JP5834562B2 - インクジェット用非水系インク、およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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顔料と、下記一般式(1)で示される溶剤と、塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体と、を含有する、インクジェット用非水系インク。
前記塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体が、その構成単位として、塩化ビニル単位を、70%〜90%含有する、適用例1に記載のインクジェット用非水系インク。
前期塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体の数平均分子量が、10000〜50000である、適用例1又は2に記載のインクジェット用非水系インク。
前記塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体の含有量が、インク総量に対して、0.5〜4質量%である、適用例1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット用非水系インク。
前記塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体が、その構成単位として、ビニルアルコール単位を含む、適用例1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット用非水系インク。
適用例1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット用非水系インクを用いる、インクジェット記録方法。
本発明の一実施形態に係るインクジェット用非水系インクは、顔料と、塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体と、後述する特定の溶剤と、を少なくとも含有する。本発明において、「インクジェット用非水系インク」とは、インク生成物を製造する際に水を意図的に添加しないという意味であり、インク組成物を製造中または保管中に不可避的に混入する微量の水分を含んでいてもかまわない。
本実施の形態に係るインクジェット用非水系インクは、下記一般式(1)で示される溶剤を少なくとも含有する。
本実施の形態に係るインクジェット用非水系インクは、塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体を少なくとも含有する。塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体は、前記一般式(1)で示される溶媒に溶解させることができる。その結果、前記一般式(1)で示される溶剤中に溶解した塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体により、塩化ビニル系樹脂を含有する記録媒体の表面にインクを強固に定着させることができる。
本実施の形態に係るインクジェット用非水系インクは、色材として顔料を少なくとも含有する。前記顔料としては、従来のインクジェット用非水系インクに通常用いられている有色無機顔料または有色有機顔料等の顔料を用いることができる。
本実施の形態に係るインクジェット用非水系インクには、必要に応じて、前記一般式(1)で示される溶剤以外の有機溶剤、界面活性剤、分散剤等を添加してもよい。
本実施の形態に係るインクジェット用非水系インクは、塩化ビニル系樹脂等の記録媒体に対してインクを強固に固着させる観点から、常温常圧下で液体のアルキレングリコール化合物およびラクトンから選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、アルキレングリコール化合物を含有することがより好ましい。
本実施の形態に係るインクジェット用非水系インクには、前記有機溶媒の他に、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる観点から、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体を添加してもよい。
本実施の形態に係るインクジェット用非水系インクには、顔料の分散安定性を向上させる観点から、通常のインクジェット用非水系インクにおいて用いられる任意の分散剤を用いることができる。分散剤としては、有機溶媒の溶解パラメーターが8〜11であるときに有効に作用する分散剤を用いることが好ましい。このような分散剤の具体例としては、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLUBRIZOL社製)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。
本実施の形態に係るインクジェット用非水系インクには、さらに通常のインクジェット用非水系インクに含まれるその他の添加剤を添加してもよい。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、バインダー樹脂等が挙げられる。
本実施の形態に係るインクジェット用非水系インクは、公知の方法によって製造することができるが、具体的には以下のような手法を採りうる。まず、前記式(1)で示される溶剤、ポリ塩化ビニル、その他の有機溶剤を秤取り、撹拌・混合することにより混合溶剤を得る。次いで、得られた混合溶剤の一部を取り分けて、そこに分散剤、顔料の順に添加し、ホモジナイザーを用いて粉砕処理する。その後、ボールミル、ビーズミル、超音波またはジェットミル等で顔料分散液を調製し、所望のインク特性を有するように調整する。続いて、得られた顔料分散液に、混合溶媒の残部およびその他の添加剤(例えば、界面活性剤やバインダー樹脂)を撹拌下に加えることでインクジェット用非水系インクを得ることができる。
本実施の形態に係るインクジェット用非水系インクは、印字品質とインクジェット用インク組成物としての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
本実施の形態に係るインクジェット記録方法は、前述したインクジェット用非水系インクの液滴を吐出し、塩化ビニル系樹脂を含有する記録媒体の表面に該液滴を付着させて画像を記録することを特徴とする。本実施の形態に係るインクジェット記録方法によれば、前述したインクジェット用非水系インクを用いるのでインクジェットヘッドからの良好な吐出安定性を確保できると共に、塩化ビニル系樹脂を含有する記録媒体の表面にインクを強固に定着させることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
3.1.1.溶剤A
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド19.828gおよびメタノール6.408gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反応物を除いた。このようにして、下記式(6)で示される溶剤Aを得た。
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド19.828gおよび1−ブタノール14.824gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反応物を除いた。このようにして、下記式(7)で示される溶剤Bを得た。
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド25.441gおよびメタノール6.408gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反応物を除いた。このようにして、下記式(8)で示される溶剤Cを得た。
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド19.828gおよび1−ヘキサノール20.434gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反応物を除いた。このようにして、下記式(9)で示される溶剤Dを得た。
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド19.828gおよび2−エチルヘキサノール26.046gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反応物を除いた。このようにして、下記式(10)で示される溶剤Eを得た。
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド19.828gおよび1−オクタノール26.046gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反応物を除いた。このようにして、下記式(11)で示される溶剤Fを得た。
容器に、表1に記載の濃度に相当する量の溶剤、ポリ塩化ビニルをそれぞれのインク毎に投入し、マグネティックスターラーを用いて30分間混合撹拌して混合溶剤を得た。
得られた混合溶剤の一部を取り分けて、そこにSolsperse37500(LUBRIZOL社製、商品名)およびC.I.ピグメントブラック7(三菱化学株式会社製、商品名「CARBON BLACK」)を所定量添加して、ホモジナイザーを用いて粉砕処理した。その後、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルで分散処理を行うことにより、顔料分散液を得た。
得られた顔料分散液に、混合溶剤の残部およびBYK−340(ビックケミー・ジャパン株式会社製、フッ素系界面活性剤)を添加してさらに1時間混合撹拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、表1に記載のブラックインク組成物を得た。なお、表中の数値は、質量%を表す。
・C.I.ピグメントブラック7(三菱化学株式会社製、商品名「CARBON BLACK」、ブラック顔料)
・Solsperse37500(商品名、LUBRIZOL社製、分散剤)
・γ−ブチロラクトン(商品名、関東化学株式会社製、溶剤)
・ジエチレングリコールジエチルエーテル(商品名、日本乳化剤株式会社製、溶剤)
・ジエチレングリコールジメチルエーテル(商品名、日本乳化剤株式会社製、溶剤)
・塩化ビニル樹脂(商品名「カネカビニールS−400」、株式会社カネカ製、平均重合度480)
・塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体A(商品名「ソルバインC5R」、日信化学株式会社製、数平均分子量27000、平均重合度350)
・塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体B(商品名「ソルバインCN」、日信化学株式会社製、数平均分子量42000、平均重合度750)
・塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体C(商品名「ソルバインCNL」、日信化学株式会社製、数平均分子量12000、平均重合度200)
・塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体D(商品名「ソルバインTA5R」、日信化学株式会社製、数平均分子量28000、平均重合度300)
・塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体E(平均重合度400)
・BYK−340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、フッ素系界面活性剤)
3.3.1.定着性試験
JローランドDG社製プリンター「SP−300V」を用いて、「3.2.インクジェット用非水系インクの調製」で得られた各インク組成物を光沢ポリ塩化ビニルシート(住友スリーエム株式会社製、「IJ−40」)上にDuty100%の条件で印刷した。記録条件は、プリンターのヒーター設定を40℃とした。その後、常温にて1日間乾燥させることで、評価用サンプルを得た。
4:擦過痕および剥離が認められない。
3:擦過痕はあるが剥離が認められない。
2:擦過痕および一部の剥離が認められる。
1:擦った領域のほぼ全域で剥離が認められる。
上記「3.3.1.定着性試験」で得られた各記録物について、吐出欠陥の有無を目視観察し、下記の評価基準に従って吐出安定性を評価した。なお、「ノズル抜け」とは、通常プリントヘッドについているノズルから吐出されるはずのインクがノズルの詰まりによって吐出されず、印刷結果に影響を与えることをいう。その評価結果を表1に併せて示す。なお、下記の評価基準のうち「3」および「4」が実用上許容される範囲である。
4:吐出欠陥(ノズル抜け)の発生が認められない。
3:ベタ画像の一部が埋まっていない個所がある。
2:ベタ画像の複数箇所が埋まっていない。
1:印刷面が線状になり、大多数の部分が埋まっていない。
実施例1〜実施例13によれば、塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体A〜Eのいずれか1種を適量含有することで、塩化ビニル系樹脂からなる被記録媒体上に吐出して得られた記録物において良好な定着性とプリンター吐出安定性を確保できることが判った。
Claims (9)
- 前記塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体が、その構成単位として、塩化ビニル単位を、70%〜90%含有する、請求項1に記載のインクジェット用非水系インク。
- 前期塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体の数平均分子量が、10000〜50000である、請求項1又は2に記載のインクジェット用非水系インク。
- 前記塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体の含有量が、インク総量に対して、0.5〜2質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット用非水系インク。
- 前記塩化ビニル及び酢酸ビニルを含む共重合体が、その構成単位として、ビニルアルコール単位を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット用非水系インク。
- 前記一般式(1)で示される溶剤の含有量が、インク総量に対して、2〜10質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット用非水系インク。
- 有機溶剤として、エチレングリコール化合物のジエーテルを、インク総量に対して、75.6質量%以上含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット用非水系インク。
- 前記エチレングリコール化合物のジエーテルとして、エチレングリコールのジエーテル、ジエチレングリコールのジエーテル、トリエチレングリコールのジエーテル、テトラエチレングリコールのジエーテル、ポリエチレングリコールのジエーテルのいずれか1種以上を含む、請求項7に記載のインクジェット用非水系インク。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット用非水系インクを用いる、インクジェット記録方法。
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