JP4166348B2 - 熱電半導体材料、熱電素子、これらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電半導体材料、熱電素子、これらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ペルチェ効果、あるいはエッチングスハウゼン効果を利用した電子冷却素子、あるいはゼ―ベック効果を利用した熱電発電素子は、構造が簡単で、かつ取扱いが容易で安定な特性を維持できることから、広範囲にわたる利用が注目されている。特に電子冷却素子としては、局所冷却および室温付近の精密な温度制御が可能であることから、オプトエレクトロニクス、半導体レーザなどの温調、小型冷蔵庫などへの適用に向けて広く研究開発が進められている。
【0003】
この電子冷却および熱電発電に用いる熱電素子(熱電モジュール)は、図8に示すようにP型半導体50とN型半導体60とを金属電極70を介して接合してPN素子対を形成し、このPN素子対を複数個直列に配列し、接合部を流れる電流の方向によって一方の端部が発熱せしめられると共に他方の端部が冷却せしめられるように構成されている。この熱電素子の材料には、その利用温度域で、物質固有の定数であるゼーベック係数αと比抵抗ρと熱伝導率κによって表わされる性能指数Z(=α2/ρκ)が大きな材料が用いられる。
【0004】
熱電半導体材料の多くはその結晶構造に起因した熱電性能の異方性をもつ。すなわち性能指数Zが結晶方位により異なる。そのため、単結晶材料では熱電性能の大きな結晶方位に通電し使用する。一般に異方性結晶は劈開性をもち材料強度が脆弱であるため、実用材としては単結晶材料ではなく、ブリッジマン法などで一方向凝固させ熱電性能の大きな結晶方位に配向させた多結晶材料が使用される。
【0005】
しかしながら、多結晶材料とても単結晶程ではないが材料強度が脆弱であり、素子加工時に素子の割れや欠けが生じ易いという問題がある。
【0006】
すなわち、電子冷却素子として一般に用いられる多結晶材は、テルル化ビスマス(Bi2Te3)、テルル化アンチモン(Sb2Te3)、セレン化ビスマス(Bi2Se3)の混晶系であるBi2Te3系熱電材料である。このBi2Te3系熱電材料は六方晶構造であり、Biからなる層とTeからなる層が六方晶C軸に垂直に積層した構造になっている。この結晶構造に起因して電気的、熱的に異方性を持ち、熱電性能についてもC面方向がC軸方向に比べて良好である。よって一方向凝固法によって熱電性能の良好な方位に結晶の成長方向を制御して溶製材を生成して熱電素子として使用する。しかし結晶構造におけるTe層同士が積層する部分では相互のTe原子がファン・デア・ワールス結合しているため著しい劈開性を有している。このため強度的に脆弱で結晶材から熱電素子を得るためのカッティング工程等で割れや欠けが発生し歩留まり率が極めて低くなったり、熱電素子(熱電モジュール)としての耐久性がないといった問題がある。
【0007】
そこで、溶製材(凝固材)を粉砕し粉末化した材料を焼結し、材料強度を向上させた素子を得る試みが従来より行われている。
【0008】
焼結材は溶製材に比べて確かに劈開性がなく材料強度が飛躍的に向上するが、材料強度を得た代償として結晶方位の配向がランダムになったり結晶配向性を持つものの緩やかな分布になることから配向度が低くなってしまい熱電性能(性能指数Z)が溶製材に比べ劣ってしまうという問題があった。
【0009】
このように十分な強度と熱電性能を持ち合わせた熱電半導体材料は従来存在しなかった。そこで本出願人は塑性変形加工の一種である熱間すえこみ鍛造加工の工程を経て十分な強度と熱電性能を併せもたせた熱電半導体材料を生成するという発明を既に特許出願している(特願平9−250624号、特願平9−269389号)。すなわち焼結体を熱間(すえこみ)鍛造し、C面の向きを圧縮外力によって揃え、強度的にも熱電性能的にも従来の溶製材、焼結材に比べて向上させるようにしている。
【0010】
しかし近年、より強度的に優れ単結晶に限りなく近い結晶配向を持ち、より微細な組織を持った熱電素子が要求されている。すなわち、
1)熱電素子により高い強度を持たせることによって欠けや割れを減らし、製造時の歩留まり率を高めること。
【0011】
2)熱電素子の結晶の向きをより一方向に揃え、熱電性能の異方性を高め、熱電性能を向上させること。
【0012】
3)結晶粒をより微細化することによって熱伝導率κを低くし熱電性能を向上させること(熱伝導率κが小さいほど性能指数Zは大きくなる)。
【0013】
が要求される。なお結晶構造が微細になると熱伝導率κは下がるといわれている。
【0014】
ここで、これら要求を満足する可能性のある加工法として塑性変形加工の一種である押出し成形加工が考えられる。
【0015】
従来の押出し成形加工の概念図を図9に示す。押出し成形加工によって熱電素子を製造する発明としては、特開昭63−138789号公報、特開平8−186299号公報、特開平10−56210号公報に記載されたものが挙げられる。
【0016】
これら公報に記載された押出し加工は、同図9に示すように、熱電半導体材料の円柱状の焼結体90に対してパンチにより押圧力を押出し方向Dに加えてダイス(押出し型)80の円柱状の押出し口80aから押し出すことにより、成形前より径の小さい円柱状の押出し成形品90′を成形するという方法をとっている。
【0017】
押出し成形加工では、円柱状の焼結体90が押出し型80内で円周の全周方向Lから外力を受けながら(円周方向に均等に圧縮されながら)塑性変形する。このため金型の内部において材料にかかる外力は熱間鍛造に比べて大きく、かつ材料全体に力がかかりやすい。
【0018】
したがって塑性変形による破壊と成形中の動的再結晶が良好に行われ、熱間鍛造に比べて結晶粒がより微細化する。結晶粒がより微細化することによって熱伝導率κが低くなり熱電性能が向上する。
【0019】
また熱間鍛造よりも外力の加わり度合いが良好であり、C面が揃いやすく異方性を高め熱電性能を向上させることができる。
【0020】
また熱間鍛造によると成形体内部の各部で変形状態が異なり熱電特性の分布にばらつきがあるが、押出し成形によると成形体内部での熱電特性の分布のばらつきは少ない。このような熱電特性のばらつきの少なさとあいまって材料が強度的に向上することによって製造時の歩留まり率が向上する。
【0021】
このように押出し加工によれば、上記要求1)〜3)を満足することができる。
【0022】
しかし従来の押出し成形加工法は、円柱状の押出し成形品90′を成形するというものである。円柱状の押出し成形品90′が成形されると以下のような問題が招来するため従来の押出し成形加工法を採用することはできなかった。
【0023】
すなわち従来の方法によれば、押出し成形によって得られた円柱状の押出し成形品90′をさらに円板状に切断して、得られた円板状の熱電素子から熱電モジュールが組み立てられることを前提としている。
【0024】
ところが近年製作される熱電モジュールとしては、もちろん上述したように円板状の熱電素子を使用することもあるが、直方体状に切断した熱電素子を使用することが多い。直方体状の熱電素子を円柱状の押出し成形品90′から切り出す場合には直方体状に切り出した残りの部分を廃棄せざるを得なく歩留まり率がきわめて低くなってしまう。
【0025】
また押出し成形時に、円柱状の押出し成形品90′の側面の表面に不純物が付着したり、微小なクラックが形成されたり、潤滑材が付着したりする。これらは抵抗増加を招き熱電性能の低下を引き起こす要因となる。また強度低下を引き起こす要因となる。
【0026】
したがって熱電性能を上げ強度を高めるためには円柱状の押出し成形品90′の表面に付着した不純物、クラック等を取り除き清浄にする必要がある。
【0027】
しかし円柱状の材料90′を切削等の機械加工によって研磨することは多大な手間がかかる。すなわち円柱状の材料90′であるので旋盤に材料をすえつけ材料を回転させて切削加工し表面を研磨しなければならず工数がかさむおそれがある。しかも強度的に向上しているとはいえ元々脆い材料であるため旋盤で切削加工した場合には材料が崩れてしまうおそれがある。
【0028】
したがって事実上は円柱状の押出し成形品90′を機械加工によって表面を研磨することはできなかった。
【0029】
また上述したように従来の押出し加工によって得られる押出し成形品90′の表面には微小なクラックが形成される。このクラックをなくすために押出し成形品90′の密度を上げる工程が必要となる。具体的には押出し工程の後工程で圧密工程を行うことが考えられる。圧密工程とは、金型に押出し成形品を入れて密閉鍛造により圧縮して密度を増加させる工程のことである。
【0030】
しかし円柱状の押出し成形品90′を圧密するに際して押出しにより並んだ配向を乱さずに行うことは、現在の技術では不可能である。
【0031】
このように押出し成形品90′が円柱状であると、直方体状の熱電素子を切り出す際の歩留まり率が低く、表面の研磨工程が事実上不可能で、圧密工程についても事実上不可能であるという問題があり、従来の押出し成形加工法をそのまま採用することはできなかった。
【0032】
本発明はこうした問題点に鑑みてなされたものであり、直方体状の熱電素子を切り出す際の歩留まり率を高め、表面の研磨工程、圧密工程を可能ならしめることを第1の解決課題とするものである。
【0033】
ところで従来の押出し成形加工法では、円柱状の焼結体90を円周の全周方向Lに均等に圧縮して絞り込むことで、より径の小さい円柱状の押出し成形品90′が成形される。
【0034】
ここで熱電素子としては、電流または熱流が、結晶(六方晶構造)の基底面であるC面が揃った方向(C面に水平な方向)に流れると、熱電性能が最大になる。熱電素子の熱電性能が高まると最大温度差が大きくとれ冷却効率のよい熱電モジュールを得ることができる。
【0035】
したがって押出し成形時に組織を構成する結晶のC面を特定の方向に揃え配向させることが重要となる。
【0036】
しかし上述したように円柱状の焼結体90を円周の全周方向Lに均等に圧縮して絞り込む方法をとると、C面が特定の方向に揃いにくいことが本発明者らによって明らかになった。
【0037】
しかも円柱状の焼結体90を円周の全周方向Lに均等に圧縮して絞り込む方法をとると、円柱状の押出し成形品90′の側面の表面に不純物が付着したり、微小なクラックが形成されたり、潤滑材が付着し易くなる。これらは抵抗増加を招き熱電性能の低下を引き起こす要因となる。また強度低下を引き起こす要因となる。
【0038】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、上記第1の解決課題を解決することに加えて、C面を特定の方向に揃えやすくし、押出し成形品表面のクラック等を低減できるようにすることを第2の解決課題とするものである。
【0039】
ところで従来の押出し成形加工法では、熱電半導体材料の原料となる粉末を焼結させこの焼結体90を押出し型80の中に入れてこれを押し出し押出し成形品90′を成形する方法がとられる。
【0040】
この場合の焼結工程と押出し工程の様子を図10に示す。
【0041】
いま図10(a)に示すように焼結工程では、円柱状の型内に熱電半導体材料が入れられ円柱頭部から矢印B方向に加圧することで材料が圧縮される。なお加熱も同時に行われ材料が焼結され焼結体90が成形される。このとき圧縮方向Bに対して垂直方向Cxに六方晶構造の結晶の基底面であるC面が配向する。
【0042】
つぎに図10(b)に示すように押出し工程では、円柱状の焼結体90の円柱頭部に矢印D方向に押圧力が加えられ押出し型80内で焼結体90が円周全周方向Lから外力を受けて塑性変形する。この結果押出し成形品90′が成形される。このとき押出し方向Dに対して水平方向Cxに六方晶構造の結晶の基底面であるC面が配向する。
【0043】
したがって焼結工程と押出し工程とでは、C面の揃う向きが90゜異なり結果としてC面は揃いにくくなる。よって押出し成形品90′に対して押出し方向Dと同じ方向に電流を流したとしても要求される熱電性能は得られない。
【0044】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、上記第1の解決課題、第2の解決課題を解決することに加えて、押出し工程前の加圧工程(焼結工程)時の加圧方向と押出し工程時の加圧方向を一致させることによってC面の配向度を向上させC面の強く配向された方向と電流が流れる方向とを一致させることによって熱電性能をより向上させることを第3の解決課題とするものである。
【0046】
【課題を解決するための手段および作用効果】
そこで、本発明の第1発明の熱電半導体材料の製造方法では、上記第2の解決課題を達成するために、
所望の組成を持つ熱電半導体材料に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ他の軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、直方体状の押出し成形品を成形して、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる押出し工程
を含むことを特徴とする。
所望の組成を持つ直方体状に形成された熱電半導体材料に対して押圧力を加えて押し出し型から押し出すことにより、成形前より断面積の小さい直方体状の押し出し成形品を成形して、押し出し方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる押出し工程
を含むことを特徴とする。
【0047】
第2発明の熱電半導体材料の製造方法では、上記第3の解決課題を達成するために、
所望の組成を持つ熱電半導体材料を加圧することにより熱電半導体材料の圧粉体または焼結体を成形する加圧工程と、
前記圧粉体または焼結体に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ前記加圧工程における加圧方向に一致する軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、直方体状の押出し成形品を成形して、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる押出し工程と
を含むことを特徴とする。
【0048】
第3発明の熱電半導体材料の製造方法は、第1発明または第2発明において、
前記押出し工程で変形を加える軸方向に一致する軸方向に加圧することにより前記押出し成形品の密度を高めるとともに、加圧した方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる圧密工程
をさらに含むことを特徴とする。
【0050】
第4発明の熱電素子の製造方法では、上記第2の解決課題を達成するために、
所望の組成を持つ熱電半導体材料に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ他の軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、直方体状の押出し成形品を成形して、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる押出し工程と、
前記直方体状の押出し成形品から、前記変形を加えた方向に垂直な方向に電流が流れる直方体状の熱電素子を成形する熱電素子成形工程と
を含むことを特徴とする。
【0051】
第5発明の熱電素子の製造方法では、上記第3の解決課題を達成するために、
所望の組成を持つ熱電半導体材料を加圧することにより熱電半導体材料の圧粉体または焼結体を成形する加圧工程と、
前記圧粉体または焼結体に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ前記加圧工程における加圧方向に一致する軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、直方体状の押出し成形品を成形して、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる押出し工程と、
前記直方体状の押出し成形品から、前記変形を加えた方向に垂直な方向に電流が流れる直方体状の熱電素子を成形する熱電素子成形工程と
を含むことを特徴とする。
【0052】
第6発明の熱電素子の製造方法は、第4発明または第5発明において、
前記押出し工程で変形を加える軸方向に一致する軸方向に加圧することにより前記押出し成形品の密度を高めるとともに、加圧した方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる圧密工程
をさらに含むことを特徴とする。
【0054】
第7発明の熱電半導体材料では、上記第2の解決課題を達成するために、
所望の組成を持つ熱電半導体材料に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ他の軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面が配向されるように直方体状の押出し成形品として成形された熱電半導体材料であることを特徴とする。
【0055】
第8発明の熱電半導体材料では、上記第3の解決課題を達成するために、
所望の組成を持つ熱電半導体材料を加圧することにより熱電半導体材料の圧粉体または焼結体を成形し、さらに前記圧粉体または焼結体に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ加圧方向に一致する軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面が配向された直方体状の押出し成形品として成形された熱電半導体材料であることを特徴とする。
【0057】
第9発明の熱電素子では、上記第2の解決課題を達成するために、
所望の組成を持つ熱電半導体材料に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ他の軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面が配向された直方体状の押出し成形品を成形し、さらに前記直方体状の押出し成形品から、前記変形を加えた方向に垂直な方向に電流が流れるように直方体状に成形されてなる熱電素子であることを特徴とする。
【0058】
第10発明の熱電素子では、上記第3の解決課題を達成するために、
所望の組成を持つ熱電半導体材料を加圧することにより熱電半導体材料の圧粉体または焼結体を成形し、さらに前記圧粉体または焼結体に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ加圧方向に一致する軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面が配向された直方体状の押出し成形品を成形し、さらに、前記直方体状の押出し成形品から、前記変形を加えた方向に垂直な方向に電流が流れるように直方体状に成形されてなる熱電素子であることを特徴とする。
【0060】
すなわち第1発明ないし第10発明によれば、図2に示すように、熱電半導体材料の直方体状の焼結体15に対してパンチ13により押圧力が押出し方向Dに加えられダイス(押出し型)14の直方体状の押出し口14aから押し出されることにより、成形前より断面積の小さい直方体状の押出し成形品15′が成形される。
【0061】
この押出し成形加工では、直方体状の焼結体15が押出し型14内で側面方向Eから外力を受けながら塑性変形する。このため金型の内部において材料にかかる外力は熱間鍛造に比べて大きく、かつ材料全体に力がかかりやすい。図2に示すように焼結体15の側面を一方の一軸方向Eのみに絞り込み変形させてもよく、図3に示すように焼結体15の側面を全2軸方向E、Fに絞り込み変形させてもよい。
【0062】
したがって塑性変形による破壊と成形中の動的再結晶が良好に行われ、熱間鍛造に比べて結晶粒がより微細化する。結晶粒がより微細化することによって熱伝導率κが低くなり熱電性能が向上する。
【0063】
また熱間鍛造よりも外力の加わり度合いが良好であり、C面が揃いやすく異方性を高め熱電性能を向上させることができる。
【0064】
また熱間鍛造によると成形体内部の各部で変形状態が異なり熱電特性の分布にばらつきがあるが、押出し成形によると成形体内部での熱電特性の分布のばらつきは少ない。このような熱電特性のばらつきの少なさとあいまって材料が強度的に向上することによって製造時の歩留まり率が向上する。
【0065】
さらには、押出し成形品15′が直方体状に成形されるので、図7(e)に示すように直方体状の熱電素子30を効率よく切り出すことができ製造時の歩留まり率が飛躍的に向上する。また直方体状の押出し成形品15′の表面は平坦であるので機械加工によってきわめて容易に表面を研磨することができる。また押出し成形品15′は直方体状であるので図7(d)に示すように金型に押出し成形品を入れて圧密させることが可能となる。
【0066】
以上のように本発明によれば、押出し成形の利点を生かして熱間鍛造よりも熱電性能等を向上させることができるとともに、従来の押出し成形で生じていた問題点が解決され直方体状の熱電素子を切り出す際の歩留まり率が高められ、表面の研磨工程、圧密工程が可能となる。
【0067】
また第1発明、第3発明の熱電半導体材料の製造方法、第4発明、第6発明の熱電素子の製造方法、第7発明の熱電半導体材料、第9発明の熱電素子によれば、図2に示すように、熱電半導体材料の直方体状の焼結体15に対してパンチ13により押圧力が押出し方向Dに加えられダイス(押出し型)14の直方体状の押出し口14aから押し出されることにより、成形前より断面積の小さい直方体状の押出し成形品15′が成形される。
【0068】
この押出し成形加工では、直方体状の焼結体15が押出し型14内で押出し方向Dに対して垂直な2軸E、Fのうち一方の軸F方向の変形が拘束されつつ他の軸E方向に変形される。したがって図6(c)に示すように変形が加えられた方向Eに垂直な方向CxにC面が揃いやすくなる。また押出し成形品15′の表面のクラック等が低減される。
【0069】
なお上述した第1発明、第4発明、第7発明、第9発明で、押出し工程で押出し成形加工の対象となる「熱電半導体材料」の概念の中には、熱電半導体材料の原料を混合させただけのもの、混合した原料を加熱溶融させた後一方向性凝固などにより凝固させた溶製材、溶製材を粉砕した溶製材の粉末、溶製材を粉砕した粉末を加圧して固めた圧粉体、溶製材を粉砕した粉末をホットプレス装置により加圧と焼結を同時に施したホットプレス品(加圧焼結体)、プレス(圧粉)した後にシンタ(焼結)させたプレス・シンタ品、あるいは熱間鍛造したホットホージ品(熱間鍛造品)などが含まれる。
【0070】
また第2発明、第3発明の熱電半導体材料の製造方法、第5発明、第6発明の熱電素子の製造方法、第8発明の熱電半導体材料、第10発明の熱電素子によれば、図6(a)、(b)、(c)に示すように、焼結工程で熱電半導体材料が方向Bに加圧され焼結体15が成形される。なお加熱をしないで熱電半導体材料を加圧するだけで圧粉体を成形してもよい。押出し工程では、直方体状の焼結体15に対してパンチ13により押圧力が押出し方向Dに加えられダイス(押出し型)14の直方体状の押出し口14aから押し出されることにより、成形前より断面積の小さい直方体状の押出し成形品15′が成形される。
【0071】
この押出し成形加工では、直方体状の焼結体15が押出し型14内で押出し方向Dに対して垂直な2軸E、Fのうち一方の軸F方向の変形が拘束されつつ焼結工程における加圧方向Bに一致する軸E方向に変形される。
【0072】
したがって焼結工程と押出し工程とで、圧縮によってC面の揃う向きが一致することになり結果としてC面は揃いやすくなる。これによってC面の配向度が飛躍的に向上し、C面が強く配向された方向と電流が流れる方向Kとを一致させることによって熱電性能が更に向上する。
【0073】
上述した各発明で押出し成形加工時に、熱電半導体材料を最適な温度範囲になるように加熱してもよい。ただし再結晶温度よりも低い温度とし成分の昇華による性能劣化や結晶粒の成長により配向が失われてしないようにすることが望ましい。また焼結が行われず固化できないような低温度にしないことが望ましい。
【0074】
本発明の熱電半導体材料は、特にBi2Te3系半導体材料またはBiSb系半導体材料が用いられる。
ここでBi2Te3系熱電半導体材料とは、Bi2ーxSbxTe3ーy-zSeySz (0≦x≦2、0≦y+z≦3)であらわされるものをいい、結晶中に不純物を含むものも含まれるものとする。同様に、BiSb系半導体材料とは、Bi1-xSbx(0<x<1)であらわされるものをいい、結晶中にドーパントとしての不純物を含むものも含まれるものとする。
【0075】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0076】
本実施形態では、N型のBi2Te3系半導体材料を想定して説明する。しかし、本発明としてはBiSb系半導体材料についても適用することができる。またP型の材料についても適用することができる。
【0077】
本実施形態の熱電半導体材料は以下のようにして製造される。図1は実施形態の押出し成形装置10の外観の構成を示す図であり、図2は押出し成形装置10のうちダイス(押出し型)の構造を示す図であり、図6(a)、(b)、(c)、図7(d)、(e)は実施形態の焼結工程以降の工程を説明する図である。以下これら図を適宜併せ参照しつつ説明する。
【0078】
(加熱工程)
まず、熱電半導体材料の原料となるビスマスBi、テルルTe、セレンSeの元素単体を、化学量論比Bi2Te2.7Se0.30となるように秤量し、さらにキャリア濃度を調整する化合物を適量に添加したものを混合させた。
【0079】
つぎに、この熱電半導体材料の原料混合物を加熱して溶融させた。
【0080】
(凝固工程)
つぎにこの溶融された原料混合物を一方向性凝固により凝固させ、溶製材料を作成した。
【0081】
(粉砕工程)
つぎにこの溶製材をスタンプミル、ボ―ルミル等で粉砕し溶製材の粉末を形成した。
【0082】
(整粒工程)
つぎに上記溶製材の粉末を150メッシュおよび400メッシュの篩にかけ400メッシュの篩上に残ったものを選び、粒径34〜108μm程度の粉末に揃え、粉末の粒径を均一化した。
【0083】
(水素還元工程)
整粒後、真空排気下で所定容量のガラスアンプル内に所定容量の粉末を供給し、水素を注入して0.9気圧に封止したのち、350°Cの加熱炉内で10時間の熱処理を行うことにより、水素還元を行った。なお、この水素還元工程は省略してもよい。
【0084】
(焼結工程)
つぎに図6(a)に示すように上記粉末化した原料に対してホットプレス装置を用いて加圧と焼結を同時に行った。すなわち粉末原料が直方体状の型内に入れ、これを矢印B方向に圧縮し直方体状の焼結体15を成形した。このとき圧縮方向Bに対して垂直方向Cxに六方晶構造の結晶の基底面であるC面が配向する。
【0085】
焼結体(加圧焼結体)15は、押出し成形装置10のダイス(押出し型)14内に入れるために型のサイズに合わせて図中縦、横、奥行きがそれぞれ30mm、40mm、17、5mmとなるサイズに切断される。なおダイス(押出し型)14と同じサイズの焼結型を用いて焼結させてもよい。この場合はダイス(押出し型)14のサイズに切断する工程を省略することができる。
【0086】
つぎに図6(b)に示すように、焼結体15が90゜反転されて焼結時圧縮方向Bが水平方向となり、押し出すべき方向Dが鉛直方向となる姿勢にされる。
【0087】
かかる姿勢で焼結体15が押出し製造装置10のダイス(押出し型)14内に入れられる。
【0088】
(押出し工程)
ここでこの押出し工程で使用される押出し成形装置10の構成について説明する。
【0089】
押出し成形装置10は図1に示すように大きくは、熱電半導体材料の直方体状の焼結体15をより断面積の小さい直方体状に形成して押し出す金型であるパンチ13、ダイス(以下押出し型という)14と、押出し型14を支持し押出し型14から押し出された押出し成形品15′を取り出すことができるベース17と、パンチ13を上下動させるスライド11を備えている。
【0090】
スライド11はたとえば油圧アクチュータ(油圧シリンダ)により駆動される。流量制御弁の開口量が制御されることによって上記油圧アクチュエータへの圧油供給量が変化されスライド11が上下動する速度が変化しこれによりパンチ13が上下動する速度が変化する。この実施形態ではスライド11を矢印D方向に下降させることによりパンチ13を押し下げ、押出し型14内の焼結体15が押し出される。なおスライドを上昇させることにより焼結体15が押し出されるように構成してもよい。荷重計12によってパンチ13による押圧力が計測され、変位計18によってパンチ13による押出し変位(下降変位)が計測される。図示せぬコントローラは、荷重計12の計測値と変位計18の計測値を入力し、変位と荷重の関係をモニタ画面上に表示する。
【0091】
また上記コントローラは、変位計18の計測値の変化量と経過時間の関係をモニタし、このモニタ結果からパンチ13が一定の押出し速度で押出し成形品15′を押し出すように上記流量制御弁の開口量を制御する。なお変位計18の計測値と経過時間の関係をモニタ画面上に表示し、オペレータによる手動操作によりパンチ13が一定の押出し速度で押出し成形品15′を押し出すように上記流量制御弁の開口量を調整してもよい。
【0092】
この押出し成型装置10は加熱装置を兼用している。
【0093】
押出し型14は焼結体15の周囲を囲繞する金型であり、押出し型14のさらに周囲には、焼結体15を所望の設定温度下で加熱するヒータ16が配設されている。押出し型14には焼結体15の温度を検出する温度センサ25(たとえば熱電対が使用される)が配設されている。図示せぬコントローラは温度センサ25の検出温度をフィードバック信号としてヒータ16に供給される電力を制御して焼結体15の温度を所望の温度に設定する。
【0094】
押出し型14は、たとえばダイス半角が15゜となり、押出し比が4になるように設計されている。ここで押出し比とは、図6(c)に示すように押出し成形前の焼結体15の横断面積A0(30mm×17.5mm)と押出し成形後の押出し成形品15′の横断面積A1(17、5mm×7.5mm)の比A0/A1(=4)のことである。横断面積とは押出し方向Dに垂直な断面の面積のことである。
【0095】
押出し型14は図2に示すように直方体状の焼結体15に対応した直方体形状であり、出口に向かうにつれて徐々に断面積が小さくなる直方体状の押出し口14aを備えている。
【0096】
パンチ13は焼結体15の断面積A0(30mm×17.5mm)の頭部に当接される金型である(図4、図6(b)参照)。
【0097】
以下、上記押出し成形装置10が作動されることによって焼結体15から押出し成形品15′が押し出され製造されるまでの様子について主として図2、図6(c)を参照しつつ説明する。
【0098】
すなわち直方体状の焼結体15が押出し型14内に入れられると、ヒータ16に供給される電力が制御され、設定温度(たとえば450゜C)まで昇温される。
【0099】
設定温度に到達した後押出し型14内にパンチ13が挿入されパンチ13が上記設定温度まで昇温されるようにその状態のままたとえば5分間保持される。なお押出し工程時の設定温度と焼結工程時の設定温度は一致させてもよく若干異ならせてもよい。
【0100】
その後パンチ13の下降が開始され一定の押出し速度(たとえば0.5mm/min)で押出し成形品15′が押出し型14から押し出されていくように上記流量制御弁の開口量が制御される。
【0101】
こうして焼結体15に対してパンチ13により押圧力が押出し方向Dに加えられ押出し型14の押出し口14aから押し出されることにより、成形前の断面積A0に比べて断面積A1が1/4になった直方体状の押出し成形品15′が成形される。
この押出し成形加工では、図2に示すように直方体状の焼結体15が押出し型14内で押出し方向Dに対して垂直な2軸E、Fのうち一方の軸F方向の変形が拘束されつつ焼結工程時の圧縮方向Bに一致する軸E方向に変形される。つまり、
焼結体15の奥行き方向Fには変形せず17.5mmのままであり焼結体15の横方向Eには30mmから7.5mmに変形する。
このように本実施形態の押出し成形は「平面歪み押出し」という方法をとる。平面歪み押出しとは、押出し方向に対して垂直方向の2軸のうち1軸の変形を拘束して他の1軸のみを変形させるという押出し成形法のことである。
【0102】
このような平面歪み押出しによれば、図6(c)に示すように変形が加えられた方向Eに垂直な方向CxにC面が揃いやすくなる。これによってC面の配向度が飛躍的に向上する。よってC面が強く配向された方向と電流が流れる方向とを一致させることによって熱電性能が飛躍的に向上する。また平面歪み押出しによれば、押出し成形品15′の表面に形成されるクラック等を低減させることができる。
【0103】
しかも本実施形態では、焼結工程時の圧縮方向Bに一致する軸E方向に焼結体15は変形される。
【0104】
したがって図6(a)の焼結工程と図6(c)の押出し工程とで、圧縮によってC面の揃う向きCxが一致することになり結果としてC面は更に揃いやすくなる。これによってC面の配向度が更に向上する。よってC面が更に強く配向された方向と電流が流れる方向Kとを一致させることによって熱電性能が更に向上する。
【0105】
なお本実施形態では、押出し工程の前工程に焼結工程を行い焼結体15に対して押出し成形を行っているが、押出し工程で押出し成形加工の対象となる「熱電半導体材料」としては必ずしも焼結体15でなくてもよい。焼結せずに熱電半導体材料の粉末を加圧しただけの圧粉体に対して押出し成形加工を行うことで焼結と押出しを同時に行うようにしてもよい。
【0106】
この場合圧粉体を成形するときの加圧方向に一致する軸E方向に圧粉体を押出し成形加工により変形させれば、焼結工程時の圧縮方向Bに一致する軸E方向に焼結体15を変形させたのと同等の効果が得られる。
【0107】
ただし圧粉体を押出し成形して得られた押出し成形品の密度比は焼結体を押出し成形した場合に比較して小さくなり表面にクラック等が形成しやすい。またC面の配向度は低くなる。よって押出し成形品の密度を上げC面の配向度を高めるべく押出し工程の後工程で後述する圧密工程を行うことが望ましい。
【0108】
更に熱電半導体材料の原料を混合させただけのもの、混合した原料を加熱溶融させた後一方向性凝固などにより凝固させた溶製材、溶製材を粉砕した溶製材の粉末、プレス(圧粉)した後にシンタ(焼結)させたプレス・シンタ品、あるいは熱間鍛造したホットホージ品(熱間鍛造品)に対して押出し成形加工を施してもよい。
【0109】
つぎに押出し工程の前工程で熱を加えず焼結されていない圧粉体あるいは熱電半導体材料の粉末を押出し成形加工する場合に好適な押出し成形装置の構成例を図4に示す。この場合押出し型14の押出し口14aに栓19が嵌入される。その後圧粉体あるいは熱電半導体材料の粉末が押出し型14内に入れられる。栓19があるため押出し口14aから粉末が外部に漏れ出ることが防止される。パンチ13が押出し方向Dに下降するに伴い栓19とととも押出し成形品が押し出される。
【0110】
なお栓19としては押出し工程時の温度下で変形する材料(たとえばアルミ材)を使用することができる。また押し出すべき圧粉体等と同じ材料で構成してもよい。
【0111】
また圧粉体等をカプセルに封入して押出し型14内に入れて、押出し口14aから粉末が漏れ出ることを防止してもよい。
【0112】
また押出し口14aから粉末が外部に漏れ出るおそれのない焼結体15を押し出す場合でも、上記栓19を用いてもよい。この場合、パンチ13が押出し方向Dに下降するに伴い焼結体15の図中下面に栓19が当接されながら押出し成形品15′が押し出されていく。このように焼結体15の下面が栓19に押し当てられた結果、押し出されてできた押出し成形品15′の先端面表面におけるクラック発生が最小限に抑えられ先端部における密度比を向上させることができるという効果が得られる。
【0113】
また栓19で焼結体15の下面を押し当てる代わりに、図5に示すようにピストン20を用いて焼結体15の下面を積極的に上方向に押し上げるようにしてもよい。
【0114】
図5(a)に示す押出し成形装置では、押出し型14の押出し口14′a内にピストン20が摺動自在に挿入される。この場合押出し口14′aはピストン20が摺動できる程度に長いものであることが望ましい。
【0115】
そしてパンチ13によって焼結体15に対して下向きの力Dを加える。同時にピストン20を油圧力などによって駆動して焼結体15に対して同焼結体15が上昇しない程度の上向きの力Gを加える。こうしてピストン20の先端面によって焼結体15に上向きの力Gが加えられつつ焼結体15が下降されていき押出し成形品15′が押し出される。この結果押し出されてできた押出し成形品15′の先端面表面におけるクラック発生が最小限に抑えられ先端部における密度比が高められる。
【0116】
図5(a)に示すようにピストン20で発生した力を直接焼結体15に加えてもよく、図5(b)に示すようにピストン20と焼結体15との間に圧油21を介在させてピストン20で発生した力を圧油21を介して焼結体15に加えてもよい。
ところで上述した実施形態では、焼結体15の側面を一方の一軸方向Eのみを絞り込み、変形させる「平面歪み押出し」を行うようにしているが、図3に示すように焼結体15の側面を全2軸方向E、Fに絞り込み、変形させるようにしてもよい。
【0117】
図3に示す押出し型14内では、直方体状の焼結体15が全2軸E、F方向から外力を受けながら塑性変形する。つまり焼結体15の横方向E、奥行き方向Fともに変形を受けて断面積が均等に小さくなった押出し成形品15′が成形される。
図3に示すような押出しを行った場合も図2に示す平面歪み押出しを行った場合と同様に、金型14の内部において材料15にかかる外力は熱間鍛造に比べて大きく、かつ材料15の全体に力がかかりやすい。
【0118】
したがって塑性変形による破壊と成形中の動的再結晶が良好に行われ、熱間鍛造に比べて結晶粒がより微細化する。結晶粒がより微細化することによって熱伝導率κが低くなり熱電性能が向上する。
【0119】
また熱間鍛造よりも外力の加わり度合いが良好であり、C面が揃いやすく異方性を高め熱電性能を向上させることができる。
【0120】
また熱間鍛造によると成形体内部の各部で変形状態が異なり熱電特性の分布にばらつきがあるが、押出し成形によると成形体内部での熱電特性の分布のばらつきは少ない。このような熱電特性のばらつきの少なさとあいまって材料が強度的に向上することによって製造時の歩留まり率が向上する。
【0121】
さらには、押出し成形品15′が直方体状に成形されるので、図7(e)に示すように直方体状の熱電素子30を効率よく切り出すことができる。このため製熱電素子30製造時の歩留まり率が飛躍的に向上する。また直方体状の押出し成形品15′の表面は平坦であるので機械加工によってきわめて容易に表面を研磨することができる。また押出し成形品15′は直方体状であるので図7(d)に示すように圧密処理用の金型23に押出し成形品を入れて圧密させることが可能となる。
【0122】
以上のように、図2に示す平面歪み押出しを行った場合のみならず図3に示すような押出しを行った場合においても、押出し成形の利点を生かして熱間鍛造よりも熱電性能等を向上させることができる。さらには従来の円柱状の押出し成形品90′を成形する押出し成形加工法(図9参照)で生じていた問題点が解決され直方体状の熱電素子30を切り出す際の歩留まり率が高められ、表面の研磨工程、圧密工程が可能となる。
【0123】
(圧密工程)
ところで押出し成形によって得られた押出し成形品の密度は高くないと言われている。
【0124】
そこで押出し工程で得られた押出し成形品15′に対して図7(d)に示す圧密工程を行い、密度を高めるようにしてもよい。ただし押出し工程で得られた押出し成形品15′の密度が十分に高く、表面にクラックが発生したりせず内部に空隙がみられない成形品であれば、かかる圧密工程を実行するには及ばない。
【0125】
圧密工程とは、図7(d)に示すようにダイス23内に押出し成形品15′を入れて密閉鍛造により若干量圧縮して密度を増加させる工程のことである。
【0126】
まず圧密工程に先立ち、図6(c)に示すように押出し成形で得られた押出し成形品15′のうち断面積A1(17.5mm×7.5mm)がほぼ一定となっている板状部が切り出される。そして図7(d)に示すように上記板状部として切り出された押出し成形品15′がダイス23内に入れられる。このとき押出し工程時の変形方向Eが圧密工程時の圧縮方向Hと一致する姿勢にして押出し成形品15′をダイス23内に入れるようにする。
【0127】
ダイス23を上面からみた矢視I図にて示すように、ダイス23の型23aのサイズと押出し成形品15′のサイズが一致していない場合には、押出し成形品15′の周囲にスペーサ24が介在されて型23a内に入れられる。これによって圧縮時に押出し成形品15′が圧縮方向Hに対して垂直方向に変形することが防止される。なおスペーサ24としては焼結体15の廃材を使用することができる。
【0128】
そして型23aと同形状のパンチ22がH方向に押し下げられ型23a内の押出し成形品15′が圧縮される。本実施形態の圧密工程では、圧縮と加熱が同時に行われる。これにより押出し成形品15′は熱間密閉鍛造処理される。
【0129】
圧縮力としては、たとえば250kgf/cm2 の初期圧力から徐々に加圧していき最終的に500kgf/cm2 に到達させた。また温度については450゜Cに設定した。
【0130】
こうした熱間密閉鍛造によって押出し成形品15′内の空隙がつぶれ押出し成形品15′の表面に形成されたクラックが減少される。しかも本実施形態の場合には押出し工程時の変形方向Eと一致する方向Hに押出し成形品15′が圧縮される。したがって図6(c)の押出し工程と図7(d)の圧密工程とで、圧縮によってC面の揃う向きCxが一致することになり結果としてC面は圧密工程前よりも更に揃うことになる。これによってC面の配向度が更に向上する。よって図7(e)に示すようにC面が更に強く配向された方向と電流が流れる方向Kとを一致させることによって熱電性能が更に向上する。
【0131】
このようにして押出し成形品15′に対して圧密工程を行うことにより密度が高められクラックが低減されるとともに、C面がより強く配向された押出し成形品15″を得ることができる。
【0132】
(切出し工程)
つぎに図7(e)に示すように、圧密後の直方体状の押出し成形品15″から、直方体形状の熱電素子30が切り出される。
【0133】
熱電素子30は図中横、奥行き、縦がそれぞれ4mm、3mm、2mmとなる直方体形状に切り出される。熱電素子30の横4mmの方向が押出し方向Dに対応し、縦2mmの方向が変形方向E(絞り込み方向)に対応する。押出し成形品15″のa列、b列、c列毎に10個の熱電素子30が切り出された。押出し成形品15″の先端15″aからの各距離S毎に熱電素子30が切り出される。
【0134】
そしてこれら直方体状素子30の密度比、ゼーベック係数α、比抵抗ρ、パワーファクタ、比抵抗ρの異方性比を測定した。ただし、熱電性能を計るために素子30に流す電流は、押出し工程時の変形方向E、圧密工程時の圧縮方向Hに対して垂直な方向K(=押出し方向D)とした。
なお、ここで密度比とは、圧密後の熱電半導体材料の密度(圧粉密度)と、この圧密後の熱電半導体材料と同一組成の単結晶の真密度(理想密度)との比のことである。また異方性比とは、抵抗の方向性を示す値であり、この値が大きい程、結晶の配向の改善効果が顕著であるということを示す。またパワーファクタとは、ゼーベック係数αの2乗を比抵抗ρで割り、さらに0.1をかけた値である。この値が大きいほど熱電性能に優れるといえる。
【0135】
図11は、押出し成形品15″の先端15″aからの距離S(各距離S毎に切り出される熱電素子30)と、密度比の関係を示すグラフである。図11は押出し成形品15″のa列から切り出された熱電素子30の密度比を示している。
【0136】
同様に図12は、押出し成形品15″の先端15″aからの距離S(各距離S毎に切り出される熱電素子30)と、ゼーベック係数αの関係を示すグラフである。図12は押出し成形品15″のa列から切り出された熱電素子30のゼーベック係数αを示している。
【0137】
図13は、押出し成形品15″の先端15″aからの距離S(各距離S毎に切り出される熱電素子30)と、比抵抗ρの関係を示すグラフである。図13は押出し成形品15″のc列から切り出された熱電素子30の比抵抗ρ(これを黒丸で示す)と、押出し成形品15″のa列から切り出された熱電素子30の比抵抗ρ(これを白丸で示す)とを示している。
【0138】
同様に図14は、押出し成形品15″の先端15″aからの距離S(各距離S毎に切り出される熱電素子30)と、パワーファクタの関係を示すグラフである。図14は押出し成形品15″のc列から切り出された熱電素子30のパワーファクタ(これを黒丸で示す)と、押出し成形品15″のa列から切り出された熱電素子30のパワーファクタ(これを白丸で示す)とを示している。
【0139】
同様に図15は、押出し成形品15″の先端15″aからの距離S(各距離S毎に切り出される熱電素子30)と、比抵抗ρの異方性比の関係を示すグラフである。図15は押出し成形品15″のc列から切り出された熱電素子30の比抵抗異方性比(これを黒丸で示す)と、押出し成形品15″のa列から切り出された熱電素子30の比抵抗異方性比(これを白丸で示す)とを示している。
以下これら図11〜図15について説明する。
【0140】
・密度比
熱電素子30の密度は切り出した素子30の外寸を測定するとともに質量を測定し、外寸から得られた体積と質量との比から求めた。こうして求められた密度と、計算で予め求められる理想密度(真密度)の比から密度比を求めた。
【0141】
密度比は平均99.7%であり、距離S毎のばらつきも最小限であり押出し成形品15″全体に十分な密度比(評価基準99%以上)が得られた。すなわち一般に、密度比が低いと熱伝導度が低下するが、熱電性能は電気抵抗が増大するため低下する。また材料の強度も低下する。結局、熱電性能を向上させ、材料の強度も損なわないように密度比は高い方がよい。熱間鍛造品(ホットホージ品)については97%以上の密度比であれば材料の強度が確保され熱電性能が向上するという結果を本出願人らは得ている(特願平9−250624号)。密度比は最低でも99、25%であり、ホットホージ品の基準(97%)を満たしているのみならず、評価基準(99%)をも満たしている。
【0142】
・ゼーベック係数α
ゼーベック係数αは、素子30の相対する面に温度差10゜Cを与え発生した起電力を測定する測定器械を使用して測定した。
【0143】
・比抵抗ρ
抵抗値は素子30の相対する面に銅板の電極を半田付けし、交流4端子抵抗計で測定した。比抵抗ρは測定した抵抗値と密度を求めるために測定した素子寸法から求めた。
【0144】
・パワーファクタ
パワーファクタは、上記測定したゼーベック係数αと比抵抗ρから計算によって求めた。
【0145】
・比抵抗ρの異方性比
図7(e)に示すように押出し方向Dと同方向Kに通電して得られた比抵抗値aを測定するとともに、押出し成形時の変形方向E(絞り込み方向)と同方向Jに通電して得られた比抵抗値cを測定し、これら比抵抗値の比を異方性比とした。
【0146】
・全体評価
密度比、ゼーベック係数α、パワーファクタ、比抵抗異方性比の各測定値(計算値)は押出し成形品15″の先端15″a付近で低くなる傾向を示している。
【0147】
ただし、図4、図5(a)、(b)に示すように押出し成形時に焼結体15の先端面に栓、ピストンなどの所定の部材を押し当て押出し成形すれば、押出し成形品15″の先端15″a付近での密度比、パワーファクタ等の落ち込みを最小限に抑えることができる。
【0148】
つぎに押出し成形品15″の熱電特性と熱間鍛造品(ホットホージ品)の熱電特性を各温度毎に比較した結果を図16〜図19に示す。
【0149】
図16は温度Tとゼーベック係数αの関係を示すグラフである。熱間鍛造品を黒丸で示し、押出し成形品を白丸で示す。
【0150】
同様に図17は温度Tと比抵抗ρの関係を示すグラフであり、図18は温度Tと熱伝導率κの関係を示すグラフであり、図19は温度Tと性能指数Zの関係を示すグラフである。
【0151】
また押出し成形品15″と熱間鍛造品(ホットホージ品)と加圧焼結品(ホットプレス品)の室温27゜C近傍における熱電特性を比較した結果を下記表にまとめて示す。
【0152】
熱間鍛造品(ホットプレス品)、加圧焼結品(ホットホージ品)は以下のようにして製作した。
【0153】
すなわち押出し成形品15″と同様の組成の熱電半導体材料の粉砕分級粉末14を用い、温度500°C、圧縮力100Mpa でホットプレス装置によりホットプレス(加圧焼結)させた加圧焼結品を作成した。この加圧焼結品(ホットプレス品)を直方体に切り出し、熱伝導率κ、比抵抗ρの異方性比、比抵抗ρ、ゼーベック係数α、性能指数Zを測定、計算した。上記表では「ホットプレス」として示す。
また同様の組成の熱電半導体材料の粉砕分級粉末14を上述のごとくホットプレスした後、温度450°C、圧縮力100Mpa でホットホージ(熱間すえこみ鍛造)させた鍛造品(ホットホージ品)を作成した。この鍛造品を直方体に切り出し、熱伝導率κ、比抵抗ρの異方性比、比抵抗ρ、ゼーベック係数α、性能指数Zを測定、計算した。上記表では「ホットホージ」として示す。
【0154】
これらホットプレス成形品、ホットホージ成形品についても熱電性能を測るために素子に流す電流は圧縮方向に対して垂直方向とした。
【0155】
なお上記表で「押出し」とは、押出し成形品15″から切り出された素子30のデータのことである。
【0156】
これら図、表に示すようにゼーベック係数α、比抵抗ρの異方性比については、押出し成形品15″の方が加圧焼結品(ホットプレス品)、熱間鍛造品(ホットホージ品)よりも大きい値を示している(図16、表参照)。また熱伝導率κについては、押出し成形品15″の方が熱間鍛造品(ホットホージ品)よりも大きい値を示している(図18、表参照)。
【0157】
また比抵抗ρについては、押出し成形品15″の方が加圧焼結品(ホットプレス品)よりも低い値を示している。
【0158】
以上の点で押出し成形品15″は従来の成形法に比べて熱電性能的に優れており、結果として性能指数Zは、加圧焼結品(ホットプレス品)、熱間鍛造品(ホットホージ品)を上回る値を示す(図19、表参照)。
【0159】
Bi2Te3 系熱電半導体材料の熱電モジュールの性能指数Zの温度特性としては、室温(27゜C)付近で最大値を示ししかもその値が高い値を示すことが望ましい。本実施形態の押出し成形品15″から得られる熱電素子30の性能指数Zは室温付近で最大値となっておりしかも高い値(2.52)を示しており(図19、表参照)、この要求を満たしている。
【0160】
さて図21は押出し成形品15″(N型)の組織を偏光顕微鏡で観察した写真を示している。比較のために図20に熱間鍛造品(ホットホージ品:N型)の組織を偏光顕微鏡で観察した写真(倍率約400倍)を掲げる。
【0161】
これらの写真を比較すると、押出し成形による成形品15″の組織は、ホットホージ品の組織に比べて結晶粒径が非常に小さく、2〜5μm程度となっており、非常に緻密化しているのがわかる。組織が緻密化されているため熱伝導率κが向上していることがわかる。また微細組織であるためホットホージ品に比べて機械的強度が高い。
【0162】
なお本実施形態では、Bi2Te3系半導体材料としてBi2Te2.7Se0.30
を想定して説明したが、要は、Bi2ーxSbxTe3ーy-zSeySz (0≦x≦2、0≦y+z≦3)であらわされるものであれば任意のものについて適用可能である。結晶中に不純物を含むものも含まれるものとする。
【0163】
同様に、BiSb系半導体材料についても適用可能であり、Bi1-xSbx(0<x<1)であらわされるものであれば任意のものについて適用可能である。結晶中にドーパントとしての不純物を含むものも含まれるものとする。
【0164】
さらに、等方性の熱電材料(例えば、PbTe系、Si−Ge系、CoSb3 系の熱電材料)を対象としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施形態の押出し成形装置の外観を示す図である。
【図2】図2は実施形態の押出し型の構造を示す斜視図である。
【図3】図3は他の実施形態の押出し型の構造を示す斜視図である。
【図4】図4は押出し型に栓をした押出し成形装置の構成例を示す斜視図である。
【図5】図5(a)、(b)は押出し型にピストンを挿入した押出し成形装置の構成例をそれぞれ示す斜視図である。
【図6】図6(a)、(b)、(c)は実施形態の焼結工程、押出し工程を説明するために用いた図である。
【図7】図7(d)、(e)は実施形態の圧密工程、切出し工程を説明するために用いた図である。
【図8】図8は熱電素子(熱電モジュール)の外観を示す斜視図である。
【図9】図9は従来の押出し型の構造を示す斜視図である。
【図10】図10(a)、(b)は従来の押出し成形加工の焼結工程、押出し工程を説明するために用いた図である。
【図11】図11は押出し成形品の先端からの距離と密度比の関係を示すグラフである。
【図12】図12は押出し成形品の先端からの距離とゼーベック係数の関係を示すグラフである。
【図13】図13は押出し成形品の先端からの距離と比抵抗の関係を示すグラフである。
【図14】図14は押出し成形品の先端からの距離とパワーファクタの関係を示すグラフである。
【図15】図15は押出し成形品の先端からの距離と比抵抗の異方性比の関係を示すグラフである。
【図16】図16は温度とゼーベック係数の関係を示すグラフであり、押出し成形品と熱間鍛造品を比較するグラフである。
【図17】図17は温度と比抵抗の関係を示すグラフであり、押出し成形品と熱間鍛造品を比較するグラフである。
【図18】図18は温度と熱伝導率の関係を示すグラフであり、押出し成形品と熱間鍛造品を比較するグラフである。
【図19】図19は温度と性能指数の関係を示すグラフであり、押出し成形品と熱間鍛造品を比較するグラフである。
【図20】図20の熱間鍛造品の組織を倍率約400倍で撮影した顕微鏡写真である。
【図21】図21の押出し成形品の組織を倍率約400倍で撮影した顕微鏡写真である。
【符号の説明】
10 押出し成形装置
13 パンチ
14 ダイス(押出し型)
14′圧縮ねじり成形品
15 焼結体
15′ 押出し成形品
15″ 圧密後の押出し成形品
30 熱電素子
50 P型素子
60 N型素子
70 接合電極
Claims (10)
- 所望の組成を持つ熱電半導体材料に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ他の軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、直方体状の押出し成形品を成形して、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる押出し工程
を含むことを特徴とする熱電半導体材料の製造方法。 - 所望の組成を持つ熱電半導体材料を加圧することにより熱電半導体材料の圧粉体または焼結体を成形する加圧工程と、
前記圧粉体または焼結体に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ前記加圧工程における加圧方向に一致する軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、直方体状の押出し成形品を成形して、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる押出し工程と
を含むことを特徴とする熱電半導体材料の製造方法。 - 前記押出し工程で変形を加える軸方向に一致する軸方向に加圧することにより前記押出し成形品の密度を高めるとともに、加圧した方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる圧密工程
をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の熱電半導体材料の製造方法。 - 所望の組成を持つ熱電半導体材料に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ他の軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、直方体状の押出し成形品を成形して、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる押出し工程と、
前記直方体状の押出し成形品から、前記変形を加えた方向に垂直な方向に電流が流れる直方体状の熱電素子を成形する熱電素子成形工程と
を含むことを特徴とする熱電素子の製造方法。 - 所望の組成を持つ熱電半導体材料を加圧することにより熱電半導体材料の圧粉体または焼結体を成形する加圧工程と、
前記圧粉体または焼結体に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ前記加圧工程における加圧方向に一致する軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、直方体状の押出し成形品を成形して、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる押出し工程と、
前記直方体状の押出し成形品から、前記変形を加えた方向に垂直な方向に電流が流れる直方体状の熱電素子を成形する熱電素子成形工程と
を含むことを特徴とする熱電素子の製造方法。 - 前記押出し工程で変形を加える軸方向に一致する軸方向に加圧することにより前記押出し成形品の密度を高めるとともに、加圧した方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面を配向させる圧密工程
をさらに含むことを特徴とする請求項4または5記載の熱電素子の製造方法。 - 所望の組成を持つ熱電半導体材料に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ他の軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面が配向されるように直方体状の押出し成形品として成形された熱電半導体材料。
- 所望の組成を持つ熱電半導体材料を加圧することにより熱電半導体材料の圧粉体または焼結体を成形し、さらに前記圧粉体または焼結体に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ加圧方向に一致する軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面が配向された直方体状の押出し成形品として成形された熱電半導体材料。
- 所望の組成を持つ熱電半導体材料に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ他の軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面が配向された直方体状の押出し成形品を成形し、さらに前記直方体状の押出し成形品から、前記変形を加えた方向に垂直な方向に電流が流れるように直方体状に成形されてなる熱電素子。
- 所望の組成を持つ熱電半導体材料を加圧することにより熱電半導体材料の圧粉体または焼結体を成形し、さらに前記圧粉体または焼結体に対して押圧力を加え、押し出し方向に対して垂直な2軸のうち一方の軸方向の変形を拘束しつつ加圧方向に一致する軸方向に変形させて押出し型から押し出すことにより、変形を加えた方向に垂直な方向に組織を構成する結晶のC面が配向された直方体状の押出し成形品を成形し、さらに、前記直方体状の押出し成形品から、前記変形を加えた方向に垂直な方向に電流が流れるように直方体状に成形されてなる熱電素子。
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