JP3969946B2 - インクセット、これを用いるインクジェット記録方法、インクジェット記録装置、インクカートリッジ、記録ユニット及びブリードの緩和方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラックインクを含む複数の色のインクを用い、これらのインクを組み合わせて被記録媒体にカラー画像を記録する際に使用するカラーインクセット、インクジェット記録方法及びインクジェット機器類に関し、とりわけ、普通紙に対して、充分な画像濃度を有し、鮮明で高品質な画像を得られ、更に、印字物の耐水性、耐光性に優れるカラーインクセット、これを用いるインクジェット記録方法及びインクジェット機器類に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット方式の記録において、特に普通紙に対しての印字濃度、印字品位、耐水性及び耐光性等の堅牢性に優れた黒色画像を形成することを目的とした顔料を用いたブラックインクやブラックインクで印字された画像とカラーインクで印字された画像との境界部に滲み(以下、ブリードと呼ぶ)を生じることのないインクセット、及びそれを用いたインクジェット記録方法や機器が報告されている。
【0003】
例えば、特開平3−210373号公報には、酸性カーボンブラックとアルカリ可溶性の重合体を有するブラックインクが記載されている。又、特開平3−134073号公報には、保存安定性、バブルジェット記録装置における吐出性に優れた分散体が得られ易いインクジェット記録用インクが記載されている。
【0004】
又、特開平6−57192号公報には、ブラックインク中に少なくとも1種のアニオン染料を有し、イエローインク中に、少なくとも1種のカチオン染料と多価沈殿剤とを含む、ブリードを防止し得るインクジェット用のインクセットが記載されている。又、特開平7−145336号公報には、アニオン性インクと、カチオン性インクとを用い、少なくとも一方のインク中に、そのインクのイオン特性を有するポリマーを含有させておき、該ポリマーの存在下、多色印刷時にアニオン性インクとカチオン性インクとを接触させることでブリードを低減させることのできるインクセットが記載されている。
【0005】
又、特開平7−1837号公報には、顔料からなる着色剤と、特定のpH環境下で不溶化する分散剤からなるブラックインクと、分散剤が不溶化するpHとしたカラーインクとを用いたブリードを防止し得るインクジェットプリント方法及びインクセットが記載されている。又、特開平10−183046号公報には、カチオン性基をその表面に有してなるカーボンブラックを着色剤としたブラックインクと、アニオン性染料を着色剤としたカラーインクを用いたブリードを防止し得るインクジェットプリント方法及びインクセットが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平3−210373号公報に記載されているような、酸性カーボンブラックとアルカリ可溶性の重合体を用いたインクの場合は、アルカリ可溶性の重合体によりカーボンブラックが分散されるが、この分散体は粘度が高く、保存安定性を確保する上での制約が多い。又、上記特開平3−134073号公報に記載されているインクは、保存安定性及びバブルジェット記録装置における吐出性に優れた分散体を得易いが、印字濃度が不足しがちになる。
【0007】
又、上記特開平6−57192号公報に記載されているような、ブラックインクの色材に少なくとも1つのアニオン染料を含み、イエローインクに少なくとも1つのカチオン染料と多価沈殿剤を含むインクジェットインクセットの場合は、ブリードはかなり抑えられるものの、ブラックインクの印字濃度、印字品位、画像堅牢性を全て充分に満足させることが困難であり、又、イエローインクの発色性等に問題が生じる。
【0008】
又、上記特開平7−145336号公報に記載されているような、多色印字時にポリマーの存在下、アニオン性インクとカチオン性インクとを互いに接触させることでブリードを低減させる場合には、含有させるポリマーの種類によってはインクの信頼性に悪影響を及ぼす場合がある。特に印字中に、あるノズルからインクを吐出させた後、そのノズルから一定時間(例えば、1分程度)インクの吐出を行わなかった場合に、そのノズルから次の1滴目のインクを吐出させた場合に安定した吐出が行えず、印字が乱れてしまうといった不具合が生じる場合がある。本件明細書においては、以降、このような状態を「発一性が悪い」といい、又、間欠吐出の安定性のことを発一性と呼ぶ。
【0009】
又、特開平7−1837号公報に記載されているような、顔料からなる着色剤と、特定のpH環境下で不溶化する分散剤からなるブラックインクと、分散剤が不溶化するpHを有するカラーインクとを用いたインクセットの場合は、ブリードはかなり抑えられるが、カラーインクのpHを酸性とする必要があるため、染料の選択性が狭くなり、カラーインクとして必要な他の性能との両立が困難である。又、色材の極性に関しては記載されていない。
【0010】
又、特開平10−183046号公報に記載されているような、カチオン性基をその表面に有してなるカーボンブラックを着色剤としたブラックインクと、アニオン性染料を着色剤としたカラーインクとを用いたインクセットの場合は、ブラックインクの印字濃度、印字品位、画像堅牢性等を満足させることはできるが、ブリードを抑える効果は不充分である。
【0011】
従って、本発明の目的は、ブラックインクに求められる印字品位、画像堅牢性等の種々の性能を満たし、且つ、被記録媒体上に形成されたブラック画像とカラー画像との境界領域におけるブリードがより有効に緩和された画像を獲得することのできるインクセットを提供することにある。
【0012】
又、本発明の目的は、ブラック画像とカラー画像との境界領域におけるブリードがより有効に抑制された高品位なインクジェット記録画像を形成することのできるインクジェット記録方法を提供することにある。
又、本発明の他の目的は、ブラック画像とカラー画像との境界領域におけるブリードが十分に抑制された高品位のインクジェット記録画像を形成するのに用いることのできるインクジェット記録装置を提供する点にある。
【0013】
又、本発明の他の目的は、上記したインクジェット記録装置に用いることのできる記録ユニットを提供する点にある。
又、本発明の他の目的は、ブリードの少ない、高品位な画像を形成に用い得るインクカートリッジを提供する点にある。
更に、本発明の目的は、ブラック画像とカラー画像との境界領域におけるブリードをより確実に低減させる方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成することのできる本発明の一実施態様にかかるインクセットは、少なくともブラックインクとカラーインクの組み合わせを含む2色以上のインクを用いてカラー画像を被記録媒体上に記録するためのインクセットにおいて、上記ブラックインクは、色材として表面に少なくとも1種類のカチオン性基が直接若しくは他の原子団を介して結合された自己分散型カーボンブラックを有し、上記カラーインクは、アニオン性物質を有し、且つ、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つものであり、且つ、該カラーインクのpHが、上記ブラックインクのpHよりも高く、更に、該カラーインクのpH値が、カラーインク50mlに対して1規定の硫酸水溶液を1.5ml添加した際のpH値と添加前のpH値との差が1.0以内になるように調整されていることを特徴とするものである。
【0015】
又、上記の目的を達成することのできる本発明の一実施態様にかかるインクジェット記録方法は、ブラックインクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて、被記録媒体に付与する工程;及びカラーインクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて、被記録媒体に付与する工程、を少なくとも有するインクジェット記録方法において、該ブラックインク及び該カラーインクとして、上記のインクセットを構成するブラックインク及びカラーインクを用いることを特徴とするものである。
【0016】
又、上記の目的を達成することのできる本発明の一実施態様にかかる記録ユニットは、ブラックインクを収容しているブラックインク収容部、カラーインクを収容しているカラーインク収容部、及び該ブラックインクと該カラーインクとの各々を吐出させるためのヘッド部を少なくとも具備している記録ユニットにおいて、該ブラックインク及び該カラーインクが、上記のインクセットを構成するブラックインク及びカラーインクであることを特徴とするものである。
【0017】
又、上記の目的を達成することのできる本発明の一実施態様にかかるインクカートリッジは、ブラックインクを収容しているブラックインク収容部と、カラーインクを収容しているカラーインク収容部とを少なくとも具備しているインクカートリッジにおいて、該ブラックインク及び該カラーインクが、上記のインクセットを構成するブラックインク及びカラーインクであることを特徴とするものである。
【0018】
又、上記の目的を達成することのできる本発明の一実施態様にかかるインクジェット記録装置は、ブラックインクを収容しているブラックインク収容部と、カラーインクを収容しているカラーインク収容部と、該ブラックインクと該カラーインクとを各々吐出させるためのヘッド部と、を少なくとも具備しているインクジェット記録装置において、該ブラックインク及び該カラーインクが、上記のインクセットを構成するブラックインク及びカラーインクであることを特徴とするものである。
【0019】
更に、上記の目的を達成することのできる本発明の一実施態様にかかるブリードの緩和方法は、被記録媒体上のインクジェット法によって形成されたブラック画像とカラー画像との境界領域におけるブリードを緩和する方法であって、上記ブラック画像の形成に、上記のインクセットを構成するブラックインクを用い、上記カラー画像の形成に、上記のインクセットを構成するカラーインクを用いることを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の態様を挙げて本発明を詳細に説明する。
先に述べたように、インクジェット記録に用いるブラックインクにおいて、高い画像濃度や完全な画像堅牢性を確保するためには、染料インクよりも、色材として顔料を用いる顔料インクが有利である。ところが、顔料をインクの色材に用いるには、顔料を良好な状態に分散させるために何らかの分散剤が添加されるため、顔料インクをインクジェット記録に利用した場合においては、分散剤を含むことによる弊害を生じ易い。例えば、高分子型の分散剤を用いた場合には、ヘッド部のフェイス面が濡れ易くなったり、目詰まりが起こったり、インクの保存安定性が悪いという問題等があった。又、界面活性剤型の分散剤を用いた場合には、画像濃度が低くなり、更に、ヘッド部のフェイス面が濡れ易い等の問題があった。
【0021】
これに対し、本発明においてブラックインクの色材として使用する特定のカーボンブラックの場合は、分散剤を含有させなくても、カーボンブラック自体が所謂自己分散をするので、上記したインク中に分散剤が含まれることによる弊害を生じることはない。即ち、カーボンブラックの表面に、カチオン性基(特には、カチオン性の親水性基)が直接若しくは他の原子団を介して結合されたカーボンブラックでは、親水基の働きによってカーボンブラック自体が水等の水性媒体に対して安定した分散状態を保つことができるため、顔料を分散させるための分散剤を特に必要とすることなく、インクジェット記録用のインクとすることができる。
【0022】
更に、本発明のインクセットでは、上記した構成のブラックインクと組み合わせるカラーインクとして、アニオン性物質を含有し、且つ、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つインクを採用する。この結果、ブラックインクで印字された画像とカラーインクで印字された画像との異色境界部のブリードが有効に防止される。
ここでいう「水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つ」とは、インクが、水素イオン濃度の変化が緩やかな特定領域を有することを意味する。具体的には、50mlのカラーインクに対して1規定の硫酸水溶液を1.5ml添加したインクのpH値と、硫酸水溶液を添加しない状態でのインクのpH値との差が、1.0以内になる領域を有することをいう。以後、上記条件を満たすことを「緩衝作用を持つ」と記す。
【0023】
本発明者らの検討によれば、カラーインクの構成を、アニオン性物質(例えば、アニオン性染料)を含有し、且つ、ブラックインクのpHよりも高いpH領域で緩衝作用を示すようにすることによって、ブラックインクとカラーインクとの間で生じるブリードが有効に抑制されることがわかった。
【0024】
上記構成を有する本発明のインクセットによって上記したような効果が得られる理由としては、下記のように考えられる。
ブラック画像とカラー画像とが隣接するような画像が印字され、被記録媒体上で上記構成のブラックインクとカラーインクとが隣接すると、ブラックインク中のカーボンブラックと、カラーインク中のアニオン性物質(特にアニオン性の染料)との間に凝集が起こる。
この凝集に伴い、ブラックインク中のカーボンブラックと、カラーインク中の染料とが、被記録媒体上で移動できなくなるような状態となることで、ブリードが有効に防止されるものと考えられる。
【0025】
つまり、被記録媒体上で、ブラックインク中の自己分散型カーボンブラックと、カラーインク中の染料との間に電気的中和が安定して起これば、各々のインクを構成する色材等の分散状態や溶解状態が完全に破壊される。
ブラックインク及びカラーインク中の色材等が移動できなくなれば、これらが、被記録媒体上で各々のインクで印字された領域へ入り込むことがなくなるので、ブリードは生じなくなる。
【0026】
本発明者らの検討によれば、上記した各々のインクを構成する色材等同士の電気的中和は、ブラックインクとカラーインクとが接触した際の境界部のpHに大きな影響を受け、境界部のpHにより、ブリードの効果は大きく左右されることが分かった。即ち、上記2種類のインクが接触した際のpHが酸性となった場合には、色材等同士の電気的中和は、各々のインクの色材等の分散状態や溶解状態を完全に破壊するには不十分な場合があり、その場合にはブリード抑制効果が十分に達成されない可能性がある。
従って、ブリードをより有効に防止し、或いは、より有効に緩和するためには、上記2種のインクが接触した際の境界部のpHが、各々のインク中の色材等の分散状態や溶解状態を完全に破壊するのに十分な色材同士の電気的中和を起こすような値で維持されるようにすることが重要となる。
【0027】
そこで、本発明においては、カラーインクに水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持たせ、これにより、記録媒体上で2種のインクが接触した際のpH値が、各々のインクの色材等の分散状態や溶解状態を完全に破壊するのに十分な状態に維持されるようにして、印字物のブリードの防止を図る。
【0028】
本発明のインクセットでは、先に述べたように、ブラックインクとカラーインク間のブリーディングの抑制を目的としており、異なる色のカラーインク同士間のブリーディングについては特に処置を施していない。しかし、カラーインクは、画像やグラフ等において使用されることが多いので、カラーインクを調製する際に、サイジングされた用紙に対しても速い浸透性を持たせる等、従来公知の方法を用いればカラーインク間におけるブリーディングを防止でき、実用的には大きな印字品位の低下にならないようにすることができる。
【0029】
以下、本発明のインクセットを構成する、色材として、カーボンブラックの表面に少なくとも1種類のカチオン性基が直接若しくは他の原子団を介して結合された自己分散型カーボンブラックを有するブラックインクと、アニオン性物質を含有し、且つ、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つカラーインクの夫々について説明する。先ず、ブラックインクの構成材料である、特定の自己分散型カーボンブラックについて説明する。
【0030】
(自己分散型カーボンブラック)
本発明のインクセットでは、ブラックインクの色材として、カーボンブラックの表面に少なくとも1種類のカチオン性基が直接若しくは他の原子団を介して結合された自己分散型カーボンブラックを使用する。このような自己分散型カーボンブラックを色材に使用することで、分散剤を用いることなく、インクの水性媒体中にカーボンブラックを安定した状態で分散させることが可能となる。
【0031】
本発明においては、カーボンブラックの表面に、直接若しくは他の原子団を介して結合されている親水性基が、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェナシル基及びナフチル基等の少なくとも1つの芳香族基、又はピリジル基等の複素環基と、少なくとも1つのカチオン性基とからなっていることが好ましい。又、更に好ましくは、カーボンブラックの表面に結合されているカチオン性基が、第4級アンモニウム基であることが好ましい。又、第4級アンモニウム基の代わりに第4級ホスホニウム基を有するものも用いられる。
【0032】
本発明において好ましく使用されるカーボンブラックの表面に結合されるカチオン性基としては、具体的には、下記に挙げる構造の親水性基を有するものが挙げられる。しかし、本発明は、これらに限定されるものではない。
但し、下記式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、置換若しくは未置換のフェニル基、又は、置換若しくは未置換のナフチル基を表す。
【0033】
【化1】
【0034】
上記に挙げたようなカチオン性基が表面に結合されている自己分散型カーボンブラックのインク中の含有量は、特に限定はされないが、インク全重量の0.5〜15.0%の範囲とするのが好ましく、特には、1.0〜10.0%の範囲とするのが好ましい。即ち、この範囲とすることで、例えば、印字濃度やインクの吐出安定性等のインクジェット記録用インクとしての信頼性をより一層向上させることができる。
本発明のカラーインクジェット記録用インクセットを構成するブラックインクに着色剤を内包する樹脂を更に包含させるものも好ましい態様である。
【0035】
(着色剤を内包する樹脂)
上記したブラックインクに着色剤が内包された樹脂を添加した場合、インクの吐出性やブラックインクとしての品位に殆ど影響を与えることなしに、該ブラックインクによって得られる画像の耐擦過性や耐マーカー性を強化することができる。着色剤を内包する樹脂(以下、着色剤内包樹脂とも呼ぶ)としては、例えば、水不溶性の着色剤を樹脂のマイクロカプセルに閉じ込めた樹脂、及び油性溶剤に溶解或いは分散した水不溶性の着色剤を水性媒体中に分散した樹脂エマルジョンが挙げられるが、特には、着色剤を閉じ込めてなるマイクロカプセル化樹脂が好ましい。
【0036】
即ち、例えば、油溶性染料や顔料等の水不溶性の着色剤を、上記着色剤として用いた場合、マイクロカプセル化によって、これらの着色剤と樹脂の疎水性部分とが相互作用を及ぼし易いため樹脂の疎水性部分は水系内に配向し難くなる傾向が出てくると推定される。その結果、この着色剤内包樹脂を含むインクジェット記録用インクは、インクジェットプリンタから吐出させたときに、インクジェットヘッドの撥水処理されたノズル形成面への当該樹脂の付着、堆積が有効に抑えられて、インクの長期間に亘る吐出安定性のより一層の向上に寄与できるるものと予測される。
【0037】
着色剤をマイクロカプセル化した樹脂とは、水不溶性の着色剤等を油性の溶媒に溶解又は分散させ、これを水中で乳化分散し、更に従来知られている適当な方法でマイクロカプセル化を行って得られる樹脂分散体のことである。この際に使用できる着色剤としては、例えば、顔料及び油溶性染料等の水に不溶の着色剤が好適に使用される。即ち、水不溶性の着色剤は、着色剤をマイクロカプセル化した樹脂を製造し易いものである。具体的には、例えば、黒色(Bk)用顔料としては、カーボンブラック等が使用できる。
【0038】
ここでカーボンブラックは、例えば、ファーネス法及びチャネル法で製造されたカーボンブラックであって、一次粒子径が、15〜40nm、BET法による比表面積が50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9等の特性を有するものが好ましく用いられる。このような特性を有する市販品としては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、No.2200B(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(以上、コロンビア製)、REGAL400R、REGAL330R、REGAL660R、MOGUL L(以上、キャボット製)、Color Black FW−1、Color Black FW18、Color Black S170、Color Black S150、Prntex 35、Printex U(以上、デグッサ製)等が挙げられる。
【0039】
又、油溶性染料としては、下記の如き染料が好ましく使用される。
C.I.ソルベントイエロー1、2、3、13、19、22、29、36、37、38、39、40、43、44、45、47、62、63、71、76、81、85、86等。
C.I.ソルベントレッド8、27、35、36、37、38、39、40、58、60、65、69、81、86、89、91、92、97、99、100、109、118、119、122等。
C.I.ソルベントブルー14、24、26、34、37、38、39、42、43、45、48、52、53、55、59、67等。
C.I.ソルベントブラック3、5、7、8、14、17、19、20、22、24、26、27、28、29、43、45等。
【0040】
又、従来公知の各種水溶性染料であってもそのカウンターイオン(通常は、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びアンモニウムイオン)を有機アミン等で交換したものを使用することができる。
【0041】
上記した種々の着色剤は、例えば、先に述べたブラックインクで使用する色材の色調を整え、或いは補うために、かかる色材と同様の色調を有するものを選択することが好ましく、それによって記録画像の濃度をより一層向上させることができる。従って、本発明においては、ブラックインクの色材としてカーボンブラックを用いるので、着色剤内包樹脂の着色剤にもカーボンブラックを用いることが好ましい。又、樹脂に内包させる着色剤として2種以上の色材を利用してもよい。この場合、各々の着色剤を別個に樹脂に内包された形態としてもよく、或いは、各々の着色剤が共通の樹脂に内包された形態としてもよい。
【0042】
次に上記着色剤内包樹脂として、着色剤をマイクロカプセル化した樹脂の作成方法について述べる。
先ず、上記着色剤を油性溶媒に溶解又は分散させ、ついでその油性溶媒を水に乳化分散させる。上記着色剤を溶解又は分散させた油性溶媒を水中に乳化分散させる方法としては、超音波による分散方法や各種分散機、攪拌機を用いる方法が挙げられる。この際、必要に応じて、各種乳化剤や分散剤、更には、保護コロイド等の乳化剤又は分散助剤を用いることもできる。これらの乳化剤又は分散助剤としては、PVA、PVP及びアラビアゴム等の高分子物質の他、アニオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤等を使用することができる。
【0043】
上記乳化体のマイクロカプセル化方法としては、水不溶性の有機溶媒(油性溶剤)に着色剤と樹脂を溶解せしめた後、水系へ転相することによる転相乳化させる方法、有機相及び水相との界面で重合反応を起させてマイクロカプセル化せしめる界面重合法、有機相のみに壁を形成する素材を溶解又は存在せしめてマイクロカプセルを形成せしめる所謂In−Situ重合法、ポリマーの水溶液のpH、温度、濃度等を変化させることによりポリマーの濃厚相を相分離させ、マイクロカプセルを形成せしめるコアセルベーション法等が挙げられる。マイクロカプセルを形成した後に油性溶剤を除去する工程が追加される。上記のようにして得られる着色剤を内包する樹脂の平均粒子径としては、好ましくは0.01〜2.0μm、更には、0.05〜1μmの範囲内にあることが好ましい。
【0044】
本発明においては、上記のようにして得られる着色剤を内包する樹脂が、樹脂表面にカチオン性親水基を有するものであることが好ましい。このような樹脂としては、親水性モノマーと疎水性モノマーとの共重合体及びその塩を使用することが好ましい。この際に使用する親水性モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート〔CH2=C(CH3)−COO−C2H4N(CH3)2〕、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート〔CH2=CH−COO−C2H4N(CH3)2〕、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート〔CH2=C(CH3)−COO−C3H6N(CH3)2〕、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート〔CH2=CH−COO−C3H6N(CH3)2〕、N,N−ジメチルアクリルアミド〔CH2=CH−CON(CH3)2〕、N,N−ジメチルメタクリルアミド〔CH2=C(CH3)−CON(CH3)2〕、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド〔CH2=CH−CONHC2H4N(CH3)2〕、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド〔CH2=C(CH3)−CONHC2H4N(CH3)2〕、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド〔CH2=CH−CONH−C3H6N(CH3)2〕、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド〔CH2=C(CH3)−CONH−C3H6N(CH3)2〕等が挙げられる。
【0045】
又、塩を形成するための化合物としては、第3級アミンの場合においては、塩酸、硫酸及び酢酸等を使用し、4級化に用いられる化合物としては、塩化メチル、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド及びエピクロロヒドリン等を使用する。
【0046】
疎水性モノマーとしては、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルトルエン、ビニルトルエン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、ブタジエン、ブタジエン誘導体、イソプレン、イソプレン誘導体、エチレン、エチレン誘導体、プロピレン、プロピレン誘導体、アクリル酸のアルキルエステル及びメタクリル酸のアルキルエステル等が挙げられる。
【0047】
上記に挙げたような着色剤内包樹脂のインク中の含有量は、特に限定はされないが、インク全重量の0.5〜10.0%の範囲とするのが好ましく、特には、1.0〜7.0%の範囲とするのが好ましい。即ち、この範囲とすることで、例えば、印字濃度やインクの吐出安定性等のインクジェット記録用インクとしての信頼性をより一層向上させることができる。
【0048】
(カラー染料)
本発明において使用するカラーインクは、アニオン性物質を有し、且つ、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つものであることを特徴とする。カラーインクの色材としては、公知の染料又は顔料が用いられるが、発色性を考慮して、特にアニオン性染料が好ましく用いられる。アニオン性染料としては、既存のものでも、新規に合成したものでも適度な色調と濃度を有するものであれば、大抵のものを用いることができる、又、これらのうちの何れかを混合して用いることも可能である。
【0049】
下記に、本発明で使用できるアニオン性染料の具体例について、インクの色調別に例示する。
(イエロー用の色材)
C.I.ダイレクトイエロー:8、11、12、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110及び132
C.I.アシッドイエロー:1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98及び99
C.I.リィアクティブイエロー:2、3、17、25、37及び42
C.I.フードイエロー:3
【0050】
(マゼンタ用の色材)
C.I.ダイレクトレッド:2、4、9、11、20、23、24、31、39、46、62、75、79、80、83、89、95、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229及び230
C.I.アシッドレッド:6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289
C.I.リィアクティブレッド:7、12、13、15、17、20、23、24、31、42、45、46及び59
C.I.フードレッド:87、92及び94
【0051】
(シアン用の色材)
C.I.ダイレクトブルー:1、15、22、25、41、76、77、80、86、90、98、106、108、120、158、163、168、199及び226
C.I.アシッドブルー:1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、117、127、138、158及び161
C.I.リィアクティブブルー:4、5、7、13、14、15、18、19、21、26、27、29、32、38、40、44及び100
【0052】
上記した色材の含有量としては、インク全重量中の0.2〜15重量%の範囲とするのが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%の範囲とする。即ち、この範囲とすることで、例えば、発色性やインクの吐出安定性等のインクジェット記録用インクとしての信頼性を、より一層向上させることができる。
【0053】
カラーインクに用いられる水性媒体の例としては、例えば、水、或いは水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、インクの乾燥防止効果を有するものを用いることが特に好ましい。
【0054】
この際に使用できる水溶性有機溶媒としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0055】
上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも、或いは、適宜に選択して混合物としても使用することができる。又、上記水溶性有機溶剤のインク中における含有量は、特に限定されないが、インク全重量に対して、3〜50重量%の範囲が好適である。又、インクに含有される水の含有量は、インク全重量に対して50〜95重量%の範囲とすることが好ましい。
【0056】
上記したカラーインクは、筆記具用インクやインクジェット記録用インクに用いることができる。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発砲により液滴を吐出する記録方法があるが、それらの記録方法に特に好適である。ところで、上記カラーインクをインクジェット記録用に用いる場合には、該インクはインクジェット記録ヘッドから吐出可能な吐出特性を有することが好ましい。インクジェットヘッドからの吐出性という観点からは、該液体の特性としては、例えばその粘度を1〜15cps、表面張力が25mN/m(dyn/cm)以上、特には粘度を1〜5cps、表面張力が25〜50mN/m(dyn/cm)とすることが好ましい。
【0057】
本発明で使用するカラーインクに、上記したような吐出特性を担持させるための好ましい水性媒体の組成としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、チオグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプロピルアルコール及びアセチレンアルコールを含むものとすることが好ましい。尚、アセチレンアルコールとしては、例えば、下記式で示されるアセチレンアルコールを挙げることができる。
【0058】
【化2】
上記式中、R1、R2、R3及びR4は、アルキル基、具体的には、例えば、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、m及びnは、夫々整数を表し、m=0且つn=0、若しくは1≦m+n≦30であって、m+n=1の場合は、m又はnは0である。
【0059】
更に、本発明で使用するカラーインクに水素イオン濃度に対して緩衝作用を持たせ、50mlのカラーインクに1規定の硫酸水溶液を1.5ml添加した際のpH値と、添加前のpH値の差が1.0以内になるようにするには、従来公知の緩衝溶液を作るのと同様な、下記の方法が挙げられる。
具体的には、カラーインク中に、有機酸或いは無機酸のアンモニウム塩、有機酸或いは無機酸のアミン塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、塩基性アミン、塩基性アミノ酸、リン酸二水素ナトリウム、グリシン、塩化ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩酸、炭酸ナトリウム、ジメチルグリシンナトリウム、ホウ酸、アルカリ金属の塩化物、ポリアミン及びポリイミンなどの緩衝剤を単独で包含させたり、若しくは、適宜に組み合わせて用いることができる。組み合わせる場合の具体的なものとしては、例えば、リン酸二水素ナトリウム/水酸化ナトリウム、グリシン+塩化ナトリウム/水酸化ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム/水酸化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム/四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム/炭酸ナトリウム、塩酸/炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム/水酸化ナトリウム、塩化アンモニウム/アンモニア、ジメチルグリシンナトリウム/塩酸、ホウ酸+塩化カリウム/炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウム等の緩衝剤が挙げられる。
【0060】
本発明において、上記に挙げたものはいずれも好ましく使用できるが、カラーインクに、より強い緩衝作用を持たせることでブリードを有効に防止できるという知見を得ているため、有機酸或いは無機酸のアンモニウム塩、又はアミン塩からなる群の少なくとも1種と、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、塩基性アミン、塩基性アミノ酸からなる群の少なくとも1種とを含むことが好ましい。
【0061】
上記したような化合物の含有量としては、50mlのカラーインクに1規定の硫酸水溶液を1.5ml添加した際のpH値と、添加前のpH値との差が1.0以内という条件をカラーインクが満たすように適宜に調整することが好ましい。但し、この際に、発色性やインクの吐出安定性等のインクジェット記録用インクとしての信頼性を損なわない範囲にする必要がある。
【0062】
カラーインク中には、上記で述べた成分の他に、そのインク中の色材の極性と同じか、又はノニオン性の少なくとも1種の界面活性剤を含有させるとよい。これらの界面活性剤を含有させることによって、インクに所望の浸透性や粘度を付与させることができる、インクジェット記録用インクに要求される性能をより一層満足させることができる。この際に使用される界面活性剤としては、下記に挙げるような、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤、或いは、これらの2種以上の混合物のいずれでもよい。
【0063】
(アニオン性界面活性剤)
脂肪酸塩、高級アルコール酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩及びスルホコハク酸ジアルキルエステル塩等。
【0064】
(カチオン性界面活性剤)
脂肪族アミン塩、第4級アンモニウム塩及びアルキルピリジニウム塩等。
【0065】
(非イオン性界面活性剤)
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪族アミドエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル及びアルカノールアミンの脂肪酸アミド類等。
【0066】
(両性界面活性剤)
アミノ酸型及びベタイン型両性界面活性剤等。
【0067】
本発明においては、これらのものはいずれも好ましく使用されるが、より好ましくは、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物等の非イオン性界面活性剤を用いる。更に、上記エチレンオキサイド付加物の付加モル数が4〜20の範囲のものが特に好ましい。
【0068】
上記のような界面活性剤の各インク中における添加量については特に制限はないが、インク全重量の0.01〜10重量%の範囲とするのが好ましい。0.01重量%未満では、界面活性剤の種類にもよるが、一般に所望の浸透性が得られず、10重量%を超える場合には、インクの初期粘度が大きくなり、好ましくない。更に好ましくは、インク全重量の0.1〜5.0重量%の範囲とするのがよい。
【0069】
この他、本発明のインクセットを構成する各インク中には上記成分の他、必要に応じて、保湿剤としての尿素、チオ尿素、エチレン尿素、アルキル尿素、アルキルチオ尿素、ジアルキル尿素及びジアルキルチオ尿素等の含窒素化合物や、インクに所望の性能を与えるための、pH調整剤、粘度調整剤、防腐剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、防錆剤、防カビ剤及びキレート化剤等の添加剤を配合してもよい。
【0070】
上記に説明したブラックインク及びカラーインクを組み合わせてなる本発明のインクセットは、インク滴を記録信号に応じてオリフィスから吐出させて被記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法に好適に用いられるが、特に、熱エネルギーの作用により、インク滴を吐出させて記録を行うインクジェット記録方式にとりわけ好適に用いられる。本発明のインクセットを用いて好適に記録を行う記録方法としては、記録ヘッド内に収容された各色のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーにより液滴を発生させるインクジェット記録方法が挙げられるが、以下にこのようなインクジェット記録方法を適用した本発明のインクジェット記録装置の一例について説明する。
【0071】
先ず、その装置の主要部であるヘッド構成例を、図1、図2及び図3に示す。図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は、図1のA−B線での断面図である。ヘッド13は、インクを通す溝14を有する、ガラス、セラミック又はプラスチック板等と、感熱記録に用いられる発熱ヘッド15(図では薄膜ヘッドが示されているが、これに限定されるものではない。)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層19、及びアルミナ等の放熱性のよい基板20より成っている。
【0072】
インク21は、吐出オリフィス(微細孔)22まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成している。今、アルミニウム電極17−1及び17−2に電気信号情報が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出しインク小滴24となり、吐出オリフィス22より被記録媒体25に向って飛翔する。
【0073】
図3には、図1に示すヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドは、マルチ溝26を有するガラス板27と、図1で説明したものと同様の発熱ヘッド28を密着して作製されている。
【0074】
図4に、上記ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0075】
上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面の水分、塵挨等の除去が行われる。65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載してその移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0076】
51は被記録媒体を挿入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動する紙送りローラーである。これらの構成によって記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ被記録媒体が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。
上記構成において記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0077】
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は、上述したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッド65のホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッド65が記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0078】
図5は、ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示す図である。ここで、40は供給用インクを収容したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめる。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としては、インクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが本発明にとって好ましい。
【0079】
本発明のインクジェット記録装置は、上記の如きヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示す如きそれらが一体になったものにも好適に用いられる。図6において、70は記録ユニットであって、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。
【0080】
インク吸収体の材料としては、ポリウレタン、セルロース、ポリビニルアセテート又はポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。72は、記録ユニット内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は、図4で示す記録ヘッドに代えて用いられるものであって、キャリッジ66に対し着脱自在になっている。
【0081】
図7は、本発明に適用可能なインクジェット記録装置を示す斜視図である。記録装置の給紙位置に挿入された記録媒体106は、送りローラ109によって記録ヘッドユニットl03の記録可能領城へ搬送される。記録可能領域における記録媒体の下部には、プラテン108が設けられる。キャリッジ111は、ガイド軸l04とガイド軸l05の2つのガイド軸によって定められた方向に移動可能な構成となっており、記録領域を往復走査する。キャリッジ111には、複数の色インクを吐出する記録ヘッドと、夫々の記録ヘッドにインクを供給するインクタンクを含む記録ヘッドユニット103が搭載されている。
この例のインクジェット記録装置に設けられる複数の色のインクは、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のインクである。
【0082】
キャリッジが移動可能な領域の左端には、下部に回復系ユニット1l0があり、非記録時に記録ヘッドの吐出口部をキャップしたりする。この左端を記録ヘッドのホームポジションと呼ぶ。107は、スイッチ部と表示素子部であり、スイッチ部は記録装置の電源のオン/オフや各種記録モードの設定時等に使用され、スイッチ部は記録装置の状態を表示する役割をする。
【0083】
図8は、図7の記録ヘッドユニットを示す斜視図である。
キャリッジ111には、Bk、C、M、Yの各色のインクを吐出する記録ヘッド102と、Bk用インクタンク20Bk、C用インクタンク20C、M用インクタンク20M、Y用インクタンク20Yが搭載される。各タンクは記録ヘッドとの接続部を介して記録ヘッドと接続し、吐出口にインクを供給する。
この例以外にも、例えば、CとMとYの各色インクのタンクが一体構造であってもよい。
【0084】
図9は、記録ヘッドの発熱体付近の拡大断面図である。この例のインクジェット記録装置は、各インク吐出口に対応して、電気・熱変換体である発熱体を配置し、記録情報に対応する駆動信号を発熱体に印加して、ノズルからインクを吐出させる記録方式を採用するものである。発熱体31は、全てのノズルに対して夫々独立に発熱可能な構成となっている。
【0085】
発熱体31の発熱により急速に加熱されたノズル内のインクは、膜沸騰により気泡を形成し、この気泡生成の圧力により、図9に示すようにインク滴35が記録媒体106に向かって吐出され、記録媒体上に文字や画像を形成される。吐出口37の各々には、吐出口に連通するインク液路が設けられており、インク液路38が配設される部位の後方には、これら液路にインクを供給するための共通液室32が設けられている。吐出口の各々に対応するインク液路には、これら吐出口からインク滴を吐出するために利用される熱エネルギーを発生する電気・熱変換体である発熱体31や、これに電力を供給するための電極配線が設けられている。これら、発熱体31や電極配線は、シリコン等からなる基板33上に成膜技術によって形成される。発熱体31の上には、インクと発熱体が直接接触しないように、保護膜36が形成されている。更に、この基板上に、樹脂やガラス材よりなる隔壁34を積層することによって、上記の吐出口、インク液路、共通液室等が構成される。
【0086】
このように、電気・熱変換体である発熱体を使用した記録方式は、インク滴吐出時に熱エネルギー印加により形成される気泡を使用しているため、通称バブルジェット記録方式と呼ばれている。尚、上記した本発明の記録装置においては、インクに熱エネルギーを作用させてインク液滴を吐出するインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、その他、圧電素子を使用するピエゾ方式等、その他の方式のインクジェット記録装置としてもよい。
【0087】
次に、本発明に好適に使用できる記録装置および記録ヘッドの他の具体例を説明する。図10は、本発明に係る吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の液体吐出ヘッドとしての液体吐出ヘッドおよびこのヘッドを用いる液体吐出装置としてのインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【0088】
図10においては、インクジェットプリンタは、ケーシング1008内に長手方向に沿って設けられる記録媒体としての用紙1028を図中に示す矢印Pで示す方向に間欠的に搬送する搬送装置1030と、搬送装置1030による用紙1028の搬送方向Pに略直交する矢印S方向に、ガイド軸1014に沿って略平行に往復運動せしめられる記録部1010と、記録部1010を往復運動させる駆動手段としての移動駆動部1006とを含んで構成されている。
【0089】
移動駆動部1006は、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に配されるプーリ1026a、及び、プーリ1026bに巻きかけられるベルト1016、ローラユニット1022a、及び、ローラユニット1022bに略平行に配置され記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されるベルト1016を順方向及び逆方向に駆動させるモータ1018とを含んで構成されている。
【0090】
モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図10の矢印R方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図10の矢印S方向に所定の移動量だけ移動される。又、モータ1018が作動状態とされてベルト1016が図中に示した矢印R方向とは逆方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aは図10の矢印S方向とは反対の方向に所定の移動量だけ移動されることとなる。更に、移動駆動部1006の一端部には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に、記録部1010の吐出回復処理を行うための回復ユニット1026が記録部1010のインク吐出口配列に対向して設けられている。
【0091】
記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下、単にカートリッジと記述する場合がある)1012Y、1012M、1012Cおよび1012Bが各色、例えばイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラック毎にそれぞれ、キャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。
【0092】
図11は上述のインクジェット記録装置に搭載可能なインクジェットカートリッジの一例を示す。本例におけるカートリッジ1012は、シリアルタイプのものであり、インクジェット記録ヘッド100と、インク等の液体を収容する液体タンク1001とで主要部が構成されている。
【0093】
インクジェット記録ヘッド100は液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、インク等の液体は、液体タンク1001から図示しない液体供給通路を介して液体吐出ヘッド100の共通液室(図12参照)へと導かれるようになっている。図11に示したカートリッジ1012は、インクジェット記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に形成し、必要に応じて液体タンク1001内に液体を補給できるようにしたものであるが、この液体吐出ヘッド100に対し、液体タンク1001を交換可能に連結した構造を採用するようにしてもよい。
【0094】
このような構成のインクジェットプリンタに搭載され得る上述の液体吐出ヘッドの具体例を以下に更に詳しく説明する。
【0095】
図12は、本発明のインクジェット記録装置に好適な液体吐出ヘッドの要部を模式的に示す概略斜視図であり、図13〜図16は図12に示した液体吐出ヘッドの吐出口形状を示す正面図である。尚、これらの図において電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線等は省略している。
【0096】
本例の液体吐出ヘッドにおいては、例えば図12に示されるような、ガラス、セラミックス、プラスチック或いは金属等からなる基板934が用いられる。このような基板の材質は、本発明の本質ではなく、流路構成部材の一部として機能し、インク吐出エネルギー発生素子、及び後述する液流路、吐出口を形成する材料層の支持体として、機能し得るものであれば特に限定されるものではない。そこで、本例では、Si基板(ウエハ)を用いた場合で説明する。このような基板934上にインク吐出口を形成するが、その方法としては、レーザー光による形成方法の他、例えば後述するオリフィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、MPA(Mirror Projection Aliner)等の露光装置により吐出口を形成する方法も挙げられる。
【0097】
図12において934は電気熱変換素子(以下、ヒータと記述する場合がある)931および共通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を備える基板であり、インク供給口933の長手方向の両側には、熱エネルギー発生手段であるヒータ931がそれぞれ1列ずつ千鳥状に、電気熱変換素子の間隔が、例えば、300dpiで配列されている。又、この基板934上には、インク流路を形成するためのインク流路壁936が設けられている。このインク流路壁936には、更に吐出口832を備える吐出口プレート935が設けられている。
【0098】
ここで、図12においてはインク流路壁936と吐出口プレート935とは、別部材として示されているが、このインク流路壁936を例えばスピンコート等の手法によって基板934上に形成することによりインク流路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に形成することも可能である。ここでは、更に、吐出口面(上面)935a側は撥水処理が施されている。
【0099】
例示した装置では、図10の矢印S方向に走査しながら記録を行うシリアルタイプのヘッドを用い、例えば、1,200dpiで記録を行う。駆動周波数は10kHzであり、一つの吐出口では最短時間間隔100μs毎に吐出を行うことになる。
【0100】
又、ヘッドの実例寸法の一例としては、例えば、図13に示すように、隣接するノズルを流体的に隔離する隔壁936aは、幅w=14μmである。図16に示すように、インク流路壁936により形成される発泡室1337は、N1(発泡室の幅寸法)=33μm、N2(発泡室の長さ寸法)=35μmである。ヒータ931のサイズは30μm×30μmでヒータ抵抗値は53Ωであり、駆動電圧は10.3Vである。又、インク流路壁936及び隔壁936aの高さは12μmで、吐出口プレート厚は11μmのものが使用できる。
【0101】
図12に示したように、吐出口832を含む吐出口プレートに設けられた吐出口部940の断面のうち、インクの吐出方向(オリフィスプレート935の厚み方向)に交差する方向で切断してみた断面の形状は、図14に示したように、概略星形となっており、鈍角の角を有する6つの起部832aと、これら起部832aの間に交互に配され、且つ、鋭角の角を有する6つの伏部832bとから概略構成されている。即ち、吐出口の中心Oから局所的に離れた領域としての伏部832bをその頂部、この領域に隣接する吐出口の中心Oから局所的に近い領域としての起部832aをその基部として、図12に示すオリフィスプレートの厚み方向(液体の吐出方向)に6つの溝が形成されている(溝部の位置については図17の1141a参照)。
【0102】
図示した例の液体吐出ヘッドにおいては、吐出口部940は、例えばその厚み方向に交差する方向で切断した断面が一辺27μmの二つの正三角形を60度回転させた状態で組み合わせた形状となっており、図14に示すT1は8μmである。起部832aの角度はすべて120度であり、伏部832bの角度はすべて60度である。
【0103】
従って、吐出口の中心Oと、互いに隣接する溝の中心部(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の中心(重心))を結んで形成される多角形の重心Gとが一致するようになっている。(図14参照)本例の吐出口832の開口面積は400μm2であり、溝部の開口面積(溝の頂部と、この頂部に隣接する2つの基部とを結んでできる図形の面積)は1つあたり約33μm2となっている。
図15は図14に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
【0104】
次に、上述の構成のインクジェット記録ヘッドによる液体の吐出動作について図17〜図24を用いて説明する。
図17〜図24は、図12〜図16に記載の液体吐出ヘッドの液体吐出動作を説明するための断面図であり、図16に示す発泡室1337のX−X断面図である。この断面において吐出口部940のオリフィスプレート厚み方向の端部は、溝1141の頂部1141aとなっている。
【0105】
図17はヒータ上に膜状の気泡が生成した状態を示し、図18は図17の約1μs後、図19は図17の約2μs後、図20は図17の約3μs後、図21は図17の約4μs後、図22は図17の約5μs後、図23は図17の約6μs後、図24は図17の約7μs後の状態をそれぞれ示している。尚、以下の説明において、「落下」又は「落とし込み」、「落ち込み」とは、いわゆる重力方向への落下という意味ではなく、ヘッドの取り付け方向によらず、電気熱変換素子の方向への移動をいう。
【0106】
先ず、図17に示すように、記録信号などに基づいたヒータ931への通電に伴いヒータ931上の液流路1338内に気泡101が生成されると、該気泡は約2μs間に図18および図19に示すように急激に体積膨張して成長する。気泡101の最大体積時における高さは吐出口面935aを上回るが、このとき、気泡の圧力は大気圧の数分の1から10数分の1にまで減少している。
【0107】
次に、気泡101の生成から約2μs後の時点で気泡101は上述のように最大体積から体積減少に転じるが、これとほぼ同時にメニスカス1004の形成も始まる。このメニスカス1004も図19に示すようにヒータ931側への方向に後退、すなわち落下してゆく。
【0108】
ここで、図示した例の液体吐出ヘッドにおいては、吐出口部に複数の溝1141が分散した状態で設けられていることにより、メニスカス1004が後退する際に、溝1141の部分ではメニスカス後退方向FMとは反対方向FCに毛管力が作用する。その結果、仮に何らかの原因により気泡101の状態に多少のバラツキが認められたとしても、メニスカスの後退時のメニスカス及び主液滴(以下、液体又はインクと記述する場合がある)Iaの形状が、吐出口中心に対して略対称形状となるように補正される。
【0109】
そして、図示した例の液体吐出ヘッドでは、このメニスカス1004の落下速度が気泡101の収縮速度よりも速いために、図21に示したように、気泡の生成から約4μs後の時点で気泡101が吐出口832の下面近傍で大気に連通する。このとき、吐出口832の中心軸近傍の液体(インク)はヒータ931に向かって落ち込んでゆく。これは、大気に連通する前の気泡101の負圧によってヒータ931側に引き戻された液体(インク)Iaが、気泡101の大気連通後も慣性でヒータ931面方向の速度を保持しているからである。
【0110】
ヒータ931側に向かって落ち込んでいった液体(インク)は、図22に示すように気泡101の生成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達し、図23に示すようにヒータ931の表面を覆うように拡がってゆく。このようにヒータ931の表面を覆うように拡がった液体はヒータ931の表面に沿った水平方向のベクトルを有するが、ヒータ931の表面に交差する、例えば、垂直方向のベクトルは消滅し、ヒータ931の表面上に留まろうとし、それよりも上側の液体、すなわち吐出方向の速度ベクトルを保つ液体を下方向に引っ張ることになる。
【0111】
その後、ヒータ931の表面に拡がった液体と上側の液体(主液滴)との間の液体部分Ibが細くなってゆき、気泡101の生成から約7μs後の時点で図24に示すようにヒータ931の表面の中央で液体部分Ibが切断され、吐出方向の速度ベクトルを保つ主液滴Iaとヒータ931の表面上に拡がった液体Icとに分離される。このように分離の位置は液流路1338内部、より好ましくは吐出口832よりも電気熱変換素子931側が望ましい。
【0112】
主液滴Iaは吐出方向に偏りがなく、吐出ヨレすることなく、吐出口832の中央部分から吐出され、記録媒体の被記録面の所定位置に着弾される。又、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icは、従来であれば主液滴の後続としてサテライト滴となって飛翔するものであるが、ヒータ931の表面上に留まり、吐出されない。
【0113】
このようにサテライト滴の吐出を抑制することができるため、サテライト滴の吐出により発生し易いスプラッシュを防止することができ、霧状に浮遊するミストにより記録媒体の被記録面が汚れるのを確実に防止することが可能となる。尚、図21〜24において、Idは溝部に付着したインク(溝内のインク)を、又、Ieは液流路内に残存しているインクを表している。
【0114】
このように、図示した例の液体吐出ヘッドでは、気泡が最大体積に成長した後の体積減少段階で液体を吐出する際に、吐出口の中心に対して分散した複数の溝により、吐出時の主液滴の方向を安定化させることができる。その結果、吐出方向のヨレのない、着弾精度の高い液体吐出ヘッドを提供することができる。又、高い駆動周波数での発泡ばらつきに対しても吐出を安定して行うことができることによる、高速高精細印字を実現することができる。
【0115】
特に、図示した例の液体吐出ヘッドでは、気泡の体積減少段階でこの気泡を始めて大気と連通させることで液体を吐出することにより、気泡を大気に連通させて液滴を吐出する際に発生するミストを防止できるので、所謂、突然不吐出の要因となる、吐出口面に液滴が付着する状態を抑制することもできる。
【0116】
本発明に好適に使用できる、上記したような吐出時に気泡を大気と連通する吐出方式の記録ヘッドの他の実施態様として、例えば特許第2783647号公報に記載のように、いわゆるエッジシュータータイプが挙げられる。
【0117】
本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記録を行うインクジェット方式の記録ヘッドや記録装置において、優れた効果をもたらすものである。
【0118】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。
この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて膜沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長及び収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0119】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4,463,359号明細書及び同第4,345,262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4,313,124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0120】
本発明のインクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録装置を構成する記録ヘッドの構成としては、上記に挙げた各明細書に開示されているような吐出口、液路及び電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成のものを使用することも好ましい。
【0121】
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても本発明は有効である。
【0122】
更に、記録装置が記録できる最大範囲の被記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を一層有効に発揮することができる。
【0123】
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、或いは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0124】
又、本発明のインクジェット記録装置の構成に設けられる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気熱変換体或いはこれとは別の加熱素子或いはこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0125】
更に、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでもよいが、異なる色の複色カラー、又は混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0126】
以上説明した本発明の実施例においては、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化するもの、若しくは液体であるもの、或いは上述のインクジェット方式においては、インク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればいずれのものでも良い。
【0127】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで防止するか、又はインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクとして吐出するものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインクの使用も本発明には適用可能である。このような場合インクは、特開昭54−56847号公報或いは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても良い。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0128】
更に加えて、本発明のインクジェット記録装置の形態としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体、又は別体に設けられるものの他、リーダと組み合せた複写装置、更には送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採るものであってもよい。
【0129】
次に、上述した液体吐出ヘッドを搭載する液体吐出装置の概略について説明する。
図25は、上記構成を有する液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置600の概略斜視図である。
【0130】
図25において、インクジェットヘッドカートリッジ601は、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに供給するインクを保持するインクタンクとが一体となったものである。このインクジェットヘッドカートリッジ601は、駆動モータ602の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア603、604を介して回転するリードスクリュ605の螺旋溝606に対して係合するキャリッジ607上に搭載されており、駆動モータ602の動力によってキャリッジ607とともにガイド608に沿って矢印a,b方向に往復移動される。被記録媒体P’は、図示しない被記録媒体搬送手段によってプラテンローラ609上を搬送され、紙押え板610によりキャリッジ607の移動方向にわたってプラテンローラ609に対して押圧される。
【0131】
リードスクリュ605の一端の近傍には、フォトカプラ611及び612が配設されている。これらはキャリッジ607のレバー607aのこの領域での存在を確認し、駆動モータ602の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知手段である。
【0132】
支持部材613は、上述のインクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口のある前面(吐出口面)を覆うキャップ部材614を支持するものである。又、インク吸引手段615は、キャップ部材614の内部にインクジェットヘッドカートリッジ601から空吐出等されて溜まったインクを吸引するものである。このインク吸引手段615によりキャップ内開口部(不図示)を介してインクジェットヘッドカートリッジ601の吸引回復が行われる。インクジェットヘッドカートリッジ601の吐出口面を払拭するためのクリーニングブレード617は、移動部材618により前後方向(上記キャリッジ607の移動方向に直交する方向)に移動可能に設けられている。これらクリーニングブレード617及び移動部材618は、本体支持体619に支持されている。クリーニングブレード617は、この形態に限らず、他の周知のクリーニングブレードであってもよい。
【0133】
液体吐出ヘッドの吸引回復操作にあたって、吸引を開始させるためのレバー620は、キャリッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達手段で移動制御される。インクジェットヘッドカートリッジ601の液体吐出ヘッドに設けられた発熱体に信号を付与したり、前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェット記録制御部は装置本体側に設けられており、ここには図示しない。
【0134】
上述の構成を有するインクジェット記録装置600は、図示しない被記録媒体搬送手段によりプラテンローラ609上を搬送される被記録媒体P’に対し、インクジェットヘッドカートリッジ601は被記録媒体P’の全幅にわたって往復移動しながら記録を行う。
【0135】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の記載で部及び%とあるものは、特に断りのない限り重量基準である。
【0136】
先ず、ブラックインクの色材に使用するためのカチオン性の自己分散型カーボンブラックを、下記のようにして作製した。
(カーボンブラック1)
30gの水にH3N+C6H4N+(CH3)3Cl-・I-が3.08g溶けた溶液中に、硝酸銀1.69gを攪拌しながら加える。発生した沈殿物をろ過により除去し、ろ液を、水70gに、比表面積が230m2/gでDBPAが70ml/100gのカーボンブラック10gが分散している懸濁液に撹拌しながら加える。次に、2.25gの濃塩酸を加え、それから水10gに0.83gの亜硝酸ナトリウムが溶けた溶液を加えた。下記に示す構造を有するNN+C6H4N+(CH3)3基を有するジアゾニウム塩がカーボンブラックと反応して、それに伴って発生する窒素ガスの泡が止まったら、その分散液を120℃のオーブンで乾燥させた。この結果、カーボンブラックの表面にC6H4N+(CH3)3基が付いた生成物が得られた。
【0137】
【化3】
【0138】
(カーボンブラック2)
2.12gの4−アセトアミノフェナシルクロライド、0.83gのピリジン、6.4gのジメチルスルホキシドの溶液を一晩攪拌する。追加の0.8gのピリジン、1gのジメチルスルホキシドを添加した後、溶液を更に5時間攪拌する。50mlのエーテルを加え、アセトアミドフェナシルピリジニウムクロライドを、ろ過により採取する。得られたアセトアミドフェナシルピリジニウムクロライドを水に溶かし、その溶液をろ過した後、1.7gの濃塩酸を加える。この溶液を1時間煮沸した後、冷ましてアセトンを加え、4−アミノフェナシルピリジニウムクロライドヒドロクロライドを、ろ過によって得る。
【0139】
次に、得られた4−アミノフェナシルピリジニウムクロライドヒドロクロライド2gを15gの水に溶かし、4.5gの塩基性イオン交換樹脂(Amberlite IRA400−OH)を加える。攪拌後、ろ過してイオン交換樹脂を除去して、4−アミノフェナシルピリジニウムクロライドの水溶液を得た。25gの水に1.3gの4−アミノフェナシルピリジニウムクロライドが含有されている水溶液を、1gの硝酸銀で90分間還流した。発生した沈殿物をろ過して除去した。これに、比表面積が200m2/g、DBPAが122ml/100gのカーボンブラック5gを加え、混合物を約80℃に熱し、次に、0.52gの濃塩酸を加え、それから、少量の水に亜硝ナトリウムが溶解されている溶液を加えて、分散液を更に1.5時間攪拌した。その結果、下記に示す構造を有するNN+C6H4COCH2(N+C5H5)基を有するジアゾニウム塩ができ、カーボンブラックと反応させた。
【0140】
【化4】
【0141】
この結果、カーボンブラックの表面にC6H4COCH2(N+C5H5)基が付いた生成物が得られた。
【0142】
上記で得られた自己分散型カーボンブラックを用い、下記の組成を有するブラックインク1−1及び1−2を作製した。
(ブラックインク1−1)
・上記カーボンブラック1 5部
・ジエチレングリコール 10部
・トリメチロールプロバン 10部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファ
インケミカル製) 0.1部
・水 74.9部
【0143】
(ブラックインク1−2)
・上記カーボンブラック2 4部
・グリセリン 7部
・1,5−ペンタンジオール 8部
・エチレングリコール 7部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファ
インケミカル製) 0.2部
・水 73.8部
【0144】
下記の構成材料の混合物をインクベースとしてシアンインク1−1〜1−4を作成した。
(シアンインクベース)
・グリセリン 7部
・トリエチレングリコール 10部
・ヘキシレングリコール 5部
・DBL 199 3部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファ
インケミカル製) 1部
【0145】
(シアンインク1−1)
・上記ベース 26部
・水 74部
【0146】
(シアンインク1−2)
・上記ベース 26部
・硫酸アンモニウム 2部
・水酸化リチウム 0.3部
・水 71.7部
【0147】
(シアンインク1−3)
・上記ベース 26部
・クエン酸 1部
・ジエタノールアミン 4部
・水 69部
【0148】
(シアンインク1−4)
・上記ベース 26部
・炭酸水素ナトリウム 1部
・炭酸ナトリウム 2部
・水 71部
【0149】
下記の構成材料の混合物をインクベースとしてマゼンタインク1−1〜1−4を作成した。
(マゼンタインクベース)
・トリエチレングリコール 10部
・尿素 10部
・イソプロピルアルコール 4部
・C.I.アシッドレッド 94 3部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファ
インケミカル製) 1部
【0150】
(マゼンタインク1−1)
・上記ベース 28部
・水 72部
【0151】
(マゼンタインク1−2)
・上記ベース 28部
・コハク酸アンモニウム 1.5部
・アルギニン 3部
・水 67.5部
【0152】
(マゼンタインク1−3)
・上記ベース 28部
・酢酸アンモニウム 2.5部
・水酸化ナトリウム 0.4部
・水 69.1部
【0153】
(マゼンタインク1−4)
・上記ベース 28部
・コハク酸 1部
・モノイソプロパノールアミン 4部
・水 67部
【0154】
下記の構成材料の混合物をインクベースとしてイエローインク1−1〜1−4を作成した。
(イエローインクベース)
・グリセリン 5部
・2−ピロリドン 10部
・イソプロピルアルコール 4部
・C.I.アシッドイエロー23 3部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファ
インケミカル製) 1部
【0155】
(イエローインク1−1)
・上記ベース 23部
・水 77部
【0156】
(イエローインク1−2)
・上記ベース 23部
・リジン 3部
・水 74部
【0157】
(イエローインク1−3)
・上記ベース 23部
・酢酸アンモニウム 2部
・トリエタノールアミン 6部
・水 69部
【0158】
(イエローインク1−4)
・上記ベース 23部
・安息香酸アンモニウム 1.2部
・アンモニア 0.8部
・水 75部
【0159】
<実施例1〜6、比較例1及び2>
上記で得られたインクを表1に示したような組み合わせで、実施例1〜6、比較例1及び2のインクセットを得た。
【0160】
【表1】
【0161】
ここで、各インクセットに用いたカラーインクが、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つか否かを、50mlのカラーインクに対して1規定の硫酸水溶液を1.5ml添加したインクのpH値と、硫酸水溶液を添加しない状態でのインクのpH値との差を測定することにより調べた。その結果を表2に示した。又、ブラックインク1−1又は1−2のpHを、表2中に示した。
【0162】
【表2】
【0163】
(評価方法及び評価基準)
次に、上記で得られたインクセットを、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置であるBJF 800(キヤノン製)の改造機に各々搭載して、印字試験を行い、ブラックインクとカラーインクとの間のブリードの評価を行った。得られた結果を表3に示す。印字試験に用いた被記録媒体は、キヤノン製コピー用紙:PB PAPER、ゼロックス製:4024 PAPERの2種の普通紙である。
【0164】
(ブラックインクと各カラーインクとの間のブリーディング)
ブラックインクとカラーインクを同一のスキャンで印字する印字方法で、上記普通紙2紙に各インクセットで、ブラックインクでベタ部と、イエロー、又はマゼンタ、又はシアンインクのベタ部が隣接するようなパターンを印字した。評価基準は以下の通りである。得られた結果を表3に示した。
A:全ての境界とで目視てブリードが認められない。
B:目視でわずかにブリードが認められるが、あまり気にならない。
C:目視でブリードが認められる。
【0165】
【表3】
【0166】
(着色剤内包樹脂含有インク系の実施例ならびに比較例)
ブラックインクに使用するためのマイクロカプセル内に着色剤が閉じ込められた構成を有する着色剤内包樹脂を、下記のようにして作製した。
先ず、上記に示す材料を混合溶解した。次に、得られた混合物を酢酸を中和剤として転相乳化を行い、メチルエチルケトンを除去して、最終的に固形分濃度20wt%、平均粒子径0.08μmのマイクロカプセルの水系分散体を得た。これをマイクロカプセル1とする。
【0167】
(マイクロカプセル2)
・カーボンブラック MCF−88(三菱
化学製) 20重量部
・スチレン−N,N−ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート共重合体
(分子量4万5千) 40重量部
・メチルエチルケトン 40重量部
先ず、上記に示す材料を混合分散した。次に、得られた混合物を酢酸を中和剤として転相乳化を行い、メチルエチルケトンを除去して最終的に固形分濃度20wt%、平均粒子径0.10μmのカーボンブラック含有カチオン性樹脂の水系分散体を得た。これをマイクロカプセル2とする。
【0168】
上記で得られた自己分散型カーボンブラック及び着色剤内包樹脂(マイクロカプセル)を用い、下記の組成を有するブラックインク2−1〜2−4を作製した。
(ブラックインク2−1)
・前記カーボンブラック1 5部
・前記マイクロカプセル1 1.5部
・グリセリン 10部
・トリメチロールプロバン 10部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファ
インケミカル製) 0.1部
・水 73.4部
【0169】
(ブラックインク2−2)
・前記カーボンブラック2 5部
・前記マイクロカプセル2 1.5部
・グリセリン 7部
・1,5−ペンタンジオール 8部
・エチレングリコール 7部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファ
インケミカル製) 0.2部
・水 71.3部
【0170】
(ブラックインク2−3)
・前記カーボンブラック1 5部
・ジエチレングリコール 10部
・トリメチロールプロバン 10部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファ
インケミカル製) 0.1部
・水 74.9部
【0171】
(ブラックインク2−4)
・前記カーボンブラック2 4部
・グリセリン 7部
・1,5−ペンタンジオール 8部
・エチレングリコール 7部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファ
インケミカル製) 0.2部
・水 73.8部
【0172】
下記の構成材料の混合物をインクベースとしてシアンインク2−1〜2−4を作成した。
【0173】
(シアンインク2−1)
・上記ベース 26部
・水 74部
【0174】
(シアンインク2−2)
・上記ベース 26部
・硫酸アンモニウム 2部
・水酸化リチウム 0.3部
・水 71.7部
【0175】
(シアンインク2−3)
・上記ベース 26部
・クエン酸 1部
・ジエタノールアミン 4部
・水 69部
【0176】
(シアンインク2−4)
・上記ベース 26部
・炭酸水素ナトリウム 1部
・炭酸ナトリウム 2部
・水 71部
【0177】
下記の構成材料の混合物をインクベースとしてマゼンタインク2−1〜2−4を作成した。
(マゼンタインクベース)
・トリエチレングリコール 10部
・尿素 10部
・イソプロピルアルコール 4部
・C.I.アシッドレッド 94 3部
・アセチレノールEH(商品名:川研ファ
インケミカル製) 1部
【0178】
(マゼンタインク2−1)
・上記ベース 28部
・水 72部
【0179】
(マゼンタインク2−2)
・上記ベース 28部
・コハク酸アンモニウム 1.5部
・アルギニン 3部
・水 67.5部
【0180】
(マゼンタインク2−3)
・上記ベース 28部
・酢酸アンモニウム 2.5部
・水酸化ナトリウム 0.4部
・水 69.1部
【0181】
(マゼンタインク2−4)
・上記ベース 28部
・コハク酸 1部
・モノイソプロパノールアミン 4部
・水 67部
【0182】
下記の構成材料の混合物をインクベースとしてイエローインク2−1〜2−4を作成した。
【0183】
(イエローインク2−1)
・上記ベース 23部
・水 77部
【0184】
(イエローインク2−2)
・上記ベース 23部
・リジン 3部
・水 74部
【0185】
(イエローインク2−3)
・上記ベース 23部
・酢酸アンモニウム 2部
・トリエタノールアミン 6部
・水 69部
【0186】
(イエローインク2−4)
・上記ベース 23部
・安息香酸アンモニウム 1.2部
・アンモニア 0.8部
・水 75部
【0187】
<実施例7〜12、比較例3及び4>
上記で得られたインクを表4に示したような組み合わせで、実施例7〜12、比較例3及び4のインクセットを得た。
【0188】
【表4】
【0189】
各インクセットに用いたカラーインクが、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つか否かを、50mlのカラーインクに対して1規定の硫酸水溶液を1.5ml添加したインクのpH値と、硫酸水溶液を添加しない状態でのインクのpH値との差を測定することにより調べた。その結果を表5に示した。又、ブラックインク2−1〜2−4のpHを、表5に示した。
【0190】
【表5】
【0191】
(評価方法及び評価基準)
次に、上記で得られたインクセットを、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置であるBJF 800(キヤノン製)の改造機に各々搭載して、印字試験を行い、ブラックインクとカラーインクとの間のブリードの評価を行った。得られた結果を表6に示す。なお、印字試験に用いた被記録媒体は、キヤノン製コピー用紙:PB PAPER、及びゼロックス製:4024 PAPERの2種の普通紙である。
【0192】
(ブラックインクと各カラーインクとの間のブリーディング)
ブラックインクとカラーインクを同一のスキャンで印字する印字方法で、上記2種の普通紙の各々に各インクセットで、ブラックインクでベタ部と、イエロー、又はマゼンタ、又はシアンインクのベタ部が隣接するようなパターンを印字した。評価基準は以下の通りである。得られた結果を表6に示した。
A:全ての境界とで目視てブリードが認められない。
B:目視でわずかにブリードが認められるが、あまり気にならない。
C:目視でブリードが認められる。
【0193】
【表6】
【0194】
次に上記実施例7〜12のインクセットのブラックインクを用いて、上記2種の普通紙の各々に、前記ブリーディングの試験と同様にしてベタ部を形成した。4時間経過の後、印字した紙上にシルボン紙を載せ、更にその上に一辺が5cm、重さ1kgの錘を載せた後シルボン紙を引っ張った時に、記録紙の非印字部(白地部)及びシルボン紙に印字部のこすれによって汚れが生じるか否かを目視にて観察した。その結果、いずれも白地部およびシルボン紙の双方ともに汚れは認められなかった。
【0195】
更に上記実施例7〜12のインクセットのブラックインクを用いて、上記2種の普通紙の各々に、上記インクジェット記録装置を用いてキャラクターをプリントした。1時間経過の後、パイロット社製イエロー蛍光ペンスポットライターイエローを用いて、該文字部を通常の筆圧で一度なぞり、印字部の滲みやキャラクター周辺の白地部の汚れ、更には蛍光ペンのペン先の汚れの有無を目視で観察した。
その結果、上記滲みや汚れは認められなかった。このことから、本発明の第二の実施態様にかかるブラックインクは、耐擦過性や耐マーカ性にも優れていることが立証された。
【0196】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ブラックインクに求められる印字品位、画像堅牢性等の種々の性能を満たし、しかも、このブラックインクが他の色のカラーインクとの間にブリードを生じることがないカラーインクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法及び機器が提供される。
又、本発明によれば、ブラックインクに求められる印字品位、画像堅牢性等の種々の性能を満たし、しかも、このブラックインクが他の色のカラーインクとの間にブリードを生じることがないカラーインクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法及び機器が提供される。
又、本発明によれば、ブラックインク中に着色剤を内包した樹脂を有するので、インクジェット記録用インクとしての信頼性を損なうことなく、耐擦過性、耐ラインマーカー性にも優れた高品質なインクジェット記録画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 インクジェット記録装置ヘッドの縦断面図である。
【図2】 インクジェット記録装置ヘッドの縦横面図である。
【図3】 図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
【図4】 インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【図5】 インクカートリッジの縦断面図である。
【図6】 記録ユニットの一例を示す斜視図である。
【図7】 インクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図8】 図7の記録ヘッドユニットを示す斜視図である。
【図9】 記録ヘッドの発熱体付近の拡大断面図である。
【図10】 液体吐出ヘッドを搭載可能なインクジェットプリンタの一例の要部を示す概略斜視図である。
【図11】 液体吐出ヘッドを備えたインクジェトカートリッジの一例を示す概略斜視図である。
【図12】 図11に示したインクジェットカートリッジに用いられている液体吐出ヘッドの一例の要部を模式的に示す概略斜視図である。
【図13】 図11に示した液体吐出ヘッドの一例の一部を抽出した概念図である。
【図14】 図13に示した吐出口の部分の拡大図である。
【図15】 図14に示した吐出口の部分のインク付着状態を示す模式図である。
【図16】 図13における主要部の模式図である。
【図17】 図16中のX−X斜視断面形状に対応し図18〜図24と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図18】 図16中のX−X斜視断面形状に対応し図17及び図19〜図24と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図19】 図16中のX−X斜視断面形状に対応し図17、図18及び図20〜図24と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図20】 図16中のX−X斜視断面形状に対応し図17〜図19及び図21〜図24と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図21】 図16中のX−X斜視断面形状に対応し図17〜図20及び図22〜図24と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図22】 図16中のX−X斜視断面形状に対応し図17〜図21及び図23、図24と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図23】 図16中のX−X斜視断面形状に対応し図17〜図22及び図24と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図24】 図16中のX−X斜視断面形状に対応し図17〜図23と共に液体吐出ヘッドの液体吐出動作を経時的に説明するための概略断面図である。
【図25】 本発明の液体吐出ヘッドを装着して適用することのできる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置600の概略斜視図である。
【符号の説明】
13:ヘッド
14:インク溝
15:発熱ヘッド
16:保護膜
17:アルミニウム電極
18:発熱抵抗体槽
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス(微細孔)
23:メニスカス
24:インク滴
25:被記録媒体
26:マルチ溝
27:ガラス板
28:発熱ヘッド
31:発熱体
32:液室
33:基板
34:隔壁
35:インク滴
36:保護膜
37:吐出口
38:インク液路
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キヤップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キヤリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
70:記録ユニット
71:ヘッド部
72:大気連通口
100:インクジェット記録ヘッド
101:気泡
102:記録ヘッド
103:記録ヘッドユニット
104:ガイド軸
105:ガイド軸
106:記録媒体
107:スイッチ部と表示素子部
108:プラテン
109:送りローラ
110:回復系ユニット
111:キャリッジ
20Bk、20C、20M、20Y:インクのタンク
600:インクジェット記録装置
601:インクジェットヘッドカートリッジ
602:駆動モータ
603、604:駆動力伝達ギア
605:リードスクリュ
606:螺旋溝
607:キャリッジ
607a:レバー
608:ガイド
609:プラテンローラ
610:紙押え板
611、612:フォトカプラ
613:支持部材
614:キャップ部材
615:インク吸引手段
616:キャップ内開口部
617:クリーニングブレード
618:移動部材
619:本体支持体
620:(吸引開始)レバー
621:カム
832:吐出口
832a:起部
832b:伏部
931:電気熱変換素子(ヒータ、インク吐出エネルギー発生素子)
933:インク供給口(開口部)
934:基板
935:オリフィスプレート(吐出口プレート)
935a:吐出口面
936:インク流路壁
936a:隔壁
940:吐出口部
1337:発泡室
1338:液流路
1141:溝
1141a:頂部
1004:メニスカス
1001:液体タンク
1006:移動駆動部
1008:ケーシング
1010:記録部
1010a:キャリッジ部材
1012:カートリッジ
1012Y,M,C,B:インクジェットカートリッジ
1014:ガイド軸
1016:ベルト
1018:モータ
1020:駆動部
1022a、1022b:ローラユニット
1024a、1024b:ローラユニット
1026:回復ユニット
1026a、1026b:プーリ
1028:用紙
1030:搬送装置
2701:カーボンブラック
2703:水分子
2705:カウンターイオン
2707:カリウムイオン
2709:ナトリウムイオン
C:濡れインク
FM:メニスカス後退方向
FC:メニスカス後退方向と反対方向
G:重心
I:インク
Ia:主液滴(液体,インク)
Ib,Ic:液体(インク)
Id:溝部に付着したインク(溝内のインク)
Ie:液流路内に残存しているインク
L:液室(インク供給口)から吐出口に向かう線
N1:発泡室の幅寸法
N2:発泡室の長さ寸法
O:吐出口の中心
P’:被記録媒体
P:用紙の搬送方向
R:ベルトの回転方向
S:用紙の搬送方向と略直交する方向
T1:吐出口伏部寸法
w:隔壁の幅寸法
Claims (14)
- 少なくともブラックインクとカラーインクの組み合わせを含む2色以上のインクを用いてカラー画像を被記録媒体上に記録するためのインクセットにおいて、上記ブラックインクは、色材として表面に少なくとも1種類のカチオン性基が直接若しくは他の原子団を介して結合された自己分散型カーボンブラックを有し、上記カラーインクは、アニオン性物質を有し、且つ、水素イオン濃度の変化に対して緩衝作用を持つものであり、且つ、該カラーインクのpHが、上記ブラックインクのpHよりも高く、更に、該カラーインクのpH値が、カラーインク50mlに対して1規定の硫酸水溶液を1.5ml添加した際のpH値と添加前のpH値との差が1.0以内になるように調整されていることを特徴とするインクセット。
- 前記ブラックインクが、更に樹脂からなるマイクロカプセル内に着色剤が閉じ込められた構成の着色剤を含んでいる請求項1に記載のインクセット。
- 前記着色剤が、水不溶性染料又は顔料である請求項2に記載のインクセット。
- 前記樹脂が、表面にカチオン性親水基を有する樹脂である請求項2又は3に記載のインクセット。
- 前記着色剤が、ブラックインクに含まれる色材と同じ色を有する請求項2〜4のいずれか1項に記載のインクセット。
- 自己分散型カーボンブラック表面のカチオン性基が、第一級アミン基、第二級アミン基、第三級アミン基、第四級アンモニウム基又は第四級ホスホニウム基である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクセット。
- 前記カラーインクに含まれるアニオン性物質が、アニオン性染料である請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクセット。
- 前記ブラックインクのpHが酸性領域の値をとり、カラーインクのpHが中性領域から塩基性領域の値をとる請求項7に記載のインクセット。
- 前記インクセットが、カラーインクジェット記録用である請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクセット。
- ブラックインクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて、被記録媒体に付与する工程;及びカラーインクを記録信号に応じてオリフィスから吐出させて、被記録媒体に付与する工程、を少なくとも有するインクジェット記録方法において、該ブラックインク及び該カラーインクとして、請求項9に記載のインクセットを構成するブラックインク及びカラーインクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
- ブラックインクを収容しているブラックインク収容部、カラーインクを収容しているカラーインク収容部、及び該ブラックインクと該カラーインクとの各々を吐出させるためのヘッド部を少なくとも具備している記録ユニットにおいて、該ブラックインク及び該カラーインクが、請求項9に記載のインクセットを構成するブラックインク及びカラーインクであることを特徴とする記録ユニット。
- ブラックインクを収容しているブラックインク収容部と、カラーインクを収容しているカラーインク収容部とを少なくとも具備しているインクカートリッジにおいて、該ブラックインク及び該カラーインクが、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクセットを構成するブラックインク及びカラーインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
- ブラックインクを収容しているブラックインク収容部と、カラーインクを収容しているカラーインク収容部と、該ブラックインクと該カラーインクとを各々吐出させるためのヘッド部とを少なくとも具備しているインクジェット記録装置において、該ブラックインク及び該カラーインクが、請求項9に記載のインクセットを構成するブラックインク及びカラーインクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 被記録媒体上のインクジェット法によって形成されたブラック画像とカラー画像との境界領域におけるブリードを緩和する方法であって、上記ブラック画像の形成に、請求項9に記載のインクセットを構成するブラックインクを用い、上記カラー画像の形成に、請求項9に記載のインクセットを構成するカラーインクを用いることを特徴とするブリードの緩和方法。
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