JP2016037559A - 非水系インクジェットインク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents

非水系インクジェットインク組成物およびインクジェット記録方法 Download PDF

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圭司 飯田
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健一 沼倉
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Abstract

【課題】臭気が極めて少なく、局所廃棄装置等が不要であり、環境対応性かつ安全性の高い非水系インクジェットインク組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る非水系インクジェットインク組成物は、色材と、溶剤と、を含有し、前記溶剤として、下記一般式(1)で示される化合物を含有し、インク組成物を付着させた記録媒体を加熱もしくは常温により乾燥させて用いるものであることを特徴とする。
Figure 2016037559

(上記式(1)中、Rは、ヒドロキシ基以外の置換基によって置換されていてもよいアルキル基を表す。また、上記式(1)において、Rを除いた炭素数の合計は4または5である。Rは、置換もしくは非置換の炭素数1〜4のアルキル基である。nは1以上の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、非水系インクジェットインク組成物および該インク組成物を用いるインクジェット記録方法に関する。
従来、インクジェット記録用ヘッドのノズルから吐出させた微小なインク滴によって画像や文字を印刷するいわゆるインクジェット印刷は、主に紙等の吸水性の記録媒体表面への印刷に利用されてきた。このようなインクジェット印刷に用いられるインクジェット用インクとしては、水に水溶性染料等の色材を添加した水系インクが広く普及している。
一方、インクジェット印刷は、近年様々な分野において多種多様な記録媒体表面への印刷に利用されるようになってきている。そこで、多種多様な記録媒体表面への印刷に対応するために、水系インクに代えて、溶媒として実質的に水を含まない非水系インクの開発が進められている。このような記録媒体の一種として、例えば長期の耐候性が求められる屋外掲示物や曲面を有する物体への密着性が求められる印字物等の広い分野で、軟質ポリ塩化ビニル製の記録媒体が使用されている。
このような軟質ポリ塩化ビニル製の記録媒体に印字することを目的とする非水系インクは、印字品質向上の観点から、インクの吐出性や乾燥性、印字物の擦過性や耐候性等を総合的に勘案した処方設計が重要となる。例えば特許文献1には、植物由来の脂肪酸エステルと、ヒドロキシ脂肪酸エステル及び/又はテルペン系溶剤と、を含有する非水系インクが開示されている。この非水系インクによれば、ポリ塩化ビニルからなる記録媒体に対しても十分な印字品質を有するとともに、環境負荷を低減することができる。
また、特許文献2には、油溶性染料としてN−アルコキシアルキルスルホアマイド基によって置換されたフタロシアニン化合物、溶媒としてヒドロキシ安息香酸エステルを用いることにより、前記油溶性染料の高い溶解安定性、噴射安定性を示すインクジェット記録用油性インクが開示されている。
さらに、特許文献3には、乳酸エステル、ラクトン化合物およびグリコールモノエーテルを含有するポリ塩化ビニル樹脂シート用インクジェットインキが開示されている。この非水系インクによれば、臭気が少なく、プリンターヘッド材料に対する腐食のない密着性および吐出安定性に優れた印字が可能となる。
特開2010−143984号公報 特開平3−195783号公報 特許第5103799号公報
しかしながら、上記の特許文献1〜2に開示されている非水系インクを用いた場合には、臭気が強く、局所排気装置等の設備が必要となるため、環境対応性かつ安全性の高い非水系インクとは言えない。また、上記の特許文献3に開示されている非水系インクを用いた場合でも、臭気が低減されているものの、未だに臭気があり、環境対応性かつ安全性の高い非水系インクとは言えない。
本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、臭気が極めて少なく、局所廃棄装置等が不要であり、環境対応性かつ安全性の高い非水系インクジェットインク組成物を提供することにある。
また、本発明に係る幾つかの態様は、上述の臭気が極めて少ないことに加えて、インクジェット記録用ヘッドのノズルからの吐出安定性が良好で、かつ、光沢性や印刷ムラ等の印字品質が良好となる非水系インクジェットインク組成物を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る非水系インクジェットインク組成物の一態様は、
色材と、溶剤と、を含有する非水系インクジェットインク組成物であって、
前記溶剤として、下記一般式(1)で示される化合物を含有し、
インク組成物を付着させた記録媒体を加熱もしくは常温により乾燥させて用いるものであることを特徴とする。
Figure 2016037559
(上記式(1)中、Rは、ヒドロキシ基以外の置換基によって置換されていてもよいアルキル基を表す。また、上記式(1)において、Rを除いた炭素数の合計は4または5である。Rは、置換もしくは非置換の炭素数1〜4のアルキル基である。nは1以上の整数である。)
適用例1の非水系インクジェットインク組成物によれば、臭気が極めて少なく、局所廃棄装置等が不要であり、環境対応性かつ安全性の高い非水系インクジェットインク組成物とすることができる。
[適用例2]
適用例1の非水系インクジェットインク組成物において、
前記一般式(1)で示される化合物の、標準沸点が195℃以下であり、かつ、20℃における粘度が5mPa・s以下であることができる。
[適用例3]
適用例1の非水系インクジェットインク組成物において、
前記一般式(1)で示される化合物が、ヒドロキシ酪酸エステル、ヒドロキシイソ酪酸エステルおよびヒドロキシ吉草酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の非水系インクジェットインク組成物において、インク組成物中の前記一般式(1)で示される化合物の含有量が5質量%以上50質量%以下であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の非水系インクジェットインク組成物において、さらに、前記溶剤としてラクトン系溶剤およびグライム系溶剤のうち少なくとも1種の溶剤を含むことができる。
適用例5の非水系インクジェットインク組成物によれば、臭気が極めて少ないことに加えて、インクジェット記録用ヘッドのノズルからの吐出安定性が良好で、かつ、光沢性や印刷ムラ等の印字品質が良好となる記録を行うことができる。
[適用例6]
適用例5の非水系インクジェットインク組成物において、
インク組成物中の前記ラクトン系溶剤の含有量が5質量%以上30質量%以下であることができる。
[適用例7]
適用例5または適用例6の非水系インクジェットインク組成物において、
インク組成物中の前記グライム系溶剤の含有量が35質量%以上85質量%以下であることができる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか一例の非水系インクジェットインク組成物において、さらに、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の定着樹脂を含むことができる。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか一例の非水系インクジェットインク組成物において、20℃における粘度が2mPa・s以上15mPa・s以下であることができる。
[適用例10]
適用例1ないし適用例9のいずれか一例の非水系インクジェットインク組成物において、20℃における表面張力が10mN/m以上40mN/m以下であることができる。
[適用例11]
適用例1ないし適用例10のいずれか一例の非水系インクジェットインク組成物において、前記記録媒体が塩化ビニル系樹脂であることができる。
[適用例12]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例11のいずれか一例の非水系インクジェットインク組成物の液滴を吐出して記録媒体上に付着させる付着工程と、
前記記録媒体上に付着させた液滴を加熱もしくは常温により乾燥させる乾燥工程と、
を含むことを特徴とする。
適用例12のインクジェット記録方法によれば、上述の非水系インクジェットインク組成物を用いて記録を行うため、臭気が極めて少なく、局所廃棄装置等が不要となる。かかるインクジェット記録方法は、環境対応性および安全性が高いと言える。
本実施の形態で使用可能なインクジェットプリンターの構成を模式的に示す斜視図。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
本発明における「非水系インクジェットインク組成物」とは、インクジェット記録装置のインクジェット記録用ヘッドのノズルから吐出させることを目的とした、有機溶剤を主溶媒とし、水を主溶媒としないインクのことをいう。好ましくは、インク中の水の含有量が3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましく0.05質量%未満であり、一層好ましくは0.01質量%未満、さらに一層好ましくは0.005質量%未満、最も好ましくは0.001質量%未満であることをいう。あるいは、実質的に水を含有しないインクとしてもよい。「実質的に含有しない」とは、意図的に含有させないことを指す。
1.非水系インクジェットインク組成物
本発明の一実施形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、色材と、溶剤と、を含有し、前記溶剤として、下記一般式(1)で示される化合物を含有し、インク組成物を付着させた記録媒体を加熱もしくは常温により乾燥させて用いるものであることを特徴とする。
Figure 2016037559
(上記式(1)中、Rは、ヒドロキシ基以外の置換基によって置換されていてもよいアルキル基を表す。また、上記式(1)において、Rを除いた炭素数の合計は4または5である。Rは、置換もしくは非置換の炭素数1〜4のアルキル基である。nは1以上の整数である。)
なお、本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、インク組成物を付着させた記録媒体を加熱もしくは常温により乾燥させて印字画像を形成するので、非水系インクジェットインク組成物の中でも放射線照射によって硬化させて印字画像を形成するいわゆる「放射線硬化型インクジェットインク組成物」は含まれない。
以下、本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物に含まれ得る成分について詳細に説明する。
1.1.色材
本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、色材を含有する。色材としては、例えば染料や顔料を用いることができるが、耐候性等の観点から顔料を用いることが好ましい。これらの色材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
このような顔料としては、有機顔料、無機顔料、金属顔料等が挙げられる。有機顔料としては、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等)、多環式顔料(フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等)、染料レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型
レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また、無機顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等が挙げられる。また、金属顔料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、および銅よりなる群から選択される1種または2種以上の合金が挙げられ、腐食等を防止するためにその表面がシリカ等を含む膜で被覆されたものであってもよい。
色材の含有量は、所望に応じて適宜設定でき、特に限定されるものではないが、通常、非水系インクジェットインク組成物の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上10質量%以下である。
また、色材として顔料を使用する場合には、顔料分散剤によって顔料の分散性を向上させることも好ましい。顔料分散剤を使用する場合には、あらかじめ顔料、顔料分散剤、溶剤を所定の割合で混合して分散させた顔料分散液を準備するとよい。顔料分散剤としては、例えばヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500、39000(いずれもLUBRIZOL社製)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192、2091、2095(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。顔料分散剤を使用する場合の含有割合は、含有される顔料に応じて適宜選択することができるが、顔料100質量部に対して、好ましくは5質量部以上200質量部以下、より好ましくは30質量部以上120質量部以下である。
1.2.溶剤
本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、該インク組成物を付着させた記録媒体を加熱もしくは常温により乾燥させて用いることを特徴とする。したがって、本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、(1)記録媒体上に付着させたインク滴が速やかに乾燥すること、(2)溶媒の臭気が低いこと、(3)溶媒の粘度が低いこと、(4)安全性が高いこと、を満たす溶媒を使用することが望ましい。このような観点から、下記の溶媒を選定した。
1.2.1.ヒドロキシカルボン酸エステル
本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、下記一般式(1)で示される化合物を少なくとも含有する。
Figure 2016037559
(上記式(1)中、Rは、ヒドロキシ基以外の置換基によって置換されていてもよいアルキル基を表す。また、上記式(1)において、Rを除いた炭素数の合計は4または5である。Rは、置換もしくは非置換の炭素数1〜4のアルキル基である。nは1以上の整数である。)
上記一般式(1)において、Rは、当該式に示されているヒドロキシ基以外の置換基によってさらに置換されていてもよいアルキル基を表す。上記一般式(1)中のnは1以上の整数であるが、好ましくは1または2、より好ましくは1である。
また、上記一般式(1)において、Rを除いた炭素数の合計は4または5である。したがって、Rがとり得るアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の何れかが挙げられ、プロピル基およびブチル基は直鎖型あるいは分岐型が挙げられる。また、ここでいう置換基としては、カルボニル基、カルボキシル基、メルカプト基、ハロゲン、スルホニル基、アミノ基、アルコキシ基などが挙げられる。中でも、低臭気、高光沢、印字品質などが一層優れる点で、炭素数3または4のアルキル基が好ましく、また、ヒドロキシ基以外の置換基によって置換されていないアルキル基が好ましい。
上記一般式(1)において、Rは、置換もしくは非置換の、炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数1〜2のアルキル基であることが好ましい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。また、ここでいう置換基としては、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシル基、メルカプト基、ハロゲン、スルホニル基、アミノ基が挙げられる。
上記一般式(1)で示される化合物の中でも、臭気が極めて少なく、インクジェットインクとしての好ましい粘度および表面張力に調整しやすい点で、ヒドロキシ酪酸エステル、ヒドロキシイソ酪酸エステルおよびヒドロキシ吉草酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
また、上記一般式(1)で示される化合物は、標準沸点が195℃以下(好ましくは125℃以上150℃以下、より好ましくは125℃以上140℃以下)であり、かつ、20℃における粘度が5mPa・s以下であることが好ましい。標準沸点が195℃以下であることで、インクの臭気を低減できる。また、20℃における粘度が5mPa・s以下であることで、インクの粘度が高くなることを防げるため、インクジェット記録用ヘッドのノズルからの吐出安定性が良好となる。
上記一般式(1)で示される化合物の具体例としては、3−ヒドロキシ酪酸メチル、3−ヒドロキシ酪酸エチル[170℃]、2−ヒドロキシ酪酸メチル、2−ヒドロキシ酪酸エチル[167℃]、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル[137℃]、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、2−ヒドロキシ吉草酸メチル、2−ヒドロキシ吉草酸エチル[190℃]、(S)−3−ヒドロキシ吉草酸メチル、(S)−3−ヒドロキシ吉草酸エチル等が挙げられる。なお、上記の括弧内の温度は、標準沸点を表す。
上記一般式(1)で示される化合物の含有割合は、非水系インクジェットインク組成物の全質量(100質量%)に対して、好ましくは5質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上45質量%以下、特に好ましくは15質量%以上40質量%以下である。上記一般式(1)で示される化合物の含有割合が前記範囲にあると、インクの臭気を低減できると共に、インクの粘度および表面張力が適正な値となりやすく、インクジェット記録用ヘッドのノズルからの吐出安定性が良好となりやすい。
1.2.2.グライム系溶剤
本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、グライム系溶剤を含有することが好ましい。グライム系溶剤は、標準沸点がやや高めではあるが、適度な樹脂溶解性を有しており、インクジェット用インクに適した粘度であり、記録媒体に対する濡れ性や乾燥性を制御することで、印刷ムラ等を低減して印字品質を高めることができる。また、
グライム系溶剤は、低臭気であるという性質を有する。
グライム系溶剤としては、例えばアルキレングリコールモノエーテルや、アルキレングリコールジエーテル等が挙げられる。グライム系溶剤は、1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
上記のグライム系溶剤の中でも、低臭気および印刷ムラの低減という点から、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等を用いることが好ましい。
グライム系溶剤を含有する場合には、その含有割合は、非水系インクジェットインク組成物の全質量(100質量%)に対して、35質量%以上85質量%以下であることが好ましく、40質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。グライム系溶剤の含有割合が35質量%以上であることで、インク滴の濡れ拡がり性が向上して、画像の平滑性を向上できる場合がある。また、グライム系溶剤の含有割合が85質量%以下であることで、乾燥性が向上して、過剰な濡れ拡がりによる印刷ムラ等を低減できる場合がある。
1.2.3.ラクトン系溶剤
本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、ラクトン系溶剤を含有することが好ましい。ラクトン系溶剤は、記録面(好ましくは塩化ビニル系樹脂を含む記録面)の一部を溶解して記録媒体の内部にインクを浸透・乾燥させて、記録媒体に対するインクの密着性を高めることができ、ひいては印字物の耐擦性が向上する。
本発明において「ラクトン系溶剤」とは、環内にエステル基(−CO−O−)を有する環状化合物の総称をいう。ラクトン系溶剤としては、上記定義に含まれるものであれば特
に制限されないが、炭素数2以上9以下のラクトンであることが好ましい。このようなラクトンの具体例としては、α−エチルラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナンチオラクトン、η−カプリロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−ノナラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、2−ブチル−2−エチルプロピオラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン等が挙げられるが、これらの中でもγ−ブチロラクトンが特に好ましい。上記例示したラクトンは、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
ラクトン系溶剤を含有する場合には、その含有割合は、非水系インクジェットインク組成物の全質量(100質量%)に対して、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。ラクトン系溶剤の含有割合が5質量%以上であることで、インク滴の濡れ拡がり性が向上して、印字物の耐擦性が一層向上する傾向にある。また、ラクトン系溶剤の含有割合が40質量%以下であることで、印字物の光沢性が向上する傾向にある。
1.3.定着樹脂
本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、定着樹脂を含有することが好ましい。定着樹脂は、皮膜を形成して印字物を保護する機能や、光沢感や塗膜の密着性などの印字物の品質を向上させる機能などを有する。
定着樹脂としては、例えば(メタ)アクリル系樹脂(ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレンアルキル(メタ)アクリレート樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂など)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂など)、ポリエステル系樹脂(脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステルなど)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、エチルセルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン系樹脂、石油樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリオレフィン、テルペン系樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、NBR・SBR・MBR等の各種合成ゴム、およびそれらの変性体等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、上記の定着樹脂の中でも、印字物の耐擦性を向上させつつ、光沢性を向上できるという観点から、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
ポリエステル系樹脂は、ポリオールと多価カルボン酸とを重縮合させて得られるポリマーである。ポリエステル系樹脂を含む樹脂エマルジョンには、市販品を用いてもよく、例えば、エリーテル KA−5034、KA−5071S、KZA−1734、KZA−6034、KZA−3556(以上全て商品名、ユニチカ株式会社製)、TP290、TP249、TP219(以上全て商品名、日本合成化学工業株式会社)等が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂とは、従来公知のモノマー成分から得られるポリマーである。このようなモノマー成分には、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸
エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノn−ブチル、イタコン酸モノn−ブチルなどのカルボキシル基含有モノマーの他、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類、アミド基含有モノマー類、グリシジル基含有モノマー類、シアノ基含有モノマー、水酸基含有アリル化合物、三級アミノ基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマーなどを単独または複数組合せて用いることができる。本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味するものとし、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味するものとする。
上記の(メタ)アクリル系樹脂には、市販品を用いてもよく、例えば、アクリペットMF(商品名、三菱レイヨン社製、アクリル樹脂)、スミペックスLG(商品名、住友化学社製、アクリル樹脂)、パラロイドBシリーズ(商品名、ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)、パラペットG−1000P(商品名、クラレ社製、アクリル樹脂)などが挙げられる。
塩化ビニル系樹脂は、樹脂の合成時に使用したモノマー成分として少なくとも塩化ビニルを含むものであり、塩化ビニルと、他のモノマー(例えば、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル、マレイン酸、ビニルアルコール等)との共重合体を用いることができる。これらの中でも、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重合させて得られる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましい。
上記の塩化ビニル系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、カネビニールHM515、S−400(商品名、株式会社カネカ製)、ソルバインC、C5R(商品名、日信化学株式会社)等が挙げられる。
定着樹脂は、固形状、溶液状、エマルジョン状態としたもの等、いずれのタイプの樹脂を用いてもよい。
定着樹脂を含有する場合には、その含有割合は、非水系インクジェットインク組成物の全質量(100質量%)に対して、固形分濃度で、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。定着樹脂の含有割合を前記範囲内とすることで、印字物の耐擦性が良好となり、またインクの粘度をインクジェット記録に適した範囲に調整すること容易となる。
1.4.その他の成分
本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、必要に応じて、上記以外の有機溶剤(例えば、炭化水素系溶剤、アミド系溶剤、ピロリドン誘導体等)、界面活性剤(フッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレン誘導体、シリコン系界面活性剤等)、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
1.5.非水系インクジェットインク組成物の製造方法
本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
1.6.非水系インクジェットインク組成物の物性
本実施の形態に係る非水系インクジェットインク組成物は、記録品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が10mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、非水系インクジェットインク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましく、2mPa・s以上6mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(アントンパール社製)を用いて、20℃の環境下で、シェアレートを10〜1000に上げていき、シェアレート200/sの粘度を読み取ることにより測定することができる。
2.インクジェット記録方法
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記の非水系インクジェットインク組成物の液滴を吐出して記録媒体上に付着させる付着工程と、前記記録媒体上に付着させた液滴を加熱もしくは常温により乾燥させる乾燥工程と、を含む。本実施の形態に係るインクジェット記録方法によれば、上記の非水系インクジェットインク組成物を用いて記録を行うため、臭気が極めて少なく、局所廃棄装置等が不要となる。また、乾燥工程を備えることで、インクの乾燥性をより一層向上させることができる。かかるインクジェット記録方法は、環境対応性および安全性が高いと言える。
前記付着工程は、30℃以上50℃以下に加熱された記録媒体に対して行われることが好ましい。このように加熱された記録媒体上に上述の非水系インクジェットインク組成物を付着させることにより、付着工程から乾燥工程までの工程をシームレスに行うことができ、インクの乾燥性を一層向上させることで印刷ムラを低減できる。
上述したような工程を備えることができるインクジェット記録装置としては、記録ヘッドの微細なノズルより上述した非水系インクジェットインク組成物を液滴として吐出し、該液滴を記録媒体に付着できる装置であれば特に制限されない。以下、本実施の形態で使用可能なインクジェット記録装置として、記録媒体を加熱することができる機構を有するインクジェットプリンターを例に挙げて説明する。
図1は、本実施の形態で使用可能なインクジェットプリンター(以下、単に「プリンター」という。)の構成を示す斜視図である。図1に示すプリンター1は、いわゆるシリアルプリンターと呼ばれているものである。シリアルプリンターとは、所定の方向に移動するキャリッジに記録ヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴って記録ヘッドが移動することにより記録媒体上に液滴を吐出するプリンターのことをいう。
図1に示すように、プリンター1は、記録ヘッド2を搭載すると共にインクカートリッジ3を着脱可能に装着するキャリッジ4と、記録ヘッド2の下方に配設され記録媒体Pが搬送されるプラテン5と、記録媒体を加熱するための加熱機構6と、キャリッジ4を記録媒体Pの媒体幅方向に移動させるキャリッジ移動機構7と、記録媒体Pを媒体送り方向に搬送する媒体送り機構8と、を有するものである。また、プリンター1は、当該プリンター1全体の動作を制御する制御装置CONTを有している。なお、上記媒体幅方向とは、主走査方向(ヘッド走査方向)である。上記媒体送り方向とは、副走査方向(主走査方向に直交する方向)である。
インクカートリッジ3は、例えば独立した4つのカートリッジからなる。4つのカートリッジのそれぞれに、上述した非水系インクジェットインク組成物や他の非水系インクジェットインク組成物が充填される。なお、図1の例では、カートリッジの数が4つであるが、これに限定されず、所望の数のカートリッジを搭載することができる。
インクカートリッジ3は、図1に示すようなキャリッジ4に装着するものに限らず、これに代えて例えば、プリンター1の筐体側に装着しインク供給チューブを介してヘッド2に供給するタイプのものであってもよい。
キャリッジ4は、主走査方向に架設された支持部材であるガイドロッド9に支持された状態で取り付けられたものである。また、キャリッジ4は、キャリッジ移動機構7によりガイドロッド9に沿って主走査方向に移動するものである。なお、図1の例では、キャリッジ4が主走査方向に移動するものを示したが、これに限定されず、主走査方向の移動に加えて、副走査方向に移動するものであってもよい。
加熱機構6は、記録媒体Pを加熱できる位置に設けられていれば、その設置位置は特に限定されるものではない。図1の例では、加熱機構6は、プラテン5上であって、ヘッド2と対向する位置に設置されている。このように、加熱機構6がヘッド2と対向する位置に設置されていると、記録媒体Pにおける液滴の付着位置を確実に加熱できるので、記録媒体Pに付着した液滴を効率的に乾燥できる。
加熱機構6には、例えば、記録媒体Pを熱源に接触させて加熱するプリントヒーター機構や、赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長をもつ電磁波)などを照射する機構や、温風を吹き付けたりするドライヤー機構などを用いることができる。
加熱機構6による記録媒体Pの加熱は、ノズル孔(図示せず)から吐出された液滴が記録媒体Pに付着する前または付着する時に行われる。このようにすれば、記録媒体Pに付着した液滴を迅速に乾燥できる。なお、加熱の諸条件の制御(例えば、加熱実施のタイミング、加熱温度、加熱時間等)は、制御装置CONTによって行われる。
加熱機構6による記録媒体Pの加熱は、インクの乾燥性の向上、記録媒体の変形防止等の観点から、記録媒体Pが30℃以上50℃以下の温度範囲を保持するように行われることが好ましい。なお、本願発明において記録媒体を加熱する温度とは、加熱時における記録媒体の記録面の表面の温度を意味する。
プリンター1は、加熱機構6の他に、さらに、図示しない第2の加熱機構を有していてもよい。第2の加熱機構は、加熱機構6よりも記録媒体Pの搬送方向の下流側に設置される。第2の加熱機構は、加熱機構6によって記録媒体Pを加熱した後、つまり、ノズル孔(図示せず)から吐出された液滴が記録媒体Pに付着した後に、当該記録媒体Pの加熱を行うものである。これにより、記録媒体Pに付着したインク組成物の液滴の乾燥性をより一層向上できる。第2の加熱機構には、加熱機構6で説明したいずれかの機構(例えば、ドライヤー機構等)を用いることができる。
第2の加熱機構による記録媒体Pの加熱は、上記加熱機構6と同様の理由により、記録媒体Pが30℃以上50℃以下の温度範囲を保持するように行われることが好ましい。
リニアエンコーダ10は、キャリッジ4の主走査方向上における位置を信号で検出するものである。この検出された信号は、位置情報として制御装置CONTに送信されるようになっている。制御装置CONTは、このリニアエンコーダ10からの位置情報に基づい
て記録ヘッド2の走査位置を認識し、記録ヘッド2による記録動作(吐出動作)などを制御するようになっている。また、制御装置CONTは、キャリッジ4の移動速度を可変制御可能な構成となっている。
記録媒体Pとしては、いかなるものであってもよいが、例えば、紙(普通紙、インクジェット用専用紙、アートコート紙等)や低吸収性記録媒体を好適に用いることができる。ここで「低吸収性記録媒体」とは、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体のことをいい、少なくとも記録面がこの性質を備えていればよい。この定義によれば、本発明における「低吸収性記録媒体」には、水を全く吸収しない非吸収性記録媒体も含まれる。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
低吸収性記録媒体の具体例としては、低吸収性の材料を含むシート、フィルム、繊維製品等が挙げられる。また、低吸収性記録媒体は、基材(例えば、紙、繊維、皮革、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属等)の表面に、低吸収性の材料を含む層(以下、「低吸収性層」ともいう)を備えたものであってもよい。低吸収性の材料としては、特に限定されないが、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
本実施の形態では、これらの中でも低吸収性記録媒体を好適に用いることができ、塩化ビニル系樹脂を記録面に有する記録媒体をより好適に用いることができる。上述の非水系インクジェットインク組成物は、塩化ビニル系樹脂に対する濡れ広がり性が良好であり、インクの乾燥性にも優れているため、光沢性や印刷ムラ等の印字品質において良好なものとなりやすい。また、上述の非水系インクジェットインク組成物がラクトン系溶剤を含有する場合には、ラクトン系溶剤が塩化ビニル系樹脂を溶解することで記録媒体の内部にインクを浸透させることができる。これにより、記録面に記録した印字物の耐擦性を一層向上させることができる。塩化ビニル系樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルエーテル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体等が挙げられる。なお、低吸収性記録媒体の厚み、形状、色、軟化温度、硬さ等の諸特性については特に制限されない。
3.実施例
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.非水系インクジェットインク組成物の調製
容器に、表1に記載の溶剤を表1に記載の割合で添加して混合することにより、それぞれのインクごとに混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の一部を取り分けて、顔料および顔料分散剤を所定量添加して、ホモジナイザーを用いて予備分散した後に、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルにて分散処理を行うことにより顔料分散液を得た。そして、さらに混合溶剤の一部を取り分けて、そこに定着樹脂を加えて攪拌して、完全に溶解させた樹脂溶液を得た。上記の顔料分散液に、混合溶剤の残部および上記の樹脂溶液を混ぜ入れて、1時間攪拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、各実施例および各比較例に係る非水系インクジェットインク組成物
を得た。
なお、表1中で使用した成分は、下記の通りである。また、表1中の実施例および比較例中の各成分に該当する数字は「質量%」を表す。
・γ−ブチロラクトン(商品名、関東化学株式会社製、溶剤)
・ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(商品名「ハイソルブBDM」、東邦化学工業株式会社製、溶剤)
・2−ヒドロキシイソ酪酸メチル(商品名「HBM」、三菱ガス化学株式会社製、溶剤)・3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート(商品名「ソルフィットAC」、株式会社クラレ製、溶剤)
・3−メトキシブチルアセテート(商品名「メトアセテート」、販売元:株式会社ゴードー、溶剤)
・乳酸エチル(商品名、東邦化学工業株式会社製、溶剤)
・3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(商品名「ソルフィット」、株式会社クラレ製、溶剤)
・ソルバインCNL(商品名、日信化学工業株式会社製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、定着樹脂)
・PB15:3(C.I.ピグメントブルー15:3、シアン顔料)
・SS39000(商品名「Solsperse39000」、日本ルーブリゾール社製、顔料分散剤)
3.2.評価方法
3.2.1.物性評価
<粘度の測定>
上記で得られた各非水系インクジェットインク組成物につき、粘弾性試験機MCR−300(アントンパール社製)を用いて、20℃の環境下で、シェアレートを10〜1000に上げていき、シェアレート200/sでのインクの粘度を測定した。インクの粘度の評価基準は、以下の通りである。
◎:4mPa・s以上5mPa・s未満
○:5mPa・s以上6mPa・s未満
△:6mPa・s以上8mPa・s未満
×:8mPa・s以上
<臭気の評価>
上記で得られた各非水系インクジェットインク組成物をスクリュー管ビンに少量とりわけ、その臭気を官能評価により評価した。臭気の評価基準は、以下の通りである。
○:わずかに臭う、あるいは臭わない。
△:不快な程度ではないが臭う。
×:不快な程度に臭う。
3.2.2.印字品質の評価
<光沢性の評価>
セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンター「SC−S30650」を用いて、各インクを光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社製、型番SV−G−1270G)上に、記録解像度720×720dpi、100%濃度でベタ印刷をした後、常温にて1日乾燥させて印刷サンプルを得た。その後、ベタ印刷部の20°光沢をMULTI GLOSS 268(コニカミノルタ株式会社製)にて測定した。光沢性の評価基準は、以下の通りである。
○:28以上
△:26以上28未満
×:26未満
<印刷ムラの評価>
セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンター「SC−S30650」を用いて、各インクを塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51)上に、記録解像度720×720dpi、100%濃度でベタ印刷をした後、常温にて60分間乾燥させて印刷サンプルを得た。その後、印刷サンプルのベタ印刷部につき、目視および光学顕微鏡を用いて印刷ムラの状態を観察した。印刷ムラの評価基準は、以下の通りである。
○:ムラがない。
△:ムラが軽微である。
×:ムラが目立つ。
3.3.評価結果
各非水系インクジェットインク組成物の組成および評価結果を下表1に示す。
Figure 2016037559
表1の評価結果によれば、溶剤として一般式(1)で示される化合物を含有する非水系インクジェットインク組成物(実施例1〜6)は、臭気が極めて少なく、局所廃棄装置等が不要であることが判明した。また、溶剤として一般式(1)で示される化合物に加えて
、ラクトン系溶剤およびグライム系溶剤をさらに含有する非水系インクジェットインク組成物(実施例1〜3)は、臭気が極めて少ないことに加えて、光沢性や印刷ムラ等の印字品質が良好となることが判明した。
一方、溶剤として一般式(1)で示される化合物を含有しない比較例に係る非水系インクジェットインク組成物は、いずれも臭気が認められ、局所廃棄装置等の設備が必要であることが判明した。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…プリンター、2…記録ヘッド、3…インクカートリッジ、4…キャリッジ、5…プラテン、6…加熱機構、7…キャリッジ移動機構、8…媒体送り機構、9…ガイドロット、10…リニアエンコーダ、P…記録媒体

Claims (12)

  1. 色材と、溶剤と、を含有する非水系インクジェットインク組成物であって、
    前記溶剤として、下記一般式(1)で示される化合物を含有し、
    インク組成物を付着させた記録媒体を加熱もしくは常温により乾燥させて用いるものである、非水系インクジェットインク組成物。
    Figure 2016037559
    (上記式(1)中、Rは、ヒドロキシ基以外の置換基によって置換されていてもよいアルキル基を表す。また、上記式(1)において、Rを除いた炭素数の合計は4または5である。Rは、置換もしくは非置換の炭素数1〜4のアルキル基である。nは1以上の整数である。)
  2. 前記一般式(1)で示される化合物の、標準沸点が195℃以下であり、かつ、20℃における粘度が5mPa・s以下である、請求項1に記載の非水系インクジェットインク組成物。
  3. 前記一般式(1)で示される化合物が、ヒドロキシ酪酸エステル、ヒドロキシイソ酪酸エステルおよびヒドロキシ吉草酸エステルよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の非水系インクジェットインク組成物。
  4. インク組成物中の前記一般式(1)で示される化合物の含有量が5質量%以上50質量%以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の非水系インクジェットインク組成物。
  5. さらに、前記溶剤としてラクトン系溶剤およびグライム系溶剤のうち少なくとも1種の溶剤を含む、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の非水系インクジェットインク組成物。
  6. インク組成物中の前記ラクトン系溶剤の含有量が5質量%以上30質量%以下である、請求項5に記載の非水系インクジェットインク組成物。
  7. インク組成物中の前記グライム系溶剤の含有量が35質量%以上85質量%以下である、請求項5または請求項6に記載の非水系インクジェットインク組成物。
  8. さらに、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の定着樹脂を含む、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の非水系インクジェットインク組成物。
  9. 20℃における粘度が2mPa・s以上15mPa・s以下である、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の非水系インクジェットインク組成物。
  10. 20℃における表面張力が10mN/m以上40mN/m以下である、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の非水系インクジェットインク組成物。
  11. 前記記録媒体が塩化ビニル系樹脂である、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に
    記載の非水系インクジェットインク組成物。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の非水系インクジェットインク組成物の液滴を吐出して記録媒体上に付着させる付着工程と、
    前記記録媒体上に付着させた液滴を加熱もしくは常温により乾燥させる乾燥工程と、
    を含む、インクジェット記録方法。
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