JP6314523B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法に関する。
従来から、記録ヘッドのノズルからインクの微小な液滴を吐出して記録媒体に付着させて、画像や文字を記録するインクジェット記録装置が知られている。係る記録に用いるインク組成物として、顔料や樹脂などを水に分散あるいは溶解させた水系(水性)のインク組成物が知られている。さらには、水を含有せずに、顔料、樹脂等を有機溶剤に分散あるいは溶解させた非水系(油性)のインク組成物の開発も行われている。
このようなインクジェット記録用のインク組成物のうち、非水系のインク組成物は、塩化ビニルのようなフィルムに対して、定着性や耐擦性の良好な画像を形成できたり、普通紙のような紙に対して、紙のカール等の発生を抑制できるという点から、好ましく用いられている。
例えば、特許文献1には、炭化水素系溶剤、ジエステル、高級アルコール等の溶剤を含有する油性インクジェットインクを用いて、PPC用紙等の普通紙に印刷することが開示されており、これを使用すれば、インクの浸透性を高めることができ、印刷物のローラー転写汚れなどを抑制できることが記載されている。また、特許文献2には、アミド系溶剤を含有する非水系あるいは水性のインクジェットインクが開示されており、これを使用することで、得られる画像の乾燥性が良好になることが記載されている。また、特許文献3には、沸点の異なる3種のアルコール系溶剤を含有する溶剤系インクジェットインク組成物を用いて、非吸収性材料に印刷することが記載されており、これを使用すれば、得られる画像の乾燥性が良好になることが記載されている。
特開2012−12432号公報 特開2012−46671号公報 特開2010−18730号公報
しかしながら、上記の特許文献1および特許文献3に記載の上記溶剤を使用すると、得られる画像の乾燥性を向上することは可能であるが、記録ヘッドのノズルのメニスカス部分が乾燥の影響を受けやすくなり、記録安定性の低下を招いてしまう。また、特許文献2に記載の上記溶剤は、経時的な吸湿性が高いため、かえって画像の乾燥性が低下してしまう。このように、記録される画像の乾燥性を向上させることと、ノズルの詰まり等の抑制された優れた記録安定性を維持することとは、トレードオフの関係にあり、両性能を高いレベルで満たすことが困難である。
ここで、記録ヘッドのノズルのうち、画像を形成するための吐出をしているノズルについては、連続してインクの吐出があることから吐出不良の発生をある程度低減できる。これに対して、画像を形成するための吐出をしていないノズルについては、その近傍に付着したインクの増粘に伴って、吐出不良が特に発生しやすい傾向にある。
ところで、非水系インクに含まれる溶剤の種類や、使用する記録媒体の種類によっては、記録される画像の耐擦性が低下する場合がある。
本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、記録安定性に優れ、かつ乾燥性および耐擦性に優れた画像を記録することができるインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
有機溶剤と、色材と、樹脂と、を含有する非水系インクの液滴を記録ヘッドのノズルから吐出して、該液滴を記録媒体に付着させて画像を形成する画像形成工程と、
前記画像を形成するための吐出ではない予備吐出であって、前記非水系インクの液滴を前記記録ヘッドのノズルから吐出する予備吐出工程と、
を備え、
前記予備吐出工程において、所定の一のノズルから予備吐出を行う時間間隔が2秒以上25秒以下であり、
前記有機溶剤が、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種である第1溶剤を含み、
前記第1溶剤の含有量が、前記非水系インクの全質量に対して、40質量%以上である。
[適用例2]
適用例1において、
前記第1溶剤の全質量のうち50質量%以上が、標準沸点が185℃以下の溶剤である。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記樹脂が、塩化ビニル系樹脂および(メタ)アクリル系樹脂の少なくとも一方を含むことができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記樹脂の含有量が、前記非水系インクの全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記画像形成工程は、前記記録ヘッドが前記記録媒体に対して相対的に位置を変えながら前記非水系インクを吐出する走査を複数回行うことにより行われることができる。
[適用例6]
適用例5において、
前記予備吐出工程において、前記予備吐出を走査と走査の間で行い、かつ、前記非水系インクの液滴を前記記録媒体以外に吐出することができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記画像形成工程は、前記記録ヘッドが前記記録媒体に対して相対的に位置を変えながら前記非水系インクを吐出する走査を1回行うことにより行われることができる。
[適用例8]
適用例7において、
前記予備吐出工程において、前記非水系インクの液滴を前記記録媒体上であって、前記画像を形成する領域外に付着させることができる。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか1例において、
前記記録媒体が、インク低吸収性の記録媒体であることができる。
[適用例10]
適用例1ないし適用例9のいずれか1例において、
前記画像形成工程において、
前記記録媒体の表面温度が60℃以下であることができる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法に使用可能なインクジェット記録装置の構成を示すブロック図。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法に使用可能なシリアルプリンターの構成を模式的に示す図。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法に使用可能なラインプリンターの構成を模式的に示す図。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本発明において「画像」とは、ドット群から形成されるパターンを示し、パターンは印字パターンや、絵や模様などのパターン、ベタパターンも含める。
本発明において「非水系インク」とは、有機溶剤を主要な溶媒として、水を主要な溶媒としないインクである。好ましくは、インク中の水の含有量が3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましく0.05質量%未満であり、一層好ましくは0.01質量%未満、さらに一層好ましくは0.005質量%未満、最も好ましくは0.001質量%未満であることをいう。あるいは、実質的に水を含有しないインクとしてもよい。「実質的に含有しない」とは、意図的に含有させないことを指す。
1.インクジェット記録方法
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法は、有機溶剤と、色材と、樹脂と、を含有する非水系インクの液滴を記録ヘッドのノズルから吐出して、該液滴を記録媒体に付着させて画像を形成する画像形成工程と、前記画像を形成するための吐出ではない予備吐出であって、前記非水系インクの液滴を前記記録ヘッドのノズルから吐出する予備吐出工程と、を含み、前記予備吐出工程において、所定の一のノズルから予備吐出を行う時間間隔が2秒以上25秒以下であり、前記有機溶剤が、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種である第1溶剤を含み、前記第1溶剤の含有量が、前記非水系インクの全質量に対して、40質量%以上であることを特徴とする。
以下、本実施形態に係るインクジェット記録方法について、これに使用する非水系インク、記録方法の順に説明する。
1.1.非水系インク
本実施形態に係るインクジェット記録方法に使用する非水系インクは、有機溶剤と、色材と、樹脂と、を含有する。以下、本実施形態に係る非水系インクに含まれる成分、ならびに含まれ得る成分について、詳細に説明する。
1.1.1.有機溶剤
有機溶剤は、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種である第1溶剤を含む。第1溶剤は、乾燥性に優れているという性質を備えているため、記録される画像の乾燥性を向上することができる。
炭化水素系溶剤としては、脂肪族炭化水素(例えば、パラフィン、イソパラフィン)、脂環式炭化水素(例えば、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン等)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、テトラリン等)等が挙げられる。このような炭化水素系溶剤としては、市販品を用いてもよく、IPソルベント1016、IPソルベント1620、IPクリーンLX(以上全て出光興産株式会社製の商品名)、Isopar(アイソパー)G、Isopar L、Isopar H、Isopar M、Exxsol D40、Exxsol D80、Exxsol D100、Exxsol D130、Exxsol D140(以上全て、Exxon社製の商品名)、NSクリーン100、NSクリーン110、NSクリーン200、NSクリーン220(以上全て、JX日鉱日石エネルギー株式会社の商品名)、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(以上全て、JX日鉱日石エネルギー株式会社の商品名)等の脂肪族炭化水素系溶剤または脂環式炭化水素系溶剤や、ソルベッソ200(Exxon社製の商品名)等の芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、イソアミルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、4−メチル−2ペンタノール、アリルアルコール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキシブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、カプリル酸メチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
第1溶剤の含有量は、非水系インクの全質量(100質量%)に対して、40質量%以上である必要があるが、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、40質量%以上75質量%以下であることがより好ましい。第1溶剤の含有量が40質量%以上であることで、記録される画像の乾燥性が向上する。また、85質量%以下であることで、記録安定性が一層良好となる。一方、第1溶剤の含有量が40質量%未満であると、記録される画像の乾燥性が不十分となり、記録速度が低下したり、画像の印刷ムラ等が生じることがある。
非水系インクに含まれる第1溶剤の全質量を100質量%とした場合、これの50質量%以上(より好ましくは50質量%以上95質量%以下)が、標準沸点が185℃以下(より好ましくは145℃以上185℃以下)の溶剤であることが好ましい。これにより、記録される画像の乾燥性が一層向上したり、画像の印刷ムラの発生を低減できる。
有機溶剤としては、第1溶剤以外の溶剤を含有してもよい。このような第1溶剤以外の溶剤としては、例えば、ラクトン、グリコールエーテル類等が挙げられる。
ラクトンは、記録面(好ましくは塩化ビニル系樹脂を含む記録面)の一部を溶解して記録媒体の内部に非水系インクを浸透させて、記録媒体に対する非水系インクの密着性を高めることができる。本発明において「ラクトン」とは、環内にエステル基(−CO−O−)を有する環状化合物の総称をいう。ラクトンとしては、上記定義に含まれるものであれば特に制限されないが、炭素数2以上9以下のラクトンであることが好ましい。このようなラクトンの具体例としては、α−エチルラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナンチオラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−ノナラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、2−ブチル−2−エチルプロピオラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン等が挙げられるが、これらの中でもγ−ブチロラクトンが特に好ましい。上記例示したラクトンは、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
ラクトンを含有する場合には、その含有量は、非水系インクの全質量に対して、5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、10質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。ラクトンの含有量が5質量%以上であることで、画像の耐擦性が一層向上する傾向にあり、20質量%以下であることで、画像の光沢性が向上する傾向にある。
グリコールエーテル類は、非水系インクの記録媒体に対する濡れ性や浸透速度を制御することができる。グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレングリコールモノエーテルや、アルキレングリコールジエーテル等が挙げられる。グリコールエーテル類は、1種単独か又は2種以上を混合して使用することができる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
グリコールエーテル類を含有する場合には、その含有量は、非水系インクの全質量に対して、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。グリコールエーテル類の含有量が5質量%以上であることで、画像の光沢性やドットサイズが良好になる傾向にあり、30質量%以下であることで、画像の印刷ムラの発生を低減できる傾向にある。
1.1.2.色材
色材としては、染料を用いてもよく、無機顔料および有機顔料等の顔料を用いることもできるが、耐光性等の観点から顔料を用いることが好ましい。これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等)、多環式顔料(フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等)、染料レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また、無機顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
色材の含有量は、所望に応じて適宜設定でき、特に限定されるものではないが、通常、非水系インクの全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下である。
また、色材として顔料を使用する場合には、顔料分散剤を含有してもよく、例えば、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLUBRIZOL社製)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192、2091、2095(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。顔料分散剤を使用する場合の含有量は、含有される顔料に応じて適宜選択することができるが、非水系インク中の顔料の含有量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上200質量部以下、より好ましくは30質量部以上120質量部以下である。
1.1.3.樹脂
本実施形態に用いる非水系インクは樹脂を含む。樹脂は、皮膜を形成して非水系インクにより得られた画像を保護する樹脂、画像のインク塗膜の密着性を向上させるための樹脂、画像のインク塗膜の光沢度を調整するための樹脂、その他、画像のインク塗膜の品質を向上させるための樹脂が挙げられる。このうち、皮膜を形成して、非水系インクにより得られた画像を保護する機能を少なくとも有する樹脂が記録物の摩擦堅牢性などの点で好ましく、本発明の実施形態が特に有用である。当該樹脂は、定着用樹脂と呼ばれることがある。
樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂(例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、スチレン−(メタ)アクリル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレンアルキル(メタ)アクリレート樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂など)、塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂など)、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、エチルセルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン系樹脂、石油樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリオレフィン、テルペン系樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、NBR・SBR・MBR等の各種合成ゴム、およびそれらの変性体等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
上記の樹脂の中でも、画像の耐擦性を一層向上させるという観点から、(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂の少なくとも一方を使用することが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂は樹脂の合成時に使用したモノマー成分として少なくとも(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸の何れかを含むものであり、塩化ビニル系樹脂は樹脂の合成時に使用したモノマー成分として少なくとも塩化ビニルを含むものである。
上記の(メタ)アクリル系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、アクリペットMF(商品名、三菱レイヨン社製、アクリル樹脂)、スミペックスLG(商品名、住友化学社製、アクリル樹脂)、パラロイドBシリーズ(商品名、ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)、パラペットG−1000P(商品名、クラレ社製、アクリル樹脂)などが挙げられる。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味するものとし、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味するものとする。
上記の塩化ビニル系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、カネビニールS−400、HM515(商品名、株式会社カネカ製)、ソルバインC(商品名、日信化学株式会社)等が挙げられる。
非水系インクに含まれる樹脂には、固形状、溶液状、エマルジョン状態としたもの等、いずれのタイプの樹脂を用いてもよいが、インク中で溶解するもの(インクに溶解している樹脂)を用いることが好ましい。
樹脂の固形分換算における含有量は、非水系インクの全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上6質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂の含有量を0.5質量%以上とすることで、画像の耐擦性が一層良好となる傾向にある。また、樹脂の含有量を10質量%以下とすることで、非水系インクの粘度をインクジェット記録に適した範囲に容易に設定することができる。
1.1.4.その他の成分
本実施形態に係る非水系インクは、界面活性剤(例えば、シリコン系界面活性、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤など)、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
1.1.5.非水系インクの調製方法
本実施形態に係る非水系インクは、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
1.1.6.非水系インクの物性
本実施形態に係る非水系インクは、記録品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、非水系インクの20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
1.2.記録方法
1.2.1.装置構成
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置を用いて行われる。インクジェット記録装置としては、記録ヘッドに設けられた微細なノズルより上述した非水系インクを液滴状にして吐出して、該液滴を記録媒体に付着させることができる装置が用いられる。以下、本実施形態に係るインクジェット記録装置の構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置の構造の理解を容易にするために、尺度を適宜変更している場合がある。
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置1(100)の構成を示すブロック図である。図1に示すように、インクジェット記録装置1(100)は、搬送ユニット10、ヘッドユニット20、予備吐出ユニット30、検出器群60、コントローラー70を有する。画像データを入力する入力手段80から画像データを受信したインクジェット記録装置1(100)は、コントローラー70によって各ユニットを制御する。コントローラー70は、入力手段80から受信した画像データに基づいて各ユニットを制御して、記録媒体Pに画像を記録する。インクジェット記録装置1(100)内の状況は検出器群60によって監視されており、検出器群60は検出結果をコントローラー70に出力する。コントローラー70は、検出器群60から出力された検出結果に基づき各ユニットを制御する。インクジェット記録装置1(100)が入力手段80から受信した画像データは、図示しない他の装置から入力手段80に入力された画像データに対して、入力手段80がデータの変換などの加工を施した画像データであってもよい。
より詳しくは、コントローラー70は、インクジェット記録装置1(100)の制御を行うための制御ユニット(制御部)であり、インターフェイス部72、CPU74、メモリー76およびユニット制御回路78を有する。インターフェイス部72は、入力手段80とインクジェット記録装置1(100)との間でデータの送受信を行う。CPU74は、インクジェット記録装置1(100)全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー76は、CPU74のプログラムを格納する領域や作業領域を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を備える。CPU74は、メモリー76に格納されているプログラムにしたがってユニット制御回路78を介して各ユニットを制御する。
コントローラー70は、後述する予備吐出を実施するための時間間隔をカウントするための計時手段(タイマー等)を備えていてもよい。計時手段は、例えば、ユニット制御回路78に組み込まれていてもよい。また、後述する予備吐出の時間間隔は、使用する非水系インクの組成等に応じて予めメモリー76に記憶させておくことができる。
入力手段80は、記録媒体Pに記録すべき画像データを入力するための手段であり、例えばPCやタッチパネル式入力装置等があげられる。他の装置から入力された画像データにデータの変換を施す機能を備えていてもよい。入力手段80は、例えばインクジェット記録装置1(100)を制御するプリンタドライバーがインストールされたPCであってもよい。PCに入力された画像データは、データ処理前のデータ(例えばJPEG形式の画像データ)から、インクジェット記録装置1(100)が記録媒体Pに記録を行うために適したデータ(例えばドット形式の画像データ)に変換するデータ処理を行う。
<シリアルプリンター>
図2は、インクジェット記録装置1の構造を模式的に示す斜視図であり、インクジェット記録装置がシリアルプリンターである例を示すものである。以下、図2に示すインクジェット記録装置1をシリアルプリンター1ともいう。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、例えば図2に示すようなシリアルプリンター1を用いて実施することができる。シリアルプリンターとは、所定の方向に移動するキャリッジにヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴ってヘッドが移動することにより記録媒体上にインクの液滴を吐出するもののことをいう。
図2に示すように、シリアルプリンター1は、記録媒体Pを搬送方向に搬送する搬送機構11と、ヘッド21の下方に配設され搬送された記録媒体Pを支持するプラテン12と、ヘッド21を搭載すると共にインクカートリッジ22を着脱可能に装着するキャリッジ23と、キャリッジ23を記録媒体Pの媒体幅方向に移動させるキャリッジ移動機構24と、ヘッド21に設けられたノズルから予備吐出される液滴を受けるキャップ部材31と、を有する。さらに、シリアルプリンター1は、当該プリンター1全体の動作を制御する上述したコントローラー70を有している。なお、図2において、媒体幅方向とはヘッドの走査方向であり、搬送方向とは媒体幅方向に交差する方向である。
搬送ローラー11およびプラテン12は、図1における搬送ユニット10の構成要素の一例である。搬送ローラー11は、コントローラー70からの命令に従って、給紙された記録媒体Pを搬送方向に搬送する。また、プラテン12は、搬送された記録媒体Pを支持するものである。
記録ヘッド21、インクカートリッジ22、キャリッジ23、キャリッジ移動機構24は、ヘッドユニット20の構成要素の一例であり、コントローラーからの命令に従って記録媒体Pにインクの液滴を吐出して画像を形成する。
インクカートリッジ22は、独立した4つのカートリッジからなる。4つのカートリッジのそれぞれに、上述した非水系インクが充填される。なお、図2の例では、カートリッジの数が4つであるが、これに限定されず、所望の数のカートリッジを搭載することができる。インクカートリッジ22は、図1に示すようなキャリッジ23に装着するものに限らず、これに替えて例えば、シリアルプリンター1の筐体側に装着しインク供給チューブを介してヘッド21にインクを供給するタイプのものであってもよい。
キャリッジ23は、媒体幅方向に架設された支持部材であるガイドロッド25に支持された状態で取り付けられたものである。キャリッジ23は、コントローラー70からの命令に従って、キャリッジ移動機構24によってガイドロッド25に沿って媒体幅方向に移動する。なお、図2の例では、キャリッジ23が媒体幅方向に移動するものを示したが、これに限定されず、媒体幅方向の移動に加えて、搬送方向に移動する機構を備えていてもよい。
記録ヘッド21には、搬送された記録媒体Pと対向する位置に複数のノズルが設けられている。記録ヘッド21は、キャリッジ23の移動に伴い記録媒体Pに対して位置を変えながら、コントローラー70からの命令に従って所定のノズルからインクの液滴を吐出する。
キャップ部材31は、予備吐出ユニット30の構成要素の一例であり、コントローラー70からの命令に従ってキャップ部材31の設けられた領域にまで移動してきた記録ヘッド21から吐出される非水系インクの液滴を受けるものである。すなわち、予備吐出ユニット30は、後述する予備吐出工程を実施するための手段の一例であり、記録媒体上に画像を形成するための吐出ではない予備吐出を行うために用いられる。図2の例では、キャップ部材31は、シリアルプリンター1の媒体幅方向の一端に設けられているが、これに限られず、シリアルプリンター1の媒体幅方向の両端に設けられていてもよい。
シリアルプリンター1は、図2に示すように、記録媒体を加熱する加熱機構90を備えていてもよい。加熱機構90は、記録媒体Pを加熱できる位置に設けられていれば、その設置位置は特に限定されるものではない。図2の例では、加熱機構90は、プラテン12上であって、記録ヘッド21と対向する位置に設置されている。このように、加熱機構90が記録ヘッド21と対向する位置に設置されていると、記録媒体Pにおける液滴の付着位置を確実に加熱できるので、記録媒体Pに付着した液滴を効率的に乾燥できる。
加熱機構90には、例えば、記録媒体Pを熱源に接触させて加熱するプリントヒーター機構や、赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長をもつ電磁波)などを照射する機構や、温風を吹き付けたりするドライヤー機構などを用いることができる。
加熱機構90による記録媒体Pの加熱は、ノズルから吐出された液滴が記録媒体Pに付着する前または付着する時に行われる。このようにすれば、記録媒体Pに付着した液滴を迅速に乾燥できる。なお、加熱の諸条件の制御(例えば、加熱実施の要否、加熱実施のタイミング、加熱温度、加熱時間等)は、コントローラー70によって行われる。
<ラインプリンター>
図3は、インクジェット記録装置100を上面からみたときの構造の一部を模式的に示す図であり、インクジェット記録装置がラインプリンターである例を示すものである。以下、図3に示すインクジェット記録装置100をラインプリンター100ともいう。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、例えば図3に示すようなラインプリンター100を用いて実施することができる。ラインプリンターとは、画像の記録時に記録媒体または記録ヘッドの一方が固定されており、媒体幅方向の全体に渉って設けられた複数のノズルによって、インクの液滴を吐出するもののことをいう。
図3に示すように、ラインプリンター100は、記録媒体Pを搬送方向に搬送するプラテン112と、媒体幅方向に延びる記録ヘッド121と、プラテン上に設けられた溝部131と、を有する。また、図示しないが、ラインプリンター100には、図2のシリアルプリンター1と同様に、全体の動作を制御するコントローラー70が任意の位置に設けられている。
プラテン112は、図1における搬送ユニット10の構成要素の一例である。搬送ユニット10は、記録媒体Pを搬送できるものであれば、プラテン112に限らず、公知の機構のものを使用できる。プラテン112は、コントローラー70からの命令に従って、給紙された記録媒体Pを搬送方向に搬送する。図1の例では、プラテン112が自走することによって、プラテン112に支持された記録媒体Pが搬送方向に移動する。
記録ヘッド121は、図1におけるヘッドユニット20の構成要素の一例である。図3に示すように、記録ヘッド121は、独立した4つの記録ヘッドからなり、4つの記録ヘッドのそれぞれに上述した非水系インクが供給される。図3の例では、記録ヘッドの数が4つであるがこれに限定されず、所望の数の記録ヘッドを設けることができる。記録ヘッド121は、記録媒体の幅方向にわたって形成されている。また、記録ヘッド121には、ノズルが設けられており、当該ノズルは記録媒体の幅方向にわたって記録媒体Pと対向する位置に複数設けられている。記録ヘッド121は、コントローラー70からの命令に従って、所定のノズルからインクの液滴を吐出する。
溝部131は、予備吐出ユニット30の構成要素の一例であり、媒体幅方向にわたって形成されており、プラテン112に記録ヘッド121に対応するように媒体搬送方向に一定間隔で設けられている。プラテン112は、コントローラー70からの命令に従って自走して、溝部131を記録ヘッド121に対応する位置に移動させて(図3参照)、記録ヘッド121から吐出される非水系インクの液滴を受けるものである。すなわち、予備吐出ユニット30は、後述する予備吐出工程を実施するための手段の一例であり、記録媒体上に画像を形成するための吐出ではない予備吐出を行うために用いられる。
図3の例では、予備吐出ユニット30としてプラテン122に溝部131を設けたものを挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、記録ヘッド121に対応するようなキャップ部材を設けておき、予備吐出工程を実施する際に、キャップ部材または記録ヘッド121を移動させて、記録ヘッド121からキャップ部材に向かって予備吐出を行うような態様としてもよい。この場合には、図3に示すような単票の記録媒体だけでなく、連続体(長尺の記録媒体)に対しても使用できる。
また、予備吐出ユニットとして、溝部131やキャップ部材のような特別な機構を設けなくとも、予備吐出工程を実施できる。例えば、画像形成中に、画像を形成するために使用していないノズルからインクの液滴を吐出させて、画像を形成する領域外の記録媒体上に付着させてもよい。
ラインプリンター100は、記録媒体を加熱する加熱機構(図示せず)を備えていてもよい。加熱機構は、記録媒体Pを加熱できる位置に設けられていれば、その設置位置は特に限定されるものではない。例えば、加熱機構は、プラテン112の下方であって、記録ヘッド121と対向する位置に設置することができる。このように、加熱機構がヘッド121と対向する位置に設置されていると、記録媒体Pにおける液滴の付着位置を確実に加熱できるので、記録媒体Pに付着した液滴を効率的に乾燥できる。加熱機構に使用可能な機構や、加熱のタイミング、加熱の諸条件の制御については、上述したシリアルプリンター1と同様であるので、その説明を省略する。
<記録媒体>
記録媒体Pとしては、特に限定されないが、本実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、インク低吸収性の記録媒体を使用した場合であっても記録された画像の乾燥性が良好となる。ここで「インク低吸収性の記録媒体」とは、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体のことをいい、少なくとも記録面がこの性質を備えていればよい。この定義によれば、本発明における「インク低吸収性の記録媒体」には、水を全く吸収しないインク非吸収性の記録媒体も含まれる。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
インク低吸収性の記録媒体としては、具体的には、低吸収性の材料を含むシート、フィルム、繊維製品等が挙げられる。また、インク低吸収性の記録媒体は、基材(例えば、紙、繊維、皮革、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属等)の表面に、低吸収性の材料を含む層(以下、「低吸収性層」ともいう)を備えたものであってもよい。低吸収性の材料としては、特に限定されないが、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、インク低吸収性の記録媒体としては、上述の有機溶剤として、ラクトンを含有する場合には、塩化ビニル系樹脂を含む記録面を有するものを好ましく用いることができる。ラクトンは、塩化ビニル系樹脂を含む記録面を溶解することで記録媒体の内部にインクを浸透させることができる。これにより、塩化ビニル系樹脂を含む記録面に記録した画像の耐擦性を一層向上させることができる。塩化ビニル系樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルエーテル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体等が挙げられる。なお、インク低吸収性の記録媒体の厚み、形状、色、軟化温度、硬さ等の諸特性については特に制限されない。
1.2.2.インクジェット記録方法
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、画像形成工程と、予備吐出工程と、を含み、前記予備吐出工程において、所定の一のノズルから予備吐出を行う時間間隔が2秒以上25秒以下であることを特徴とする。本実施形態に係るインクジェット記録方法は、上述したインクジェット記録装置1(100)を用いて行うことができる。以下、本実施形態に係るインクジェット記録方法について、工程毎に詳細に説明する。
<画像形成工程>
画像形成工程は、上述の非水系インクの液滴を記録ヘッドのノズルから吐出して、該液滴を記録媒体に付着させて画像を形成(記録)する工程である。これにより、記録媒体に画像の形成(記録)された記録物を得ることができる。
上述のシリアルプリンター1を使用する場合には、記録ヘッド21を記録媒体Pに対して相対的に移動させつつインクを吐出させる走査(パス)を1回行う度に画像が形成され、当該パスを複数回行うことによって、最終的に得たい画像を得ることができる。一方、上述のラインプリンター100を使用する場合には、記録ヘッド121を記録媒体Pに対して相対的に移動させつつインクを吐出させる走査(パス)を1回行うことにより画像の形成が行われる、1回のパスによって、最終的に得たい画像を得ることができる。
インクを記録ヘッドのノズルから吐出させる方式は、例えば以下のものが挙げられる。具体的には、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に吐出させ、インクの液滴が偏向電極間を飛翔する間に記録情報信号を偏向電極に与えて記録する方式又はインクの液滴を偏向することなく記録情報信号に対応して吐出させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインクに圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインクの液滴を吐出させる方式、インクに圧電素子で圧力と記録情報信号を同時に加え、インクの液滴を吐出・記録させる方式(ピエゾ方式)、インクを記録情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インクの液滴を吐出・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
画像形成工程時において、記録安定性と画像の乾燥性を一層高いレベルで両立させるために、記録媒体の表面温度を60℃以下(より好ましくは0℃以上60℃以下)とすることが好ましい。画像の乾燥速度を一層向上させるという観点からは、記録媒体の表面温度を40℃以上とすることが好ましく、45℃以上とすることがより好ましく、50℃以上とすることがさらに好ましい。一方で、記録安定性を一層向上させるという観点からは、記録媒体の表面温度を40℃未満とすることが好ましく、35℃以下とすることがより好ましく、30℃以下とすることがさらに好ましく、25℃以下とすることがさらにより好ましい。記録媒体の表面温度は、上述した加熱機構を用いることで、所定の温度範囲に容易に設定できる。
<予備吐出工程>
予備吐出工程は、画像を形成するための吐出ではない予備吐出であって、上述した非水系インクの液滴を記録ヘッドのノズルから吐出する工程であり、所定の一のノズルから予備吐出を行う時間間隔が2秒以上25秒以下であることを特徴する。これにより、上述したような乾燥しやすい非水系インクを使用した場合であっても、インクの乾燥に伴うノズルの詰まり等が抑制されるので、記録安定性が優れたものとなる。このように、本実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、記録安定性と、画像の乾燥性を高いレベルで両立することができる。なお、予備吐出は、フラッシングと呼ばれることがある。
予備吐出を行う時間間隔は、2秒以上25秒以下である必要があるが、下限は4秒以上が好ましく、5秒以上がより好ましく、6秒以上がさらに好ましく、10秒以上がよりさらに好ましく、15秒以上が特に好ましい。上限は23秒以下であることが好ましく、20秒以下であることがより好ましい。時間間隔が上記範囲内にあることで、記録安定性を良好に保ちつつ、記録速度の低下を抑制できる。一方、時間間隔が2秒未満であると、予備吐出工程の実施が頻繁になることで、記録速度の低下を招いてしまう。また、時間間隔が25秒を超えると、ノズル近傍に付着したインクの乾燥が進みすぎることで、ノズルの詰まり等が発生してしまって、記録安定性が低下する。
予備吐出を行う時間間隔は、最初の予備吐出工程(第1の予備吐出工程)において、特定のノズルから予備吐出のためのインクを吐出した時を始期とし、次の予備吐出工程(第2の予備吐出工程)において、特定のノズルから予備吐出のためのインクを吐出した時を終期として、カウントされる。
予備吐出を行う時間間隔は、使用する非水系インクの組成に基づく乾燥速度等に基づいて、ユーザー等が予めメモリー76に記録させておくことができる。この場合、コントローラー70は、メモリー76に記憶させた情報を読み出して、記録媒体と記録ヘッドとの相対的な移動速度、予備吐出ユニットを構成する部材と記録ヘッドとの相対的な移動速度、インクを吐出するタイミング等の制御を行って、読み出した時間間隔でヘッドユニット20に予備吐出を行わせればよい。
上述のシリアルプリンター1やラインプリンター100を使用する場合に、予備吐出は、画像形成工程の前や後に行うことが好ましい。この場合、非水系インクの液滴を記録媒体以外の場所に付着させることや、記録媒体上の領域であって画像形成領域とは搬送方向の位置の異なる領域に液滴を吐出し付着させることが好ましい。すなわち、予備吐出工程は、画像形成工程の合間に行われる。
また、シリアルプリンター1を使用する場合、予備吐出ユニットとして上記のキャップ部材31を備える場合には、予備吐出により吐出された非水系インクの液滴は、キャップ部材31に排出させることができる。シリアルプリンター1を用いる場合には、記録ヘッドの走査と走査の間に予備吐出を行わせることが、好ましい態様である。
また、ラインプリンター100を使用した場合には、画像形成工程の前や後に、上述したプラテン112に設けられた溝部131に非水系インクの液滴を排出させたり、上述したキャップ部材に非水系インクの液滴を排出させることで行うことができる。
予備吐出を画像形成工程の合間に行う場合、予備吐出を行う時間間隔は、特定の一のノズルにおいて、画像形成工程の前に行う第1の予備吐出工程から、画像形成工程の後に行う第2の予備吐出工程を行うまでの経過時間である。具体的には、複数のパスにより画像を形成する場合、予備吐出を行う時間間隔は、特定のパスの前に行う第1の予備吐出工程から、当該特定のパスの後に行う第2の予備吐出工程までの経過の時間である。なお、「特定のパスの後」とは、特定のパスが終了し、次のパスが行われる前をいうものであってもよいし、特定のパスが終了して、所定数のパスが行われた後をいうものであってもよい。
一方、予備吐出は、画像形成工程と同時、つまり、画像形成工程中に行うこともできる。予備吐出工程を画像形成工程と同時に行う場合には、画像形成工程時に、画像形成に用いていないノズルから非水系インクの液滴を吐出させて、当該液滴を記録媒体上の画像形成領域や画像形成領域以外の領域に付着させることで行うことができる。このように、予備吐出工程と画像形成工程とを同時に行うことで、画像記録の高速化を実現できる。予備吐出を画像形成工程と同時に行う場合、予備吐出を行う時間間隔は、画像形成工程中において、特定のノズルを基準として、画像形成の為の吐出の前に行う第1の予備吐出工程から、画像形成の為の吐出の後に行う第2の予備吐出工程までの時間である。画像形成工程と同時に行われる予備吐出は、シリアルプリンター1やラインプリンター100のいずれを用いる場合にも行うことができるが、ラインプリンター100を用いる場合に好適である。
2.実施例
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
2.1.非水系インクの調製
容器に、表1に記載の濃度に相当する量の有機溶剤のみをそれぞれのインクごとに攪拌して、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の一部を取り分けて、Solsperse37500(LUBRIZOL社製、商品名)と、顔料と、を所定量添加して、ホモジナイザーを用いて予備分散した後に、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルにて分散処理を行うことにより、顔料の平均粒子径130nmの顔料分散体を得た。そして、混合溶剤の一部を取り分けていたものに、樹脂を加えて攪拌して溶解させた樹脂溶液を得た。上記の顔料分散体に、混合溶剤の残部、界面活性剤および上記の樹脂溶液を混ぜ入れて、1時間攪拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、実施例および比較例に係る非水系インクを得た。
なお、表中で使用した成分は、下記の通りである。
・PB−15:3(C.I.ピグメントブルー15:3、銅フタロシアニン顔料)
・Solsperse37500(商品名、LUBRIZOL社製、樹脂分散剤)
・GBL(γ‐ブチロラクトン、標準沸点204℃)
・DEGBME(ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、標準沸点212℃)
・TetraEGmBE(テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、標準沸点300℃)
・PGmME‐AC(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、標準沸点146℃)
・乳酸エチル(標準沸点155℃)
・カプリル酸メチル(標準沸点188℃〜193℃)
・3‐メトキシ‐3‐メチル‐1‐ブタノール(標準沸点174℃)
・ナフテゾール160(商品名、JX日鉱日石エネルギー株式会社製、脂環式炭化水素系溶剤、蒸留範囲157℃〜179℃)
・BYK340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、フッ素系界面活性剤)
・HM515(商品名「カネビニールHM515」、株式会社カネカ製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)
・G−1000P(商品名「パラペットG−1000P」、メタクリル樹脂)
Figure 0006314523
2.2.評価試験
各評価試験は、空調設備と加湿器を利用して、環境試験室の温度および湿度がそれぞれ、25℃,65%RHとなるように調整し、当該環境試験室内に設置したセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンター「SC−S30650」(商品名)を用いて行った。なお、温度および湿度は、ヒーター等のインクジェットプリンター自身の発熱の影響を受けない筐体の上に設置した温湿度センサーによって測定した。また、吐出安定性の評価を除き、評価試験のサンプルの作製にあたって予備吐出の時間間隔を3秒とした。インクを吐出し付着させる際には記録媒体の表面温度を25℃にして、加熱機構を用いなかった。
2.2.1.印刷ムラ
上記プリンターを用いて、各非水系インクを塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51(ポリ塩化ビニル))上に100%濃度で記録解像度720×720dpiのベタ印刷をした後、60分間、25℃65%RH(相対湿度)にて乾燥させた。その後、目視および光学顕微鏡を用いて印刷面を観察し、印刷ムラの少ないものを6点として、1点まで6水準で評価した。
2.2.2.光沢
上記プリンターを用いて、各非水系インクを光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社、型番SV−G−1270G)上に記録解像度720×720dpiの100%濃度でベタ印刷をした後、25℃65%RH(相対湿度)にて1日間、乾燥させて記録物を作成した。そして、ベタ印刷部の20°光沢をMULTI GLOSS 268(コニカミノルタ株式会社製)にて測定し、光沢度が26未満を1点、26以上28未満を2点とし、光沢度を2毎に刻んで光沢を点数で評価した。光沢が優れる場合、特にフィルムなどの光沢性を有する記録媒体において、記録物に記録媒体自身と同様の光沢感を得ることができる利点がある。
2.2.3.ドットサイズ
上記プリンターを用いて各非水系インクを、塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51(ポリ塩化ビニル))上に記録解像度720×720dpiの30%濃度で1辺3cmの正方形を印刷した後、25℃65%RH(相対湿度)にて60分間乾燥させた。その後、光学顕微鏡を用いて印刷部分のドットサイズを観察してドットの直径を10μm毎に分類した。なお、にじみが大きい場合には、ドット形状が円状になっておらず、測定できなかった。また、にじみが小さくなることで真円に近くなっていたが、ドットサイズ(直径)は小さくなっていた。ドットサイズが20μm以下のものを1点として、20μmを超え30μm以下のものを2点、というように10μm毎にランク分けして、点数で評価した。ドットサイズが良好であるということは、インクの記録媒体上での濡れ拡がり性が良いということであり、記録媒体をインクで覆うことができることにより記録物の発色性が良くなるなどの利点がある。
2.2.4.摩擦堅牢性(耐擦性)
上記プリンターを用いて、各非水系インクを、光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社、型番SV−G−1270G)上に記録解像度720×720dpiの100%濃度で印刷した後、25℃65%RH(相対湿度)にて1日間、乾燥させて記録物を作成した。次に、JIS L 0849に基づいて、I型試験機にて乾式試験を行った。その後、試験綿布のODをスペクトロリーノ(グレタグマクベス社製)にて測定し、0.4以上を1点、0.4より小さく0.35以上のものを2点と、0.05毎に色移りに関して点数を付けた。
2.2.5.表面乾燥性
上記プリンターを用いて、各非水系インクを、光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社、型番SV−G−1270G)上に記録解像度720×720dpiの100%濃度で印刷し、25℃65%RH(相対湿度)にて5分間乾燥させた。次に、巻き取り装置を用いて巻き取った後の印刷面のスリ痕を観察した。観察はレーザー顕微鏡(キーエンス株式会社製、形式VK−8700 Generation2)にて表面粗さを測定することで、スリ痕のある面積の割合を算出した。スリ痕面積が印刷領域の10%以下のものを5点として、20%以下10%より多いものを4点、というように10%毎にランク分けした。6点はスリ痕面積がないものとした。
2.2.6.印字安定性(記録安定性)
上記プリンター用の市販インクであるブラックインクと、上記のように調製した非水系インクと、を用いて、光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社、型番SV−G−1270G)上に、定期フラッシング(予備吐出)間隔を5秒に設定して30%濃度で1時間印刷し、印刷終了時に吐出不良を検査し、吐出不良ノズルの発生割合を調査した。全ノズル数は360個である。次に、定期フラッシング(予備吐出)間隔を15秒、25秒、35秒と振って、同様に吐出不良ノズルの発生割合を調査した。吐出不良ノズルの発生率が1%以下のものを5点として、5%以下1%より多いものを4点、というように5%毎にランク分けした。6点は吐出不良ノズルがないものとした。試験中は評価の対象とする非水系インクが全く使用されない画像を記録した。具体的には、評価対象とする非水系インクが充填されたノズル列とは異なる、他のノズル列に充填された本プリンター用の市販のインクであるブラックインクを用いて、ブラックインクのみが使用されるような黒色の画像を記録した。そして、主走査と主走査の間に1主走査あるいは2主走査以上の間隔でフラッシングボックス(キャップ部材)に、全ノズルから予備吐出を行うようにした。
2.3.評価結果
以上の評価試験の結果を表2に示す。
Figure 0006314523
表2の評価結果の通り、実施例では、第1溶剤を特定量含有する非水系インクを用いて、特定間隔でフラッシングを行なえば、記録安定性に優れつつ、乾燥性および耐擦性に優れた画像を記録できることが示された。
一方、比較例1および比較例4では、第1溶剤の含有量が40質量%未満である非水系インクを用いて記録を行ったため、記録される画像の乾燥性が低下することが示された。また、比較例2では、第1溶剤を含有しない非水系インクを用いて記録を行ったため、記録される画像の乾燥性が著しく低下することが示された。比較例3では、樹脂を含有しない非水系インクを用いて記録を行ったため、記録される画像の耐擦性(摩擦堅牢性)が低下することが示された。
なお、表中には記載しなかったが、インクジェット記録装置のプラテンにヒーターを設けて、記録媒体の表面温度を40℃として画像の記録を行った以外は、実施例1、比較例1と同様にして、一部の評価を行ったところ、実施例1に対応する例において、予備吐出間隔が25秒の場合の印字安定性が4となり、予備吐出間隔が35秒の場合の印字安定性が1となった。また、比較例1に対応する例において、印刷ムラが3となった。このことから、記録時の記録媒体の表面温度を高くして(例えば40℃以上)、印刷ムラの発生を低減できる条件で記録を行う場合、予備吐出の間隔を所定の範囲とすることで吐出安定性を確保できる本願発明に係るインクジェット記録方法が特に有用である。一方、記録時の記録媒体の表面温度を低くして(例えば35℃以下)、吐出安定性が向上する条件で記録を行う場合においても、印刷ムラの発生を良好に低減できる非水系インクを用いた本願発明に係るインクジェット記録方法が有用である。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…インクジェット記録装置(シリアルプリンター)、10…搬送ユニット、11…搬送ローラー、12(112)…プラテン、20…ヘッドユニット、21(121)…記録ヘッド、22…インクカートリッジ、23…キャリッジ、24…キャリッジ移動機構、25…ガイドロッド、30…予備吐出ユニット、31…キャップ部材、60…検出器群、70…コントローラー、72…インターフェイス部、74…CPU、80…入力手段、90…加熱機構、100…インクジェット記録装置(ラインプリンター)、131…溝部、P…記録媒体

Claims (10)

  1. 有機溶剤と、色材と、樹脂と、を含有する非水系インクの液滴を記録ヘッドのノズルから吐出して、該液滴を記録媒体に付着させて画像を形成する画像形成工程と、
    前記画像を形成するための吐出ではない予備吐出であって、前記非水系インクの液滴を前記記録ヘッドのノズルから吐出する予備吐出工程と、
    を備え、
    前記予備吐出工程において、所定の一のノズルから予備吐出を行う時間間隔が2秒以上25秒以下であり、
    前記有機溶剤が、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤およびエステル系溶剤から選択される少なくとも1種である第1溶剤を含み、
    前記第1溶剤の含有量が、前記非水系インクの全質量に対して、40質量%以上であ
    前記第1溶剤の全質量のうち50質量%以上95質量%以下が、標準沸点が185℃以下の溶剤である、
    インクジェット記録方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1溶剤以外の溶剤として、ラクトンおよびグリコールエーテル類のいずれかを含む、インクジェット記録方法。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記樹脂が、塩化ビニル系樹脂および(メタ)アクリル系樹脂の少なくとも一方を含む、インクジェット記録方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記樹脂の含有量が、前記非水系インクの全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下である、インクジェット記録方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記画像形成工程は、前記記録ヘッドが前記記録媒体に対して相対的に位置を変えながら前記非水系インクを吐出する走査を複数回行うことにより行われる、インクジェット記録方法。
  6. 請求項5において、
    前記予備吐出工程において、前記予備吐出を走査と走査の間で行い、かつ、前記非水系インクの液滴を前記記録媒体以外に吐出する、インクジェット記録方法。
  7. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
    前記画像形成工程は、前記記録ヘッドが前記記録媒体に対して相対的に位置を変えながら前記非水系インクを吐出する走査を1回行うことにより行われる、インクジェット記録方法。
  8. 請求項7において、
    前記予備吐出工程において、前記非水系インクの液滴を前記記録媒体上であって、前記画像を形成する領域外に付着させる、インクジェット記録方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
    前記記録媒体が、インク低吸収性の記録媒体である、インクジェット記録方法。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、
    前記画像形成工程において、
    前記記録媒体の表面温度が60℃以下である、インクジェット記録方法。
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