焼結インゴットを、すえこみ鍛造により、自由方向に展延した後に、当該自由方向を治具などで規制した状態で更に加圧することで、一度低下した密度比を回復させたり、密度比を向上させることができることが明らかになった。
【0077】
また、焼結インゴットを、熱間すえこみ鍛造した後に、熱間型鍛造工程を行うことでも、同様に、一度低下した密度比を回復させたり、密度比を向上させることができることが明らかになった。
【0078】
(5)鍛造の回数
また、鍛造工程の回数を増やし圧縮比を順次増大させていくことで、配向が改善され、熱電性能を向上させることができることが、明らかになった。
【0079】
以上の(1)〜(5)について、以下具体的な実施例を挙げて説明する。
【0080】
・第4の実施例
まず、上記(1)の密度比が97%以上になることによる性能向上の具体例について説明する。
【0081】
本実施例では、前述した第2の実施例と同じ組成のBi2Te2.7Se0.30 のn型熱電半導体を、平均粒径20μmで粉砕し、これを焼結温度500°C、加圧力750kg/cm2 でホットプレスして粉末焼結させた。平均粒径(20μm)は第2の実施例よりも小さいものを使用した。
【0082】
その後は、第2の実施例と同様に、図9に示す一軸方向のみ自由展延させるすえこみ装置によって、400°Cにて図15に示す荷重圧力を加える熱間鍛造を行った。すなわち、荷重圧力としては、初期荷重を100kg/cm2 とし、最終的に450kg/cm2 まで増加させた。
【0083】
その後、この鍛造後の鍛造インゴットを、400°Cで、48時間だけアルゴン還元ガラス封入管中でアニーリングを行った。
【0084】
次表7は、第2の実施例と本第4の実施例との比較結果である。表7中、ホットプレス1とあるのは第2の実施例でホットプレスのみを行い、ホットホージ(熱間鍛造)の工程は省略した場合であり、ホットホージ1とあるのは、第2の実施例でホットホージの工程を行った場合を示している。また、ホットプレス2とあるのは第4の実施例でホットプレスのみを行い、ホットホージ(熱間鍛造)の工程は省略した場合であり、ホットホージ2とあるのは、第4の実施例でホットホージの工程を行った場合を示している。
【0085】
Figure 0003958857
なお、ここで、抵抗の異方性比とあるのは、抵抗の方向性を示す値であり、この値が大きいほど、結晶の配向の改善効果が顕著であるということを示す。
【0086】
また、性能指数Zの評価基準としては、2.45をしきい値とした。性能指数Zが、2.45以上である場合には、熱電性能が向上していると判断した。
【0087】
同表から明らかなように、本第4の実施例では、比較的細かな粉末(平均粒径20μm)を使用したため、熱間鍛造が行われる焼結インゴットの密度比は低く(96.8%)、結晶の配向度を示す抵抗の異方性比も低い(1.01)ことがわかる。
【0088】
また、この焼結インゴットを一軸方向に鍛造すると、第2の実施例に比べて、鍛造温度が低い割(第2の実施例の450°Cに対して400°C)に、加工速度が速いということがわかる(図10、図15参照)。
【0089】
また、第4の実施例でホットホージされた後の鍛造インゴットの密度比は、鍛造前の焼結インゴットと同じ密度(96.8%)であるが、性能指数は向上(2.45)していることがわかる。これは、鍛造により結晶配向が改善したことによると考えられる。抵抗の異方性比が増大(2.42)しているのはこのためである。
【0090】
ただし、第2の実施例でホットホージされた後の鍛造インゴットに比べると、密度比が低いために、性能指数が低い(第2の実施例の2.81に対して2.45)ことがわかる。
【0091】
このように第4の実施例において、抵抗の異方性比は向上しているにもかかわらずに、性能指数は第2の実施例に比べると低下しているのは、つぎのように説明される。
【0092】
すなわち、性能指数Zは、抵抗の異方性比と、密度比の両ファクタにより定まるが、密度比の寄与率の方が、抵抗の異方性比の寄与率よりも大きい。
【0093】
したがって、密度比が97%よりも小さい本第4の実施例のものでは、抵抗の異方性比が向上した割には、性能指数Zとしては、評価基準となる2.45をはるかに越えた値にまで上昇していかないことになる。
【0094】
以上のことから、熱間鍛造される前の焼結インゴットの密度比を97%以上の値にしておくことが、熱電性能を向上させるために望ましいという結論が得られた。そして、ホットホージされることによって最終的に得られる鍛造インゴットの密度比としては97%以上であることが望ましいという結論が得られた。そして、密度比97%以上の焼結インゴットをホットホージすることによって最終的に、この鍛造前の焼結インゴットの密度比以上にすることが望ましいという結論が得られた。
【0095】
また、密度比97%未満の焼結インゴットであってもホットホージすることによって最終的に、密度比97%以上の鍛造インゴットにすれば、強度を損なわずに熱電性能を向上させることができる。つぎに、この実施例について説明する。
【0096】
本実施例では、前述した第2の実施例と同じ組成のBi2Te2.7Se0.30 のn型熱電半導体を、平均粒径40μmで粉砕し、これを焼結温度300°C、加圧力1000kg/cm2 でホットプレスして粉末焼結させた。
【0097】
その後は、この粉末焼結インゴットを、(展延方向の長さ)×(幅)×(厚さ)が15×40×33mmの寸法に切断し、これを、第2の実施例と同様に、図9に示す一軸方向のみ自由展延させるすえこみ装置によって、450°Cにて熱間鍛造を行い、長さ40mmの方向に展延させた。この場合、荷重圧力の範囲を250kg/cm2 〜1000kg/cm2 とした。
【0098】
その後、この鍛造後の鍛造インゴットを、400°Cで、48時間だけアルゴン還元ガラス封入管中でアニーリングを行った。
【0099】
次表35、36は、鍛造前の焼結インゴットと、鍛造後の鍛造インゴットの各物性値の比較結果である。
【0100】
Figure 0003958857
Figure 0003958857
ここで、パワーファクタは、ゼーベック係数を2乗したものを抵抗率で割った値であり、この値が大きいほど熱電性能は良いといえる。評価基準としては、パワーファクタが3.2以上のものが、「熱電性能が良い」とした。
【0101】
表35に示す鍛造前の焼結インゴットは、密度比が低く(89.4%)、熱電性能を示すパワーファクタの値は、3.2未満であり、熱電性能は良くない。
【0102】
これに対して、表36に示す鍛造後の鍛造インゴットは、熱間すえこみ鍛造をすることにより、インゴットすべての部位で密度比が97%以上になっている。この結果、熱電性能を示すパワーファクタの値は3.2以上を示し、熱電性能が向上しているのがわかる。
【0103】
・第5の実施例
つぎに、上記(5)の鍛造工程の回数を増やすことによる性能向上の具体例について説明する。
【0104】
本実施例では、前述した第2の実施例と同じ組成のBi2Te2.7Se0.30 のn型熱電半導体材料を、第2の実施例と同一の製法で焼結させた。このとき得られた焼結インゴット14は、図16に示すように、高さ(厚さ)が60mm、幅が40mm、展延される方向の長さが40mmのものであった。
【0105】
こうした焼結インゴット14を、1回、2回、3回と熱間鍛造することにより、圧縮比の大きい鍛造加工材料を順次生成していく。すなわち、第1回目の鍛造により、圧縮比は1/2になり、第2回目の鍛造により、圧縮比は1/8になり、第3回目の鍛造により、圧縮比は1/16になる。
【0106】
その後、この最終鍛造後の鍛造インゴットを、アルゴン置換雰囲気中400°Cで、24時間の熱処理を施した。
【0107】
鍛造インゴット中で密度比が97%以上になる部分の熱電性能と抵抗異方性の平均値を下記表8に示す。
【0108】
Figure 0003958857
同表8に示す鍛造回数が1回(圧縮比1/5)のデータは、第2の実施例で得られた鍛造インゴット中の密度比97%以上の部分の平均値を使用している。
【0109】
同表に示すように、圧縮比が増加すると塑性変形量が大きくなり、より配向が改善され熱電性能が向上(性能指数2.19から2.52へ、2.52から2.55へ)しているのがわかる。
【0110】
また、圧縮比の増大により若干のキャリア濃度の変化が起きている。これはゼーベック定数が圧縮比に応じて変化しているのをみれば理解することができる。
【0111】
抵抗の異方性比が、複数回鍛造を行った鍛造インゴットについて大きい(1回目の鍛造インゴットの2.19に対して2.52、2.55)のにもかかわらずに性能指数がそれ程増加していない(1回目の鍛造インゴットの2.56に対して2.61、2.62)のは、出発材料である焼結インゴットの組成が熱電性能を最大に引き出せる最適キャリア濃度で形成されているのに対して、複数回鍛造がなされた鍛造インゴットはこの最適なキャリア濃度からずれた組成になったためであると考えられる。
【0112】
ただし、これは、出発材料の焼結インゴットのキャリアを圧縮比に適した濃度に変更することによって解決することができる。
【0113】
・第6の実施例
つぎに第5の実施例と同様に鍛造の回数による性能改善の具体例を、p型材料について行った場合について説明する。
本実施例では、前述した第3の実施例と同じ組成のBi0.4Sb1.6Te3 のp型熱電半導体材料を、第3の実施例と同一の製法で焼結させた。このとき得られた焼結インゴット14は、図16に示すように、高さ(厚さ)が60mm、幅が40mm、展延される方向の長さが40mmのものであった。
【0114】
こうした焼結インゴット14を、1回、2回、3回と熱間鍛造することにより、圧縮比の大きい鍛造加工材料を順次生成していく。すなわち、第1回目の鍛造により、圧縮比は1/2になり、第2回目の鍛造により、圧縮比は1/8になり、第3回目の鍛造により、圧縮比は1/16になる。
【0115】
その後、この最終鍛造後の鍛造インゴットを、アルゴン置換雰囲気中400°Cで、24時間の熱処理を施した。
【0116】
鍛造インゴット中で密度比が97%以上になる部分の熱電性能と抵抗異方性の平均値を下記表9に示す。
【0117】
Figure 0003958857
同表9に示す鍛造回数が1回(圧縮比1/5)のデータは、第3の実施例で得られた鍛造インゴット中の密度比97%以上の部分の平均値を使用している。
【0118】
同表に示すように、圧縮比が増加すると塑性変形が大きくなり、より配向が改善され熱電性能が向上(性能指数3.2から3.22へ、3.22から3.35へ)しているのがわかる。
【0119】
・第7の実施例
つぎに、ホットプレスの焼結温度が性能に与える影響について検討を加える。
【0120】
本実施例では、前述した第2の実施例と同じ組成のBi2Te2.7Se0.30 のn型熱電半導体を、平均粒径40μmで粉砕し、これを加圧力750kg/cm2でホットプレスして粉末焼結させた。ホットプレスは400°C、450°C、500°C、550°Cの4条件の焼結温度で行った。
【0121】
その後は、第2の実施例と同様に、図9に示す一軸方向のみ自由展延させるすえこみ装置によって、450°Cにて荷重圧力100kg/cm2 〜450kg/cm2 で加圧した。
【0122】
その後、この鍛造後の鍛造インゴットを、400°Cで、24時間だけアルゴン還元ガラス封入管中でアニーリングを行った。
【0123】
この結果得られた鍛造インゴットの中心部分(表中「ホージ品」)とホットプレス後の焼結インゴット(表中「プレス品」)の各物性値を、各焼結温度400°C、450°C、500°C、550°Cごとに、次表13、14、15、16に示す。
【0124】
Figure 0003958857
これら表から明らかなように、熱間すえこみ鍛造が行われた鍛造インゴットは、鍛造工程の出発材料である焼結インゴットの生成条件(焼結温度条件)にかかわらずに、99%以上の密度比になっており、材料強度、熱電性能が向上しているのがわかる。
さらに、ホットプレス後に密度比98%程度になっている出発材料の焼結インゴット(焼結温度400°C、450°Cの場合)は、熱間すえこみ鍛造が行われることにより密度比が高くなっているのがわかる(焼結温度400°Cの場合は、98.4%から99.6%に向上、焼結温度450°Cの場合は、98.5%から99.9%に向上)。
【0125】
結晶の配向(抵抗の異方性比)に関しても、鍛造工程の出発材料である焼結インゴットの作成条件(焼結温度条件)にかかわらずに、熱間すえこみ鍛造が行われることにより、改善、向上しているのがわかる。
【0126】
ホットプレス温度が高い場合には、ホットプレス時に再結晶により組織が変化し、抵抗の異方性比が低下してしまう(焼結温度550°Cの場合の焼結インゴットの抵抗の異方性比は1.34)。このため、このような抵抗の異方性比が低下した焼結インゴットを用いて熱間鍛造を行った場合には配向は改善されるものの(1.34から2.25に向上)、鍛造開始時の配向自体が低い(焼結インゴットの抵抗の異方性比が低い)ために性能指数としては低くなってしまう(2.43で評価基準2.45以下)。たとえば、焼結温度550°Cの鍛造インゴットの性能指数は2.43(焼結インゴットの抵抗の異方性比は1.34)であり、焼結温度500°Cの鍛造インゴットの性能指数2.65(焼結インゴットの抵抗の異方性比は1.83)に較べて低くなっている。
・第8の実施例
つぎに、上記(4)で述べたように、すえこみ鍛造のプロセスに型鍛造的なプロセスを加えることで、密度比を向上させ、熱電性能を向上させることができる具体例について説明する。
【0127】
本実施例では、前述した第1の実施例と同じ組成のBi2Te2.7Se0.30 のn型熱電半導体材料を、第1の実施例、第2の実施例と同一の製法(焼結温度500°C、加圧力750kg/cm2 )で焼結させた。こうして得られた粉末焼結体から、第2の実施例と同様に、高さ(厚さ)が30mm、幅が40mm、展延される方向の長さが18mmの焼結インゴットを2個切り出して、それぞれについて鍛造工程を異ならせて、第2の実施例と同じく、図9に示す一軸方向のみ自由展延させるすえこみ装置を用い、450°Cにて熱間鍛造した。
【0128】
図18は、2つの焼結インゴットのうち一方の焼結インゴットを、展延の途中で、すえこみ装置に追加した治具(壁)によって展延方向を規制し、さらに熱間での加圧を継続させた場合のインゴット高さ変化(実線)、荷重圧力変化(破線)を示している。つまり、すえこみ鍛造の後半でインゴットの展延端が治具の壁に拘束された時点(鍛造開始後315分程度経過時点)から、さらに荷重圧力を450kg/cm2 まで上昇させ約5時間加圧を継続させるようにし、鍛造工程の後半を、型鍛造にて行うようにしたものである。
【0129】
同図に示すように、鍛造工程の後半では、展延が行われないために、インゴットの高さに変化はみられないのがわかる。
【0130】
一方、図19は、2つの焼結インゴットのうち他方の焼結インゴットについて同様に展延を行い、展延端が上記治具に当接される前に、展延を中止(鍛造を中止)させた場合のインゴット高さ変化、荷重圧力変化を示している。
なお、図18、図19ともに、初期荷重圧力は250kg/cm2 とした。
【0131】
図18に示す鍛造工程で得られた鍛造インゴットを観察すると、長時間、鍛造型を用いて加圧されたために、端部が方形に成形され、表面も滑らかであった。これに対して図19に示す途中で鍛造を中止した工程により得られた鍛造インゴットは、端部が円弧状になっており、表面に細かなひびが多数みられた。
【0132】
これら異なる鍛造工程で得られた2つの鍛造インゴット14からそれぞれ図20に示す測定ピースを切り出して、各測定ピースについて、抵抗率、密度比、抵抗率の異方性比、ゼーベック定数、パワーファクタといった物性値を計測した。その結果を下記表17、18に示す。なお、パワーファクタとは、ゼーベック定数を2乗したものを抵抗率で割った値であり、この値が大きいほど熱電性能はよいといえる。評価基準としては比較例であるホットプレス品(鍛造前)のn型のパワーファクタ3.2以上のものが、「熱電性能が良い」とした。
【0133】
測定ピース(鍛造インゴット14)の高さ方向、幅方向についての物性値のばらつきは殆どみられなかったが、展延方向Dについて各物性値の分布にばらつきがみられた。幅方向で平均をとり、展延方向Dの各位置ごとに物性値を示したものが、表17、表18である。
【0134】
表17は、図20に示す鍛造インゴット14の中心部Cから展延方向Dの各距離ごとに、図18に示す鍛造工程で得られた鍛造インゴットの物性値を示したものである。
【0135】
表18は、同じく鍛造インゴット14の中心部Cから展延方向Dの各距離ごとに、図19に示す鍛造工程で得られた鍛造インゴットの物性値を示したものである。
【0136】
Figure 0003958857
これら表に示すように、後半が型鍛造でなされた表17の鍛造インゴットは、インゴット各部の密度比が98%以上あり、これだけをみると材料強度、熱電性能が向上しているのがわかる。
【0137】
しかし、抵抗の異方性比は、インゴット中心から端部にいくほど低下しており、結晶子の配向が徐々に揃わなくなっていくことがわかる。また、抵抗の異方性比と同様にゼーベック定数についても、インゴット中心から端部にいくほど絶対値が減少しており、抵抗率については、端部にいくほど増加しているのがわかる。
【0138】
このようにゼーベック定数が端部にいくほど減少しているのは、端部にいくほど鍛造による格子欠陥が増えていくためであると考えられる。また、端部にいくほど抵抗率が増加しているのは、端部にいくほど結晶粒の配向性が悪化していくためであると考えられる。
【0139】
また、インゴット中心から端部にいくほどパワーファクタが低下しており、このことからも端部にいくほど結晶の配向性が悪化し、熱電性能が低下していくことがうかがえる。しかしながら、インゴット中心から26mmの距離までは、パワーファクタとしては評価基準とした3.2を越え3.6以上の値を維持しており、熱電材料として使用できる範囲が広範であることがわかる。
【0140】
これに対して、型鍛造される前に、鍛造を中止させることによって得られた表18の鍛造インゴットでは、表17のものに較べて密度比が低いのがわかる。なお、インゴット中心から22mmを越えた距離での密度比は低すぎるので(密度比97%未満)、表18では22mmを越えた距離でのデータは省略している。
【0141】
インゴット中心部(たとえばインゴット中心からの距離2mmの部位)では、抵抗の異方性比、ゼーベック定数ともに、ほぼ表17の値と同じであるにもかかわらず、抵抗率が大きくなっているのは(0.948に対して0.993)、密度比が表17に較べて低下しているため(98.8に対して97.7)であると考えられる。パワーファクタが表17に較べて低下しているのも(3.99に対して3.82)、同様に密度比の低下の影響によるものと考えられる。インゴット中心から10mmの距離までしか、パワーファクタの値3.6以上を維持することができず、表17に較べて熱電材料として使用できる範囲が狭いことがわかる。
【0142】
こうした比較結果から、配向の他に密度比が熱電性能に大きく影響を及ぼすことが理解される。
【0143】
また、表18に示す密度比を、展延の途中までの密度比、表17に示す密度比を、展延の途中から更に型鍛造した場合の密度比と考えれば、展延の途中で密度比が低下したとしても、これを更に型鍛造することにより密度比を向上、回復させることができるのがわかる。
【0144】
こうした密度比の回復は、組成の異なるp型材料についても同様に確認された。
【0145】
また、上述した説明では、インゴットを一軸方向に自由展延させた後、この一軸方向の展延を拘束する場合を想定しているが、第1の実施例のように二軸方向に自由展延させた後に、これら両方向の展延を同時に拘束するようにしてもよい。
【0146】
図30、図31は、こうした両方向の展延を拘束するすえこみ装置の構成を示している。図30は焼結インゴット14が、拘束されていない自由展延状態を示す図であり、図31は焼結インゴット14が、図面の上下左右の両二軸方向で展延が拘束されている状態を示す図である。図30、31の(a)図はすえこみ装置の上面図、図30、31の(b)はすえこみ装置の側面図である。
【0147】
すなわち、すえこみ装置は、これら図30、図31に示すように、焼結インゴット14が載置されるダイス20と、この焼結インゴット14を上方から圧縮するパンチ18と、矢印に示すごとく駆動されることにより焼結インゴット14の各側面にそれぞれ接触し、自由展延を阻止する4つの側壁19とから構成されている。
【0148】
鍛造工程の前半では、図30に示す自由展延状態で熱間鍛造が行われ、鍛造工程の後半では、図31に示すように4つの側壁19が駆動され、これら4つの側壁19によって焼結インゴット14の二軸方向の自由展延が阻止された状態で熱間鍛造が継続される(パンチ18を下降させた状態を維持する)。
【0149】
このように鍛造工程の後半で二軸方向の自由展延を阻止した場合でも、上述した鍛造工程の後半で一軸方向の自由展延を阻止した実施例と同様に、鍛造インゴットの密度比を97%以上にもっていくことができ、熱電性能を向上させることができる。
【0150】
さて、上述した実施例では、鍛造工程の後半を型鍛造で行うようにしているが、すえこみ鍛造工程を行った後に、型鍛造工程を行うような実施も可能である。
【0151】
図30、図31に示すすえこみ装置を用いてこれを行う場合について以下説明する。
【0152】
すなわち、最初のすえこみ鍛造工程では、図30に示すように自由展延状態で熱間すえこみ鍛造が行われる。そして、一旦パンチ18を上昇させ、焼結インゴット14を非圧縮状態にする。つぎの型鍛造工程では、図31に示すように4つの側壁19が駆動され、これら4つの側壁19によって焼結インゴット14の二軸方向の自由展延が阻止された状態で、パンチ18が再び下降される。こうして焼結インゴット14が上下方向に圧縮され、熱間型鍛造が行われる。
【0153】
なお、熱間すえこみ鍛造工程、熱間型鍛造工程を複数回繰り返し行うようにしてもよい。
【0154】
このようにすえこみ鍛造工程に続いて型鍛造工程を行った場合でも、上述した鍛造工程の後半で自由展延を阻止する実施例と同様に、鍛造インゴットの密度比を97%以上にもっていくことができ、熱電性能を向上させることができる。
【0155】
・第9の実施例
つぎに、上記(2)で述べた熱電性能を向上させることができる塑性加工温度の範囲、上記(3)で述べた熱電性能を向上させることができる塑性加工荷重の範囲について具体例に挙げて説明する。
【0156】
下記表19は、温度、初期荷重圧力を変えた各条件1〜7で熱間鍛造を行った場合のインゴット変形速度を示している。ホットプレスの工程は、第2の実施例と同様であり、ホットホージの工程では第2の実施例と同様に、高さ(厚さ)が30mm、幅が40mm、展延される方向の長さが18mmの焼結インゴットを切り出して、図9に示す一軸方向のみ自由展延させるすえこみ装置を用い、下記表19に示す各条件下で熱間鍛造した。
【0157】
Figure 0003958857
ここで、条件1は、上記第2の実施例と同じ条件で熱間鍛造工程を行った場合のデータである。鍛造工程中の荷重圧力変化、インゴット高さ変化は図10に示したとおりである。
【0158】
また、下記表20は、各条件1〜7毎に鍛造の出発材料となる焼結インゴットの物性値を示したものである。
【0159】
Figure 0003958857
図21は、条件3の場合の鍛造工程中の荷重圧力変化(破線)、インゴット高さ変化(実線)を示しており、図22は、条件4の場合の鍛造工程中の荷重圧力変化(破線)、インゴット高さ変化(実線)を示しており、図23は、条件5の場合の鍛造工程中の荷重圧力変化(破線)、インゴット高さ変化(実線)を示しており、図24は、条件6の場合の鍛造工程中の荷重圧力変化(破線)、インゴット高さ変化(実線)を示しており、図25は、条件7の場合の鍛造工程中の荷重圧力変化(破線)、インゴット高さ変化(実線)を示している。
【0160】
上記表19から明らかなように温度が高くなるほど、インゴット変形速度が速くなり、また初期荷重圧力が同じであると、インゴットの変形速度はほぼ同じになるが、鍛造の出発材料の焼結インゴットの形状によっては座屈が生じているのが、図21〜図25からわかる。
【0161】
特にインゴットの変形速度が大きい条件の場合には、大きな座屈がみられた。
【0162】
たとえば、インゴット変形速度が大きい条件3、条件7の場合には、図21、図25から明らかなように、大きな座屈が生じているのがわかる。
【0163】
座屈は、インゴットの上下面の摩擦力のために上下面付近が剛体域となり、拘束されていない面付近が変形域となるため、その領域の境界で変形速度の不連続が生じ、インゴットが樽状になり、ついにはインゴットがこの境界でせん断されることによって生ずる。その後の加圧あるいは第8の実施例で述べた自由鍛造後の成形加圧(型鍛造)により、せん断によるヒビなどは回復するが、せん断は座屈を生じさせないためにも事前に防止する必要がある。
【0164】
座屈は、鍛造の出発材料である焼結インゴットとして、加圧面積に対してインゴット高さが低いものを使用することで事前に避けることができる。ただし、ホージ比を大きくとりたい場合には、こうした形状の焼結インゴットを使用するのは不利に作用することになる。
【0165】
下記表21〜表27は、上記各条件1〜条件7で鍛造した後の鍛造インゴットの物性値を示したものである。
【0166】
Figure 0003958857
Figure 0003958857
Figure 0003958857
Figure 0003958857
Figure 0003958857
Figure 0003958857
Figure 0003958857
すなわち、各条件1〜7で鍛造後、400°Cで24時間熱処理を行うことで得られた各鍛造インゴット14から図20に示す測定ピースをそれぞれ切り出して、各測定ピースについて、抵抗率、密度比、抵抗率の異方性比、ゼーベック定数、パワーファクタといった物性値を計測した。その結果が上記表21〜27に示されている。
【0167】
測定ピース(鍛造インゴット14)の高さ方向、幅方向についての物性値のばらつきは殆どみられなかったが、展延方向Dについて各物性値の分布にばらつきがみられた。表21〜27では、幅方向で平均をとり、展延方向Dの各距離ごとに物性値を示している。
【0168】
表20の鍛造の出発材料である焼結インゴットの抵抗の異方性比と、表21〜27に示す鍛造後の鍛造インゴットの抵抗の異方性比の値とを比較してわかるように、各条件1〜7ともに、鍛造インゴット中心部については、抵抗の異方性比が鍛造前よりも大きくなっており、鍛造により結晶粒の配向が改善されていることがわかる。例えば、条件2の場合、インゴット中心から2mmの部位で1.70から2.38に抵抗の異方性比が大きくなっている。
【0169】
また、各条件1〜7ともに鍛造することによってパワーファクタが増加しており、結晶粒の配向の改善により熱電性能が向上しているものと類推される。例えば、条件2の場合、インゴット中心から2mmの部位で3.22から3.63にパワーファクタが大きくなっている。
【0170】
この点、条件3、条件7の場合には、鍛造インゴットの中心部の一部でしか配向の改善がみられないのが、表20と表23の比較結果、表20と表27の比較結果から明らかである。たとえば、条件3のパワーファクタが、鍛造後に、鍛造前の値(3.53)よりも大きくなっているのは、鍛造インゴット中心から6mmの部分(3.79)だけである。
【0171】
このことは、上述したようにホットホージ工程中に大きな座屈が生じ(図21、図25参照)、インゴットが破断、分離し、この分離の際に、分離部分が回転し、その部分の結晶の配向が変わったためであると考えられる。
【0172】
ただし、このような座屈が生じやすい鍛造条件であっても、上述したように座屈の生じにくい形状の焼結インゴットを使用することで、座屈を回避でき配向を改善することは可能である。座屈の影響を受けにくいインゴットの中心の配向は、元々よいからである。
【0173】
鍛造温度に関しては、温度が高いほど塑性変形がすすみやすいが、結晶粒が成長し配向がなくなる粒成長の温度以下である必要がある。具体的には、この第9の実施例および第1〜第8の実施例の結果から550°C以下であることが望ましい。
【0174】
逆に、鍛造温度が低い場合には、塑性変形が遅くなり、実用的ではなくなるが、ホットプレスの焼結が可能な温度であればホージは可能である。具体的には、この第9の実施例および第1〜第8の実施例の結果から350°C以上であることが望ましい。
【0175】
鍛造時の荷重圧力に関しては、初期荷重圧力として、焼結インゴットの降伏応力以上の力である必要がある。しかも、インゴット変形速度を、座屈が生じるインゴット変形速度以下にすることができる荷重圧力でなくてはならない。具体的には、この第9の実施例および第1〜第8の実施例の結果から70kg/cm2以上350kg/cm2以下の範囲であることが望ましい。
【0176】
また、図21〜図25に示すように、本実施例では、鍛造中のインゴットの形状(高さ)変化に応じて荷重圧力を変化させることで、座屈を最小限に抑えるようにしている。本第9の実施例および第1〜第8の実施例の結果から、座屈等を避けるためには、鍛造中500kg/cm2 を越えた荷重圧力で焼結インゴットを加圧してはならないことがわかった。
【0177】
ただし、初期荷重圧力が、70kg/cm2以上350kg/cm2以下の範囲であり、鍛造中500kg/cm2 を越えない荷重圧力が望ましいというのは、焼結インゴットが座屈を生じやすい寸法の場合である。たとえば、上述した実施例で想定している高さ30mm、幅40mm、展延される方向の長さ18mmの焼結インゴットでは、このような初期荷重圧力、荷重圧力の範囲が望ましい。
【0178】
しかし、以下に説明するように、焼結インゴットが座屈を生じにくい寸法の場合にあっては、初期荷重圧力、鍛造中の荷重圧力ともに1000kg/cm2以下の範囲であれば、座屈を生じることなく熱電性能の高い鍛造インゴットを取得することができる。以下、この実施例について説明する。
【0179】
本実施例の鍛造工程では、高さ20mm、幅15mm、展延される方向の長さ40mmの寸法の焼結インゴットを、図9に示す超硬合金製のすえこみ装置に設置し、アルゴン雰囲気中で450℃にて1000kg/cm2 の荷重圧力をもって、1.5時間、上部から加圧焼結時の加圧方向と一致する方向に加圧し、1軸方向のみ自由展延させる。
【0180】
この結果、焼結インゴットは圧縮され、鍛造後の鍛造インゴットの寸法は、高さ10mm、幅15mm、展延方向長さ80mmとなった。
【0181】
次表39は、鍛造前の焼結インゴット(ホットプレス品)と、熱間鍛造後に熱処理した鍛造インゴット(ホットホージ品)の中心部、端部における物性値を比較して示す。
【0182】
Figure 0003958857
この表39に示すように、鍛造後の鍛造インゴットの熱電性能を示す性能指数は、鍛造前の焼結インゴットに比較して、向上しているのがわかる。
【0183】
別の実施例を以下説明する。
【0184】
本実施例の鍛造工程では、高さ80mm、幅80mm、展延される方向の長さ40mmの寸法の焼結インゴットを、図9に示す超硬合金製のすえこみ装置に設置し、アルゴン雰囲気中で450℃にて50kg/cm2 の荷重圧力をもって、6時間、上部から加圧焼結時の加圧方向と一致する方向に加圧し、1軸方向のみ自由展延させる。
【0185】
この結果、焼結インゴットは圧縮され、鍛造後の鍛造インゴットの寸法は、高さ20mm、幅80mm、展延方向長さ160mmとなった。
【0186】
次表40は、鍛造前の焼結インゴット(ホットプレス品)と、熱間鍛造後に熱処理した鍛造インゴット(ホットホージ品)の中心部における物性値を比較して示す。
【0187】
Figure 0003958857
この表40に示すように、鍛造後の鍛造インゴットの熱電性能を示す性能指数は、鍛造前の焼結インゴットに比較して、向上しているのがわかる。
【0188】
さらに別の実施例を以下説明する。
【0189】
本実施例の鍛造工程では、高さ20mm、幅15mm、展延される方向の長さ40mmの寸法の焼結インゴットを、図9に示す超硬合金製のすえこみ装置に設置し、アルゴン雰囲気中で450℃にて500kg/cm2 の荷重圧力をもって、1.5時間、上部から加圧焼結時の加圧方向と一致する方向に加圧し、1軸方向のみ自由展延させる。
【0190】
この結果、焼結インゴットは圧縮され、鍛造後の鍛造インゴットの寸法は、高さ10mm、幅15mm、展延方向長さ80mmとなった。
【0191】
次表41は、鍛造前の焼結インゴット(ホットプレス品)と、熱間鍛造後に熱処理した鍛造インゴット(ホットホージ品)の中心部、端部における物性値を比較して示す。
【0192】
Figure 0003958857
この表41に示すように、鍛造後の鍛造インゴットの熱電性能を示す性能指数は、鍛造前の焼結インゴットに比較して、向上しているのがわかる。
【0193】
つぎに、p型材料について同様に鍛造条件を変えて行った実施例について説明する。
【0194】
すなわち、第3の実施例と同じ組成のBi0.4Sb1.6Te3 のp型熱電半導体材料を、第3の実施例と同一の製法で焼結させた。そして、第3の実施例と同様に、高さ(厚さ)が30mm、幅が40mm、展延される方向の長さが18mmの焼結インゴットを切り出して、図9に示す一軸方向のみ自由展延させるすえこみ装置を用い、下記表28に示す各条件8〜12下で熱間鍛造した。
【0195】
下記表28は、温度、初期荷重圧力を変えた各条件8〜12で熱間鍛造を行った場合のインゴット変形速度を示している。
【0196】
Figure 0003958857
ここで、条件8は、上記第3の実施例と同じ条件で熱間鍛造工程を行った場合のデータである。
【0197】
また、下記表29は、各条件8〜12毎に鍛造の出発材料となる焼結インゴットの物性値を示したものである。
【0198】
Figure 0003958857
図26は、条件9の場合の鍛造工程中の荷重圧力変化(破線)、インゴット高さ変化(実線)を示しており、図27は、条件10の場合の鍛造工程中の荷重圧力変化(破線)、インゴット高さ変化(実線)を示しており、図28は、条件11の場合の鍛造工程中の荷重圧力変化(破線)、インゴット高さ変化(実線)を示しており、図29は、条件12の場合の鍛造工程中の荷重圧力変化(破線)、インゴット高さ変化(実線)を示している。
【0199】
特にインゴットの変形速度が大きい条件の場合には、大きな座屈がみられた。
【0200】
たとえば、インゴット変形速度が大きい条件10の場合には、図27から明らかなように、大きな座屈が生じているのがわかる。
【0201】
下記表30〜表34は、上記各条件8〜条件12で鍛造した後の鍛造インゴットの物性値を示したものである。
【0202】
Figure 0003958857
Figure 0003958857
Figure 0003958857
Figure 0003958857
Figure 0003958857
すなわち、各条件8〜12で鍛造後、得られた各鍛造インゴット14から図20に示す測定ピースをそれぞれ切り出して、各測定ピースについて、抵抗率、密度比、抵抗率の異方性比、ゼーベック定数、パワーファクタといった物性値を計測した。その結果が上記表30〜34に示されている。
【0203】
測定ピース(鍛造インゴット14)の高さ方向、幅方向についての物性値のばらつきは殆どみられなかったが、展延方向Dについて各物性値の分布にばらつきがみられた。表30〜34では、幅方向で平均をとり、展延方向Dの各距離ごとに物性値を示している。
【0204】
表29の鍛造の出発材料である焼結インゴットの抵抗の異方性比と、表30〜34に示す鍛造後の鍛造インゴットの抵抗の異方性比の値とを比較してわかるように、各条件8〜12ともに、鍛造インゴット中心部については、抵抗の異方性比が鍛造前よりも大きくなっており、鍛造により結晶子の配向が改善されていることがわかる。
【0205】
また、n型材料に比較して、p型材料の場合には、配向の改善がみられる範囲が鍛造インゴットの端部へと拡がっており、n型材料ほど座屈の影響は少なく、配向がより改善されているのがわかる。
【0206】
なお、上述した第4〜第9の実施例では、主に、Bi2Te3系熱電半導体材料を例にとり説明したが、BiSb系熱電半導体材料について実施した場合にも同様の結果が得られる。
【0207】
なお、上述した第1〜第9の実施例では,Bi2Te3系熱電半導体およびBiSb系熱電半導体について説明したが、他の菱面体を有する熱電半導体材料にも適用可能である。
【0208】
なお、本実施例では、主として、ホットプレス(加圧焼結)によって得られた粉末焼結体を、熱間すえこみ鍛造する場合を想定して説明したが、本発明としてはこれに限定されるわけではない。
【0209】
固溶体粉末を加圧した加圧体を熱間すえこみ鍛造してもよく、固溶体粉末を、加圧した後、焼結させた焼結体を熱間すえこみ鍛造してもよい。さらには、比較例で示したように、材料を溶融し、凝固させたもの(溶製材)を所望の固溶体ブロックとして切り出し、これを直接、熱間すえこみ鍛造してもよい。
【0210】
また、本実施例では、熱電半導体材料を熱間鍛造で得る場合を想定して説明したが、本実施例で説明した熱間鍛造方法は、あらゆる材料に適用可能である。
【0211】
本発明の熱間鍛造の適用対象材料としては、六方晶構造、層状構造、またはタングステンブロンズ構造からなる磁性材料、誘電体材料、超伝導体材料が含まれ、たとえばビスマス層状構造強誘電体、ビスマス層状構造高温超伝導体などが挙げられる。
【0212】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の方法によれば配向性が高く製造歩留まりの高い熱電半導体材料を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電半導体の製造方法における熱間すえこみ鍛造を示す概念図
【図2】本発明による熱間すえこみ鍛造後の熱電半導体材料の顕微鏡写真
【図3】本発明による熱間すえこみ鍛造前の熱電半導体材料の顕微鏡写真
【図4】本発明の熱電半導体の製造方法のフローチャートを示す図
【図5】本発明の第1の実施例の方法で用いられるすえこみ装置を示す図
【図6】本発明の熱間すえこみ鍛造における鍛造時間とインゴット厚さとの関係を測定した結果を示す図
【図7】このインゴットの4半部分の単結晶に対する密度比の分布を示す図
【図8】本発明の熱間すえこみ鍛造における加圧力とインゴットの厚さ減少量との関係を示す図
【図9】本発明の第2の実施例の方法で用いられるすえこみ装置を示す図
【図10】本発明実施例の方法における圧力と時間およびインゴット厚さの関係を示す図
【図11】このインゴットの4半部分の単結晶に対する密度比の分布を示す図
【図12】熱電モジュールを示す図
【図13】本発明の方法で形成した熱電素子材料を用いて形成した熱電モジュールの放熱面温度と最大温度差との関係を示す図
【図14】本発明の方法で形成した熱電素子材料を用いて形成した熱電モジュールの放熱面温度と最大温度差との関係を示す図
【図15】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図16】本発明の実施例の鍛造工程を繰り返し行う様子を示す図
【図17】本発明の実施例で作成された熱電モジュールの強度を計測する様子を説明する図
【図18】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図19】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図20】鍛造インゴットの物性値を計測する測定ピースを示す図
【図21】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図22】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図23】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図24】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図25】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図26】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図27】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図28】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図29】本発明の実施例の方法における圧力およびインゴット高さの時間変化を示す図
【図30】本発明の実施例のすえこみ装置を説明する図
【図31】本発明の実施例のすえこみ装置を説明する図
【符号の説明】
1 ベース
2 スリーブ
3 パンチ
H 空洞
5 p型素子
6 n型素子
7 接合電極
11 ベース
12 スリーブ
13 パンチ

Claims (5)

  1. 所望の組成をもつように材料粉末を混合し、加熱溶融せしめる加熱工程と、
    菱面体構造(六方晶構造)を有する熱電半導体材料の固溶インゴットを形成する凝固工程と、
    前記固溶体インゴットを粉砕し固溶体粉末を形成する粉砕工程と、
    前記固溶体粉末の粒径を均一化する整粒工程と、
    粒径の均一となった前記固溶体粉末を加圧焼結せしめる焼結工程と、
    この粉末焼結体を熱間で塑性変形させ、前記焼結工程における加圧方向と垂直に加圧しつつ展延することで、粉末焼結組織の結晶粒を性能指数の優れた結晶方位に配向せしめる熱間すえこみ鍛造工程とを含むことを特徴とする熱電半導体材料の製造方法。
  2. 所望の組成をもつように材料粉末を混合し、加熱溶融せしめる加熱工程と、
    菱面体構造(六方晶構造)を有する熱電半導体材料の固溶インゴットを形成する凝固工程と、
    前記固溶体インゴットを粉砕し固溶体粉末を形成する粉砕工程と、
    前記固溶体粉末の粒径を均一化する整粒工程と、
    粒径の均一となった前記固溶体粉末を加圧焼結せしめる焼結工程と、
    この粉末焼結体を熱間で塑性変形させ、前記焼結工程における加圧方向と一致する方向に加圧しつつ展延し、その後前記焼結工程における加圧方向と垂直方向に展延することで、粉末焼結組織の結晶粒を性能指数の優れた結晶方位に配向せしめる熱間すえこみ鍛造工程とを含むことを特徴とする熱電半導体材料の製造方法。
  3. 所望の組成をもつように材料粉末を混合し、加熱溶融せしめる加熱工程と、
    菱面体構造(六方晶構造)を有する熱電半導体材料の固溶インゴットを形成する凝固工程と、
    前記固溶体インゴットを粉砕し固溶体粉末を形成する粉砕工程と、
    前記固溶体粉末の粒径を均一化する整粒工程と、
    粒径の均一となった前記固溶体粉末を加圧焼結せしめる焼結工程と、
    この粉末焼結体を熱間で塑性変形させ、前記焼結工程における加圧方向と垂直方向に加圧しつつ展延し、その後前記焼結工程における加圧方向と一致する方向に展延することで、粉末焼結組織の結晶粒を性能指数の優れた結晶方位に配向せしめる熱間すえこみ鍛造工程とを含むことを特徴とする熱電半導体材料の製造方法。
  4. 所望の組成をもつように材料粉末を混合し、加熱溶融せしめる加熱工程と、
    菱面体構造(六方晶構造)を有する熱電半導体材料の固溶インゴットを形成する凝固工程と、
    前記固溶体インゴットを粉砕し固溶体粉末を形成する粉砕工程と、
    前記固溶体粉末の粒径を均一化する整粒工程と、
    粒径の均一となった前記固溶体粉末を加圧焼結せしめる焼結工程と、
    この粉末焼結体を熱間で、1000kg/cm2以下の初期荷重圧力で、塑性変形させ、展延することで、粉末焼結組織の結晶粒を性能指数の優れた結晶方位に配向せしめる熱間すえこみ鍛造工程とを含むことを特徴とする熱電半導体材料の製造方法。
  5. 所望の組成をもつように材料粉末を混合し、加熱溶融せしめる加熱工程と、
    菱面体構造(六方晶構造)を有する熱電半導体材料の固溶インゴットを形成する凝固工程と、
    前記固溶体インゴットを粉砕し固溶体粉末を形成する粉砕工程と、
    前記固溶体粉末の粒径を均一化する整粒工程と、
    粒径の均一となった前記固溶体粉末を加圧焼結せしめる焼結工程と、
    この粉末焼結体を熱間で、1000kg/cm2以下の荷重圧力で、塑性変形させ、展延することで、粉末焼結組織の結晶粒を性能指数の優れた結晶方位に配向せしめる熱間すえこみ鍛造工程とを含むことを特徴とする熱電半導体材料の製造方法。
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