JP4250913B2 - 熱電変換素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、六方晶の結晶構造を有する熱電材料を用いて形成された熱電変換素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換素子の製造方法としては、例えば、チョクラルスキー法又はゾーンメルティング法があり、これらの方法により、熱電変換素子を形成する六方晶の結晶構造を有する熱電材料のインゴットを取得する。一般的に熱電変換素子の性能指数Zは、Z=α2/(ρ×κ)(但し、αは熱起電力、ρは比抵抗、κは熱伝導率)で規定されており、これら方法により形成された熱電材料インゴットでは結晶方向が一方向に揃っており、熱電変換素子の抵抗を減少させることができるため、高い性能指数Zが得られる。しかしながら、BiTe系熱電材料の場合には、層状構造化合物の基底面であるC面方向に強い劈開性を有しており、機械的強度が著しく低い。
【0003】
この課題を解決する方法として、例えば、熱電材料インゴットを粉砕して、粉末化し、これを固化して焼結する熱電変換素子の製造方法があり、このようにして形成された熱電変換素子は、機械的強度に優れている。また、結晶粒を微細化することによって、熱伝導率κを低減させることができる。さらに、焼結に、ホットプレス等の焼結法を用いることによって結晶方向を揃えることができるため、比抵抗ρも低減させることができ、性能指数Zの向上も期待できる。
【0004】
しかし、実際には、例えばホットプレスを用いた焼結法では、熱電変換素子は、結晶粒成長を起こしやすく、熱伝導率κの増大、結晶配向の乱れ等を招くため、性能指数Zは、インゴットに比べて低下する場合が多い。また、粉末界面の酸化膜も比抵抗ρの増大を引き起こし、性能指数Zの低下の要因となっている。
【0005】
このような問題を解決する方法として、例えば、特開平8−186299号公報には、熱電材料インゴットを粉末化したものを押出成形することによって熱電変換素子を製造する方法が挙げられている。
【0006】
この方法によると、押出成形時に、粉末に大きな剪断力がかかるため、粉末の破砕が起こり、酸化膜の影響を受けなくなる。また剪断力によって、結晶においてC面のすべりが生じるため、C面に垂直である結晶C軸が押出方向と垂直方向に向き、押出方向の比抵抗ρが減少し、性能指数Zが向上できる。
【0007】
また、特開平10−112558号公報には、熱電材料を液体急冷法によって結晶粒をさらに微細化することによって、熱伝導率κを低減させ、かつ押出成形によって大きな結晶配向性を得て、性能指数Zを向上させることが述べられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、押出成形法を利用した上述のような熱電変換素子の製造方法においては、被押出材に与えられる剪断力には限界があるため、結晶の配向性向上にも限界があるという問題点があった。また、結晶粒の微細化にも限界があり、熱伝導率の低減が十分に得られないという問題点があった。
【0009】
本発明は上記問題点を改善するためになされたものであり、結晶配向性が高く、高性能で、かつ優れた強度を備えた熱電変換素子の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の熱電変換素子の製造方法は、図1にその一例を示すように、六方晶の結晶構造を有する熱電材料を用いて形成された熱電変換素子の製造方法において、少なくとも1箇所にて所定の角度だけ屈曲した屈曲部14を備え、該屈曲部14の前後では等断面積形状である押出通路13に対して、被押出材3である熱電材料を押圧する押出工程を有してなることを特徴とするものである。
【0012】
また、図4にその一例を示すように、前記押出工程を、複数回繰り返し行うことを特徴とするものである。
【0013】
また、図5にその一例を示すように、連続した前記押出工程の間には、前記押出通路に前記被押出材3を挿入する方向を軸Aとして、該軸Aを中心に180度回転させて挿入する工程を備えてなることを特徴とするものである
【0020】
また、請求項2に記載の熱電変換素子の製造方法は、図12にその一例を示すように、請求項1に記載の発明において、熱電材料インゴット32を粉砕し、粉砕した熱電材料(図12においては細粉砕された熱電材料インゴット33)を固化することで、前記押出工程に用いる熱電材料を予め形成しておく工程を用いて該押出工程を行うことを特徴とするものである。
【0025】
ここで、上記の熱電変換素子は、例えば一般的な素子の形成工程により被押出材3より形成される。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の第1参考例を図1及び図2、表1に基づいて説明する。図1は、本発明の第1参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図であり、図2は、熱電変換素子の結晶構造を示す模式斜視図である。
【0027】
第1参考例においては、図1(a)、(b)のように、被押出材3が通過する押出通路13を備えたダイス1を用いる。なお、図1(a)は、ダイス1の断面図であり、図1(b)は、押出通路13の概略斜視図である。ここで、ダイス1は、押出通路13の断面形状が、屈曲部14を除いて、例えば20mm×20mmの正方形状であり、ダイス入口部11から屈曲部14までの直線部分の距離は100mmで、屈曲部14からダイス出口部12までの直線部分の距離は50mmで、屈曲部14は、例えば屈曲角度が90度をなしている。なお、屈曲角度は、屈曲部14の前後で被押出材3を押出す方向ベクトルがなす角度である。また、屈曲部14に例えば3〜5mm程度のR部を設けておく。屈曲部14にRを設けることによって、後述する押出工程時における被押出材3の割れを抑制することができる。
【0028】
被押出材3は、六方晶の結晶構造を備えた固形状である熱電材料からなり、その形状は、断面形状が例えば19mm×19mmの正方形状で、高さ50mmの角柱状である。
【0029】
ここで、被押出材3は、図1(a)に示すように、ダイス入口部11に前述の被押出材3を挿入して、例えばパンチ2でダイス出口部12側へ押出す押出工程を用いることにより製造される。なお、この際のパンチ速度は、例えば1mm/秒であり、押出工程は、室温で行われる。そして、熱電変換素子は、例えば一般的な素子の形成工程によりこの被押出材3より形成される。
【0030】
このようにして押出される被押出材3は、屈曲部14を通過する際に、材料内部で大きな剪断力が働き、熱電材料の基底面であるC面にて滑りが生じ、図2に示すようなC面が一方向に揃った材料が得られ、熱電変換素子の抵抗が低下、つまり熱電変換素子の比抵抗ρが低下し、かつ剪断力によって、結晶構造の微細化が促進され、熱伝導率κが低下するため、従来技術で記述した性能指数Zを向上させることができる。また、第1参考例において得られた熱電変換素子は、C面と平行方向の性能が高くなり、C面と平行な方向に電流を流すように使用することができる。
【0031】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、所定の角度だけ屈曲した屈曲部14を備え、屈曲部14の前後では等断面積形状である押出通路13に対して、六方晶の結晶構造を有する被押出材3である熱電材料を押圧する押出工程を備えているので、結晶構造が微細化されることで熱伝導率を低下させ、かつC面での滑りにより、大きな結晶配向性が得られるため熱電変換素子の抵抗を減少させることができ、性能指数Zを向上させ、高性能な熱電変換素子を得ることができる。
【0032】
ここで、第1参考例においては、上述の例では屈曲部14の屈曲角度90度であったが、この屈曲角度は、例えば30〜100度とすることが好ましい。これは、屈曲角度をこの範囲で選択することにより、熱電変換素子で得られる効果が大きく、屈曲部14の加工もし易いためである。また、第1参考例においては、屈曲部14は押出通路13に対して1つ設けられているが、少なくとも1つ以上設けられていればよい。
【0033】
次に、第1参考例においてP型の性質を有する被押出材3である熱電材料を用いた実施形態を、第2参考例として[表1]に基づいて説明する。なお、表1は、性能指数Z等を示した比較表である。なお、第1参考例との同一箇所には同一符号を付して、共通部分の説明は省略する。
【0034】
【表1】
【0035】
第2参考例においては、第1参考例の被押出材3として、Bi2Te3:Sb2Te3=0.25:0.75の組成である熱電材料を使用する。表1には、押出工程前と、押出工程後の熱電変換素子の性能値を示す。ここで、押出工程前の材料としては、原材料を前述の比率で混合し、溶解・攪拌後、一方向凝固させた熱電材料インゴットを被押出材3として用い、表1中の諸値は、この熱電材料インゴットの特性値を示している。なお、熱電変換素子の製造方法については、第1参考例と同様であるので説明は省略する。
【0036】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、室温付近で性能指数Zが3.0×10-3/K以上と高い値を有する高性能なP型の熱電変換素子が得られる。
【0037】
次に、第1参考例においてN型の性質を有する被押出材3である熱電材料を用いた実施形態を、第3参考例として[表2]に基づいて説明する。なお、表2は、性能指数Z等を示した比較表である。なお、第1参考例との同一箇所には同一符号を付して、共通部分の説明は省略する。
【0038】
【表2】
【0039】
第3参考例においては、第1参考例の被押出材3として、Bi2Te3:Bi2Se3:Sb2Te3=0.90:0.05:0.05の基本組成を有するものに、キャリア濃度調整、つまり素子抵抗値の調整のために添加材としてSbI3を0.09重量 %加えた合金である熱電材料を使用する。表2は、押出工程前と、押出工程後の熱電変換素子の性能比較を示すものである。ここで、押出工程前の材料としては、原材料を前述の比率で混合し、溶解・攪拌後、一方向凝固させた熱電材料インゴットを被押出材3として用い、表2中の諸値は、この熱電材料インゴットの特性値を示している。なお、熱電変換素子の製造方法については、第1参考例と同様であるので説明は省略する。
【0040】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、室温付近で性能指数Zが2.8×10-3/K以上と高い値を有する高性能なN型の熱電変換素子が得られる。
【0041】
次に、第1参考例及び第2参考例において押出工程を不活性ガス中で行う実施形態を、第4参考例として図3に基づいて説明する。なお、図3は、第4参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【0042】
図3に示すように、第4参考例においては、チャンバー4が、第1参考例における押出工程を行うダイス1とパンチ2とを覆うようにして設けられている。なお、ダイス1は、例えばダイス用の台41の上に配置されている。
【0043】
チャンバー4内には、例えばアルゴンガスが充填されているが、充填ガスとしては、ヘリウムガス、ネオンガス等の不活性ガスであればよい。また、チャンバー4は、形状や材質は特に限定しないが、例えば吸気口42と排気口43とを備え、不活性ガスを送気、排気自在な機能を備えていればよい。
【0044】
第4参考例においては、このチャンバー4内に充填したアルゴンガス中で第1参考例における押出工程を行い、熱電変換素子を製造する。
【0045】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、不活性ガス中で熱電変換素子の押出工程を行うことで、押出工程時に熱電変換素子への酸素の混入を防ぐことができるため、性能指数Zの低下を防止することができる。
【0046】
次に、第3参考例において押出工程を複数回繰り返して行う実施形態を、第5参考例として図4に基づいて説明する。なお、図4(a)は、第5参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図であり、図4(b)は、繰り返し回数と熱電変換素子の平均の結晶粒径との関係を示すグラフである。
【0047】
ここで、第3参考例においては、被押出材3の押出工程回数は1回であるが、第5参考例においては、図4(a)に示すように、被押出材3の挿入、押圧、押出完了とからなる押出工程を20回繰り返し行っている。なお、被押出材3は、初回を除き、押出工程前後で略同形状をなしているので、複数回繰り返すことができ、押出工程回数を重ねることによって、図4(b)に示すように、熱電変換素子の平均結晶粒径は小さくなっていく。結晶粒径が小さくなると、熱電変換素子の機械的強度が増し、また熱伝導率κを低下させることができるため、性能指数Zが向上して、高性能な熱電変換素子を得ることができる。
【0048】
なお、第5参考例においては、図4(b)に示すように、押出工程回数は10回を越えると熱電変換素子の平均結晶粒径の変化が飽和してしまうため、押出工程回数は、例えば10回以下であってもよい。
【0049】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、押出工程回数を複数回繰り返し行うことで、結晶粒の微細化を増進させることが可能となるので、優れた機械的強度を備えた熱電変換素子を得ることができる。また、結晶粒の微細化を増進させることで熱伝導率κも低下させることができるため、性能指数Zを向上させた高性能な熱電変換素子を得ることができる。
【0050】
なお、第5参考例において、被押出材3として第2参考例に用いた熱電材料を用いてもよい。また、第4参考例のように不活性ガス中で熱電変換素子の押出工程を行ってもよい。
【0051】
次に、第5参考例において、ダイス1への被押出材3の挿入方法が異なる実施形態を、第1実施形態として図5に基づいて説明する。なお、図5は、本発明の第1実施形態に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【0052】
ここで、図5(a)に示す一度押出工程で形成された被押出材3に対して、図5(b)に示すように、ダイス出口部12から出てきた被押出材3を再びダイス1に挿入する際には、ダイス1の押出通路13のダイス入口部11側にて被押出材3を挿入する方向の軸Aを中心に、図5(b)に示す状態から図5(c)に示す状態のように、被押出材3を180度回転させる。
【0053】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、連続した押出工程の間には、軸Aを中心に被押出材3を180度回転させて挿入する工程を備えることで、押出工程前のC面方向と、連続する押出工程後のC面方向を一致させることができるので、押出工程の回数を重ねる毎に熱電変換素子の結晶配向性を高めることができる。従って、熱電変換素子の抵抗を減少させることができるので、大きな性能指数Zを有した高性能な熱電変換素子を得ることができる。
【0054】
次に、第2参考例及び第3参考例に用いた熱電材料に対して、熱電材料の塑性変形温度領域内の熱間処理にて押出工程を行った実施形態を、本発明の第2実施形態として図6及び図7に基づいて説明する。なお、図6は、本発明の第2実施形態に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図であり、図7は、押出工程時の加工温度と性能指数Zとの関係を示すグラフである。
【0055】
図6に示すように、ダイス1周囲、例えば側部にはヒーター5を設け、このヒーター5にてダイス1内部を所定温度まで上昇させ熱間にて押出工程を行う。また、ダイス1内部には、例えば押出工程時のダイス1内部の加工温度を計測するための熱電対51を設けておく。なお、第7実施形態においては、押出工程を例えば3回とした。なお、ヒーター5は、図示はしないが、更にダイス出口部12に面する部分にも設けていてもよい。
【0056】
図7には、第2参考例にて用いたP型の熱電材料と、第3参考例にて用いたN型の熱電材料に対する加工温度と性能指数Zとの関係を示しているが、このP型の熱電材料では、450℃〜550℃で、このN型では400℃〜450℃の温度領域で押出工程することによってそれぞれ大きな性能指数Zを実現することができる。これらそれぞれの温度範囲は、350〜550℃付近にあるBiTe系熱電材料の塑性変形温度領域領域内である。
【0057】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、熱電変換素子を形成する熱電材料の塑性変形温度領域内の熱間処理にて押出工程を行うことで、大きい性能指数Zを有する熱電変換素子を得ることができる。また、押出工程後の熱電変換素子の割れも減少させることができる。
【0058】
なお、第2実施形態において、第4参考例のように不活性ガス中で熱電変換素子の押出工程を行ってもよく、第5参考例のように被押出材3に対して複数回繰り返し押出工程を行ってもよく、また、第1実施形態のように連続した押出工程の間には、前述の軸Aを中心に被押出材3を180度回転させて挿入するようにしてもよい。
【0059】
次に、第2実施形態において、ダイス出口部12付近に冷却手段6を設けた実施形態を、第6参考例として図8及び図9に基づいて説明する。なお、図8及び図9は、各々第6参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【0060】
第2実施形態において、ダイス出口部12に面する箇所には、ヒーター5を用いて熱間処理されながら押出工程を経てダイス出口部12から出てきた被押出材3を冷却する冷却手段6を設けている。
【0061】
図8(a)に示すように、冷却手段6は、例えば2つの冷却用ファン61である。被押出材3は、冷却用ファン61によって冷却されることによって、結晶粒の微細化された素子が再結晶によって粒成長を起こすことを防止することができるので、微細結晶組織を維持し、かつ結晶配向性を維持することができる。
【0062】
なお、図8(b)に示すように、ダイス出口部12より押出方向外側に向かって開口径が大きくなっているカバー62をダイス出口部12に対して設けるようにしてもよい。この場合は、カバー62により、例えば1つの冷却用ファン61から供給される冷風がダイスに直接当たることなく、被押出材に当てることができるため、冷却効率は増すとともに、ダイスの温度低下を防ぐことができる。
【0063】
また、図9に示すように、ダイス出口部12付近に設ける冷却手段6は、例えば冷却用液体槽63であってもよい。冷却用液体槽63には、冷却用の液体を入れておくが、この冷却用の液体には、例えば水を用いる。この場合は、パンチ2によるプレス方向は、図9に示すように横方向とし、ダイス出口部12付近にから被押出材3が鉛直下方向に押出されてくるようにする。そして、ヒーター5を用いて熱間にて押出工程を経てダイス出口部12から出てきた被押出材3は、冷却用液体槽63に設けた液体に直接浸されるようにすることで、大きな冷却速度を得ることができるので、結晶粒の微細化された素子が再結晶によって粒成長を起こすことを防止することができる。
【0064】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、熱間の押出工程を経てダイス出口部12から出てきた被押出材3が、冷却手段6によって結晶粒の微細化された素子が再結晶によって粒成長を起こすことを防止することができるので、微細結晶組織を維持し、かつ結晶配向性を維持することができる。
【0065】
次に、第2参考例において、押出工程の後に、再結晶温度以下で被押出材3を熱処理する工程を備えた実施形態を、本発明の第3実施形態として[表3]に基づいて説明する。なお、表3は、性能指数Z等を示した比較表である。
【0066】
【表3】
【0067】
第3実施形態においては、押出工程後の結晶歪みを除去するために、第2参考例の押出工程後の被押出材3に対して、例えば窒素ガス雰囲気中で所望の加熱手段(図示せず)にて熱処理を行う工程を設ける。被押出材3に対する熱処理条件は、熱処理温度500℃で、ガス圧は1気圧で、処理時間は10時間である。なお、被押出材の再結晶温度は略510℃であり、熱処理温度500℃はこの被押出材3の再結晶温度以下である。
【0068】
表3は、このP型の熱電材料の熱処理前と、熱処理後での性能比較を示すものである。熱処理を行うことによって、押出工程によって生じた結晶歪みを除去し、材料中のキャリア濃度を増加させ、熱電変換素子の抵抗を低減させることができるので、熱電変換素子の抵抗の減少に伴い、ゼーベック係数αが減少し,熱伝導率κは上昇するが性能指数Zは上昇する。これは熱電変換素子の抵抗減少の効果が大きいためである。
【0069】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、押出工程の後に、被押出材3の再結晶温度以下で被押出材3を熱処理する工程を備えるようにすることで、押出工程後の被押出材3の結晶歪みを除去し、性能指数Zが大きくなるように熱電変換素子の性能を向上させることができる。
【0070】
なお、P型の熱電材料である被押出材3に対する熱処理条件は、処理温度450〜500℃で、ガス圧は1〜1.5気圧で、処理時間は3〜10時間程度であることが好ましい。また、被押出材3が第3参考例において示したN型の熱電材料であってもよく、その場合には、熱処理条件は、例えば、処理温度450〜475℃で、ガス圧は1〜1.5気圧で、処理時間は3〜10時間程度であることが好ましい。なお、被押出材3の再結晶温度略500℃であり、熱処理温度450〜475℃はこの被押出材3の再結晶温度以下である。
【0071】
また、第3実施形態においては、窒素ガス雰囲気中で熱処理工程を行っているが、ガスとしては水素ガスや、アルゴンガス等であってもよい。なお、第3実施形態において、第4参考例のように不活性ガス中で熱電変換素子の押出工程を行ってもよく、第5参考例のように被押出材3に対して複数回繰り返し押出工程を行ってもよく、第1実施形態のように連続した押出工程の間には、前述の軸Aを中心に被押出材3を180度回転させて挿入するようにしてもよい。また、第3実施形態において、第2実施形態のように被押出材3の塑性変形温度領域内の熱間処理で押出工程を行うようにしてもよく、第6参考例のように冷却手段3を設けて被押出材3を冷却するようにしてもよい。
【0072】
次に、第3実施形態において、押出工程を行う前に、被押出材3として押出ビレット7を形成する工程を備えた実施形態を、本発明の第4実施形態として図10に基づいて説明する。なお、図10は、本発明の第4実施形態に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【0073】
ここで、押出ビレット7は、所定の金属材料で形成されたカプセル本体71と、このカプセル本体71と同一材料の蓋72とを用いて、内部に熱電材料31を投入し密封したものである。第4実施形態においては、第3実施形態において押出工程を行う前の準備段階として、カプセル本体71に予め熱電材料31を密封して押出ビレット7を形成する工程を備えるようにする。この工程を備えることで、押出工程後の熱電変換素子割れの防止と不純物混入の防止をはかることができる。
【0074】
なお、カプセル本体71の材料としては、例えばアルミニウムや、アルミニウム合金を用いる。なお、アルミニウムや、アルミニウム合金で形成されたカプセル本体71及び蓋72は、変形抵抗が小さいため、押出工程中のカプセル破損が発生しにくく、押出工程を複数回繰り返し行うような場合には特に有効である。なお、カプセル本体71及び蓋72の材料は、鉄や銅等であってもよい。
【0075】
以下に、押出ビレット7の形成方法を示す。図10(a)に示すように、カプセル本体71に対して、所望の熱電材料31を投入して後、蓋72をして、押出ビレット7を形成する。そして、図10(b)に示すように、真空中で蓋72の縁に沿って電子ビームを照射し、蓋72とカプセル本体71とを溶接する。なお、真空脱気は、例えば到達真空度が1Pa以下で、所定到達真空度に達してから30分以上保持するようにして行う。なお、蓋72の上面と、カプセル本体71の上面の段差は、例えば±0.5mm程度に調整することが望ましい。ここで、押出ビレット7の形成工程は、真空中で行っているが、これは熱電変換素子への酸素混入が極力避けられるためである。
【0076】
なお、図10(c)に示す以降の工程は、第1参考例と同様の押出工程であるので、詳細な説明は省略するが、押出ビレット7の内部に密封した熱電材料31は、押出工程の後、金属カプセル本体や蓋を切削等することによって除去し、熱電変換素子として取り出される。
【0077】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、押出工程の前に、所定の金属材料で形成されたカプセル本体71と蓋72から構成されたカプセルに予め熱電材料31を密封する工程を備えることで、ダイス1から熱電材料31に直接不純物が混入することを防ぐことができ、性能指数Zの低下を防止することができる。
【0078】
次に、第4実施形態において、被押出材3である押出ビレット7に対して、押出方向と逆方向に向って背圧を加える工程を備えた実施形態を、第7参考例として図11に基づいて説明する。なお、図11は、第7参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図であるが、図11においては、押出ビレット7を簡略化して図示している。
【0079】
図11に示すように、ダイス1に被押出材3である押出ビレット7を装填後、ダイス入口部11側とダイス出口部12側の両方から各々パンチ2と背圧用パンチ21にて圧力をかける。押出工程開始後、パンチ2は一定速度、例えば0.1mm/秒で押出ビレット7を押出していき、このときのパンチ2の圧力をモニターして、このモニターした圧力と所定の割合の圧力で、背圧用パンチ21に対して背圧を加える。例えば、前述した所定の割合が5割である場合には、パンチ2の圧力が100MPaであったときには、50MPaで背圧がかかるように背圧用パンチ21を制御する。
【0080】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、被押出材3である押出ビレット7に対して、押出方向と逆方向に向って背圧を加える工程を備えることで、押出工程時の熱電変換素子の内部応力を高めて、熱電変換素子の高密度化ができるので、押出工程後の熱電変換素子の割れを防ぐことができる。
【0081】
次に、第2参考例及び第3参考例において、押出工程に用いる被押出材3の準備工程を備えた実施形態を、第8参考例として図12及び図13に基づいて説明する。なお、図12及び図13は、第8参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【0082】
ここで、例えば2mmふるい下程度まで粗粉砕しておいた溶製された熱電材料インゴット32を不活性ガス雰囲気中のボールミル(図示せず)等によって平均粒径が10μm程度になるまで細粉砕する。細粉砕された熱電材料インゴット33を所望の型80に充填してプレスして、固形状の熱電材料である被押出材3を得る。このときのプレス圧力は例えば50MPaで行う。
【0083】
なお、熱電材料インゴット32の粉砕方法は、この他に例えば液体急冷法を用いてもよい。液体急冷法は、図13(a)に示すように、ノズル81に溶湯した熱電材料34を投入して、例えばアルゴン雰囲気中で金属ロール82に対して噴出する。このときの金属ロール82の回転速度は例えば5〜20m/秒で、噴出圧は0.15〜2MPaである。この液体急冷法によって作製された箔片粉末35は、例えば厚さが10〜20μmであり、最後に、図13(b)に示すように、例えば開口径1mm程度のふるい83を通して粒度調整を行い箔片粉末36を得る。そして、この箔片粉末36を例えば図12(c)で示すような型に充填して、プレスして固化する。固化成形後の被押出材3である熱電材料の大きさは、例えば、15mm×15mm×30mmであり、この被押出材3に対して、第1参考例にて示した押出工程を施す。
【0084】
なお、液体急冷法によって作製された箔片粉末35、36は、結晶粒径が小さく、数μm以下の結晶粒径にすることが可能であるとともに、結晶粒が小さくても粉末のサイズは大きいため、酸化などの影響を受けにくく、取り扱いが容易である。
【0085】
ここで、プレスして固化して形成した固形状の被押出材3である熱電材料は、不活性ガス雰囲気中において固化した熱電材料の通常の焼結を実施する。例えば、BiTe系の熱電材料であった場合には、例えばアルゴンガス中にて400〜500℃の温度にて、5〜10時間保持して焼結する。焼結することによって熱電材料の相対密度は95%以上と高いものが得られ、この焼結した熱電材料を被押出材3とすることで、押出工程後の熱電材料の相対密度は98%以上となり、かつ、押出工程中の被押出材3の割れも防止することができる。
【0086】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、押出工程の前に、熱電材料インゴット32を粉砕し、細粉砕された熱電材料インゴット33を固化して粉末固化材を形成することで、押出工程に用いる被押出材3である熱電材料を予め形成しておく工程を備えることで、溶製材に比べて押出工程時の材料流動性が均一で、内部応力も均一に分散されるため、押出工程後の熱電変換素子の割れを防ぐことができる。また、押出工程前からある程度は微細組織が形成されているため、押出による微細化の効果はさらに大きくなる。また、熱電変換素子の加工形状も安定させることができる。
【0087】
最後に、第8参考例の図12において細粉砕された熱電材料インゴット33に対する異なる焼結方法を示す実施形態を、第9参考例として図14乃至図17に基づいて説明する。なお、図14は、第9参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図であり、図15は、熱電変換素子の結晶構造を示す模式斜視図である。また、図16は、ホットプレス温度と性能指数Zとの関係を示すグラフであり、図17は、ホットプレス温度と熱電変換素子中の酸素濃度との関係を示すグラフである。なお、ホットプレスは、カーボン製ダイス84とヒーター85とを備えてなる。
【0088】
ここで、押出工程の準備段階として、第8参考例の図12(a)、(b)に示すようにして熱電材料インゴット32を細粉砕し、細粉砕された熱電材料インゴット33を形成して後、図12(c)に示すような所望の型80を用いた焼結方法の代わりに、図14に示すようなホットプレス用のカーボン製ダイス84にこの細粉砕された熱電材料インゴット33を充填し、ヒーター85を用いたホットプレスにてこの細粉砕された熱電材料インゴット33を固化して焼結する。BiTe系熱電材料の場合、窒素ガス雰囲気中やアルゴンガス雰囲気中や水素ガス雰囲気中にて、温度350〜550℃、プレス圧力30〜100MPaで、プレス時間は0.5〜3時間の範囲で行う。
【0089】
なお、細粉砕された熱電材料インゴット33の固化をホットプレスで行うことで、図15に示すように、ホットプレス中にC面で滑りが生じ、プレス方向と垂直な面方向にC面が揃うので、押出工程後のC面の配向度が大きくなる。
【0090】
例えば、図16には、第2参考例にて用いたP型の熱電材料と、第3参考例態にて用いたN型の熱電材料に対するホットプレス温度と性能指数Zとの関係を示しているが、このP型の熱電材料では、450℃〜500℃のホットプレス温度領域で性能指数Zが3.0×10−3/K以上と高い値が得られ、このN型では400℃〜450℃のホットプレス温度領域で性能指数Zが2.8×10−3/K以上と高い値が得られる。
【0091】
このときのホットプレス圧力は50MPaで、加圧時間は1.5時間であり、押出工程では、450℃程度でダイス1をヒーター5で加熱処理し、押出速度は0.1mm/秒で被押出材3を押出する。なお、P型又はN型の熱電材料は、例えば、第4実施形態に示したようにアルミニウムで形成されたカプセル本体71と蓋72から形成されたカプセルに密封しておいたものを使用しており、押出工程の繰り返し回数は3回である。
【0092】
また、図17には、第2参考例にて用いたP型の熱電材料と、第3参考例にて用いたN型の熱電材料に対するホットプレス温度と熱電変換素子中の酸素濃度との関係を示しているが、これらP型、N型の熱電材料に対しては、ホットプレス用のカーボン製ダイス84を用いることによって、ホットプレス温度400℃以上で還元効果が十分得られる。カーボンによる還元効果によって、熱電変換素子中の酸素を除去して、性能指数Zが大きくなるように熱電変換素子の性能を向上させることができる。なお、ホットプレス温度は、好ましくは、P型の熱電材料では350℃以上、またN型の熱電材料では450℃以上である。
【0093】
かかる熱電変換素子の製造方法においては、細粉砕された熱電材料インゴット33の固化をホットプレスで行うため、ホットプレス中にC面で滑りが生じ、プレス方向と垂直な面方向にC面が揃うので、押出工程後のC面の配向度が大きくなる。
【0094】
なお、第8参考例及び第9参考例において、第4参考例のように不活性ガス中で熱電変換素子の押出工程を行ってもよく、第5参考例のように被押出材3に対して複数回繰り返し押出工程を行ってもよく、第1実施形態のように連続した押出工程の間には、前述の軸Aを中心に被押出材3を180度回転させて挿入するようにしてもよい。また、第8参考例及び第9参考例において、第2実施形態のように被押出材3の塑性変形温度領域内の熱間処理で押出工程を行うようにしてもよく、第6参考例のように冷却手段3を設けて被押出材3を冷却するようにしてもよい。また、第8参考例及び第9参考例において、第3実施形態のように押出工程の後に被押出材3の再結晶温度以下で被押出材3を熱処理するようにしてもよく、また、第4実施形態のように押出工程時に被押出材3に対して、押出方向と逆方向に向って背圧を加えるようにしてもよい。
【0095】
【発明の効果】
上記のように本願の請求項1に係る発明の熱電変換素子の製造方法にあっては、少なくとも1箇所にて所定の角度だけ屈曲した屈曲部を備え、屈曲部の前後では等断面積形状である押出通路に対して、六方晶の結晶構造を有する被押出材である熱電材料を押圧する押出工程を備えることで、結晶構造が微細化されることで熱伝導率を低下させ、かつ熱電材料の基底面であるC面での滑りにより、大きな結晶配向性が得られるため熱電変換素子の抵抗を減少させることができ、性能指数Zを向上させ、高性能な熱電変換素子を得ることができるという効果を奏する。
【0096】
また、不活性ガス中で熱電変換素子の押出工程を行うことで、押出工程時に熱電変換素子への酸素の混入を防ぐことができるため、性能指数Zの低下を防止することができるという効果を奏する。
【0097】
また、押出工程回数を複数回繰り返し行うことで、結晶粒の微細化を増進させることが可能となるので、優れた機械的強度を備えた熱電変換素子を得ることができるという効果を奏する。また、結晶粒の微細化を増進させることで熱伝導率κも低下させることができるため、性能指数Zを向上させた高性能な熱電変換素子を得ることができるという効果を奏する。
【0098】
また、連続した押出工程の間には、押出通路に被押出材を挿入する方向を軸として、この軸を中心に180度回転させて挿入する工程を備えることで、押出工程前のC面方向と、連続する押出工程後のC面方向を一致させることができるので、押出工程の回数を重ねる毎に熱電変換素子の結晶配向性を高めることができるという効果を奏する。また、熱電変換素子の抵抗を減少させることができるので、大きな性能指数Zを有した高性能な熱電変換素子を得ることができるという効果を奏する。
【0099】
また、請求項1に記載の発明において、熱電変換素子を形成する熱電材料の塑性変形温度領域内の熱間処理にて押出工程を行うことで、大きい性能指数Zを有する熱電変換素子を得ることができるという効果を奏する。また、押出工程後の熱電変換素子の割れも減少させることができるという効果を奏する。
【0100】
また、熱間の押出工程を経て押出出口から出てきた被押出材を冷却する冷却手段を設け、冷却手段にて被押出材を冷却する工程を備えることで、冷却手段によって結晶粒の微細化された素子が再結晶によって粒成長を起こすことを防止することができるので、微細結晶組織を維持し、かつ結晶配向性を維持することができるという効果を奏する。
【0101】
また、押出工程の後に、被押出材の再結晶温度以下で被押出材を熱処理する工程を備えることで、押出工程後の被押出材の結晶歪みを除去し、性能指数Zが大きくなるように熱電変換素子の性能を向上させることができるという効果を奏する。
【0102】
また、押出工程の前に、所定の金属材料で形成されたカプセルに予め熱電材料を密封する工程を備えることで、ダイスから熱電材料に直接不純物が混入することを防ぐことができ、性能指数Zの低下を防止することができるという効果を奏する。
【0103】
また、所定の金属材料で形成されたカプセルに予め熱電材料を密封する工程が真空中で行われことで、熱電変換素子への酸素混入を極力避けることができるという効果を奏する。
【0104】
また、被押出材に対して、押出方向と逆方向に向って背圧を加える工程を備えることで、押出工程時の熱電変換素子の内部応力を高めて、熱電変換素子の高密度化ができるので、押出工程後の熱電変換素子の割れを防ぐことができるという効果を奏する。
【0105】
また、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の発明において、熱電材料インゴットを粉砕し、粉砕した熱電材料を固化して粉末固化材を形成することで、押出工程に用いる被押出材である熱電材料を予め形成しておく工程を用いて押出工程を行うことで、溶製材に比べて押出工程時の材料流動性が均一で、内部応力も均一に分散されるため、押出工程後の熱電変換素子の割れを防ぐことができるという効果を奏する。また、押出工程前からある程度は微細組織が形成されているため、押出による微細化の効果はさらに大きくなるという効果を奏する。また、熱電変換素子の加工形状も安定させることができるという効果を奏する。
【0106】
また、粉砕した熱電材料の固化は、焼結によって行うことで、熱電材料の相対密度が95%以上と高いものが得られ、この焼結した熱電材料を被押出材とすることで、押出工程後の熱電材料の相対密度が98%以上となり、かつ、押出工程中の被押出材の割れも防止することができるという効果を奏する。
【0107】
また、粉砕した熱電材料の形成は、液体冷却法を用いて行うことで、粉砕して作製された箔片粉末は、結晶粒径が小さく、数μm以下の結晶粒径にすることが可能であるとともに、結晶粒が小さくても粉末のサイズは大きいため、酸化などの影響を受けにくく、取り扱いが容易であるという効果を奏する。
【0108】
また、熱電材料が、Bi2Te3:Sb2Te3=0.25:0.75の組成であり、P型の性質を示すものであれば、室温付近で性能指数Zが3.0×10−3/K以上と高い値を有する高性能なN型の熱電変換素子が得られるという効果を奏する。
【0109】
また、熱電材料が、Bi2Te3:Bi2Se3:Sb2Te3=0.90:0.05:0.05の基本組成を有するものに、SbI3を0.09重量 %加えた合金であり、N型の性質を示すものであれば、室温付近で性能指数Zが3.0×10−3/K以上と高い値を有する高性能なN型の熱電変換素子が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【図2】本発明の第1参考例に係る熱電変換素子の結晶構造を示す模式斜視図である。
【図3】本発明の第4参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の第5参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図及び繰り返し回数と熱電変換素子の平均の結晶粒径との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る押出工程時の加工温度と性能指数Zとの関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第6参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【図9】本発明の第6参考例に係る他の熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【図11】本発明の第7参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【図12】本発明の第8参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【図13】本発明の第8参考例に係る他の熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【図14】本発明の第9参考例に係る熱電変換素子の製造方法を示す断面図である。
【図15】本発明の第9参考例に係る熱電変換素子の結晶構造を示す模式斜視図である。
【図16】本発明の第9参考例に係るホットプレス温度と性能指数Zとの関係を示すグラフである。
【図17】本発明の第9参考例に係るホットプレス温度と熱電変換素子中の酸素濃度との関係を示すグラフである。
Claims (3)
- 六方晶の結晶構造を有する熱電材料を用いて形成された熱電変換素子の製造方法において、
少なくとも1箇所にて所定の角度だけ屈曲した屈曲部を備え、該屈曲部の前後では等断面積形状である押出通路に対して、被押出材である熱電材料を押圧する押出工程を、複数回繰り返し行うものであって、
連続した前記押出工程の間には、前記押出通路に前記被押出材を挿入する方向を軸として、該軸を中心に180度回転させて挿入する工程を備えてなることを特徴とする熱電変換素子の製造方法。 - 前記押出工程は、不活性ガス中にて行うものであって、前記熱電材料の塑性変形温度領域内で熱間処理される請求項1に記載の熱電変換素子の製造方法。
- 熱電材料インゴットを粉砕し、粉砕した熱電材料を固化することで、前記押出工程に用いる熱電材料を予め形成しておく工程を用いて該押出工程を行う請求項1又は請求項2に記載の熱電変換素子の製造方法。
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