JP2014185206A - インクジェット記録用インク組成物 - Google Patents

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淳 伊東
Akihito Sao
亮人 棹
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Abstract

【課題】記録される画像の耐擦性を確保しつつ、乾燥性に優れ、かつ、凝集ムラの発生が抑制されたインクジェット記録用インク組成物を提供すること。
【解決手段】本発明に係るインク組成物は、色材と、下記式Iで表される化合物と、定着樹脂と、を含有する。
【化1】
Figure 2014185206

(式I中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Rは、炭素数6以上10以下のアルキル基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インク組成物に関する。
従来から、記録ヘッドのノズル孔からインク組成物の微小な液滴を吐出させ記録媒体に付着させて、画像や文字を記録するインクジェット記録装置が知られている。係る記録に用いるインク組成物として、例えば、色材、界面活性剤、水、有機溶剤等の種々の成分を含むインクジェット記録用インク組成物が知られている。係るインクジェット記録用インク組成物の中でも、実質的に水を含まない油性(非水系)のインク組成物の開発も行われている。
このような非水系のインク組成物として、特許文献1には、顔料、ポリウレタン樹脂および揮発性有機溶剤を含有するインクジェット記録用インク組成物が開示されており、当該インク組成物によれば、記録媒体に対する密着性に優れる旨が記載されている。
また、特許文献2には、着色剤、スチレン−アクリル系樹脂およびセルロース誘導体を含有するインクジェット記録用インク組成物が開示されており、当該インク組成物によれば、吐出安定性および間欠吐出性に優れる旨が記載されている。
また、特許文献3には、顔料、ポリエステル樹脂、アルキレングリコール系溶剤を含有するインクジェット記録用インク組成物が開示されており、当該インク組成物によれば、耐水性や耐候性に優れる旨が記載されている。
特開2000−327961号公報 特許第5020930号公報 特開平10−77432号公報
しかしながら、引用文献1ないし引用文献3に記載のインクジェット記録用のインク組成物を用いると、これに含まれる有機溶剤の性質に起因して、記録される画像の乾燥性が低下したり、凝集ムラが発生したりする場合がある。
一方、上記のような非インク組成物に含まれる各成分の効果は、単独で使用すれば発現するものであっても、各成分を組み合わせることで低下してしまう場合がある。具体的には、インク組成物に含まれる樹脂および有機溶剤の組み合わせによっては、樹脂の耐擦性を向上させる機能が十分に発揮できなくなってしまう場合がある。同様に、仮に乾燥性を向上させつつ、凝集ムラの発生を抑制できる性質を備えた有機溶剤を選定できたとしても、有機溶剤と樹脂との組み合わせによっては、有機溶剤の乾燥性および凝集ムラの抑制という効果が十分に発揮されない場合がある。
本発明の幾つかの態様に係る目的の1つは、記録される画像の耐擦性を確保しつつ、乾燥性に優れ、かつ、凝集ムラの発生が抑制されたインクジェット記録用インク組成物を提供することにある。
本発明は、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録用インク組成物の一態様は、
色材と、下記式Iで表される化合物と、定着樹脂と、を含有する。
Figure 2014185206
(式I中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Rは、炭素数6以上10以下のアルキル基を表す。)
[適用例2]
適用例1において、
前記式Iで表される化合物の含有量は、5質量%以上30質量%以下であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記定着樹脂が、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含むことができる。
[適用例4]
適用例3において、
前記塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体において、塩化ビニルモノマーの重量分率(M1)と、酢酸ビニルモノマーの重量分率(M2)との比(M1:M2)が、75:25〜95:5の範囲内にあることができる。
[適用例5]
適用例3または適用例4において、
前記塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の含有量は、1質量%以上5質量%以下であることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
さらに、環状エステルを含有することができる。
[適用例7]
適用例6において、
前記環状エステルは、5員環または6員環であることができる。
[適用例8]
適用例6または適用例7において、
前記環状エステルの含有量は、5質量%以上50質量%以下であることができる。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか1例において、
非水系インク組成物であることができる。
[適用例10]
適用例1ないし適用例9のいずれか1例において、
ポリ塩化ビニルを含む記録媒体に対する記録に用いることができる。
[適用例11]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例10のいずれか1例に記載のインク組成物を、インクジェット記録装置を用いて、記録媒体に付着させて記録を行う。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本発明において「画像」とは、ドット群から形成される印字パターンを示し、テキスト印字、ベタ印字も含める。
本明細書において、「凝集ムラ」とは、単色又は混色で印刷した際に発生する、局所的な同系色の濃度斑のことを意味し、記録媒体の表面がインク組成物によって被覆されない部分が残存することを意味するものではない。
1.インクジェット記録用インク組成物
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録用インク組成物は、色材と、下記式Iで表される化合物と、定着樹脂と、を含有することを特徴とする。以下、本実施形態に係るインクジェット記録用インク組成物(以下、「インク組成物」ともいう。)に含まれる各成分について詳細に説明する。
1.1.色材
本実施形態に係るインク組成物は、色材を含有する。係る色材としては、従来公知の染料、顔料などを用いることができる。耐光性の点から顔料が好ましく、顔料としては有機あるいは無機顔料を用いることができる。本実施形態のインク組成物に含有される顔料は、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、並びにカーボンブラック等の無機顔料からなる群より選択する少なくとも1種が挙げられる。
本実施形態のインク組成物における色材の含有量については、特に制限はないが、インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.01質量%以上25質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以上15質量%以下、特に好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
本実施形態に係るインク組成物には、顔料の分散安定性を向上させる観点から、通常のインク組成物において用いられる任意の分散剤を用いることができる。このような分散剤の具体例としては、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLUBRIZOL社製)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。
本実施形態に係るインク組成物において、前記分散剤を使用する場合の含有量は、含有される顔料に応じて適宜選択することができるが、インク組成物中の顔料の含有量100質量部に対して、好ましくは5質量部以上200質量部以下、より好ましくは30質量部以上120質量部以下である。染料を用いる場合、油溶性染料が好ましい。本実施形態に係るインク組成物は、色材を含まないクリアインクとしてもよい。
1.2.式Iで表される化合物
本実施形態のインク組成物は、下記式Iで表される化合物を含む。
Figure 2014185206
上記式I中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Rは、炭素数6以上10以下のアルキル基を表す。ここで、「炭素数1以上4以下のアルキル基」は、直鎖状または分岐状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などである。「炭素数6以上10以下のアルキル基」は、直鎖状または分岐状のアルキル基であって、例えば、分岐を有さないn−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、並びに、分岐を有するヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基などである。上記式Iで表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
上記式Iの化合物は、R、RおよびRが、いずれもアルキル基であるため、例えばエーテル基、水酸基、カルボキシル基等の極性基を有さない。そのため、大気等の環境中の水分との親和性が小さく、吸湿性をほとんど有さない。これにより、水等の比較的揮発点または沸点の高い物質をインク組成物中に溶解させにくいため、結果として、インク組成物の乾燥性を向上させることができる。なお、これに対して、例えば、Rがエーテル結合を有する化合物である場合には、その化合物自体の乾燥性が高かったとしても、大気等から水分をインク組成物中に取り込みやすいため、結果としてインク組成物の十分な乾燥性を確保することができない。
また、上記式I中、Rは、炭素数1のメチル基であることが好ましい。上記式Iにおいて、Rがメチル基である化合物の標準沸点は、Rの炭素数が2以上4以下のアルキル基である化合物の標準沸点と比較して低い。そのため、上記式Iにおいて、Rがメチル基である化合物を用いると記録される画像の乾燥性を一層向上できる場合がある。
式Iで表される化合物の具体例としては、N,N−ジメチルオクタンアミド(例えば、商品名:Rhodiasolv ADMA 810、RHODIA社製(N,N−ジメチルドデカンアミドとの混合物))、N,N−ジメチルデカンアミド(例えば、商品名:Rhodiasolv ADMA 10、RHODIA社製)等が挙げられる。
インク組成物における式Iで表される化合物の含有量は、インク組成物の全質量に対して、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。上記式Iで表される化合物の含有量が上記範囲にあることで、画像の乾燥性および耐擦性を一層向上できる。特に、式Iで表される化合物の含有量を30質量%以下とすることで、インク組成物中における塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(後述)の溶解性を向上させつつ、画像の発色性(光沢性)を向上させることができる。
また、式Iで表される化合物は、ポリ塩化ビニルに対する親和性も良好である。そのため、本実施形態のインク組成物は、ポリ塩化ビニルを含有する記録媒体に付着された場合に、記録媒体の内部に浸透し易い。これにより、インク組成物の定着が促進され、かつ、上述の通り乾燥性にも優れたものとなる。
1.3.定着樹脂
本実施形態のインク組成物は、定着樹脂を含有する。定着樹脂は、記録媒体に付着したインク組成物の定着性を向上させて、画像の耐擦性を向上させる機能を有する。
インク組成物に含有させうる定着樹脂としては、例えば、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、エチルセルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、スチレン−(メタ)アクリル共重合樹脂、ビニルトルエン−瘁|メチルスチレン共重合体樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン系樹脂、石油樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリオレフィン、エチレンアルキル(メタ)アクリレート樹脂、テルペン系樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、NBR・SBR・MBR等の各種合成ゴム、およびそれらの変性体等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。これらの定着用樹脂は、例えば、インク組成物の記録媒体上における定着性を付与するために配合することができる。
定着用樹脂の具体例としては、アクリペットMF(商品名、三菱レイヨン社製、アクリル樹脂)、スミペックスLG(商品名、住友化学社製、アクリル樹脂)、パラロイドBシリーズ(商品名、ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)、パラペットG−1000P(商品名、クラレ社製、アクリル樹脂)などが挙げられる。定着用樹脂のうち、中でも、(メタ)アクリル系樹脂、塩ビ系樹脂が耐擦性の点で好ましい。(メタ)アクリル系樹脂は樹脂の合成時に使用したモノマー成分として少なくとも(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸の何れかを含むものであり、塩ビ系樹脂は樹脂の合成時に使用したモノマー成分として少なくとも塩化ビニルを含むものである。
なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味するものとし、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味するものとする。
定着樹脂の含有量は、1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上4質量%以下であることがより好ましい。
さらに、詳細な理由は未だ明らかになっていないが、発明者は、定着樹脂のうちでも塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体と、上述した式Iで表される化合物と、を組み合わせて用いることで、これらの化合物の相乗効果により、特に、耐擦性を良好に保ちつつ、乾燥性に優れ、かつ凝集ムラの発生が一層抑制された画像が得られることを見出した。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体は、公知の製造方法によって得ることができ、その具体例としては、VYNS−3、VYHH、VYHD、VMCH、VMCC、VMCA、VERR−40、VAGH、VAGD、VAGF、VROH(以上すべて商品名、ダウケミカルズ社製)や、SOLBIN C、CL、CH、CN、CNL、C5R、TA2、A、AL、TA5R、TAO、TAOL(以上すべて商品名、日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。
前記塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体としては、塩化ビニルモノマーの重量分率(M1)と、酢酸ビニルモノマーの重量分率(M2)との比(M1:M2)が、75:25〜95:5の範囲内にあるものを用いることが好ましく、79:21〜90:10の範囲内にあるものを用いることがより好ましい。上記比(M1:M2)が上記範囲内にあることで、インク組成物に対する塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の溶解性が向上することに加えて、記録される画像の耐擦性および耐水性が向上する。特に、塩化ビニルモノマーの重量分率(M1)が上記範囲を下回らずにあることで(すなわち、酢酸ビニルモノマーの重量分率(M2)が上記範囲を超えずにあることで)、耐水性および耐擦性を良好に保つことができる。また、塩化ビニルモノマーの重量分率(M1)が上記範囲を超えずにあることで(すなわち、酢酸ビニルモノマーの重量分率(M2)が上記範囲を下回らずにあることで)、インク組成物の調製時における塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の溶解性を向上しつつ、記録される画像の耐擦性も良好となる。
前記塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の含有量は、1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、1質量%以上4質量%以下であることがより好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の含有量が上記範囲内にあることで、インク組成物の調製時における塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の溶解性を向上しつつ、記録される画像の耐擦性も良好になる。さらには、上記化合物Iとの相乗効果が一層顕著になって、凝集ムラの発生および乾燥性の低下を一層抑制できる。また、含有量を4質量%以下とすることで、インク組成物の粘度を適正に保ちつつ、吐出安定性を向上させることができ、さらには記録される画像の発色性(光沢性)も向上できる。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、65℃以上85℃以下であることが好ましい。Tgが上記範囲内にあることで、インク組成物の調製時における塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の溶解性が向上しつつ、記録される画像の耐擦性および発色性(光沢性)が向上する傾向にある。
塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の数平均分子量は、1万以上4万以下であることが好ましい。Tgが上記範囲内にあることで、インク組成物の調製時における溶解性が向上し、記録される画像の耐擦性および発色性(光沢性)が向上する傾向にある。塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定したポリエチレングリコール換算によって得ることができる。
1.4.その他の成分
1.4.1.環状エステル
本実施形態のインク組成物は、環状エステルを含有することが好ましい。環状エステルとは、ヒドロキシル基とカルボキシル基とを有する1つの分子において、当該分子内で、該ヒドロキシル基と該カルボキシル基とが脱水縮合した構造を有する化合物である。環状エステルは、炭素原子を2個以上、酸素原子を1個含む複素環を有し、当該複素環を形成する酸素原子に隣接してカルボニル基が配置された構造を有し、ラクトンと総称される化合物である。
環状エステルのうち、単純な構造を有するものとしては、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、およびε−カプロラクトンなどを例示することができる。なお、環状エステルの複素環の環員数には特に制限が無く、さらに、例えば、複素環の環員には任意の側鎖が結合していてもよい。環状エステルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本実施形態のインク組成物によって形成される画像の耐擦性をより高める観点からは、上記例示した環状エステルのうち、3員環以上7員環以下の環状エステルが好ましく、5員環または6員環の環状エステルを用いることがより好ましく、いずれの場合でも側鎖を有さないことがより好ましい。このような環状エステルの具体例としては、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、およびγ−バレロラクトンが挙げられる。またこのような環状エステルは、特に、ポリ塩化ビニルとの親和性が高いので、ポリ塩化ビニルが含有される記録媒体に付着された場合に、耐擦性を高める効果を極めて顕著に得ることができる。
本実施形態のインク組成物全量に対する環状エステルの合計の含有量は、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。環状エステルの含有量が上記範囲にあることで、画像の耐擦性を良好に確保することができる。
本実施形態のインク組成物は、上記環状エステル、上述の式Iで表される化合物、および上述の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体と、を含有することで、これらの化合物の相乗的な作用によって、記録される画像の耐擦性を維持しつつ、乾燥性の向上および凝集ムラの発生を抑制するという効果を極めて顕著に得ることができる。
1.4.2.水
本実施形態のインク組成物は、有機溶剤を主溶媒とし水を主溶媒としない非水系インクであることが好ましい。例えばインク組成物中の水の含有量が5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。また、0.05質量%未満であること、一層好ましくは0.01質量%未満、さらに好ましくは0.005質量%未満、最も好ましくは0.001質量%未満であることが一層好ましい。あるいは、実質的に水を含有しないことが好ましい。「実質的に含有しない」とは、意図的に含有させないことを指す。
1.4.3.界面活性剤
本実施形態のインク組成物は、表面張力を低下させ記録媒体上での濡れ拡がり性を向上させる観点から、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、例えば、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体等が挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−315、331、347、348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)等が挙げられる。
また、ポリオキシエチレン誘導体としては、アセチレングリコール系界面活性剤を用いることが好ましい。具体例としては、サーフィノール82、104、465、485、TG(いずれもエアープロダクツジャパン社製)、オルフィンSTG、E1010(いずれも日信化学株式会社製)、ニッサンノニオンA−10R、A−13R(いずれも日油株式会社製)、フローレンTG−740W、D−90(共栄社化学株式会社製)、ノイゲンCX−100(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
1.4.4.有機溶剤
本実施形態に係るインク組成物は、有機溶剤として、アルキレングリコール化合物や、その他の有機溶剤を含有してもよい。
アルキレングリコール化合物は、記録媒体に対してインク組成物を定着させる作用を期待して配合してもよい。アルキレングリコール化合物としては、国際公開第2002/055619パンフレットに記載されているような、エチレングリコール化合物またはプロピレングリコール化合物であることが好ましい。
本実施形態に係るインク組成物にアルキレングリコール化合物を含有させる場合、その種類は適宜選択することができ、その含有量は、インク組成物の全質量に対して、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
アルキレングリコール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、またはポリエチレングリコールのモノエーテル若しくはジエーテルが挙げられ、好ましくはジエチレングリコールのジエーテルである。また、好ましいプロピレングリコール化合物としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、またはポリプロピレングリコールのモノエーテル若しくはジエーテルが挙げられ、好ましくはジプロピレングリコールのジエーテルである。
好ましいアルキレングリコール化合物の具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。本実施形態のインク組成物には、例示の有機溶剤を単独または混合して使用することができる。
また、本実施形態に係るインク組成物は、前記例示したアルキレングリコール化合物以外の他の有機溶剤を含有してもよい。その他の有機溶剤としては、例えば、アルコール類(例えば、エチルアルコール、1−プロパノール、フッ化アルコール等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等)等が挙げられる。
1.4.5.その他
本実施形態のインク組成物は、上記の成分の他にも、他の色材、(多価)アルコール類、アミン類、各種の塩類、分散剤、重合性化合物、他の界面活性剤、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
1.5.調製方法
本実施形態に係るインク組成物は、公知の慣用方法によって製造することができる。例えば、色材として顔料を用いる場合には、最初に、顔料、分散剤、および有機溶剤(一部分)を混合した後、ボールミル、ビーズミル、超音波、またはジェットミル等で顔料分散液を調製し、所望のインク特性を有するように調整する。続いて、有機溶剤(残量)、およびその他の添加剤(例えば、界面活性剤や樹脂)を撹拌下に加えてインク組成物を得ることができる。
1.6.物性
本実施形態に係るインク組成物は、記録品質とインクジェット記録用インク組成物としての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係るインク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
2.インクジェット記録方法
本実施形態のインクジェット記録方法では、上述のインク組成物を、インクジェット記録装置を用いて、ポリ塩化ビニルを含有する記録媒体に付着させて記録を行う。なお、本実施形態のインクジェット記録方法では、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の樹脂を含有する記録媒体を使用してもよい。
2.1.インクジェット記録装置
本実施形態のインクジェット記録方法は、インクジェット記録装置を用いて行われる。
インクジェット記録装置は、少なくとも記録ヘッドを備え、インク組成物を記録ヘッドから吐出して記録媒体に付着させることができる。インクジェット記録装置は、シリアル型のインクジェット記録装置およびライン型のインクジェット記録装置のいずれでも使用することができる。いずれの型のインクジェット記録装置であっても、記録ヘッドが搭載されており、媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させながら、記録ヘッドのノズル孔からインク組成物の液滴を所定のタイミングでかつ所定の体積(質量)で吐出させ、記録媒体の記録面にインク組成物を付着させて所定の画像を形成することができる。
インクジェット記録装置の方式としては、インク組成物を記録ヘッドのノズル孔より液滴として吐出して該液滴を媒体に付着させることができれば、特に制限されない。例えば、インクジェット記録の方式としては、静電吸引方式、ポンプ圧力によりインク滴を噴射させる方式、圧電素子を用いる方式、インク液を微小電極で加熱発泡させインク滴を噴射させる方式、などを挙げることができる。
本実施形態のインクジェット記録方法に使用するインクジェット記録装置は、インク組成物の乾燥をより短時間で行う観点から、加熱機構を備えてもよい。加熱機構としては、インク組成物が記録媒体に付着される前に記録媒体を加熱する態様、インク組成物が記録媒体に付着される際に記録媒体および/またはインク組成物を加熱する態様、並びに、インク組成物が記録媒体に付着された後に記録媒体および/またはインク組成物を加熱する態様の少なくとも1種を採用することができる。
このような加熱機構の具体例としては、記録媒体を搬送するローラーや、記録ヘッドに対向して記録媒体を支持するプラテンを加熱するヒーターを挙げることができる。また、記録媒体上の水性インク組成物に温風を吹きつける方法や、輻射加熱、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いてもよい。
さらに、インク組成物が記録媒体に付着される前後において、より精密に加熱することのできる態様としてもよい。例えば、記録媒体が搬送され、インク組成物が記録媒体に付着される前に、加熱されたローラーによって記録媒体を所定の温度に加熱(以下、プレヒートということがある。)し、インク組成物が記録媒体に付着される際に、加熱されたプラテンによって記録媒体およびインク組成物を所定の温度に加熱(以下、プラテンヒートということがある。)し、さらに、インク組成物が記録媒体に付着された後に、記録媒体が搬送する加熱されたローラーによって記録媒体を所定の温度に加熱(以下、アフターヒートということがある。)してもよい。
なお、インクジェット記録装置に加熱機構を採用する場合、インク組成物の乾燥をより短時間で行うことができ、加熱される記録媒体またはインク組成物の温度が、30℃以上となるように加熱されればその効果を得ることができる。しかし、本実施形態のインクジェット記録方法では、記録媒体がポリ塩化ビニルを含むので、記録媒体の変形や変質を抑えることを考慮して、加熱される記録媒体またはインク組成物の温度は、30℃以上60℃以下、より好ましくは35℃以上55℃以下、さらに好ましくは40℃以上50℃以下である。なお、このような温度範囲の制限があっても、本実施形態のインクジェット記録方法は、上述のインク組成物を用いるので、耐擦性・乾燥性に優れ、かつ凝集ムラの発生が抑制された画像を記録できることに加えて、インク組成物の乾燥をより短時間で行うことができるという効果を発揮することができる。
本実施形態のインクジェット記録方法を行う際の環境条件としては、特に限定されない。しかし、上述の通り、本実施形態のインクジェット記録方法は、上記のインク組成物を用いるため、特に、環境の相対湿度が50%RH以上、より好ましくは60%RH以上である場合に、際だって優れた効果を奏することができる。すなわち、インクジェット記録装置が、相対湿度が50%RH以上である環境に設置されると、通常は記録媒体に付着されたインク組成物の乾燥の速度は低下することになるが、本実施形態で使用する上述のインク組成物であれば、そのような環境であっても十分な乾燥性を確保することができる。さらに換言すると、本実施形態のインクジェット記録方法の上述した乾燥性に係る効果は、環境の相対湿度が50%RH以上である場合に特に顕著に現れ、60%RH以上である場合に一層顕著に現れる。
なお、相対湿度が50%RH以上である環境での使用は、例えば、気候区分における熱帯、亜熱帯、温帯等の、通年または一時的に50%RH以上となる時期を有する気候帯の地域において空調が不十分な場所にインクジェット記録装置を設置して使用する場合や、工場、実験室、温室、浴室等の50%RH以上となる領域内にインクジェット記録装置を設置して使用する場合に相当する。また、インクジェット記録方法を行う際の環境条件としては、特に限定はされないが、環境温度を20〜45℃、好ましくは20〜40℃とすることが、乾燥性、画質、耐擦過性などの点で好ましい。インクジェット記録方法を行う際の環境条件は、記録装置の内部や筐体外側に設置され、記録装置自身の発熱などの影響を受けない温湿度計を用いて測定することができる。
インクジェット記録装置は、記録ヘッド、加熱機構の他に、装置筐体、記録ヘッドのキャリッジ機構、各種のローラー、各種駆動部、各種制御部、センサー類、記録媒体搬送機構、トレイ、操作パネル等の構成を適宜含むことができる。
2.2.記録媒体
記録媒体は、ポリ塩化ビニルを含有するものであれば、特に制限はなく、例えば、紙、フィルム、布帛、印刷本紙、金属、ガラス、他の高分子を材質とし、ポリ塩化ビニルを表面や内部に含有するものである。また、ポリ塩化ビニルを主成分とするフィルムやシートであってもよい。記録媒体は、無色透明、半透明、着色透明、有彩色不透明、無彩色不透明のいずれであってもよい。
このような記録媒体の具体例としては、塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51)、光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社、型番SV−G−1270G)等が挙げられる。
3.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
3.1.インク組成物の調製
各実施例および各比較例のインク組成物を、表1に示す配合で次のようにして調製した。表1に記載した配合で、DEGBME、DEGMEE、γ−ブチロラクトン、並びに化合物a1、a2、b1およびb2を各例のインク組成物毎に攪拌して混合溶剤を得た。次に、混合溶剤の一部を取り分け、ソルスパース37500を混合し、その後ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント社製)を加えて、ホモジナイザーを用いて予備分散した後に、ビーズミルにて分散をし、顔料の平均粒径130nmの分散体を得た。別途、混合溶剤の一部を取り分け、樹脂1〜5を加えて撹拌し、完全に溶解させて樹脂溶液を得た。そして上記分散体に、残っていた混合溶剤と、BYK−331と、上記樹脂溶液とを混ぜ入れ各実施例および各比較例のシアンインク組成物を得た。
なお、表1に記載した各成分は次の通りである。
・色材(ピグメントブルー15:3、銅フタロシアニン顔料、クラリアント社製)
・Solsperse37500(商品名、LUBRIZOL社製、分散剤)
・化合物a1(商品名「Rhodiasolv ADMA 810」、RHODIA社製、式Iで表される化合物、RおよびRがともにメチル基であり、Rがヘプチル基であるN,N−ジメチルオクタンアミド)
・化合物a2(商品名「Rhodiasolv ADMA 10」、RHODIA社製、式Iで表される化合物、RおよびRがともにメチル基であり、Rがノニル基であるN,N−ジメチルデカンアミド)
・化合物b1(式IにおけるRおよびRがともにエチル基であり、Rがウンデシル基であるN,N−ジエチルドデカンアミド)
・化合物b2(商品名「エクアミド M100」、出光興産株式会社製、式IにおけるRおよびRがともにメチル基であり、Rが2−メトキシエチル基であるN,N−ジメチル−2−メトキシエチルアミド)
・GBL(γ−ブチロラクトン、関東化学株式会社製、環状エステル)
・DEGBME(ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、商品名「ハイソルブBDM」、東邦化学工業株式会社製)
・DEGMEE(ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、商品名「ハイソルブEDM」、東邦化学工業株式会社製)
・BYK−331(商品名、ビックケミー・ジャパン社製、シリコーン系界面活性剤)
・樹脂1(商品名「SOLBIN C」、日信化学株式会社製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、上記の比(M1:M2)=87:13、Tg:70℃、数平均分子量31000)
・樹脂2(商品名「SOLBIN CNL」、日信化学株式会社製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、上記の比(M1:M2)=90:10、Tg:76℃、数平均分子量12000)
・樹脂3(商品名「SOLBIN C5R」、日信化学株式会社製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、上記の比(M1:M2)=79:21、Tg:68℃、数平均分子量27000)
・樹脂4(商品名「SOLBIN AL」、日信化学株式会社製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、上記の比(M1:M2)=98:2、Tg:76℃、数平均分子量22000)
・樹脂5(商品名「パラペット G−1000P」、株式会社クラレ製、メタクリル樹脂)
Figure 2014185206
3.2.評価試験
3.2.1.凝集ムラ
凝集ムラの評価試験にあたって、イエローインク組成物を調製した。当該イエローインク組成物は、顔料をピグメントイエロー151(アゾ顔料、クラリアント社製)に変えた以外は、各実施例および各比較例のシアンインク組成物に対応する組成を有し、当該シアンインク組成物と同様にして調製されたものである。凝集ムラの評価試験は、シアンインク組成物およびイエローインク組成物を用いて行った。
セイコーエプソン株式会社製プリンター「SC−S30650」を用いて、実施例および比較例の各インク組成物を塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51(ポリ塩化ビニル))上に、シアンインクとイエローインクとを組み合わせたグリーンで、印字Dutyの合計が100%濃度となる5cm×5cm四方の評価用パッチを印刷した。印刷後、60分間、25℃50%RH(相対湿度)の環境にて乾燥させた。その後、目視および光学顕微鏡を用いて印刷面を観察した。評価基準は以下の通りであり、その結果を表1に記載した。
○:光学顕微鏡で凝集ムラが確認できない
△:目視では凝集ムラが確認できないが、光学顕微鏡では凝集ムラが確認できる
×:目視で凝集ムラが確認できる
3.2.2.乾燥性
セイコーエプソン株式会社製プリンター「SC−S30650」を用いて、実施例および比較例の各インク組成物を、光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社、型番SV−G−1270G)上に100%濃度で印刷し、25℃50%RH(相対湿度)にて5分間乾燥させた。次に、巻き取り装置を用いて巻き取った後の印刷面のスリ痕を観察した。観察はレーザー顕微鏡(キーエンス株式会社製、形式VK−8700 Generation2)にて表面粗さを測定することで、スリ痕のある面積の割合を算出した。評価基準は以下の通りであり、その結果を表1に記載した。
○:スリ痕面積が20%未満
△:スリ痕面積が20%以上30%未満
×:スリ痕面積が30%以上
3.2.3.耐擦性
荷重変動型摩擦摩耗試験システム(商品名「トライボギア TYPE−HHS2000」、新東科学社製)を用いて、上記「3.2.1.乾燥性」と同様にして得られた印刷物のベタ印刷部をサファイア針(直径0.2mm、荷重300g)で引っ掻くことにより、ベタ印刷部の剥がれ・傷を目視にて観察することで、耐擦性の評価を行った。評価基準は以下の通りであり、その結果を表1に記載した。
◎:塗膜(ベタ印刷部)に傷、剥離が認められない
○:塗膜(ベタ印刷部)の一部に傷は認められるが剥離は認められない。
△:塗膜(ベタ印刷部)の一部に傷、剥離が認められる
×:塗膜(ベタ印刷部)の全面に傷、剥離が認められる
3.2.4.発色性(光沢性)
上記「3.2.1.乾燥性」と同様にして得られた印刷物のベタ印刷部の20°光沢をMULTI GLOSS 268(コニカミノルタ株式会社製)にて測定することで、発色性の評価を行った。評価基準は以下の通りであり、その結果を表1に記載した。
○:20°光沢度が29以上
×:20°光沢度が29未満
3.2.5.評価結果
式Iで表される化合物および定着樹脂の両者を含む実施例に係るインク組成物は、いずれも、耐擦性、凝集ムラ、乾燥性の評価が良好であった。
より詳しくは、実施例に係るインクのうち、式Iで表される化合物および定着樹脂として塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含み、さらにγ−ブチロラクトンを含む実施例1〜6、8、9のインク組成物は、凝集ムラおよび乾燥性の評価がより優れていることが示された。
また、塩化ビニルモノマーの重量分率(M1)と、酢酸ビニルモノマーの重量分率(M2)との比(M1:M2)が、75:25〜95:5の範囲内にある樹脂1〜3を含む実施例1〜3、5〜9のインク組成物は、耐擦性の評価がより優れていることが示された。
また、実施例に係るインクのうち、式Iで表される化合物と、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の含有量が所定範囲内にある実施例1〜5、7、8のインク組成物は、発色性の評価に優れることが示された。
これに対して、式Iで表される化合物および定着樹脂のいずれか一方しか含有しない比較例に係るインク組成物は、いずれも、耐擦性、凝集ムラ、乾燥性のうち一つ以上の評価が不十分であった。また、環境湿度を40%RHとしたこと以外は上述の例と同様にして評価を行ったところ、実施例のインク組成物は、上述の例と同様に、凝集ムラ、乾燥性が良好であり、上述の例では凝集ムラ、乾燥性の劣った比較例のインク組成物でも、凝集ムラ、乾燥性が良かった例があったことから、本実施形態のインク組成物は、特に環境湿度の高い場合に有用であることがわかった。また、環境湿度を60%RHとしたこと以外は上述の例と同様にして評価を行ったところ、実施例のインク組成物は、上述の例と同様に、凝集ムラ、乾燥性が良好であった。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (11)

  1. 色材と、下記式Iで表される化合物と、定着樹脂と、を含有する、インクジェット記録用インク組成物。
    Figure 2014185206
    (式I中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Rは、炭素数6以上10以下のアルキル基を表す。)
  2. 請求項1において、
    前記式Iで表される化合物の含有量は、5質量%以上30質量%以下である、インクジェット記録用インク組成物。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記定着樹脂が、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を含む、インクジェット記録用インク組成物。
  4. 請求項3において、
    前記塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体において、塩化ビニルモノマーの重量分率(M1)と、酢酸ビニルモノマーの重量分率(M2)との比(M1:M2)が、75:25〜95:5の範囲内にある、インクジェット記録用インク組成物。
  5. 請求項3または請求項4において、
    前記塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体の含有量は、1質量%以上5質量%以下である、インクジェット記録用インク組成物。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
    さらに、環状エステルを含有する、インクジェット記録用インク組成物。
  7. 請求項6において、
    前記環状エステルは、5員環または6員環である、インクジェット記録用インク組成物。
  8. 請求項6または請求項7において、
    前記環状エステルの含有量は、5質量%以上50質量%以下である、インクジェット記録用インク組成物。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
    非水系インク組成物である、インクジェット記録用インク組成物。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、
    ポリ塩化ビニルを含む記録媒体に対する記録に用いる、インクジェット記録用インク組成物。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のインク組成物を、インクジェット記録装置を用いて、記録媒体に付着させて記録を行う、インクジェット記録方法。
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