JP5314853B2 - インクジェット用インクおよびインクジェット記録システム - Google Patents

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Description

本発明は、耐久性に優れたインクジェット用インクおよびそれを用いたインクジェット記録システムに関する。
従来のインクジェットプリンタに用いられるインクジェットヘッドは、複数の区画壁により区画されたインク圧力室を備えたセラミック製のキャビティプレートと、該キャビティプレートに接合した圧電素子とにより構成されており、該圧電素子によりインク圧力室内に圧力変動を生じさせ、インク圧力室内のインクをキャビティプレートに形成したノズルから吐出させている。
上記のような構成からなるインクジェットヘッドにおいて、例えば特許文献1に示されているような、インクと圧電素子が直接接する構成で、かつ粒子状着色剤で着色したインクを用いる場合、時間とともに圧電素子に着色粒子が付着し、それを起点として凝集体が形成されることがわかった。これにより圧電素子の変形が阻害され、発生する圧力波が弱くなる。また発生した圧力はインクに十分伝わらず、インクの飛翔曲がり、吐出速度低下、あるいは不吐出といった吐出不良が発生し、安定した印字ができないといった問題があった。
特開2004−114308号公報
本発明の課題は、長期に亘り安定して印字できるインクジェット用インクおよびこれを用いたインクジェット記録システムを提供することにある。
本発明者は、着色粒子が圧電素子に付着する原因を種々検討した結果、着色粒子の結晶化度が影響していることを突き止めた。従来は高結晶の着色粒子を用いていたため、着色粒子が圧電素子に付着しやすくなっていた。そこで、本発明者は、所定の範囲の結晶化度を有する着色粒子を用いることにより、圧電素子に着色粒子が付着するのを抑え、これにより凝集体が形成されるのを抑制でき、長期に亘り安定して印字できるインクジェット記録システムを実現できるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のインクジェット用インクおよびインクジェット記録システムは、以下の構成を有する。
(1)少なくとも着色剤と溶剤を含有したインクジェット用インクであって、前記着色剤は銅フタロシアニンの着色粒子からなり、該着色粒子の少なくともその表面は、銅フタロシアニンの高結晶着色粒子を所定波長のレーザー光で照射し、少なくとも該高結晶着色粒子の表面を溶融させ、ついで急冷することにより、JIS K0131に準拠した粉末X線回折計による測定から得られる結晶化度が、30%以上、95%以下調整されたものであることを特徴とするインクジェット用インク。
(2)ノズルが設けられた加圧室の壁面の一部が圧電素子で形成され、前記圧電素子を作動・変形させて前記加圧室の中のインクに圧力波を作用させて、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録システムであって、前記インクは(1)に記載のインクを用いたことを特徴とするインクジェット記録システム。
(3)前記インクジェット記録ヘッドは、前記ノズル数を1インチ当り660個以上有し、駆動周波数が15kHz以上であることを特徴とする(2)に記載のインクジェット記録システム。
(4)前記インクジェット記録ヘッドを、記録媒体の搬送方向に対して直交する水平方向に2個以上配置してなることを特徴とする(2)または(3)に記載のインクジェット記録システム。
本発明のインクは、含有する着色剤が着色粒子からなり、該着色粒子の少なくともその表面の結晶化度が30〜95%であるので、たとえ圧電素子に接する場合であっても圧電素子に凝集体が形成されず、長期に亘り安定性の高いインクジェット記録を実現できる。
以下に、本発明に係るインクジェット用インクおよびインクジェット記録システムについて詳細に説明をする。
(インク)
本発明におけるインクは、少なくとも、水、着色剤、界面活性剤を含む有機溶剤からなり、その他に必要に応じてpH調整剤、防腐防カビ剤等を添加することができる。
本発明の着色剤は、上記したように、着色粒子からなり、該着色粒子の結晶化度が30%以上、95%以下であり、好ましくは60%以上、85%以下である。前記着色粒子の結晶化度を前記範囲とすることにより、前記着色粒子が圧電素子へ固着しにくくなり、従って前記着色粒子による凝集体が形成されないので、長期に亘りインクの吐出が良好となる。
また、圧電素子の他にインク流路、インクの接する壁面あるいはノズルなどへの付着も低減され、目詰まりなどを防止できる。
しかし、前記着色粒子の結晶化度が95%を超えると、圧電素子に着色粒子が付着し、それを起点として凝集体が形成されやすくなり、そのため圧電素子の変形が阻害され、発生する圧力波が弱くなり、吐出不良等が生じる。また、前記着色粒子の結晶化度が30%未満であると、形成される画像の彩度が低下するので好ましくない。
なお、結晶化度は前記着色粒子の表面のみが前記範囲内にあってもよい。
所定の結晶化度を有する着色粒子は、以下に示す方法で作製することができる。図4に本発明に係る着色粒子処理装置の構成の概略を示す。なお、この装置はArガス中で稼動する。
まず、フィーダー24よりArガス中に供給された高結晶着色粒子29は、レーザー加熱装置25から例えば3秒間隔で2秒間発振されたレーザーにより加熱され、表面から溶融する。同時にレーザーの光子から推進力を受け、液体窒素22を満たした冷却器28に接触する。冷却器28に接触した高結晶着色粒子29はただちに冷却され、溶融した表面が非結晶状態で固まる。レーザーが発振されていない1秒間に加震装置23により冷却器28表面を震動させ、処理をした着色粒子20が処理済着色粒子回収皿27に落下し、回収される。レーザー加熱装置25のレーザー出力(W)と照射時間(秒)を変化させて高結晶着色粒子29を処理することにより、結晶化度の異なる着色粒子20を得ることができる。一方、レーザーで処理されなかった高結着色粒子29は未処理着色粒子回収皿26で回収され、フィーダー24に戻され、再利用される。
前記レーザー加熱装置25としては、例えば松下溶接システム株式会社製レーザーダイオード加熱装置YB−60FL3を用いることができる。また、前記加震装置23としては、例えばピエゾ振動子を用いた振動装置が挙げられる。
得られた着色粒子20の結晶化度は、JIS K0131に準拠し、粉末X線回折装置を用いて測定することができる。粉末X線回折装置としては、例えば株式会社リガク製RINT−1200を用いることができる。
(着色粒子)
通常、着色粒子は高結晶着色粒子が用いられるが、本発明では、これを上記したように結晶化度を所定の範囲に調整処理した上で使用する。
着色粒子の成分は、有機着色粒子として、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、金属錯体系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ベリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系の各顔料粒子が挙げられる。無機着色粒子としては、ローダミンBレーキ顔料粒子、カーボンブラック等が挙げられる。例えば、三菱化学株式会社製のカーボンブラックとして、♯20B、♯40、MA100などが挙げられる。デグサ社製のカーボンブラックとして、カラーブラックFW18、カラーブラックS170、スペシャルブラック250等が挙げられる。コロンビアカーボン社製のカーボンブラックとして、コンダクテックスSC、ラーベン1255などが挙げられる。キャボット社製のカーボンブラックとして、モナーク700、モナーク880、エルフテックス12などが挙げられる。
着色粒子をインク溶媒中に分散させるために着色粒子分散剤としてアルカリ可溶性樹脂を用いることができる。アルカリ可溶性樹脂としては、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸―(メタ)アクリル酸エステル(C1〜C4程度の低級アルキルエステル、以下同様)共重合体、メタクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メチルスチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−メタクリルスルホン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−アリルスルホン酸共重合体などのアクリル樹脂が挙げられる。その他、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂なども使用し得る。特に、酸価が50〜350で且つ平均分子量が2,000〜20,000であるアルカリ可溶性樹脂が好適に使用される。
アルカリ可溶性樹脂の中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物やエタノールアミン、プロパノールアミン、メチルエタノールアミン等のアルコールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、各種の脂肪族アミンなどが挙げられる。
着色粒子の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、ロールミル、アジテータ、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。
本発明の着色粒子分散体は、分散時での異物やゴミ、粗大粒子等を除去するために遠心分離装置を使用したり、フィルターをして濾過することも好ましく行われる。
本発明における着色粒子の平均粒径は、30〜300nmが好ましく、さらに好ましくは50〜150nmである。前記平均粒径は、例えば動的光散乱式粒径分布測定装置(HORIBA社製、LB−550)を用いて計測することができる。
本発明においては、表面張力の調節のために非イオン性界面活性剤を含有させることができる。かかるノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエリレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
本発明においてインクに使用される水性媒体としては水(好ましくは精製水)が使用されるが、当該水には水溶性有機溶剤を添加するのが好ましい。水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ―ル、テトラエチレングルコール等のグリコール類;グリセリン;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールのエーテル類;アセテート類;チオジグリコール;N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
(インクの調製)
次に、記録用インクの調製法について説明する。本発明のインクは、水性媒体中に少なくとも着色粒子と着色粒子分散剤を分散させ、得られた分散液を水性媒体で希釈することにより得られる。
分散処理及び希釈は従来公知の方法に従って行うことが出来る。上記の分散処理で使用する分散機としては、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル等の分散機が挙げられる。これらの中では、高速度のサンドミルが好ましく、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノミル、パールミル、コボルミル(何れも商品名)等が好適に使用される。得られた高濃度の分散液は、通常2〜10重量倍に希釈されて所望の濃度の記録用インクとされる。
記録用インクにおける前記各成分の割合の一例を挙げる。すなわち、着色粒子の割合は、インク全量に対し、通常1〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、着色粒子分散剤の割合は、着色粒子100重量部に対し、通常5〜40重量部、好ましくは7〜30重量部、ノニオン系界面活性剤の割合は、インク全量に対し、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、水溶性有機溶剤の割合は、インク全量に対し、通常1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%である。
(記録ヘッド)
本発明の記録ヘッド21の一例において、図1に積層圧電素子8と個別電極9とを含む圧電アクチュエータを取り付ける前の状態を示す。
図の例における記録ヘッドは、1枚の基板1上に、加圧室2とそれに連通するノズル3とを含むドット形成部を複数個、配列したものである。
また図2(a)は、上記例のインクジェット記録ヘッドにおいて、圧電アクチュエータを取り付けた状態での、1つのドット形成部を拡大して示す断面図、図2(b)は1つのドット形成部を構成する各部の重なり状態を示す透視図である。図3は図2(a)のノズル3付近の拡大図である。
ドット形成部のノズル3は、図1に白矢印で示す主走査方向(記録媒体の搬送方向)に複数列並んでいる。図の例では4列に並んでおり、同一列内のドット形成部間のピッチは150dpiであって、記録ヘッドの全体として600dpiを実現している。
各ドット形成部は、基板1の、図2(a)において上面側に形成した、矩形部の幅方向の中央部に中心を有し、径が幅長さと等しく、かつ水平断面形状が半円形である端部を前記矩形部の長手方向の両端に備えた、平板形状を有する加圧室2と、上記基板1の下面側の、加圧室2の一端側の端部の半円と中心が同じで円錐台形のノズル3とを、前記端部の半円と中心が同じで同径の円柱形のノズル流路4を介して連通させると共に、上記加圧室2の他端側の端部の半円と中心が同じである円柱形の供給口5を介して、加圧室2を、基板1内に、各ドット形成部と連通させるように形成した共通流路6に繋ぐ構成となっている。
上記各部は、図の例では、加圧室2を形成した第1基板1aと、ノズル流路4の上部4aと供給口5とを形成した第2基板1bと、ノズル流路4の下部4bと共通流路6とを形成した第3基板1cと、ノズルプレートとしての、ノズル3を形成した第4基板1dとを、この順に積層し、一体化することで形成してある。
またノズル3は、図3に示すように、インク滴吐出側の先端の開口30を、基板1の下面側である第4基板1dの下側の表面1eに円形に形成してある。それと共にノズル3は、この先端側の開口30が、加圧室2側の開口31よりも小さくなるように、テーパー状(円錐状)に形成してある。
第1基板1aと第2基板1bには、図1に示すように、第3基板1cに形成した共通流路6を、基板1の上面側で、インクカートリッジ(図示しない)からの配管と接続するためのジョイント部11を構成するための通孔11aを形成してある。さらに各基板1a〜1dは、例えば樹脂や金属などからなり、フォトリソグラフ法を利用したエッチングなどによって上記各部となる通孔を設けた、所定の厚みを有する板状体にて形成してある。
基板1の上面側には、該基板1とほぼ同じ大きさであり、共通電極7をその内部に有する、平面形状かつ横振動モードの薄板状の積層圧電素子8と、各ドット形成部の加圧室2の中央部と重なる位置に個別に設けた、略矩形状の同じ平面形状を有する個別電極9とを、この順に積層することで圧電アクチュエータACを構成してある。
共通電極7、個別電極9は、共に金、銀、白金、銅、アルミニウムなどの導電性に優れた金属の箔や、これらの金属からなるめっき被膜、真空蒸着被膜などで形成してある。
圧電素子8を形成する圧電材料としては、例えばジルコン酸チタン酸鉛(PZT)や、当該PZTにランタン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガンなどの酸化物の1種または2種以上を添加したもの、例えばPLZTなどの、PZT系の圧電材料を挙げることができる。また、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウムなどを主要成分とするものを挙げることもできる。
圧電素子8は、例えば上記の圧電材料を焼結して形成した焼結体を薄板状に研磨した所定の平面形状を有するチップを、所定の位置に接着、固定したり、いわゆるゾル−ゲル法(またはMOD法)によって、圧電材料のもとになる有機金属化合物から形成したペーストを所定の平面形状に印刷し、乾燥、仮焼成、焼成の工程を経て形成したり、あるいは反応性スパッタリング法、反応性真空蒸着法、反応性イオンプレーティング法などの気相成長法によって、圧電材料の薄膜を所定の平面形状に形成したりすることによって、形成することができる。
圧電素子8の表面粗さは、焼成条件での粒子成長促進や、機械研磨、エッチング等を用いて表面加工をすることにより所望の表面粗さを得ることができる。前記圧電素子8の表面粗さは、例えば光干渉型表面粗さ測定装置(Veeco社製Wyko NT1100)を用いて測定を行い、平均表面粗さRaとして評価できる。
圧電素子8を、例えば横振動モードとして駆動するためには、圧電材料の分極方向を、前記圧電素子8の厚み方向、より詳しくは個別電極9から共通電極7に向かう方向に配向させる。そのためには、例えば高温分極法、室温分極法、交流電界重畳法、電界冷却法などの従来公知の分極法を採用することができる。また、分極後の圧電素子8をエージング処理してもよい。
圧電材料の分極方向を上記の方向に配向させた圧電素子8は、共通電極7を接地した状態で、個別電極9から正の駆動電圧を印加することによって、分極方向と直交する面内で収縮する。このため、撓みが発生する際の力が加圧室2内のインクに圧力波として伝えられ、この圧力波によって、供給口5、加圧室2、ノズル流路4、およびノズル3内のインクが振動を起こす。そして振動の速度が、結果的にノズル3の外に向かうことによって、ノズル3内のインクメニスカスが、インク滴吐出側の先端の開口30から外部へと押し出されて、インク柱が形成される。振動の速度は、やがてノズル内方向に向かうが、インク柱はそのまま外方向に運動を続けるため、インクメニスカスから切り離されて1〜2滴程度のインク滴にまとまり、それが紙面の方向に飛翔して、紙面にドットを形成する。
インク滴が飛翔して減少した分のインクは、ノズル3内のインクメニスカスの表面張力によって、インクカートリッジから、当該インクカートリッジの配管、ジョイント部11、共通流路6、供給口5、加圧室2、およびノズル流路4を介してノズル3に再充填される。
基板1の下面側である第4基板1dの下側の表面1eには、前記のように、所定の平面形状を有する撥水処理されない領域A1を、ノズル3のインク滴吐出側の先端の、円形の開口30と重ねて設けてある。すなわち、この領域A1を除くそれ以外の表面1eに撥水層12を積層して撥水処理すると共に、領域A1内は撥水層12を形成せずに、第4基板1dの表面を露出させて、撥水処理されていない状態としてある。
撥水層12の厚みは、特に限定されないが、0.5〜2μmであるのが好ましい。撥水層12の厚みがこの範囲未満では、撥水性が低下して、インクの付着によるインク滴の吐出不良を生じるおそれがある。また、膜厚が2μmを超える撥水層12は膜形成が容易でない上、形成できたとしても、それ以上の効果が得られないおそれがある。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、ドット形成の直前に加圧室2の容量を拡大させる方向に圧電素子8を変形させることで、ノズル内のインクメニスカスを引き込み、その後、加圧室2の容量を縮小させる方向に圧電素子8を変形させることで、インク滴をインクメニスカスから分離させて吐出させる引き打ち式、およびドット形成時に、加圧室2の容量を縮小させる方向に圧電素子8を変形させることで、ノズル3内のインクメニスカスを押し出し、次いで、加圧室2の容量を拡大させる方向に圧電素子を変形させることで、インクメニスカスを引き込んで、インク滴をインクメニスカスから分離させて吐出させる押し打ち式のいずれの駆動方法によって駆動しても良い。
本発明のインクジェット記録システムは、高速プリントを達成するため、前記記録ヘッドがノズル数を660個以上、好ましくは1000〜3000個有し、またその駆動周波数が15kHz以上であり、かつ前記記録ヘッド21が記録媒体の搬送方向に直交しかつ水平方向に2個以上、好ましくは2〜8個、より好ましくは2〜4個繋げてなるのがよい。また記録媒体の幅以上に複数個繋げることによって、ラインヘッドとしても使用することができる。
インクジェット記録ヘッドへのインクの初期充填においては、図1に示すように、インクは、インクカートリッジ(図示しない)からの配管とこの配管を接続するためのジョイント部11との間に、ポンプ(図示しない)を配置しジョイント部11を介して、前記記録ヘッドに供給が行われる。ポンプは、チューブポンプやギヤポンプ、電磁ポンプなど目的に合わせて使用することができる。
カラープリントをする場合には、インクは記録ヘッドと組み合わせて、多色セットを形成し、通常はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色を含むインクセットを形成し、これらをセットとして、本発明のインク及び記録ヘッドを組み合わせた画像形成装置とすることが好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明のインクおよびインクジェット記録システムをさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(着色粒子の作製)
着色粒子1は、β型銅フタロシアニンであるクロモファインブルー4920(大日精化社製の顔料)の結晶化度の調整処理をしないもので、結晶化度は97%であった。着色粒子2〜4は、着色粒子1を図1に示す着色粒子処理装置を用いて、表1に示す処理条件により結晶化度の調整処理をした。また、着色粒子5は、α型銅フタロシアニンであるクロモファインブルー5208(大日精化社製)の結晶化度の調整処理をしないもので、結晶化度は96%であった。着色粒子6〜8は、着色粒子4を図1に示す着色粒子処理装置を用いて、表1に示す処理条件により結晶化度の調整処理をした。結晶化度の調整処理により得られた結晶化度はそれぞれ表1に示すとおりである。
なお、結晶化度は、JIS K0131に準拠して、リガク社製X線回折装置(RINT−1200)を用いて測定した。
Figure 0005314853
[実施例1]
表1に示す着色粒子3を用いて、下記の組成で混合してサンドミルにて3時間分散し、着色粒子分散液を作製した。
着色粒子3 15.0部
分散剤(花王社製エマルゲン420) 1.0部
グリセリン 6.0部
水 残部
次に、得られた着色粒子分散液を下記の組成で混合した。混合した後、5μmのメンブランフィルターにてろ過し、続いて0.5μmのメンブランフィルターにてろ過し、実施例1のインクを作製した。
上記着色粒子分散液 13.5部
分散剤(花王製エマルゲン420) 0.2部
グリセリン 10.0部
オルフィンE1010(日信化学工業製) 0.15部
水 残部
[実施例2〜4、比較例1〜4]
表2に示した着色粒子を用いた以外は、実施例1のインクと同様にして、実施例2〜4、比較例1〜4のインクを作製した。
(記録ヘッドの作製)
図1および図2(a)、(b)に示す構造を有し、その各寸法は、加圧室2の面積が0.2mm2、幅が2200μm、深さが100μm、ノズル流路4の直径が200μm、長さが800μm、供給口5の直径が30μm、長さが40μm、ノズル3の長さが30μm、インク吐出側の開口30および加圧室2側の開口31の形状がそれぞれ半径10μmおよび20μmの円形であると共に、この各部位から構成されるドット形成部が1列あたり166個、全体(4列)で664個のドット形成部が基板1上に配列された記録ヘッドを用いた。
同一列内のドット形成部間のピッチは150dpiとし、また隣り合う各列を1/2ピッチずつずらすことで、全体として600dpiとした。
(評価方法)
前記で得られたインクおよび記録ヘッド21を使用して、各インクを記録ヘッド21に充填し、吐出率により評価した。吐出率は、664個のノズル中、印字できたノズル数の割合である。その吐出率をインクの充填から70時間後で評価した。また、充填時に1cm×1cmのベタ画像をコピー紙(Xerox社製CC90)にプリントし、得られた画像をGretag Machbeth社製RD−19Iにて測定し、彩度を評価した。
評価結果を表2に示す。
Figure 0005314853
(評価結果)
表2に示すように、結晶化度が95%で70時間後の吐出率が95%であり(実施例2)、結晶化度が85%以下では吐出率が100%となり(実施例1,3,4)、安定した吐出を示した。また、彩度は結晶化度が30%で良好な彩度が得られ(実施例3)、結晶化度が60%以上であればより良好な結果を示した(実施例1,2,4)。
これに対して、結晶化度が95%を超えると吐出率は92〜94%と悪くなり(比較例1,3)、また結晶化度が30%未満であると彩度が低下した(比較例2,4)。
本発明に係るインクジェット記録ヘッドの実施の形態を示す平面図である。 (a)は本発明に係るインクジェット記録ヘッドの一部拡大縦断面図、(b)は(a)の底面図ある。 図2(a)のノズル部分の拡大図である。 本発明に係る着色粒子処理装置の構成を示す概略図である。
符号の説明
1 基板
2 加圧室
3 ノズル
4 インク流路
5 供給口
6 共通流路
7 共通電極
8 圧電素子
9 個別電極
11 ジョイント部
12 撥水層
20 着色粒子
21 記録ヘッド
22 液体窒素
23 加震装置
24 着色粒子フィーダー
25 レーザー加熱装置
26 未処理着色粒子回収皿
27 処理済着色粒子回収皿
28 冷却器
29 高結晶着色粒子

Claims (4)

  1. 少なくとも着色剤と溶剤を含有したインクジェット用インクであって、前記着色剤は銅フタロシアニンの着色粒子からなり、該着色粒子の少なくとも表面は、銅フタロシアニンの高結晶着色粒子を所定波長のレーザー光で照射し、少なくとも該高結晶着色粒子の表面を溶融させ、ついで急冷することにより、JIS K0131に準拠した粉末X線回折計による測定から得られる結晶化度が、30%以上、95%以下調整されたものであることを特徴とするインクジェット用インク。
  2. ノズルが設けられた加圧室の壁面の一部が圧電素子で形成され、前記圧電素子を作動・変形させて前記加圧室の中のインクに圧力波を作用させて、前記ノズルからインク滴を吐出させるインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録システムであって、前記インクは請求項1記載のインクを用いたことを特徴とするインクジェット記録システム。
  3. 前記インクジェット記録ヘッドは、前記ノズル数を1インチ当り660個以上有し、駆動周波数が15kHz以上であることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録システム。
  4. 前記インクジェット記録ヘッドを、記録媒体の搬送方向に対して直交する水平方向に2個以上配置してなることを特徴とする請求項2または3記載のインクジェット記録システム。
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