JP5806814B2 - インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジの製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5806814B2
JP5806814B2 JP2010278489A JP2010278489A JP5806814B2 JP 5806814 B2 JP5806814 B2 JP 5806814B2 JP 2010278489 A JP2010278489 A JP 2010278489A JP 2010278489 A JP2010278489 A JP 2010278489A JP 5806814 B2 JP5806814 B2 JP 5806814B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
weight
vinyl chloride
organic solvent
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010278489A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012126794A (ja
Inventor
山本 寛峰
寛峰 山本
敬之 細井
敬之 細井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oki Data Infotech Corp
Original Assignee
Oki Data Infotech Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oki Data Infotech Corp filed Critical Oki Data Infotech Corp
Priority to JP2010278489A priority Critical patent/JP5806814B2/ja
Publication of JP2012126794A publication Critical patent/JP2012126794A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5806814B2 publication Critical patent/JP5806814B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、インクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジ、及びインクカートリッジの製造方法に関する。特に懸濁重合によって製造された塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を含むインクジェット記録用インクに関する。
屋外掲示物等の用途に求められるインクジェット記録用インクは、耐光性および耐候性が重視される。このようなインクジェット記録用インクは着色材として顔料を用いた顔料インクジェット記録用インクが用いられる。通常、インクジェット記録用インクはインクカートリッジに格納された状態で供給される。
又、屋外に置かれるので、記録媒体も耐光性および耐候性が重要視され、ポリ塩化ビニル樹脂基材(以下、PVC基材と記載する)が用いられる。このような記録媒体に記録するためのインクジェット記録用インクは、一般的な水に水溶性染料等の着色剤を加えた水性インクジェット記録用インクではなく、溶媒として有機溶剤を使用したインクジェット記録用インクが主に使用されている。一般オフィスなどの事務所においてもインクジェット記録用インクを用いた記録装置が使用されるため、有機溶剤はより安全性、有害性、臭気を配慮しなければならなく、インクジェット記録用インクの主溶剤はグリコールモノアセテート類、グリコールエーテル類が使用されるのが一般的である。更に、コストの面からプリント速度の高速化、及び、印字物の速乾性が求められる。そのためには、インクジェット記録用インクは、特に記録ヘッドによる高周波領域で駆動した場合の安定的な吐出性能及び印字物の乾燥性に優れている必要がある。
インクジェット記録用インクのバインダ樹脂は、PVC基材に対して密着性が優れる塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(以下、塩酢ビ樹脂と記載する)が使用されることが多い。塩酢ビ樹脂は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などのいくつかの製法が有り、溶液重合によって製造された塩酢ビ樹脂は樹脂粒子に空隙があり有機溶剤を樹脂内部に浸透しやすく、ほぐれるように溶解するため比較的弱い加熱撹拌でも容易に溶解させることができるため、広く使用されてきた。しかし、近年、塩酢ビ樹脂の製造方法は地球環境の観点から、溶媒に有機溶剤を用いる溶液重合から水を用いる懸濁重合に移行しており、溶液重合の塩酢ビ樹脂は製造中止となる場合もある。そのため、懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂を使いこなす必要性が高まってきた。ところが、懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の樹脂粒子は溶液重合によって製造された塩酢ビ樹脂の樹脂粒子に見られるような空隙はほとんどなく、樹脂表面から徐々に溶解するため、なかなか樹脂内部に溶剤が浸透できなく、前記有機溶剤に対して溶解性が低下する。
更に、一般的に懸濁重合で塩酢ビ樹脂を製造する際に水溶性の分散剤が使用されており、該塩酢ビ樹脂の前記有機溶剤に対しての溶解性を低下させる原因となる。水溶性の分散剤として、例えば、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースなどの水溶性セルロースエーテル、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性セルロースエステル、部分ケン化ポリビニルアルコール、アクリル酸重合体、ゼラチンなどの水溶性ポリマーなどの水溶性樹脂が用いられることが一般的である。このような分散剤は特定の有機溶剤には溶解しづらく、添加量によっては残留して有機溶剤への塩酢ビ樹脂の溶解を妨げることもある。
塩酢ビ樹脂の溶解が不十分だと、塩酢ビ樹脂の一部はゲル状の未溶解成分となる。インクジェット記録用インク中にゲル状の未溶解成分が多く含まれていると記録ヘッドから吐出されるインク滴の安定的な吐出性能を維持することが困難となる。更に、インクジェット記録用インク中の溶存酸素量が高い場合、キャビテーションが発生しやすくなり、吐出性能の低下がより顕著になる。更に、10.5kHz以上の高周波数で記録ヘッドからインク滴を吐出させた場合、前記の問題がより顕著になる。更に、記録用ヘッドのノズル口近傍へゲル状の未溶解成分が付着し、インク滴が曲がって吐出されることで発生する着弾ずれや、ノズル口詰まりによってインクが吐出されなくなることで印字物の品質を低下させる原因になるばかりか、記録ヘッド内にゲル状の未溶解成分が詰まり正常にインクが供給できなくなる原因にもなりうる。更に、ゲル状の未溶解成分はインクジェット記録用インク中の顔料と物理的に結合してしまい、顔料分散性も損なわせてしまうこともあり、インクの保存安定性へ悪影響を及ぼす原因となりうる。
ゲル状の未溶解成分は柔らかく変形、分裂するので、インクの濾過で十分に除去するのは極めて困難であり、インクを濾過した場合でもインク中に該ゲル状の未溶解成分が残る。そのため、ゲル状の未溶解成分は十分に溶解させる必要がある。
例えば、特許文献1にはバインダ樹脂として塩酢ビ樹脂を用い、特定の構造の有機溶剤と、ラクトン系化合物を併用したインクジェット記録用インクが開示されている。
又、例えば、特許文献2にはバインダ樹脂として塩酢ビ樹脂を用い、有機溶剤としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(以下、MEDGと記載する)とジエチレングリコールジエチルエーテル(以下、DEDGと記載する)とテトラエチレングリコールジメチルエーテル(以下、DMTeGと記載する)を併用したインクジェット記録用インクが開示されている。
更に、例えば、特許文献3にはバインダ樹脂として塩酢ビ樹脂を用い、有機溶剤としてDEDG、3−メチル−2−オキサゾリジノン(以下、MOZと記載する)、DMTeG併用したインクジェット記録用インクが開示されている。
特開2007−23265号公報 特開2009−74034号公報 特開2008−101153号公報
しかしながら、特許文献1のインクジェット記録用インクは、バインダ樹脂として塩酢ビ樹脂が用いられている。しかし、バインダ樹脂が懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の場合、ゲル状の未溶解成分がインク中に残る。塩酢ビ樹脂を十分に溶解させるために溶解性の高いラクトン系化合物を増量させることが考えられるが、ラクトン系溶剤を多く用いるとPVC基材の表面を溶解しすぎてしまい印字物表面の光沢性を損なう。更に、前記特定の構造の有機溶剤の少なくとも一部は臭気が強いという課題がある。
又、特許文献2のインクジェット記録用インクは、バインダ樹脂として塩酢ビ樹脂が用いられている。しかし、バインダ樹脂が懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の場合、DEDG、DMTeGは塩酢ビ樹脂の溶解性に乏しい上、塩酢ビ樹脂の溶解性が高いMEDGが溶剤組成の50重量%以下であるため、懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の溶解が不十分となり、ゲル状の未溶解成分がインクジェット記録用インク中に残る。懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂を十分に溶解させるために溶解性が高いMEDGを増加させることが考えられるが、40重量%を超えると光沢性が低下するおそれがあるとしている。しかし、MEDGは揮発性が高いため単純にMEDGの増加が原因でPVC基材の表面を溶解しすぎてしまい印字物面の光沢性が低下することはない。理由は定かではないが、他の添加剤と関係が原因となって光沢性が低下していると考えられる。例えば、MEDGを増加することで顔料分散性が低下し、顔料が凝集することで印字物面に凹凸が発生することで光沢感が損なわれる可能性が考えられる。
更に、特許文献3のインクジェット記録用インクはバインダ樹脂として塩酢ビ樹脂が用いられている。しかし、バインダ樹脂が懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の場合、DEDG、MOZ、DMTeGは塩酢ビ樹脂の溶解性に乏しく、懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の溶解が不十分となり、ゲル状の未溶解成分がインクジェット記録用インク中に残る。そのためインクの吐出不良生じる場合がある。
そこで、本発明の目的は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂を用いて、低臭気で、且つ、PVC基材に対して優れた密着性、高周波領域で記録ヘッドを駆動した場合の安定的な吐出性能、印字物の乾燥性を有するインクジェット記録用インク、及び、インクカートリッジを提供する。
本発明のインクカートリッジは、上述のインクジェット記録用インクを格納したパウチと、前記パウチを格納するケースと、を有することを特徴とする。
本発明のインクジェット記録用インクの製造方法は、
ジエチレングリコールエチルメチルエーテルが50重量%以上含有する有機溶剤に懸濁重合よって製造された塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を溶解させる処理工程を含み、顔料を含むインクジェット記録用インクの製造方法であって、
前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂が前記インクジェット記録用インクに対して4〜重量%含有し、前記ジエチレングリコールエチルメチルエーテルに対する前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の濃度が10重量%以下であり、アクリル系樹脂をさらに含有し、該アクリル系樹脂が、3.0≦((前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の重量%)/(前記アクリル系樹脂の重量%))≦4.0の式で表す範囲内であり、前記有機溶剤は副溶剤として3−メチル−2オキサゾリジノンとテトラエチレングリコールジメチルエーテルを含有し、該副溶剤が前記有機溶剤の中に7重量%以上10重量%以下となる調製工程を含み、前記インクジェット記録用インクが、メッシュサイズが8μmであり、直径が35mmの円形のメッシュフィルタを用いる自重濾過による濾過をした場合に、200ml当たり前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液中のゲル状の未溶解成分が、1個以上10個未満捕捉されることを特徴とする。
本発明のインクカートリッジの製造方法は、上述のインクジェット記録用インクの製造方法によってインクジェット記録用インクを製造する工程と、該工程で製造されたインクジェット記録用インクをパウチに格納する工程と、前記パウチをケースに格納する工程と、を有することを特徴とする。
懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂を用いて、低臭気で、且つ、PVC基材に対して優れた密着性、高周波領域で記録ヘッドを駆動した場合の安定的な吐出性能、印字物の乾燥性を有するインクジェット記録用インク、及び、インクカートリッジの提供が可能となる。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係るインクカートリッジの分解斜視図である。
以下に、本発明の実施形態を具体的に説明する。
本発明のインクジェット記録用インクは、塩酢ビ樹脂と、有機溶剤と、顔料と、顔料分散剤を含有することが必要である。更に、本発明のインクジェット記録用インクは、低臭気であることが必要である。
本発明のインクジェット記録用インクは、PVC基材との密着性をもたせるためにバインダ樹脂を含有する。バインダ樹脂は通常のインクジェット記録用インクに用いられているバインダ樹脂でよく、特には限定されないが、塩酢ビ樹脂を含むことが、記録媒体の基材との密着性が向上するため好ましい。またさらにバインダ樹脂としてポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂等の他の樹脂をインクの使用目的に応じて含ませることができる。屋外掲示物等に使用されるPVC基材として使用されているポリ塩化ビニルへの密着性には塩酢ビ樹脂が特に好ましい。
塩酢ビ樹脂は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などのいくつかの製法が有る。溶液重合によって製造された塩酢ビ樹脂の具体例として、ダウケミカルズ社製のユーカーソリューションビニル樹脂VYHD、VYHH、VMCA等が挙げられる。懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の具体例として、日信化学工業社製ソルバインCL、CNL、C5R、TA3、TA5Rやワッカーケミー社製ビノールH14/36、H15/45などが挙げられる。製造方法は地球環境の観点から、溶媒に有機溶剤を用いる溶液重合よりも水を用いる懸濁重合の方が優れるため好ましい。
懸濁重合により製造された塩酢ビ樹脂の分子量Aは20000≦A≦30000の範囲が好ましい。分子量Aが20000未満の場合、PVC基材への密着性が低下するため印字物の薬品耐性や物理耐性を損なうため好ましくない。分子量Aが30000を超える場合、記録ヘッドによる安定的な吐出性能を損なうため好ましくない。更に、懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂のMEDGに対する濃度は10重量%以下にするのが好ましい。10重量%を超える場合は、加熱攪拌による溶解のみでは溶解性が不十分となり、ゲル状の未溶解成分が残るため好ましくない。
又、前記塩酢ビ樹脂と他種のバインダ樹脂を併用できる。例えば、スチレン−アクリル樹脂なども含むアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、メラミン、ベンゾグアナミン等のアミノ樹脂、ポリアミド樹脂、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ニトロセルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアンエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボシキエチルセルロース、アミノエチルセルロース等のセルロースエーテル樹脂等を挙げることができるが、変性アクリル系共重合物と併用するのが好ましい。理由は定かではないが、記録ヘッドのノズルの乾燥性防止を目的とした溶剤を併用した場合、印字物の乾燥性が低下する傾向が有るが、アクリル系樹脂を併用することで印字物の乾燥性を改善することができる。アクリル系樹脂の具体例として、BASF社製ジョンクリル67、586、611、678、680、682、683、690等が挙げられる。
アクリル系樹脂の分子量Bは1000≦B≦20000の範囲が好ましく、分子量が1000≦B≦10000の範囲が特に好ましい。分子量が1000未満の場合、印字物の乾燥性が低下するため好ましくない。分子量が20000を越える場合は、安定的な吐出性能を損なうため好ましくない。分子量4600の変性アクリル系共重合物が特に好適である。バインダ樹脂中の塩酢ビ樹脂とアクリル系樹脂の比率は、1.0≦((塩酢ビ樹脂の重量%)/(アクリル系樹脂の重量%))≦5.0、の比率の範囲が好ましく、3.0≦((塩酢ビ樹脂の重量%)/(アクリル系樹脂の重量%))≦4.0、の比率の範囲が特に好ましい。アクリル系樹脂の重量%が塩酢ビ樹脂の重量%を超えてしまうと、PVC基材に対しての密着性や印字物の伸張性が損なわれてしまうため好ましくない。
インクジェット記録用インク中の懸濁重合により製造された塩酢ビ樹脂の含有量Cは、4重量%≦C≦9重量%の範囲が好ましい。インクジェット記録用インク中における懸濁重合により製造された塩酢ビ樹脂の含有量が4重量%より少ない場合は、PVC基材との密着性が不足する可能性があり、9重量%より多い場合は、インクジェット記録用インクの粘度が高くなり安定的な吐出性能が維持できず好ましくない。
本発明のインクジェット記録用インクは有機溶剤を含有する。以下に有機溶剤の懸濁重合により製造された塩酢ビ樹脂の溶解性、溶剤の揮発性、溶剤の臭気性の評価方法を説明する。
溶解性は、懸濁重合により製造された塩酢ビ樹脂を有機溶剤に溶かした樹脂溶液中のゲル状の未溶解成分の個数測定試験で評価することができる。樹脂濃度、及び、溶剤種は最終的なインクジェット記録用インクと極力同様にするのが好ましい。又、懸濁重合により製造された塩酢ビ樹脂の溶解手法、及び、条件についても同様である。
懸濁重合により製造された塩酢ビ樹脂溶液中のゲル状の未溶解成分の個数測定試験は、樹脂溶液の自重濾過による濾過でフィルタに捕捉されるゲル状の未溶解成分の個数を測定することで溶剤を評価することができる。例えば、フィルタに捕捉されるゲル状の未溶解成分の個数は、メッシュフィルタのメッシュサイズで異なるが、直径35mmの円形の8μmメッシュの場合、以下の基準で判断できる。
懸濁重合により製造された塩酢ビ樹脂溶液が200ml当たり、ゲル個数は10個未満が好ましく、より好ましくは5個未満である。10個以上捕捉された場合は安定的な吐出性能を得られなくなるため好ましくない。
揮発性は、揮発した有機溶剤の量を測定して、揮発性試験前後の変化率で評価することができる。例えば、インクジェット記録用インクで配合する有機溶液系にて、直径60mmのシャーレに1.5gの有機溶剤を加え、シャーレの底面を60℃に加熱した場合、以下の基準で判断できる。20分後揮発重量は10重量%以上揮発していることが好ましく、15重量%以上揮発していることが特に好ましい。10重量%未満の場合は乾燥性が低下するため好ましくない。
臭気性は、揮発する有機溶剤の臭気を官能的に評価することができる。例えば、インクジェット記録用インクで配合する有機溶液系にて、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製)を用いて45℃に保温されたPVC基材に塗布する。臭気性は、塗布面から揮発する有機溶剤の臭気が強い、不快と感じないことが好ましく、塗布面から揮発する有機溶剤の臭気が強い、不快と感じる場合は好ましくない。
上記の方法により選定を行った結果、グリコールエーテル類であるMEDGが懸濁重合により製造された塩酢ビ樹脂の溶解性、溶剤の揮発性、溶剤の臭気性に優れており、インクジェット記録用インクに使用する有機溶剤総量中の50重量%以上含有することで、低臭気で生産性に優れるインクジェット記録用インクを提供できることを見出した。
又、インクジェット記録用インクには印刷インキ、塗料等に使用される種々の有機溶剤をMEDGの懸濁重合により製造された塩酢ビ樹脂溶解性、揮発性、臭気性を損なわない範囲で併用するが可能である。
例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、トリデシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコール等のアルコール類。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類。エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソプロピレン、酢酸n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジアセトンアルコール等のケトン類などが挙げられる。その他にトルエン、キシレンなどの芳香族化合物、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、アセトニトリルなどの含窒素化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどのオキサゾリジノン類などが挙げられる。
例えば、MEDGは、粘度調整、表面張力調整、ノズルの乾燥性を調整する目的としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(以下、BGAcと記載する)、γ−ブチロラクトン(以下、GBLと記載する)、MOZ、DMTeGを併用することができる。BGAcは有機溶剤総量中の30重量%以下で併用するのが好ましく、25重量%以下が特に好ましい。臭気が強いBGAcは、30重量%を超えて併用するとインクジェット記録用インクが低臭気でなくなるので好ましくない。
GBLは有機溶剤総量中の15重量%以下で併用することが好ましく、10重量%以下が特に好ましい。GBLは懸濁重合の塩酢ビ樹脂の溶解性はMEDGよりも低いが、揮発性がMEDGよりも低いためPVC表面、及び、内部に残留しやすい。よって、15重量%以上を越えて併用すると印字物の光沢性を損なうため好ましくない。
MOZ、DMTeGを単独、又は、同時に併用する場合、これらの合計が有機溶剤総量中の15重量%以下で併用することが好ましく、10重量%以下が特に好ましい。15重量%を超えると乾燥性が低下するため好ましくない。MOZ、DMTeGを溶解性有機溶剤総量中の15重量%以下で併用する場合は、印字物の乾燥性を向上する目的として塩酢ビ樹脂とアクリル系樹脂を併用すると特に良い。
本発明のインクジェット記録用インクに使用する顔料は、印刷インキ、塗料等に使用される種々の顔料を使用することができる。
例えば、ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、94、95、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、ピグメントオレンジ16、36、38、43、51、55、59、61、64、65、71、ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、149、168、177、178、179、206、207、209、242、254、255、ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、30、64、80、ピグメントグリーン7(塩素化フタロシアニングリーン)、36(臭素化フタロシアニングリーン)、ピグメントブラウン23、25、26、ピグメントブラック7(カーボンブラック)、26、27、28等、があげられる。顔料の具体例としては、LIONOL BLUE FG−7400G(東洋インキ製造社製 フタロシアニン顔料)、YELLOW PIGMENT E4GN(バイエル社製 ニッケル錯体アゾ顔料)、Cromophtal Pink PT(BASF社製 キナクリドン顔料)、ELFTEX 415(キャボット社製 カーボンブラック)、Fastogen Super Magenta RG(DIC社製 キナクリドン顔料)、YELLOW PIGMENT E4GN(ランクセス社製 ニッケル錯体アゾ顔料)、モナーク1000(キャボット社製 カーボンブラック)、イルガライトブルー8700(BASF社製 フタロシアニン顔料)、E4GN−GT(ランクセス社製 ニッケル錯体アゾ顔料)などが挙げられる。
顔料の配合量は、使用する顔料の種類等により任意に決定できるが、通常はインク中における含有量は0.1〜15重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%である。顔料の平均粒子径は、50〜400nmが好ましく、より好ましくは80〜300nmである。平均粒子径はレーザー回折式粒度分布測定器を用いて平均粒子経(d50)を測定したものである。
本発明のインクジェット記録用インクに使用する顔料分散剤は、ポリアミド系樹脂、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
顔料分散剤の具体例としては、ルーブリゾール社製のソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000(アポリアルキレンイミン系)、32000(ポリエステルポリアミド系)、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、PB822(塩基性分散剤)などが挙げられる。
本発明のインクジェット記録用インクに使用する添加剤は、可塑剤、表面調整剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤等を使用することができる。
又、このインクジェット記録用インクはインクジェットプリンタではインクカートリッジに格納された状態で使用される。図1を用いてインクカートリッジの説明をする。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係るインクカートリッジの分解斜視図である。
インクカートリッジ1は、インクジェット記録用インクを内部に収容した可撓性のパウチ(インク袋)2と、該パウチ2を収容する上ケース3、下ケース4とを備えている。パウチ2内には、インクジェット記録用インクが格納されている。上ケース3としたケース4を嵌め合わせ、パウチ2を内部に格納する。パウチ2は、ガスバリヤー性の向上のためにアルミ箔を2枚のフィルム、例えば、外側をナイロンフィルム、内側をポリエチレンフィルムによって挟み込んだアルミラミネートフィルムを2枚重ね合わせ、周囲を熱溶着等によって接合することで構成されている。パウチ2の一端には、内部に収容されているインクを外部に排出するインク取出口5を備えている。パウチ2内のインクを外部に供給する為に下ケース4にはインク取出口5が露出する穴が設けられている。このインクカートリッジは、パウチ2にインクジェット記録用インクを充填し格納する工程と、そのパウチ2を上ケース3としたケース4に格納する工程とを含む工程によって製造される。また、インクの充填は、真空槽の中でパウチ2の開口部からインクを入れ、脱気し、その開口部を封止する工程を含むことが好ましい。インクジェット記録用インクを収容する図1で示されるインクカートリッジは、本発明のインクカートリッジの好ましい実施形態であるが、本発明のインクカートリッジはこの形態のインクカートリッジに限られない。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」を表す。
(インクジェット記録用インクの調製)
インクジェット記録用インクの組成を表1にまとめる。インクジェット記録用インクは合計が100部になるようにバインダ樹脂、有機溶剤、顔料、顔料分散剤を調製した。予め顔料を分散させた顔料分散体に溶剤及び懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂を添加し、60℃に過熱しながら攪拌機を用いて1200rpmの回転速度で4時間撹拌した。
(実施例1)
有機溶剤はMEDGを45.0部、BGAcを13.7部、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(以下、MDGと記載する)を28.3部、顔料はフタロシアニン顔料を4.0部、顔料分散剤はアポリアルキレン系顔料分散剤を4.0部、バインダ樹脂は懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂(日信化学工業社製ソルバインCL 分子量25000)を5.0部使用したインクを作成した。
有機溶剤総量中のMEDGの量は51.7重量%、BGAcは15.7重量%、MDGは32.5重量%である。MEDGに対する塩酢ビ樹脂の濃度は10.0重量%である。
(実施例2)
有機溶剤はMEDGを70.8部、GBLを6.4部、DEDGを13.8部、顔料はフタロシアニン顔料を1.0部、顔料分散剤はアポリアルキレン系顔料分散剤を1.0部、バインダ樹脂は懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂(日信化学工業社製ソルバインCL 分子量25000)を7.0部使用したインクを作成した。
有機溶剤中のMEDGの量は77.8重量%、GBLは7.0重量%、DEDGは15.2重量%である。MEDGに対する塩酢ビ樹脂の濃度は9.0重量%である。
(実施例3)
有機溶剤はMEDGを80.0部、MOZを4.0部、DMTeGを4.0部、顔料はフタロシアニン顔料を1.0部、顔料分散剤はアポリアルキレン系顔料分散剤を1.0部、バインダ樹脂は懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂(日信化学工業社製ソルバインCL 分子量25000)を8.0部、変性アクリル系共重合物(BASF社製JONCRYL586 分子量4600)を2.0部使用したインクを作成した。
有機溶剤中のMEDGの量は91.0重量%、MOZは4.5重量%、DMTeGは4.5重量%である。MEDGに対する塩酢ビ樹脂の濃度は9.1重量%である。
(実施例4)
有機溶剤はMEDGを66.4部、DGを19.6部、顔料はフタロシアニン顔料を4.0部、顔料分散剤はアポリアルキレン系顔料分散剤を4.0部、バインダ樹脂は懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂(日信化学工業社製ソルバインCL 分子量25000)を4.5部、変性アクリル系共重合物(BASF社製JONCRYL586 分子量4600)を1.5部使用したインクを作成した。
有機溶剤中のMEDGの量は77.2重量%、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(以下、DGと記載する)は22.8重量%である。MEDGに対する塩酢ビ樹脂の濃度は6.3重量%である。
(比較例1)
MEDGを34.8部に、MDGを38.5部に変更した以外は実施例1と同様なインクを作成した。
有機溶剤中のMEDGの量は40.0重量%、BGAcは15.7重量%、MDGは44.3重量%である。MEDGに対する塩酢ビ樹脂の濃度は12.6重量%である。
(比較例2)
有機溶剤はMEDGを48.5部、DGを37.5部、顔料はフタロシアニン顔料を4.0部、顔料分散剤はアポリアルキレン系顔料分散剤を4.0部、バインダ樹脂は懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂(日信化学工業社製ソルバインCL 分子量25000)を6.0部使用したインクを作成した。
有機溶剤中のMEDGの量は56.4重量%、DGは43.6重量%である。MEDGに対する塩酢ビ樹脂の濃度は11.0重量%である。
(比較例3)
有機溶剤はMEDGを39.0部、MDGを24.5部、DGを5.8部、DMTeGを17.3部、顔料はフタロシアニン顔料を4.0部、顔料分散剤はアポリアルキレン系顔料分散剤を4.0部、バインダ樹脂は懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂(日信化学工業社製ソルバインCL 分子量25000)を4.0部、変性アクリル系共重合物(BASF社製JONCRYL586 分子量4600)を1.4部使用したインクを作成した。
有機溶剤中のMEDGの量は45.0重量%、MDGは28.3重量%、DGは6.7重量%、DMTeGは20.0重量%である。MEDGに対する塩酢ビ樹脂の濃度は9.3重量%である。
Figure 0005806814
得られたインクジェット記録用インクを臭気性試験、乾燥性試験、薬品耐性試験、物理耐性試験、光沢性試験、保存安定性試験、連続吐出性能試験、間欠吐出性能試験を行った。試験結果は下記の基準で評価した。評価結果は表2に示すとおりである。
Figure 0005806814
<臭気性試験>
インクジェット記録用インクを、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製)を用いて45℃に保温されたPVC基材に塗布し、塗布面から揮発する溶剤の臭気を官能的に評価した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:塗布面から揮発する溶剤の臭気を不快臭と感じなかった。
×:塗布面から揮発する溶剤の臭気を不快臭と感じた。
<乾燥性試験>
インクジェット記録用インクを、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製)を用いてPVC基材に塗布し25℃で静置して、塗布面を指で擦り張付き感がなくなるまでの時間を測定した。乾燥性試験は官能的に評価した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:10分未満で張付き感が無くなった。
△:10分以上13分未満で張付き感が無くなった。
×:13分以上で張付き感が無くなった。
<薬品耐性試験>
インクジェット記録用インクを、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製)を用いてPVC基材に塗布し25℃で2日間乾燥させた。乾燥した塗布面を、以下の薬品をそれぞれ浸漬させた綿棒で20回擦り耐性を評価した。耐性評価に使用した薬品は、80%エタノール水溶液、中性洗剤、アルカリ洗剤、酸素系漂白剤、塩素系漂白剤である。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:すべての薬品で塗布面から綿棒へ色移りしなかった。
△:いくつかの薬品で塗布面から綿棒へ色移りした。
×:すべての薬品で塗布面から綿棒へ色移りした。
<物理耐性試験>
インクジェット記録用インクを、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製))を用いてPVC基材に塗布し25℃で2日間乾燥させた。乾燥した塗布面を、以下の試験方法で耐性を評価した。用いた試験方法は、塗布面を試験用布片(JIS染色堅ろう度試験用)で50往復擦る擦過試験、塗布面のクロスカット試験、塗布面を折り曲げる耐折曲げ試験、塗布面同士を50回擦る耐もみ試験である。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:塗布面がすべての方法で剥れなかった。
△:塗布面がいくつかの方法で剥れた。
×:塗布面がすべての方法で剥れた。
<光沢性試験>
インクジェット記録用インクを、6番のメイヤーバー(R.D.Specialties社製)を用いてPVC基材に塗布し25℃で2日間乾燥させた。乾燥した塗布面を、BYK−Gardner社製の光沢度計micro−TRI−glossを用いて測定角度60°の光沢を測定した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:光沢度は60以上であった。
△:光沢度は20以上60未満であった。
×:光沢度は20未満であった。
<インク保存安定性試験>
インクジェット記録用インクを、60℃で1週間保存させ、保存前後の粘度、顔料の粒子径を測定して変化率を測算出した。インクジェット記録用インクの粘度は、東機産業社製の粘度計VISCOMETER TV−33にて測定した。インクジェット記録用インクの顔料の粒子径は、大塚電子社製のレーザー回折式粒度分布測定器FPAR−1000Kを用いて平均粒子経(d50)を測定した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:粘度及び粒子径共に変化率が±10%未満であった。
△:粘度及び粒子径の少なくとも一方の変化率が±10%以上であった。
×:粘度及び粒子径共に変化率が±10%以上であった。
<連続吐出性能試験>
エスアイアイプリンテック社製記録用グレースケールヘッドによる連続吐出性能評価をした。インクジェット記録用インクを、2ドロップ、吐出周波数18.5kHzで連続吐出可能な時間を測定した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:20秒以上連続吐出ができた。
△:10秒以上20秒未満正常に連続吐出ができた。
×:10秒未満正常に連続吐出ができた。
<ノズル乾燥性試験>
エスアイアイプリンテック社製記録用グレースケールヘッドによる間欠吐出性能評価をした。吐出の時間間隔が空くとインクが乾燥し吐出不良が生じる。そこで、インクジェット記録用インクを、2ドロップ、吐出周波数18.5kHzにて吐出不良を起こさない無吐出時間を測定した。結果は以下のように分類し、表中に示した。
○:無吐出時間が5秒以上でも正常に吐出が再開できた。
△:無吐出時間が3秒以上5秒未満で正常に吐出が再開できた。
×:無吐出時間が3秒未満で正常に吐出が再開できた。
ここで、実施例と比較例を比較する。
比較例1はインクに含有されているMEDGが有機溶剤総量中の50重量%以下であり、MEDGに対する懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂濃度が10重量%を超えるためインクの乾燥性、インクの保存安定性、連続吐出性能が不良であることが分かる。
比較例2はインクに含有されているMEDGが有機溶剤総量中の50重量%以上ではあるが、MEDGに対する懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の濃度が10重量%を超えるためインクの保存安定性、連続吐出性能が不良であることが分かる。
比較例3はバインダ樹脂中の懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂と変性アクリル系共重合物の比率が2.9、且つ、懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の濃度が10重量%以下ではあるが、インクに含有されるMEDGが有機溶剤総量中の50重量%以下であり、DMTeGが有機溶剤総量中の15重量%を越えるためインクの乾燥性が不良であることが分かる。
実施例1はインク中のMEDGが有機溶剤総量中の50重量%以上含有され、MEDGに対する懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の濃度が10重量%以下であるので、臭気性、印字物の乾燥性、印字物の薬品耐性、印字物の物理耐性、印字物の光沢性、インクの保存安定性、連続吐出性能、ノズル乾燥性の全ての特性で良好な結果となることが分かる。
実施例2はインク中に含有されているMEDGが有機溶剤中の50重量%以上であり、GBLが有機溶剤中の15重量%以下であり、MEDGに対する懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の濃度が10重量%以下であるので、臭気性、印字物の乾燥性、印字物の薬品耐性、印字物の物理耐性、印字物の光沢性、インクの保存安定性、連続吐出性能、ノズル乾燥性の全ての特性で良好な結果となることが分かる。
実施例3はバインダ樹脂中の懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂と変性アクリル系共重合物の比率が4であり、インク中に含有されているMEDGが有機溶剤中の50重量%以上あり、MOZ、DMTeGの合計が有機溶剤総量中の15重量%以下であり、MEDGに対する懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂の濃度が10重量%以下であるので、臭気性、印字物の乾燥性、印字物の薬品耐性、印字物の物理耐性、印字物の光沢性、インクの保存安定性、連続吐出性能、ノズル乾燥性の全ての特性で良好な結果となることが分かる。
実施例4はバインダ樹脂中の懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂と変性アクリル系共重合物の比率が3であり、インク中に含有されているMEDGが有機溶剤中の50重量%以上であるので、臭気性、印字物の乾燥性、印字物の薬品耐性、印字物の物理耐性、印字物の光沢性、インクの保存安定性、連続吐出性能、ノズル乾燥性の全ての特性で良好な結果となることが分かる。
以上のことから、懸濁重合により製造された塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂がインクジェット記録用インク中に4〜9重量%含有し、且つ、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルが有機溶剤総量中に50重量%以上含有するインクジェット記録用インクが好適なインクであることが分かる。
また、上述の比較により、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルに対する懸濁重合によって製造された塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の濃度が10重量%以下であることが望まれることが分かる。
表2に示す結果を比較することで、懸濁重合によって製造された塩酢ビ樹脂を用いて、低臭気で、且つ、PVC基材に対して優れた密着性、高周波領域で記録ヘッドを駆動した場合の安定的な吐出性能、印字物の乾燥性を有したインクジェット記録用インク、及び、インクカートリッジを提供できることが分かる。
本発明のインクジェット記録用インクは、特にラージフォーマットを用いたサインディスプレイ等の屋外用看板等に使用する大型インクジェットプリンタに好適に適用できる。
1 インクカートリッジ1
2 パウチ
3 上ケース
4 下ケース
5 インク取出口

Claims (2)

  1. ジエチレングリコールエチルメチルエーテル50重量%以上含有する有機溶剤に懸濁重合よって製造された塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を溶解させる処理工程を含み、顔料を含むインクジェット記録用インクの製造方法であって、
    前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂が前記インクジェット記録用インクに対して4〜8重量%含有し、前記ジエチレングリコールエチルメチルエーテルに対する前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の濃度が10重量%以下であり、アクリル系樹脂をさらに含有し、該アクリル系樹脂が、3.0≦((前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂の重量%)/(前記アクリル系樹脂の重量%))≦4.0の式で表す範囲内であり、前記有機溶剤は副溶剤として3−メチル−2オキサゾリジノンとテトラエチレングリコールジメチルエーテルを含有し、該副溶剤が前記有機溶剤の中に7重量%以上10重量%以下となる調製工程を含み、前記インクジェット記録用インクが、メッシュサイズが8μmであり、直径が35mmの円形のメッシュフィルタを用いる自重濾過による濾過をした場合に、200ml当たり前記塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液中のゲル状の未溶解成分が、1個以上10個未満捕捉されることを特徴とするインクジェット記録用インクの製造方法。
  2. 請求項1に記載のインクジェット記録用インクの製造方法によってインクジェット記録用インクを製造する工程と、
    該工程で製造された該インクジェット記録用インクをパウチに格納する工程と、
    前記パウチをケースに格納する工程と、を有するインクカートリッジの製造方法。
JP2010278489A 2010-12-14 2010-12-14 インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジの製造方法 Expired - Fee Related JP5806814B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010278489A JP5806814B2 (ja) 2010-12-14 2010-12-14 インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010278489A JP5806814B2 (ja) 2010-12-14 2010-12-14 インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012126794A JP2012126794A (ja) 2012-07-05
JP5806814B2 true JP5806814B2 (ja) 2015-11-10

Family

ID=46644202

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010278489A Expired - Fee Related JP5806814B2 (ja) 2010-12-14 2010-12-14 インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5806814B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105452399A (zh) * 2013-08-07 2016-03-30 阪田油墨股份有限公司 非水性喷墨用油墨组合物及用其所得到的印刷物
JP6610921B2 (ja) * 2014-03-27 2019-11-27 セイコーエプソン株式会社 非水系インクジェットインク組成物、インク収容体、インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置
JP6780915B2 (ja) * 2015-03-10 2020-11-04 セイコーエプソン株式会社 溶剤系インクジェットインク組成物
JP6707849B2 (ja) * 2015-12-09 2020-06-10 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4739079B2 (ja) * 2006-03-30 2011-08-03 株式会社セイコーアイ・インフォテック インクカートリッジ及び記録装置
JP4882663B2 (ja) * 2006-10-20 2012-02-22 東洋インキScホールディングス株式会社 非水性インクジェットインキ、およびインキセット
JP2010241938A (ja) * 2009-04-03 2010-10-28 Toyo Ink Mfg Co Ltd インキ組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012126794A (ja) 2012-07-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5402641B2 (ja) 非水系インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP5136406B2 (ja) 非水系インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP6572548B2 (ja) 非水系インクジェットインク組成物
JP2007291257A (ja) 非水系インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP6641653B2 (ja) インクジェットインク
JP5806814B2 (ja) インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジの製造方法
JP2009270043A (ja) 非水系インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP2012233086A (ja) インク用溶媒、インク用溶媒の製造方法、インクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジ、インクカートリッジの製造方法
JP6040648B2 (ja) インクジェットインキ組成物
JP5298455B2 (ja) 非水系インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP6024040B2 (ja) 非水性インクジェットインクおよびインクセット
JP6916094B2 (ja) インクジェットインク
JP2008274034A (ja) 非水系インクジェットインク及びインクジェット記録方法
JP2008075044A (ja) 非水系インクジェットインク
JP5806820B2 (ja) インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジの製造
JP2010053277A (ja) 非水系インクジェットインク及びインクジェット記録方法
US8622537B2 (en) Solvent for ink, method for producing solvent for ink, ink for inkjet recording, method for producing ink for inkjet recording, ink cartridge, and method for producing ink cartridge
JP5845480B2 (ja) インク用溶媒の製造方法、インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジの製造方法
JP2001207089A (ja) インクジェット記録用水性顔料インキ
JP2002121446A (ja) インク組成物
JP2005272823A (ja) 色素体、それを用いた水分散液、インク、インクタンク、記録ユニット、記録装置及び記録方法
JP2019094364A (ja) インクジェットインク
JP5806821B2 (ja) インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジの製造方法
JP5755900B2 (ja) インク用溶媒の製造方法、インクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクの製造方法、インクカートリッジ、インクカートリッジの製造方法
JP7201022B2 (ja) 非水系インクジェットインク組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131010

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140730

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140819

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141016

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150428

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150722

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20150729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150901

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5806814

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150925

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20150928

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees