JP5849631B2 - インクジェット記録用非水系インク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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本発明に係るインクジェット記録用非水系インク組成物の一態様は、
下記一般式(1)で表される化合物と、
ラクタム類と、
を含有する。
適用例1のインクジェット記録用非水系インク組成物によれば、低吸収性記録媒体(特に、被記録面に塩化ビニル樹脂を含有する記録媒体)に記録された画像の定着性および表面乾燥性を向上させ、かつ滲みの発生を抑制できる。また、従来の非水系インク組成物に使用されていた第2種有機溶剤を低減、あるいは含有しないことが可能となるため、安全衛生性の面でも優れている。
適用例1において、
前記一般式(1)中、R1がメチル基またはn−ブチル基であることができる。
適用例1または適用例2において、
前記一般式(1)で表される化合物の含有量[MA(質量%)]と、前記ラクタム類の含有量[MB(質量%)]と、の含有比(MA/MB)が、0.1以上9以下であることができる。
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記一般式(1)で表される化合物の含有量[MA(質量%)]と、前記ラクタム類の含有量[MB(質量%)]と、の合計(MA+MB)が、6質量%以上40質量%以下であることができる。
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記ラクタム類が、ピロリドン誘導体であることができる。
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
さらに、アルキレングリコール化合物を含有することができる。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例6のいずれか1例に記載のインクジェット記録用非水系インク組成物の液滴を吐出して、塩化ビニル系樹脂を含む被記録面に該液滴を付着させて画像を記録する。
適用例7において、
前記被記録面は、凹凸の形状を有しており、
前記凹凸の高低差が、0.01mm以上1mm以下であることができる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録用非水系インク組成物(以下、単に「非水系インク組成物」ともいう。)は、後述する一般式(1)で表される化合物と、ラクタム類と、を含有する。一般式(1)で表される化合物およびラクタム類は、非水系インクの溶媒として機能する有機溶剤である。
1.1.1一般式(1)で表される化合物
本実施形態に係る非水系インク組成物は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
具体的には、I/O値は、藤田穆著、「系統的有機定性分析混合物編」、風間書房、1974年;黒木宣彦著、「染色理論化学」、槙書店、1966年;井上博夫著、「有機化合物分離法」、裳華房、1990年、の各文献に基づいて算出することができる。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、ラクタム類を含有する。ラクタム類の機能としては、低吸収性記録媒体上に付着させたインクの定着性を向上させることが挙げられる。特に、ラクタム類は、上記式(1)で表される化合物ほどではないが、塩化ビニル系樹脂を溶解する作用が良好であるので、塩化ビニル系樹脂を含有する低吸収性記録媒体に対するインクの定着性を向上させることができる。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、必要に応じて、上述した有機溶剤以外の有機溶剤、界面活性剤、顔料、分散剤等を含有してもよい。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、塩化ビニル系樹脂に対してインクを強固に定着させる観点から、常温常圧下で液体のアルキレングリコール化合物を含有することが好ましい。
本実施形態に係る非水系インク組成物には、前記有機溶剤の他に、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる観点から、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体を添加してもよい。
本実施形態に係る非水系インク組成物には、色材として、従来の非水系インク組成物に通常用いられている有色無機顔料または有色有機顔料等の顔料を用いることができる。これらの顔料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本実施形態に係る非水系インク組成物には、さらに通常の非水系インク組成物に含まれるその他の添加剤を添加してもよい。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、バインダー樹脂等が挙げられる。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、公知の慣用方法によって製造することができる。色材として顔料を用いる場合には、最初に、顔料、分散剤、および有機溶剤(一部分)を混合した後、ボールミル、ビーズミル、超音波、またはジェットミル等で顔料分散液を調製し、所望のインク特性を有するように調整する。続いて、有機溶剤(残量)、およびその他の添加剤(例えば、界面活性剤やバインダー樹脂)を撹拌下に加えて非水系インク組成物を得ることができる。
本実施形態に係る非水系インク組成物は、記録品質とインクジェット用インク組成物としての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、前述した非水系インク組成物の液滴を吐出し、低吸収性記録媒体に該液滴を付着させて画像を記録する。
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
3.1.1.下記式(6)で表される化合物
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド19.828gおよびメタノール6.408gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反応物を除いた。このようにして、下記式(6)で表される化合物(以下、「有機溶剤A」ともいう。)を得た。
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド19.828gおよび1−ブタノール14.824gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反応物を除いた。このようにして、下記式(7)で表される化合物(以下、「有機溶剤B」ともいう。)を得た。
容器に、表1〜2に記載の濃度に相当する量の有機溶剤をそれぞれのインク毎に投入し、マグネティックスターラーを用いて30分間混合撹拌して混合溶剤を得た。
・C.I.ピグメントブラック7(三菱化学株式会社製、商品名「CARBON BLACK #970」、ブラック顔料)
・Solsperse37500(商品名、LUBRIZOL社製、分散剤)
・2−ピロリドン(関東化学株式会社製、有機溶剤)
・N−メチル−2−ピロリドン(関東化学株式会社製、有機溶剤)
・ジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、有機溶剤)
・ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(商品名「ハイソルブEDM」、東邦化学工業株式会社製、有機溶剤)
・BYK−340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、フッ素系界面活性剤)
3.3.1.摩擦堅牢性試験
JローランドDG社製プリンター「SP−300V」を用いて、「3.2.非水系インク組成物の調製」で得られた各インク組成物を光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社製、「SV−G−1270G」)上にDuty100%の条件で印刷した。その後、常温にて1日間乾燥させることで、評価用サンプルを得た。
6:OD値が0.20未満
5:OD値が0.20以上0.25未満
4:OD値が0.25以上0.30未満
3:OD値が0.30以上0.35未満
2:OD値が0.35以上0.40未満
1:OD値が0.40以上
JローランドDG社製プリンター「SP−300V」を用いて、「3.2.非水系インク組成物の調製」で得られた各インク組成物を光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社製、「SV−G−1270G」)上にDuty100%の条件で印刷した後、5分間乾燥させた。次いで、巻き取り装置を用いて光沢ポリ塩化ビニルシートを巻き取った後の光沢面のスリ痕を観察した。スリ痕の観察は、形状測定レーザマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、「VK−8700 GenerationII」)にて表面粗さを測定することで、スリ痕のある面積の割合を算出した。なお、評価基準は、以下の通りである。評価結果を表1および表2に併せて示す。
6:スリ痕面積が0%
5:スリ痕面積が0%超10%未満
4:スリ痕面積が10%以上20%未満
3:スリ痕面積が20%以上30%未満
2:スリ痕面積が30%以上40%未満
1:スリ痕面積が40%以上
JローランドDG社製プリンター「SP−300V」を用いて、「3.2.非水系インク組成物の調製」で得られた各インク組成物を塩ビバナーシート(3M社製、IJ8451、被記録面に凹凸形状を有する低吸収性記録媒体)、および光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社製、「SV−G−1270G」、平滑な表面を有する低吸収性記録媒体)上に、Duty100%の条件で、アルファベットA〜Z(大文字および小文字)をフォントサイズ20ポイントで印刷した後、60分間乾燥させた。その後、肉眼でにじみを観察した。
3:滲みが認められない
2:すべての文字を容易に判別でき、滲みがほとんど認められない
1:すべての文字をかろうじて判別できるが、滲みがはっきりと認められる
JローランドDG社製プリンター「SP−300V」を用いて、「3.2.非水系インク組成物の調製」で得られた各インク組成物を塩ビバナーシート(3M社製、IJ8451)上に、ドット同士が重ならない条件で印刷を行った。具体的には、Duty30%の条件で3cmの正方形を印刷した後、60分間乾燥させた。その後、光学顕微鏡を用いてドットサイズを観察して、直径を10μm毎に分類した。評価結果を表1および表2に併せて示す。なお、ドットサイズが80μm以下であれば、300dpi以上の解像度を有する画像を印刷することができる。
実施例1〜実施例7によれば、有機溶剤に上記式(1)で表される化合物およびラクタム類を併用することで、表面乾燥性および耐擦性に優れることが示された。また、これらの有機溶剤の相乗効果により、表面状態の異なる低吸収性記録媒体に対しても、滲みの発生の少ない優れた画像が得られることが示された。
Claims (8)
- 請求項1において、
前記一般式(1)中、R1がメチル基である、インクジェット記録用非水系インク組成物。 - 請求項1または請求項2において、
前記一般式(1)で表される化合物の含有量[MA(質量%)]と、前記ラクタム類の含有量[MB(質量%)]と、の含有比(MA/MB)が、0.1以上9以下である、インクジェット記録用非水系インク組成物。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記一般式(1)で表される化合物の含有量[MA(質量%)]と、前記ラクタム類の含有量[MB(質量%)]と、の合計(MA+MB)が、6質量%以上40質量%以下である、インクジェット記録用非水系インク組成物。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記ラクタム類が、ピロリドン誘導体である、インクジェット記録用非水系インク組成物。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記アルキレングリコール化合物を非水系インク組成物の全質量に対して20質量%以上85質量%以下、含有する、インクジェット記録用非水系インク組成物。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用非水系インク組成物の液滴を吐出して、塩化ビニル系樹脂を含む被記録面に該液滴を付着させて画像を記録する、インクジェット記録方法。
- 請求項7において、
前記被記録面は、凹凸の形状を有しており、
前記凹凸の高低差が、0.01mm以上1mm以下である、インクジェット記録方法。
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