JP5851679B2 - インクジェットインク - Google Patents

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Description

本発明は、例えばターポリン等の樹脂媒体の表面などの、疎水性の表面に画像や文字等を印刷するのに適した非水性のインクジェットインクに関するものである。
従来、インクジェット印刷は主に紙等の親水性、吸水性を有する表面への印刷に用いられており、インクジェットインクとしては、水に水溶性染料を加えた水性のインクジェットインクが使用されてきた。しかし近年、様々な分野において様々な表面への印刷にインクジェット印刷を利用することが広まりつつある。
特に、屋外の広告等の媒体として多用されているいわゆるターポリン(繊維布の表面がポリ塩化ビニル系樹脂によってコートされたシート)等の樹脂媒体の表面などの、疎水性の表面に、前記インクジェット印刷によって良好な印刷をすることが求められるようになってきている。
前記樹脂媒体の表面への印刷には、着色剤として耐光性、耐候性に優れた顔料を用いるとともに、前記顔料を樹脂媒体の表面に定着させるためのバインダ樹脂、および有機溶剤を含み、かつ基本的に水を含まない非水性のインクジェットインクが使用される。
前記のうち有機溶剤は、単にバインダ樹脂を溶解したり顔料を分散したりする溶媒、分散媒として機能するだけでなく、樹脂媒体中に浸透することで、前記樹脂媒体の表面へ印刷後のインクジェットインクの乾燥性や、あるいは前記表面への印刷の定着性等を向上させるためにも機能する。
前記有機溶剤としては、例えば前記定着性や定着後の耐候性等を向上したり、バインダ樹脂の溶解性を高めたり、インクジェットインクの特性(例えば表面張力や粘度等)をインクジェット印刷に適した範囲に調整したりするために、2種以上を併用するのが一般的である。
例えば特許文献1、2では、有機溶剤として
(a) アルキレングリコール誘導体、および
(b) N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等の含窒素複素環化合物、またはγ−ブチロラクトン、δ−ラクトン等の含酸素複素環化合物、
を併用して非水性のインクジェットインクを調製している。
しかし、かかる(a)(b)の有機溶剤の組み合わせでは臭気が強いという問題がある。しかも発明者の検討によると、前記(a)(b)の有機溶剤の組み合わせではインクジェットインクの乾燥性も不十分である。
特許文献3には、前記(b)の含窒素複素環化合物等に代えて、特定の分子構造を有する5種の溶剤のうちの少なくとも1種を、前記(a)のアルキレングリコール誘導体と併用することが提案されている。かかる併用により、できるだけ臭気が弱く安全衛生性に優れたインクジェットインクを提供できる。
しかし発明者の検討によると、前記併用系ではインクジェットインクの乾燥性を改善する効果は得られず、前記乾燥性が未だ十分でないという問題がある
特開2005−023298号公報 特開2008−260944号公報 特開2007−161867号公報
前記樹脂媒体等の疎水性の媒体は、紙等に比べてインクジェットインクの吸収性が低いため、その表面に印刷した際に、インクジェットインクをいかに速やかに乾燥させるかが肝要である。
インクジェットインクの乾燥性を高めることにより、例えば複数枚の媒体に連続して印刷をする際に、インクジェットプリンタから先に排出された媒体の表面のインクジェットインクが完全に乾燥する前に、その上に後から排出された媒体が重ねられて印刷が裏写りしたりする不良が発生すること等を確実に防止できる。
本発明の目的は、樹脂媒体やオフセットコート媒体等の疎水性の媒体の表面に印刷するのに適した各種の特性を有する上、これまでよりもさらに乾燥性に優れた非水性のインクジェットインクを提供することにある。
本発明は、顔料、式(1):
Figure 0005851679
で表されるアミド系溶剤、およびバインダ樹脂としての、懸濁重合法または乳化重合法によって合成されたポリ塩化ビニル系樹脂を少なくとも含む非水性のインクジェットインクである。
前記式(1)で表されるアミド系溶剤〔以下「アミド系溶剤(1)」と略記する場合がある。〕は、特許文献1、2に記載の含窒素複素環化合物、含酸素複素環化合物等に比べて、樹脂媒体の表面を構成するポリ塩化ビニル系樹脂等に対する浸透性に優れている
そのためアミド系溶剤(1)を含有させることにより、非水性のインクジェットインクを、前記アミド系溶剤(1)の媒体中への浸透によって速やかに乾燥(浸透乾燥)させることができ、その乾燥性を飛躍的に向上させることができる。
その上アミド系溶剤(1)は、特許文献3に記載の5種の溶剤と同様に臭気が弱く安全衛生性にも優れている。
またアミド系溶剤(1)は、ターポリン等の樹脂媒体の、ポリ塩化ビニル系樹脂からなる表面に対する定着性に優れるため、非水性のインクジェットインクにおいてバインダ樹脂として好適に使用されるポリ塩化ビニル系樹脂に対する溶解性にも優れている。
前記ポリ塩化ビニル系樹脂として、従来は溶液重合法によって合成されたものが一般的に用いられてきた。しかし溶液重合法では、ポリ塩化ビニル系樹脂を合成する際に多量の有機溶剤を使用しなければならずその処理が問題となっている。
すなわち合成したポリ塩化ビニル系樹脂を反応系中から取り出すためには乾燥処理、つまり有機溶剤を大気中に揮散させて除去するのが最も簡単であるが、近年、環境に対する負荷を軽減すること等を考慮して、前記有機溶剤を極力大気中に揮散させずに排気処理、廃液処理等によって回収することが必要となりつつある。
そして、これらの処理に要する設備やその稼動のために要するエネルギー等がポリ塩化ビニル系樹脂の生産性を低下させるとともに生産コストを押し上げる原因となってきている。
そのためポリ塩化ビニル系樹脂としては、溶液重合法のように多量の有機溶剤を使用する必要のない、懸濁重合法や乳化重合法によって合成されたポリ塩化ビニル系樹脂を使用するのが好ましい。
しかし前記懸濁重合法や乳化重合法によって合成されたポリ塩化ビニル系樹脂をバインダ樹脂として使用する場合、前記バインダ樹脂を含む非水性のインクジェットインクを、例えばアルミニウムラミネート材からなる袋体内に真空充てんして保存した際に短期間でゲル化が発生するおそれがある。
この原因の一つとして、前記懸濁重合法や乳化重合法によって合成されたポリ塩化ビニル系樹脂は、溶液重合法によって合成されたものに比べて未反応のモノマーの残留量が多いことが考えられる。
すなわち空気中に含まれる酸素は、周知のようにラジカル重合反応の禁止剤として機能するが、インクジェットインクを袋体内に真空充てんして空気から遮断すると、その中に含まれる未反応のモノマーがラジカル重合反応しやすい状態となり、充てん後の保管時の熱履歴等が引き金となって前記ラジカル重合反応が開始される。
そしてラジカル重合反応が進行すると、袋体内のインクジェットインク中で、ゲル化の原因となる、溶剤に不溶性ないし難溶性の高分子量の成分が生成される。特に未反応のモノマーの残留量が多いほど、前記高分子量の成分が多量に生成されやすく、結果としてゲル化を生じやすくなる。
これに対しアミド系溶剤(1)は、前記のようにポリ塩化ビニル系樹脂に対する溶解性に優れているため、前記高分子量の成分が多量に生成されても、かかる高分子量の成分を良好に溶解することができる。
そのため前記アミド系溶剤(1)を加えることにより、バインダ樹脂として懸濁重合法や乳化重合法によって合成されたポリ塩化ビニル系樹脂を含む非水性のインクジェットインクを例えば袋体内に真空充てんして保管した際に、未反応のモノマーのラジカル重合反応によって短期間でゲル化が生じるのを抑制することができる。
また、前記非水性のインクジェットインクにさらにラジカル重合禁止剤を加えることにより、未反応のモノマーのラジカル重合反応とそれによる高分子量の成分の生成を防止して、前記ゲル化の発生をより一層有効に抑制することもできる。
本発明によれば、樹脂媒体やオフセットコート媒体等の疎水性の媒体の表面に印刷するのに適した各種の特性を有する上、これまでよりもさらに乾燥性に優れた非水性のインクジェットインクを提供することができる。
本発明は、顔料、式(1):
Figure 0005851679
で表されるアミド系溶剤〔アミド系溶剤(1)、分子量:131.2、沸点:216℃〕、およびバインダ樹脂としての、懸濁重合法または乳化重合法によって合成されたポリ塩化ビニル系樹脂を少なくとも含む非水性のインクジェットインクである
媒体の表面に印刷したインクジェットインクは、前記インクジェットインク中に含まれる溶剤の、媒体中への浸透による浸透乾燥と、前記溶剤の、大気中への揮散による揮発乾燥とがほぼ同時に進行して乾燥される。
このうち後者の揮発乾燥には溶剤の沸点が関与する。すなわち沸点が低い溶剤ほど乾燥しやすく、インクジェットインクの揮発乾燥を促進する作用に優れているといえる。
ところが前記アミド系溶剤(1)は、従来の含窒素複素環化合物、非プロトン性極性溶剤の代表的化合物であるN−メチル−2−ピロリドンや、あるいは非プロトン性極性溶剤の代表的化合物である1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとほぼ類似した沸点を有している。
すなわち、低い方から順にN−メチル−2−ピロリドン(沸点:202℃)<アミド系溶剤(1)(沸点:216℃)<1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(沸点:220℃)となる。なお沸点は、いずれも1気圧(1013hPa)での値である。
そのためこれらの溶剤は、揮発乾燥を促進する作用の点ではほぼ同等といえるが、アミド系溶剤(1)は、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の従来の溶剤に比べて、先に説明したように媒体中への浸透性に優れるため、前記従来の溶剤と比べてインクジェットインクの浸透乾燥を促進して、前記インクジェットインクの乾燥性を高める効果に優れている。
ただし揮発乾燥も、インクジェットインクの乾燥性を左右する大きな要因であることには違いない。そのためアミド系溶剤(1)の方が、例えば構造の類似した式(3):
Figure 0005851679
で表される化合物〔分子量:173.3、沸点:252℃〕よりも、インクジェットインクの乾燥性を高める効果に優れているといえる。このことは、後述する実施例、比較例の結果からも明らかである。
ミド系溶剤(1)の含有割合は、非水性のインクジェットインクの総量の1質量%以上、特に3質量%以上であるのが好ましく、30質量%以下、特に20質量%以下であるのが好ましい。
含有割合が前記範囲未満では、アミド系溶剤(1)を含有させることによる、前記インクジェットインクの乾燥性を向上する効果が十分に得られないおそれがある。
また、例えば前記インクジェットインクを袋体内に真空充てんして保管した際に、未反応のモノマーのラジカル重合反応によって生成した高分子量の成分を前記アミド系溶剤(1)の高い溶解性を利用して良好に溶解してゲル化が生じるのを抑制する効果が十分に得られないおそれもある。
また前記範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、前記アミド系溶剤(1)は溶解力が非常に強いため、インクジェットプリンタのヘッドを損傷させたり腐食させたりするおそれがある。またカーボンブラック等の無機顔料であれば問題ないが、有機顔料の場合は、その強い溶解力によって前記有機顔料を侵食してしまうおそれもある。
〈他の溶剤〉
アミド系溶剤(1)の含有割合を前記範囲内としてインクジェットインクの溶解性を調整したり、前記インクジェットインクの特性(例えば表面張力や粘度等)をインクジェット印刷に適した範囲に調整したりするため、非水性のインクジェットインクには他の溶剤を含有させるのが好ましい。かかる他の溶剤としては、先に説明したアルキレングリコール誘導体等が挙げられる。
また前記アルキレングリコール誘導体としては、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、イソプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびトリプロピレングリコールジメチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
〈バインダ樹脂〉
バインダ樹脂としては、先に説明したように懸濁重合法または乳化重合法によって合成されたポリ塩化ビニル系樹脂が用いられる。
また塩化ビニルに酢酸ビニルを共重合させると、非水性のインクジェットインク中への溶解性を向上させたり、前記樹脂媒体の表面に印刷される画像や文字の可撓性を高めて印刷の耐擦過性を向上したりできる。
そのためポリ塩化ビニル系樹脂としては、前記懸濁重合法や乳化重合法によって合成された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体がより一層好ましい。
前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の分子量や酢酸ビニル含量は任意に設定できるが、懸濁重合法によって合成される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、数平均分子量Mnが5000以上、特に10000以上であるのが好ましく、100000以下、特に30000以下であるのが好ましい。
数平均分子量Mnが前記範囲未満では、樹脂媒体に対する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の定着性が低下して、印刷の耐擦過性等が低下するおそれがある。
また前記範囲を超える場合にはインクジェットインクの粘度が高くなりすぎて、インクジェットプリンタのヘッドのノズルから液滴として良好に吐出できないおそれがある。
また懸濁重合法によって合成される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は1質量%以上、中でも10質量%以上、特に13質量%以上であるのが好ましく、36質量%以下、中でも22質量%以下、特に15質量%以下であるのが好ましい。
酢酸ビニル含量が前記範囲未満では、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の溶解性が低下して、前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が非水性のインクジェットインク中に析出しやすくなり、前記インクジェットインクの安定性が低下するおそれがある。
また前記範囲を超える場合には、樹脂媒体に対する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の定着性が低下して、印刷の耐擦過性等が低下するおそれがある。
前記懸濁重合法によって合成される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、例えば日信化学工業(株)製のSOLBIN(登録商標)シリーズの塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のうち品番CL(数平均分子量Mn:25000、酢酸ビニル含量:14質量%)、CNL(数平均分子量Mn:12000、酢酸ビニル含量:10質量%)、C5R(数平均分子量Mn:27000、酢酸ビニル含量:21質量%)、AL(数平均分子量Mn:22000、酢酸ビニル含量:2質量%)、TA5R(数平均分子量Mn:28000、酢酸ビニル含量:1質量%)、TA0(数平均分子量Mn:15000、酢酸ビニル含量:2質量%)、TA3(数平均分子量Mn:24000、酢酸ビニル含量:4質量%)等の1種または2種以上が挙げられる。
また乳化重合法によって合成される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、重量平均分子量Mwが5000以上、中でも30000以上、特に45000以上であるのが好ましく、100000以下、中でも60000以下、特に55000以下であるのが好ましい。
重量平均分子量Mwが前記範囲未満では、樹脂媒体に対する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の定着性が低下して、印刷の耐擦過性等が低下するおそれがある。
また前記範囲を超える場合には非水性のインクジェットインクの粘度が高くなりすぎて、インクジェットプリンタのヘッドのノズルから液滴として良好に吐出できないおそれがある。
また乳化重合法によって合成される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は1質量%以上、中でも10質量%以上、特に14質量%以上であるのが好ましく、36質量%以下、中でも20質量%以下、特に16質量%以下であるのが好ましい。
酢酸ビニル含量が前記範囲未満では、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の溶解性が低下して、前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が非水性のインクジェットインク中に析出しやすくなり、前記インクジェットインクの保存安定性が低下するおそれがある。
また前記範囲を超える場合には、樹脂媒体に対する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の定着性が低下して、印刷の耐擦過性等が低下するおそれがある。
前記乳化重合法によって合成される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、例えばワッカーケミー社製のVINNOL(登録商標)シリーズの塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のうち品番E15/45(重量平均分子量Mw:45000〜55000、酢酸ビニル含量:15.0±1.0質量%)、H14/36(重量平均分子量Mw:30000〜40000、酢酸ビニル含量:14.4±1.0質量%)、H15/42(重量平均分子量Mw:35000〜50000、酢酸ビニル含量:14.0±1.0質量%)、H40/43(重量平均分子量Mw:40000〜50000、酢酸ビニル含量:34.3±1.0質量%)、E15/45M(重量平均分子量Mw:50000〜60000、酢酸ビニル含量:15.0±1.0質量%)、E15/40M(重量平均分子量Mw:40000〜50000、酢酸ビニル含量:15.0±1.0質量%)等の1種または2種以上が挙げられる。
前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のバインダ樹脂の含有割合は、非水性のインクジェットインクの総量の1質量%以上、特に3質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下、特に7質量%以下であるのが好ましい。
含有割合が前記範囲未満では、バインダ樹脂を含有させることによる、顔料を樹脂媒体の表面に強固に定着させる効果が十分に得られず、印刷の耐擦過性が低下するおそれがある。
また含有割合が前記範囲を超える場合には前記インクジェットインクの粘度が高くなりすぎて、インクジェットプリンタのヘッドのノズルから液滴として良好に吐出できないおそれがある。
〈ラジカル重合禁止剤〉
非水性のインクジェットインクにラジカル重合禁止剤を加えると、先に説明したように、例えば袋体内に真空充てんして保管した際に、未反応のモノマーのラジカル重合反応とそれによる高分子量の成分の生成を防止して、ゲル化の発生をより一層有効に抑制することができる。
ラジカル重合禁止剤としては、前記機能を有する種々の化合物が、いずれも使用可能である。前記ラジカル重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン類、カテコール類、ヒンダードアミン化合物、フェノール類、フェノチアジン類、縮合芳香族環のキノン類等の1種または2種以上が挙げられる。
このうちハイドロキノン類としては、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1−o−2,3,5−トリメチロールハイドロキノン、2−tert−ブチルハイドロキノン等の1種または2種以上が挙げられる。
またカテコール類としては、例えばカテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール等の1種または2種以上が挙げられる。
ヒンダードアミン化合物としては、重合禁止効果を有する任意のヒンダードアミン化合物が挙げられ、中でも分子中にテトラメチルピペリジニル基を有するヒンダードアミン化合物の1種または2種以上が好ましい。
フェノール類としては、例えばフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピロガロール、没食子酸アルキルエステル、ヒンダードフェノール化合物等の1種または2種以上が挙げられる。
フェノチアジン類としては、例えばフェノチアジン等が挙げられる。
さらに縮合芳香族環のキノン類としては、例えばナフトキノン等が挙げられる。
中でもラジカル重合禁止剤としては、前記重合禁止効果の効率に優れ、モノマーのラジカル重合反応を効率よく禁止してゲル化を防止できるヒンダードアミン化合物、およびヒンダードフェノール化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種、特にヒンダードアミン化合物が好ましい。
また前記ヒンダードアミン化合物の中でも分子中にテトラメチルピペリジニル基を有するヒンダードアミン化合物、特に4,4′−[(1,10−ジオキソ-1,10−デカンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,2,6,6−テトラメチル]−1−ピペリジジニルオキシ〔チバ社製のイルガスタブ(IRGASTAB、登録商標)UV10〕等が、前記重合禁止効果の効率に特に優れるため、ラジカル重合禁止剤としてより一層好適に使用される。
ヒンダードアミン化合物等のラジカル重合禁止剤の含有割合は、非水性のインクジェットインクの総量の0.2質量%以上、特に0.5質量%以上であるのが好ましく、2質量%以下、特に1.5質量%以下であるのが好ましい。
含有割合が前記範囲未満では、ヒンダードアミン化合物を含有させることによる、ポリ塩化ビニル系樹脂中に含まれる未反応のモノマーのラジカル重合反応を禁止してゲル化を防止する効果が十分に得られないおそれがある。
また前記範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、過剰のヒンダードアミン化合物が顔料の発色を阻害して、樹脂媒体の表面に印刷される画像や文字の色相を変化させるおそれがある。
また、例えば前記イルガスタブUV10は常温で褐色のパウダー状を呈し、他のヒンダードアミン化合物も同様であることから、その含有割合が前記範囲を超える場合には前記インクジェットインクの粘度が上昇して、ノズルから吐出させる際の吐出安定性が低下したり、過剰のヒンダードアミン化合物が析出して印刷の定着性を低下させたり画質を低下させたりするおそれもある。
またヒンダードフェノール化合物としては、例えば76〜90質量%のグリセリンプロポキシレートとアクリル酸のエステルと、24〜10質量%のメチルキノンとの混合物〔チバ社製のイルガスタブ(IRGASTAB)UV22〕等が挙げられる。
前記ヒンダードフェノール化合物の含有割合は、非水性のインクジェットインクの総量の1質量%以上、2質量%以下であるのが好ましい。
含有割合が前記範囲未満では、ヒンダードフェノール化合物を含有させることによる、ポリ塩化ビニル系樹脂中に含まれる未反応のモノマーのラジカル重合反応を禁止してゲル化を防止する効果が十分に得られないおそれがある。
また前記範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、過剰のヒンダードフェノール化合物が顔料の発色を阻害して、樹脂媒体の表面に印刷される画像や文字の色相を変化させるおそれがある。
また、例えば前記イルガスタブUV22は常温で黄色の粘稠な液状を呈し、他のヒンダードフェノール化合物も同様であることから、その含有割合が前記範囲を超える場合には前記インクジェットインクの粘度が上昇して、ノズルから吐出させる際の吐出安定性が低下したり、過剰のヒンダードフェノール化合物が析出して印刷の定着性を低下させたり画質を低下させたりするおそれもある。
〈顔料〉
顔料としては、先に説明したように屋外の広告等に使用することを考慮して耐光性、耐候性等に優れた任意の無機顔料、および/または有機顔料が使用可能である
このうち無機顔料としては、例えば酸化チタン、酸化鉄等の金属化合物や、あるいはコンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造された中性、酸性、塩基性等の種々のカーボンブラックの1種または2種以上が挙げられる。
また有機顔料としては、例えばアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、またはキレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えばフタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフタロン顔料等)、染料キレート(例えば塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の1種または2種以上が挙げられる。
顔料は、非水性のインクジェットインクの色目に応じて1種または2種以上を用いることができる。また顔料は、後述する顔料分散液中、ひいては前記インクジェットインク中での分散安定性を向上するために表面を処理してもよい。
顔料の具体例としては、下記の各種顔料が挙げられる。
(イエロー顔料)
C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、14C、16、17、20、24、73、74、75、83、86、93、94、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213、214
(マゼンタ顔料)
C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、57(Ca)、57:1、97、112、122、123、149、168、177、178、179、184、202、206、207、209、242、254、255
(シアン顔料)
C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:3、15:4、15:6、15:34、16、22、60
(ブラック顔料)
C.I.ピグメントブラック7
(オレンジ顔料)
C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、71、74
(グリーン顔料)
C.I.ピグメントグリーン7、36
(バイオレット顔料)
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50
顔料の含有割合は、非水性のインクジェットインクの総量の0.1質量%以上、特に0.4質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下、特に8質量%以下であるのが好ましい。
顔料は、非水性のインクジェットインクを構成する溶剤との相溶性に優れ、しかも顔料を良好に分散させることができる任意の溶剤に分散させて調製した顔料分散液の状態でインクジェットインクの製造に用いるのが好ましい。また顔料分散液には、顔料を良好に分散させるために分散剤等を添加してもよい。
顔料分散液を使用する場合、前記顔料の含有割合は、前記顔料分散液中に含まれる有効成分としての顔料自体の含有割合である。
〈金属配位化合物〉
非水性のインクジェットインクは、金属配位化合物を含んでいてもよい。
前記金属配位化合物は、インクジェットプリンタのヘッドのノズルを構成するノズルプレート等の、前記非水性のインクジェットインクに対する濡れ性を調整して、前記インクジェットインクをノズルから良好に吐出できるようにするため前記ノズルプレート等の表面に形成される、フッ素樹脂とニッケルとの共析被膜等の、非水性のインクジェットインクをはじく性質を有する被膜(撥インク性被膜)中のニッケルと配位することで、前記撥インク性被膜の、前記インクジェットインク中に含まれるアミド系溶剤(1)等に対する耐性を向上するために機能する。
前記金属配位化合物としては、例えばイミダゾール類、ベンゾトリアゾール類等の含窒素化合物の1種または2種以上が挙げられる。
特にニッケルと良好に配位させて前記撥インク性被膜の耐性をより一層良好に向上させる効果に優れるとともに、塩基性を呈しないためラジカル重合反応を促進するおそれがない上、それ自体もラジカル重合禁止剤として機能しうるベンゾトリアゾール類が、前記金属配位化合物としては好ましい。
前記ベンゾトリアゾール類の具体例としては、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
前記金属配位化合物の含有割合は、非水性のインクジェットインクの総量の0.1質量%以上、特に0.3質量%以上であるのが好ましく、5質量%以下、特に3質量%以下であるのが好ましい。
含有割合が前記範囲未満では、前記金属配位化合物を含有させることによる、撥インク性被膜の、有機溶媒に対する耐性を向上する効果が十分に得られないおそれがある。
また含有割合が前記範囲を超える場合には前記インクジェットインクの粘度が上昇して、ノズルから吐出させる際の吐出安定性が低下したり、過剰の金属配位化合物が析出して印刷の定着性を低下させたりするおそれがある。
〈その他〉
非水性のインクジェットインクには、前記各成分に加えてさらに、ポリ塩化ビニル系樹脂の脱塩酸反応によって生じる塩素を捕捉するためのエポキシ化物や、あるいは高分子分散剤、界面活性剤、可塑剤、帯電防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、防かび剤、殺生剤等の種々の添加剤を、必要に応じて任意の割合で含有させてもよい。
(エポキシ化物)
前記のうちエポキシ化物は、バインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂が脱塩酸反応を生じて、非水性のインクジェットインクのpHが酸性側に移行するのを抑制し、それによってインクジェットプリンタのヘッドの損傷や腐食、顔料の凝集や沈降等を生じにくくするために添加される。
前記エポキシ化物としては、分子中にエポキシ基を有し、かつ、前記インクジェットインク中に良好に溶解することができる種々の化合物が使用可能である。
かかるエポキシ化物としては、例えばエポキシグリセリド、エポキシ脂肪酸モノエステル、エポキシヘキサヒドロフタレート、エポキシ樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。中でもエポキシグリセリド、エポキシ脂肪酸モノエステル、エポキシヘキサヒドロフタレート等が好ましい。
前記各種のエポキシ化物は、バインダ樹脂としてのポリ塩化ビニル系樹脂や、あるいはエポキシ化物の一方の代表例であるエポキシ樹脂に比べて分子量が小さいにも拘らず、多数のエポキシ基を含有している。
そのため、樹脂媒体の表面へのポリ塩化ビニル系樹脂の定着を妨げて印刷の定着性を低下させたり、非水性のインクジェットインクの粘度を上昇させて良好な吐出安定性を阻害したりすることなしに、前記ポリ塩化ビニル系樹脂から発生した塩酸をより確実に、分子中に取り込むことができる。
前記のうちエポキシ脂肪酸モノエステルとしては、例えばエポキシ化オレイン酸ブチル、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化大豆脂肪酸ブチル、エポキシ化大豆脂肪酸オクチル、エポキシ化亜麻仁油脂肪酸ブチル、エポキシ化亜麻仁油脂肪酸オクチル等の1種または2種以上が挙げられる。
またエポキシグリセリドとしては、例えば大豆油、亜麻仁油、綿実油、紅花油、サフラワー油、ひまわり油、桐油、ひまし油、とうもろこし油、なたね油、ごま油、オリーブ油、パーム油、グレープシード油、魚油等の油類のエポキシ化物の1種または2種以上が挙げられる。
中でもエポキシグリセリドとしてのエポキシ化大豆油、および/またはエポキシ化亜麻仁油は、前記各種エポキシ化物の中でも、より多数のエポキシ基を分子中に含有しており、先に説明した効果に特に優れることから、エポキシ化物として特に好適に使用される。
エポキシ化物の添加量は、ポリ塩化ビニル系樹脂の添加量の3質量%以上、特に10質量%以上であるのが好ましく、100質量%以下、特に40質量%以下であるのが好ましい。
添加量が前記範囲未満では、エポキシ化物を含有させることによる、ポリ塩化ビニル系樹脂の脱塩酸反応によって発生した塩酸を分子中に取り込んで、非水性のインクジェットインクのpHが酸性側に移行するのを抑制する効果が十分に得られないおそれがある。
また前記範囲を超える場合には、過剰のエポキシ化物が、ポリ塩化ビニル系樹脂の、樹脂媒体の表面への定着を妨げて印刷の定着性を低下させたり、前記インクジェットインクの粘度を上昇させて良好な吐出安定性を阻害したりするおそれがある。
記本発明の非水性のインクジェットインクは、例えばサーマル方式〔サーマルジェット(登録商標)方式、バブルジェット(登録商標)方式〕、ピエゾ方式等の、いわゆるオンデマンド型のインクジェットプリンタに使用できる他、インクを循環させながらインクの液滴を形成して印刷を行う、いわゆるコンティニュアス型のインクジェットプリンタにも使用可能である。
以下の実施例、比較例におけるインクジェットインクの調製、並びに評価試験を、特記した以外は温度25℃、相対湿度55%の環境下で実施した。
《非水性のインクジェットインク》
〈実施例
(樹脂溶液の調製)
ジエチレングリコールモノエチルエーテル(2EG−1E)13質量部をかく拌しながら、バインダ樹脂としての、懸濁重合法によって合成された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体〔日信化学工業(株)製のSOLBIN(登録商標)CL、数平均分子量Mn:25000、酢酸ビニル含量:14質量%〕4質量部を加えて分散させた後、ジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)26.5質量部を加えて前記共重合体を膨潤させた。
次にかく拌を続けながらジエチレングリコールエチルメチルエーテル(2EG−EM)15質量部を加えて前記共重合体を溶解させた後、アミド系溶剤(1)〔分子量:131.2、沸点:216℃、出光興産(株)製のエクアミド(登録商標)M100〕10質量部、ラジカル重合禁止剤としてのヒンダードアミン化合物〔チバ社製のイルガスタブ(登録商標)UV10〕0.5質量部、エポキシ化物としてのエポキシ化大豆油〔(株)ADEKA製のアデカサイザー(登録商標)O−130P〕0.5質量部、および金属配位化合物としての1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール0.5質量部を加えて樹脂溶液を調製した。
(顔料分散液の調製)
カーボンブラック4.5質量部をジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)25.5質量部に分散させて、顔料分散液(顔料濃度15質量%)を調製した。
(インクジェットインクの調製)
前記樹脂溶液70質量部に顔料分散液30質量部を加えて、均一相を形成するようにかく拌してインクジェットインクを調製した。
〈比較例
アミド系溶剤(1)に代えて、前記式(3)で表される化合物〔分子量:173.3、沸点:252℃、出光興産(株)製のエクアミドB100〕10質量部を加えたこと以外は実施例と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例
ラジカル重合禁止剤としてのヒンダードアミン化合物を加えず、かつジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)の量を52.5質量部としたこと以外は実施例と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例
バインダ樹脂として、懸濁重合法によって合成された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体に代えて、乳化重合法によって合成された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体〔ワッカーケミカル社製のVINNOL(登録商標)E15/45、重量平均分子量Mw:45000〜55000、酢酸ビニル含量:15.0±1.0質量%〕4質量部を加えたこと以外は実施例と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈比較例
アミド系溶剤(1)、およびラジカル重合禁止剤としてのヒンダードアミン化合物を加えず、かつジエチレングリコールエチルメチルエーテル(2EG−EM)の量を25質量部、ジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)の量を52.5質量部としたこと以外は実施例と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈比較例
アミド系溶剤(1)に代えて、N−メチル−2−ピロリドン10質量部を加えるとともに、ラジカル重合禁止剤としてのヒンダードアミン化合物を加えず、かつジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)の量を52.5質量部としたこと以外は実施例と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈比較例
アミド系溶剤(1)に代えて、γ−ブチロラクトン10質量部を加えるとともに、ラジカル重合禁止剤としてのヒンダードアミン化合物を加えず、かつジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)の量を52.5質量部としたこと以外は実施例と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈比較例
アミド系溶剤(1)に代えて、特許文献3の式(1)で表され、式中のR〜Rがいずれもエチル基である化合物〔特許文献3の段落[0065]の表1中の化合物番号1の化合物〕10質量部を加えるとともに、ラジカル重合禁止剤としてのヒンダードアミン化合物を加えず、かつジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)の量を52.5質量部としたこと以外は実施例と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈比較例
アミド系溶剤(1)に代えて、特許文献3の式(2)で表され、式中のR、Rがエチル基、Rが水素原子である化合物〔特許文献3の段落[0065]の表1中の化合物番号3の化合物〕10質量部を加えるとともに、ラジカル重合禁止剤としてのヒンダードアミン化合物を加えず、かつジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)の量を52.5質量部としたこと以外は実施例と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈比較例
アミド系溶剤(1)に代えて、特許文献3の式(3)で表され、式中のR、Rがエチル基である化合物〔特許文献3の段落[0065]の表1中の化合物番号4の化合物〕10質量部を加えるとともに、ラジカル重合禁止剤としてのヒンダードアミン化合物を加えず、かつジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)の量を52.5質量部としたこと以外は実施例と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈比較例
アミド系溶剤(1)に代えて、特許文献3の式(4)で表され、式中のXが−O−CH−CH−O−基、R10、R11がエチル基である化合物〔特許文献3の段落[0065]の表1中の化合物番号5の化合物〕10質量部を加えるとともに、ラジカル重合禁止剤としてのヒンダードアミン化合物を加えず、かつジエチレングリコールジエチルエーテル(2EG−2E)の量を52.5質量部としたこと以外は実施例と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈乾燥性試験〉
実施例、比較例で調製したインクジェットインクを、表面がポリ塩化ビニル樹脂によってコートされたターポリンの前記表面に、ワイヤーバー(ドクター0.10、直径0.10mmのピアノ線を金属棒に巻きつけたもの)を用いて塗布した。
そして温度25℃、相対湿度40%の環境下で静置して塗膜を徐々に乾燥させながら、前記塗膜を指でこすった際にインクジェットインクが指に付着しなくなるまでに要した時間を計測して、下記の基準で乾燥性を評価した。
◎:1.5分以内で乾燥した。乾燥性極めて良好。
×:1.5分経過時点では若干乾燥不足気味ないしは乾燥していなかった。乾燥性不良。
〈臭気試験〉
実施例、比較例のインクジェットインクを、表面がポリ塩化ビニル樹脂によってコートされたターポリンの前記表面に、前記ワイヤーバーを用いて塗布し、温度25℃、相対湿度40%の環境下で10分間静置したのち官能試験を実施して、下記の基準で臭気を評価した。
○:不快な臭気は殆ど感じられなかった。臭気なし。
×:不快な臭気が強く感じられた。臭気あり。
〈保存性試験〉
実施例、比較例のインクジェットインク約50gを、アルミニウムラミネート材からなる袋体(縦約8cm×横約9cm)内に注入して真空充てん、すなわち袋体内を脱気したのちヒートシールした。
次いで前記袋体を、インクジェットインクのゲル化の原因の1つと考えられる保管時の熱履歴を再現するため90℃の環境下に静置し、4日後に開封してゲル化の有無をインクジェットインクの粘度変化から求めた。すなわち袋体に充てんする前と袋体から取り出した後に、それぞれインクジェットインクの粘度を25℃、20rpmの条件で測定してその差を求め、下記の基準でゲル化の有無を評価した。
◎:粘度の差が2.0mPa・s未満であり、ゲル化は全く発生していないと判定した。
○:粘度の差が2.0mPa・s以上、3.0mPa・s未満であり、ゲル化は殆ど発生していないと判定した。
×:粘度の差が3.0mPa・s以上、または袋体から取り出したインクジェットインクがゲル化しているのが観察された。ゲル化が発生したと判定した。
以上の結果を表に示す。
Figure 0005851679
より、アミド系溶剤(1)を含む実施例1〜3のインクジェットインクは、前記アミド系溶剤(1)を含まない比較例のインクジェットインクや、アミド系溶剤(1)に代えて従来の他の溶剤を含む比較例1、3〜8のインクジェットインクに比べて乾燥性に優れるとともに、ゲル化の発生を抑制する効果に優れる上、他の溶剤として含窒素複素環化合物や含酸素複素環化合物を含む比較例3、4に比べて臭気が弱く安全衛生性にも優れていることが判った。
特に実施例、比較例を比較すると、アミド系溶剤(1)の方が、類似の式(3)で表される化合物よりもインクジェットインクの乾燥性を向上する効果に優れていることが判った。
さらに実施例1、2を比較すると、ラジカル重合禁止剤を加えることによりゲル化の発生をさらに有効に抑制できることが判った。
そして実施例1、3を比較すると、懸濁重合法によって合成された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、および乳化重合法合成された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のいずれにおいても同等の、ゲル化を抑制する効果が得られることが判った。

Claims (2)

  1. 顔料、式(1):
    Figure 0005851679
    で表されるアミド系溶剤、およびバインダ樹脂としての、懸濁重合法または乳化重合法によって合成されたポリ塩化ビニル系樹脂を少なくとも含む非水性のインクジェットインク。
  2. さらにハイドロキノン類、カテコール類、ヒンダードアミン化合物、フェノール類、フェノチアジン類、および縮合芳香族環のキノン類からなる群より選ばれた少なくとも1種のラジカル重合禁止剤を含む請求項に記載のインクジェットインク。
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