JP6268473B2 - 非水系インクジェットインク組成物およびこれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
本発明に係る非水系インクジェットインク組成物の一態様は、
色材と、
グリコールエーテル系溶剤と、
10質量%以上40質量%以下のカーボネート系溶剤と、
を含有する。
適用例1において、
前記カーボネート系溶剤が、下記一般式(2)で表される化合物であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記カーボネート系溶剤が、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートから選択される少なくとも1種であることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記カーボネート系溶剤の20℃における粘度が、0.3mPa・s以上5mPa・s以下であることができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記グリコールエーテル系溶剤の含有量が、20質量%以上80質量%以下であることができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
さらに、樹脂および界面活性剤の少なくとも一方を含有することができる。
適用例6において、
前記樹脂が、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂から選択される少なくも一種を含むことができる。
適用例1ないし適用例7のいずれか1例において、
前記非水系インク組成物の20℃における粘度が、2mPa・s以上15mPa・s以下であることができる。
適用例1ないし適用例8のいずれか1例において、
前記非水系インク組成物の25℃における表面張力が、10mN/m以上40mN/m以下であることができる。
適用例1ないし適用例9のいずれか1例において、
塩化ビニル系樹脂を含む記録面を有する記録媒体に対する記録に用いることができる。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例10のいずれか1例に記載の非水系インクジェットインク組成物の液滴を記録ヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる工程を含む。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録用の非水系インク組成物(以下、「非水系インクジェットインク組成物」ともいう。)は、インクジェット記録方法に用いるインク組成物であり、色材と、グリコールエーテル系溶剤と、10質量%以上40質量%以下のカーボネート系溶剤と、を含有することを特徴とする。以下、本実施形態に係る非水系インク組成物に含まれる成分について詳細に説明する。
色材としては、染料を用いてもよく、無機顔料および有機顔料等の顔料を用いることもできるが、耐光性等の観点から顔料を用いることが好ましい。これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
グリコールエーテル系溶剤は、沸点が高めであるにも関わらず適度な樹脂溶解性、インクジェット用インクに適した粘度であり、記録媒体に対する濡れ性や浸透速度を制御して、記録される画像のムラ等を抑制することができる。また、グリコールエーテル系溶剤は、低臭気であるという性質を備える。
カーボネート系溶剤は、記録面(好ましくは塩化ビニル系樹脂を含む記録面)の一部を溶解して記録媒体の内部に非水系インク組成物を浸透させて、記録媒体に対する非水系インク組成物の密着性を高めることができる。また、カーボネート系溶剤は、記録面(好ましくは塩化ビニル系樹脂を含む記録面)での濡れ拡がり性にも優れているため、画像の平坦性を向上できる結果、画像の光沢性を優れたものにできる。さらに、カーボネート系溶剤は、低臭気であるため、上述したグリコールエーテル系溶剤と併用されることで、臭気の発生を効果的に低減できる。また、カーボネート系溶剤とグリコールエーテル系溶剤を併用することで、非水系インク組成物を低粘度にすることが容易になったり、非水系インク組成物に含まれる樹脂の溶解性を向上することができる。
局所的な濃度斑のことを意味し、固形成分(樹脂成分、色材成分等)の膜厚が不均一になることで観察される現象である。また、本明細書中、「筋状ムラ」とは、記録媒体上でのインク滴の埋まり不良に伴って、記録媒体の表面においてインク滴で被覆されないもしくは被覆が不均一な部分が筋状に残る現象を意味する。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂の機能としては、皮膜を形成して、非水系インク組成物により得られた画像を保護することが挙げられる。当該樹脂は、定着用樹脂と呼ばれることがある。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、表面張力を低下させ記録媒体上での濡れ拡がり性を向上させる観点から、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、例えば、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、上記以外の有機溶剤(すなわち、グリコールエーテル系溶剤およびカーボネート系溶剤を除く溶剤)を含有してもよい。このような有機溶剤としては、例えば、ラクトン、ピロリドン誘導体等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、必要に応じて、pH調整剤、エチレンジアミ
ン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
本実施形態に係る非水系インクは、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、記録品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、25℃における表面張力が10mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、25℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記の非水系インク組成物の液滴を記録ヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる工程(以下、「工程(a)」ともいう。)を含む。これにより、記録媒体上に画像の形成された記録物が得られる。
」という。)の構成を示す斜視図である。図1に示すプリンター1は、いわゆるシリアルプリンターと呼ばれているものである。シリアルプリンターとは、所定の方向に移動するキャリッジに記録ヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴って記録ヘッドが移動することにより記録媒体上に液滴を吐出するプリンターのことをいう。
もよい。プリンター1が第2の加熱機構を備えることで、上述の工程(b)をプリンター1で行うことができる。第2の加熱機構は、加熱機構6よりも記録媒体Pの搬送方向の下流側に設置される。第2の加熱機構は、加熱機構6によって記録媒体Pを加熱した後、つまり、ノズル孔(図示せず)から吐出された液滴が記録媒体Pに付着した後に、当該記録媒体Pの加熱を行うものである。これにより、記録媒体Pに付着したインク組成物の液滴の乾燥性をより一層向上できる。第2の加熱機構には、加熱機構6で説明したいずれかの機構(例えば、ドライヤー機構等)を用いることができる。
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれ
らの実施例のみに限定されるものではない。
容器に、表1に記載の濃度に相当する量の有機溶剤のみをそれぞれのインクごとに攪拌して、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の一部を取り分けて、顔料分散剤と、顔料と、を所定量添加して、ホモジナイザーを用いて予備分散した後に、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルにて分散処理を行うことにより顔料分散体を得た。そして、混合溶剤の一部を取り分けていたものに、樹脂を加えて攪拌して、完全に溶解させた樹脂溶液を得た。上記の顔料分散剤に、混合溶剤の残部、界面活性剤および上記の樹脂溶液を混ぜ入れて、1時間攪拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、実施例および比較例に係る非水系インク組成物を得た。
・ソルバインC5R(商品名、日信化学株式会社、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)
・PB15:3(C.I.ピグメントブルー15:3)
・SS39000(商品名「Solsperse 39000」、日本ルーブリゾール社製、顔料分散剤)
・フタージェント251(商品名、株式会社ネオス製、フッ素系界面活性剤)
3.2.1.物性評価
<非水系インク組成物の粘度>
上記のようにして得られた各非水系インク組成物の20℃における粘度を測定した。具体的には、Physica社製の粘度計(商品名「MCR−300」)を用いて、コーン(径75mm、角度1°)、Shear Rate200の条件で測定を行った。
上記のようにして得られた各非水系インク組成物の25℃における粘度を測定した。具体的には、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、ウィルヘミー(Wilhelmy)法に従って、25℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を測定した。
以下の各評価を行うにあたって、空調設備と加湿器を利用して、環境試験室の温度および湿度がそれぞれ、25℃,65%RHとなるように調整し、当該環境試験室内に設置したセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンター「SC−S30650」(商品名)を用いて行った。なお、温度および湿度は、ヒーター等のインクジェットプリンター自身の発熱の影響を受けない筐体の上に設置した温湿度センサーによって測定した。また、記録時の記録媒体の表面温度は、25℃とした。
上記プリンターを用いて、各非水系インク組成物を光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社、型番SV−G−1270G)上に、画素あたりのインク塗布量4ng、記録解像度1440×1440dpiの100%濃度でベタ印刷をした後、25℃65%RH(相対湿度)にて1日間、乾燥させて記録物を作成した。そして、ベタ印刷部の20°光
沢をMULTI GLOSS 268(コニカミノルタ株式会社製)にて測定した。光沢性の評価基準は、次の通りである。
○:20以上25未満
△:15以上20未満
×:15未満
上記の光沢性の評価と同様にして得られた記録物のベタ印刷部を目視およびルーペ(5倍)にて観察し、ヘッドの主走査方向に延びる白い筋の有無を確認した。筋状ムラの評価基準は、次の通りである。
△:目視では白い筋が見えないが、ルーペ観察では白い筋が見える
×:目視で白い筋が見える
ベタ印刷をしたことに代えて、1440dpi×1dpiのヘッドの主走査方向に延びる線を記録した以外は、上記の光沢性の評価と同様の条件で記録物を作製した。得られた記録物の印刷部をルーペ(5倍)にて観察し、以下の評価基準にしたがって線幅の評価を行った。
△:線の輪郭が一定の形状になっていないが、途切れは見られない
×:線が途切れている部分が見られる
上記の光沢性の評価と同様にして得られた記録物のベタ印刷部を目視およびルーペ(5倍)にて観察し、印刷ムラの有無を確認した。印刷ムラの評価基準は、次の通りである。
△:目視では印刷ムラが目立たないが、ルーペ観察では印刷ムラが目立つ
×:目視でも印刷ムラが目立つ
上記の光沢性の評価と同様にして得られた記録物のベタ印刷部の匂いを嗅ぎ、臭気の有無を判定した。
×:臭気なし
以上の評価結果を表1に示す。
Claims (9)
- 色材と、
グリコールエーテル系溶剤と、
10質量%以上40質量%以下のジメチルカーボネートと、
を含有する、非水系インクジェットインク組成物。 - 請求項1において、
前記ジメチルカーボネートの20℃における粘度が、0.3mPa・s以上5mPa・s以下である、非水系インクジェットインク組成物。 - 請求項1または請求項2において、
前記グリコールエーテル系溶剤の含有量が、20質量%以上80質量%以下である、非水系インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
さらに、樹脂および界面活性剤の少なくとも一方を含有する、非水系インクジェットインク組成物。 - 請求項4において、
前記樹脂が、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂から選択される少なくも一種を含む、非水系インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記非水系インク組成物の20℃における粘度が、2mPa・s以上15mPa・s以下である、非水系インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記非水系インク組成物の25℃における表面張力が、10mN/m以上40mN/m以下である、非水系インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、
塩化ビニル系樹脂を含む記録面を有する記録媒体に対する記録に用いる、非水系インクジェットインク組成物。 - 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の非水系インクジェットインク組成物の液滴を記録ヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる工程を含む、インクジェット記録方法。
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