JP6707849B2 - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
インク組成物を吐出するノズルと、前記インク組成物に圧力を付与して前記ノズルから
吐出させる圧力室と、前記圧力室と前記ノズルとを接続する接続部と、を備え、前記圧力室の圧力室からノズル側へインクが流出する部分から前記ノズルまでの接続部の距離が500μm以上であるプリントヘッドを用いて、前記インク組成物を吐出して記録媒体に付着させるインク付着工程を備え、
前記インク組成物は、色材と、下記一般式(1)で表される溶剤をインク組成物の全質量に対し30質量%以上と、を含む溶剤系インクジェットインク組成物であることを特徴とする。
R1O−(R2O)n−R3・・・・・(1)
(一般式(1)中、R1及びR3は、各々独立して水素又は炭素数1以上5以下のアルキル基を表す。ただし、R1及びR3の少なくとも何れかは、炭素数1以上5以下のアルキル基である。R2は炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。nは1〜6の整数を表す。)
上記適用例において、
前記インク組成物が、前記一般式(1)で表される溶剤を50質量%以上含むことができる。
上記適用例において、
前記インク組成物が、さらに、溶剤としてラクトンを含むことができる。
上記適用例において、
前記インク組成物が、さらに、定着樹脂を含むことができる。
上記適用例において、
前記インク組成物が、さらに、前記一般式(1)で表される溶剤として、R1及びR3のいずれか一方が水素であるアルキレングリコールモノエーテル化合物を含むことができる。
上記適用例において、
前記インク組成物が、前記一般式(1)で表される化合物である溶剤として、引火点が70℃以下の化合物を1種以上含むことができる。
上記適用例において、
前記プリントヘッドは前記インク組成物を吐出する複数のノズルを列状に備え、列方向におけるノズル密度が200dpi以上であることができる。
上記適用例において、
1回の吐出あたりのインク吐出量が、30ng以下であることができる。
上記適用例において、
前記インク付着工程の際に、前記記録媒体の表面温度が30℃以上となるように前記記録媒体を加熱する加熱工程を備えることができる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法は、インク組成物を吐出するノズルと、前記インク組成物に圧力を付与して前記ノズルから吐出させる圧力室と、前記圧力室と前記ノズルとを接続する接続部と、を備え、前記圧力室の圧力室からノズル側へインクが流出する部分から前記ノズルまでの接続部の距離が500μm以上であるプリントヘッドを用いて、前記インク組成物を吐出して記録媒体に付着させるインク付着工程を備え、前記インク組成物は、色材と、下記一般式(1)で表される溶剤をインク組成物の全質量に対し30質量%以上と、を含む溶剤系インクジェットインク組成物である。
R1O−(R2O)n−R3・・・・・(1)
(一般式(1)中、R1及びR3は、各々独立して水素又は炭素数1以上5以下のアルキル基を表す。ただし、R1及びR3の少なくとも何れかは、炭素数1以上5以下のアルキル基である。R2は炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。nは1〜6の整数を表す。)
本実施形態に用いるインクジェット記録装置は、上述のように、インク組成物を吐出するノズルと、前記インク組成物に圧力を付与して前記ノズルから吐出させる圧力室と、前記圧力室と前記ノズルとを接続する接続部と、を備え、前記圧力室の圧力室からノズル側へインクが流出する部分から前記ノズルまでの接続部の距離が500μm以上であるプリントヘッドを備えている。
図2は、プリンター200におけるプリントヘッド100を模式的に示す分解斜視図であり、図1に示したプリンター200に搭載される状態とは上下を逆に示したものである。図3は、プリントヘッド100の要部の断面の模式図であり、インクの吐出動作の際のインク供給室40からノズル孔12までのインクの流れを、破線矢印で模式的に示してあ
る。
の内部圧力を変化させることができる。圧電素子32としては、特に限定されないが、例えば、電圧を印加することによって変形を生じる種の素子(電気機械変換素子)を挙げることができる。このように、本実施形態では、圧電素子32と振動板30とによって圧電アクチュエーター34が構成されている。
できる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法に用いられるインク組成物は、色材と、下記一般式(1)で表される溶剤をインク組成物の全質量に対し30質量%以上と、を含む溶剤系インクジェットインク組成物であることを特徴とする。
R1O−(R2O)n−R3・・・・・(1)
(一般式(1)中、R1及びR3は、各々独立して水素又は炭素数1以上5以下のアルキ
ル基を表す。ただし、R1及びR3の少なくとも何れかは、炭素数1以上5以下のアルキル基である。R2は炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。nは1〜6の整数を表す。)
インク組成物において、主溶剤(第1の溶剤)として上記一般式(1)で表される化合物を含む。上記一般式(1)において、R1及びR3における「炭素数1以上5以下のアルキル基」としては、直鎖状または分岐状のアルキル基であることができ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基が挙げられる。また、R2における「炭素数2以上4以下のアルキレン基」としては、例えば、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
テル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
本実施形態で用いられるインク組成物は、溶剤としてラクトン(環状エステル)を含有してもよい。インク組成物がラクトンを含むことにより、記録媒体の記録面(例えば塩化ビニル系樹脂を含む記録面)の一部を溶解して記録媒体の内部にインク組成物を浸透させることができる。このように記録媒体の内部にインクが浸透することで、記録媒体上に記録した画像の耐擦性(摩擦堅牢性)を向上させることができる。換言すると、ラクトンは、塩化ビニル系樹脂との親和性が高いため、溶剤系のインク組成物の成分を記録面に浸潤させやすい(食い付かせやすい)。ラクトンがこのような作用を有する結果、これを配合したインク組成物が、屋外環境等の厳しい条件下であっても、耐擦性に優れた画像を形成できるものと考えられる。
さないことがより好ましい。このようなラクトンの具体例としては、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンが挙げられる。また、このようなラクトンは、特にポリ塩化ビニルとの親和性が高いので、ポリ塩化ビニルが含有される記録媒体に付着された場合に、耐擦性を高める効果を極めて顕著に得ることができる。
本実施形態で用いられるインク組成物は、溶剤として、上記一般式(1)で表される化合物やラクトンの他に、以下のような化合物を用いることができる。
R4O−(R5O)n−R6・・・・・(2)
(一般式(2)中、R4及びR6は、各々独立して水素又は炭素数1以上6以下のアルキル基を表す。ただし、R4及びR6の少なくとも何れかは、炭素数1以上6以下のアルキル基である。R5は炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。nは1〜10の整数を表す。)
ングリコールモノブチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノエチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
ール類としては、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールや、2−メチルペンタン−2,4−ジオール等が挙げられる。
本実施形態で用いられるインク組成物は、色材を含む。色材としては、従来の溶剤系インクに通常用いられている無機顔料又は有機顔料等の顔料または染料を、単独または混合して用いることができる。有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等)、多環式顔料(フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等)、染料レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また、無機顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、シリカ、アルミナ等が挙げられる。染料としては、例えばアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンチン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン粟料、フタロシアニン染料、又は金属フタロシアニン染料を用いることができ、特に油溶性染料が好ましい。これらの顔料又は染料を単独で用いるか、あるいはそれらの2種又はそれ以上の組み合わせで使用することも
できるが、耐候性の観点からは顔料が好ましい。顔料一次粒子の体積平均粒径は、50〜500nm、好ましくは50〜200nmである。
本実施形態で用いられるインク組成物は、上述の色材を記録媒体に定着させるための定着樹脂を含有してもよい。
アクリル樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、スチレン−(メタ)アクリル共重合樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、エチレンアルキル(メタ)アクリレート樹脂、エチレン−(メタ)アクリル
酸エステル共重合樹脂等の(メタ)アクリル系モノマー、または、これと他のモノマーとの共重合体樹脂が挙げられる。これらは、単独または複数組み合わせて用いることができる。
塩化ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニルと、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、マレイン酸、ビニルアルコール等の他のモノマーとの共重合体が挙げられるが、これらの中でも塩化ビニル及び酢酸ビニルに由来する構成単位を含む共重合体(以下、「塩酢ビ共重合体」ともいう。)が好ましく、ガラス転移温度が60〜80℃である塩酢ビ共重合体がより好ましい。
。なお、これらの樹脂の平均重合度は、比粘度を測定し、これから算出されるものであり、「JIS K6720−2」に記載の平均重合度算出方法に準じて求めることができる。
本実施形態で用いられるインク組成物には、表面張力を低下させて記録媒体との濡れ性を向上させる観点から、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体を添加してもよい。
本実施形態で用いられるインク組成物には、必要に応じて、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤等、所定の性能を付与するための物質を添加することができる。
本実施形態で用いられるインク組成物は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行うことができる。
本実施形態で用いられるインク組成物は、記録品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社
製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
本実施形態に係るインク組成物は、上記一般式(1)で表される化合物である溶剤を含む溶剤インクであることにより、インク低吸収性または非吸収性の記録媒体、例えば、塩化ビニル系記録媒体等のフィルムメディアに記録した時の画質が優れるため、屋外で展示するサイン用途等に特に好適となる。
本実施形態で用いられるインク組成物は、上記一般式(1)で表される化合物である溶剤を30質量%以上含む溶剤インクであることにより、インク組成物中の固形分量を増やすことが可能であり、塩化ビニル系記録媒体等のフィルムメディアに記録した時の画質が優れ、また、耐擦性や表面乾燥性等の印刷特性に優れた記録物が得られるため、屋外で展示するサイン用途等に特に好適となる。また、本実施形態で用いられるインク組成物は比較的乾燥しやすいインクであるが、接続部の距離が500μm以上であるプリントヘッド
を用いて吐出させることにより、ノズル面からインクの乾燥が進むことが防止され、このインクを用いたインクジェット記録方法において、長期にわたり、吐出安定性に優れる。
本実施形態に係るインク付着工程は、上述したインク組成物を吐出するノズルと、前記インク組成物に圧力を付与して前記ノズルから吐出させる圧力室と、前記圧力室の圧力室からノズル側へインクが流出する部分から前記ノズルまでの接続部の距離が500μm以上であるプリントヘッドを用いて、前記インク組成物を記録媒体に付着させる工程である。
本実施形態に係るインクジェット記録方法では、インク付着工程の際に、記録媒体の表面温度が30℃以上となるように記録媒体を加熱する加熱工程を備えることが好ましい。加熱工程を備えることにより、記録媒体に付着したインクの溶剤を速やかに蒸発飛散させ
て、記録画像等を速やかに形成することができる。記録媒体を加熱する手段は、インクに含まれる溶剤の蒸発飛散を促進させる構成を備えていれば、特に制限されない。記録媒体を加熱する手段としては、例えば赤外線(ランプ)が挙げられる。加熱された記録媒体の温度は、40℃以上70℃以下であることが好ましく、50℃以上60℃以下であることがより好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
表1に記載の色材と、分散剤を用い、当該顔料100質量部に対して67〜200質量%の範囲で分散剤の添加量を変えて顔料を分散させて分散液を調製した。分散媒としては、各インク組成例毎に溶剤として最も含有量の多い溶剤を分散媒として用い、顔料分散液とした。上記にて作製した顔料分散液と、表1に記載の成分を混合し、マグネチックスターラーで2時間混合攪拌した後、さらに孔径5μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、組成1〜組成10の溶剤系インク組成物を得た。なお、表1中の数値は溶剤系インク組成物中の含有量(質量基準%)を表す。
<色材>
・C.I.ピグメントブルー15:3
<分散剤>
・ソルスパース37500:商品名、ルーブリゾール社製、ポリエステルポリアミド樹脂<ラクトン>
・γ−ブチロラクトン:商品名、関東化学株式会社製
・σ−バレロラクトン:商品名、キシダ化学株式会社製
<溶剤>
・DEGMEE:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、商品名「ハイソルブEDM」、東邦化学工業株式会社製、引火点64℃
・DEGdME:ジエチレングリコールジメチルエーテル、商品名「ジエチレングリコールジメチルエーテル」、東京化成工業株式会社製、引火点56℃
・DEGdEE:ジエチレングリコールジエチルエーテル、商品名「ジエチレングリコールジエチルエーテル」、東京化成工業株式会社製、引火点70.8℃
・DEGBME:ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、商品名「ハイソルブBDM」、東邦化学工業株式会社製、引火点94℃
・TetraEGmBE:テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、商品名「ブチセノール40」、KHネオケム株式会社製、引火点156℃
・TriEGdME:トリエチレングリコールジメチルエーテル、商品名「トリエチレングリコールジメチルエーテル」、キシダ化学株式会社製、引火点111℃
・DPGmME:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、商品名「メチルプロピレンジグリコール」、日本乳化剤株式会社製、引火点76.5℃
・エクアミドM100:商品名、出光興産株式会社製、アミド系溶剤、引火点93℃
・AFソルベント7号:商品名、JX日鉱日石エネルギー株式会社、ナフテン系炭化水素溶剤、引火点128℃
・パルミチン酸イソオクチル:商品名「IOP」、日本精化株式会社製、エステル系溶剤、引火点203℃
・サラコス99:商品名、日清オイリオグループ株式会社製、イソノナン酸イソノニル(エステル系溶剤)、引火点148℃
<界面活性剤>
・BYK340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、フッ素系界面活性剤)
<定着樹脂>
・ソルバインCL:商品名、日信化学工業株式会社製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
上記で説明した図2〜図4に記載されているプリントヘッドを備えるインクジェット記録装置として、SC−S30650(セイコーエプソン株式会社製)の改造機を用意した。プリントヘッドとしては、表2に示すH1〜H4の4種類のヘッドを用いた。なお、用いたインクジェット記録装置はプラテンヒーターを備えており、実施例12以外の例では、インク吐出時にプラテンヒーターが作動して、記録媒体の表面温度が40℃となるまで加熱するように設定した。
13までの長さ、つまり、接続部132の距離(d1+d2)が1000μmであり、ノズルピッチ(ノズル密度)は300dpiである。なお、圧力室20の容積は2900plであり、連通孔127、ノズル孔12および圧力室20の容積の合計は4200plである。
2.3.1.間欠性の評価
H1〜H4のいずれかのヘッドを備えたインクジェット記録装置に組成1〜組成10の各インク組成物を用いて、長時間使用を想定した間欠性の評価試験を行った。評価試験は、ヘッドからプラテン側方に設けたインク受けにインクの吐出を5分間連続して行い、100分間ヘッドを放置した後、再び5分間連続吐出と100分間放置を5セット行った。終了後、ノズルの不吐出検査を行い、使用した全ノズル数に対する不吐出ノズル数を算出し、以下の基準で評価した。なお、インク滴あたりのインク量は、実施例11では15ngとし、それ以外は全て7ngとした。
(評価基準)
○:吐出不良が1%未満
△:吐出不良が3%以上5%未満
×:吐出不良が5%以上
H1〜H4のいずれかのヘッドを備えたインクジェット記録装置を用い、各インク組成物を用いて、記録媒体である塩ビメディア(商品名「IMAJIN JT 5829R」、Mactac社製)上に、塗布量10ng/inch2、記録解像度1440×1440ddpiでベタ印刷をして記録物を作製した。得られた記録物を、25℃65%RH(相対湿度)にて1日間乾燥させた。その後、学振型摩擦堅牢試験機AB−301(テスター産業株式会社製)を用いて、荷重1kg、摩擦回数30回の条件で、摩擦用白綿布(カナキン3号)を取り付けた摩擦子と、画像とを擦り合わせ、画像の表面状態を目視にて観察し、以下の基準で評価した。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
○:表面に傷が確認されない。
△:表面に若干の傷が確認される。
×:表面にかなりの傷が確認される。
上記「2.3.2.」と同様の条件で得られた記録物を5分間乾燥させた。次いで、巻き取り装置を用いて塩ビメディアを巻き取った後の記録面のスリ痕を観察した。スリ痕の観察には、形状測定レーザーマイクロスコープ(キーエンス製、「VK−8700」)を用い、表面粗さを測定することでスリ痕のある面積の割合を算出した。評価基準は、以下の通りである。
(評価基準)
○:スリ痕面積が10%未満
△:スリ痕面積が10%以上20%未満
×:スリ痕面積が20%以上
ヘッドの副走査方向に延びる、10μmのp線幅の線を記録した以外は、上記「2.3.2.」と同様にして記録物を作製した。得られた記録物の印刷部をルーペ(5倍)にて観察し、以下の評価基準にしたがって線幅の評価を行った。
(評価基準)
◎:線の輪郭が一定の形状で連続して形成されており、直線である。
○:線の輪郭が一定の形状で連続して形成されているが、直線に近い形状ではない。
△:線の輪郭が一定の形状になっていないが、途切れは見られない。
×:線が途切れている部分が見られる。
各実施例及び比較例の評価結果を表3に示す。
までの長さがヘッドH1よりも短いため、実施例1と比較して間欠性が劣る結果となった。実施例10では、他の実施例と比較して、インク中のグリコールエーテル類の含有量が低く、引火点の高い溶剤を多く含む。このためインクが乾燥しにくく、吐出の際の間欠性は良いが、その一方で表面乾燥性に劣るため、耐擦性も劣る結果となった。実施例11では、間欠性の評価をインク滴あたりのインク量15ngで行ったため、高解像度(高画質)の画素記録に向かず、記録物の評価を行うことができなかった。実施例12では、プラテンヒーターをオフにし、加熱無しで記録したため、記録時の記録媒体の温度は25℃であった。このため、吐出の際の間欠性は向上したが、記録物の耐擦性と表面乾燥性が劣る結果となった。
Claims (12)
- インク組成物を吐出するノズルと、前記インク組成物に圧力を付与して前記ノズルから吐出させる圧力室と、前記圧力室と前記ノズルとを接続する接続部と、を備え、前記圧力室の圧力室からノズル側へインクが流出する部分から前記ノズルの記録媒体側の端部までの接続部の距離が500μm以上であるプリントヘッドを用いて、前記インク組成物を吐出して記録媒体に付着させるインク付着工程を備え、
前記インク組成物は、色材と、下記一般式(1)で表される溶剤をインク組成物の全質量に対し30質量%以上と、を含み、下記一般式(1)で表される溶剤として、引火点が70℃以下の化合物を1種以上含む溶剤系インクジェットインク組成物である、インクジェット記録方法。
R1O−(R2O)n−R3・・・・・(1)
(一般式(1)中、R1及びR3は、各々独立して水素又は炭素数1以上5以下のアルキル基を表す。ただし、R1及びR3の少なくとも何れかは、炭素数1以上5以下のアルキル基である。R2は炭素数2以上4以下のアルキレン基を表す。nは1〜6の整数を表す。) - 前記インク組成物が、前記一般式(1)で表される溶剤を50質量%以上含む、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク組成物が、さらに、溶剤としてラクトンを含む、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク組成物が、さらに、定着樹脂を含む、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク組成物が、さらに、前記一般式(1)で表される溶剤として、R1及びR3のいずれか一方が水素であるアルキレングリコールモノエーテル化合物を含む、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク組成物が、前記一般式(1)で表される化合物である溶剤として、引火点が56℃以上70℃以下の化合物を1種以上含む、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記プリントヘッドは前記インク組成物を吐出する複数のノズルを列状に備え、列方向におけるノズル密度が200dpi以上である、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 1回の吐出あたりのインク吐出量が、30ng以下である、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記インク付着工程の際に、前記記録媒体の表面温度が30℃以上となるように前記記録媒体を加熱する加熱工程を備える、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記プリントヘッドにおいて、前記圧力室の圧力室からノズル側へインクが流出する部分から前記ノズルの記録媒体側の端部までの接続部の距離が500〜3000μmである、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記溶剤系インクジェットインク組成物において、前記一般式(1)で表される溶剤としての引火点が70℃以下の化合物の含有量が、インク組成物の全質量に対し40〜90質量%である、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記一般式(1)で表される溶剤としての引火点が70℃以下の化合物が、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル及びジエチレングリコールジメチルエーテルの何れかを少なくとも含む、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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