JP6206553B1 - 非水系印刷インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
前記塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)100質量%中の塩化ビニル由来構造の含有率が75〜95質量%である、非水系印刷インキ組成物に関する。
〔2〕本発明のさらなる一態様は、前記塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)と前記ポリウレタン樹脂(B)との固形分質量比率が、(A):(B)=5:95〜60:40の範囲である、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔3〕本発明のさらなる一態様は、前記塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)と前記ポリウレタン樹脂(B)との固形分質量比率が、(A):(B)=5:95〜50:50の範囲である、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔4〕本発明のさらなる一態様は、前記ポリウレタン樹脂(B)が、ポリエーテルポリオール由来の構造単位を含み、
前記ポリエーテルポリオール由来の構造単位の比率が、前記ポリウレタン樹脂(B)100質量%中、5〜80質量%の範囲である、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔5〕本発明のさらなる一態様は、前記ポリウレタン樹脂(B)が、ポリエステルポリオール由来の構造単位を含み、
前記ポリエステルポリオール由来の構造単位の比率が、前記ポリウレタン樹脂(B)100質量%中、5〜80質量%の範囲である、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔6〕本発明のさらなる一態様は、前記ポリエステルポリオール由来の構造単位は、分岐構造を有するジオールと二塩基酸とを反応させてなるポリエステルポリオール由来の構造単位を含む、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔7〕本発明のさらなる一態様は、前記ポリウレタン樹脂(B)の水酸基価が1〜20mg/KOHgである、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔8〕本発明のさらなる一態様は、前記バインダー樹脂が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(b1)及びセルロース系樹脂(b2)からなる群より選ばれる少なくとも一種をさらに含有する、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔9〕本発明のさらなる一態様は、さらに着色剤(C)を含有し、
前記着色剤(C)が白色無機顔料を含有する、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔10〕本発明のさらなる一態様は、アミノ系シランカップリング剤(D)をさらに含有する、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔11〕本発明のさらなる一態様は、前記アミノ系シランカップリング剤(D)が、第1級アミノ基を有するか、第2級アミノ基と4つ以上のアルコキシ基とを有する、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔12〕本発明のさらなる一態様は、前記アミノ系シランカップリング剤(D)が、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有する、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔13〕本発明のさらなる一態様は、グラビア印刷用インキ組成物である、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔14〕本発明のさらなる一態様は、ラミネート用印刷インキ組成物である、上記非水系印刷インキ組成物に関する。
〔15〕本発明の別の一態様は、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)とを含有するバインダー樹脂、
着色剤(C)、及び
アミノ系シランカップリング剤(D)
を含有し、
前記塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)100質量%中の塩化ビニル由来構造の含有率が75〜95質量%であり、
前記塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)と前記ポリウレタン樹脂(B)との固形分質量比率が、(A):(B)=5:95〜50:50の範囲であり、
前記着色剤(C)が白色無機顔料を含有する、ラミネート用非水系グラビアインキ組成物に関する。
〔16〕本発明の別の一態様は、印刷基材上に、上記非水系印刷インキ組成物、又は、上記ラミネート用非水系グラビアインキ組成物を用いてなるインキ層を有する、印刷物に関する。
〔17〕本発明のさらなる一態様は、前記印刷基材がフィルムである、上記印刷物に関する。
〔18〕本発明の別の一態様は、上記印刷物の印刷面に、接着剤層と基材がこの順で積層された積層体に関する。
塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)は塩化ビニルモノマーとアクリルモノマーの共重合体を主成分とするものである。共重合体の形態は特に限定されず、例えば、アクリルモノマーはポリ塩化ビニルの主鎖にブロックないしランダムに組み込まれていても良いし、ポリ塩化ビニルの側鎖にグラフト共重合されていても良い。
なお、本明細書において、共重合体中の各モノマー由来の構造の比率(質量%)は、共重合体の製造時の各モノマーの仕込み量の比率(質量%)から算出することができる。
FOXの式は下記により表される。
<FOX式>1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+…+Wi/Tgi+…+Wn/Tgn
〔上記FOX式は、n種の単量体からなる重合体を構成する各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度をTgi(K)とし、各モノマーの質量分率を、Wiとしており、(W1+W2+…+Wi+…Wn=1)である。〕
中でもアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましく、ヒドロキシアルキル基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。これらの中でも(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルが溶剤に対する溶解性を向上させ、基材への密着性を高めるため、より好ましい。これらは単独または2種以上を併用できる。
ポリウレタン樹脂(B)は、非水系印刷インキ組成物に用いることのできるものであれば特に限定されないが、重量平均分子量としては、10,000〜100,000のものが好ましく、得られるインキ組成物の耐ブロッキング性の点から15,000以上、顔料を適度に分散することができ、なおかつ得られるインキ組成物の高粘度化の抑制という観点から70,000以下であることがより好ましい。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、20,000〜60,000であることがさらに好ましい。
(式1)ポリオールの数平均分子量=1000×56.1×水酸基の価数/水酸基価
なお、本明細書において、固形分質量は、組成物を、常圧条件下、120℃で30分加熱して揮発成分を除去した残留成分の質量を意味する。
前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(b1)としては、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであり、分子量としては重量平均分子量で5,000〜100,000のものが好ましく、10,000〜70,000が更に好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(b1)の固形分100質量%中の塩化ビニルの比率は70%〜95%が好ましく、酢酸ビニルは有機溶剤への溶解性が向上するため、一部がケン化反応によりビニルアルコールとしたものが更に好ましく、水酸基価として20〜200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は50℃〜90℃であることが好ましい。
セルロース系樹脂(b2)としては、例えばニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース等が挙げられ、前記アルキル基は例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、更にアルキル基が置換基を有していても良い。中でも、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロースが好ましい。分子量としては重量平均分子量で5,000〜1,000,000のものが好ましく、10,000〜200,000が更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃〜180℃であるものが好ましい。
本実施形態における非水系印刷インキ組成物は他の高分子材料を含有しても良く、例えば、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂、およびこれらの変性樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができ、その含有量は、非水系印刷インキ組成物の固形分100質量%中、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
本実施形態における着色剤としては顔料を使用することが好ましく、一般のインキ、塗料、および記録剤などに使用されている有機、無機顔料を単独で使用、または併用することができる。有機系顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系などの顔料が挙げられる。藍インキには銅フタロシアニン、透明黄インキにはコスト・耐光性の点からC.I.Pigment No Yellow83を用いることが好ましい。また、以下の例には限定されないが、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、カーボンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。なお、有機顔料としてはカラーインデックス (Colour Index International, 略称 C.I. )に記載の着色剤のうち、有機化合物または有機金属錯体であるC.I.ピグメントブラック、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントグリーン、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントオレンジ、C.I.ピグメントブラウンが好ましい。
具体的には、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメント レッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメント レッド166、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本実施形態の非水系印刷インキ組成物は、ラミネート(裏刷り)用、表刷り用、紙用等、様々な用途に用いることができるものであるが、ラミネート加工後のラミネート強度に優れるため、ラミネート用印刷インキ組成物として好適に用いることができる。ラミネート用印刷、及びラミネート用印刷に好適な実施形態について、以下に説明する。
さらに、一実施形態では、ラミネート印刷における、外観不良、ラミネート強度、レトルト適性等に優れた印刷物を得ることができる。
さらに、一実施形態では、接着剤を後述するように低塗布量化した場合、であっても、良好な積層体外観、ラミネート強度およびレトルト適性を達成することができる。
本実施形態の非水系印刷インキ組成物に使用される有機溶剤としては、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどのアルコール系有機溶剤など公知の有機溶剤を使用でき、混合して使用しても良い。中でも、作業環境の観点からは、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤を含まない有機溶剤(ノントルエン系有機溶剤)がより好ましい。更に好ましくはメチルエチルケトン(以下「MEK」と表記する)などのケトン系有機溶剤を含まない有機溶剤が更に好ましい。
本実施形態の非水系印刷インキ組成物は添加剤として公知のものを適宜含むことができ、インキ組成物の製造においては必要に応じて公知の添加剤、例えば顔料誘導体、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分、シリカ粒子、可塑剤、イソシアネート系硬化剤、上述のアミノ系シランカップリング剤(D)以外のシランカップリング剤、キレート剤などを使用することができる。
本実施形態の非水系印刷インキ組成物は、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)、顔料等の着色剤を有機溶剤中に溶解および/または分散することにより製造することができる。具体的には、顔料をポリウレタン樹脂(B)、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)、および必要に応じて前記分散剤を混合し、有機溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、更にポリウレタン樹脂(B)及び/又は塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)、あるいは必要に応じて他の樹脂や添加剤などを配合することにより非水系印刷インキ組成物を製造することができる。また、顔料分散体の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。顔料分散体を得る工程を練肉工程、得られた顔料分散体にポリウレタン樹脂、およびその他の樹脂、有機溶剤、必要に応じて他の化合物などを配合する工程をシンニング工程とも言う。
本実施形態のインキ組成物を、フィルム基材等の基材上に印刷し、乾燥ないし硬化することで、印刷基材上にインキ層が形成された印刷物を製造することができる。
本実施形態の印刷物に使用できる基材はプラスチック基材、紙基材、アルミニウム基材等が挙げられる。
プラスチック基材は例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸などのポリエステル、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのポリスチレン系樹脂、ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セロハン、紙、アルミなど、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状またはシート状の基材、またシリカあるいはアルミナあるいはアルミニウムなどの無機化合物をポリエチレンテレフタレート、ナイロンフィルムに蒸着した蒸着基材などが挙げられる。また蒸着基材は、シリカやアルミナなどの金属酸化物などを表面に蒸着処理された上に更にポリビニルアルコールなどのプライマーでコート処理を施されていても良く、そのような基材としては、例えば、凸版印刷株式会社製GL−AEや、大日本印刷株式会社製IB−PET−PXB等が挙げられる。基材はさらに、必要に応じて帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤などの添加剤を処理したものや、低温プラズマ処理やコロナ処理などの表面処理が施されたものを用いても良い。蒸着層を有さないプラスチック基材としては上記基材のうち印刷面がコロナ処理されているものが好ましい。
印刷基材への印刷は、グラビア印刷、フレキソ印刷などの既知の印刷方式で行うことができるが、特にグラビア印刷方式で印刷することが好ましい。グラビア印刷に用いられるシリンダーは、彫刻タイプ、腐食タイプ等公知のものが用いられる。グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈されたインキ組成物が、単独でまたは混合されて各印刷ユニットに供給され、印刷後、オーブンを通過させ、乾燥ないしは硬化され、インキ層が形成される。オーブンの温度は通常30℃以上、例えば40〜80℃、印刷速度は通常50〜300m/分である。インキ組成物がアミノ系シランカップリング剤(D)を含有する場合、特に印刷環境が低温となる冬場などは、アミノ系シランカップリング剤による架橋反応を確実に進行させインキ組成物を硬化させるため、印刷から12時間以上経過後にラミネート加工を行うことが好ましい。
本実施形態のインキ組成物を印刷してなる印刷物は、さらに、ラミネート加工を施すことで接着剤層を介してフィルムを貼り合わせ、積層体とすることができる。積層体は、当該印刷物に少なくとも一層のラミネート加工を施すことで得られる。
本実施形態の積層体は前記印刷物の印刷面にイミン系、イソシアネート系、ポリブタジエン系、チタン系等の各種アンカーコート剤を塗布後、溶融ポリエチレン樹脂を介してプラスチック基材を積層する通常のエクストルージョンラミネート(押し出しラミネート)法、印刷面にウレタン系等の接着剤を塗工し、その上にプラスチック基材を積層するドライラミネート法やノンソルベントラミネート法、また印刷面に直接溶融ポリプロピレンを圧着して積層するダイレクトラミネート法等、公知のラミネート工程により得ることができる。
水酸基価は、樹脂中の水酸基を過剰の無水酸でエステル化またはアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JISK0070に従って行った値である。本実施例では以下の方法により算出した。
・水酸基価の測定方法
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。水酸基価は次の(式2)により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
(式1)水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数である。酸価は、樹脂1g中に含有する酸基は中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数で、測定方法は既知の方法でよく、一般的にはJISK0070(1996年)に準じて行われる。アミン価の測定方法については、以下の方法により行った。
・アミン価の測定方法
試料を0.5〜2g精秤する(試料量:Sg)。精秤した試料に中性エタノール(BDG中性)30mLを加え溶解させる。得られた溶液を0.2mol/lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なう。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い次の(式2)によりアミン価を求めた。
(式2)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の測定は、昭和電工社製GPC( ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPCSystem−21」を用いた。GPCは溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、溶媒としてはテトロヒドロフラン、分子量の決定はポリスチレン換算で行った。
(合成例I−1)[ポリウレタン樹脂PU1]
数平均分子量2000のアジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールから得られるポリエステルジオール(以下「PMPA」)150部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(以下「PPG」)を20部、数平均分子量1000のPPGを30部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)58.8部、および酢酸エチル64.7部を窒素気流下に80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液324部を得た。次いでイソホロンジアミン(以下「IPDA」)26.3部、イミノビスプロピルアミン(以下「IBPA」)2.0部、2−エタノールアミン(以下「2EtAm」)1.0部、酢酸エチル/イソプロパノール(以下「IPA」)=50/50の混合溶剤607.4部を混合したものに、得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価11.1mgKOH/g、水酸基価3.2mgKOH/g、重量平均分子量35000のポリウレタン樹脂溶液PU1を得た。
表1に示す原料を用い、合成例1と同様の方法により、ポリウレタン樹脂溶液PU2〜PU6を得た。なお、表1中において、PPA、PEG、TDIはそれぞれ、
PPA:アジピン酸と1,2―プロパンジオールの縮合物であるポリエステルポリオール
PEG:ポリエチレングリコール
TDI:トリレンジイソシアネート(メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート)
を表わす。
1.0Lオートクレーブにて、ペルオキソ二硫酸カリウム(K2S2O8)1.0gをイオン交換水500gに溶解させ、脱気した。60℃に昇温後、塩化ビニルが357g、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルが63g、ジ−2−エチルヘキシルスルホこはく酸ナトリウム(エーロゾルOT)が5.0gからなる混合物425gをオートクレーブに内に60℃、6.5気圧で添加、反応させた。重合反応はオートクレーブが2.5気圧になるまで行った。できたエマルジョンを塩化ナトリウムで析出させ、ろ過後、洗浄、乾燥を行い、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A1)を得た。更に塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A1)を酢酸エチルに溶解させ、固形分30%のワニス(AA1)を得た。なお、A1におけるアクリル酸2−ヒドロキシプロピルの含有率は15.0%、重量平均分子量50000、ガラス転移温度69℃であった。
塩化ビニルモノマーとアクリルモノマーの比率を表2に示す比率に変更し、合成例7と同様の方法により、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂A2〜A7およびそのワニス(AA2〜AA7)を得た。なお、A4、A5の合成にはペルオキソ二硫酸カリウム(K2S2O8)1.0gの代わりにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1.5g用いた。
反応容器にメチルメタクリレート(以下「MMA」)85部、n−ブチルアクリレート(以下「BA」)10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下「2HEA」)5部、酢酸エチル:イソプロピルアルコール=1:1の混合溶剤を233部、及び1.2部のアゾビスイソブチロニトリルを加えて混合し、窒素ガス雰囲気下、70℃で8時間重合し、水酸基を有するアクリル樹脂AP1を得た。得られた樹脂溶液の固形分は40質量%、重量平均分子量は25,000、ガラス転移温度は89.4℃、水酸基価は24.2mgKOH/gであった。
ポリウレタン樹脂溶液PU1(固形分30%)を42部、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂溶液A1(固形分30%)を8部、藍顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3を11部、酢酸エチル/IPA=50/50の溶液39部を混合し、アイガーミルで15分間練肉し、非水系グラビアインキS1を得た。
表3−1に示す顔料、表1のポリウレタン樹脂(PU1〜PU6)、表2の塩化ビニル−アクリル共重合樹脂のワニス(AA1〜AA6)および表3−1に記載する樹脂および添加剤を用い、実施例I−1と同様の方法により混合し、非水系グラビアインキS2〜S20を得た。なお、表3−1中の略称は以下を表す。
ソルバインTAO:日信化学工業社製 水酸基含有塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 塩化ビニル:酢酸ビニル:ビニルアルコール=91:2:7(固形分30%酢酸エチル溶液)
CAB38120BP:イーストマンケミカル社製 セルロースアセテートブチレート(固形分30%IPA溶液)
デュラネートP−301−75E:旭化成ケミカルズ社製 ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体(3官能イソシアネート)
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン:シラン化合物
なお、デュラネートP−301−75E、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランに関しては印刷直前に添加し、良く混合して印刷を行った(表中に示す添加量は、インキ組成物100質量部に対する質量部である)。
表3−2に示す原料を使用する以外は上記実施例I−1〜I−20と同様の方法にて非水系グラビアインキT1〜T18を得た。なお、表3−2中の略称は以下を表す。
S−180:高松油脂株式会社製 ポリエステル樹脂 ガラス転移温度60℃ 重量平均分子量20000(固形分30%トルエン/メチルエチルケトン溶液)
<非水系グラビアインキの印刷>(ラミネート用評価)
上記で得られた、非水系グラビアインキS1(藍)を、混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:Nプロピルアセテート「NPAC」:イソプロパノール「IPA」=40:40:20)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、ヘリオ175線グラデーション版(版式エロンゲート、100%〜10%までは10%で階調、10%〜5%以下は5%で階調、5%以下は1%で階調)により、厚さ20μmのコロナ放電処理した2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR)および厚さ12μmのコロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E−5100)のコロナ放電処理面に印刷速度50m/分で印刷し、印刷物G1(OPP)、H1(PET)を得た。なお印刷条件は、印刷距離4000m、温度28℃、湿度65%の高温高湿度下で印刷して、グラデーション3%部分で基材転移性を、印刷終了後60分間空転して版かぶり性を確認した。
表4−1に示すインキを用いる以外、実施例I−21と同様の方法にて、印刷物G2〜G20(OPP)およびH2〜H20(PET)を得た。更にそれぞれの印刷物について、上記と同様の方法にてエクストルジョンラミネートを行った。
表5−1に示すインキを用いる以外、実施例I−21と同様の方法にて、印刷物K1〜K18(OPP)およびL1〜L18(PET)を得た。更にそれぞれの印刷物について、上記と同様の方法にてエクストルジョンラミネートを行った。
得られた印刷物H1〜H20(PET、実施例)およびL1〜L18(PET、比較例)の印刷物において階調3%部分の転移面積%で基材転移性評価を行った。
○・・・・インキ転移が100%である。
○△・・・インキ転移が80%〜100%である。
△・・・・インキ転移が60〜79%である。
△×・・・インキ転移が30〜59%である。
×・・・・インキ転移が30%未満である。
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
非水系グラビアインキS1〜S20(実施例)、T1〜T18(比較例)について版かぶり性評価を行った。なお、空転60分後の版上の着色面積で評価を行った。
○・・・・版かぶり面積が0〜5%である。
○△・・・版かぶり面積が6〜10%である。
△・・・・版かぶり面積が11〜30%である。
△×・・・版かぶり面積が31〜50%である。
×・・・・版かぶり面積が50%以上である。
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
得られた印刷物H1〜H20(PET、実施例)およびL1〜L18(PET、比較例)の印刷物において100%ベタ部分の印刷状態を目視で評価を行った。
○・・・・印刷部にムラが無い。
○△・・・印刷部の端部分で僅かにムラがある。
△・・・・印刷部の中央部に渡り僅かにムラがある。
△×・・・印刷部の全体に渡り大きなムラがある。
×・・・・印刷部の全体で大きなムラがあり、縞模様がはっきり見える。
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
前記エクストルジョンラミネート積層体のインキ部を巾15mmで裁断し、インキ面と基材面で剥離させた後、剥離強度(ラミネート強度)をインテスコ製201万能引張り試験機にて測定した。なお、実用レベルは0.6N/15mm以上である。
以上の結果を表4−1、表5−1に示す。
<非水系グラビアインキの色/白印刷>(ラミネート用評価)
上記で得られた、非水系グラビアインキS1(藍)およびS19(白)を、混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:Nプロピルアセテート「NPAC」:イソプロパノール「IPA」=40:40:20)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、ヘリオ175線ベタ版およびヘリオ175線100%の半ベタ版(版式コンプレスト)を備えたグラビア印刷機により、厚さ12μmのコロナ放電処理ポリエステル(PET)フィルム(東洋紡社製 E−5100)のコロナ放電処理面に印刷速度50m/分で、フィルム基材/藍(ベタ柄)/白(半ベタ柄)の順で印刷して、印刷物J1を得た。
表4−2に記載のインキを用いる以外、実施例I−41と同様の方法にて印刷物J2〜J16を得た。更にそれぞれの印刷物についてドライラミネート加工を行った。
表5−2に記載のインキを用いる以外、実施例I−41と同様の方法にて印刷物N1〜N12を得た。更にそれぞれの印刷物についてドライラミネート加工を行った。なお評価はラミネート物を50℃、48時間保持後に行った。
得られた印刷物J1〜J16(実施例)およびN1〜N12(比較例)について印刷面より観察し、基材/色インキ層/白インキ層のトラッピング性を確認評価した。
○・・・・印刷部にムラが無い。
○△・・・印刷部の1〜10%にムラがある。
△・・・・印刷部の11〜30%にムラがある。
△×・・・印刷部の31〜60%にムラがある。
×・・・・印刷部の全体で大きなムラがある。
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
前記ドライラミネート積層体のインキ部を巾15mmで裁断し、インキ面と基材面で剥離させた後、剥離強度(ラミネート強度)をインテスコ製201万能引張り試験機にて測定した。なお、実用レベルは0.7N/15mm以上である。
得られた印刷物J1〜J16(実施例)およびN1〜N12(比較例)のドライラミネート物についてフィルム面より観察し、外観を確認評価した。
○・・・・ラミネート物の印刷部にデラミネーションおよびムラが無い。
○△・・・ラミネート物の印刷部に1〜3%の面積でデラミネーションおよびムラが僅かにある。
△・・・・ラミネート物の印刷部に4〜20%の面積でデラミネーションおよびムラがある。
△×・・・ラミネート物の印刷部に21〜50%の面積でデラミネーションおよびムラがある。
×・・・・ラミネート物の印刷部にデラミネーションおよびムラが全体にみられる
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
以上の結果を表4−2及び表5−2に示す。
<非水系グラビアインキの色/白印刷>(表刷り・紙刷りグラビアインキ用評価)
上記で得られた、非水系グラビアインキS19(白)およびS1(藍)それぞれ100部に対して、脂肪酸アミド5部(製品名:脂肪酸アマイドS 花王(株)製)と混合溶剤(メチルエチルケトン「MEK」:Nプロピルアセテート「NPAC」:イソプロパノール「IPA」=40:40:20)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、ヘリオ175線ベタ版およびヘリオ175線100%の半ベタ版(版式コンプレスト)を備えたグラビア印刷機により25μmのコロナ放電処理された2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学社製 FOR)に印刷速度50m/分で、フィルム基材/白(ベタ柄)/藍(半ベタ柄)の順で印刷して、印刷物O1を得た。
表6−1に記載のインキあるいは紙基材(大王製紙社製 製品名 リュウオウコート紙 65g/m2)を用いた以外実施例I−57と同様の方法により印刷物O2〜O21を得た。
表6−2に記載のインキあるいは基材を用いて、実施例I−57と同様の方法により印刷物Q1〜Q20を得た。
印刷物O1〜O21(実施例)およびQ1〜Q20(比較例)について皮膜強度をテスター産業(株)製学振型摩擦堅牢度試験器を用いて測定し、以下の評価基準で評価を行い、その結果を表6−1および表6−2に示す。尚、測定条件は、試験片20mm幅、荷重0.2gf、20回往復、対カナキン3号とした。
○・・・・・インキ皮膜の取られなし。
○△・・・・インキ皮膜の取られる面積が10%未満
△・・・・・インキ皮膜の取られる面積が10%以上30%未満
△×・・・・インキ皮膜の取られる面積が30%以上50%未満
×・・・・・全面とられ
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
印刷物O1〜O21(実施例)およびQ1〜Q20(比較例)について4cm×4cmの大きさに切り、同じ大きさに切った軟質塩ビシート、あるいは耐上質紙で印刷面と重ねあわせる。軟質塩ビシートとの耐ブロッキング性評価は0.5kg/cm2の荷重を掛け、50℃−80%RHの雰囲気で15時間放置後、印刷面と塩ビシートを引きはがし、印刷皮膜の取られ具合を目視で判定した。
また、耐上質紙と耐ブロッキング性評価は5.0kg/cm2の荷重を掛け、50℃−80%RHの雰囲気で15時間放置後、印刷面と上質紙を引きはがし、印刷皮膜の取られ具合を目視で判定した。
なお、判定基準はつぎの通りとした。
○・・・・・印刷面のインキが全く剥離せず、非常に優秀であるもの
○△・・・・微かにインキ皮膜が剥離するが、問題ないもの
△・・・・・インキ皮膜が若干剥離するが、実用上問題ないもの
△×・・・・インキ皮膜の取られる面積が50%以上であり、実用上支障があるもの
×・・・・・インキ皮膜の取られるもの
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
印刷物O1〜O21(実施例)およびQ1〜Q20(比較例)について25℃で1日放置後、印刷面に幅15mmの粘着テープ(ニチバン社製 セロハンテープ)を貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を目視判定した。尚、判定基準はつぎの通りとした。
○・・・・・印刷面のインキが全く剥離せず、非常に優秀であるもの
○△・・・・微かにインキ皮膜が剥離するが、問題ないもの
△・・・・・インキ皮膜が若干剥離するが、実用上問題ないもの
△×・・・・インキ皮膜の取られる面積が50%以上であり、実用上支障があるもの
×・・・・・インキ皮膜の取られるもの
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
印刷物O1〜O21(実施例)およびQ1〜Q20(比較例)を2cm×10cmの大きさに切り、同じ大きさに切ったアルミ箔と印刷面とを重ねあわせた。センチネル社製ヒートシーラーを用いて、2×9.8N/cm2の圧力で、120℃1秒間アルミ箔を押圧し、印刷皮膜の取られ具合を目視で判定した。尚、判定基準はつぎの通りとした。
○・・・印刷面のインキが全く剥離せず、非常に優秀であるもの
○△・・微かにインキ皮膜が剥離するが、問題ないもの
△・・・インキ皮膜が若干剥離するが、実用上問題ないもの
△×・・インキ皮膜の取られる面積が50%以上であり、実用上支障があるもの
×・・・インキ皮膜の取られるもの
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
印刷物O1〜O21(実施例)およびQ1〜Q20(比較例)を2cm×20cmの大きさに切り、印刷面に溶融した市販のマーガリン(商品名:ネオソフト雪印乳業(株)製)を全面に塗布し、25℃環境下で6時間静置した後、テスター産業(株)製学振型摩擦堅牢度試験器で10回擦り、インキの剥離度合いを目視で判定した。尚、判定基準はつぎの通りとした。
○・・・印刷面のインキが全く剥離せず、非常に優秀であるもの
○△・・微かにインキ皮膜が剥離するが、問題ないもの
△・・・インキ皮膜が若干剥離するが、実用上問題ないもの
△×・・インキ皮膜の取られる面積が50%以上であり、実用上支障があるもの
×・・・インキ皮膜の取られるもの
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
(ポリウレタンウレア樹脂の合成)
[合成例II−1]
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、PMPA2000(クラレポリオールP−2010、3−メチル−1,5ペンタンジオールとアジピン酸の共重合体、数平均分子量2000、クラレ社製)11.49部、PPG2000(EXCENOL2020、酸化プロピレンの重合体、数平均分子量2000、旭硝子製)11.49部、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIとも略す)5.11部、酢酸エチル11.86部、2−エチルヘキサン酸スズ0.003部 を仕込み、窒素気流下に90℃で5時間反応させ、酢酸エチル7.5部を加え冷却し、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(以下IPDAとも略す)1.66部、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン0.18部、モノエタノールアミン0.07部、酢酸エチル30.147部およびイソプロピルアルコール(以下IPAとも略す)28部を混合したものへ、得られたウレタンプレポリマーの溶液を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30%、重量平均分子量50000、水酸基価5.4mgKOH/gのポリウレタンウレア樹脂溶液<B1>を得た。
表7の仕込み比にて、合成例1と同様の方法で、ポリウレタンウレア樹脂溶液<B2〜B5>を得た。
35L耐圧容器内をN2置換後、十分に脱気した後、片末端アクリロイル基ポリアクリル酸ブチル(数平均分子量12000)(2.0kg)、塩化ビニルモノマー(8.0kg)を入れ60min間予備攪拌した。その後、α,α’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(12.0g)、t−ブチルペルオキシネオデカノエート(2.1g)を添加した。ステアリルアルコール(31.7g)、セチルアルコール(43.0g)、ラウリル硫酸ナトリウム(66.4g)を予め溶解した乳化剤水溶液(20.0kg)を該容器内へ添加し、30min間ホモジナイズして、モノマー分散液を得た。容器内を50℃に保温して重合を開始し、8時間後に容器内の圧力が低下し始めたことから、重合機内の未反応の塩化ビニルモノマーを回収し、容器内を冷却した後、ラテックスを払い出した。(塩化ビニルモノマーの転化率は約90%であった)。二流体ノズル式スプレー式乾燥機(入口110℃/出口50℃)でラテックスを乾燥し、パウダー状の塩化ビニル/ポリアクリル酸ブチルグラフト共重合樹脂を得た。これを固形分30%に酢酸エチルで希釈し、ブチルアクリレートグラフト塩化ビニル共重合体A2溶液を得た。
[実施例II−1]
ポリウレタンウレア樹脂溶液<B1>5部、顔料<C2>(Lionol Blue FG−7400G、C.I.Pigment Blue15、トーヨーカラー株式会社製)10部、塩化ビニルーアクリル酸エステル系共重合体溶液<A1>(VINNOL E15/40A、水酸基含有塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ワッカー社製、固形分30質量%酢酸エチル溶液、塩化ビニルモノマー由来の構造の比率:84質量%)を5部、酢酸エチル/IPA混合溶剤(質量比75/25)20部を攪拌混合しサンドミルで練肉した後、ポリウレタンウレア樹脂溶液<B1>32.5部、塩化ビニルーアクリル酸エステル系共重合体溶液<A1>を7.5部、酢酸エチル/IPA混合溶液(質量比75/25)20部、を攪拌混合した後、メチルエチルケトン、ノルマルプロピルアセテート、IPAの混合溶剤(質量比40:40:20)で希釈し、ザーンカップ#3(離合社製)で15秒に調整し、インキ組成物<i−1>を得た。インキ組成物中の、ポリウレタンウレア樹脂(B)と塩化ビニル−アクリル酸エステル系共重合体(A)の固形分質量比率は(B)/(A)=75/25である。
表8、9の仕込み比にて、実施例II−1と同様の方法で、インキ組成物<i−2〜i−27>を得た。
尚、顔料(C)として、<C2>以外に、以下のものを使用した。
<C1>:酸化チタン、TITONE R45M、堺化学製
また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体溶液として、<A1>以外に、以下のものを使用した。
<A2>:ブチルアクリレートグラフト塩化ビニル共重合体、固形分30質量%酢酸エチル溶液、塩化ビニルモノマー由来の構造の比率:80質量%
また、ポリウレタンウレア樹脂、塩化ビニル−アクリル酸エステル系共重合体以外の樹脂として、以下の樹脂を、いずれも固形分30質量%まで酢酸エチルで希釈した樹脂溶液として使用した。
ニトロセルロース樹脂: DLX5−8、Nobel Enterprises社製
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体:ソルバインTA5R、日信化学工業株式会社製
さらに添加剤として以下のものを使用した。
Si−1:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
Si−2:3−アミノプロピルトリメトキシシラン
Si−3:ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン
Si−4:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
イソシア系硬化剤:SP硬化剤、東洋インキ株式会社製
得られたインキ組成物を版深30〜3μmのグラデーション柄のグラビア版を備えたグラビア印刷機により、印刷速度150m/分、乾燥温度60℃にて、厚さ12μmのコロナ放電処理PETフィルム(E5100、東洋紡社製)のコロナ放電処理面に印刷し、印刷物を得た。この印刷物のインキ層上に、ドライラミネート用接着剤(東洋モートン株式会社製TM−250HV/CAT−RT86L−60)を固形分塗布量2.2g/m2、2.0g/m2、1.8g/m2になるよう塗工し、ライン速度150m/分でドライラミネート機を用いて、アルミニウム箔(一般アルミニウム箔AIN30H−0、昭和アルミニウム社製)と貼り合わせてPETフィルム/インキ層/接着剤層/アルミニウム箔をこの順で有する積層体前駆体を得、さらに、前記と同様の方法で、前記積層体前駆体のアルミニウム箔面に接着剤を塗工し、CPPフィルム(ZK93KM、東レ株式会社製)と貼り合わせることで、PETフィルム/インキ層/接着剤層/アルミニウム箔/接着剤層/CPPフィルムをこの順で有する積層体を得た。積層体は40℃3日間エージングを行った。
それぞれの接着剤固形分塗布量で貼り合わせた積層体について、印刷基材フィルムの表側からインキ部を目視観察し、以下の基準にて評価した。なお評価は版深30μm部分で評価した。
5:ゆず肌状の模様や小さな斑点状の模様は観察されない。
4:小さな斑点状の模様は観測されないが、ゆず肌状の模様が多少観察される。使用上問題ないレベル。
3:小さな斑点状の模様は観測されないが、ゆず肌状の模様が多数観察される。使用上問題ないレベル。
2:ゆず肌状の模様だけでなく小さな斑点状の模様が多少観察される。
1:ゆず肌状の模様だけでなく小さな斑点状の模様が多数観察される。
前記積層体を長さ300mm、幅15mmに切り取り、テストピースとした。インストロン型引張試験機を使用し、25℃の環境下にて、剥離速度300mm/分の剥離速度で引張り、15mm幅でPETフィルム/アルミニウム箔間のT型剥離強度(N)を測定した。この試験を5回行い、その平均値を求め以下の基準にて評価した。なお評価は版深30μm部分で評価した。
5:接着力 1.8N以上
4:接着力 1.2N以上、1.8N未満
3:接着力 0.8N以上、1.2N未満
2:接着力 0.4N以上、0.8N未満
1:接着力 0.4N未満
*実用上は接着力0.8N以上が好ましい。
前記積層体を、CPP面を内側としてヒートシール(温度:190℃、圧:2kgf、時間:1秒)して袋体を作り、1:1:1スープ(ケチャップ:酢:水=質量比で1:1:1)を充填し、120℃30分のレトルト処理を行った。レトルト処理後の積層体外観を目視観察し、以下の基準で評価を行った。なお評価は版深30μm部分で評価した。
○:外観に変化は見られなかった。
△:外観に僅かにラミネート浮きが見られた。
×:外観にブリスター痕またはラミネート浮きが見られた。
なお、実用上は、○又は△の範囲であることが好ましい。
上記印刷物において版深3μm部分の転移面積%でインキ組成物の基材転移性評価を行った。
○・・・・インキ転移が100%である。
○△・・・インキ転移が80%〜100%である。
△・・・・インキ転移が60〜79%である。
△×・・・インキ転移が30〜59%である。
×・・・・インキ転移が30%未満である。
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
上記インキ組成物について版かぶり性評価を行った。なお、空転60分後の版上の着色面積で評価を行った。
○・・・・版かぶり面積が0〜5%である。
○△・・・版かぶり面積が6〜10%である。
△・・・・版かぶり面積が11〜30%である。
△×・・・版かぶり面積が31〜50%である。
×・・・・版かぶり面積が50%以上である。
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
上記印刷物において100%ベタ部分の印刷状態を目視で評価を行った。
○・・・・印刷部にムラが無い。
○△・・・印刷部の端部分で僅かにムラがある。
△・・・・印刷部の中央部に渡り僅かにムラがある。
△×・・・印刷部の全体に渡り大きなムラがある。
×・・・・印刷部の全体で大きなムラがあり、縞模様がはっきり見える。
なお、○、△は実用上問題がない範囲である。
Claims (18)
- 塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)とを含有するバインダー樹脂を含有し、
前記塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)100質量%中の塩化ビニル由来構造の含有率が75〜95質量%である、非水系印刷インキ組成物。 - 前記塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)と前記ポリウレタン樹脂(B)との固形分質量比率が、(A):(B)=5:95〜60:40の範囲である、請求項1に記載の非水系印刷インキ組成物。
- 前記塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)と前記ポリウレタン樹脂(B)との固形分質量比率が、(A):(B)=5:95〜50:50の範囲である、請求項2に記載の非水系印刷インキ組成物。
- 前記ポリウレタン樹脂(B)が、ポリエーテルポリオール由来の構造単位を含み、
前記ポリエーテルポリオール由来の構造単位の比率が、前記ポリウレタン樹脂(B)100質量%中、5〜80質量%の範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物。 - 前記ポリウレタン樹脂(B)が、ポリエステルポリオール由来の構造単位を含み、
前記ポリエステルポリオール由来の構造単位の比率が、前記ポリウレタン樹脂(B)100質量%中、5〜80質量%の範囲である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物。 - 前記ポリエステルポリオール由来の構造単位は、分岐構造を有するジオールと二塩基酸とを反応させてなるポリエステルポリオール由来の構造単位を含む、請求項5に記載の非水系印刷インキ組成物。
- 前記ポリウレタン樹脂(B)の水酸基価が1〜20mg/KOHgである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物。
- 前記バインダー樹脂が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(b1)及びセルロース系樹脂(b2)からなる群より選ばれる少なくとも一種をさらに含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物。
- さらに着色剤(C)を含有し、
前記着色剤(C)が白色無機顔料を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物。 - アミノ系シランカップリング剤(D)をさらに含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物。
- 前記アミノ系シランカップリング剤(D)が、第1級アミノ基を有するか、第2級アミノ基と4つ以上のアルコキシ基とを有する、請求項10に記載の非水系印刷インキ組成物。
- 前記アミノ系シランカップリング剤(D)が、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有する、請求項10に記載の非水系印刷インキ組成物。
- グラビア印刷用インキ組成物である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物。
- ラミネート用印刷インキ組成物である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物。
- 塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)とを含有するバインダー樹脂、
着色剤(C)、及び
アミノ系シランカップリング剤(D)
を含有し、
前記塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)100質量%中の塩化ビニル由来構造の含有率が75〜95質量%であり、
前記塩化ビニル−アクリル共重合樹脂(A)と前記ポリウレタン樹脂(B)との固形分質量比率が、(A):(B)=5:95〜50:50の範囲であり、
前記着色剤(C)が白色無機顔料を含有する、ラミネート用非水系グラビアインキ組成物。 - 印刷基材上に、請求項1〜14のいずれか1項に記載の非水系印刷インキ組成物、又は、請求項15に記載のラミネート用非水系グラビアインキ組成物を用いてなるインキ層を有する、印刷物。
- 前記印刷基材がフィルムである、請求項16に記載の印刷物。
- 請求項16または17に記載の印刷物の印刷面に、接着剤層と基材がこの順で積層された積層体。
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