JP2004342893A - 熱電材料の作製方法 - Google Patents

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章浩 野末
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Abstract

【課題】熱を電気に変換する熱電材料の作製方法に関し、熱間塑性加工において、粒成長を抑制することで熱伝導率を低減し、性能指数の向上を図る。
【解決手段】ダイス1中にパンチ2で上下を挟む形で、燐を添加したBiTe系熱電材料の粉末を入れ、パンチ2を加圧することで圧粉体3を作製する(圧粉工程)。次に、昇温装置(図示せず)にて昇温後、パンチ2を上下方向から加圧する事で、圧粉体3は加圧方向と垂直方向に展延され、展延体が得られる(変形工程)。燐を添加することで、粉砕工程において結晶粒径が著しく微細化するため、熱間塑性変形(熱間展延)の際の粒成長を抑制でき、かつ結晶配向性を向上させるため、性能指数の高い熱電材料を作製できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱を電気に変換する熱電材料の作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、BiTe、BiSe及びSbTeのようなV−VI族系等の熱電材料、特に室温付近で使用できる材料は、センサー素子や光素子、LSI基板などの半導体回路、宇宙ステーションで使用される電子機器の冷却、レーザダイオード等の精密温度制御が要求されるところに使用されている。
【0003】
BiTe化合物は、菱面体結晶の単位胞中にBiとTeの原子をそれぞれ2個と3個を含む層状構造で物理的性質に大きな異方性を持つ。この構造は六方晶表示のc軸方向にTe原子層の重なりが3組存在し、このTe−Te原子の結合はファン・デル・ワールス結合のため、共有結合やイオン結合およびそれらの混合結合で結合した他の原子間の結合より著しく弱く容易に劈開する。また、c軸方向に垂直(c面に平行)な方向で電気特性が高い。
【0004】
熱電材料の特性を表す性能指数Zは、ゼーベック係数αの2乗と電気伝導率σの積を熱伝導率κで割ったもので表される。従って、Zを大きくするためには、ασを大きくし、かつκを小さくする必要がある。
【0005】
一般によく使われるブリッジマン法等で一方向凝固させて作製した溶製材料は、単結晶材料ほどではないが、結晶の配向性が整っている。そのため、電気特性は高い。しかし、熱伝導率も大きく、劈開しやすいため材料強度が低い。
【0006】
一方、メカニカルアロイング法やガスアトマイズ法により熱電材料を微細化し、その微細結晶を一方向加圧焼結することで作製する焼結材料は、材料強度が優れ、かつ、加圧方向に対し垂直な方向にc面が揃う(例えば特許文献1)。
【0007】
また、結晶粒径が微細なため熱伝導率を低減させることができる。しかし、焼結材料の結晶配向性は、ブリッジマン法などと比べ低く、電気特性が低減するため、相殺され、性能指数が一方向凝固材を越えない。微細結晶焼結体の結晶配向性を向上する手段として、熱間塑性変形によるすえこみ鍛造や熱間押出成形によるものがある(例えば特許文献2)。
【0008】
【特許文献1】
特開昭62−264682号公報
【特許文献2】
特開平10−178218号公報
【0009】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、熱間塑性変形を行うと結晶配向性は向上するが、その過程で数μmの粒径が数mmまで粒成長がおこすため、熱伝導率が向上し、結晶配向性を揃えても性能指数が低下してしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、結晶の微細化を促進する添加剤を添加することで、熱間塑性変形の際にも結晶粒径を小さく保つことで熱伝導率を低減し、かつ結晶配向性を向上させることで電気伝導率を向上させることで性能指数を向上させる熱電材料の作製方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の熱電材料の作製方法の発明は、ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料の作製方法であって、添加剤として燐(P)を使用し、前記熱電材料粉末を作製する粉砕工程と、前記熱電材料粉末を圧粉する圧粉工程と、前記圧粉体を熱間塑性変形させる変形工程とを含むものであり、燐を添加することで、粉砕工程において結晶粒径が著しく微細化するため、熱間塑性変形の際の粒成長を抑制でき、かつ結晶配向性を向上させるため、性能指数の高い熱電材料を作製できるという作用がある。
【0012】
請求項2記載の熱電材料の作製方法の発明は、ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料の作製方法であって、添加剤として燐(P)を使用し、前記熱電材料粉末を作製する粉砕工程と、前記熱電材料粉末を圧粉する圧粉工程と、前記圧粉体を焼結化する焼結工程と、前記焼結体を熱間塑性変形させる変形工程とを含むものであり、燐を添加することで、粉砕工程において結晶粒径が著しく微細化し、また、焼結体も微細な組織を有するため、熱間塑性変形の際の粒成長を抑制でき、かつ結晶配向性を向上させるため、性能指数の高い熱電材料を作製できる。また、焼結体を熱間塑性変形させるため、取り扱い性が良く、歩留まりも優れる効果がある。
【0013】
請求項3記載の熱電材料の作製方法の発明は、請求項1または2に記載の発明における前記熱間塑性変形が、熱間展延であるものであり、熱間展延する事で、展延方向と平行な方向にc面が優先的に配向し、性能指数の向上を図ることができる。
【0014】
請求項4記載の熱電材料の作製方法の発明は、請求項1または2に記載の発明における前記熱間塑性変形が、熱間押出加工であるものであり、熱間押出加工する事で、押出方向と平行な方向にc面が優先的に配向し、性能指数の向上を図ることができる。
【0015】
請求項5記載の熱電材料の作製方法の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明における燐の添加量が3wt%以下であるものであり、燐の添加量が過剰になると、電気伝導率の低下による性能低下とともに、熱間塑性変形時に、割れが生じやすく、歩留まりが悪くなるため、それらの防止を図ることができる。
【0016】
請求項6記載の熱電材料の作製方法の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明における前記熱間塑性変形は、573K以上823K以下の温度で行うものであり、塑性変形温度が低すぎると、組成変形の速度が低下するとともに、割れが生じ歩留まりが悪くなる。一方、塑性変形温度が高すぎると、粒成長が高まりすぎ、配向性が低下するため、最適温度での熱間塑性変形を行うことで防止できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による熱電材料の作製方法についての実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における熱電材料の作製方法の熱間展延工程(変形工程)の熱間展延前の状態を示す概略図、図2は同実施の形態における熱電材料の作製方法の熱間展延工程(変形工程)の熱間展延後の状態を示す概略図である。
【0019】
図1、図2に示すように、本実施の形態における熱電材料の作製方法の熱間展延工程は、ダイス1とパンチ2と燐を添加したBiTe系熱電材料の圧粉体3と展延体4とで構成されている。
【0020】
以上のように構成された熱間展延工程(変形工程)について、以下その動作を説明する。
【0021】
まず、ダイス1中にパンチ2で上下を挟む形で、燐を添加したBiTe系熱電材料の粉末を入れ、パンチ2を加圧することで圧粉体3を作製、設置する(圧粉工程)。
【0022】
昇温装置(図示せず)にて昇温後、パンチ2を上下方向から加圧する事で、圧粉体3は加圧方向と垂直方向に展延され、展延体4が得られる(変形工程)。
【0023】
以下、具体例を用い、本実施の形態1について説明する。
【0024】
展延工程は、まずメカニカルアロイング法により作製した燐を添加した(BiTe0.25(SbTe0.75の組成からなる熱電材料微粉末を、水素還元処理後、加圧力500kg/cmで、直径20mm、高さ10mmの円柱状に圧粉し、圧粉体を形成する(圧粉工程)。
【0025】
そして、直径30mmのダイス内に圧粉体を設置し、装置内をアルゴン雰囲気に置換後、753K、200kg/cmの加圧力で加圧することで、圧粉体は圧縮され、加圧方向と垂直な方向へ展延される(変形工程)。この際、展延工程の加圧方向と、圧粉体作製時の加圧方向を同方向に行う。
【0026】
(表1)は本実施の形態の変形工程にて作製した(BiTe0.25(SbTe0.75の組成からなる熱電材料を基本組成とし、燐(P)を0.1、1、2wt%添加した熱電材料の展延後の特性評価結果(第1実施例から第3実施例)である。
【0027】
また、比較例として、(表1)中に(BiTe0.25(SbTe0.75の組成からなる熱電材料の焼結体の特性評価結果(比較例1)および、(BiTe0.25(SbTe0.75の組成からなる熱電材料の圧粉体を展延した展延体の特性評価結果(比較例2)を示す。
【0028】
比較例1の焼結体は、メカニカルアロイングで作製した熱電材料微粉末を圧粉後、ホットプレス装置にて、アルゴン雰囲気中、723K、600kg/cmの加圧力で作製した(焼結工程)。
【0029】
【表1】
Figure 2004342893
【0030】
(表1)に示すように、比較例1と比較例2を比較すると、配向性の向上により、パワーファクターが向上し性能指数も向上したが、熱伝導率も向上している。
【0031】
この要因について検討するため、図3に比較例1の断面SEM写真を、図4に比較例2の断面SEM写真を示す。図3、図4からわかるように、熱間展延することで、結晶粒が増大していることがわかる。このため、熱伝導率が大きくなったことがわかる。
【0032】
次に、(表1)から実施例1,2,3の特性結果をみると、展延することで、比較例2と同様に、配向性が向上しパワーファクターが向上している。しかし、熱伝導率は比較例2と比べ、減少していることがわかる。
【0033】
そのため、性能指数は比較例2よりも向上した。この要因について検討するため、図5に第2実施例の断面SEM写真を示す。図5からわかるように、図4の比較例2のような結晶粒の成長は見られないことがわかる。このため、熱伝導率の増加がおこらず、高い性能指数を有する熱電素子を得ることが可能となる。
【0034】
なお、本実施の形態では熱間展延温度を753Kで行ったが、573K以上823K以下の温度で行えば同様の効果が得られる。熱間展延温度が低すぎると、組成変形の速度が低下するとともに、割れが生じ歩留まりが悪くなる。一方、塑性変形温度が高すぎると、粒成長が高まりすぎ、また配向性が低下する。
【0035】
また、燐の添加量は過剰になると、電気伝導率が減少し、展延して配向性を向上させても、パワーファクターの向上が見られなくなり、効果は小さくなる。
【0036】
従って、燐の添加量は3wt%以下が良い。これは、(表1)の第1実施例から第3実施例にかけて燐添加量が増加するに伴い、パワーファクターが低下していることからもわかる。
【0037】
また、加圧力は降伏応力以上であり、座屈が生じる圧力以下である必要があり、80kg/cm以上、300kg/cm以下の範囲であることが望ましい。
【0038】
また、本実施の形態ではBiTe、SbTeを用いて展延したが、BiSe、SbSe、SbSe単独あるいはこれらの混合系であっても同様の効果が見られる。
【0039】
また、本実施の形態では熱電材料の圧粉体を用いて、熱間展延を行ったが、比較例1の様な焼結体を熱間展延しても同様の効果が見られる。
【0040】
また、圧粉体作製に用いる熱電材料微粉末は、メカニカルアロイング法、メカニカルグラインディング法、ガスアトマイズ法等、その作製手段は問わない。
【0041】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2における熱電材料の作製方法の熱間押出工程(変形工程)の熱間押出加工前の状態を示す概略図、図7は同実施の形態における熱電材料の作製方法の熱間押出工程(変形工程)の熱間押出加工後の状態を示す概略図である。
【0042】
図6、図7に示すように、本実施の形態2における熱間押出工程は、金型5と金型5内に設けられた空間6と空間6内に充填された燐を添加したBiTe系熱電材料の圧粉体7とパンチ8と金型5下部に空間6の径より小さな開口部と押出成型品10とで構成されている。
【0043】
以上のように構成された熱間押出工程(変形工程)について、以下その動作を説明する。
【0044】
まず、金型5中の空間6内に、事前に圧粉装置(図示せず)にて圧粉した燐を添加したBiTe系熱電材料の圧粉体7を設置する。
【0045】
昇温装置(図示せず)にて昇温後、パンチ8を垂直下方向へ加圧する事で、圧粉体7は金型5内を空間6から金型5下部の空間6より小さな径の開口部9に絞られながら、開口部9から押し出され、押し出し成形品10を手に入れる。
【0046】
以下、具体例を用い、本実施の形態2について説明する。
【0047】
熱間押出工程は、まずブリッジマン法にて作製した燐を添加した(BiTe0.25(SbTe0.75の組成からなる熱電材料を、メカニカルグラインディング法にて微細粉末にする。
【0048】
微細粉末を水素還元処理後、加圧力500kg/cmで、直径30mm、高さ30mmの円柱状に圧粉し、圧粉体を形成する(圧粉工程)。そして、金型内の空間に圧粉体を設置する。空間は圧粉体とほぼ同じ形の直径30mm、高さ30mmの形状部分と円筒部分から開口部にかけては円錐形の形状をしている。開口部の直径は5mmである。
【0049】
つぎに、装置内をアルゴン雰囲気に置換後、753K、200kg/cmの加圧力で加圧することで、圧粉体は開口部から、直径5mmの円柱状に押し出される(変形工程)。この際、熱電材料結晶のc面は押出方向と平行方向に配向する。従って、性能は押出方向と平行な方向に優れ、測定は押出方向と平行な方向で測定する。
【0050】
(表2)は本実施の形態2の変形工程にて作製した(BiTe0.25(SbTe0.75の組成からなる熱電材料を基本組成とし、燐(P)を0.1、1、2wt%添加した熱電材料の押出加工後の特性評価結果(第4実施例から第6実施例)である。
【0051】
また、比較例として、(表1)中に(BiTe0.25(SbTe0.75の組成からなる熱電材料の焼結体の特性評価結果(比較例1)および、(BiTe0.25(SbTe0.75の組成からなる熱電材料の圧粉体を押出加工した押出加工品の特性評価結果(比較例3)を示す。
【0052】
比較例1の焼結体は、メカニカルアロイングで作製した熱電材料微粉末を圧粉後、ホットプレス装置にて、アルゴン雰囲気中、723K、600kg/cmの加圧力で作製した(焼結工程)。
【0053】
【表2】
Figure 2004342893
【0054】
(表2)に示すように、比較例1と比較例3を比較すると、配向性の向上により、パワーファクターが向上し性能指数も向上したが、熱伝導率も向上している。
【0055】
これは、熱間押出加工をすることで、結晶粒が増大してたため、熱伝導率が大きくなったものである。
【0056】
次に、(表2)から実施例4,5,6の特性結果をみると、押出加工をすることで、比較例3と同様に、配向性が向上しパワーファクターが向上している。しかし、熱伝導率は比較例3と比べ、減少していることがわかる。そのため、性能指数は比較例3よりも向上している。
【0057】
これは、燐の添加により、比較例2によりも結晶粒の成長が小さいため、熱伝導率の増加がおこらず、高い性能指数を有する熱電素子を得ることが可能となる。
【0058】
なお、本実施の形態2では熱間押出温度を753Kで行ったが、573K以上823K以下の温度で行えば同様の効果が得られる。熱間押出温度が低すぎると、組成変形の速度が低下するとともに、割れが生じ歩留まりが悪くなる。一方、塑性変形温度が高すぎると、粒成長が高まりすぎ、また、配向性が低下する。
【0059】
また、燐の添加量は過剰になると、電気伝導率が減少し、展延して配向性を向上させても、パワーファクターの向上が見られなくなり、効果は小さくなる。従って、燐の添加量は3wt%以下が良い。これは、(表2)の第4実施例から第6実施例にかけて燐添加量が増加するに伴い、パワーファクターが低下していることからもわかる。
【0060】
また、加圧力は降伏応力以上であり、座屈が生じる圧力以下である必要があり、80kg/cm以上、300kg/cm以下の範囲であることが望ましい。
【0061】
また、本実施の形態2ではBiTe、SbTeを用いて熱間押出を行ったが、BiSe、SbSe、SbSe単独あるいはこれらの混合系であっても同様の効果が見られる。
【0062】
また、本実施の形態2では熱電材料の圧粉体を用いて、熱間押出を行ったが、比較例1の様な焼結体を熱間押出しても同様の効果が見られる。
【0063】
また、圧粉体作製に用いる熱電材料微粉末は、メカニカルアロイング法、メカニカルグラインディング法、ガスアトマイズ法等、その作製手段は問わない。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の熱電材料の作製方法によれば、ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料の作製方法であって、添加剤として燐(P)を使用し、前記熱電材料粉末を作製する粉砕工程と、前記熱電材料粉末を圧粉する圧粉工程と、前記圧粉体を熱間塑性変形させる変形工程とを含むことで、粉砕工程において結晶粒径が著しく微細化するため、熱間塑性変形の際の粒成長を抑制でき、かつ結晶配向性を向上させるため、性能指数の高い熱電材料を作製できる効果を有する。
【0065】
また、請求項2記載の熱電材料の作製方法は、ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料の作製方法であって、添加剤として燐(P)を使用し、前記熱電材料粉末を作製する粉砕工程と、前記熱電材料の粉末を圧粉する圧粉工程と、前記圧粉体を焼結化する焼結工程と、前記焼結体を熱間塑性変形させる変形工程とを含むことで、粉砕工程において結晶粒径が著しく微細化し、また、焼結体も微細な組織を有するため、熱間塑性変形の際の粒成長を抑制でき、かつ結晶配向性を向上させるため、性能指数の高い熱電材料を作製できる効果を有する。また、焼結体を熱間塑性変形させるため、取り扱い性が良く、歩留まりも優れる効果がある。
【0066】
また、請求項3記載の熱電材料の作製方法は、請求項1または2に記載の発明における前記熱間塑性変形が、熱間展延であるので、展延方向と平行な方向にc面が優先的に配向し、性能指数の向上を図ることができる。
【0067】
また、請求項4記載の熱電材料の作製方法は、請求項1または2に記載の発明における前記熱間塑性変形が、熱間押出加工であるので、押出方向と平行な方向にc面が優先的に配向し、性能指数の向上を図ることができる。
【0068】
また、請求項5記載の熱電材料の作製方法は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明における燐の添加量が3wt%以下であり、燐の添加量が過剰になると、電気伝導率の低下による性能低下とともに、熱間塑性変形時に、割れが生じやすく、歩留まりが悪くなるため、それらの防止を図ることができる。
【0069】
また、請求項6記載の熱電材料の作製方法は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明における前記熱間塑性変形は、573K以上823K以下の温度で行うもので、塑性変形温度が低すぎると、組成変形の速度が低下するとともに、割れが生じ歩留まりが悪くなる。一方、塑性変形温度が高すぎると、粒成長が高まりすぎ、配向性が低下するため、最適温度での熱間塑性変形を行うことで防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における熱間展延工程(変形工程)の熱間展延前の状態を示す概略図
【図2】本発明の実施の形態1における熱間展延工程(変形工程)の熱間展延後の状態を示す概略図
【図3】本発明の実施の形態1における比較例1の断面SEM写真
【図4】本発明の実施の形態1における比較例2の断面SEM写真
【図5】本発明の実施の形態1における第2実施例の断面SEM写真
【図6】本発明の実施の形態2における熱間押出工程(変形工程)の熱間押出加工前の状態を示す概略図
【図7】本発明の実施の形態2における熱間押出工程(変形工程)の熱間押出加工後の状態を示す概略図
【符号の説明】
1 ダイス
2 パンチ
3 圧粉体
4 展延体
5 金型
6 空間
7 圧粉体
8 パンチ
9 開口部
8 押出成型品

Claims (6)

  1. ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料の作製方法であって、添加剤として燐を使用し、前記熱電材料粉末を作製する粉砕工程と、前記熱電材料粉末を圧粉する圧粉工程と、前記圧粉体を熱間塑性変形させる変形工程とを含むことを特徴とする熱電材料の作製方法。
  2. ビスマス、アンチモン、テルル、セレンからなる群から少なくとも二つ以上を含有した熱電材料の作製方法であって、添加剤として燐を使用し、前記熱電材料粉末を作製する粉砕工程と、前記熱電材料粉末を圧粉する圧粉工程と、前記圧粉体を焼結化する焼結工程と、前記焼結体を熱間塑性変形させる変形工程とを含むことを特徴とする熱電材料の作製方法。
  3. 前記熱間塑性変形が、熱間展延であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱電材料の作製方法。
  4. 前記熱間塑性変形が、熱間押出加工であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱電材料の作製方法。
  5. 燐の添加量が3wt%以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の熱電材料の作製方法。
  6. 前記熱間塑性変形は、573K以上823K以下の温度で行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の熱電材料の作製方法。
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