JP2016164960A - 複合体及び該複合体を含む熱電変換素子 - Google Patents

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雅敏 武田
至 瓜谷
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至 瓜谷
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Haruhiro Asami
晴洋 浅見
圭二 山原
Keiji Yamahara
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Abstract

【課題】本発明は、高い熱電変換効率を達成できる材料を提供することを課題とする。【解決手段】Mg−Si系材料やMn−Si系材料などのSiを含有する母材Aに特定の物質Bを加えた複合体とすることで、Siを含有する母材Aのゼーベック係数を、熱電変換効率を向上させる方向にシフトさせることが可能となった。【選択図】図1

Description

本発明は、Si含有無機物を含む複合体に関し、より詳細には熱電変換効率に寄与するゼーベック係数が改善されたSi含有無機物を含む複合体に関する。
環境問題の高まりに応じて、各種のエネルギーを効率的に利用する手段が検討されており、その一つとして、ゼーベック効果を利用して熱電変換を行う熱電変換素子がある。
熱電変換素子としては、環境負荷が少ないMg−Si系の金属化合物を含む材料が研究されており(特許文献1、2参照)、該材料については熱電変換性能等を改良する技術が検討されている(特許文献3、4参照)。
特許文献3では、マグネシウム−ケイ素材料におけるMg及びSiの含有量を適切に調整することで、高い熱電変換効率を達成する試みがされており、特許文献4では、マグネシウムシリサイドと相性の良いドーパントのドープにより、材料の性質を改良する試みがされている。
特開2002−285274号公報 特開2005−314805号公報 特開2011−029632号公報 特開2013−073960号公報
上記、熱電変換素子の材料として用いられるMg−Si系材料は、その熱電変換効率に改善の余地を有するものである。
本発明は、高い熱電変換効率を達成できる材料を提供することを課題とする。
本発明者らは高い熱電変換効率を達成できる材料を検討する中で、熱電変換効率に寄与する因子であるゼーベック係数に着目した。そして、Si系の母材と母材とは熱膨張率が異なる特定の物質との複合体とすることで、Si系の母材のゼーベック係数を、熱電変換効率を向上させる方向にシフトさせることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
このように、Si系の母材のゼーベック係数がシフトするメカニズムは、以下のとおりである。すなわち、母材と、母材と熱膨張率が異なる物質との複合体は、使用温度よりも高温で接合し、使用温度では熱膨張率の差により母材が圧縮歪又は引張歪を有し、当該歪によりゼーベック係数を変化させるものであり、本発明に係る複合体は、母材と、母材と熱膨張率が異なる物質との接合界面を有し、当該接合界面において熱膨張率の違いにより母材に押圧または引張りを与えることで歪が生じるものである。
本発明は、以下に示すものを要旨とする。
[1]Siを含有する無機物からなる母材Aと、該母材Aと熱膨張率が異なる物質B、とを含む複合体であって、
前記母材Aが圧縮歪を有する場合には前記物質Bは引張歪を有し、または、前記母材Aが引張歪を有する場合には前記物質Bは圧縮歪を有し、かつ
複合体の25℃のゼーベック係数の絶対値が、前記母材Aの25℃のゼーベック係数の絶対値よりも大きい、複合体。
[2]前記複合体は、前記母材Aと前記物質Bとの接合界面を有する、[1]に記載の複合体。
[3]前記母材Aの熱膨張率αAと、前記物質B熱膨張率αBとが、以下の関係式を満たす、[1]または[2]に記載の複合体。
|(αA−αB)/αA|≧0.1
[4]前記母材Aの圧縮歪または引張歪が母材A固有のXRDによるX線回折ピーク半値幅に対して、10%以上の歪である、[1]〜[3]のいずれかに記載の複合体。
[5]前記母材Aが引張歪を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の複合体。
[6]前記母材AがMg−Si系化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の複合体。
[7]前記母材AがMn−Si系化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の複合体。
[8]前記物質Bの粒子径と前記母材Aの粒子径比(DB/DA)が1/1000以上である、[1]〜[7]のいずれかに記載の複合体。
[9]複合体中における、前記物質Bの体積と前記母材Aの体積比(VB/VA)が0.001以上である[1]〜[8]のいずれかに記載の複合体。
[10]前記母材Aは、25℃のゼーベック係数の絶対値が20μV/K以上である、[1]〜[9]のいずれかに記載の複合体。
[11][1]〜[10]のいずれかに記載の複合体であって、前記母材Aと物質Bとを混合し、該混合物を焼結するステップにより製造され、該ステップにおける焼結温度が600℃以上である、複合体。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の複合体を含む熱電変換部と、電極を備える熱電変換素子。
本発明により、Si系母材のゼーベック係数を、熱電変換効率が向上する方向にシフトさせることができ、当該材料を熱電変換素子に用いた際に、熱電変換効率を向上させることができる。
実施例及び比較例で得られた焼結体のゼーベック係数を示すグラフである。 実施例3、4および比較例1の焼結体の、XRDにおけるMg2Siピークを示すグラフである。 実施例3、4の焼結体の、XRDにおけるSiCピークを示すグラフである。 実施例5、比較例1、及び比較例3の焼結体の、ゼーベック係数を示すグラフである。 実施例5、比較例1、及び比較例3の焼結体の、XRDにおけるMg2Siピークを示すグラフである。 実施例6、比較例4の焼結体の、ゼーベック係数を示すグラフである。 実施例6、比較例4の焼結体の、XRDにおけるMnSi1.73ピークを示すグラフである。
以下、本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、発明の具体的な実施形態のみに限定されないことは言うまでもない。
本発明の実施形態は、Siを含有する無機物からなる母材Aと、該母材Aと熱膨張率が
異なる物質B、とを含む複合体であって、前記母材Aが圧縮歪を有する場合には前記物質Bは引張歪を有し、または、前記母材Aが引張歪を有する場合には前記物質Bは圧縮歪を有する。このように「圧縮歪」及び「引張歪」を有することで、母材Aのバンド構造が変化し、母材Aのゼーベック係数を変化させることができる。
本発明において「圧縮歪」を有するとは、複合材における母材Aまたは物質Bの結晶格子が、他の物質によって物理的に押圧されることで歪んでいる状態をいい、また、「引張歪」を有するとは、複合材における母材Aまたは物質Bの結晶格子が、他の物質によって物理的に引っ張られていることで歪んでいる状態をいう。「圧縮歪」及び「引張歪」は、具体的にはXRDによるX線回折ピークを確認することで、「圧縮歪」及び「引張歪」の有無を判断できる。
なお、「母材」とは、通常複合体の組成において、体積基準で最も含有率が高い物質をいい、複合体中50体積%以上占める物質であってもよく、60体積%以上占める物質であってもよく、70体積%以上占める物質であってもよい。
本発明において「圧縮歪」及び「引張歪」を有するとは、XRDによるX線回折ピークから算出される格子面間隔(d値)が、本来母材Aが有する固有の格子面間隔に対して、0.002%以上、好ましくは0.003%以上、より好ましくは0.004%以上変化することをいう。或いは母材Aが有する固有のピーク形状に対して、非対称にピーク幅が広がり、固有のピーク半値幅に対して5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上大きくなることをいう。
なお、本発明に係る複合体は、Siを含有する無機物からなる母材Aと、該母材Aと熱膨張率が異なる物質Bとを含む複合体であれば、その製造方法は特段限定されないが、通常は母材Aと物質Bとを混合し、焼成することで製造される。以下、より具体的な実施形態について説明する。
本発明の具体的な実施形態の一つは、Mg−Si系化合物、及びMg−Si系化合物とは熱膨張率が異なる添加剤を含む複合体であり、該複合体は、少なくともMgとSiを含有する逆蛍石型の結晶構造を有するMg−Si系化合物である。
逆蛍石型結晶構造とは、負電荷を有するアニオンによって構成される面心立方格子の四面体サイトに正電荷を有するカチオンが入る構造である。
Mg−Si系化合物に含有されるドーパントは、具体的にはGe、Sn、Sb、Bi、Al、Zn、P、As、Ag、Cu、Sc、Ti、V、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W等があげられる。ドーパント含有量は(Mg+Si)に対するモル比をxとして、0≦x<0.5であり、好ましくは0≦x<0.1であり、より好ましくは0≦x<0.05である。
また、本発明の別の具体的実施形態としては、Mn−Si系化合物、及びMn−Si系化合物とは熱膨張率が異なる添加剤を含む複合体であり、該複合体は、少なくともMnとSiを含有する、上記逆蛍石型の結晶構造とは異なる結晶構造を有するMn−Si系化合物である。
Mn−Si系化合物に含有されるドーパントは、上記Mg−Si系化合物に含有されるものと同様である。
本発明において、Siを含有する無機物からなる母材Aとしては、上記Mg−Si系化合物、Mn−Si系化合物の他、Fe−Si系化合物、Co−Si系化合物、Cr−Si系化合物、Ca−Si系化合物、Ni−Si系化合物、Ti−Si系化合物、V−Si系化合物であってもよい。熱電変換素子に好適に用いられる観点から、Mg−Si系化合物、及びMn−Si系化合物であることが好ましい。
なお、母材Aの具体例で使用されている「系」とは、例えばMg−Si系化合物であれ
ば、Mg及びSiが主の構成物質である化合物であり、その他の物質を含むことを許容することを意図する。
また、母材Aは、25℃におけるゼーベック係数が20μV/K以上、または−20μV/K以下であることが好ましく、100μV/K以上、または−100μV/K以下であることがより好ましく、120μV/K以上、または−120μV/K以下であることが更に好ましい。母材Aのゼーベック係数の絶対値が大きいほど、歪導入後のゼーベック係数の絶対値が大きくなることが期待でき、本発明の効果が優れるため、好ましい。すなわち母材Aは、ゼーベック係数の絶対値が20μV/K以上であることが好ましい。
なお、上記2つの具体的実施形態において、物質Bは添加剤として添加されるが、複合体の製造工程において添加されることを必須の要件とするものではなく、複合体に母材Aと物質Bが含まれていることが、本発明の意図するところである。
本発明の要旨は、上記母材Aのゼーベック係数を、熱電変換効率を向上させる方向にシフトさせるものであり、母材Aと母材Aと熱膨張率が異なる物質Bとを含む複合体とすることで達成できる。そして、当該複合体においては、母材Aが圧縮歪又は引張歪を有することで、母材Aのゼーベック係数に変化を与えるものである。
すなわち、母材Aと、母材Aと熱膨張率が異なる物質Bとの複合体に熱を掛けることで、熱膨張率の差により母材Aが圧縮歪又は引張歪を有し、当該歪によりゼーベック係数を変化させる。ゼーベック係数の変化は、熱電変換効率を向上させる方向、すなわちゼーベック係数の絶対値が大きくなる方向に変化させる。そのため本実施形態に係る複合体は、母材Aと、母材Aと熱膨張率が異なる物質Bとの接合界面を有し、当該接合界面において熱膨張率の違いにより母材に押圧または引張りを与えることで歪が生じる。
本発明の実施形態に係る複合体は熱電変換素子に好ましく適用され、その場合にはn型半導体か、p型半導体のいずれかとなる。そして以下の要件(A)又は(B)を充足することが好ましい。
(A)前記母材Aがn型半導体であって、かつ前記物質Bが以下の(a−1)及び(a−2)の要件を満たす。
(a−1)物質Bの熱膨張率が前記母材Aの熱膨張率よりも小さい
(a−2)物質Bの25℃におけるゼーベック係数が100μV/Kよりも小さい、又は物質Bが絶縁体である
(B)前記母材Aがp型半導体であって、かつ前記物質Bが以下の(b−1)及び(b−2)の要件を満たす。
(b−1)物質Bの熱膨張率が前記母材Aの熱膨張率よりも小さい
(b−2)物質Bの25℃におけるゼーベック係数が−100μV/Kよりも大きい、又は物質Bが絶縁体である
本実施形態では、上記母材Aはn型半導体であってもよく、p型半導体であってもよいが、それぞれの場合で好ましい要件が異なる。以下、場合を分けて説明する。
<母材Aがn型半導体>
母材Aがn型半導体である場合、複合体に含有させるべき物質Bは、熱膨張率が前記母材Aの熱膨張率よりも小さい物質Bである。このような物質Bを含有させることで、n型半導体のゼーベック係数を負に大きくすることができる。このように、特定の物質Bを含有させることでn型半導体のゼーベック係数を負に大きくすることができる理由を、本発明者らは次のように考えている。なお、母材AとしてMg−Si系化合物を例に挙げて説明する。
熱電変換素子に用いるMg−Si系の材料を製造の際には、その過程で材料を焼成することが一般的である。Mg−Si系の材料の代表例であるマグネシウムシリサイドは、熱
膨張率が非常に高いため、焼成の際に膨張し、冷却の際には縮もうとする。一方で本実施形態の複合体に用いる物質Bは、熱膨張率がMg−Si系化合物よりも小さい。そうすると、熱膨張により結晶の面間隔が大きくなった状態でMg−Si系化合物と物質Bが接合して接合界面を有し、一方で物質Bの熱膨張率は小さいため、冷却時にMg−Si系化合物が縮もうとしても、物質Bが障害となり縮むことができないのでMg−Si系化合物に引張歪が付与される。そのため、Mg−Si系化合物と物質Bの複合体は、もとのMg−Si系化合物よりも結晶格子の面間隔が大きくなり、このように面間隔が大きくなることで、n型半導体である場合、複合体のゼーベック係数が負に大きくなる。
すなわち、本実施形態に係る複合体は、25℃のゼーベック係数の絶対値が、母材Aの25℃のゼーベック係数の絶対値よりも大きいことを特徴とする。
なお、Mg−Si系化合物の面間隔は、XRDにおけるMg−Si系化合物のピークを確認することで、大きくなっていることが把握できる。
母材Aがn型半導体である場合、物質Bの熱膨張率αBは、母材Aの熱膨張率αAよりも小さい限り特段限定されないが、通常15.5×10-6/K以下であり、13.5×10-6/K以下が好ましく、10.0×10-6/K以下がより好ましい。一方で下限値も限定されず、負の値であってもよい。上記範囲内であれば、母材Aの面間隔が広がった状態になり、ゼーベック係数が負に大きくなる。
また、母材Aの熱膨張率αAと、物質B熱膨張率αBとが、以下の関係式を満たす、すなわち母材Aの熱膨張率と物質Bの熱膨張率が10%以上異なっていることが、母材Aに与える歪を大きくし、ゼーベック係数を向上させる観点から好ましい。
|(αA−αB)/αA|≧0.1
なお、熱膨張率は、例えばJIS K7197に準じて測定することができる。
更に、母材Aがn型半導体である場合には、ゼーベック係数を負に大きくすることが、熱電変換効率の向上には重要であり、その効果を阻害しないため、物質Bの25℃におけるゼーベック係数は100μV/Kよりも小さいことが好ましい。より好ましくは物質Bの25℃におけるゼーベック係数は50μV/K以下であり、更に好ましくは0μV/K以下である。
または、物質Bが絶縁体の場合にはゼーベック係数の定義ができず、ゼーベック係数を負に大きくすることを阻害しないため、物質Bは絶縁体であってもよい。
なお、ゼーベック係数はJIS R1650−1により測定することができる。
上記説明したように、もとの母材Aよりも、本実施形態に係る複合体の面間隔が大きくなっていることは、後述する実施例で製造した複合体のXRD測定の結果(図2参照)から明らかである。
本実施形態における物質Bは、母材Aと熱膨張率が異なる物質であれば特段限定されず、上記熱膨張率及びゼーベック係数を満たす金属、又は無機化合物であることが好ましい。具体例を示すと、Au、Co、Fe、Ge、Mo、Ni、Pd、Pt、Si、Ta、Ti、W、V、Zrなどの金属、あるいは合金、MgO、Al23、CaO等の酸化物、SiC、TiC、WC、TaC等の炭化物、Si34、BN、AlN、TiN、ZrN等の窒化物、MgF2等のフッ化物、TiB2、ZrB2、HfB2、TaB2等のホウ化物、な
どがあげられる。これらの中でも、Mgを酸化しない点でSiC、TiC、WC、TaC等の炭化物、Si34、BN、AlN、TiN、ZrN等の窒化物、MgF2等のフッ化
物が、母材Aに与える歪を大きくし、ゼーベック係数を向上させる観点から好ましい。
<母材Aがp型半導体>
また、母材Aがp型半導体である場合、代表的にはMn−Si系化合物があげられ、複合体に含有させるべき物質Bは、母材Aと熱膨張率が異なる物質であればよく、熱膨張率
が前記母材Aの熱膨張率よりも小さい物質であることが好ましい。このような物質Bを含有させることで、p型半導体のゼーベック係数を正に大きくすることができる。このように、特定の物質Bを含有させることでp型半導体のゼーベック係数を正に大きくすることができる理由は、上記母材Aがn型半導体の場合と同様に、結晶格子の面間隔が大きくなることにより説明することができる。
物質Bの熱膨張率は、母材Aの熱膨張率よりも小さいことが好ましく、通常15.5×10-6/K以下であり、13.5×10-6/K以下であってもよく、10.0×10-6/K以下であってもよい。一方で下限値も限定されず、負の値であってもよい。上記範囲内であれば、母材Aの面間隔が広がった状態になり、ゼーベック係数が正に大きくなる。
また、母材Aの熱膨張率αAと、物質B熱膨張率αBとが、以下の関係式を満たす、すなわち母材Aの熱膨張率と物質Bの熱膨張率が10%以上異なっていることが、母材Aに与える歪を大きくし、ゼーベック係数を向上させる観点から好ましい。
|(αA−αB)/αA|≧0.1
更に、母材Aがp型半導体である場合には、ゼーベック係数を正に大きくすることが、熱電変換効率の向上には重要であり、その効果を阻害しないため、物質Bの25℃におけるゼーベック係数は−100μV/Kよりも大きいことが好ましい。より好ましくは物質Bの25℃におけるゼーベック係数は−50μV/K以上であり、更に好ましくは0μV/K以上である。
または、物質Bが絶縁体の場合にはゼーベック係数の定義ができず、ゼーベック係数を正に大きくすることを阻害しないため、物質Bは絶縁体であってもよい。
本実施形態における物質Bは、母材Aと熱膨張率が異なる物質であれば特段限定されず、上記熱膨張率及びゼーベック係数を満たす金属、又は無機化合物であることが好ましい。具体例を示すと、Au、Co、Fe、Ge、Mo、Ni、Pd、Pt、Si、Ta、Ti、W、V、Zrなどの金属、あるいは合金、MgO、Al23、CaO等の酸化物、SiC、TiC、WC、TaC等の炭化物、Si34、BN、AlN、TiN、ZrN等の窒化物、MgF2等のフッ化物、TiB2、ZrB2、HfB2、TaB2等のホウ化物、な
どがあげられる。これらの中でも、Mgを酸化しない点でSiC、TiC、WC、TaC等の炭化物、Si34、BN、AlN、TiN、ZrN等の窒化物、MgF2等のフッ化
物が、母材Aに与える歪を大きくし、ゼーベック係数を向上させる観点から好ましい。
<n型半導体、p型半導体共通>
本実施形態では、物質Bのヤング率は特に制限はないが、大きいことが好ましい。母材Aが焼成され、その後の冷却時に縮もうとする際、物質Bのヤング率が大きいことで母材Aが縮むことができず、結果母材Aの面間隔を大きくして複合体のゼーベック係数が変化する。
物質Bのヤング率は特に制限はないが、母材Aのヤング率よりも大きいことが好ましく、例えば113GPa以上であってよく、130GPa以上であってよく、150GPa以上であってもよい。
なお、ヤング率は、例えばJIS Z2280に準じて測定することができる。
本実施形態では、物質Bの粒子径と前記母材Aの粒子径比(DB/DA)が1/1000以上であることが好ましい。粒子径比は1/800以上であってもよく、1/530以上であってもよい。一方で粒子径比は通常100/1以下であり、10/1以下であってもよく、さらには1/1以下であってもよい。上記下限値以上とすることで、ゼーベック係数の変化が大きくなるため好ましい。一方で、上限を超えると母材Aがその強度を維持できなくなる傾向にある。
前記母材Aの一次粒子の平均粒子径は特段限定されないが、通常0.01μm以上であり、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。また通常5mm以下であり、1mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましい。平均粒子径が大きすぎると強度が弱くなる傾向があり、小さすぎると粒子のハンドリングが難しくなる傾向がある。
前記物質Bの一次粒子の平均粒子径は特段限定されないが、通常0.01μm以上であり、0.08μm以上が好ましく、0.10μm以上がより好ましい。また通常5mm以下であり、1mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましい。平均粒子径が大きすぎると強度が弱くなる傾向があり、小さすぎると粒子のハンドリングが難しくなる傾向がある。
一次粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡により無作為に抽出した10個以上の粒子の平均直径とすることができる。
また、本実施形態では、複合体中における、前記物質Bの体積と前記母材Aの体積比(VB/VA)が通常0.001以上である。体積比は0.01以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.05以上が更に好ましい。一方で体積比は通常0.5以下であり、0.4以下が好ましい。上記下限値以上とすることで、ゼーベック係数の変化が大きくなるため好ましい。一方で、上限を超えるとゼーベック係数の変化が十分ではなくなり、性能を十分に発揮することができない傾向にある。
前記母材Aの含有量は、複合材中に通常40体積%以上であり、50体積%以上が好ましい。また通常99体積%以下であり、97体積%以下が好ましく、95体積%以下が更に好ましい。含有量が多すぎると、ゼーベック向上効果が小さくなる傾向があり、少なすぎると母材Aの熱電効果が小さくなる傾向がある。
前記物質Bの含有量は、複合材中に通常1体積%以上であり、3体積%以上が好ましく、5体積%以上がより好ましい。また通常50体積%以下であり、40体積%以下が好ましい。含有量が多すぎると、母材Aの熱電効果が小さくなる傾向があり、少なすぎると、ゼーベック向上効果が小さくなる傾向がある。
以下、本発明の実施形態に係る複合材の製造方法について説明する。
<母材Aの製造>
本実施形態で用いられる母材Aの製造方法は特に限定されず、例えばMg−Si系化合物や、Mn−Si系化合物であれば、溶融合成法を用いることができる。以下、Mg−Si系化合物や、Mn−Si系化合物を例に挙げて説明する。
溶融合成法の場合、Mg、Mn、Si、その他必要に応じドーパントを混合し、該混合物を加熱溶融するステップを有する。
原料となるMg、Mn、Siは、特段限定はされないものの、純度が高いことが好ましい。通常Mgは純度95%以上のものを用い、純度98%以上であってよく、純度99%以上であってもよい。また、通常Mnは純度95%以上のものを用い、純度98%以上であってよく、純度99%以上であってもよい。また、通常Siは純度95%以上のものを用い、純度98%以上であってよく、純度99%以上であってもよい。
Mg原料及びSi原料は、Mg:Siのモル比がおおよそ2:1となるように混合する。Mn原料及びSi原料は、Mn:Siのモル比がおおよそ1:1.73となるように混合する。
Mg−Si系化合物の製造においては、混合したMg及びSi、その他必要に応じて混合されたドーパントは加熱溶融されMg−Si系化合物となる。加熱温度は限定されないが通常700℃以上1400℃以下であり、800℃以上が好ましく、900℃以上より好ましく、また、1300℃以下が好ましい。加熱温度が高すぎると、Mgの揮発ロスが大きくなり、低すぎると、未反応の原料が残る可能性がある。
加熱時間も特段限定されず、通常1分以上10時間以内である。
加熱溶融は、原料の酸化を防ぐためArなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。圧力条件は特段限定されず、大気圧下であっても、加圧下であっても、減圧下であってもよい。
加熱後のMg−Si系化合物(焼成体)は冷却され、必要に応じて粉砕、分級を行ってよい。
Mn−Si系化合物の製造においては、混合したMn及びSi、その他必要に応じて混合されたドーパントは加熱されMn−Si系化合物となる。加熱温度は限定されないが通常400℃以上1150℃以下であり、600℃以上が好ましく、800℃以上より好ましく、また、1100℃以下が好ましい。加熱温度が高すぎると、Mnの揮発ロスが大きくなり、低すぎると、未反応の原料が残る可能性がある。
加熱時間も特段限定されず、通常1分以上100時間以内である。
加熱は、原料の酸化を防ぐためArなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。圧力条件は特段限定されず、大気圧下であっても、加圧下であっても、減圧下であってもよい。
加熱後のMn−Si系化合物は冷却され、必要に応じて粉砕、分級を行ってよい。
<複合体の製造方法>
複合体は、上記製造された母材Aと物質Bとを混合し、該混合物を焼結するステップにより製造される。以下、母材AがMg−Si系化合物である場合を例示して製造方法を説明するが、Mn−Si系化合物であっても同様に製造できる。
Mg−Si系化合物と物質Bとを所望の体積比率で混合した混合物は、焼結用容器に充填される。混合は、Mg−Si系化合物と物質Bが十分に混合するように行うことが好ましい。
焼結用容器は、通常窒化ケイ素製やカーボン製が用いられるが、Mg−Si系化合物と反応性の低い材料であれば、これに限定されるものではない。
焼結温度は、母材Aを焼結できる温度であれば特段限定されないが、Mg−Si系化合物の場合には、通常600℃以上1000℃以下であり、650℃以上が好ましく、700℃以上がより好ましく、950℃以下が好ましく、900℃以下がより好ましい。焼結温度が高すぎると、Mgの揮発ロスが大きくなり、低すぎると、熱膨張率差によるMg−Si系化合物の結晶格子の面間隔を広げる効果が小さくなる傾向がある。
Mn−Si系化合物の場合には、通常400℃以上1150℃以下であり、600℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましく、1100℃以下が更に好ましい。焼結温度が高すぎると、Mnの揮発ロスが大きくなり、低すぎると、熱膨張率差によるMn−Si系化合物の結晶格子の面間隔を広げる効果が小さくなる傾向がある。
焼結時の圧力も特段限定されないが、加圧下で行うことで焼結時間を短縮することができたり、焼結温度を下げることができるので好ましい。加圧下で行う場合、通常5MPa以上100MPa以下であり、10MPa以上が好ましく、75MPa以下がより好ましい。
焼結時間も特段限定されず、加圧下で行う場合、通常1分以上10時間以下であり、5分以上であってもよく、1時間以下であってもよい。焼結は、Mg−Si系化合物の酸化を防ぐためArなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
焼結後の降温についても特段限定されず、通常300℃まで、0.1℃/min以上であり、さらには1℃/min以上が好ましく、また通常1000℃/min以下であってもよく、500℃/min以下が好ましい。降温速度が速すぎると、複合体にクラックや割れが生じることがあり、遅すぎると、熱膨張率差によるMg−Si系化合物やMn−Si系化合物の結晶格子の面間隔を広げる効果が小さくなる傾向がある。
また、上記焼結後に必要に応じ粉砕して再焼結してもよい。
上記説明した本実施形態における複合体は、熱電変換素子用の材料として好適に用いられる。
本発明の別の実施形態は熱電変換素子であって、上記複合体を含む熱電変換部と、電極を備える熱電変換素子である。なお、熱電変換部及び電極の構成は、上記複合体以外について、既に公知の構成を適宜適用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、以下の具体的な実施例にのみ限定されない。
なお、実施例における各物性は、以下の方法で測定した。
・ゼーベック係数
JIS R1650−1により測定した。具体的には、He雰囲気中で室温から約520℃の範囲で測定した。ゼーベック係数の測定はアドバンス理工(株)製のZEM−3を用いた。試料表面に接触させた二対の熱電対にて二点間の温度差と、高温と低温の熱電対の同極の電位差(素線のゼーベック効果の寄与を除いたもの)を、試料に付与する温度差を変化させて複数組測定し,温度差に対する電位差の変化割合として求めた。
・平均粒径(一次粒子径)
電子顕微鏡により無作為に抽出した10個以上の粒子の平均直径(最大径)とした。
<実施例1>
Mg粉末(純度99.5%、180μmパス)、Si粉末(99.99%、150μmパス)を所定の組成(モル比でMg:Si=2:1)になるよう秤量した。それをカーボ
ン製容器に入れ、Ar雰囲気中で1160℃にて4分間加熱してMg2Siを合成した。
合成したMg2Siのゼーベック係数が負の値であることから,n型半導体であることを
確認した。合成したMg2Siを粉砕し(25℃でのゼーベック係数約−300μV/K
、熱膨張率15.5×10-6/K、平均粒径40μm、ヤング率185GPa)、平均粒径130nmのSiC(25℃でのゼーベック係数−90μV/K、熱膨張率6.6×10-6/K、ヤング率420GPa)を5体積%及びステアリン酸を加え、窒化ケイ素製の容器とボールを使用して遊星型ボールミル機にてAr雰囲気中、250rpm、2時間の条件で混合・粉砕を行った。混合・粉砕後、Ar気流中にて400℃で1時間加熱してステアリン酸を除去した。得られたMg2SiとSiCの混合体をカーボン製のダイスに
充填し、Ar雰囲気中で焼結温度840℃、圧力50MPa、保持時間10分の条件で焼結体を得た。焼結体は、n型半導体として機能することを確認した。
<実施例2>
平均粒径100nmのSiCを20体積%含有させる以外は、実施例1と同様にして、焼結体を得た。
<実施例3>
実施例2で得られた焼結体を、再度同じ条件で焼結する以外は、実施例2と同様にして焼結体を得た。
<実施例4>
平均粒径100nmのSiCを30体積%含有させる以外は、実施例3と同様にして焼結体を得た。
<比較例1>
SiCを添加しない以外は実施例1と同様にして焼結体を得た。
<考察>
図1に、実施例1〜4と比較例1で得られた焼結体のゼーベック係数をまとめた。物質
BとしてMg2Siと熱膨張率の異なるSiCを含む実施例1〜4の焼結体のゼーベック
係数は600K以下において、比較例1よりも負に大きくなった。
図2に、実施例3、4および比較例1の焼結体のXRDにおける、Mg2Siピークを
まとめた。添加剤を含む実施例3,4の焼結体のMg2Siピークは、比較例1よりも低
角側にシフトしており、Mg2Siの結晶構造が引張歪をもつことが示された。
なお、XRDの測定は、X線(CuKα1)波長(λ )=1.54056Å(1Å=1×10-10m)を使用して行った。
図3に、実施例3、4の焼結体のXRDにおける、SiCピークをまとめた。SiC単独でのピークと比較して実施例3、4のピークは、SiCよりも高角側にシフトし、SiCの結晶構造が圧縮歪をもつことが示された。
Mg2Siの熱膨張係数は15.5×10-6/K、SiCの熱膨張係数は6.6×10-6/Kであるため、実施例1から4では、焼結体に添加されたSiCによって、当該物質
の接合界面において熱膨張率の違いによりMg2Siの結晶構造に引張歪が付与され、そ
の結果としてゼーベック係数の絶対値を向上させることができた。
<実施例5>
物質BとしてSiCの代わりにMgOを30vоl%含有させる以外は実施例3と同様にして複合体を得た。
MgOの熱膨張率は9.7×10-6/K、絶縁体であり、ヤング率は240〜275GPa、平均粒径は1μmであった。
図4に実施例5と比較例1で得られた焼結体のゼーベック係数をまとめた。物質BとしてMgOを含む実施例5の焼結体のゼーベック係数は650K以下において、比較例1よりも負に大きくなった。
図5に実施例5の焼結体および比較例1のXRDにおける、Mg2Siピークをまとめ
た。MgOを含む実施例5の焼結体のMg2Siピークは、比較例1よりも低角側にシフ
トしており、Mg2Siの結晶構造が引張歪みをもつことが示された。焼結体に添加され
たMgOによって、Mg2Siの結晶構造に引張歪が付与され、その結果としてゼーベッ
ク係数の絶対値を向上することができた。
<比較例2>
Mg(99.5%)とSi(99.999%)をモル比47:53の組成となるように秤量し、Ar雰囲気化にて1253Kで溶解、凝固することで、Mg2Siと余剰のSi
のコンポジットを得た。ここでSiの熱膨張係数は2.6×10-6/K、Siの25℃におけるゼーベック係数は約300μV/Kであり、得られたコンポジットのゼーベック係数は200μV/Kであり、ゼーベック係数の絶対値を向上することができなかった。
<比較例3>
SiCの代わりにCaF2を30体積%含有させる以外は実施例3と同様にして複合体
を得た。CaF2の熱膨張係数は18.9×10-6/K、絶縁体であり、ヤング率は75
.8GPa、平均粒径は15μmであった。
図4に比較例3と比較例1で得られた焼結体のゼーベック係数をまとめた。CaF2
含む比較例3の焼結体のゼーベック係数は測定した全温度域(室温〜800K)において、比較例1よりも負に小さくなった。
図5に比較例3の焼結体および比較例1のXRDにおける、Mg2Siピークをまとめ
た。CaF2を含む比較例3の焼結体のMg2Siピークは、比較例1よりも高角側にシフトしており、Mg2Siの結晶構造が圧縮歪みをもつことが示された。焼結体に添加され
たCaF2によって、当該物質の接合界面において熱膨張率の違いによりMg2Siの結晶
構造に圧縮歪が付与され、その結果としてゼーベック係数の絶対値が低下した。
<実施例6>
Mn粉末(純度99.9%、75μmパス)、Si粉末(99.99%、75μmパス)を所定の組成(モル比でMn:Si=1:1.73)になるよう秤量した。それを24時間乾式混合し、その後Ar雰囲気中で1000℃にて24時間加熱してMnSi1.73を合成した。合成したMnSi1.73のゼーベック係数が正の値であることから,p型半導体であることを確認した。
合成したMnSi1.73を粉砕し(25℃でのゼーベック係数約125μV/K 、熱膨張率13×10-6/K、平均粒径40μm、ヤング率182GPa)、平均粒径100nmのSiC(25℃でのゼーベック係数−90μV/K、熱膨張率6.6×10-6/K、ヤング率420GPa)を30体積%及びステアリン酸を加え、窒化ケイ素製の容器とボールを使用して遊星型ボールミル機にてAr雰囲気中、250rpm、2時間の条件で混合・粉砕を行った。混合・粉砕後、Ar気流中にて400℃で1時間加熱してステアリン酸を除去した。得られたMnSi1.73とSiCの混合体をカーボン製のダイスに充填し、真空中で焼結温度1000℃、圧力30MPa、保持時間5分の条件で焼結体を得た。焼結体は、p型半導体として機能することを確認した。
<比較例4>
SiCを添加しない以外は実施例6と同様にして焼結体を得た。
図6に実施例6と比較例4で得られた焼結体のゼーベック係数をまとめた。物質BとしてSiCを含む実施例6の焼結体のゼーベック係数は800K以下において、比較例4よりも正に大きくなった。
図7に実施例6の焼結体および比較例4のXRDにおける、MnSi1.73ピークをまとめた。SiCを含む実施例6の焼結体のMnSi1.73ピークは、比較例4よりも低角側にシフトしており、MnSi1.73の結晶構造が引張歪をもつことが示された。焼結体に添加されたSiCによって、当該物質の接合界面において熱膨張率の違いによりMnSi1.73の結晶構造に引張歪が付与され、その結果としてゼーベック係数の絶対値を向上させることができた。

Claims (12)

  1. Siを含有する無機物からなる母材Aと、該母材Aと熱膨張率が異なる物質B、とを含む複合体であって、
    前記母材Aが圧縮歪を有する場合には前記物質Bは引張歪を有し、または、前記母材Aが引張歪を有する場合には前記物質Bは圧縮歪を有し、かつ
    複合体の25℃のゼーベック係数の絶対値が、前記母材Aの25℃のゼーベック係数の絶対値よりも大きい、複合体。
  2. 前記複合体は、前記母材Aと前記物質Bとの接合界面を有する、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記母材Aの熱膨張率αAと、前記物質B熱膨張率αBとが、以下の関係式を満たす、請求項1または2に記載の複合体。
    |(αA−αB)/αA|≧0.1
  4. 前記母材Aの圧縮歪または引張歪が、母材A固有のXRDによるX線回折ピーク半値幅に対して10%以上の歪である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合体。
  5. 前記母材Aが引張歪を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合体。
  6. 前記母材AがMg−Si系化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合体。
  7. 前記母材AがMn−Si系化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合体。
  8. 前記物質Bの粒子径と前記母材Aの粒子径比(DB/DA)が1/1000以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合体。
  9. 複合体中における、前記物質Bの体積と前記母材Aの体積比(VB/VA)が0.001以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合体。
  10. 前記母材Aは、25℃のゼーベック係数の絶対値が20μV/K以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合体。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合体であって、前記母材Aと物質Bとを混合し、該混合物を焼結するステップにより製造され、該ステップにおける焼結温度が600℃以上である、複合体。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の複合体を含む熱電変換部と、電極を備える熱電変換素子。
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